徒然ぶちまけ日記

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2005年08月22日(月)  This is the magic word. Here is the magical world.
 アミノ系飲料値上げされてるような...

 あ〜。にちゃんねるかν速で新党とか作ってくれんかなぁ。
 新党VIPとか新党ワロスとか。
 マニュフェストはVIPPERのVIPPERによるVIPPERのための政治とか。


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「血まみれ人形とは大層な銘だな」
 タカ・セイビナ(46)
 黒褐色の肌に剃り込みハゲのパンチパーマ。
 掘りの深い顔に鋭い眼光、大工のように自然と鍛え上がった体躯。
 これで墓守協会の長(しかもインテリ) だと言うのだから世の中は分からない。
「ちゃんと手は合わせただろうな」
「警察ですから手は合わせませんよ」
 警察はすべからく賢勇界に所属している。
 故に墓前への挨拶儀礼としては敬礼が正しい。
「そういう意味では言っておらん」
「礼は欠いていませんよ。それと、こっちも別に人形自体が本当にそう言う名前と言うわけじゃないんです」
 タツマは、頭の上がらない口調でそう言い返す。
「モノ自体は、奇妙な模様がありますがただの木製人形でして、それがこう、」
 と、手を上げるが、どう表現すればいいのか思いつかずに額の汗を拭く。
「とにかく血まみれになってしまいまして」
「その鍵を探せと来たか」
「ええ、別の税関局員――こいつは倉庫に施錠して先に帰ったんですけど、ああっと鍵は内側からは開けることも閉めることも出来ないそうです。
 なんでそれなのに鍵を掛けたかというと、鍵を定時に返す必要があったからだそうです。
 で、そのハーシィは施錠と解錠の魔術が使えたからだそうで、鍵を締めて帰らせたのはハーシィの指示だったそうです。侵入者対策ですね。
 施錠はともかく解錠は資格のいる魔術で事後報告書とか必要で面倒なんですけど、ハーシィはその部分は了承したそうです。
 で、ここからが本題で、そいつ、ええとハーシィじゃない方の税関局員が見たそうなんですけど、どこかの遺跡周辺の村で購入したとか言う木製の人形、それが倉庫の真ん中に、でん、とマネキンみたいに立っていまして、そいつが首からこう」
 首にネックレスをかけるように手を動かす。
 今度は表現できた。
「紐で括って下げていたそうです、木製人形と同じ模様の金製の鍵を」
「相変わらず敬語の会話が整然としやんな、お前は」
 ...わかってはいるのだが。
 一応、読解は出来たらしくタカサンは渋い顔でううむと唸る。
「金の鍵と木製人形の一対か。嫌な組み合わせだ。北海の品か」
「よくご存知で」
北の群島あそこらには大陸から追われた魔王崇拝主義が今も栄えているらしい」
「魔王崇拝ですか」
「その遺跡を餌場にしている盗掘団がいると耳にしたがな」
「...よくご存知で」
 タカさんは墓守長と言う職業柄、様々な宗教・思想・文化――そして情勢に詳しい。
 タツマもそういう面で世話になることがあるわけで、
(にしても、魔王崇拝で盗掘団――ねぇ)
「しかしお前さん、そんな話をわしにしていいのか? 警察資料なんだろ?」
 そう訊かれてタツマは、
「っても、これはメイの依頼ですからねぇ...いいのか?」
と、後ろを振り返る。
「へ、は...へふにはまわないと、思いまふぅ」
 タツマとタカさんの少し後ろには、息を切らし汗を浮かべたメイがふらふらと歩いていた。
「って、えらいバテバテだな」
「じ、持久りょふには自ひんがあるのでふが」
 暑さにやられたか。森暮らしが長かったメイには夏の直射日光はきついのだろう。
「そういや、陽の光が苦手とか言ってたなぁ」
「もぐらやあるまいに」
 そうこう言ってる間にも、熱射病で倒れそうになっているメイ。
「...途中でジュースとかアイス売ってませんか。ババヘラとか」
「あるかそんなもん」
 吐き捨てるように行って、タカさんは足を進める。
「ここ向こう行ったら茶店ちゃみせがある」
 茶店はあるのか。
 メイとタツマがこうしてタカさんの案内で共同墓地を歩くのも、既に7回目だった。
 何故案内が必要かと言うと、地図だけでは確実に迷うからだ。
 街の真ん中に位置する共同墓地は、年々同心円状に広がっており、今やその規模は街の10分の1にまで達していると言う。
 共同墓地は広大で、しかも入り組んでいる。
 多様の宗教と、多様な歴史と、オークノート市民の価値観がそうさせたのであるが、それはまあ別の話だ。
 まるで迷路のようだとはオークノートを訪れる観光客大半の言葉だが、オークノート市民がそれを聞けば「馬鹿言うな、迷路が墓場みたいなんじゃないか」 と言い返すことだろう。
 オークノートの辞書では、墓場とは最も入り組んだ迷路の比喩として載っている。
「ちゃ、ひゃみへはどこでひょうは...」
「...いかんな、脳までとろけかけているぞ」
 タカさんは手ぬぐいで汗を拭って、快晴の空をふり仰いだ。
 遠くではセミの音が大量に鳴っている。
「帽子ぐらい買っておくべきだった――でしたね」

(「屍骸術師と密室の鍵」)

2005年08月21日(日)  りきがある。
 冷めたカレー鍋を相手にする場合、カレー鍋全部を暖めるより、必要分をレンジでチンをする方が安いのだろうか。

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「一昨日未明、ミナミの保税倉庫にて税関局員が殺害された」
「ほ...ぜいかん?」
 小首を傾げるメイ。
「税関ってのは物の輸出入を取り締まって関税を賦課・徴収するところ。
 保税倉庫は外国の貨物を関税の徴収を保留したまま蔵置しておく場所だ」
「...はぁ」
 更に小首を傾げるので、ため息をついてタツマは、
「あとで説明してやる」
 と腰を落として、耳打ちをする。
「あっはっは。仲が良いな、お二人さん」
 警部であり同期であり幼なじみでもあり強犯課の上司のルイス・ヴァインは、そんな二人を微笑ましそうに眺めている。
 タツマは思わず、デスクを蹴飛ばそうとしたが、逆にめんどくさいことになりそうなので話を進めることにした。 
「殺害は確定なのか?」
「ああ、刃渡り20センチ以上の刃物らしきもので腹部を刺されている、凶器は見つかっていない」
 と、新しい厚紙に綴じられたファイルを手渡す。
 黄色のファイルに綴じられた資料をパラパラと捲っていくと、3ページ目で死体の写真が貼られていた。
 至って普通の死体だ。血溜まりの中にうつぶせているので傷口は見えない。
 次のページを捲ると、それを簡易に線画化したものと、人体図に損傷箇所を赤斜線で塗りつぶしたもの(こちらは前後ろ二つ) が添付されていた。
 写真のイラストはカラー写真が未だに劣化が激しいための措置なのだが、死体の生写真を見るのに抵抗のある人間にとってはそれ以上の役割もある。
 メイが手を伸ばしてきた。
 反射的にファイルを上へ上げる。
「タツマ、見せてやれ」
「あの、大丈夫ですから。慣れてますし」
「...そうだったな」
 彼女は、自分よりも死体を見てきているのだ。
「すまん、俺が慣れてなかった」
 ファイルを手渡し、ルイスを見やる。
「右の手首がないようだったが」
「ああ、事件現場、その周囲からも見つかっていない。それらしい血痕もな」
 資料を渡したルイスは、既に別の書類を片付けにかかっている。
 ファイルの色みから察するに盗掘団に関する案件のようだが。
「倉庫には内側から鍵がかかっていた。他に出口はない」
「その通り、俗に言う密室だな」
「言わんでいい。鍵は?」
「見つかっていない。そこが問題なんだ」
「問題」
 怪訝な顔をする。 
「合い鍵は?」
「合い鍵?」
 ルイスも似たような顔をした。
「...ああ、“そっち”の鍵か。事故当時は、全部管理されていて手のつけようもなかったそうだぞ」
 “そっち”はともかく、ずいぶんと適当な物言いなのが気にかかる。
 どうやら、倉庫の鍵はあまり関係ないらしい。
 思い至ることがあったので、メイからファイルを取り戻し、ページを捲る。
 半ば奪い取るようではあったが、特に身を入れて見てはなかったらしく、文句は言われなかった。
「魔術の使用記録があったんだな」
「察しが良くて助かる」
 捲っていくと、右肩に魔法著作権協会とかかれたプリントアウトに行き当たる。
 機械的に書かれたシートには、住所と、 
「事件当時発生した魔術は二つ。<施錠エンタングル>と<解錠ディセンタングル>がそれぞれ一回ずつだ」
 そこで使用された二つの魔術の記録。
 それぞれが、文字通りの効果を発揮する魔術ではあるが、
「ばかばかしい、密室でもなんでもないじゃないか」
「俗にと言ったろうが」
 小難しい顔の、ルイス。もっとも、その顔は書類を向いたままだが。
「施錠はともかく、解錠は資格が要ったよな」
「ああ。ちなみに、使用した人物は有資格者で、その点は問題がない」
「話が見えん」
 魔術の使用者は殺された被害者本人だった。
 つまり、解錠・施錠者が犯人ではない。
 この時点で密室はまた密室に戻ったわけなのだが、
「見えなくてかまわないんだよ。そこはどうでも良いんだ」
 まあ、それはそうか。
 ただの密室殺人事件程度では、彼女が呼ばれる理由がないのだから。
 書類を一通りチェックして、ルイスは万年筆のキャップを外してサインを描く。
「君たちに依頼したいのは他でもない」
「はい」 と、応えて居住まいを正すメイと、
「たち、じゃねぇ」 ぼやくタツマ。
 ルイスは微笑ましくそれを見てから、書類を180度反転してそれをつきだした。
「被害者の税関局員、ハーシィ・ハートゲイトを甦生し、失った“右手首”及び“杖”と“血まみれ人形の鍵”の回収につながる情報を聴取してもらいたい」
 ああ、あと、とルイスは付け足した。
「ついでに“凶器”もだ」

