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■2005年12月29日(木)
幾千万の貴方と私で、
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| ガンオケ白、というか大絢爛舞踏祭の1シーンの挿絵です。 背景も描こうかと思ったけど、何をどう描けばいいのか解らず断念。 マンガは奥が深い。
石田なんか描きやすいなあと思ったら、うちの比沙と描き方がほとんど一緒なんだ。 | | |
■2005年12月28日(水)
天嶮、空を穿ち、夢遙かに伸びゆく。
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似ないなあ。 マンガのキャラをイラストに起こす場合どうしても似ないという現象が起きます。 理由は簡単で、キャラの特徴を掴んでいないからです。 逆を言えば、掴んでさえいれば似ます。 富樫調でサトシの絵を描いても「ああ、サトシだな」 と思うのはそのためです。
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遊戯王GX
カイザーのはっちゃけっぷりが最高でした。 「5連打ぁ!」 はいいなあ。 | | |
■2005年12月27日(火)
大阪では何体か倒したそうだ。
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「大阪では何体か倒したそうだ」 と言う台詞が宇宙戦争で語られているそうです。
なんでも大阪ではゴジラやガメラが何度も宇宙人を倒してるんだそうで。 寡聞にして知らんが、面白い台詞だなあ。 この台詞のためだけに宇宙戦争見てみたい。
洋画はたまに面白い台詞があって好きです。 個人的に好きなのは 『ラストサムライ』の「ナーンセンス! フルアタック!!」と、 『アルマゲドン』の「ロシアもアメリカも使ってる部品は同じだ! 台湾製だろ!!」
あと「プランだ」
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ガンパレード・オーケストラ白より石田&谷口。
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■2005年12月26日(Mon)
そーれかっとばせ
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M−1を見ても思ったけど、客の爆笑と同時に拍手が鳴るあれはなんとかならんのだろうか。 なんか地味にうざいというか。 いやまあM−1の拍手はそれ程じゃなくて、面白すぎて思わず手を叩いたみたいな風味だったけど。 笑っていいともとかになると、笑うと同時に拍手するみたいな感じだからなあ。 なんかおかしい。
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高度3776m上空を歩く少年。名を新庄ハバキという。 種族は刻の賢者――この世界の霊長類である。 が、その発見例が極めて少ない、個体数が確認されていない、繁殖もしない、そもそも国によっては存在すら認めていない、もしくは神仏の如き扱いを受けている、と生物のカテゴリーとして認めるか否かすら疑わしい存在であるのが、刻の賢者の現状であり未来なのだが。 だが在る者は在る。それが、新庄ハバキだ。 彼は、今にも崩れ落ちそうな櫓で膝をついて失意に崩れている少年を、つまらない者を見るかの様に見下ろしている。 もっとも彼は、もともとがそういう目をする少年なので、実際にどう思っているのかは定かではない。 斜陽が人型の影を造り、少年を覆った。
「その櫓。」 空から降ってきた影が、ヒュウイに騙りかける。 「あと、5分で崩れるぞ」 その言葉には反応しなかった。 1分ほど待ってから、 「ハバキさん。昨日は、すみませんでした...」 「そうか。だが生憎、何を謝っているのかが検討がつかない。謝られることに権利を主張するわけではないが、許すかどうかの判断が付かない。説明ぐらいはするのだな。何がすまなかったのか」 つっけんどんで、皮肉めいた言だったが、ヒュウイは吐き出すように、 「頼っちゃ駄目だったんです、俺が償わなきゃ駄目だったのに。ハバキさんならスー姉を治せるかもって思った瞬間に...逃げてるだけっすよ、こんなの」 答える。 「スー姉をなおして、俺は自分がした過ちを無しにしたかったんです」 ハバキは身じろぎもせずに立っている。 目蓋を落として口を開き、 「...おまえの愚痴は了解したが、結局、何故俺に謝るのかが解らん」 「でも、俺は自分のためにハバキさんを利用するようなことを」 「それのどこに謝る必要がある」 まだつっぱねる。 