徒然ぶちまけ日記

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■2006年01月30日(Mon)  The Bank Robber them Vanished.
 一週間分で終わるはずだったのに、続いていますなあ。
 モーダルはいつになるのやら。

 犯人当ては、まあ期待しないでください。
 たとえば前回の犯人の動機は、「足を洗ってやり直すならともかく、罪をわざわざ精算してやり直すなんて今更無理」 と言うくだらない動機です。
 精算、つまり警察に自首できない状況を造るためにマフィアに重罪をなすりつけられたと言う状況を工作したわけですね。

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「それで」 と、頭取。「何か解りましたでしょうか」
「あ!」
 と、おばさんが声を上げた。
 ことのほか大声で、声は応接室中に響いた。
「デュー、あれを出しなさい」
「枕だったらホテルに」
「違います、先ほどのトイレの」
「ああ、」あれか。
 ポケットからハンカチを取り出して、手のひらに乗せた。
ゆっくり開く。
 そこには、焼き焦げた何かの残骸。全てが炭化しているので、元が何かを判別するのは難しい。
「これ、燃えカスがトイレの便器に少し残ってた。多分新しい。時間から考えて犯人のものとしか考えられないんだけど」
 慎重に、のぞき込む刑事と頭取。
「! まさか...そんな」
「馬鹿言うなよ。じゃあ、持って帰れないからって燃やしたって言うのか」
「かもしれないけど」
 二人して、金を燃やしたと思ったようだが、
「よく見て、二種類在るけど。片方は紙で、片方は厚みがある」
 息を飲む音を待って、デューは続けた。
「もう片方は、バッグじゃないかと思うんだ」
「え、」 頭取が頭をさらに近づけた。「いや、でもそれは」
「推測だけど...皮じゃなかったんじゃないかな。見せかけの燃えやすい材質だったって事はあり得ると思う」
 まあ、鞄を燃やす意図なんて知らないが。
「重要な手がかりだが...なんのために」
「なんのために、だよ。本当に」
 内窓から、カウンターと客席を見やる。
 応接室には内窓があるのだが、そこには解放された客達が一括りに集められていた。
 ちなみに、さっきのおばさんの大声には気づいた様子はない。
「...最悪、あそこにいるはずの犯人を特定するだけでも、真相には迫れると思うけど」 と、ふとあるかんがえが思いつく。
「犯人ってどんな銃使ってたんだ? 口径は?」
 これには刑事が答えた。
「特定は出来ていないが、普通の量販リボルバーだ」
「持って帰ったんだ」 へえ、と頷く。「何発撃ったとかは」
「不明だ。警備員に向けてかなり撃たれている」
 デューは、ソファから立ち上がってテーブルの前に立った。
 右手を挙げる。聖書に手を当てて宣誓するかのようなポーズだ。ガラではないと思いながら、その手をテーブルに叩きつけた。
ばあん――
 と、凄い音。ひゃあ、と可愛い悲鳴がしたが三人ともその声にツッコミを入れるのは堪えた。
「...それが?」 と、刑事。
「いい音が鳴ったけど」 内窓を見る。「外にはあんまり聞こえなかったみたいだ」
 待合い席の一般客は誰一人反応していない。警官は少し反応してか、こちらの様子を伺っている。
 まあ、音ぐらいは聞こえただろうが、異常な音には聞こえなかったのだろう。
「強盗が来て、銃声がして、通報されて...一部が逃げて、残りが金を集めた頃に警察が来て、残りが逃げて、金も消えた。このスケジュールだと、金の消えるタイミングが無い。ありそうなんだけど、思ったよりがちがちで無い。
――野次馬の目撃なんてあやふやなモノまで持ち出してまで、金のアリバイは固められている」
「だが、何のためにそんなややっこしいことを」
「まあ、逃げるためなんだろうけど、」 確かにややっこしい。
 が、そのややこしい部分に、トリックなり複雑な事情なりがあるような気もする。
「...例えば。銃声だ」
 説明を余所に、おばさんがタバコの箱を取り出す。バニラのヤツだ。
 吸うつもりはないのか、ラベルを読んでいる。
「銃声は、物によっては大して響かない。銀行の中で銃声がしたとしても、実際は早々気づかれるものじゃない...かもしれない」
 にしても、なんだかんだでよく聞いてくれるな。この人達。
 普通、自分みたいなガキの話をまともに聞くなんてあり得ないんだけど。
「例えば。中の人間が聞いた銃声と、外の野次馬が聞いた銃声が別の時間に鳴った銃声だったとしたら...」
 そもそも、銀行の外は、真昼のビル街だ。
上手くやれば銃声なんて気にもとまらないだろう。
「――だから、外に音を漏らさないように銃を撃ち、しばらくしてから外にも聞こえるように銃を撃った...いや、それより強盗自身が通報する方が確実かな。
 まぁ、ともかくだよ。実際の通報は強盗が押し入ったすぐではなく、そのしばらく後だった。それなら、」
「――それなら強盗が押し入り、野次馬が集まるまでの時間が大幅に伸びる。そのタイミングで逃げたとしたら...誰も強盗には気づかない」
 閃いた風に、刑事が後を続けた。
 ペンを取り出して、手近のメモ紙に手帳の情報を書き写し検証をはじめていく。
「けど、私は警察の方が来たときに、バッグに入ったお金を見ていますよ」
 頭取氏が、立ち上がって反論した。
 おばさんも立ち上がった。が、それはどうでもいい。
 デューはさらに自説を推した。
「だけど鞄の中は見ていない。中が新聞紙の束だったとしても気づかない。
バッグはカムフラージュ。警察が来た瞬間に金があったことを錯覚させるための小道具なんだよ。実際のその時には、金は仲間の手で持ち逃げされていた。
 あとは...そう鞄と中の詰め物をトイレで焼けば、最後まで残った犯人も証拠や遺留品を残さずに人質に紛れ込める」
「じゃあ! それが真相なのですか!!」
 頭取氏が、唾を飛ばして、デューの肩を掴んだ。
 おばさんは、内窓を眺めて目を懲らしている。
 それを見てデューは、頭を振った。
「いや、たとえばだって。前提にいろいろ無理があるし、」
 なにより、おばさんがまったく興味を示さない。
 おばさんは、未だ説明も不十分に拘置されて不満げな、客の様子を覗いていた。
「おばさん...何か見えた?」
ガラスに映ったおばさんの顔がにやり、と笑う。
「犯人」
(消えた銀行強盗)

■2006年01月29日(Sun)  鼻歌。
 HIROおもしれ〜〜。
 飛びまくりですよ。飛びまくり。
 観念の中の戦いとかもう格好良すぎ。
 十歩の距離ならばいかなる相手をも一撃に葬り去れる暗殺剣、その名も「十歩必殺剣」 とかも最高ですよ。そのネーミング! 安直さが逆にリーチ掛かっていて良いですよ。
 妄想、あるいは仮説を二転三転させて映像で見せていくなんて構成はもうに時間ドラマではあり得ませんね。なんて思ったいないと思ってしまうのは何故だろう(笑)

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「犯人は、この中にいました!」
「だからそれ当たり前なんじゃないかなぁ」
 テンガロンハットをくるくる回すデュー。
 一通り見回って、今はまた応接室である。
 見た感じの所感を報告したら、帰る算段であった。
 おそらく犯人は、一般客に紛れて逃げた。警察が来る前に逃げた者と、警察が来てから人質解放に紛れた者。そして金庫の金も、何らかの方法を用いて輸送した。
 が、その輸送の仕方、ひいては金の所在が解らない。
 だから、一般客に紛れた犯人も証拠がないので逮捕できない。
 そういうことである。
 警察も馬鹿ではない、銀行及びその周りをくまなく探したのだ。
 応接間で走り回っていたのはその為で、あの調子なら天井裏からトイレのタンクまで調べたはずだった。それでも見つからないのだという。
 金は間違いなく持ち出されている、そういう結論が成り立ってしまう。
 おかしな事件だ。分刻みで金を持ち逃げするタイミングがない。
 一見、偶然の組み合わせがこの不可能犯罪を構成している様に見えるが、まるでそれこそが犯人が描いた構図のようにも思えてしまう。
 そういう構図だった。
 こんな手の込んだな事するぐらいなら、迅速に事を進めて警察が来る前にとっとと逃げ出す、なんて方がよっぽど安全な気がするが、まあ思いついた完全犯罪はやってみたくなるのが人情という見方もあるだろう。とくに問題にされていない。
 まともな神経じゃ起らないからこそ、この手の事件はやっかいなのだ。
 そういう論調だった。
「あとはアリバイですね。真相まであと少しってところかしら」
 もっともらしくサリーおばさんが頷いた。芝居スタートである。
「...まあ、ようするに、焦点はお金の脱出するタイミングなんだよね」 
 犯人はどうでもいいという口ぶりで、デュー。
 まあ、特に依頼を受けたわけでもない。知恵を貸すだけ。
解決しようがしまいが関係ない。
「...ええと、金を最後に確認したのは誰?」
 とは言え、細々とした事情聴取はデューの仕事であった。
「、おそらく私です」 不思議そうな顔で頭取氏。
「それは金庫に案内したとき?」
「いえ、応接間に詰め込まれる前に黒いバッグをカウンターに三つ置いたのを見たのでそれが最後かと」
「そこらへんを、もう少し詳しく」
「はい、」
 頭取さんは、深く頷いて斜め上を見上げた。
「銃を突付けられた私は金庫室へ案内しました。臆病とそしられるかも知れませんが、社の方針として強盗には逆らわないよう言いつかっておりますので...
 金庫の鍵は、私と他数名のみが開けることが出来ます。型は古いので、その筋の専門知識さえあれば開くことは可能です。鍵だけでも新しくするべきだと、よく議題に出ていたのですが...話が逸れましたね。
金庫の鍵を開けると、強盗達が二人入っていきました。私の横には一人だけ残り、その一人がカウンターへと私を誘導しました。
 そこでしばらく待っていると、黒いバック三つに金を詰めた強盗が一人、奥から現れました。私は、声すら上げる勇気もなく、ただそれを見るだけでした...」
「いや、そーゆうのはいいから」
 どのみち、声を上げたら撃たれて終わりだ。
「で、銃声を聞きつけて通報された警察が来たのは、それからすぐ?」
「...同時ですね。そこからは、わかりません。男が二人になった時点で私も目隠しをされて応接室にたたき込まれ、変わりにお客様が引っ張り出されていました」
「じゃあ、それ以外でちゃんと確認したのは?」
「金庫に案内したときでしょうか」
「それはちらっと中を見ただけだろ? それは数に入れないで。ちゃんと額を確認したのは?」
 続けて聞いていると、刑事がしびれを切らした。
「おい、それが事件と何の関係が」
「大丈夫、お金のアリバイだから!」
 何が大丈夫なのかはデューも知らないが、力(だけ) 強く頷きかける。それで刑事は黙り込み、頭取の口が開いた。
「今日の朝に一定の額を仕事場の小金庫に移動させますからその時――いえ、ちゃんとと言うことになると昨日の暮れですね。毎日、私が最後確認をしてから帰ります」
 それが何の役に立つのだという顔。
 デューも真面目にそう思うが、なにしろ、おばさん――名探偵の勘がその質問を促しているのだから。あとあと役に立つのだろう。
 おばさんの勘だけは馬鹿にしてはいけない。デューは散々それを自分に言い聞かせている。彼女の探偵としての勘は悉く外れない。少なくとも、デューはそれが外れたのを見たことがない。
 六年前にあの馬鹿父親が失踪したときも、それを探し出したのは彼女の勘だった。デューではなく、だ。
 彼女の疑問はいつもピンポイントで真相に迫っている。
 だから、それを追えば必ず真相に近づける。
 惜しむらくは、おばさんがそれに近づいているという自覚が全くないことで、誰かがそれを自覚して導かなければならないということだ。
 デューの役目はまさしくそれだった。探偵が見抜いた「事件解決に必要十分なピース」 を組み立てる役割。
「ええと、他に思ったこと無い? おばさん」
「犯人はおかもちではないでしょうか。おそばを渡すフリをして桶にお金を積み込んで、堂々と正面から逃げおおせた...と言うのはどうでしょうね」
「どうでしょうね...って言われても困るんだけど」
 が、その役割は自分で推理するよりも難しいのでは無かろうかと、最近思うデュー。

(消えた銀行強盗)

■2006年01月28日(Sat)  濡れたアスファルトを走った。
あ〜テルミンひいてみたい。
大八車で容赦なく(違)