(「屍骸術師と密室の鍵」)

2005年08月20日(土)  壊れないように離れていく君を
Q:どうやったら毎日そんなに日記を書けますか。

A:毎日書こうなんて思ったら負けです。
  その日起こったことなど次の日でも一週間後でもだいたい覚えています。 
  一度最低ランクの日記を書くと、毎日の更新が気楽になります。
  自分のキャラとか、クオリティとか気にしはじめると何も書けなくなります。
  と言うか、その時点で日記じゃないけど。

  真面目に言うと、日記は日記であり、結局のところ一番読むのは自分であると言うことを自覚すると良いかと思います。
  その日食った物リストなんかも、今はつまらないけど1年後に見れば普通におもしろいはずです。

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 がつがつと最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へ〜を食べる幽霊を眺めながら、
 タツマはパイポをしがみ息を吸い、ため息じみた息を吐いた。
「なるほど、こんな味だったのか。こりゃうめえわ」
 男は本当に上手そうにその天丼定食(味噌汁と漬け物付き)を食べている。
「美味いならもっと味わって食え」
「ゆっくり味わってなんていたら味なんてわからないじゃん」
 ...言いたいことは解らないでもないが。
 ハーシィ・ハートゲイト(享年25際)。彼が甦り、メイに協力するための条件。それは非常に明確だった。
 時価・要予約・一年待ち。
 オークノートでは割と有名な伝説の「天丼定食」 を一度でいいから食べたかった。
 まあ、それ自体はタツマでも納得できる遺恨だが、
「にしても、毎回こんなめんどくさいことやってるのか」
「今回は難易度が高かったですね」
 隣で折りたたみ椅子に座っているメイが、かた耳で答えた。
「一番の問題は、私もハーシィさんも最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へ〜を見たことが無いと言うことでした。
 以前も申しましたとおり、屍骸甦生術は死者の持つ後悔・遺恨を生存本能、魂のエネルギーとして甦生します。そのため、術師はその遺恨を晴らすことを公約する必要があります」
 つまりそれは、誰かに遺言を伝えたり、残された家族の将来を補償することであったり、ベッドの下に隠したエロ本を黙って焼却することであったり、一生に一度でいいからアレを食べたかったというような願いを叶えることであったりする。
「最後にアレが食べたかった。と言う遺恨自体はそう珍しくない部類の願いに入ります。その場合屍骸術師は死者に対してそれを食べたという幻を見せることで契約を果たしますが」
 つまり、今やっているこれである。
 現在メイのネクロマンシーで甦っているハーシィは、無体甦生――つまり幽霊の状態である。
 正確にはメイとタツマの見る幻影として甦っているらしいが、まあそれはどうでもよい。
 ともかく、その幻覚に対してさらに天丼定食の幻覚を見せ食べさせていると言うわけだ。
 お互い幻覚同士と言うわけではないが、ハーシィからすれば幻覚でも錯覚でもなく、ちゃんと本物を食べていることになっているらしい。
「いかにネクロマンサーと言え、情報にないものは創り出すことは出来ません。
死者が一度でも食べたことがあるのであれば、その記憶を元に再生は可能ですが...」
 つまり、「あのとき食べた天丼定食をもう一度」 と言う願いならかなえられるわけだが。最初にメイが言ったとおり、術者も死体も知らない、見たことがない物の幻は造ることが出来ないと言うわけだ。
 そのため、今回の契約の履行には、術者であるメイが現物――最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へ〜を情報解析する必要があったわけで。
 金もともかく一年も待っているわけにも行かず、あんな方法をとったが...
「まぁ、それでも店で売っているものだからマシな方か」
 まだ、世界の海をマッハ8で泳ぐという伝説のキングホワイトホエールを食べてみたかったなんて遺恨じゃなくてよかったと喜ぶべきだろう。
「そういえば、あの客さん泣いていましたね。別に食べられなかったわけではないのですけど」
「あ〜そうだな」 と微妙に声を上げるタツマ。
 きょとんとするメイには解らないだろうが...ああいうのは気分なのだ。
 一応、店主自らが厳選した素材と、最高級のの手間と料理技術が掛けられているらしいが、結局のところ、一年待って高い金を払わなければ食べられないというレアリティがその天丼定食を美味くしているのである。
 だから、その気分に一度でもケチが付くというのは実際、致命的なのだ。
 当のハーシィは今回の件でこちらが被った面倒を全く知らずに美味しそうに天丼定食をがつがつと食べている。
「なぁ、俺らもあんな感じに食べることは出来ないのか?」
「出来ない事もないですが、おばあちゃんは“みじめになるからやめとけ” と言っていましたね」
 ...まあ、そういうモノなのだろう。
 タツマは最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へ〜を美味そうに頬張る幽霊を眺めて、再度パイポをしがんだ。
「うめぇ〜〜ふぅ〜〜!」 奇声を上げる幽霊。「生きてて良かったーー!!」
 死んどるつ〜に。
「喜んでいただいて幸いです。実のところ、少々不安でした」
 メイは、スタンドしている杖をくるくると回してそんなことを言った。
「不安?」
「ええ、」
 うなづいて、それからメイは小首を傾げながら、
「厳選された素材と言う割には成分と成分の比率がスーパーで売っている食材と大差がなかったものですから...微量ですが何故か重曹も検出されましたし」
――ちなみに重曹は天ぷらをさっくり揚げる家庭のウラ技によく使われている。
 タツマはパイポをしがんで息を吸った。
「...厳選したんじゃないか? スーパーで」
「あ、なるほど」
 パンと手を叩いて得心するメイをよそに、ため息じみた息を吐く。
 あとで誰にも言わないように釘を刺しておくべきだろう。
 サラリーマン達の夢を潰してはいけない。

(「屍骸術師と密室の鍵」)