「人は人を利用しながら生きている。友人ならなおさらだ。些細な頼み事を聞いたり、困れば助け合い、時に我が儘も許し合う、それが友という者だろう。 利用し合わないともなど、ただの知り合いでしかないとは思わんか? 利用されたぐらいで謝られては、俺の立つ瀬がない」 2分が過ぎた。 「それと、俺は確かに非情で大半の悲劇は見捨てるが。それでも、友の頼みぐらいは安く請け合っているつもりだ」 まあ、その辺の平衡は当人にしか理解できないだろうがな、と、呟く。 その言葉が、失意にくずおれるだけのヒュウイに疑問の感情を浮かばせる。 顔を上げる。すると、ハバキさんは気むずかしげな表情で腰から飾りを取り出し、ヒュウイにつきつけて、 「この刀――【克己】は俺の作品でな。と言うか、俺の作品なら何でも【克己】だが...」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月25日(日)
そして魔の三日間へ。
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クリスマスって、なんで12月にあるんだろう。 11月とかにやれば経済も潤うのに。
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「ハバキって、基本的に人間不信の気があるっていうか、 まあぶっちゃけドライなのよ」 「見ればわかります」 「あいつはね、一応は刀鍛治に所属してて、あいつの持ってる刀――克己っていうんだけど、あれもハバキの作品で」 「へえ」 刀ねえ。ヒュウィなら食いつきそうだけど。 「うん、まあこの辺は興味ないでしょうけど、でもハバキの刀に斬れない物は無いってぐらいで、私らの中でも随一の刀匠...てことは、世界一ってことなんだけど」 まあ、それにも異論は無い。 ん万年も生きて世界一になれないほうがおかしい。 「ん。しらけてるな」 ミハルさんは頬をかいて、 「あるときね、そのハバキの刀が人間の手にわたっちゃったのよ」 声のトーンが低くなる。ここからが面白いぞ、ということらしい。 「原因は、ハバキじゃないわね。彼の作品の余りの出来栄えのよさを是非とも人間たちに知らしめてあげたい、って考えたどっかの馬鹿がハバキの作品を買って遊ぼうとしたのよ」 「買ったのですか」 「私たち相手には普通に売ってるからね。 逆に言えば、人間に与えることは絶対無かった。 だから、ハバキが事態に気づいたときには、そりゃもう激怒してたわ」 「怒ったのですか」 そうだと言ってるだろうとは思うが、反芻するぐらいしか相槌のパターンが無いのだ。 「うん。もう、爆発しまくり。爆弾岩でもあんな怒り方は無理って話よ。事件の張本人に至っては、ミクロン単位で短冊切りにされっちゃったし」 「あはは」どこまで冗談なのだか。「それで?」 「それでそれからよ。もちろんハバキは血眼になって自分の作品を捜したわ。 刀そのものは、十把一絡げのハバキが鼻歌交じりに拵えたものだから、大した力があるわけじゃないんだけど、それでも絶対に折れないし絶対に錆びない、なによりその刃に斬れない物は何一つ無い、と、人間側にしてみれば神の奇跡としか言いようの無い代物だったから。人間に余計な刺激を与えることを嫌うハバキにしてみれば、さっさと回収したかったんでしょうね」 どうでもいいけど、ミハルさんに「人間に」などという言葉を使われると妙にどきりとしてしまう。 「人間」と「私たち」そういう言い回しを普通に使われるあたりに、やっぱりこの人たちは別世界の生き物なんだなあと、打ちのめされてしまう。まあ、いいけど。 「――刀は、見つかったのですよね」 「うん、見つかった。」 ミハルさんは一拍置いた。うれしそうに、 「100年後にね。どこでどういう来歴たどったのだか、とある村でいつの間にか伝説の聖剣として扱われていたわけよ」 「ぶ」 「もう卒倒ものね。ハバキ血相変えて回収に行ったんだけど。一歩間に合わずに旅人が持ってっちゃって、そっからがまた面白いんだけど」 そこからかい。 どうやらまだ本筋にも入っていないらしい。 「いろいろ端折るけど、ハバキはその旅人が聖剣――刀だけど――を捨てたら回収しようと決めたわけよ」 自分ルールってやつね。と付け足す。 多分おそらく人間への影響云々が関係しての選択なんだろうけど、いろいろ難儀な人だなあ、ハバキさん。 「ハバキは空から、その旅人の一生を見守った」 「――結構面白かったみたいね。一度、ストーキング中のハバキと会話したことあったけど。扱いがなってない、それでは棒切れ振ってるのと同じだろうとかぼやいてて、妙に照れてるって言うか、むず痒い感じだったみたい。 