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 トイレの窓は嵌め殺しで出来ていた。
 つまり、ここから逃げた、あるいは金だけ逃がしたというわけではない。
 まあ、そもそもトイレはおろか、裏口からも犯人が出た形跡はないらしいが。
 金を詰め込んだ時点で勇気ある野次馬が大量にいたのだ。
 ネズミはともかく、人の見つからずに這い出るスペースは、無かった。
 トイレは洗い流し式で下水道に流れるようになっている。掃除も行き届いているので、すこぶる快適な部類。デュー的には☆三つ評価を上げてもいい。
 おばさんは洗面台でタバコの火を落として、手を洗っていた。
 まあ、トイレでタバコを吸うのもアレなのだろう。
 手を拭くために、火のついていないパイプを銜える。
 と、
「ん、デュー、ちょとデュー」
「聞いてるよ。何?」
「なんだか、焦げ臭くないですか?」
「え、」 匂いを嗅ぐ。「本当だ焦げ臭い」
 無意識に鼻呼吸をやめていたので気づかなかった。
「ふぅむ」 すんすんと、鼻を鳴らして踏み込んでくるおばさん。
「ちょ、おばさんココ男子トイレ...」
 お構いなしである。この人は、一度探求活動に入ると、周囲がまったく見えなくなるのだ。
 焦臭い匂いを突き止めることに没頭したおばさんを追いかける。
 案の定、陶製の便器に顔を近づけて手を伸ばそうとしていたので、
「あ〜自分がやるから」
 一心不乱になって、止めた。と言うか、押しのけて便器に向き合う。
ネクタイが間違っても落ちないよう、肩に掛けた。 
「健気ですねえ」
 目を細めて、微笑む。
「嬉しくないよ」
 気をよくしたおばさんは、鼻を鳴らしてパイプを銜えた。
「そのネクタイ似合っていますよ」

(消えた銀行強盗)

■2006年01月27日(Fri)  金曜日。
 金曜日って一番何もない気がしますね。
 図書カードを多分買いました。高島屋です。
 デパートなら売ってるだろうと踏んだんですが、
でも、図書カードって本屋で売ってるんですよね。
 何故か気づかなかった金曜の夜。

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 リノリウムの床を新品のウェスタンブーツで歩く。トウとタンが少し緩いがまあ既製品なので大目に見ようと考える。
「タバコはありましたか?」
「あったよ、ちゃんとバニラの入ってるヤツ」
 口笛を吹いて、デューが差し出した箱を受け取るおばさん。
 なんでも、こちらのタバコは故郷に比べて香料がふんだんに入っているらしく、おばさんはそれが存外お気に入りなのだ。
 訊けば、新大陸のタバコは甘くて美味しいらしい。
 煙が甘かったり美味しいとか言う感覚がデューには皆目見当が付かないが、
「今度はちゃんと自分で買ってくれよな」
州法で未成年の喫煙が禁止されているらしく、要らぬ疑いを掛けられたのを思い出す。
「うぃ」
 と、頷いたおばさんの足が止まる。
 金庫室前だった。
 開きっぱなしの鉄格子と、開きっぱなしの金庫。
 チョークで床に進入禁止(KEEP OUT)と書かれている。一通り検証はすんでいるみたいだった。
 おばさんは文字に構わず、鼻歌混じりで金庫の中へと入っていく。
 金庫は左右二枚の扉が正面に向いて開くようになっていた。
 デューも続いて入る。
 中は二人が二人ギリギリ入るかという空間だった。入り口以外の三方が棚になっていて、そこに金が無造作に――という言い方はおかしいが、置かれている...今は違うが。
 床は同じくリノリウムだった。
「床に穴とか、はありませんねぇ」
「あったら強盗なんてしないって」
「けどほら、カムフラージュとかあるでしょう?」
「何をカムフるって言うのさ」
 中ではドル紙幣が、これでもかと言うぐらいにバラバラになっていた。
 にしても、乱れすぎだ。
 よほど詰めるのに焦ったのだろうか。
「おや、一万ドル紙幣とかもあるんですねえ」
 おばさんはパイプを銜えたまま器用に喋りながら、一方をみつめている。
 そこには、さらに小型の金庫が据え置かれている。
高額紙幣と張り紙。
「それは主に銀行用の紙幣で、市場には出回らない金だよ...って、さっき頭取の人が言ってたじゃないか」
「ふうん。これは盗まれなかったのですね」
「まあ、盗んでも換金――ってのも変だけど、市場じゃ使えないからね」
「ふうん」
 また呟いた。
「でも嵩張るワケじゃないし、持って行ってもいいと思うんですけどねえ」
「母さんみたいなこと言わないでよ」
 金に無頓着なのがおばさんの数少ない美点だと思っているデューは、眉をしかめた。
「欲張るとろくなことにならないって」
「あ〜言ってやろ」
 ふふふ、と笑うおばさん。横顔もちゃんと笑っていた。
「わたし、物覚えは良いのですよ」
「物覚えだけはね」
 嘆息する。
 あと、推理に関する勘もだけど、それを言うとつけあがりそうなので絶対に言わないことにしていた。
 もっとも、彼自身は気づいていないだろうが...デューがそれを言わないのは、彼女――サリサタに対するちょっとした対抗心からでもある。
 さておき、デューはリノリウムを蹴って、おばさんに尋ねた。
「もういい?」
「ん、次はトイレですぅ」
「口調」

(消えた銀行強盗)

■2006年01月26日(Thu)  いまさらな話。
 ガンガンでひぐらしの一遍の連載が始まるそうです。
 正直、ひぐらし自体にあまり興味がない(※)ので、その断片がガンガン本誌で連載されるというのは吉なのか凶なのか。トライゼノンの一遍だけがドラマガで連載するみたいな。
 単体だけ読んで面白いのなら、良いんですけど。どうなんだろ。
 ...まあ、特集の組み方にも寄るか。

※サウンドノベル全般にあまり興味がない。
 最後にやったサウンドノベルは、「街」あるいは「すべてがFになる」
 あと、推理というか謎モノらしいので、完結待ってから読んでも別にいいよなあと思っている。(京極堂で一度懲りた)
 事実、戯れ言シリーズ最終巻(上・中・下) は全巻出てから一気に読んだ。
 推理ものの連載の場合、往々にして待つ楽しみより待たされる苦しみの方が辛い。

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 さて、謎も提示されたし本題である。
 とは言え、デューはあらかたの想像が付いていた。
「でもさ、消えた強盗って言うのは」
「わかっている」 むっつりと刑事が腕組みをする。
「一般客については、聴取中だ。事実は伏せているがな」
 さすがに、理解はしているらしい。
「ってことは、やっぱり外に解放されたときは、客だけ?」
「ああ、そうだ。目隠しをされたまま、ひと塊になって出てきた。確認を取ったが誰も強盗を確認していない」
 もはや確定、だろう。
 話に置いてけぼりの頭取が、不安げに首を回す。
「あの、どういうことでしょうか」
 何故かおばさんに尋ねる。
 おばさんはと言うと話を聞くわけでもなくパイプを吹かしていた。
 訊かれたおばさんは、ちらりとデューを見る。
「解放された人質に強盗が紛れているってこと」
「え、ええ!?」
 頭取は、素っ頓狂な声を上げてから、立ち上がって、することもないので座った。
 思わず笑いそうになったが、デューは根性で堪えた。
「で、でもそんな五人も紛れるなんて...」
 慌てている割には、良いところを突く。
「例えば、警察の到着するまでに何人か逃げいていたとしたら? その時の格好が、強盗然とした格好じゃなくて一般客風だったなら?
 全員を縛って目隠しをした後なら、一人や二人でも人質を解放するぐらい出来るだろうし」
「あっ」
 デューは、刑事の顔を伺った。
「ああ、そちらも、目撃者がいる。何人かの一般客らしき人間が、事件後すぐに逃げ出していったらしい。...まだ見つかっていない」
 確定、だった。
 おばさんの方を見上げると、うんうんと頷いている。
 本気で理解しているのかは相変わらず謎だが。
「しかし、どちらにしろ問題が残る」
「...というと?」
「金も消えたのだ」
 強奪された金は、黒のバッグに詰められ、仮に100ドル紙幣だけだとしても鞄三個は満杯になるほどあったらしい。
 さすがに、それを一般客に扮して持って逃げたとすれば目立つだろうが、今のところそれらしき姿を目撃した人間はいない。
 ふと、気になったのでデューは訊ねてみる。
「...えっと、こう言うときに何だけど、もしかして俺達のお金も」
「いえ、それは」
 また、頭取氏はおばさんを見た。
 見られたおばさんは、自分に視線が集まるのに気づいて、パイプを吹かしたまま下を指さした。古びた鞄がある。今はそれがパンパンに膨らんでいて、ところどころから100ドル紙幣が飛び出していた。
「...これ、ココに置いてたの?」
 よく取られなかったなあ、とデューは感心した。

(消えた銀行強盗)

■2006年01月25日(Wed)  朝になったら迎えに行くよ
 ヘルカイザーまだかなあ。

 ガンオケはまだ三周目です。
 戦闘は面白い反面あれですね。戦闘と授業でしか発言力稼げないというのもどうだろう。電子妖精はなんだかルールブレイクっぽくて嫌なんですね。
 まあ、そのために雑談が豊富なのかな。
 てか、自分がオケラなのに他の生徒に5、6万も発言力溜まってるのは何ともなあ。

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 サリサタ・ノンテュライトは応接室で、今のようにコーヒーを飲んでいた。
「それで、お引き出し金のことなのですが、なにぶん大金ですので今日の営業が確定してからと言うことで」
「はい」
 ちなみに、時間は営業終了直前である。
 よく解らないが、謙られて、敬われている。
 少しむずがゆい。
 普通、お金を全額引き出すというのだから、もう少し嫌な顔をしても良いと思うのだけれども。
 この若さで、大量に預金があるから、「やり手」 とでも思われているのだろうか。
 まあ、そんなことを考えていたときに銀行強盗が現れた。
 もっとも強盗と言うより、ギャングである。いきなりハットに覆面で顔を隠した男がピストルとロープを持って応接室に押し入ったかと思うと、手早くサリサタを縛り付けて目隠しをし、頭取を連れ去った。
 彼ら(多分5名) は、警備員を武装で無力化した後に、人全てに銃を突きつけて全力で脅した。
 そしてサリサタ同様に銀行員と客を手早く細縄で縛り上げ、目隠しを施し、応接室に閉じこめ、その後頭取に金庫を開けさせて金を奪った。
 頭取が縛られ応接室に押し込まれたその後、銃声を聞きつけた市民の通報で警察が到着し、強盗側は交渉の後に人質を解放し...約30分の間に、金と一緒に消え去ったのである。
「のである――って、やけにダイジェストなんだけど」
「だって、私応接室にいていきなり縛られたから詳しいことなんてわかんないんだもん」
 もん、って。
「まぁ、いいけど。じゃあ、なんでおばさんは解放されなかったのさ?」
「...てたから」
 饒舌に解説していたサリサタの口調が、とたんに弱々しくなる。
「はい?」
「え、と。その...き」
 白い肌に朱が差す。
「気絶? なんでまた」
「あの、」 助けは別方向からやってきた。
「サリサタ様は強盗達から私を守ろうと、その奮闘なされて」
「あえなくやられて気絶したと...お・ば・さ・ん」
 デューがサリサタを睨む。
「は、はぁいv」
 その厳しい表情に、思わず居竦むサリサタ。
 その顔は、彼の母親の顔よく似ていた。
「あれほど、ひとりの時は危険なことをするな、って言ったよね?」
「ふ、ふたりの時は良いのですかぁ?」
「口調。ふたりの時は、俺が止めるってだけ」
 あまり言うと、本気で幼児退行しそうなのでデューは説教を引き上げる。
「ともかく、今度はちゃんと黙って縛られといてくれよな。
じゃないと、ちゃんと守れないよ」
「そ、そうね」
 人差し指をあわせて、サリサタは所在なげに頷いた。
「お、お父さんとお母さんに頼まれてるものね」
「っ、そうじゃないだろ! 俺が、」
 語気が強くなりかけたのを、デューはギリギリで自制した。
「と、ともかく返事」 
「は、はあい...」
 いきなりのやり合いにビックリした残り二人は、口を半開きにしたまま硬直していた。が、それでも少しした後に、
「あ、あの。今度ってまたあるのですか?」
「あんたら、どういう生き方してるんだ」
 冷や汗をたらして、そうツッコミを入れた。

(消えた銀行強盗)


■2006年01月24日(Tue)  透明な翼広げて、
ライブドアショックはええといつ起きたんだ...?
この日は、そろそろショックが落ち着いて各方面の株価がもとに戻ってきた頃合いの日です。
ってことは、ショックから数日して落ち込んだときに関連株を買って、今日まで持っておけば上がるってことですね。
まあ、言うのは簡単ですが(笑)
買う勇気、売らない勇気、上がっても待つ勇気、売る勇気。
まあ、色々いるのではないでしょうか。
ただ、カンで待つのはそりゃ無謀という奴です。
経験則やら情報分析やらで必ずこうなる、と踏んで機を待つのが勇気なワケです。
自分を信じる、あるいは自分の答えや正しさを見失わずに疑わないことが勇気だと言うことでしょうか。
まあ、よくわかりません。
勇気って奴にも、色々種類があります。
機動刑事ジバンなんて「愛するものを自分を捨てても守るんだ」 と歌っていますし、そう言う勇気もあるのでしょう。