2005年08月19日(金)  ホリエモンってドラえもんよりもデジモンの名前みたいだよなぁ。
だから、ごきげんようは生放送じゃないんだってば。

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「はいよ、最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へ〜! お待ち!!!」
 カウンター席の男性客は歓喜の涙を流しながらお盆を受け取った。
「つ、ついについにこの定食を食べる日が」
 男は何十秒もかけて、震える手でカウンターにお盆を置いた。
 眼前に広がる、豪勢という言葉ではとても良い足りない丼定食の風景。
 男は千万無量の思いではらはらと涙を流した。
「入社早々、俺は中央からこの街に一人飛ばされ...引っ越したその日にこの店で親子丼を食べた。しょっぱかった。
 二月が経つ頃には俺は慣れない西の風と孤独でぼろぼろになっていた。
 長雨の日に俺は初めて会社を無断欠勤した。休んだところで行く当てもなく、俺はこの店で半日をただ過ごして...そのとき、俺はその定食の存在を知った。
 自棄になってそれを頼もうかと思ったが、時価、要予約、一年待ちと書かれた値札がそれを阻んだ。
 その日、俺は誓った。
 二年だ、二年目のボーナスのとき、俺がまだこの街にいるなら...食べてもいいだろう。
 そう誓ったあの日から、俺はこの日のためだけに生きてきた。
 決して楽な仕事じゃなかった、何度も絶望し、挫折した。
 けど、そのたびに俺は今日のこの日が来ることを思った。そうすることで不思議と何にでも耐えられた...」
 男の独白は続く。
 店主は黙して新聞を読んでいた。
「そうして今まさにこの瞬間がやってきた!」
 男は涙を拭いて割り箸を口で割った。
「食べる、俺は、俺は食べるぞぉおおおおお!!」
 と、丼に手を掛けた瞬間。
「はい、待った」
 カウンターの後ろから別の男がその手を掴みあげた。
「へ?」
 そこには夏なのにコート姿の男がいた。
 黒髪の青年――男性客と同じぐらいの年齢の若者は、
「食事中にすまんが、こういうものだ」
 と、自分の腰に差した剣を見せる。
 この街において、帯剣者が示す職業は一つだけだった。
「け、警察の方が何かご用ですか?」
 コートの男――刑事は神妙に頷いて。
「慌てないで聞いてもらいたい。
...実は、この界隈で連続ピッキング強盗で指名手配されている男が潜伏中とのたれ込みがあって張り込んでいる」
「え...れ、強盗?」
「無人の家屋を狙ってピッキングを繰り返す凶悪な強盗犯だ。
既に計七名の罪もない目撃者が皆殺しされている」
「は、はぁ」
 無人の家屋に侵入して何故七人も殺せるのか、という根本的な問題にも気づかずに相づちを打つ男。
「とにかく、その連続サムターン回し強盗は」
「え、ピッキングじゃあ」
「間違えた。で、そのカム送り解錠強盗だが...目撃者の証言によると、その強盗は今の君と似た箸の割り方をしていたらしい」
「はぁ――?」
「と言うわけで、参考人として署まで来てもらえるかな? もらえるよな?」
 断言するように、刑事は男の手を掴む。
「え、ちょ、まっ、そんな割り箸の割り方なんてみんな同じって言うか、だいたい何で被害者の目の前で犯人が割り箸を割る必要が」
「そのへんは設定されていない」
「それって今考えてるってことじゃな――いや待って待って待ってって!!」
 そうこう言い合う間にも、刑事は問答無用で男を入り口へ引っ張っていく。
 その気迫に問答無用のオーラを感じたか、男は、
「わかりました、わかりましたから!
 刑事さん、せめて食事が終わってからでも」
「駄目だ、事は一刻をも争う」
「せ、せめて一口だけでも」
「何を言うか、こうしている間にも犯人は次の犯行を行っているかもしれないのだぞ」
「ま、まって、それなんか論理がおかしくな――」
「四の五の言うな! さ、行くぞ。店主、邪魔したな!!」
 そう言って、刑事はのれんをくぐって引き戸を閉めた。
「お、俺の最高級デラックス特選炭火焼きミラクル天ぷら丼定食〜そして伝説へぇええええええええええ!!!!」
 断末魔の悲鳴が、店の外で響いた。

 店内は静まりかえっていた。
 残された店主と丼定食。
 丼定食は湯気を立てていた。
 店主は静寂の中でただ呆然としていた。
 しばらくして、店主はふと我に返った。
 いつの間にか、カウンター前に一人の少女が立っていた。
 青い髪でノースリーブの夏服を着たその少女は、手に棒きれのようなものを持って丼定食をしげしげと眺めた。
 それから、店主の視線に気づいて微笑んで、また視線を丼定食に戻して、
『踏査』
 と、短く呟いた。

(「屍骸術師と密室の鍵」)

2005年08月18日(木)  昨日今日明日の変わらぬ日々で、
七夜月幻想曲遊びたおしました。
って、近衛貴之って瀬戸口かいっ。
あいかわらずガンパレ組は本名で登場できないんだなあ。
小夜ががんばっていて良い感じ。
コーターローはうじうじしてますなあ。
あと、ロジャーの「全米が泣いた!」は良い台詞だ。

一通り終わったものの、辞典がまだ埋まらない。
ミニゲーム(シューティング) の成績とかだったら一生無理かも(笑)
あと予告通り、以前のドカンの際の読者質問が載せられてましたね。
全300問近くあって、読みごたえあるなあ。
あ、自分がした質問発見。ちなみに日向の奴です。


最近読んだもの。
「冲方式ストーリー創作塾」

創作術とか言う割りに精神論やら体験談ばっかりであんまり面白くなかった。
だいたい、「小説は文才が無いとかけないと思ってませんかいえいえフツーの人でも小説は書けるんですよ」 だなんて、この一億総ブログ時代に何を古臭い既成概念蒸し返して覆すのか。インターネットは電話料金が高いと思ってませんかと今時まだ言ってくるぐらいの違和感がある。
序章がやたら長くその割りにそんな話ばっかりなので、この時点で読むの辞めようかと思った。本題書け本題。
なんつーか、ビジネス成功本の序章ってこんな感じだよなあ。
中身もまぁ、なんというかあれだ。
ハウトゥ本の創り方とか書いたら売れるんじゃないだろうかと思った。


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 実のところ台詞をニュアンスで覚えるというのは大変難しい。
 台詞の直前の感情の動きを理解しきれない、あるいは理解しても実践できないのが原因だったりするが、単純にキャラの思考パターンを理屈で理解しても実際に再現できないという事でもある。つまりは理屈どまりなのだ。

(「三百代言と三文芝居」)

2005年08月17日(水)  赤マルジャンプ感想
新人漫画、わりと面白くって読み応えがありました。
武装錬金おわってねぇ〜〜。
いやぁ、熱い展開でした。
この漫画のファンで良かったよ。

なんか、今度ジャンプレボリューションとか言う増刊雑誌に和月先生の読みきりが出るそうです。
ジョン=ドゥとか言うフランケンシュタインの話だそうで。
ジョン=ドゥってあれですよね。郵政タロウとかそんな感じ。
ヒロインらしき眼鏡の女の子がカワイイのでどえらい気になります。


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 さて、たとえ話と言うのは実のところ何にでも使える。
 人生を四季にたとえる事もできるし、人を花にたとえる事もできる。
 性格を動物にたとえたり、野球をロサモタにたとえる事もできる(だれもしらんかそうか)。
 もっと実践的に言えば、演劇をダンスにたとえたり、ドラマをゲームにたとえたり、ネットを蟻の巣にたとえたり、世の中を遊園地にたとえたり、と何だろうと可能である。
 ようは何かが共通してればたとえは成立するのだ。

(「たとえ話と基礎鍛錬」)

2005年08月16日(火)  ブンブンブブブン黄色いバカンスよ♪
(プラス思考と弁証法)

 さて、思うにこの手の言葉はいかにも胡散臭い。
 思考にプラスもマイナスもへったくれもないだろう。この手の感覚はどうも苦手だ。
(中略)
 そもそも、プラス思考なんて言葉を使いたがる奴の大半はプラス思考じゃない。
 本物のプラス思考という人間は大方が天然だろうからだ。
 プラス思考の人間がワザワザ「自分はプラス思考です」 などといわんだろう。「私は人間です」と大手を振ってやれやっほほいと叫んでいる奴など、まあ天然っぽいがいないだろうに。

 マイナス思考の人間がさも羨ましそうにプラス思考などという言葉を使うのだ、とは言わん。だが、プラス思考がいいと思うものがプラス思考という概念を必要以上に意識する。

 まあ、そうでありたいというおまじないのよなモノだということだな。プラス思考という言葉は。
 己の性質に合わない思考パターンを目指すというのはある意味洗脳だと思うのだが、自分がする分には問題なかろう。
 やりたきゃやれ、なりたきゃなれ、だ。


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あ〜ぱにぽにやってるなぁ。
そういえばサンデーにベッキーみたいなキャラがおよそ二名いるなあ。
どっちも好きな漫画だからいいんだけど(その理屈もどうだか)



2005年08月15日(月)  あのきゆわどぅっ=I'm knockin' onyour door
...ところが、いざそういう目線でテレビを見れば...芸能人たちはなんだかんだ言っても水準以上の批評をしている。
 少なくとも、人の気を引き付けるだけの批評だ。
 だが、それは別段不思議なことではない。むしろ理由としては簡単だ。
 演技をしているからだ。なにをか。 無論、自分の立場をだ。そして演技は芸能人の十八番だ。
 ようはディレクターの配役に応えるコメントをしているだけである。ニュースにしろ何にしろ。
「あ、俺はここでこういう批評をすればいいんだな」
 と本人が立場に気を使って会話している、という訳だ。
 後はパターンどおりに批評をすればいい。立場を守り、気の利いた台詞が出ればどんな意見だろうが構わんという訳だ。
 立場がわかればそれで人の気は引けるというわけだな。テレビの批評は視聴者を屈服せるのが目的ではない。良い批評とは視聴者が笑ったり、頷いたりする物だけではなく、反発したり、怒ったりもできるモノを言うのだ。
 まあ、視聴者の反感を買えば人気はなくなるだろうが。

(容易な批評と虚ろな立場)

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 スマップが七年前ぐらいの自分たちのドラマを見てゲハゲハ笑っていた。
 草☆の演技がどうにも大根なのだ。
 良いなあ、と思った。
 多分当時のスマップはこの演技が下手だなんて思いもしなかっただろうなって思うわけですよ。
 でも、今見ると明らかに下手糞で笑えてくる。
 つまりそれって、笑えるだけ上手くなったってことなんですよね。
 だから、自分が下手だって気づける。
 だから、良いなあ、って思ったわけです。
 まあでも、あんまり下手だとか笑ってると当時の演技も好きなファンとかもちゃんといたりして怒られたりするんですけどね。

(☆=弓偏に剪)

2005年08月14日(日)  マージマジマジーロ
 エンディングの黄色の腰の動きが一部で大評判。
 確かに凄いキレの良さだ...

