第3回  
不妊症検査1 血液検査と検査時期
 
 子宮卵管造影は不妊症の基本検査として有名です。と同時に非常に痛い検査としても有名です。私がこの検査の話を始めると「先生、それって痛いんでしょう。」と患者さんの方はもうすでに腰が引けています。確かに以前は痛い検査でした。造影剤を注入するための器具が金属でできており、子宮頚管部を金具で上下から挟み込んで造影剤の逆流を防ぐような仕組みだったからです。研修医の頃初めてこの検査を見たときはなんて残酷な検査だろうと、男に生まれてよかったと思ったものです。しかし現在は非常に細くて腰のあるシリコンチューブを挿入します。そして先端が風船のように膨らむことによって造影剤の漏れを防ぐように工夫されています。痛みもほとんどなく行えますのでご安心ください。この検査では卵管の通過性が左右別々に評価でき、子宮内腔の形態や子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫の有無などが検査できます。
 腹腔鏡はお臍から5mm程度の硬性鏡というカメラを挿入して腹腔内を観察する検査です。もちろん全身麻酔で入院が必要です。また腰が引けましたか?確かにちょっと怖い気もしますが不妊症検査としては非常に有用です。私がこの検査をお勧めする基準は子宮内膜症の疑われる方、クラミジア抗体陽性の方、以前に開腹手術を受けたご経験のある方など、何らかの腹腔内の癒着が疑われる場合と多嚢胞性卵巣の方です。また最近では機能性不妊の患者さんの約50%に卵管のpick up障害(卵子の取り込み障害)があると言われております。機能性不妊とは一般の検査で異常がなく排卵のタイミングにきっちり夫婦生活を営んでいるのに、なかなかいい結果が得られない場合をいうのですが、卵管が排卵した卵子をうまく取り込むことが出来なくなっている可能性が高いのです。これを確認するためには腹腔鏡で卵管の可動性や卵管采と卵巣周囲の状態を検索するしかありません。
 これらの検査はいずれもその後の3〜4周期に妊娠しやすいと報告されています。私自身はX線写真やビデオを自分の目で確認出来ることが、患者さんに納得して治療を受けて頂くための何よりの利点だと考えています。
   
 
 
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