何の話だ...ええと、ライブドアショックです。
小泉さんは「それとこれとは別でしょう」 とか言わずに、「信じてたのに裏切られた」 と言えばいいのに。よくわからない弁明していますね。なんでだろ。

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 突き出されたコーヒーの湯気で、おばさんの眼鏡が曇った。
 あわてて、眼鏡拭きをポケットから取り出すおばさんを横に、デューは切り出す。
「犯人が消えた件ですね」
 色々聞かれる前に、助手ですと嘘をついてから質問する。
「犯人と、金が消えた件だ」
 むすっとしている薄髪のダンディは、刑事だ。名前はこの際どうでもいい。
 明らかに、不満気――探偵がこの場にいることが不服なのだろうが、まあ、それもどうでもいい。デューだって不服なのだから。
 険悪な雰囲気を察してか、ここからの話は頭取さんが続けた。
 消えたのは犯人と、大量の金。金庫の額の4分の1くらいだという
 人質が解放され、銀行員だけになって約30分の間に消えていた、らしい。
らしいというのは、銀行員達が目隠しをされていたからである。
「目隠し? ですか。それで、犯人がええと、」
「すみません、わたしもまだ混乱していまして...順を追って」
「私が説明しましょう」
 視線が叔母さんに集中する。
 おばさんは眼鏡を拭いていた。見られて「ん?」 と、顔を上げる。
紺碧の瞳がきょとんと揺らいだ。
 とたん、ほう、とデューを除く二人からため息が漏れる。
 都会に入り、シャワーを浴びて髪も整えることも出来、ついでに幾らか化粧もしているおばさん。金髪にブルーの瞳に、最近ではそばかすも日焼けも無い、ちょっと黄色の肌。
 白人の特徴と、オリエント特有の多民族の血の通った整った顔立ちを持つおばさんは...まあ眼鏡の曇り具合によっては、エキゾチックな美人に映るらしい。
「ええと...続きを」
 見惚れている二人に、何故黙っているのだろうとか考えながら、おずおずと訊ねるおばさん。
「早く言いなよ、みんな待ってるんだから」
 促すデュー。
「え、どうして怒ってるの?」
「別に。」
 怒ってはない。少し腹が立つだけだ。
 おばさんは、年季の入った眼鏡をかけ直して――それで幾分か美人度は下がった――話を始めた。

(消えた銀行強盗) 

■2006年01月23日(Mon)  灰原の時も変わってたんかな。
コナンの光彦(小1)の声が変わっていた。
声変わりか...

それはともかく、大谷育江さんが体調不良のためしばらくお休みするらしい。
大谷さんと言えば、自分の中ではちびシグナルの人なのだが、ピカチュウをはじめ、ワンピのチョッパー、ガッシュベルのガッシュ等、大人気アニメのマスコットキャラを悉く受け持っている偉大なお方である。
そりゃ、体調も不良になるわ...一日も早い回復を願っております。
回復までの代役は以下の通り、

金色のガッシュベル!!(ガッシュ・ベル役):吉田小南美
ONE PIECE(チョッパー役):伊倉一恵
名探偵コナン(光彦役):折笠愛

ガッシュはグルグルのククリか。想像が付かん...
コナンはアークのエルクで、ワンピは、
――おお、虎王じゃないですか。ワタル(ルフィ:田中真弓)&虎王のコンビですね。ちょっと楽しみ。
...でも、どうせならコナンの代役でヒミコ(灰原:林原めぐみ)&虎王のコンビを聞きたかったなあ。

って、どうでもいいけど例えが全部古っ!

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 おばさん――サリサタ・ノンテュライト(年齢不詳) は久々に都市に入って二日、銀行に通い尽くしだった。
 路銀が尽きかけたので、旅の初めに開設した口座から幾らか引き落とそうと考えたからである。
 新大陸に来てまで、サリサタとデューが口座を開いたのには理由がある。
 ひとつは、旅費の分散。長旅で纏まった金を持つのは得策ではない。
 銀行に預けておけば、新大陸に点在する都市の支店で都度引き落とせる。
 もうひとつは――そのもう一つが問題だったのだ。
「全額をね、引き落とそうとしたのですよ」
 ようやく縄を解いて貰って(縄抜けは無理だった) 手首をマッサージするサリサタ。
「さほど預金していませんでしたし」
「まあね」
 同意するデュー。
「それで、昨日ですよ。本店に無線を打って頂いて、残高を照会したとこですねぇ。なんと預金額がですね...」
「なっ」
 言われた額に目を見開く。
「利息というヤツですかねぇ」
「いや、最初の預金額の1000倍近くあるし...本当に心当たり無いの?」
 サリサタは、しばらく無言で通した。
 懐から、パイプを取り出して銜える。
「はい、実はあります」
 慎重に火を付ける。これが最後の草だった。
 サリサタは、過去何度か新大陸で探偵の仕事を請け負い、その成功報酬の振込先としてこの口座を教えたことがあった。
「無報酬のつもりだったんですけどねぇ。それでは引っ込みがつかないと何故かみなさん仰いますので」
「で、半分投棄的に開いた口座を適当に教えていたらこうなったと」
 デューは頭を抱え、ため息をついた。
「それで?」
「...残高を確認された銀行員さんが血相を変えて奥に消えたかと思うと、やっぱり血相を変えたトードリさんがやってきまして」
「そりゃ血相も変えるよ」
「本当に全額下ろされるつもりですか、なんて聞かれちゃったモノですから思わずハイと頷いてしまいまして。そうしましたら、お金を工面しますので翌日までお待ちくださいと言うことになったのですよ」
「いやそこはもうちょっと思おうよ...んな家建つほどの大金、持って歩けないって」
 呆れるのに飽きたのか、デューは周りを見回した。
 警官が応接間を、いや、銀行中を縦横無尽に走り回っている。
「見つからないみたいだね」
 嫌な予感を感じた様子で、デュー。
「もうすぐでしょう」
「見つかるのが?」
 気のない相づち。
「まさか」
「――だよね」 
 応接間をのぞき込むように、スーツの壮年が入ってきた。
「あの、よろしいでしょうか」
「どうぞ」
 歓迎するように手を開く、サリサタ。
「すみません、こんなゴタゴタに巻き込んでしまって...」
「いえいえ、こちらこそそんなゴタゴタな時に無理難題言ってしまったみたいで」
 帽子を胸に掲げ、微笑んで、会釈。我ながら、上手くできた。
「ええと、おばさんの知ってる人?」
「こら! さっき言ったでしょう、頭取(トードリ)さん」
 デューの頭をはたく。おばさんと言ったことではなく、目上に対して失礼だったからである。
 どうもと挨拶をするデュー。
「いえいえ、お気になさらず。それよりも、」
 トードリ氏は、サリサタを向いて居住まいを正した。
「失礼ですが、あなたがその、名探偵であると言うことを聞きまして、少しお知恵をお貸し頂けましたらと...」
 聞き終える前に、デューとサリサタは顔を見合わせた。
 「ほらね、」 と、サリサタは片目を細め、表情だけで言った。
 デューが諦めたように、肩をすくめて息をついた。

(消えた銀行強盗)

■2006年01月22日(Sun)  日曜日。
 響鬼が最終回。
 まだ見れていません...

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「で、何か弁明はある? お・ば・さ・ん」
「むーむー!」
 多分、おばさんじゃないとかそう言うことを行っているのだろうが、猿ぐつわをかまされているのでむーむーだった。
 おばさん――ディアストーカーにアクアだかバーバリーだかのトレンチと、まんまロンドンパルプから抜け出した探偵然とした格好の女性は、いつもの如く縛られていた。
「ったく、事件のたびに縛られて」
 デューは呆れた様子で、応接室で縛られ寝転がっているおばさんを見下ろす。
「そろそろ縄抜けとか習得した方が良くない?
何なら教えないでもないよ。ネルソン爺ちゃんと路地裏のおっさんと船乗りのおっちゃんに教わった三通りの抜け方があるんだけど、どっちがいい?」
「むーむー!」
 その応接間にも警官があわただしく駆け回っているのだが、二人のことを気にする様子は微塵もない。それどころではないのだ。
「あ〜、じゃあ今練習してみようか。こう言うときに練習しておかないとね」
「むーー!」
「と言っても、爺ちゃんのは縛られる前に準備がいるから無理だね。路地裏のおっさんのは腕の関節が外せないと駄目だし、じゃあ、船乗り風ので。これは靴底に小刀を仕込んでおくんだけど...」
「むーむーむー!!」
 縛られたままで、デューの講義は続いた。

(消えた銀行強盗)

■2006年01月21日(Sat)  人は誰でも一つの太陽
 ガンオケをやっているので、日記の更新が滞っております。
 ゲーム中一番割を食らうのは日記です。むしろそうありたいものですが。
 現在三週目。
 鈴木イベントが回収できないと、二週目で踏んだため介入終了(強制クリア)をして三週目に入りました。三週目からはクラスメイトの配置を全て選択できる模様。
 このゲームは強くてニューゲームが設定的(世界観的)に認められているゲームであり、最終的に...何を目指すのかはまあ知りませんが、何回もやり込むことを前提に造られています。
 でも、やり込む割に三月には新作が出るんですよね。
 

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(エントランス・ザ・パラレル)

 久々に都市らしい都市に入って、二日目。
 デュー・コーンウェルは、この日フロンティアパブで新婚生活中の両親に手紙を出した後、靴とネクタイとその他生活必需品を買い、銀行に向かっていた。待ち合わせ場所に、金を下ろしに言ったはずの彼の連れがいつまで経っても来なかったからだ。
 そのまま宿に帰っても良かったが、金を使い切ってしまったので、さすがにそのまま帰るには心許ない。
 本来なら、銀行で金を下ろしてから買い物をするのが正しい順序なのだろうが、まあ、そうはいかない都合もあったのだ。
 銀行の方には、先におばさんが出向いており、昨日今日と諸処の手続きに追われている。
「はず...だったんだけどなあ」
 ひも付きのテンガロンハットを押し上げて背中に落とし、髪を撫ぜる。ザンバラに切られた母譲りの赤髪が、日光を浴びて燃えさかっていた。
 銀行前には人だかりが出来ていた。
 人だかりの多くは主に警官。
 銀行強盗である。
「つくづく、事件召喚体質だよなぁ、おばさんって」
 髪を整えて、ハットを被る。
――まあ、それもまた、名探偵の素質なのかも知れないが。

 警官隊及び刑事が、身長に銀行内の様子を探る中、警察要の馬の横で少年がモソモソと動いている。
 警官の一人が、訝しんで近寄ると、少年は今買ってきたばかりのネクタイとブーツの梱包を破き、着替えていた。
「君、今ここは危ないから――」
「あの中に、」
 見た目12、3歳の少年は、ネクタイを手慣れた手つきで締めると、
「おばさんがいるんですよね」
結ぶ。
 少年の割に、妙に落ち着いた――率直に言えば擦れたガキそのままの口調だったが、警官はそれよりも言葉の内容に気を取られた。
「そうか、ならもしかしたら――」
 警官は90度左を向いた。そこにだけ、警官とは違った一般人の集団がいる。
「あの中に、いないかな」
「いや、いなかった。
――ああ、あれが解放された人質だと言うことはわかっているけど。
何というか、物凄く分かり易い格好しているから」
 少年は、ブーツを小型ハンマーで叩いて、靴ズレを調整していた。
 ウェスタンブーツ。かなり本格的な、長旅でもするかのような靴だ。
 脱いだ方の靴も、似たような物で、こちらはまるで長旅でもしたかのようにボロボロだった。
「中、もしかして銀行員しかいないとか?」
「あ、ああ。そうだ、」
 雰囲気に飲まれて、頷く警官。
「あとは、まあおばさんか。それはどうでもいいけど」
 屈伸しながら、再度訊ねる。
「さっきから、何にも起きてない」
「あ、ああ」
「もう一度聞くけど、もしかして銀行員しか(・・・・・)いない?」
「えっ」 と、警官は銀行の方を向いた。さっきから音信もない銀行。
「まさか...」
 と、振り向くが、少年は既にそこにはいなかった。
 忽然と消え、次に見たときには銀行の扉前。
 ざわめきが起るよりも速く、少年は木製のドアを蹴破...ろうとしたが、やっぱりノブを手に取ってドアを開けて入った。
「馬鹿者、何故行かせた!」
 上司が警官に罵ったのは、そのしばらく後だった。
 それ程あっけにとられていたのだ。
 が、しかしその後の判断は早かった。
「と、突入だ!」
 しかし、少年はもっと疾早(はや)かった。
「いそがなくていいよ」
 手を振りながら、出てきたのだ。
「もう、犯人居ないみたいから」

(消えた銀行強盗)




■2006年01月20日(金)  夢に見た楽園まで
セカンドオーケストラ 戦闘記録

初戦 拘束戦 大勝

失敗。
森で敵偵察兵のスケルトンを見つける。
向こうもこっちを捕捉。
乱戦。

二戦目

突破戦 大勝

失敗。
ミケで先行し偵察の本分を果たそうとする。
が、スケルトンの横を通り過ぎたところで。
対空砲に乗ったコウのアホが先走りすぎで見つかってしまう。
その後乱戦。ミノスケに殴られまくる。
ミケ大破。
ぐだぐだのまま森を抜けて突破をはかる。
対空砲のコウは知らん。
運良く対空砲も大破し、コウも森を抜けて突破した。
...ちっ

おとりを買って出た石田は長期入院。

三戦目

指令撃破命令 勝利

失敗。95式高機動車で敵前戦に食らいつき、囮役を買う。
途中までそこそこ順調だったが、補給車が潰れた。
撤退し友軍に任せようとスルも友軍も潰れる。
ここにきて高機動車に乗っている咲良が武装していることを思い出し、高機動車の速力に任せて幻獣部隊をスルーして一気に後方へ。
案の定、指令のミノだけぽつねんとそこにいたので高機動車ごとツッコミ機動車壊してライフルを撃ちまくる。
ギリギリ勝利、に思われたが、その前に工藤が昏睡し長期入院。


四戦目

友軍を逃がす 大勝

偵察無し
高機動車(掃射)で先行し、敵を引きつける。
キメラとゴブリンリーダーを倒しまくってるうちに終了。


五戦目

機動防御 大勝

失敗
掃射でザコを蹴散らしミノを遠巻きに倒させる作戦が功を奏すが、弾切れ。
友軍に任せて逃げ回る。
敵は撤退したが列を作って逃げる敵の群れを指を咥えみてるだけってのはつらい。

六戦目

防衛戦 大勝

失敗
また弾切れ...

