第2回  
健康スポーツ医としての立場から
 

 医師会認定健康スポーツ医の講習を受けていて次のような話を聞きました。現在では内科患者の約3分の1はストレス病と言われているそうです。そしてストレスを受けやすい人にはある共通した特徴があるというのです。それは、

1. 錦(にしき)の御旗(みはた)をもっている…
 〜しなければならない、〜すべきである、と考えてしまう。
2. ざっくばらんになれない…自己防御が強くオープンになれない。
3. 楽しみごとがない…気分転換が上手にできない。

 この三つがそろえば実に90%の人はストレス病になるそうです。私はこれを聞いていて不妊症の患者さんのなかに当てはまる方が多いと感じました。すなわち、

1. 自分は妊娠しなければならないと考えている。
2. 不妊であることを周囲に打ちあけられず一人で悩んでいる。
3. 不妊治療と妊娠のことで頭が一杯になっている。

 こういった患者さんのお気持ちは痛いほどわかるのですが、一方でストレスはまた不妊の原因とも言われています。ところがスポーツを始めると例えば勝敗を左右する試合の流れといったものや勝負における運の存在など、努力や実力だけではどうしようもないこともある、ということを実感します。それにより、〜すべきであるという考え方から、〜だったらいいのになあ、という考え方に気持ちが変化するというのです。また運動をすると自ずと心が開いてきますし、運動そのものはまた楽しみごとでもあります。
 ブレスローという学者は彼が提唱した7つの健康維持習慣のなかで「定期的にかなり激しいスポーツをする」という項目を挙げ、スポーツの有用性について述べています。また、現在ではこれに加えて運動が軽症の気分障害の発現に予防的効果のあることも認められています。スポーツを始めると挨拶がよくなり顔の表情が出やすくなります。また、雑談も多くなり、冗談もよく言うようになります。先の項目で一つでも心当たりのある方は何か運動を始めてみられたらいかがでしょうか。たまにはいつものつらい治療のことは忘れて汗を流してみましょう。「赤ちゃんができたらいいのになあ」と少しばかり願いながら。

   
 
 
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