 マジ社員じゃなくてシャイン先生大活躍。
...とみせかけて、ウルザードが一人嫌われ役を演じるという漢展開でしたとさ。

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...さて、後者の哲学は「思い直せば…」 ではじまる文面が多い。
 ようするに取り繕いの文章だということだ。
 結局は今までその考えに至らなかったことや、これまでの考え方を改めたという事実の吐露でしかない。
 「思い直せば…」 ではじまる哲学は、己の失敗の取り繕いを己でさぞかっこよさげに自慢しているに過ぎない。

(思い直しと考える葦)

2005年08月13日(土)  うわーかくことねー
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今日のガンダム。
 ジャスティスってこれといって特徴無いよね。

アルファナッツの新作、「女神の涙TURE」 プレイ中。
ジャンルは挿絵付きRPGかな。
もっと良いネーミングあるだろうけど。
実のところ、挿絵のあるRPGは珍しいわけで(自分が見たことあるのはアイシアぐらいかな)、そこが特色っぽいかなと。
でもイベントに挿絵って難しそうだな〜。
ムービーなら動くからいろいろ考えられそうだけど。

プレイ中に感想書いてもまとまらないので、クリアしたらまた書きます。

購入はこちらから↓
アルファナッツ
WebMoneyによるシェアウェア販売サービス(長ッ。略して「うぇぶまゲ」)

2005年08月12日(金)  つないだ君の手を。
テムズ.jpg 320×320 158K
書くことがないなぁ。

2005年08月11日(木)  べーべー
うぉお。書くことがね〜。

ガンガン購入。スパイラルがやばい展開になってきて大緊迫。
女王騎士は相変わらずおもしろい。
あとはまあ、そこそこ。

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(弛まぬ努力と魔法の鍵)



 たとえば、ファンタジーやRPGで、「選ばれたものにしか開くことのできぬ扉」と言うのがあったとしよう。
 その扉は、幾多の試練を乗り越えた「勇者」と呼ばれる様な奴しか開くことのできぬ扉である。
 具体的に言えば、レベル50ぐらいで一度ボスと戦って死んでいるあたりの奴が開くのが望ましい。


 さて、そんな扉をとある魔法使いが開けてしまった。


 無論、魔法使いは魔法使いなだけあってとても貧弱そうだった。
 「勇者」にも、「選ばれしもの」にもとうてい見えない。
 完全にインドア派の研究一直線と言った感じの風貌だった。
 だが、魔法使いは、扉を開けた。
 なぜか。

――魔法使いには力こそ無かったが知識はあった。彼は「どんな扉でも開けることのできる魔法の鍵」を開発、それにより「選ばれたものにしか開くことのできぬ扉」を開けたのだ。

 ズル? 違うな。そう思うのはただ単にゲ−ムや小説の読みすぎだ。

 大方のRPGやファンタジーでは、この魔法使いの役回りは大抵「悪役」だ。
 悪の組織のブレーンのような存在が散々自慢たらたらに扉を無理やりこじ開けてしまうのだ。

 主人公やプレイヤーキャラクター、そしてそのフィードバックである読者やプレイヤーにとって「魔法の鍵」の存在は明確な「ズル」に類するものであり、唾棄すべき行為だと感じるだろう。なぜなら、こちらが正攻法で挑んでいるからだ。

 だが、だ。
 モノの見方さえ変えれば、魔法使いも悪役もしっかり正攻法で挑んでいるのだ。
 ようするに、
「選ばれたものが開くことができる扉」と見るか、
「訳のわからん条件でしか開かない扉」と見ているかだけの違いである。
 勇者達は選ばれるために努力した。
 魔法使いは開かない扉を開けるために努力した。
 両者の努力に、どれほどの差があるというのだろうか?

 努力こそが素晴らしいというのであれば、紛れも泣く魔法使いは素晴らしい人物になる。
 無論、悪の組織の研究者達もそうなってしまう。

 まあ、それはさておき。
 実際の所、「魔法の鍵」の開発の方が後々便利そうではある。
 記録さえ残せばそのノウハウや意思を継ぐことができるし、死んでも安心だ。
 素質も頭の数で埋め合わせることができるから、いろんな人が協力できて楽しそうだ。

 まあ、今の世の「科学」の時代を見れば誰もが「魔法の鍵」を選んだのは自明な話ではある。……それをズルにしてしまう雰囲気と言うのはどうも首を捻るばかりだ。まあ、これも一方的なモノの見方だがな。

 ただの天才の偉人伝よりプロジェクトXが面白いと思えるのであれば、「魔法の鍵」の努力を称えてやってもよいだろう。


 以上だ

2005年08月10日(水)  お〜すごい
お〜。すごいなあ。
いやガリレオ解散のことですが。
世論がなんだか、郵政族という古い垢が落ちた新自民党が一気に攻勢を仕掛けるぜぇ〜みたいな方向。
三日前まであった、解散したら民主に取られちゃうよ〜ていうムード全然無し。
なんかもう小泉さん勝ちムードって言うか、地味に支持率上がってるし。
なんか見えなかった未来がいきなり開けて、便乗したように新たな予想がビシバシステム。
三日前にこの予想が立てられたら凄いんだろうけどねえ。
株価も上がってるしなあ。(不況になると言う噂があった)
偉いさんの筋書きは凄いや...。

2005年08月09日(火)  TRAINER×TRAINER3
PocketMonster3.jpg 610×400 161K
三枚目。
本来は一枚目で十分落ちていたモノの、このネタをやりたかったために描き続けてみた。

あの投稿はあんただったのか〜と言うコメントが来た。
俺だったのだ〜。
絵でサイトの宣伝しない方針なので、別ネームでエントリーしております。

2005年08月08日(月)  TRAINER×TRAINER2
PocketMonster2.jpg 610×400 184K
二枚目。
11巻持ってる人は解ると思いますが、シーンがバラバラです。
ネタのために仕方ないとはいえ、ちょっと外道。

けど、漫画絵というのは視点誘導を計算して製図されているため(コマだけでなく絵自体も) コマをばらすとそれのつながりを失い、読みにくくなったりテンポが遅れたり読みにくい絵になったりするんですよねえ。

2005年08月07日(日)  TRAINER×TRAINER
PocketMonster.jpg 300×401 160K
ポケモンパロディ。(アサメ新聞に投稿)

サトシVSシバ&キクコ(ポケモン四天王)
元ネタはHUNTER×HUNTER(11)

盗賊をトレーナーに入れ替えるための上手い単語を思いつかず、結局飼主に落ち着いた。
他にいい単語無いかなあ。

2005年08月06日(土)  ココイチ
ココイチでチーズカレーを食べた。
以前食べたはずだったのだが、予想していた味と違っていた。
自分が予想していた味はビーフカレーのものだったのだ。

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「ほら、もっと身入れて走れ! じゃないとまたスクラッチアウトの的になるぞ!!」
「ひ、ひぃいいい!!」

 亜里抄に引っ張られるようにブタドン――大津が懸命に走る。既に顔面がそこここ腫れ上がり原形をとどめていない。
 それでも再びヒットターゲットの的になるのは嫌なのか、悲惨な形相をさらに悲惨に歪めて足を動かしていた。

「にしても…こりゃえげつねえな」
 未だに女子は鬼気迫る形相で追っかけてきている。
 ボールに硬球が混ざっていないことが唯一の救いだ。
「おいこらブタドン、お前何言ったんだ? ここまで殺気出させるなんて、相当なもんだぞ」

 目上に対しても容赦なくタメ口だった。
 大津にしろ走るのに夢中でそれどころではない。

(ただよし)

 第二稿。
 削ったり分解したり再構築したりといろいろがんばるのでした。

2005年08月05日(金)  人生はちゃんこ鍋だ 涙は隠し味さ
ちゃーはんはんばーがーがすぱちょちょーじゅーあんあんころーもーちーはーだのおじょうさん。
おいすー、こんばんわ。

買ったものリスト
「王様の仕立て屋(7)」
「銀魂(8)」

仕立て屋は水虫の話、収録。あとは全体的にラウラの話。
イタリア人は水虫がものそい嫌いなのだろうか。
それとも大河原さんがダメなのかな。

銀魂は、この人みたいな応対できたら人生とくだろうなあと毎回思う質疑コーナーがいかす。アニメ化に浮かれまくっているところもグッド(笑)