旅人も結構面白い人間で、何でもきれる伝説の剣を持ってる割には、それに頼ることもなくて、たまに思い出したように振るう程度の、変な男だった。 そうそう、物干し竿に使うことのほうが多くて、それにも愚痴ってた」 自分の記憶を思い出して実況するかのように話すミハルさん。 「で、あるときね。旅人は呪われた少女と出会った。呪いの名は竜ガ狂フル病。ルーィなら聞いたことあるかもしれないわね」 確かに聞いたことがある。 いわゆる狂犬病の竜版とでも言えばいいのだろうか。 病原が菌ではない故に呪いだが、実際は病気に近い。 竜と呼ばれるモンスターを媒介に伝染し、これに感染した人間は“竜の如き力を得て後に、狂う” 解呪法は不明。不治の呪いだ。 もし誰かがこの呪いを受けたのなら、傍にいるものは速やかにその者を殺さねばならない。 末期にもなれば、発症者は身をも竜と化して狂いたけるからだ。 「少女は末期だった。旅人の目の前で最終的な発症――つまり、竜化を起こした。旅人は、その時にはまあ、なんていうか少女に尋常ならざる感情移入をしていたのね。少女の方も同じ」 つまり、恋愛関係にあったと。 「斬って、って言われたそうよ。旅人はもちろんできない...っと、この辺は省略して、旅人はある賭けに出た。 さあさぁ、ここでハバキ印の伝説の聖剣ですよ。 旅人は、少女を助けたいという一心の中でこう思った。 “この剣が本当に何でも切れる聖剣なら、少女の呪いすらも切り裂けるはずだ!”ってね」 「おおっ」それはなんだか熱いぞ。 ルーィは、物語を聞いているかのような気分で訊ねた。 「斬れたのですか?」 「斬れるわけ無いじゃない、」 ミハルさんは、ため息をついた。 「所詮刀は刀、そんな屁理屈みたいな力があるわけがない。 ――竜を切りつけた伝説の剣は竜を真っ二つに切断して少女を介錯してあげました。その後、旅人は剣を捨てて少女の住んでいた村で一生を過ごしました」 嘲り、いや違うか。ミハルさんの言葉には失望めいた感情が込められていた。 確かにそう、そんな奇跡があるわけがない。 ハバキさんの刀にしても、それは同じだ。 ただ旅人が、それを奇跡の産物だと勝手に勘違いして勝手に不幸になったに過ぎない。 いやな話だ。 だが、どうしようもない。 「そこでまたハバキがブチ切れですよ」 「...はぁ?」 「もうね、あほですよ。怒り狂ったんですね」 「えっと、なんにでしょう」 「もちろん、自分の作った刀に無理難題を吹っかけておいて、出来ないと知るや一方的に失望して刀を捨てたあほな旅人にです。 いや、あの怒りっぷりは洒落にならなかったわ。忘れられるなら忘れてしまいたい出来事ランキングでも5位には入るわね。寄っただけで斬られかけたもん」 「お」大人気なー。 「まさか、それで人間不信なんですか?」 「そうよ。あれ以来、機嫌損ねちゃってハバキは槌を打つこともなく、高度三千メートル上空をとぼとぼ歩いているわけよ」 ミハルさんは、こうまとめた。 「だからあいつは、人間に妙な期待を持たせるのが一番嫌いなのよ。自分が希望だなんて欠片でも思われたくない。だから基本的にドライ。見捨てるときは見捨てる。でも、」 そして、こう付け足した。 「お人好しなんだけどね、私よりも」 | | |
■2005年12月24日(土)
恋人はザンタクロス
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| メイ「さあさぁ、今年はわたしたちです」 タツマ「...君、クリスマスなんて行事を知ってるのか?」 メイ「失伝世界の伝統行事と聞き及んでいます。 なんでも、こに日にはサンタクロースという赤い服の老人が、 煙突から不法に進入してくるそうです」 タツマ「ほう、そいつは穏当じゃないな」 メイ「煙突が無くても排気ダクトがあれば進入してくるそうなので 気は抜けません。 進入したサンタクロースは枕元に隠匿された、 子供達の切なる願望が書かれたメモを暴き内容を採取します」 タツマ「個人情報を盗み見するわけだな。ますます穏当じゃない」 メイ「そして、ああなんということでしょう。 サンタクロースは子供達の靴下に袋から取り出した箱を、 ぎっしりと詰め込み逃げていくのです。 子供達は朝、眠い目をこすりながら気づくのです。 自分の靴下が巨大化していることに。 そして絶叫するのです――サンタが来たー! と」 タツマ「まあ、それはともかくだ。なんでそんな格好なんだ?」 メイ「...(つまらなそうに)ヒュアリィさんから頂いた物です」 タツマ「――妹の? ...ああ、そう言えば何かケーキ屋でバイトしていたな。 しかし、頂き物って言うのは...」 メイ「残業代の現物支給だそうです」 タツマ「んなもの支給されても...」 メイ「...? どうしました?」 タツマ「いや...君が持つと袋が別の袋に見えてしまうな」 メイ「・・・・どおいういみですか」 タツマ「深い意味はない」 メイ「なんだか、わたしという人格に不当な偏見を被ったような」 タツマ「気のせいだ」 メイ「そうだ、ケーキもあるのですよ。一緒に食べましょうね」 タツマ「それもヒューの現物支給か。あいつバイト代貰ったんだろうな...」
