第3回  
不妊症検査1 血液検査と検査時期
 
 クラミジアは現在男女ともに最も増加しているSTD(性感染症)です。特に女性の場合は70%以上の人が無症状で感染したことに気づかず、症状のある場合でもおりものの変化や少量の出血がある程度で典型的なものはありません。また産婦人科は受診しにくいという理由で放置してしまうことも多いようです。はじめは子宮頚管炎という子宮の入り口の炎症がおこりますが、そのうち子宮から卵管へ、そして腹腔内へと感染が広がっていきます。卵管の先端の卵管采という部位(排卵された卵子を取り込む部位)に強い炎症と変性をおこしてしまいます。また卵管、卵巣、子宮などの強い癒着を引き起こすことも不妊の原因と考えられています。一方、20歳未満での感染が極めて高率に報告されており不妊症予備軍も確実に増加していることになります。
 感染初期に見つけるためには子宮頚管部から病原体を直接採取するクラミジア抗原検査を行い、陽性の場合には抗生物質を約2週間服用します。しかし、感染から時間が経過すると病原体は腹腔内に広がってしまい子宮頚管部からは検出されません。そこで過去に感染があったかどうかを調べるのですがこれは抗体検査といってクラミジアの病原体そのものを調べるのではなく、クラミジアが体内に侵入したことにより体内で産生された血液中の特殊なタンパク質を調べます。つまり犯人(クラミジア)そのものを見つけるのが抗原検査、犯人の足跡を見つけるのが抗体検査というわけです。ですから抗原検査が陽性であれば病原体は体内に存在しますが、抗体検査だけが陽性の場合には病原体はすでに体内から消失していることも多く、感染後数年を経ても抗体は陽性の結果がでることがあります。抗体にはIgAとIgGの2種類があり、両方が陽性の場合には高率に骨盤腔内の癒着が認められますので腹腔鏡による検索が必要です。
 クラミジア感染は単に不妊症の原因となるだけではなく子宮頚部などの炎症を通じて他のウイルスが侵入しやすくなります。非感染者に比してAIDSの感染率は3〜5倍に高まると報告されています。コンドームの使用で感染を予防できますし、早期に適正な抗生物質を服用する事で治療が可能ですのでおりものの変化などがあれば婦人科を受診し検査をお受けになることをお勧めします。
   
 
 
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