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1:旧教室

 狗井が派手に吹っ飛んだ。
 宙を舞うコルネット。
それを比沙が体にブレーキをかけながら危なげもなく掴みとる。

 その場の誰もが呆然と見すごした。
 完璧な右ストレートは、まるで細長い線がすうっと伸びるかのようで、
なんというか、とても綺麗だった。
 速くて、強くて、なおかつ拳に無理が掛からない、ボクサーのパンチ。

 うわぁ、痛そう。
 その場の誰もがそう思った。

「え…」
 映来々は唖然としながらも、目は比沙に釘付けになっていた。
 彼女の表情は穏やかで、喩えるなら「虫も殺さぬ顔」
と言う表現がしっくり来そうなすまし顔で、
「どうして??」

「弱き者への暴力を、見逃すつもりはありません」

「…だって今、暴力をしたのはわた…」
 映来々は、ぎくりとした。
 遠回しな言い方だったが、コトの当事者の映来々にはすぐ解った。
 おそるおそる振り向くと、狗井が、
案の定ばつが悪そうな顔で頬を押さえて座り込んでいて、
「嘘…そんな」

 そして映来々はへたり込んだ。
――このとき、彼女を取り前いていた殺意の全てが発散され、消える――
 なし崩しに力が抜けた。
 まるで風船のように心に張りつめていた殺意がどんどんと抜けて萎んでいく。
 映来々は今――再起不能になるまでに――傷ついてしまっていた。
「そう…私、狗井に叩かれかけてたんだ…」

(ただよし)

第2稿。
何となくめどが付いてきたかな。


2005年08月04日(木)  あのきゆわどぅ
 嫌韓流の売れ行きなんかよりもアジアの安全な食べ物にどういう落ちが付くのかが楽しみな今日この頃。
 嫌韓流はアレ、ぶっちゃけ20代男性しかかってないしなぁ。
 ムーブメントとしてはハピマテにも劣ってるような...

 あ〜郵政失敗するかな、どーだろ。景気悪くなるよなぁこれ。
 この、たいがい四面楚歌な現況で与党が民主公明に移るってのもなあ。
 ケツに火がついた自民あたりが理想なのになあ。
 
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「悪人だと思うのなら、裁くんだな」
 男はそれだけを言って高らかに笑うと、その場で跳躍して大きく羽ばたいた。
 六枚の羽と細長い体躯が、まるで吹雪から光を奪うかのように太陽を隠す。
「俺が悪でてめえが正義なら、お前は勝つだろうさ!」
「望むところよ!」
 吹雪は言い放ち、ダッシュした。
 前方――屋上唯一の出口階段へと。
「な」 予想外だったのだろう。泡を食ったかのように口をパクパクと開く男。
 その隙によって間に合う、と確信する吹雪。
 亜里抄がぶち当たった扉のドアノブを回して...
(――回らないっ!?)
 手ごたえからして、鍵が掛かっている。
屋上階段は階段側からのみ鍵を閉めることが可能だが...
 何故? まさか、亜里抄が?
 
(ただよし)

2005年08月03日(水)  勇気があればわかるはず
 以前も書いた気もしますが、日記のタイトルはそのとき思いついたアニソンのフレーズとかを適当に採用しています。概ね懐アニか最近見ているアニメ。
 まあ、恐らく全部解る人は稀でしょう。ググれば一発で解るけど。
 ちなみに昨日と今日のは両方とも『剣勇伝説 YAIBA』 から。
 このアニメの最終回でコナンと蘭がちらっと映っていたとか(ちらっとじゃねえな大画面で映ってたか)、刃の声がコナンと同じ高山みなみだとか刃のライバル鬼丸の声が服部だったりとかコナンファンなら思わずにやりの要素があったりなかったり。
 しかし、書いててなんだけどマクンバってなんだ。
 ググったら載ってるけど、良く解らん。誰かユング風に解釈してくれ。

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「いいねえ、その目。底のねえ沼みてえな落ち着き様だ。
肝が座ってるってヤツ? 並の人間が出来るガンじゃないぜ」
 男は、口元に笑みを浮かべて出口階段の屋根へと降り立つ。
 吹雪は、脳裏でフブキに伝信を取りながら、距離を開いた。
(あれが、ディラック? なんだか、「人間形態」 みたいな感じだけど...)
 厳密には違うが、フブキのその評価は概ね正しい。
 一度戦いに敗れれば、巨大化できるという点も含めて。
「さっきの亜里抄もあなたの仕業?」
 聞かなくても分かり切っていた。
 こいつの力は「殺意」
 だとすれば、先程の亜里抄の突然の嫌悪も頷ける。
 気になるのは、今も翼から陽炎のよう漏れている紫色のもや。
 あれが、殺意の元だろうか。匂いや空気を媒介にしているようには思えないが。
「あ? そうだよ」
 思考を遮るように男の声がした。
「こうして振りまく殺意を微弱に張り巡らせれば、人間関係の些細な不満の種を増幅して、爆発させることも出来る。
 ったく、たるい話だぜ。
 もっと出力あげれば“壊す”ことだって出来るのによ」
「じょ」 冗談じゃない。
 この力。はっきりいって、この前見せた「人を発狂させる力」 よりもよっぽど恐ろしい。
 人が個性を持つ生き物である限り、人は誰にだってなにかしらの不満を持つものなのだ。友人関係というのは、その不満よりも友情の方が大きいと言うことに他ならない。
 だから、互いに互いに対しての不満を言い合えるような仲――たとえば吹雪と亜里抄のような仲ならば、この程度では友情に亀裂が入らないが。
 互いの欠点を言い合える仲など、そうは無い。吹雪だって、親友よりただの友達の方が圧倒的に多い。
 親友なんてのは、その友人の中から、毎日の積み重ねでちょっとずつ親睦を深めて、作っていくのだから。
...それを育むための高校生活でもあるわけで、
「それこそ、種なのよ。こっちも」
 そう、それこそ、友情の種。
「あん? わかんねえこといってんじゃねえよ」
「わかんなくても。あなたのやってることは、間違いなく悪いことよ」
 やばい。また悪い癖が発症してしまう。
 けど、もうどうにも止まらない。
 そうだ、亜里抄も言っていたじゃないか。
「真昼間から不快指数上げて...梅雨じゃあるまいし。
つまらないことしてるんじゃないわよ」
 上目遣いで睨み据える。
「ムカついて出た言葉なんて、何一つ真実じゃ無いけど...
それでも、わたしは悪人を許さないっ。覚悟しなさい!」
 私は、このキレっぷりも含めて私なのだ。
 この不釣合いな倫理観と正義感が、あの子と私を繋ぐ絆なのかもしれない。
「ほう...」
 男は、口の端を歪めて目を細めた。

(ただよし)


2005年08月02日(火)  マクンバかましたおんなのこ
 ワイルドアームズ4の設定資料集を購入2200円。
 たけぇ。
 ともすれば中古で同上ソフトが買えちまうよ。
 でもまあアルラクの娘やら、ユウリィの修道院時代とか、変態集団ブリューナグやらの設定も満載で買った価値はあるかな。
 ドラマCDはまだ聞いてない。おもしろいといいな。

2005年08月01日(月)  いくつ涙を流したら
 永岡衆議院議員の自殺がどうにもできすぎていて怖い。
 これで郵政法案が決まるなんてことになったら...

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 沈黙は金。
 口べたな人間ほど小説が上手いなんて言いますが、じゃあ日記がおもしろい人は小説が下手のなのだろうか。

 半々か。

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 Aの要素を持って成功した人間は、再び成功を為し得るにはAの要素を再び使うか、Aとよく似たAダッシュとでも呼ばれる要素で勝負をするしかない。
 人間の才能は限られている。Aと言う才能を持ってしまえば、一生Aと付き合うしかない。と言うより、それに限定したからこそ成功したのだ。

 では、Aと言う要素で成功した人間が別の形で成功したいと願った場合どうすればいいか。
 なかなか無理はあるが、Aと言う才能をリセットするしかない。
 すると新たにBと言う要素を創る隙間が出来る。
 まずAと才能を移転したいBを同時に成功しうるモノを創る。
 初期はAに依存する形でそれを創り、最後にはAを捨てBに重きを置く。
 プロセスはたったこれだけだ。