七戦目

防衛戦 敗北

押してたが
拠点潰されまくり。

八戦目

機動防御 大勝

掻き回して大筒がしとめると言うパターンはできてきたものの、
あいかわらず相手の視界外から一方的に攻撃という芸当は出来ていない。

九戦目

大防衛戦 大勝

どうせ勲章もらえるしいいやってことで友軍200%
あっさり大勝。
しかし、まるで嫌がらせのように無傷だったキャリア二機が破棄されて結果的に大赤字。


十戦目

補給線の切断 大勝

作戦変更。偵察は鈴木に任せて石田が大砲を撃つ。
95対空�慶直霹省�までチューン。
変更が功を奏した。この戦いからスキュラが出てきやがった。
打ち落としまくる。が、結果は一機。
突破されたら負けなので友軍を少し呼んで視界を増やす。
そろそろなりふり構ってられなくなった。

十一戦目

浸透突破 大勝

前線を壊滅後強行突破。
石田キャリア一大ぶっ壊す。
逃げ回って敵を誘導。
その隙に仲間が突破するが工藤がもたつく。
隅に追いやられ見捨てるかと言うところで間に合った。


一二戦目

浸透突破 大勝

敵を皆殺しにするも長期入院。
美しくねー

十三戦目

民間人の保護 勝利

精霊手を覚えたので試し打ち。
自軍被害、キャリア二機破損。

十四戦目

民間人の保護 勝利

90式多弾倉ロケットに乗ってみる。
ミサイルの威力はそこそこだったが、リロードがすげえ長かった。

と、ここで鈴木イベントには山口・村田も必要だと知る。
村田はいるが山口が居ないので再介入開始を思慮に入れる。

■2006年01月19日(木)  セカンドオーケストラ イントロ
ガンオケ二週目
目標は華麗に敵と戦い勝利すること。
そもそも自分は戦闘が面白そうだったからガンパレを購入したのである。
なのに、いつまでもごり押しで勝っていて良いのだろうか。
いや良くない。
どうせならそう、もっとカッコイイ填め技で勝ちたい。
そう、勝ちに飢えているのだ。
俺は俺は勝ぁつ! ごぉれんだぁ!(ヘルカイザー最高)

まあ、それはともかく偵察兵を上手く使いたいです。
先行させて見つけて曲射で一方的に攻撃〜とかやってみたい。
小説で滝川がやってた七面鳥打ちとか言うのも。七面鳥打ちってなんだ?
どうも赤い点が見えた時点で気づかれてると考えちゃうんですよね(実際そうだし)赤いコーンがあさっての方向向いてた試しがありません。
唯一友軍が居るときは気づかれずに横から殴れるんですが、ようはアレを自分らだけでやろうと。
難しい...どうでもいいけど敵さんの偵察兵を消したらあっちは攻撃対象失って攻撃してこないのでしょうか。

てか、曲射って狙ったら勝手に曲がってくれるんだろうか。
だいたいどれぐらいの角度で曲がるんだろ。弾はビル飛び越えたりするんだろうか。
街の中心、あるいは街の目の前に通りかかったところをビル越しに絨毯爆撃ーとか出来たら面白そうだけど、建物潰れそう。
やはり森かな。

てなわけで二週目編成。

シナリオ「戦闘記録」

主人公:石田
ヒロイン:鈴木
親友:ノエル
仲間:コウ
仲間:工藤

石田は幻視が得意という理由での抜擢。
自分は石×谷萌えではあるがあくまで二人の関係性が好きという、何というか婦女子的な萌え方をしている。
と言うわけで、自分が石田や谷口でプレイする分にはあまり萌えなかったり。

目標:取りあえず石田は偵察兵。
   ハードボイルドペンギンと仲良くなって精霊酒じゃない精霊手ゲット。
   戦闘以外では、鈴木イベントをクリアーしてみる。
   

■2006年01月18日(水)  キャストロールフラッシュ
自分が参加していたお祭り、大絢爛舞踏祭のキャストロールフラッシュが完成したようです。
関係者の皆様お疲れ様でした。

自分の絵が完成してからはずっと傍観決め込んでいましたが、
これについてはいつかミクシィの方で語りたいですね。

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(ただよし 三日目 エンド)

 昼。
 テーブルでカレーと食べているフブキが、カイを見あげた。
「む、どうかしたか。上の空じゃぞ」
「...」
 上の空だった。何処か遠いところを見ているカイ。
 ぼんやりと、なにかに陶酔しているかのような。
「女神って、いたんだなぁ」
「...なんのことじゃ?」
 女神、と言う言葉に反応して少し不信気な顔をするフブキ。
 口調に反応して、カイは彼女を見た。
 鼻から息が漏れる。
「待て、今なにゆえ鼻で笑った」
 応えずにカイは、
「あ〜。また会えるのかな。会ってみたいなあ...」
 等とぼやく。
「誰じゃ、誰に会うとぬかしておる! 女か、女じゃな。おのれアレほど口を酸っぱくして釘を刺したと言うに、また性懲りもなく!」
 等と、襟首を締め上げ手首をがくがく振るフブキを余所に、カイの思考画像は朝に出会った女神一色になっていた。
 そして、久々に考えていた。
 どうやったら、あの異形の業に勝てるのかを。

■2006年01月17日(火)  ブレイド系は発売時期が解らない。
「スケッチブック3」 と「スケッチブック出張版」 購入。
出張版はコミックブレイド・マサムネと言う要は増刊号に連載されていたショートマンガ集です。
今回も根岸のキレっぷりが面白い。
ふくだとくのすけもいいなあ。

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(ただよし 三日目)

「まいった...勝てない」
 膝を付くカイに、女神は気だるげに微笑む。
「油断か、無知(しらず)か、孰れにせよ命拾いをしたのう」
「いや油断...です」
 目の前の人物が、自分より遙かに高齢だろうと踏んでカイは敬語で言いただす。幸い彼の師匠をして見た目より高齢なため、少女じみた姿に敬語で語りかけることに違和感はない。
「掟破り(ルールブレイク)、そう言うモノ――って言うか概念があるってのは師匠から聞いていたんです」
 うなだれる。
「ふむ、師匠とはアシハラの連中か」
「?」
「否、確か刻の賢者と名乗っておったか」
「――! 師匠を知っているのですか!?」
 驚いて、カイは立ち上がる。水面を離れ地に足をつけた女神は、自分よりも頭半分背が小さい。
「...いや、」
 微動だにせずに、口だけ動かす。
「儂が承知しておるのはタイマ・シンジョウ・カツラギの三名のみだ。他は寡聞にして知らぬが」 
「あ、多分そのカツラギです...」
 と言うか、他は――おそらく刻の賢者なのだろうが、カイは会ったことも見たこともない。ミハルと呼ばれる女性には一度会ったことがあるが。
「カツラギ――“無限環(ループ)”か。ふむ、」
「...なんでしょうか」
「いや、この中では、まだ“マシ”だと思ってのう。あやつは、めんどくさがりではあるが、根は素直で底意地も悪くはない。見殺し屋のシンジョウや、好敵手のタイマに師事するに比べれば、な」
 それは、そうなのだろう。
 ミハルさんも、ここまでお節介な刻の賢者はカツラギぐらいなものだと零していた。
「けれど先ず、そこは問題では無かろう」
 そこで沈黙する。それっきり、目線も逸れた。
 応えを促しているのだろうか。
「あの拘束術――媒介は音ですか?」
「否、正確には、波動じゃ。が、まあ音でも構わぬ。他にあるかの」
「その術は、念じただけで可能なのですか」
「さて、お主らの魔術は念じるだけではないのかのう」
「一瞬で、予備動作も無しに、です」
「左様」
「これ――」
 ストラップを取り出して、剣を召喚する。
 金色の燐光を放つ黄金の剣、が産まれる。
「剣は――指輪に」
 指輪に変わる。左手薬指にはまった指輪を振る。
「これを見たことは?」
「無いのう。ついでに言えば、原理すら判らぬ」
――なるほど。
 カイは指輪を粒子に分解して、姿勢を正し、女神を見据えた。
「これが“掟破り”なのですね」
「失敬じゃのう」
 女神は微笑んだ。
「儂から言わせれば、お主らのルールががちがちなのじゃよ」
 そして、カイを通り過ぎ、去っていく。
「久々に遠出してみれば、偶さか面白い者と出会えた。礼を言おう」
 俗っぽく、背を向けたまま手を振る。
「今日の手ほどきは選別じゃ。次に会うまでに生きておればまた遊んでやろう。ゆめゆめ油断するでないぞ」
 そうして、朝霧の中に消えていった。

■2006年01月16日(月)  ガンオケファーストプレイ
ガンパレードオーケストラ白の章
一周目クリアしました。

ちなみにプレイキャラは竹内。
ヒロインは吉田でした。
吉田はいい子です。ほんと。

いやあ、それはともかく戦闘が難しいのなんの。
95式対空戦闘車�掘淵侫覯�造)に乗ってからは面白いように勝てるようになりましたが、それまでは災難続き、とにかくミケ(98式警戒車)が殴られまくる。
さておき95式強い強い。距離30とかで撃っても余裕で当たる。
一時ウミカゼゾンビ(ヘリ型の幻獣)が10機ぐらい一気に押し寄せたときも5・6秒間連打しまくっただけで全部落ちていきました。
あんまり落ちるの早すぎて、雨みたいに一斉に降ってたのが壮観。
てか、人型戦車弱いな...今回。

しかしまあ、信頼って大事ですね。
戦闘中全員が言うこと聞かなくなったときは泣きました。
恋人になってるはずの吉田でさえ「クソゲーマー」ですからねえ。
途中からカラオケや訓練に誘ったりとパイロット連中の信頼を得る作戦に出ましたが、何故か整備の方の信頼の方が上がりまくったり。ままならん。

まあ、それはともかく、ファーストマーチは絢爛舞踏章取っての吉田エンドでしたとさ。

以下戦友リストと所感。

吉田:一時エース。カラオケマニア。
 砲撃が強い強い。ミサイル付きの戦車に乗せておけば遠くからスキュラとか打ち落としてくれるので割と頼もしかった。
 帽子のイベントはいいね〜。
 朝迎えに来てくれる際にサンドイッチを持ってくるのはいいが、ホームルームと一時間目が強制されるので一長一短。家事技能を覚えるように頼んだら、サンドイッチが豪華な弁当に変っていた。けどバレンタインはチロルチョコだった。

コウ:信頼回復のために訓練とかしているうちに、吉田と嫉妬大爆発。吉田には謝ったけど、こいつには謝らなかった。

佐藤:ずっと牛乳飲んでやがった。

村田:なんか随分アバウトな人だった。一番命令を聞かなかった人。一度長期入院するも帰ってきたころにはすっかり4人シフトに馴染んでしまっていて活用に悩む。
 結局最後まで何の役にも立っていない。

上田:ことごとく吉田との会話を妨害してくる。その割りにはノエルといい仲になっていて、何こいつ。ちょうど95式の弾が切れかかっていて難儀していた時に大型弾を持ち歩いていたので殴り飛ばして奪った。もちろん謝っていない。
 一番信頼していないのに、一番整備がんばっていた。

