【 カモ類の識別 】

冬鳥として各地の水辺に渡来するカモの姿は冬の野鳥観察の楽しみの一つです。
雄の生殖羽は個性的で判りやすいのですが、
「雌の見分け方、秋に渡来した頃の雄エクリプス(注)の見分け方が難しい」とよく聞かれる。
このため、馬見丘陵公園で見られるカモ類を中心に
「雌」と「雄のエクリプスから生殖羽への変化」「雄の生殖羽」の写真を一覧にした。

カモ類以外の多くの鳥は、春頃から換羽する繁殖期の羽衣(生殖羽)を「夏羽」、
繁殖後に換羽する羽衣(非生殖羽)を「冬羽」と呼んでいる。
しかしカモ類は冬期に番を形成することから秋から冬に生殖羽へ換羽するため、
夏から秋に見られる非生殖羽を冬羽と呼ばず「エクリプス」、
冬から夏に見られる生殖時の羽衣を夏羽と呼ばずに「生殖羽」と呼んでいる。

注 【エクリプス Eclipse】 
「除外する、捨てる、現れなくなる」のギリシャ語が語源で、「日食や月食で光を失ったという意味もある」

カモ類の成鳥雄は、秋から冬にかけて種ごとの特徴が明瞭な生殖羽に換羽するが、
繁殖期に入ると飛翔に関係のない部分から換羽が始まり、
繁殖期後期には風切羽が一斉に抜けて一時的に飛べなくなり、
雌と同じような地味な非生殖羽に換羽する。
雄のこの地味な色合いの非生殖羽の状態をエクリプスと呼んでいる。
日本に渡来したばかりの頃には既に生殖羽への換羽が始まっている種もあるが、
まだこの地味な色合いの個体が多く観察できる。
12月頃までにはに殆どの雄は生殖羽に換羽し個性的な羽色になり、番形成が始まる。


【幼鳥の換羽】 孵化したばかりの幼鳥は全身短い第1綿羽に覆われているが、間もなく長い第2綿羽に換羽する
その後第1幼羽に換羽し、更に第2幼羽(第1回冬羽)に部分換羽する(♂♀ともに♀成鳥に似た羽衣)。
種によって換羽時期は異なるが冬から春にかけて生殖羽(第1回夏羽)に部分換羽し、成鳥とよく似た羽衣になる
(成鳥♂が生殖羽に既に換羽した後に、遅れて生殖羽に換羽している個体を観るが、これが♂若の換羽である)


  ↓  馬見丘陵公園で ◎;いつも観る  ○;よく観る  △;時々観る  ×;稀に観る 
種 名 雄 エクリプス→生殖羽 雄 生殖羽

マガモ
59p
嘴は橙色で、黒色部がある 雌に似るが嘴は黄色で、体は黒褐色味がやや強い 嘴は黄色

コガモ
37.5p

嘴は黒いが、基部にわずかに黄色味 雌に似るが顔が一様に暗色で三列風切も長く、翼鏡の上の白帯は太め
(嘴は飛来した頃は♀に似ているが次第に黒味を増し黄色味はなくなる)
嘴は黒色

ハシビロガモ
50p

嘴が広く淡橙褐色で黒味を帯びる
虹彩は茶褐色
雌に似るが虹彩は黄色、雨覆は青灰色
嘴は黄色味を帯びるが次第に黒くなる
秋にエクリプスと生殖羽の中間的な
状態(サブ・エクリプス)になる
嘴は広く黒色,、虹彩は黄色
(冬に生殖羽となる)

ホシハジロ
45p
灰褐色で、頭は黒褐色、
嘴は黒色で雄より灰色部が少ない
雌に似るが虹彩が赤色(♀は焦茶色)、繁殖羽より色が鈍い 嘴は青灰色で先端と基部は黒色

オカヨシガモ

50p
嘴は橙黄色でマガモに似るが、
黒斑は不規則
雌に似るが中雨覆が暗赤褐色で、肩羽の模様は軸斑が暗色、褐色斑はない
嘴は♀に似て側面が橙黄色だが換羽とともに黒くなる
嘴は黒色

キンクロハジロ

40p
嘴の基部が白い個体もいる
嘴は雄より鉛色が弱い
雌に似るが黒色味が強く、脇や腹は淡色 嘴は青灰色で先端が黒い

オナガガモ

♂75
♀53
尾羽が長く、嘴は黒く両側が灰色 雌に似るが嘴の両側が青灰色、肩羽の模様も軸斑が黒っぽく羽縁が白く長い 嘴は黒く両側が青灰色

ヒドリガモ
48.5p
他の雌より褐色味が強い 嘴は鉛色 雌に似るが全体に赤味が強く、雨覆が白い 雌雄とも嘴は鉛色(青灰色)

ヨシガモ

48p
×
頭部の灰色味と特徴ある風切羽 雌に似るが雨覆いと三列風切は灰白色。(嘴基部中央に白斑がでてくる) 雌雄とも嘴は黒色

トモエガモ
40p
×
嘴は黒く、嘴基部に白斑 雌に似るが眼から頬にかけて不明瞭な暗色線があり、肩羽が長い 雌雄とも嘴は黒色

オシドリ

45p
×
嘴は灰黒色で、目の周囲りが白い 雌に似るが嘴が紅色で、頭部等も灰色味が強く、脇の斑紋も不明瞭 嘴は紅色

ミコアイサ
42p

×
頭部が茶色で前頸が白い 雌に似るが頭部の赤味が強い 雌雄とも嘴は黒色

スズガモ
45p

×
嘴の基部が幅広く白い
嘴は雄より鉛色が弱い
エクリプスでは全体に褐色味が強く、脇と腹は灰褐色 嘴は青灰色で嘴爪が黒い

シマアジ
38p

×
嘴は黒く眉斑と過眼線がある
トモエガモ♀に似た嘴基部に斑がある
♀に似るが雨覆は青灰色(♀は灰褐色)で、眉斑は前部でより白い 太く白い眉斑があり脇が白い

カルガモ
61p
嘴は黒色で先端が黄色  季節変化少、雌雄同色 換羽の一時期には翼鏡の青色が目立つ 左♂は右♀に比し濃色で上尾筒も黒い

▲このページのトップに戻る