 才能を消去するというのは、別に今まで出来ていたことが出来ると言うことではなく、それ以上は伸びなくなると言う意味である。

「で、これなに?」
 うん、この論はだな。いわゆる二作目のジンクスに対する一つの回答と言うか。
「回答」
 解答に非ず。
 つまり、一作目で成功した場合、二作目で成功するには一作目の焼き直すか強化するかしかない。
 別の試みで成功を得ようとする場合は、一作目と次に創りたい作品の要素を含みつつ、一作目の要素をリセットしながら次へと移行するような作品を実験的に創り、三作目でその別の試みを挑むしかない、と言うことになる。
 まあ、そういう持論。異論でもある。
「へ〜。なかなか壮大な試みねぇ」
 まあ、一度得た才能がそんなもんで消えるわけ無いんだけどね。
 ただ、別の試みをしたいのであれば、グラデーションのように緩衝を挟まなければならないんだろうさ。
「別にさぁ、創らなくてもいいんじゃないの?」
 人間てのは本番がないと進歩しないもんなんだよ。

2005年07月31日(日)  聞華神類学概論
 持論というのは、人生訓ではない。
 「こうであればいい」 と言う理想だ。
 たとい経験からへた事実であろうと、それは同様と言えよう。
その持論を生み出すのは、常に理性と理想だからだ。
 だから、ことのほか持論を守れていない人間は多い。
 理想に現実が追いつかないのが人の常だからな。
 また、理想は常に変わるものだ。
 人間の可能性が無限なのと一緒だ。

 持論は変質する。 
 人の未来が限りのない限り、それはごく当たり前のことだ。
 だから人は変わる。
 理想が変わる限り、持論は変わる。
 持論が変わったのなら、それは理想が変わったと言うことだ。
 持論が変わらなければ、理想は終わる。

(文人)

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 絢爛舞踏祭をやっていると、他のゲームでNPCの性格が変わらないのがストレスになります。
 なかなか難儀な話だ。

 自分の中で創ったとあるキャラクター。彼はすっかり老成したキャラなので性格が固定されています。
 そのキャラは数年前に創ったキャラで、当時の自分の持論を大きく受け継いでいます。個性的な人間は個性なんて言葉を使わないと言う考え方です。
 その持論は自分は日常では使いませんでした。
 まず出来ないからです。数ある理想の一体型といえるでしょう。
 自分には出来ないけど、でもできれば最強なのだろうと思う考え方の一つ。

 しかし、今の自分はそのキャラがどんなキャラだったのか思い出せずにいます。
 当時の持論を大きく引きずっているから、
 そして、その持論を今持っていないから。

 昔描いた同じキャラを今描いてみると、その変化がよくわかります。
 うん、まあそんな感じ(シュッ)

2005年07月30日(土)  神が与えた試練を越えて、
おいすー。


いやあ、暑い。
本日(までに)読んだリスト。

「ぺらぺら〜ず」最新刊
「へっぽこーず」最新刊まで
「GOSICKs」

ぺらぺらとへっぽこの間にはどこか温度差を感じずにはいられない(笑)
まあぺらぺらはアレ、GMがおろおろするのを読むのが楽しい小説だと言うことに気づきましたが、しかし見ていると胃がキリキリする。
リプレイでGMに感情移入するのは諸刃の剣ですね。

2005年07月29日(金)  ラブソング探して
ラブソング探して
これは、王女支援の時のFlashかな。
こんな歌だったんだなあ...カラオケでタイトルだけ知ってて気になってたんだよなぁ。

クラップを一個目から感想入れれるように仕様変更。
文字制限を直せることに気づいて、多めに設定。

2005年07月28日(木)  ミコミコナース
 いやあ、まさかブラウン管で巫女みこナースを聞く日がこようとは。
 嬉しいけど日本の将来マジ心配。

 小説、ダーク全開で突っ走ってるので緩和。
 メイね、メイ。
 ちなみに泳げません。

 去年からのびのび書いていた屍骸術師シリーズ第三話が終了しました。
 わ〜おめでと〜。
 読んでる人は解ると思いますが、このシリーズの主人公sは倫理観が薄弱です。
 犯人スルーです。
 シリーズ物とかだと、前回死ななかった犯人は次の話で殺されるという、「悪人滅殺」 のルールが適用されるところですが、そういうこともありません。
 まあ、そういう小説です。





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「常識で考えろ。海水を産湯に生まれるってぐらいに海と関わりの深いオークノート市民が、たかだか上から頭押さえつけられたぐらいで、死ぬと思うか?」
「...」
 イタラは、うつむいた。
「でも、あの人は死んだわ」
 脳裏に声がよみがえる。
 「事故でいい」 とぼやいたタカさん。
 「自殺だけど、本当は他殺」 と呟いたメイ。
「でも、自殺なんだよ」
 他殺...だけど――自殺。
「メイや警察は他殺だと割り切るんだろうが、俺はそういう風には思わない。
 自殺には生きる気力を無くして、自分を殺そうとする意志に抵抗しないことも含まれる。
 ヤナシは、抵抗するのをやめた。死から逃れることをあきらめた。
あんたが殺そうとしているんだと解ったときにな」
 禁煙パイポを揺らす。
 うつむきがちのイタラの瞳がつられるようにに揺れている。
 何故、と言う瞳だった。
「決まってる。何故、ヤナシは自殺しようとしたのか...娘のためだ。
 何故、生き残ろうとしたか...これも娘のためだ。
 なら何故、殺されるのをよしとしたのか...」
 殺されるのであれば、確実に保険金が入る。自殺を事故に見せかけるより遙かに完璧なシナリオだ。
 娘が疑われる可能性はあるが...イタラあのこなら、きっと...
 まったく、傍迷惑な話だ。どうせ死ぬのなら一人でこっそり死ねれば良かったのに。不運な「事故」 がそれを台無しにしてしまう。
...ヤナシが残した悔いは、いったい何だったのだろうか。
 厳密にのみ自殺と呼べない事象の中で、一体何が心残りだったのだろうか。
 パイプをしがみ、深く吸う。眠気を摘む刺激が夢見がちのイメージをかき乱す。
 まあいい。結局、答えは出ない。死人に訊くのも野暮だろう。
 イタラが、怪訝そうな顔でこちらを覗いた。
「...あなたは、なぜそれを私に話すの?」
「嫌いなんだよ」
 タツマはパイプを銜えたまま器用に答えた。
「俺以外の人間が黙ってるのがな。俺がつまらない分、他の誰かが周りをにぎやかしてくれなきゃ困る」
 そのタイミングで、食器を片付けたメイが帰ってきたので場はお開きとなった。
 メイはガラスケースのプリンを指をくわえてみていたが、日も暮れかけていたので首根っこを引きずって帰宅した。

 帰りしな、メイはずっと不機嫌だった。
 よっぽどプリンが食べたかったらしい。
 だが、荘に帰宅するとヒュリィがプリンタルトを作っていたので、彼女の不機嫌は一気にすっ飛んだ。