岩崎:どうも、こいつがいないと吉田のイベントが開始しなかったっぽい。感謝。アイテムリストは靴下だらけ。

ノエル:とにかく訓練をしようと言ってくる。

山口:とにかく昼飯を(ry

ペンギン:あまり構えなかった。

空先生:同じ。

■2006年01月13日(金)  十三日の金曜日。
ガンオケ購入。
待ちわびた。

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 水竜に飲まれた瞬間、カイは目を閉じ体を強張らせようとした。
 しかし、それも金縛りに囚われて思うようにいかない。
 覚悟を決めた瞬間、水竜はふっと消え去った。
「――幻?」
「左様」
「...とすると、俺の体が動かないのも、催眠効果を併せ持つ幻術か」
 だとしても、大抵の幻術なら生身で無力化できるのだが、いっこうにそう言う手応えがない。
「この力――付喪神特有の完成魔術の一種なのか?」
「ふむ――どうやら、お主の世界とは神の概念が似通っているみたいだ」
 説明が省けて良い、と呟いて、
「儂は光の尾を持つ白蛇の化身にして「水」の豊穣を司る水神。
 完成魔術とやらが、如何様かは知らぬが――大ハズレだ」
再び鈴を鳴らす。
 それでカイの体を拘束していた見えざる力が消え去る。
 汗を噴きだして膝を付く、死を覚悟した際のストレスがいまさらになってぶり返す。
「あっけないのう」
「...」
 とっさに剣を召喚しようかとも考えたが、止めておいた。
 気づいたのだ。
 幻覚でも、催眠術でもない。
「殊勝じゃの。お主じゃどうあっても勝てぬよ」
「光の――魔術」
「いかにも、水竜はそれじゃ」
 水面を歩きながら、女神はカイに近づいてくる。
 一歩近づく度にカイの肌に凛とした空気が肌を触れてくる。
 神気――紛れもなく神聖な者が身に纏う空気。
 しかし、それを纏う女神はひょうひょうとした態度でぼやいている。
「一応陽動のつもりなのだが、無意味であったな」
 つまり、実像。光の屈折や反射を操作した光学的魔法。
――その概念は知っている。カイの師匠が教えトールが一部を使えるから――
 幻ではなく立体映像。何の詠唱すらなく、神はそれをやってのけた。
 カイの師匠ですら、意識する(あるいは鈴を振る――か) だけで幻を作るなど不可能だろう。
 そこではたと気づく、
「水竜――は?」
「光の尾を持ち水を司る、と言うただろう。その伝説に添う形に儂は光を操り、同様にして」
 水――水で、カイの体を縛ったというのか。
「いや」
しかし、すぐに首を振る。
「水なんてどこにも。それとも空気中の僅かな水分で極細の糸を作って縛ったのか」
「そう言う体感ではなかったとは思うたがの。それも大ハズレじゃ。
空気の水など染み垂れた物を使わずとも、もっと水気の豊富な物があるではないか」
 そこまで言われても、カイは正当に辿りつかない。
「判らんか、それとも判れんのか...まあよい、水はお主じゃ。人体に満ちる水分量等という在り来たりなネタを話すのはちと恥ずいがのう」
「体の水分――!!」
 目を見開く。一度立ち上がった膝がまた落ちた。
 それ程に、カイにとっては衝撃を与えていた。
「左様。どうだ、異世界の勇者殿。世界は多様だろう」
 目を細めて、人の悪い笑みで、微笑む女神。


(ただよし 三日目)

■2006年01月12日(木)  12日。
ガンオケ発売日。
でも買えなかった。
カプセルホテルに泊まりました。
温泉付きです。...何故温泉。


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(ただよし 三日目)

 水面を浮いて見せた姿が神なのかと言うとそうでもなく。
 現にカイの師匠も空ぐらいなら適当に浮ける。
 その女性――長く艶のある黒髪を二房、交差するように結わえた白装束の女性は、水面にただぼんやりと立ち振る舞い、陽炎のようにその姿を揺らめかせている。
「幻――神属の類か」
「ほう」
 女性は、いままで目を閉じていたのだが、その一言に反応した。
 切れ長の目を少しだけ開いて、カイを一瞥する。
「三が日も早うから精を出す馬鹿もいたものと思えば...なるほどのう」
 持って回った言い回し、何処かフブキに似ているが彼女の言葉には何処か使い古された渋みがある。
「異邦者か――水が騒ぐわけよ。どれ、」
 手首を差し出す。
 よく見れば、その手首には金色の鈴が巻き付けてある。
「封韻、開放」
リィイン――そんな音がして、水面に波紋が広がった。
 一見それだけだったが、カイはその波紋、正確には鈴の放った音波に尋常ならざる気配を感じていた。
 魔力ではない。
「何を――」 と聞く前にそれが現れた。
 水柱が巻き起こり、次の瞬間にはそれが細長の竜の姿を模る。
 その竜が顎を開いてカイに襲いかかる。
なっ
 ポケットからストラップを引き抜く。よりも早く、
「無駄じゃ」
リィイン――再び鳴らす。
 その音で、カイは体中にかつて無い重みを感じて動けなくなる。
な、なんだこれ
 重い、動けない。
まるで、全ての細胞が一瞬で鉛にすり替わったかのようだった。
 そして、声すら出せずに。
 カイは頭から水竜に飲み込まれた。

■2006年01月11日(水)  ハッピーラッキー
 さあ、この日は特に何もなかったぞ。
 それはともかく回数券は便利ですな。
 10回分の料金で11回、オフピークだと12回、休日だと13回。

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(いきなり、エントラ外伝)

 フリル付きのエプロンを掛けたネズミが窓枠を右から左へと走っていった。
 幻を見たような気になって、目をこするアリス。
「どうにかしましたかぁ〜?」
 カウンターの内側から声。
 鹿撃ち帽を目深に被った少女がシェイカーに赤い粘性の液体を注いでいる。
「別に、どうにかはしませんけどぉ...あの」
 さらに色々な液体をシェイカーに入れた後、氷を放り込み蓋を閉じる。
――カタカタカタカタ
 鹿撃ち帽の割には、実に堂に入った振り方だった。
「あのぉ。他の方々は〜?」
「留守番ですぅ」
「あの、それを言うなら「留守です」 か「出払っているので自分が留守番です」 では〜?」
「それですぅ」
 シェイカーを開き、グラスに注ぐ。
 グラスの中では、ピンク色の色鮮やかなカクテルが出来ていた。
砕け散った氷が見事なフローズンになっている。
「どうぞぉ」 と、差し出す少女。
 これは夢なのだろうか。
 と言うより、何だろうこの状況。
 夢だとしたら、いつから夢なのだろうか。
 鹿撃ち帽の少女が瞳を輝かせて、ピンク――いや、どちらかというと、オペの最中に垣間見てしまった人肉のような色のカクテルを差し出して、
「ちなみに、タイトルは“アドベンチャー”ですぅ」
 冒険。そうだ...アリスの冒険。
 そうなんだ、わたしはあのネズミを追いかけてこの夢に迷い込んでしまったのだ。時計を持ったうさぎならぬエプロンを掛けたネズミ。
 あれ、でもここのパブってウサギを飼っていたような。
 カウンターの脇には整然と並んだエースのトランプ達。あれが兵隊になったりするのだろうか。
「さぁあどぅうぞぉお」
 スローな声で、少女がもう一回勧めた。――なんだか面白くなって、アリスはカクテルを飲んだ。

:
:
・
・

「...辛っあああぁー!!」
 カクテルグラスを放り投げて、喉を押さえて悶え苦しむアリス女史。
 グラスは放物線を描いてパブの壁に当たって割れた。
 偶然その場を通り過ぎようとしていた屋敷ネズミが、音に驚いてぐるぐる回った後、床に拡がったピンク色の液体に気づいて近寄った。
 臭いを嗅いだとたん、火のついたように走り回り、パブの壁に開いた穴から飛び出した。飛び出す途中で2回こけた。
 カウンターでは、アリス女史がグラス一杯の水を、喉を鳴らしながら飲んでいる。
 鹿撃ち帽の少女――サリーは、気むずかしげに唸った。
「む〜。タバスコの比率を間違えましたかねぇ」
 しかしちっとも悪びれてはいない。
「げほっ、えほっ...そ、そう言う問題じゃないような。そもそもタバスコじゃない方も凄い匂いなのですけど」
「けどタバスコとドブログの組み合わせが一番いい色がでるのですよぉ」
「色より味を重視してくださいよ〜」
 空になったコップにまた蒸留水を注ぐ。
 それをまたぐびぐびと飲む。あまりに一気に飲むので、喉を伝って白衣にまで水が染みていた。
「それじゃ罰ゲームにならないですぅ」
 ほくそ笑むサリー。その脇にはエースが四枚とジョーカー。
「う〜。サリーちゃんなら勝てると思ったのにぃ」
 赤くなった舌を出して、アリスはカウンターに突っ伏した。
 アリス側のトランプがバラバラと乱れる。
ちなみに手札はストレートフラッシュ。
「ふふふ、わたしにポーカーを挑んだのが運の尽きですぅ」
 二人してポーカーフェイスに縁はないが、ところがサリーは何故かカードゲームに滅法強い。一度ウェッソンとネルソンとクッキーを賭けたポーカーをしたときも、サリーの総取りだった。
 あれ以来ウェッソンはサリーとカードをすることはない。
「う〜これで103連敗ですよ〜」
 勤め先の二人にゲームにもならん/ならないわと鼻で笑われたために、こうして武者修行?をしてリベンジを挑もうと思い立ったわけだった。
 ちなみに、フロンティアパブに昼ご飯を食べに来た時点では93連敗だった。
10連敗したので罰ゲームというわけだ。
「ごしゅーしょーさまですぅ」
 鼻歌を歌い有頂天のサリー。が、
「さぁりぃいいい」
「はへ?」
 いつの間にか、フロンティアパブの扉が開いている。
 そしてそこには、買い物袋をひっさげた店主――テムズ。
 わなわなと震えている。赤毛もふるふると、
「ひ、ひぃてむず!?」
 ゆっくりと買い物袋をテーブルに奥テムズ。
 サリーは我に返って状況を確認した。
 割れたグラス、ピンク色のカクテルもどき、シェイカー、その他諸々。 
結論――言い逃れできない。
 赤毛が怒りにまかせてぶわっと広がった。
「あれほど食べ物で遊ぶなと言ったでしょうがぁああ!!」
「ひ、ひいいいいごめんなさぁいい」

 カウンターに突っ伏していたアリスは、喧噪を涙目になってカードを集める。
「...たまには勝ちたいよう」
 勝ちに飢えていた。
 舌がまだひりひりする。
 その間にも、テムズのお説教が寄せては返す波のごとく聞こえてきた。
 ふとアリスがはっとしてぐっと立ち上がる。
「そうだ、テムズさんとなら!」
 ガッツポーズするアリスの顔には光明が差している。
 しかし彼女は知らない。テムズもまた、幼少よりパブの客達を相手に幾度となく鍛えられた歴戦の強者だということを
――ちなみにちなみにどうでもいいが、サリー>テムズ>ウェッソンである。
 決意あらたにトランプを切り始めるアリス。
 かくしてアリスの104連敗目への冒険がはじまる。

(「アリス・ザ・アドベンチャー」)

■2006年01月10日(火)  ぎゃーまただ。
何のこっちゃなタイトルですが、また一週間日記の更新が抜けました。
さあ、追いつくぞ〜。

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(ただよし 3日目 カイの正月)

 白鳳町には神社がない。
 およそ大抵の村落には大抵一個は神社とは言わなくとも、お社めいたものがあるのが普通なのだが、何故かないのである。
 但し神はいる。
 もっとも、かなり気まぐれで陰険な女神だが。

 湖――ではない、ため池である。
 その公園は、かつてため池として使用されていた池を公園として二次利用している地である。非常時はその機能をフルに発揮して白鳳町の田園を潤す責務を背負ってはいるが、まあ、そんな機会は滅多にない。
 白鳳町の気候は、やれ温暖化だやれ異常気象だと騒がしい日本の中にしては、ここ数十年穏やかで代わり映えのない季節を巡らせていた。
 前置きはさておき、ここ最近のカイは、このため池公園を早朝ランニングのコースにしている。
 丘の上の家からだーーと降りてわーーと走って街に入る直前にこの池があるため、ちょうど良い折り返しになるのだ。
 まあ、そう言う前置きもさておいて、
――正月の三日目。
 カイはいつものように朝のランニングに出かけた。
 前二日は正月気分と言うことで走らなかったが、だからと言って今日三日分走ろうとは思わない。
 しょせんカイにとってはランニングなど息抜きである。
 その日、早朝。カイはいつものように家から1km離れたため池公園に3分で辿り着き、公園の門をくぐって歩きはじめた。
 普段は人がいるはずの公園に人はなく、その代わりと言ってはなんだが、池の上に人がいた。水面の上である。
 そいつが、神だった。