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メリークリスマス。 | | |
■2005年12月23日(Fri)
トランジ☆
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「あ、根本的な質問その1」 「はい、ルーィたん」 「...双国に攻め込むために増やされ続けた私たちなんですけど、 その双国、今人いないんですよね」 「あ〜言ったかな」 エピソード記憶は思い出しにくいんだよねぇと、ミハルさん。 「うん、言った言った」 「それは何故」 「過疎化ね。井の中の蛙大海を知ってひゃっほう」 「か...ひゃっほう?」 「まあ、過疎化なんて言葉知らないか。あとで教えてあげるわ」 図説で、と呟く。 教えるの好きなのだろうか。 「その2は?」 あるのかな。とたずねるミハルさん。 「ハバキさん、塔の破壊を食い止めたみたいなこと言ってたんですけど。 ――何故?」 「何故、と言及できるあたり、私らのことよく解ってるわねって褒めてあげたいけど」 微笑む。 「簡単に言うとね、依頼があったのよ。別の“私たち”から」 「塔を助けろと?」 3人目の賢者...ええいもう驚くか。 「ううん、自分の管轄内の“戦争”の余波が来るから、防いでねって感じ。 私はそれを伝えるメッセンジャーでもあったわけだけど」 「...それでハバキさんは塔を守ってくれたのですね」 「いやいやいや」 ミハルさんは首を横に振り、 「あいつはそんなタマなわけないじゃない。<敢無きもまた人生>とかニヒって物見遊山洒落込むに決まってるじゃない」 「え、依頼断ったんですか?」 そんなほいほい断れるものなのだろうか。 「命令でもないし、なんの強制力もないからね。 実際、ハバキが本気で塔を救おうと思ってたのなら、塔にはひび一つ付かなかったでしょうね」 「手、抜いてたんですか」 それはなんというか...刻の賢者にこう言うことを言っても仕方がないのだが、あんまりだ。 「抜いた、じゃないわね。最小限に留めたのよ。 まあ、あいつにそれをさせるのでさえ最高難易度のミッションだったけどね」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月22日(Thu)
黄身に逢いたくて。
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Gosick5 買いました。 今回は続き物だった模様で...相変わらず青春だなあ。
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「珍しいことに、塔にはヒエラルキーが存在しなかった。 これは褒めて良い点ね」 「はぁ...」 「まあ、権力がどこに集中すればいいのかという問題でもあったでしょう。 あなた達が崇拝のごとき扱いをしていた“設計者”は姿を現すこともなかったわけだし。 村長、程度なら生まれようも、政治家が発生するような環境ではなかった。 階層事に農耕や牧畜等に特色化して、互いに依存しなければいけない設計も見事ね。 まして、塔自体は冷暖房結界によって常春。衣と住に悩む必要はほとんどない」
それは、なんというか。
「かなりね、居心地の良い“楽園”だったみたいね」
その楽園が崩壊しかけている。 ミハルさんが用意した小型のモニターに、次々と壁面のひび割れや構造材の欠落箇所が映し出される。 それを元にしてミハルさんが複雑な計算式を白板に書いていくが、ミハルさんが悪いのか、それとも計算式自体がルーィには判別不能なのか、ともかくさっぱり理解できなかった。
「バベルの塔そのものが楽園だなんて、面白い解釈もあったものねぇ」
ミハルさんの見立てでは、塔が自然崩壊するのは半年後だという。 それまでに塔の住人は塔を逃げる必要がある。 しかし、どうだろう。先祖代々が築き今の繁栄を迎えた塔を、自分の生まれた故郷を、たとえ塔が崩れるからと言って放棄することが出来るだろうか。