 まあ、それはともかく。
「で、メイちゃん。デートは楽しかった?」
 キッチンでコーヒーを淹れながら、ヒュリィが訊いた。
「ええ」 微笑むメイ。
 メイは、小動物のように一心不乱にタルトを食べていた。
「ふ〜ん」
「なんだその目は...」
 新聞を読んでタルトをかじっていたタツマは、妙に生暖かい視線に身じろぎをした。
「別に。その高校、例の怪談騒ぎの発信源だったんだって?
怖いわね〜。ミステリースポットって奴?」
「それは意味合いが違うぞ」
 一応ツッコミを入れるが、妹はメイばかり気にかけて聞く気配がない。
「ええ、ヒュアリィさんから聞いたお話も参考になりましたよ」
「そう? ちょっと尾ひれとか付いてるんじゃないかなぁって心配してたんだけど」
「おまえらが率先して付けてるんだろうが」
「だって、なんか味気ないんだもの。水泳部の代表に選ばれたエースが、代表を外されて嫉妬に駆られた二番手に溺死させられた、なんて話。なんか間抜けすぎ」
 まあ、それは確かに間抜けではある。
 オークノートにおいて溺死は、かなり不名誉な死に方なのだ。
「だからね、わたし考えたのよ」
「...尾ひれの上からウロコを付けるな」
「兄貴は黙ってて」 えへん。と、咳払い。「ええっとね」
 ヒュリィは頭の中でページを開いてるかのように、とうとうと、
「まずね、実はエースは病弱で余命1ヶ月ぐらいだったのよ」
「ぐらいって。だいたい、余命一ヶ月の奴が入るか、プール?」
「そこはおいおい詰めていくわ」
 臆面もなく言う。
 都市伝説はこうやって創られていくのだろうな、とそんなことを思う。
「でもって、エースは犯人の自分に対する嫉妬に気づいていた。
そして、二番手がその殺意を自分に向けたとき、こう思った。
どうせ余命幾ばくもないし、なら殺されてもいいか、って」
「...」 どうでもいいが、タルトの甘味がきつくて舌に残る。
「エースはその部員が自分に勝るとも劣らない才能を持ってたことに気づいてたのね。代表に選ばれたら、きっと彼にも才能の芽が開く。そう思った。
 だから今際の際に、彼に自分の未来を託すことにしたのよ」
 それは、迷惑きわまりない話だ。
「いい話ですね」 メイはタルトを食べた口で、そうコメントする。
「うん、ありがと」 微笑むヒュリィ。
「でもこの話には続きがあるのよ。だって、エースは化けて出ちゃうんだから」
「ああ、そういえば」 怪談だったか。
 ふと興味がわいたので、訪ねた。
「その次点の奴の才能が開かなかったのか?」
「ううん。彼はそこそこ有名になったし、後に自分の行いを悔いて国教徒に帰依したって話よ」
「いや、今創作つくった話をさも本物みたいに言われても」
「そうじゃなくってね、」 スルーされた。「エースは、自分の未来を他人に託してしまったことを後悔したのよ。本当は、たとえあと一月で死のうと、代表入りして最後まで自分の才能を磨くべきだったんじゃないか、って。
――だから化けて出るのよ。その答えを求めるかのように飛びこみ続けるの」
 ヒュアリィはタツマとメイの目の前にブラックコーヒーを置いて、席に着いた。
 苦いコーヒーを啜ると、口の甘ったるさが中和される。
コーヒーをもう一口飲んで苦みを残し、今度はタルトを囓った。
「それって、おいしいの?」
「ああ、単品じゃちょっと甘すぎてな。これぐらいがちょうどいい」
「へぇ」
 テーブルの向こうで、メイが真似しようとしているのが目に入った。
ブラックを口に付けた時点で、あえなく撃沈していたが。
「で、話の続きだけど...ね、メイちゃん。どう思う?」
「...に、苦いです」
 舌を押さえ涙目で答えるメイ。
 ヒュリィは目を丸くしてから、
「メイちゃんにブラックはまだ早いかもね」 苦笑した。
「で、兄貴は?」
「俺は、飲めさえすりゃ何でもいい」
 そうコメントすると、今度は眉をつり上げて、
「そうじゃないでしょ」
 さすがに俺はごまかせないか。
 タルトを囓る。
「まぁ、そんな理由で化けて出られたら、確かにはた迷惑だよな」
「ロマンがないわね」
「そんなもんいらん」
 コーヒーを一口飲み込んで、短く息を漏らす。
 もう一個、タルトに手を伸ばそうとしたが、ヒュリィがタルトのバケットを持ってメイにすり寄っていったので、手が届かなくなった。
「砂糖でも食べてなさい」
 代わりにメイの手から角砂糖の入った壺を奪って、投げつける。
 タツマはあきれて、角砂糖を一個口に含んでコーヒーを流し込んでみた。
 溶けた砂糖は、苦くて甘く、どろどろでじゃりじゃりだった。
 悔しいので美味しそうに飲み込んでやると、メイが手にしていた角砂糖を口に放り込もうとしたので兄妹してあわてて止めに入った。

(『屍骸術師と保険金』完)


2005年07月27日(水)  飲ま飲まイェイ。
 そういえば、『キノの旅』のバイクの名前もエルメスだったよなあ。

 サンリオのシナモンがどうしても、2ちゃん系のマスコットに見えて仕方がない。口とか、目とか。


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「巫山戯てるわ。娘のために、あんな手の込んだ自殺まで考えておきながら、いざとなったら怖くて出来ませんでした? それが許されると思うの?」
 入り混じっている。
 様々な感情が。
 愛情、憎悪、羨望、嫉妬、そして羞恥。
 イタラにとって、ヤナシは親友のナガノを苦しめ、それでも慕われ、唯一救うことの出来る人物だったのだろう。
 だから、様々な感情が、彼女の中で渦巻き、結果一つの殺人行為へと行動をつなげた。
 たしかに、その動機は透き通るほどに綺麗ではない。
 だが、
「どんな理由であれ、あんたはヤナシを殺した」
「自白して罪を償え...て言うの?」
「言ったろ。あんたの偽証がばれたら、一番疑われるのはナガノだ。さすがに自白があれば警察はあんたを検挙するだろうがな。
 だが、世間はそうもいかないだろう」
 彼女は気づいていない。
いや、気づこうとしないだけか。
「娘をよろしくと頼まれたんだろ」
 殺した相手からの頼み事なんて、ある意味究極の罪滅ぼしだと思うのだが。
 しかし、此処まで来て、この状況にまで落ち込んでそれが出来るのであろうか。
 いっそのこと、何も伝えなかったときの方が、上手く征っていたのではないだろうか。
――ぞるるるる。
 沈黙が続く。
「ごちそうさまでした」
 いつの間にやらメイが最後の蕎麦を食べ終えていた。両手を合わせて、よくわからないことに祈りを捧げている。
 食器を片付けながら、メイが口を開いた、
「あのとき、ヤナシさんは生きようとしていました」
 いちおう聞いていたらしい。
「自殺は断念せざるを得なかったのです。
――ナガノさんが来てしまったから。
この状況で自殺してしまうと、真っ先に警察に疑われてしまいますから」
 イタラの椅子にかける手に、力がこもる。
目を見開くその表情は、静かに驚いている様にも見える。
 やはり、気づいていなかったか。
「あのとき生きながらえても、そう遠くない日に自殺を行ったかもしれません」
 それは、イタラの殺人動機の無意味さを示す言葉だった。
「ヤナシさんは、あの瞬間だけは生きようとしていて――だから、悔いを残しました」
 メイは立ち上がって、トレーを持ち上げる。
「あなたは、完璧な自殺を阻止してまで、不完全な犯罪を犯した。
だから、あなたはヤナシさんの代わりにナガノさんの将来を補償しなければならない」
「それが、君の理屈か」
「いえ、ヤナシさんの言葉の要約です。本当は、もう少しいろいろ仰っていたのですが」
 苦笑しながら踵を返し、こちらの反応も待たずに食器を調理場へ返しに行く。
 イタラはと言うと、無言のままだった。
 いろいろ、ね。きっと、いろいろなのだろう。
「死人に口がないのは美徳だな」
 そんなことをぼやく。
 イタラは無反応。
 間が持たないので、話を振ることにした。
「あれは、自殺だ。誰が、なんと言おうとな」
 振り向く、イタラ。おびえる動物が、それでも何かにすがろうとする、そんな目つきだった。
 初めて見たときの気丈さは、どこに行ったのだろうか。
 テーブルの下から、イタラの手にかけた椅子を蹴り飛ばす。
 引き出された椅子に座るように、指示すると、イタラはゆっくりとした動作で腰を落とそうとした。
「水に潜ったこともないメイにはわからんだろうけどな、俺らは解るだろ?」
 高校生用のプール、上から押さえつける手。
 それを、ヤナシの視点で見た、あの光景。
「あの状況で、上から押さえつけられたぐらいで溺死ぬわけがない」
 とたん、イタラは脱力したように椅子に落ちた。

(『屍骸術師と保険金』)








2005年07月26日(火)  至る。
 歩道橋の上で反戦を訴える宗教だか政治団体だかNPO法人だかがいた。
 ラウドスピーカーで戦争の無意味さを訴えるのは結構なのだが、いかんせん発音が悪い。
 イラクがいくらの様に聞こえていては、説得力もくそもない。

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「あの男が...私に? そんな、何で今さら」
 その驚き方に、タツマは口の端をゆがめて、
「口ぶりからすると、何か関係ありそうだが」
「あったそうですよ、昔、一度だけ――って痛っ、いたた?」
 デコピンされて涙を流すメイ。
「そー言う意味じゃない。もう少し言葉を選べ耳年増」
「み...ひどくありませんか?」
 猛烈に抗議するメイと、それを受け流すタツマ。
 そんなこんなしていると、黙ったままだったイタラが口を開いた。
「そう、死人は気楽ね。何でも話せちゃうんだ...」
 やたら神妙に苦笑するので、タツマはどうしたモノだろうかと天井を仰ぐ。
 その点、メイは気楽だった。
「何故という質問の答えは簡単です。ヤナシさんは、自分を殺した人物があなたであることを知っていたからです」
 誰も、反応しなかった。
 この場の雰囲気を代言するならば、「やっぱりな」 と言う言葉がしっくりくる。
「殺人を厭わないほど娘を思ってくれているあなたなら、娘を安心して任せられるから、とヤナシさんはおっしゃっていました」
「そんなの...綺麗事よ。私が何で殺したかなんて、解るはず無いわ」
 椅子の背もたれに手をかけて、項垂れるイタラ。
 座ればいいのに、座ろうとはしない。
「嫌な予感がした...たぶんナガノも。だって、その日に限って娘の居場所を確かめに来たのよ。私の家に泊まるって言ったら安心してたけど、」
 とうとう、自白めいたぼやきを始める。
「ナガノが、夜中にこっそりと出て行った。私も家を出た。どこに行くのかなんて、聞かなかった。どうしても確認したい場所があってそこがナガノと同じ場所だった...」
 彼女は、一人暮らしだったか。
 となれば、アリバイは無い。崩す以前の問題だ。
 だが、そうした場合、やはりナガノが疑われる可能性の方が高い。
 こんな自白を聞いたところで、なんの意味もないんだがな。と、言ってやりたくもなったが、そんなことは当人もよく知っているのだろう。
 喋れば、楽になれるとでも思っているのだろうか。
 それも無意味だ。
「ナガノには見えてなかったらしいわ。彼女の立っている位置の方が明るかったから」
 話が本題に戻ってきた。
「わたしは、それを別のところから見ていた。自分の娘から隠れたい一心でプールに飛び込んだあの男を見たとたん、」