■2006年01月09日(月)  ラスト。
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タイトルが何のこっちゃわかりませんが。
さておき、ラスト。
亜里抄。冬服じゃねえ。

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 腕を束ねてふんぞり返る少女、名は亜里抄、姓は演劇部部長である。
ちなみに、この場合の姓は己の所属のことを指す。
 さておき、部長の亜里抄はこのごろ自分が立て続けに超常の領域に足を踏み入れていることを憂いていた。
 なんのことはない、ファンタジーが実在したら特撮が必要ないではないかと思っているのである。
 夢物語は、夢だからこそ美しい。
 実際にかめはめ波が撃ててしまっては――まあ、それはそれで面白いのだろうが、世の作家の出る幕がない。
 亜里抄は、特に特撮畑の人間というわけではないが、超常の超が取れるような事態は創作にとって大きな痛手だろうと考えていた。
 まあ、特撮なら安あがりだと逆に喜ぶかも知れないが。
 特にあの吉泉とか言う元いじめっことやらの超常はいい。
 便利な上にシンプルだ。
 今度、舞台設営を手伝わせようと本気で考える。
 なに、ファンタジーが死のうが、奇跡は残る。人が自力で空を飛ぼうが、夢はまだ続く。
「お、いい感じだな」
 一本書けそうだと、呟いて、どうせものにならねえなと、自分でツッコむ。
 上機嫌の亜里抄。
 と、その横を一人と数人の団体が走り抜けていった。
「?」
 その光景は一見、一人の少年を追い回す集団のイジメにも見えた。が、そのわりには虐められる側の少年の瞳に怯えはない。むしろ、ギラついている。
 普段なら余計なちょっかいの一つでも掛けるところだが、その目に気圧されて手を出すことが憚られた。
「...これも超常か?」
 皆が通り過ぎたあとで、ぽそりと呟く。
 ついて行こうかと思い、諦める。
「どうも、端役っぽいんだよな、俺」
 正解。

(ただよし 正月編二日目 完)

■2006年01月08日(日)  ん、追いついたかな。
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 カスカ。
 フブキの一の侍女兼近衛兵兼マネージャー。つまり側近。前任者のホノカの妹。ちなみに、ホノカは大戦で殉職している。
 ホノカを死なせた贖罪のために、妹である自分に側近の大役が回ってきたと思っており、フブキ(華奢姫) がそれほど好きではない。まあ、実際その通りだったんだけど。
 装束は...塗り間違ってるな。
 下が玄武衣という戦闘服になっていて、腰ひもを解くだけで上の拘束衣が解けるという仕様になっています...はず、多分。

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 正月ボケで溜まってた日記がようやく追いついてきた。
 よかったよかった。

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 カスカ。
 苗字は、侍従職(今風に言えば秘書か) に就いたときに捨てた。
 あまりないが、名前が同じ者と混同する場合はヒトツビ・カスカと姓を付けて呼称される。
 カスカがヒトツビの姓を継いだのは、奇しくも――という表現は正確ではないが、実の姉からであった。
 大戦のさなか彼女の姉、ヒトツビ・ホノカは後に伝えられる「天蓋鳴動の戦い」 にて、華奢姫の矢面に立ち、その姓/生を全うした。
 誰もが彼女を英雄たる者と称えた。
 罵ったのは、華奢姫だけだった。

 まあ、それはともかく。
 今のカスカは、姉の跡を継ぐ形で華奢姫のヒトツビとしてその姓に恥じぬ生き方を全う中なのである。

「まあ、それはいいんだけどね...」
 囲炉裏に炭をくべて、カスカさんはぼやく。
「だけど?」
 吹雪が聞き返した。
「まあ、なんといいますか。実際仕事をするにつれ、姉は偉大だったんだなあと」
「はぁ...」
「特に日常に戻ってから、引き継ぎがてらに姉の仕事整理してるとね。もう、祭事やら家事やら議事やらもろもろに含めてあのお姫様の我が儘の対処法やら、わんさかメモが出てきてねぇ。それがまたすごいのよ。わたしなんて、覚えるのに一生掛かっちゃうわ」
 まあ、主に一番最後の資料が膨大なのだろうなと、吹雪は思った。
「正直に言うとね。なんで私なんだろうなあって思うのよ」
「なんで、ですか」
 それは、あまりにも簡単すぎて、でも、
「いや、わかってるのよ。妹だからなのよね。もうそれは割り切ってるから大丈夫。陰口にも慣れたし...まあ、表だって聞いたこともないけど」
「...」 吹雪は否定しなかった。
 マンガとかなら、それは勘違いだ。フブキは純粋に貴女の資質を見込んで選んだのだ、と美談で纏めるのだろうが。
「士官塾じゃ落ち零れだったからねえ。得意と言えば家事ぐらい。士官関係ないって言うの。
 まあ、選ぶ権利は姫にあるわけだし...ホノカ姉と繋がりがある人間を選ぶって言うのは、それなりに利点はあると思うけど。でもね」
 それは実力を見込まれて選ばれた訳じゃない。
 姉が偉大で、そしてその姉が死んだから、たまたまその妹に名誉職が転がり込んできただけ。それだけ。
「だからなんだぁ、姉が偉大ならそれに負けない、いや追い越すほどの働きを見せればいいじゃない〜とは思うんだけどね。
 でもさ、侍従って別に追い越すとかそう言うんじゃないって言うか、そもそも姉の仕事が完璧だったんだから追い越せるわけがないのよ。限界の先には先があったとしても、完璧の先には何もないもの」 
 まあ、そりゃそうだ。100点満点のテストで102点は出せない。いや、名前を綺麗に書いたら2点おまけしてくれる先生もいたけど、関係ないなこれ。
「それにね...姫、たまに私の顔見て寂しそうな顔するのよ」
 炭をまた一個、火箸で挟んでくべる。
 囲炉裏の中は赤一色。遠赤外線が良い感じで出ている。
「私見て、ホノカ姉思い出してるのかな...そんなこと考えてるとね、どんどん嫌な想像しちゃうって言うか...」
「それは――」
 例えばそれは、フブキがホノカさんのことを自分のせいで命を落としたと思いこんでいて、そのことを忘れないために妹のカスカさんを側近にしたのではと言うことで、
「もうね、こうして吹雪ちゃん相手に愚痴っちゃわないとやっていけないのよ」
「あの、出来ればわたしにも愚痴らないで欲しかったんですが...」
 それこそ、わたしをフブキの変わりに見立てているのではないか。
「お餅焼けたわよ」
「あ、どうも」
 囲炉裏の上に掛かった金網。その上で餅が五個、焦げ目を作って膨らんでいる。
 小皿を手に持ち出すと、菜箸に持ち替えたカスカさんが一個置いてくれた。
「まだいる?」
「いえ、この体ですし...遠慮しときます」
 だいたい、一個の量がご飯一杯ぐらいありそうなのでこれで十分だ。
「たぁくさん食べてもいいのよぅ」
「そんなに太らせたいんですか...」
「冗談よ。美容や栄養の管理もわたしの仕事なんだから、しっかりやるわよ」
 にんまり笑うが、非常に嘘くさい。
「...あの、それとなく言っておきましょうか?」
 黒塗りの箸で餅を掴み、砂糖醤油に餅を付けながら何となく言ってみる。
「駄目ね、無理。そんなことしたら一発でバレちゃうわ。余計気まずくなっちゃうわね」
 まあ、そりゃそうだろう。どう考えてもわたしが口出しする話題ではない。
 口に持っていく。焼けたて餅と醤油の香ばしい臭いがした。
「だから、言うときは包み隠さず言ってね」
「げふ」
 絶妙のタイミングだった。
 餅が喉に詰まる。
 吹雪は、今がフブキの体なのも構わず、胸をバシバシ叩いて噎せた。 

(ただよし 一日目 こぼれ話)

■2006年01月07日(土)  なんか
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幸輔の評判が良い。
何故に。

ちなみに、自分のイメージはこんな感じです。
チンピラですね〜。
成金なのでベルトをマネークリップ(札束を纏めるクリップ)で留めてるんですが、この絵じゃ解らんな。
まあいいや。

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 どうでもいいですが、胸ポケットに携帯電話入れるネタは面白そうですね。
 電話(マナーモード) が掛かるたびに絶えず悶えて、「だからズボンにいれろって言っただろ」 みたいなネタ。

■2006年01月06日(金)  追いつけ。
 筆が進む。この調子で本編も書ければなあ。

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「お〜お〜お大尽だな」
「...あんたか」
 部長――亜里抄とか呼ばれていた女が、腕をつかねて笑っている。
 商品券で、結局靴を買った吉泉は、その店前の自販機に硬貨を投げ入れながら応じる。
「、つれないな」
「これで釣れてると思って欲しいが」
 半年前はもう少し社交的だったのだが、最近の吉泉はこんな感じである。
本性が出てきたとは思わないが、人とのつきあい方は考えるようになった。
「見てたのか」
「まあな。おまえはすぐ去ったから知らないだろうが、ちょっとした騒ぎだったぞ。ボランティア精神を否定する訳じゃないが、あれはいただけない」
「“それ”は見たかったな」
「いいのか?」
 突然、神妙な様子で部長が訊ねた。
 コーヒーのプルを起こし、「何が」 訊き返す。
「明らかにボランティア精神もないような奴が数人、まるでノルマを競うかのように人を奪い合う奴も数人...おどして、あおって、財布から札を取り出そうとする奴数人...俺の見立てじゃ、ありゃまともな募金団体じゃねえぞ」
 缶を傾けて、聞き流す幸輔。
「断定は出来ねえが、ネットなりで調べりゃ...」
 いや、そうじゃないと自分でツッコむ部長。
「あの金がどういうものか、どんなつもりで募金したのかなんて知りたくもないがな、だがおまえのやったことは結局――」
と、飲み干した吉泉が、缶を部長に投げた。
 思わず受け取ろうとして前屈みになる目の前で缶が静止し、くるくると回転した後、缶用ダストの丸い口へと弾丸のように吸い込まれていく。
「金か。“それ”ならどうってことない」
 亜里抄が怪訝そうに肩眉を上げた。

