第3回  
不妊症検査1 血液検査と検査時期
 
 プロラクチンは乳汁分泌ホルモンといって、脳下垂体から分泌され母乳の分泌と産後の無月経をおこす働きがあります。授乳中は母親にとって大事な子育ての時期なのでこの時期にさらに妊娠という負担がかからないように仕組まれていると考えればプロラクチンが排卵を抑制することは生理的な事だと理解されます。しかしこのホルモンが妊娠中や授乳期以外に大量に分泌されると不妊症の原因になります。プロラクチンが過剰に分泌されると視床下部からのLH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)の分泌が阻害され、脳下垂体からのFSH、LHといったホルモンの分泌が障害され、卵胞の発育がおこらず排卵障害の原因となります。また、黄体ホルモンの分泌も不十分となります。但し、乳汁分泌ホルモンといっても高プロラクチン血症の方に必ず乳汁分泌があるわけではありません。むしろ軽度の上昇では乳汁分泌がない方が多いため血液検査で調べることになります。そしてこのホルモンは夜間睡眠中に分泌される特徴があるため日中は正常値でもTRHテストという刺激試験をして初めてわかる潜在性高プロラクチン血症といわれる病態もあります。
 高プロラクチン血症の原因はいろいろありますが、まず精神安定剤や胃腸薬などによる薬剤性のもの、また、下垂体にプロラクチン産生腫瘍ができる事による腫瘍性のもの、甲状腺機能低下症、間脳障害、および機能性(原因不明)のものがあります。一般には機能性のものが多いのですがおそらく微少な下垂体腫瘍であろうといわれています。
 治療方法ですが、まず血中プロラクチン値が100を越えるよう場合は腫瘍性を疑い、脳外科を紹介します。また、薬剤性が疑われる場合は中止するか他の薬剤に変更していただきます。値がそれほど高くない場合は、内服薬の使用が一般的です。以前の薬は吐き気が強く服用を継続することが困難なことも多かったのですが最近は副作用の弱い薬がでています。さらに最近では週に1回の服用で吐き気もほとんどない薬も開発されています。
   
 
 
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