 嗚呼、なんてこいつは、
――みじめな男だろう。

「殺意が沸いた。だから殺した」



(『屍骸術師と保険金』)

2005年07月25日(月)  あいろんあいろに
 今週のテニスは最高すぎる。
 ページ開いた瞬間にどっかんどっかん笑いの発作が起こるわ起こる。
 サーブ前からムーンサルト「向日」 と相変わらず口の悪い演舞テニス「日吉」の氷帝屈指のお笑い芸人二人のダブルパンチをなんとか堪えきったかと思ったら、最後に乾が悟飯のカメハメ波級のサーブを撃って、そこであえなく悶死。
 おかげで、大亜門先生の新連載が吹き飛んでしまったよ。
 大亜門先生が、ギャグマンガで連載を勝ち取るにはジャガーよりもテニスを超えなきゃならない。
 ドドンガは面白かったけど。
 あと、日本で『NO』とは言いませんね、と言う台詞もよかった。たまに切れ味のあるツッコミがあるから侮れません。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 まるで、夜に落ちる雨粒みたいに突然で、
ふいと明かりに照らされた瞬間に、頬を叩くかのような。

「どうかしてるわ、あんた達」
「達」
「複数形ですね」
 ぞるるるると、蕎麦をすする音。
 学食の蕎麦がよほど気に入った(安さを)らしく、メイは夕食代わりに食べて帰ると駄々をこねた。
 正直とっとと帰りたかったタツマだったが、「帰りに奢ってやる」 の一言が出ず(ケチだから)に、結局それを了承した。
 蕎麦を食べるメイに、パイプを吹かすタツマ。
 そんなテーブルに――どこで聞きつけたのか、イタラがずかずかと歩き寄り、ひとこともの申したという次第だ。
 イタラはこめかみに青筋を立てて、蕎麦をすするメイを睨んでいる。
「あ、あんた達結局何しに来たのよ」
「達」
「ふふひゅーへーへふへ」
「食べるか喋るかどっちかにしなさい!!」

 15分が経過した。

 することがないタツマが時計の針を追っていたのだ。
 15分でメイが蕎麦を食べ終えたかというとそうではなく、
「ああもう、食べるのは後にして喋りなさい!!」
 業を煮やしたイタラが、前言を撤回しただけだった。
「遺言です」
 きっちり覚えていたメイが、食べ残しの蕎麦を残念そうに眺めながら答える。
「遺言? あんなの見せといて、更に何を聞かせるって言うのよ」
「...あんなのと言うのは」
 タツマはパイプをくゆらせて、器用に訪ねる。
「ヤナシが自殺しようとして、失敗して、娘を見つけて、プールに飛び込んだことか」
 イタラは黙って聞いている。
「それとも、娘に見つかりたくないからプールに隠れるように飛び込んだヤナシを、あんたが上から押さえつけて殺したことか」
 まるで普通の雑談のように喋るタツマの言葉を、学食の客達は気にも止めない。
 驚いていたのは、目の前のイタラだけだった。
 彼女は二回、呼吸をして、顔色を元に戻した。
「...知ってるのに見過ごすって言うの」
「まあ、どうがんばっても証拠不十分だろうし」
 そもそも、あの日ナガノとイタラが学校のプールに忍び込んでいたと言う証拠すら掴めていない。
「下手にアリバイ崩すと、あんたの親友が疑われるだろうな。そうなりゃ今度は冤罪だ。正直、今より状態を悪化させてもな」
「...あんた、それでも警官なの?」
「今日は非番だ。あえて、警官の立場で言わせてもらえれば...そうだな、利益がない」
 絶句、とでも表現するべきだろうか。
 イタラは何も返す言葉が無く、口をぱくぱくとしている。
 難儀な奴だ。ため息をついてタツマはパイプから口を離した。
「勘違いするなよ。人は、人を殺したぐらいじゃ、悪人になんてなれない」
 メイが再び箸を取ろうとしたので、タツマはすかさず頭をこづいた。
「痛いです」
「正常だ。よかったな」
「え、あ、はい...あれ?」 腑に落ちない顔をしたメイだったが、気を取り直してイタラと向き合った。
「ヤナシさんの遺言は、あなたへです。イタラ・ノンクレイム」
 新情報が飛んで出た。
「ヤナシの遺言は“娘をよろしく頼む”だったんじゃないのか?」
「そうですよ。それをイタラ、あなたに伝えることが、わたしの使命でした」
「...そうか、」
 頼まれたのは、ヤナシの遺志はメイへのモノではなく、そのままナガノの最も近い人間へ伝える遺言だったのか。

(『屍骸術師と保険金』)

2005年07月24日(日)  たとえ遥か遠く離ればなれになっても...
ストーリーに対してネタばれはないですが、ネタや感想はあります日記。

『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』
見てきました。
めっちゃ、盛況でした。
二日目だし、当たり前か。

いや、人が多いウチに見たかったんですけどね。
周りの反応が知りたかったというか。
案の定、マスタング伍長が出たら「きゃー」 とか、エドが手パンをしたら「おー」 とか、アームストロングが登場したら「あはははは」 とか、良い反応が楽しめました。
アームストロング出落ちカヨ。
いや、ほんと出ただけで笑いを取れるってのはすごいね。

おもしろかったです。
今年の夏は映画の当たり年だね。

まさか、ムササビの術が見れるとは思ってなかった。
キャラのそれぞれの成長と決着らしきモノがみれて良かったかも。特にラースはよかった。
偽ヒューズと偽プライドもよかったなあ。
しかし、自分の評価は当てにならないのでここで映画館を出たときに聞こえた女子中学生っぽい人の感想を書いてみましょう。
「なんか、アニメの最終回で感じたモヤモヤが晴れたんだけど、また別のモヤモヤが生まれたかんじ、よかったんだけどぉ〜ウィンリィかわいそう」
おお、なんて分かり易い。

たしかに、なんかそんな感じです。
モヤモヤするけど、おもしろかった。
そういや、アニメのハガレンもだいたいそんな感じでした。

手法的にはメイン軸の運命化と言うか、エドの意志と関係ないところで大きな流れを作り、その流れに流されるエド自身にまた別のストーリーを持たすと言うか、
...大筋とエド自身のストーリーが別なのは漫画ハガレンも一緒か。

エンディングがモヤモヤするのも、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか良くわからない結末に落とし込むことで、エドの運命に翻弄された感やら、様々なキャラの思惑の錯綜を臭わせる、という手法なのでしょう。いや、わからんけど。

思惑の錯綜は、単にシナリオ詰め込みすぎと言う原因もあるらしい(笑)
なんか、実際はもっとシナリオあって、無理矢理カットしまくったらしい。ラースもしゃべりまくりだったらしい。いや、ラースは映画ぐらいの台詞の方がいいと思うけど。
にしても、シナリオ切った割には、プロローグの話いらんよなあ。

関係ないけど、ゲームハガレンやりたくなったなあ。
というか、円月輪投げたくなった。


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DiaryCGI [nicky!]
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<-neo / vin->
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08月22日 This is the magic word. Here is the magical world.
21日 りきがある。
20日 壊れないように離れていく君を
19日 ホリエモンってドラえもんよりもデジモンの名前みたいだよなぁ。
18日 昨日今日明日の変わらぬ日々で、
17日 赤マルジャンプ感想
16日 ブンブンブブブン黄色いバカンスよ♪
15日 あのきゆわどぅっ=I'm knockin' onyour door
14日 マージマジマジーロ
13日うわーかくことねー
12日つないだ君の手を。
11日 べーべー
10日 お〜すごい
09日TRAINER×TRAINER3
08日TRAINER×TRAINER2
07日TRAINER×TRAINER
06日 ココイチ
05日 人生はちゃんこ鍋だ 涙は隠し味さ
04日 あのきゆわどぅ
03日 勇気があればわかるはず
02日マクンバかましたおんなのこ
01日 いくつ涙を流したら
07月31日 聞華神類学概論
30日 神が与えた試練を越えて、
29日 ラブソング探して
28日ミコミコナース
27日 飲ま飲まイェイ。
26日 至る。
25日 あいろんあいろに
24日 たとえ遥か遠く離ればなれになっても...