 乱舞する万札に囲まれて、十数人程度の男女が踊り狂っている。
 その顔はどれもこれもが「恐怖」 に彩られていた。
 吹き荒れる万札は、一枚一枚が意志を持っているかのように舞い上がり、まるで剃刀のような切れ味で、すれ違う者を切り刻んでいく。
 少し離れたところで、しりもちをついた少年が声すらを失ってその光景を眺めている。
 先ほど××と呼ばれていた少年だ。
 顔に、何発殴られたのか、痣ができている。
「デパートの地下駐車場で集金か、“いかにも”なところだな」
 声に、少年が見上げる。
「あ、ああなたは」
「ふん――」 少年の傍に立った幸輔は、口の端を曲げて、踊るように逃げまどう人間達を見る。
 先ほど募金活動をしていた“バイト” と、ノーネクタイのスーツが数人。
バイトはどいつもこいつも動きに精細が無く、おそらく内蔵の何処かを痛めている。
「さしずめ、見たこともない額に舞い上がったバイトが“売り上げ”ちょろまかそうとして、バレてヤキ入れられたってところか」
 目を見開く少年。その通りだったので、驚いているのだ。
「くだらねえな」
「た、助けてください!」
 少年は、直感的に幸輔に助けを求めた。
 あからさまな超常現象を目の前にして理不尽な注文だが、彼のお金だから、彼なら何とか出来ると短絡的な思考に陥っていたのだ。
「助ける。誰から、誰をだ?」
 気のない返事でぼやく。
「この事態か、お前か、戦争難民か、あそこのバイトか、それともこの企画の元締めっぽいあのチンピラどもか。この中から二つを取って二個の箱にそれぞれ当てはめてみろよ」
「こ、この事態から...」
「命を請うのなら嘘は吐くな。バレた瞬間、殺されるぞ」
 絶句する少年。
「おまえの顔の痣、誰がつけた。チンピラか? 違うだろ」
 知恵のある者なら、目に見える場所、特に顔に痣など付けない。
「言えよ、ほら」
 うつむく少年。彼はもう確信している。
 幸輔が、この状況を作った張本人であると。
「...僕を」
「くすぐってーんだよ、蚊か。半端な気持ちで言うな」
「僕を! あいつらから助けてください!!」
 絶叫。
「嫌に決まってるだろ、馬鹿」
 幸輔はちょいと指を動かした。
 その動作だけで、暴れ狂う万札達が一斉に統制の取れた動きを開始し、幸輔の手の上に戻ってくる。
 最後にコンクリートに落ちていた封筒が束を包み、蓋を閉じる。
「よぉ」
 4人のスーツに近づき、挨拶する。
「随分面白い商売をしているじゃないか」
「...なんだてめえっ!」
 スーツの一人が浅く切り刻まれた体で幸輔の胸ぐらを掴もうとした。
 その顔面に、封筒がめり込む。
 頭をかくんと揺らして、スーツは吹っ飛んだ。
 飛んだ封筒を、再度受け取る幸輔。
「募金しといてなんだが、やかましいのが説教するんでな。申し訳ないが返して貰いに来た」
 あごひげのある奴が一番偉そうだったので、そいつに向かって断る。
「何もんだ...お前」
「悪もんだよ。そうか、お前ら俺みたいなのを知らないのか。
――白鳳でそういう商売をしようとして、俺らを知らないって時点でおしまいだな」
 残った3人のスーツに緊張が走る。「同業?」「いやまさか」 そんな目だ。
 とたん、一人が胸元に手を入れ、引き抜いた。
 幸輔は手から現れたものを確かめずに奪い取り、男の喉笛に突き刺した。そのまま、空中に静止する――携帯電話。
「なんだ、携帯か。紛らわしいな。いや...さすがに普段からドスなんて持たないか」
「野郎...」
 言うスーツ達には、もう戦う気力はない。
 幸輔の実力と、躊躇いのなさを痛感したのだ。
 たまたま携帯電話だったから良かったが、もし、ナイフやドスだったらと考えただけで、一歩も動けない。
 携帯電話が、幸輔に近づいていく。
 空中でプッシュ音が数回鳴り、手元に付く頃には呼出音が鳴っている。
「ああ、掛かった。トっさんですか。え、ああ別にいいじゃないですか呼び方なんて。今寝ようと思ったばかり? ああ、そっち夜なんですね。
 え、昼? じゃ別にかまわないじゃないですか。
 っと、それより、帰りしなに募金詐欺に出くわしましてね...ええ。残業もいいところですよ。
 今、そいつら潰して萎えさせるところまでやりましたけど、どうもさっき帰ってきたばかりで時差ボケとか乗り物疲れとか酷くて...」
 ところどころで怒声が起るが、それは無視してひとしきり喋り倒す。
 そして、幸輔はリーダーらしきスーツに電話を寄越した。
「今から説明あるが、助かりたいなら“はい”だけ言って黙って実行しろ」
「...誰がそんなこと」
「忠告はした。あとは勝手にしろ」
 携帯を渡した手に、カード――運転免許証が4枚収まる。
 何もされていない残り一人が慌てて胸を探ったが、そいつのパスケースは既に下に落ちている。
 それを見て、リーダーの男は目を見開いて、舌打ちをした。
「くそったれ! 死ね!!」
 携帯を手に取りおそるおそる耳を近づけ、
「――出た...あ、ああ...そうだ...」
 会話が始まったのを見届けて、幸輔は足を戻す。
 電話で疲れたと言ったせいか、本気で眠気がやってきた。
 金も入ったし、もう一杯コーヒーを飲もうと考える。
 バイトは既に逃げ去っていたが、××と呼ばれた少年だけが残っていた。
「ひ、ひぃ...た、助けて」
 近づいた瞬間、命乞いをした。
「ああ、助けてやるよ」
 無視して、通り過ぎる。
 五歩歩いた。背中から立ち上がる気配。
「ま、待ってください。む、無理矢理つきあわされたんです、ボランティアだからって」
 何の気も無しに、足を止める。
「それを信じたのか?」
「...」
 また歩き出す。
「お願いします、僕を、あいつらから助けてくださいっ!」
「それに答えるのは俺じゃない。命乞いなら当人にするんだな。
それだけ声が出せたんだ。なんとか伝わるだろ」
「だ、駄目に決まってるじゃないですか。あの金だって僕は持ち逃げするの反対して...だから殴られてっ」
 少年は絶叫する。我すらも忘れて、叫んでいる。
「じゃあ、罵るんだな、その声で。それなら伝わるだろ」 
 と、札束入りの封筒が幸輔の手から浮き上がり、少年の頬をビンタした。
 そのまま少年の手に収まる。
「募金だ。今度は奪われんな」
 あくびをかみ殺し「くだらねえ」 言い残して、幸輔は歩き始めた。
 そして、少年が見失うまでその歩みを止めることは一度も無かった。

(ただよし正月編 二日目 完)

■2006年01月05日(木)  それはともかく。
この日も何かあったのだろうか。
雪が凄いらしいです。
クールビズの成果でしょうか(違)
融雪剤が足りないらしいですが、どうなるのやら。
鉄道事故、といい雪国は大変そうです。
鉄道事故、ダウンバーストを未然に防いでみろとか言うニュースキャスターを見るたびに、ああ何としてでもJRを叩きたいんだなと思ってしまう。


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(ただよし 正月編 二日目)

 最近くだらない日々が続く。
 三十日(みそか)に大掃除をさせられたと思えば、大晦日には派遣の任務だときた。
 任務の内容は掃滅。
 反政府ゲリラが小さな村を襲撃占拠するというので、先回りして村の抵抗力を根刮ぎ奪うと言う内容だった。
 難易度としては比較的楽な部類で、実際、幸輔は五分とかからず全ての武装を無力化した。人間含めて。

 敵と呼ぶのもおこがましい勢力だった。

 村人は、軍払い下げの三丁に一丁まともに撃てれば御の字程度のアサルトライフルや、粗悪な劣化コピーのハンドガンと言った武装しか持ち合わせていなかった。
 ロクに狙いもつかない、五秒も撃てばなんらかの故障でジャムるか暴発する。
 そんな武力で活動資金も潤沢なゲリラに抵抗するつもりだったというのだからおこがましい。
 村の中心で、不可思議な力の前で全ての力を奪われた老若男女が、名も知らない言語で口々に罵っていたが、吉泉はそれに聞く耳を持たなかった。
 翻訳機の電源はOffにしていたので内容は解らないが、どうせ正しいことを言っているのだろう。
 気にくわない。ちゃちな武装で刃向かうのが。
 弱いクセに、命乞いすらしないのが。

 5つ空港を経由し、電車も3個乗り換えて、ようやく白鳳駅へ辿り着く吉泉。
その手には二つの袋が握られている。
 一個は「おとしだま」 と書かれたポチ袋。
 中身は、五千円分の商品券(白鳳町商店街限定)。
 掃除の礼にと貰った物だが、元はと言えばあの金髪が商店街の福引きで引き当てた賞品である。当たらなければティッシュだったらしい。
 そして、もう一個は「報酬」 と書かれた分厚い銀行封筒。
 中身は、数えるのも馬鹿馬鹿しいぐらいの万札の束。
 銀行の封筒に入ってはいるが、黒服からの手渡しだった。
 何を思うでもなく、その二つを眺める。
「...戦争の...難民支援の為に募金をお願いします。」
 駅前では、自分と同年代から上下に二歳くらいの幅を持った男女が募金活動をしていた。駅に訪れる者、駅から降りる者、手当たり次第に呼びかけては、ビラを撒いて募金を呼びかける。
「お願いします」「ありがとうございました」
 「お願いします」「ご協力、ありがとうございました」
 幸輔の前にも、彼よりも少年の男がやってくる。
「お、お願いします...彼らの命を助けてあげてください」
 そいつは、他の奴に比べておどおどしていた。まるで...
「お願いします。お願いしま」
「××ぁ! おどおどするな」
 別の奴が、何事か叫んだ。多分苗字だろう。
「は、はいっ。すみません」
 謝る少年。叫んだ男に引き寄せられ、別な方向に押されていく。
 そして幸輔は取り残されて。
 駅を降りる人間に釣られるようにして、再び少年が近くまで来た。
「...あの、何かご用でしょうか」
 見られていると気づいたらしい。
「いや...いや。俺も募金しよう」
 とたん、少年の顔が輝いた。
「は、はいありがとうございますっ」
 礼は待たず、幸輔は「ござい、」 のあたりで銀行封筒を純白の募金箱に突っ込んだ。

■2006年01月04日(水)  エントラ。
 路地裏にボロい毛布があったので、訝しんでみた。
 いや、別にボロが路地裏だからあっても良いのかもしれない。
 だが、その毛布はモソモソとみすぼらしく何度か動いたあと、ふわりと重力を感じさせない動きで浮き上がり、ブリキのゴミバケツ、煉瓦の壁、窓枠の下、雨樋の繋ぎ目へと飛んでは跳ね、飛んでは跳ねてと奇妙な動きで舞い上がって行った。
 なんとなく口を開けたまま見上げていると、ついに毛布は屋上にまで昇り詰めてしまう。
 屋上に強く吹く風を受けて、毛布が翻った。
 翻った毛布の中から男が出てきた。
 遠目だが、特徴がある。
 民族衣装みたいな着物に、黒髪のつんつん頭。
 見覚えのある人物だった。

(アクワイの憂鬱な正午)

 誰も見たこともないことを平気でやってのけるのが彼の主人なら、人の見たことならかろうじて真似してのけるのがアクワイという男である。
 前置きはさておき彼は煤煙に濁った空と、空と同じ色の河川と街を見下ろした。
 三秒。
「...いた」
 捕捉したのは、800ヤード先の公園で怪しげな露天商から新聞を購入している帽子の少女だった。
 しばらくそれを眺めるアクワイ。その表情は普段に比べると格段に緩い。
もし犬ならしっぽを振っていることだろう。
 ややあって、その顔に緊張が走る。
 とたん体を沈めて、滑るように一歩を踏み出す。その一歩で全体重を加速させ、五歩目には全速力へと持って行った。疾走。いや、走ると言うよりは水平に跳ねているとでも言うべきか。水面に投じた石のように音もなく連続で跳ねていく。
 屋根という屋根を飛び越えた先に、広場が見えてくる。
 公園はその先だった。
 低い屋根を次々に見つけ(走る前にあらかじめ見繕っていたが)そこへと体を落とし、位置を下げ、二階ぐらいの高さになったところで一気に着地。
 落下の衝撃を走る勢いに変えて、そのまま走り出す。
 公園は目の前だった。
 右側のコルト・パイソンを引き抜き、撃鉄を起こす。
 そして、公園に視線を戻した瞬間アクワイは目を見開いて強張る。
 そこには、帽子を被った少女と、金髪の青年が親しげな様子で会話をしている。
そして、その青年が不意に少女の方へと体を寄せて、
「っ! 撃ち殺す!」
「はい待った」
と、走るアクワイの足の下に、小さな足の甲が重なる。
 その足の甲は、アクワイの上げる足を助けるようにして僅かに上がり――
たったそれだけのことだったが、効果は劇的だった。大きく足を上げ、もんどりを打って引っ繰り返るアクワイ。

 広場に、べたんと言う乾いた音が響く。

 無様に地面に倒れ込んだボロ毛布の男が、体を痙攣し、緊張させながらそれでもこちらを見上げてきた。
「――あんたは」
 相手も見覚えがあるようだ。その顔が苦渋に歪んでいる。
 よし、少しだけ楽しくなった。
「おお、正解かな。う〜ん、想い返さばそんな顔だったような、なかったような」
 思考して、そういやそもそも顔をあんまり覚えてなかったと言うことを思い出して、思考を放棄する。
 どのみち、目の前にいるし。
「おひさしぶりですな、毛布男さん」
「毛布じゃねえ...民族衣装だ」
 思った以上にダメージを受けたらしく、彼は寝込んだまま訂正した。
「おお。そんなこと言ってた言ってた」
 てきとうに頷く。
「ただいまぁ」
「何が」
「いや、旅してたわけだし」
「俺は知らん。そもそもあんたの名前すら知らん」
「あぁ!」
 今度はなんだ、と言う風に、男はこちらをみた。
「あたしもあんたの名前知らない」
「...アクワイだ」
「アリサ。アリサ・デュールよ。
まあ、そのうち覚えるんじゃない?」
 なんで、と言う目はしていなかったが特別に答えてあげた。
「そのうち大物に成っちゃうし」
 久々の故郷の天地を統べた気分になって、アリサはそう宣言した。
 

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 気が向いたので、エントラ。
 天上〜は、正月明けに書きます。



■2006年01月03日(火)  巻き返し。
 古畑見ました。この回が一番面白かったかな。
 しかし、完全犯罪崩せなくても別件で逮捕できたからそれで良しってどうなんだろう。まぁ、いいのか。
 そもそも、推理物って犯人がミスしなけりゃ完全犯罪だし。