「役割的にはむしろノアの箱船なんだから、いずれ降りなきゃいけないんだけどね。 開拓船に乗った住人が、未開地に着いたとたん船の方が快適だから船に戻ります――なんてあるわけ無いし」 「けど、塔の人たちの大半は、自分たちに与えられた役割を知りません」 「塔の役割ねぇ。結局これは、クロスボーダーが両国に攻め込む...ひいては中立組織として両国を仲裁する機関を作るための人材畑だったということだったんだけど...」 それはたいした問題ではない、と言うような口ぶりだった。 腕をつかねて、 「それをいまさら知ったところで、もはや過去の歴史でしかないから。 塔を建てる目的、なんてのは代を重ねた今となってはどうでもいい部類なのよ。 ルーィだって、そんな使命感がなければ仕事が出来ないってわけじゃないでしょ?」 「...そうですね」 よくわかっている。 その事実に少し驚いているルーィ。 刻の賢者なんて何万年もの生を受けている人でも、人間の人生観を見る目のズレは無いらしい。 「けど、それだと」 言ってることが矛盾しているような。 「ん、まあ。本質が矛盾してても、現実の人間感情は別物よ。だから、」 ミハルさんは、ペンを置いてぎこちないウインクをした。 「塔の住民は降りるわ。 大丈夫。これは推測じゃなくて、統計だから。 草が絶えて移動しなかった農耕民族はいない。 海が満ちて陸へ逃げなかった漁民もいない。 人間って、結局生きるために生きるものだから。 それが沈む船だと解れば、生まれ故郷だろうと――乗り捨てるわよ」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月21日(Wed)
君の前に続いてる道を 守りたいんだ全てを賭けて
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最近のネットカフェはあれ...住めるね。シャワーもあるし。朝になるとおかゆと味噌汁が出るという。 ソフトクリーム食べ放題は笑った。
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ぎぃ、 櫓は揺れる、もともとそう丈夫に造っているわけでもない。 「なんだよ、なんなんだよ...」 少年が呟いている。 誰も声を掛けない、誰も肩を叩かない。
悪運さながら生き残った鳶達は、一人を残し天上からの脱出プランを練った。 とはいえ、内部へ続く階段が十m以上もの瓦礫に埋もれているのでは、外側から逃げるより他に術はない。 「しかしどうやって、岩登りの装備なんてここには」 「そこら辺の物で代用するにしても、そもそも、岩登りの知識なんて」 「それに、立つこともままならない怪我人だっている。背負って行くのか?」 鳶が口々に意見を述べる。 『...スーの、使っていた、道具なら』 『駄目だねぃ。あれには魔力と知識が必要なのよん』 「D・J。メンテの奴らは来れないのか?」 『それは期待しない方がいいやねぇ』 「どういう意味だ?」 『一応、生存者がいることは伝えたけどね〜』 軽薄に答えるD・J。 『奴らは奴らで結界設備の復旧でてんやわんやなんよ。 まあ、ほっとくと塔そのものがイっちゃいかねない状況っしょ? 正味こっちまで手を回せないって言うかぁ』 『D・J。まじめに、話して。みんな、必死なのよ』 「構わねぇよ、スー。適度に気が抜けていいわな」 「だいたい、D・Jはここにいる誰よりも年長だろうが。 別に失礼でもなんでもねぇよ」 むしろ気が立っているのはスーベリーアの方だろうと、生き残った鳶達は気づいていたが、それには言及しなかった。
「あれ、ハバキさんは?」 本棚のある部屋に戻ると、ミハルさんがソフトクリームを食べていた。 「帰ったわよ。ここにいると、呪いの時効が延びちゃうから」 「帰った? 塔にですか」 「別に塔だけがあいつのフィールドじゃないけど。そうね」 そうだ。なにも塔だけがあの人のテリトリーではない。 塔なんてのは、普通の人にとってはただの高層建築でしかないのだ。 なんとなく思い知らされる。 「ヒュウイ達がどうなったかとかは、聞いて良いですか?」 「いいわよ」 ソフトクリームのコーンを口に放り込んで、白板に歩き出すミハルさん。 「あの、できれば板書以外で...」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月20日(Tue)
トロメアテロメア
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超獣戦隊ライブマンってのがありまして、新メンバーが後半で加わる(当初3人だった)と言ったパターンや、超巨大ロボの登場とか、のちの戦隊シリーズに多大なる革命をもたらした戦隊モノだったりします。
このライブマン、何故か島大輔や西村和彦が演じてたり、緑と黒の暗色メンバーが二人いたりといろいろとツッコみどころはあったりしますが。 そのメンバー、実在の獣をモチーフにしているんですね。
赤=レッドファルコン 黄=イエローライオン 青=ブルードルフィン 黒=ブラックバイソン 緑=グリーンサイ
サイって!
他のメンバーファルコンとか、バイソンとかみんなそれっぽい名前なのに。
サイかよ。
てか、
おまえだけ日本語かよ!
いや、そんだけです。 現在ライブマンは東映で有料配信されているはず。 グリーンサイは後半にならないと登場しませんが、名乗りのポーズがまた珍妙です。 「グリーンッサイ!!」 妙にあっさりした言い方がナイス。
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「本が好きなの?」 「いえ、そんなには...」 ただ、あの塔で最大限に広がりを持つ趣味が本読みであったと言うだけだ。 塔の図書階層。文献を読む限りでは、国立図書館よりは蔵書数で勝っていたらしいが、中身と言えば大半が取るに足りない物語本だった。 学術等の専門的な知識書は数えるほどもない。 「何を極めようにも、初心者本しか蔵書されてなかったから、もう諦めて本を読むことに徹してたんです」 いずれ、塔の外へ出たかったから。 「ああ、本を知ることが趣味になっちゃたんだ。概論ばかりの記述から魔術はおろか塔の秘密まで解析しちゃうなんて、そりゃあれだね、」 ミハルさんは、一呼吸を置いて。 「わたしみたいだ」 連れられて廊下を歩いていたが、ひどく見覚えのある扉の前で足を止めた。 ルーィは、立ち尽くして目を見開く。 「...ここ、」 「さ、ついたよ」 ドアを開くミハルさん。 やはり見覚えのある光景が、そこにはあった。 「――うそ、私の部屋...」 広さも、狭い間取りも、扉の造りも、目覚まし時計とノートと借りてきた本とビー玉が転がる床も...塔最上階の自室そのものだった。 「ありゃ。地震でやられちゃってたかな」 「いえ、もとからこんなもんですけど」 「なんか、借りてる本もあるみたいだけど、まぁいいや」 ミハルさんは、そう言って散逸している本を集めてベッドに置いた。 置いた本の上には真っさらの革手帳。 読め、と言うことらしい。 「いいんですか?」 「友達の友達はみな友達。いいってことよ」 何が?とも聞かず簡潔に答えるミハルさん。 どこかD・Jに似てるかなと思った。 「まあ、100年つきあうぐらい迷惑でもなんでもないわよ。気にしない気にしない」 「そこまで生きちゃいませんが...お言葉に甘えます」 「てかね、ルーさん」 肩をぽんと叩かれる。 「君は、ハバキの言葉にうろたえなかった。というか、何故とも思わなかったんじゃない?」 「ええ」 それは確実だ。 どのみち死んだと思われてるだろうし、別にいいか、と思った程度。 「何故驚かなかったのか。それは、あなたが知っていたから」 断言だった。 「予測して、待ち受けていたから、驚かなかった。違う?」 「...どうでしょう」 残念だが、ミハルさんの推理ははずれである。 「予測まではっきりしたものはしてませんでした。 ミハルさんが空のドアを閉じたとき、何となく嫌な予感がして...だからハバキさんの言葉を聞いても妙に納得しちゃって。それだけなんですけど」 「おや、元から肝が据わってたパターンか」 それもあるか。と呟く。 「いずれにしてもね。ルーやん」 ルーやん? 「あそこで、驚かなかったヤツは見込みがある。それは間違いないよ」 「そう、なんですか?」 「多分ね。標本が足りないから断定はできないわけど」 「足りないんですか」 数万年も生きているのに。 頷くミハルさん。 「驚いた人間って見たこと無いのよね、滅多に」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月19日(Mon)
ナイツオブファイア
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復活したてでなんですが、今週の斬鬼さんの全裸には豚汁噴いた。
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『ヒュウィ...』 「駄目だな、俺。空回ってばっかりだよ、スー姉」 半ば自暴自棄になって、ヒュウイは夕日を見た。 踏む足場が揺らぐ。 崩壊間際の双国管理塔が夕日によく映えていた。 「もうだめだ...スー姉。何とかしたかったんだ。恩を返したかった。何度も詫びを入れて、そのたびに笑って許してくれたけれど、それでも...変らなかった」 諦めた顔で、ヒュウイは氷点下の風をその身に受けた。 「でも、そうこうしてたら、今度はルーィまで...どうすればいいんだよ」 スーベリーアはぼんやりとヒュウイの横顔を見ている。 紫色の唇が震えていた。 「あんなことして、勝手に死んで...死なれたら、俺、何も出来ないじゃないかっ!」 慟哭する。 スーベリーアは、目を閉じた。 開いてそれから、足場を確かめて、縄ばしごを掴んでゆっくりと降りた。