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「というわけで、年を越す瞬間 地球上にいなかったわけだよ」
 くつくつと笑うのは亨(見た目トール)である。
「その笑い方はおよしなさい」
 リン・ネイザーリア大統領秘書官は、実験場の一室で床に描かれた基礎式に追加の式を書き記している。
 いわゆるワープ用の魔法陣らしいのだが、亨にはさっぱり解らない。
 いや、あれから亨も囓る程度には勉強している。内容までは解らずともだいたいどの部分を描いているとか、あと何分で終わるか等は解るようになってきた。
 あと3分ぐらい。
「そう? 似てるって評判だよ」
「カイにかしら」
「いや、アイちゃん」
 アイは何故か亨によくなつく。と言うのも亨は代行の暇を持て余すときに、アイの遊び相手をしているからである。
 最近では、亨とトールの区別も付いているらしく、たびたびトールに亨は次いつ来るのかとか訊いてはトールを拗ねさせているらしい。
 と、軽快に動いていた、リンのチョークが止まった。
 そして、陣描きを見守る大統領代理を睨む。
「娘はあげないわよ」
「冗談も言うんだね」
 華奢姫やトールと同様、人を睨めば魂までも凍らせること請け合いのリンの睨みも亨には通じない。
「...確かに似ているようね」
 と、そっけなく言ってチョークを動かすリン。少し筆圧が強くなったようだが、亨は黙っていた。
「そうでもないよ。だって、トールはリンさんには頭が上がらないし」
 頷く、亨。
「リンさんの前じゃ、あの冷血漢もちょっと我を忘れがちって言うか、普段の10%も言いたいこと言えなくなってしまったりして。あのあがり症さえなければもうちょい上手くやれそうな気もするんだけど...」
 ぐだぐだ言う亨をBGMにリンは魔法陣を書き終えた。
 立ち上がって、チョークの付いた手を払う。
「発動も行いますか?」
「いや、自分がやるよ。ありがとう」
 陣の中心に移動するトール。二言三言呟くと、陣から染み出すように淡く青く光りが溢れだす。
「それでは、失礼します」
 一礼して、ドアノブに手を掛けるリン。 
「ああ、あと」
 亨はリンを言葉で捕まえて、振り向いたところを見据えた。
「あけましておめでとう」
 屈託のない表情で、笑う。
 トールの顔で。
「こちらは正月ではありませんが」
「いや、誰かと祝っておきたくて。世界を見捨てても、祝って喜び合う機会まで見逃すのはもったいない...って気、しない?」
 そんなことを言う。
 言うので、リンは目を丸くした。
「気障ね。それで華奢にも迫ってみなさいよ」
「できればやってるよ。じゃ、」
 そして消える。淡い青い光を残して。
 室内に残されたリンは、挨拶を返すのを忘れていたことに気づいた。
 いや、そもそも消える前に出て行きたかったのに、いつの間にか立ち尽くしていたと言うことにも気づいて、
「余計、似ているじゃない」
 と、ため息をつく。
「だから忌々しいって言うのに...」
 けれど、この馬鹿二人は揃いも揃ってそれが解らないのである。

(ただよし 正月編3)

■2006年01月02日(月)  この日は。
里見八犬伝を見たのはこの日か。
いやいや、おもそかったです。知識はマンガの八犬伝と里見☆八犬伝だけですが。
展開も早くて良い感じ。
アニメとかマンガだと揃うの随分かかるからなあ。
揃ったら揃ったらでワリとだらけるという。
四時間で終わるのはちょうど良い感じ。

つか、武田鉄矢ですよ。
金八先生の声で、悪役やられると面白いのなんの。
アクション久々に見たなあ。
そして足払いが強いw

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 一方吹雪。

「姫――あら、吹雪ちゃんじゃないの」
 弥栄庵の障子を開き、開口一番に侍従の娘はそう言った。
 振り向く、吹雪(見た目はフブキ)
「あ、こんにちはカスカさん」
「どうしたの? 確かあっちは年末で忙しくなかったけ?」
「今日が大晦日で、今頃年明けですね」
「ますますどうしたのよ。そんな時期に」
「いえ、一度やってみたかったんですよね」
 吹雪は神妙な顔で答えた。
「オレ年越した瞬間に地球上にいなかったんだぜっ、てネタ」
 カスカさんは串を刺したひっつめ髪を横に傾けて唸った。
「何それ」
「実際はジャンプするんですけどね。いえ、こっちの話です」
「...やっぱり姫様とそっくりよねぇ、そんなところ」
 嘆息して納得するカスカさん。

(ただよし 正月編2)
Replay
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■2006年01月01日(日)  正月で
した。
おせち喰わなかったんだよなあ、この日。

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「では、あけましておめでとうございます」
 比沙は、時計の針が12を過(よ)ぎったのを確認して、こたつの三人に新年の挨拶をした。
「おお。今年?もよろしくな」
「うむ、よろしく頼む」
「どうも」
 ちなみに、カイ、フブキ、トールである。
 テレビも見ないずいぶんしんみりとした空気であるが、その場に集った4人の異世界人は特に気にした様子でもない。
「では、お雑煮でも食べますか?」
「雑煮かぁ。今年はあっちでも食べられるかな」
 トールがしみじみ呟く。
「興味があるけど、遠慮しとくよ。さっき蕎麦食べたばかりだし」
 ではと、比沙はフブキを見たが、
「む、遺憾だが吾(あ)れも貴意には添えそうもない。この躰で暴飲暴食するのも憚られるのでな」
 ザルに山積みされた蜜柑を掴みつつそんなことを言う。
「蜜柑は食べるんだな」と、これはカイ。
「こちらの世界の蜜柑は甘いのう。苗を持って帰りたいほどだ」
「わかりました、ではおやつを増やしましょう。カイ」
 比沙が人差し指を立てたので、カイは三本指を立ててみせた。
「はい、お餅三つですね」
 コタツから足を出して立ち上がる。
「ああ、」 コタツ布団を整えながらカイは比沙を見送る。
 とたん、フブキとトールが顔を見合わした。
 トールは「ふうん」 と、微笑んで、
「いい仲だね」 と濁りの混じった眼鏡を上げる。
「馴れすぎじゃ」
 一方、フブキは面白くなさそうに、コタツ布団を深く被る。
「うぉ、蹴るなフブキ」
「君はあれだねぇ。夜宮さんの躰だと遠慮無くガサツになるよね」
「って、そういえばお前ら。亨と夜宮さんはどうなってるんだ?」
「あっちで思い思いにやってるよ。最近じゃそれぞれ自分のやりたいことを見つけたらしくてね。忙しい代役の合間を縫っては精力的に動いてるよ」
 トールは肩をすくめて、
「まったく、それに比べて僕らときたら。こうして、与えられた自由をただ自堕落に貪るだけなんだから」
「ネイティブじゃな」
「ネガティブな。いや、俺が聞きたいのは...」
 訂正しようとしたカイを、トールとフブキは目で制した。
 わかってるとばかりに、
「亨は一人暮らしだから問題ない。年越しのイベントもさして興味がないようだ」
「片割れも両親から泊まりの許可を貰っておる。色気もないから、どうせ心配していないと言っておったが、さてどうだかのぅ」
 何が面白いのか、含みを持った表情でほくそ笑む。
「ああ、それと一度あれをやってみたかったとか」
「それに、一遍あれをやりたいと言っておったか」
 二人のカイの親友は、同時にこんな事を言った。
 カイは「ふうん」 と一つ頷いてから、
「あれってなんだ?」

(ただよし「正月編」)

■2005年12月31日(土)  大晦日は
電車で一月一日の報告を受けました。
おめでとうございますという車掌さんの声は嬉しそうで、かえって客はハァとため息みたいな微妙な空気。
これ二回目だなあ。

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 残された吉泉幸輔はタワシを握りしめて、ぼさっとしていた。
「...何故」
 気だるげな目のまま立ち尽くす、が誰も相手にしてはくれない。
「く、この普通に親しい程度の友達の家に遊びに行ったら、たまたま誕生日パーティーをやっていたみたいな居心地の悪さは...いやがらせか、新手のイジメなのか?」
 声を張り上げてブツブツと吉泉。
 なんだか非情に気味が悪い。
「こらぁサボるな!」
 バケツと雑巾を取りに来た吹雪が見とがめて声を掛けた。
 再度何かを言おうとしたが、吉泉がほっとしたような表情で吹雪を向いたので気勢を削がれて、怒鳴るのをやめる。
 こそこそと近づいて。
「えっと、もしかして何も言われてないとか?」
「その通りだ」
 憮然とした表情。
 先ほどすがる子犬みたいな顔をしていただけに、なんの迫力もない。
「ん〜わたしが言うのもなんだけど、こう言うときは自分でやれそうなこと見つけて参加しないと。多分、比沙先輩あんたを戦力に数えてないわよ」
「だろうな。至極もっともだ。得に知り合いでもない人間に、なんの脈絡もなく家に呼ばれてのこの事態だという事を覗けばな」
 吹雪は、難儀な人ねぇと心の中で呟きながら、
「わたしも似たようなもんだって。ああほら、ピアノ」
「なんだ?」
「あんた重いものとか重量気にせずに持ち上げられるんでしょ?
 率先してそれをやったら?」
「あるのか、ピアノ」
「物置に」
 ちなみに、その物置はここ数年全く使用されていないと言う。
 おそらく今後も使われることはないだろう。
「あるのか、開かずの物置をわざわざ開ける必要」
「無いわねぇ...」
 首を傾げる吹雪。
 吉泉は、舌打ちをして吹雪の入ってきた方角、玄関へと歩いていく。
「どうするの?」
「庭掃除。あの部長じゃないが、人の巣をつつくのはどうもな」
 扉の前のラックからコートが浮かび、吉泉の肩に掛かる。
透明の執事が、コートを広げて被せたみたいな奇妙な光景だが。
「掃除はするあたり、律儀よね」
 吹雪はただ嘆息して、テーブルのバケツを手に取る。
「なかなか個性的なボーイフレンドだね」
 ずっと、倒れていた丸山亨が復活してそんなことを言ったので、吹雪はバケツを投げて亨の頭に被せた。

(ただよし、大掃除編:完)

■2005年12月30日(金)  みそか
オールザッツ漫才がありました。
きんに君最高!

オールザッツザッツオール!


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(ただよし。大掃除編)

「さあ皆さん、そろそろ始めましょう」
「さあって...」
「言われましても」
 比沙が手を叩くと、屋敷に呼ばれた4人の高校生は口々に不満を述べる。
 ちなみに、先の言葉は丸山亨と夜宮吹雪である。
「長月さん。根っ本的な話するけど、なんで?」
「亨さんはガラスを拭く技能が備わっていそうなので、窓を頼みます」
「それは僕がメガネだからだろうか...あと、亨さんは勘弁。殺される」
「了解しました丸山さん。では、お願いしますね」
 微笑む、比沙。
「は、はぁ。わかりました」
 比沙に対しては特別な感情はないものの、そこはやはり至高の偶像である。
 誰だって、美女に笑顔で懇願されれば弱いのだ。
 テーブルに置かれた新聞紙と窓ふきスプレーを手に持とうとする亨を、吹雪が横から盛大に蹴っ飛ばした。
「流されてどうするんですかっ。
 比沙先輩っ! 先輩にはお世話になっていますが、それでもいきなり呼び出されて掃除を手伝えは無いんじゃないでしょうか?」
「夜宮さんは、二階のゲストルームをお願いしたいのですが」
「うっ...」
二階のゲストルーム。
 そこは別名「フブキのお泊まり部屋」 と呼ばれている。
「なにやら私物が増えてきたみたいなのですが...私の一存で片付けるわけにもいきませんので、夜宮さんにお願いしようかと」
「そこでわたしが出て来るあたり、いろいろ間違ってるんですけど...」
 ぶつくさと文句を述べる吹雪であったが、しぶしぶ三角巾とエプロンを手に取る。
「比沙先輩って、妙に形から入りたがりますよね...」
 三角巾を頭に巻きながら、リビングを見回す。
 先だって似たような格好で、卯月先輩が掃除機を掛けていた。
 フブキには見せられないわね、とぼやいて、吹雪は二階へ上がろうとする。
「ほら、なにやってんの。亜里抄も付いてきなさいよ」
「わしゃあんたの子分か」
 と、座っていたのに何故か立ち上がりながらつっこみを入れたのは、亜里抄である。残る2人の内の一人目だった。
「まあ、いいけどな。愛の巣つつくより客間でも掃除する方が気が楽っちゃあらくだし」
「はいはい、ツッコむ人いないから。さっさと上がってきなさい」
 そんなことを言う吹雪は既に玄関方面へと歩き始めていた。

 
 







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<-neo / vin->
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01月30日 The Bank Robber them Vanished.
29日 鼻歌。
28日 濡れたアスファルトを走った。
27日 金曜日。
26日 いまさらな話。
25日 朝になったら迎えに行くよ
24日 透明な翼広げて、
23日 灰原の時も変わってたんかな。
22日 日曜日。
21日 人は誰でも一つの太陽
20日 夢に見た楽園まで
19日 セカンドオーケストラ イントロ
18日 キャストロールフラッシュ
17日 ブレイド系は発売時期が解らない。
16日 ガンオケファーストプレイ
13日 十三日の金曜日。
12日 12日。
11日 ハッピーラッキー
10日・ぎゃーまただ。
09日・ラスト。
08日・ん、追いついたかな。
07日・なんか
06日 追いつけ。
05日 それはともかく。
04日 エントラ。
03日 巻き返し。
02日・この日は。
01日 正月で
12月31日 大晦日は
30日 みそか