『良かったの? なんか、物凄くこぶしが震えてるけど』 縄ばしごを降りたスーベリーアは首を振った。 『ルーィなら、どうしたと思う?』 『まぁ、よくわかんないけど...殴ったと思うよ。ルーィだから』 『そうね。でも、』 スーベリーアは今は亡き年下の友人を思った。 『あの子は、殴らないで、くれたから』
「さて、」 新庄ハバキはティーカップを置いて、片目を開いて友人を見た。 「だいたい解ってると思うが」 「はい、なんでしょう?」 「ローシャリン・ルーィは既に死んだ」 「は、はぁ?」 「つまり、おまえはもう死んでいる、ね」 「ミハル、少し黙ってろ」 はぁいと、のんびりした返事のミハル。 ルーィはというと、事情が全然飲み込めていない様子だった。 「悪いが、君にはココとは別の世界で生きて貰う。希望は訊こう。但し、君の知る者にはもう二度とは会えない――」 目をぱちくりさせて、ルーィは今の言葉を反芻した。 ミハルさんに目を向けると、彼女は目を細めながら板消しで白板のインキを消していた。 どうでもいいが、チョークが飛ぶわけでもなし目を細める意味は全くない。 ルーィはもう一度、ハバキを見た。 「あっと、その別の世界って...」 「別にどこでもいい。大陸の外だろうと、宇宙の外だろうと、世界の外だろうと」 「いえ、そこまではいいですけど...」 「質問なら何でも聞くぞ」 「いえ」 既にルーィの聞きたいことは一つしかなかった。 「ここは、だめなんですか?」 見渡す限り本ばかりの空間を、ぐるりと指さす。 するとハバキさんは、ミハルさんをちらっとだけ見て、 「ではここだ。」 「頷くまで待ちなさいよ...」 「待ったぞ、ちゃんと、」 ハバキさんは、もう何も言うことはないなとばかりに目を閉じた。 「頷く気配が出るまでだがな」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月08日(木)
ハートスランプふたりぼっち
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ちょいとお休みします。 次の復活は〜12月中旬ぐらい。 | | |
■2005年12月07日(水)
わらわの暗算解いてみよ。
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| 携帯刑事シリーズは毎回笑えるなあ。 なんというか、無理してシュールな空気を造ろうとして空回っている感じが。
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「細かすぎて伝わらないモノマネ〜!」 「おー」 「ケーキとコーヒーをテーブルに持って行こうとしたけど、途中でコーヒーが思ってた以上に手の中で熱くなってきて賭に出て走るけどテーブルに置くときに熱さに耐えきれずに乱暴において結局コーヒーをこぼしてしまった男のモノマネ〜!」 「コマケー」 「よいしょ...っと、アツアツイアツイアツイアツイどいてどいてどいてってって、あっつーーーーあーーーこぼれてもぉた!! 布巾ふきんふきん取ってはよ!!」 「似てるーー」
(終わり)
アルファシステムで大絢爛舞踏祭発動中。 アルファの掲示板総出のクイズゲームだったりミッションゲームだったりでとにかくお祭りですな。 既に世界の謎チームが脱落してるのが残念だけど、目が離せませんな。 現在、地球外周を変な軌道を描いていて迷航中の水の巫女を、リアリティのある小説を作って救え、と言うミッションに、式神1・2の10億点以上のスコアデータ提出、精霊機導弾(ガンシュー)クイズの三つが展開中。 アルファファンが総力で挑まないとクリアできないなあ、どれもこれも。
「Aの魔法陣(TRPG)」 「絢爛舞踏祭」 「ガンパレードマーチ」 「式神の城」 「世界の謎掲示板」 | | |
■2005年12月06日(Tue)
聞こえないから登っていくのだ。
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あれはあれであれか。 水戸黄門、黒の布袋編終了。 印籠のシーンがいつもの1.5倍速ぐらいの巻きで笑った。
にしても、アキ様は別に何もしてないよなあ。
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テニプリが神すぎる。 何あれ、発光して、無表情で、空中浮遊しているよ。 しかもそれだけ超変化してしておきながら、鳳のネオスカッドサーブは返せてないというシュールさ。 菊丸・大石「...」 鳳「う、うわああああああああ!!!」 無言で中空に漂う二人――いや、今やひとりのプレイヤーと化した黄金ペアに威圧され、半ば恐慌に陥りながら鳳はネオ・スカッドサーブを放つ。
ズパァンッ!
審判「イン! 15-0氷帝!!」 菊丸・大石「...」
恐えええええええええっ
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ドラクエモンスターズ+ かぁ。ケロロというかエイトの人ですね。 一時期看板になってたなあ。ハガレンが始まった頃に急に終わっちゃたんですよね。なかなか不意打ちでした。 ロランとサトリとあと犬のトリオが出てきたあたりが面白かったなあ。
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風に煽られて屋根が飛んだ櫓の柵に、彼は座っていた。 日が傾いて赤みを帯びてきていて、彼の背中を赤い輪郭を照らしていた。 櫓を登ってきた振動で、彼――少年は自分の存在に気づいているはずである。 けれど、少年――義弟は振り向きはしなかった。 「ここでハバキさんに掴みかかって、ひっくり返されて、」 義弟――ヒュウイはの声は遠い。 「それがつい昨日のことだったんだよなぁ」 声が細い。泣きはらしたせいだろう。 「やばい、まだ全然リアルだ。なんでかここ、ほとんど無事だし。夕日なんてそのままだし。降りたらまた明日も仕事が早ぇーから、とっとと帰らないとなあとか、気ぃ抜いただけで、思ってしまいそうでさ」 『ヒュウィ...』 「それに、そろそろ帰らないと、またうるさいのがここまで迎えに来て、早く帰れとか怒鳴って、櫓の柱を揺れるぐらいに蹴り入れて」 頭が下がり、ため息が漏れる。 「オレなんて、まだハバキさんにも、スー姉にも謝ってもないのに...」 スーベリーアは、何も喋らずに彼に近づいた。 足を一歩進めたとたん、床板が抜けた。 『ひゃぁ!』 「! スー姉っ!」 叫ぶより早く、ヒュウイは振り向いて柵から飛び降りた。 が、その時にはスーベリーアは既に抜けた足を慎重に引き抜いていて、柵に体重を預けていた。驚いては見たものの、たいしたことはなかった。 逆に、飛び降りたヒュウイの方が床板を踏み抜いて、片足を太ももまで沈めるという失態で、慌ててスーベリーアは柵を掴みながらヒュウイを引っぱり上げなければならなくなった。 『ひゃあ、ひゅ、ヒュウイ大丈夫!?』 「な、なんとか」 木々の隙間からゴワゴワの防寒ズボンで膨らんだ足を引き抜き、ヒュウイはスーの手に引っ張られて柵にしがみつく。 それだけで息も絶え絶えに荒い呼吸を繰り返すヒュウイに、スーベリーアも息を切らしてそれをじっと見続ける。 スーベリーアの呼吸は収まってきたが、ヒュウイの呼吸はいつの間にか嗚咽に変っていた。弟は柵を抱きしめて、必死に顔を見せないようにして、泣いていた。 「なんなんだよ。なんで、オレこんな...助けて貰ってばっかりなんだよ」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月05日(Mon)
がんばっても明日ってところだな。
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| 師匠、その2。 最近更新していないただよしの挿絵にしました。 テニプリやツバサとか見て思うんですが。 女性受けする人の男の絵って。頭身があり得ないぐらいのバランスを誇ってますね。10頭身とか。
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モンスターズのテリーは夢の世界のテリーでダークドレアムらしい。 魔王デスタムーアを倒す王子の物語の最後、現実世界のテリーはダークドレアムと邂逅し、融合する。 そして、モンスターマスターの頃に研究していた進化の秘宝の力を使い、魔王エスタークとして世界に君臨する...
とかなんとか。
真偽はともかくとして(多分明かされないだろうし)、すっげえ。 ブルッと来ましたね。
ところで7と8って物語は繋がっているんでしょうか。 自分は8しかやってないのでいまいち解らないんですが、龍神とか7にもあったのかな。
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「何故、双国が第三国を気づいたかっだって? おおっと、そいつぁ言えねえなあ」 「知らないからな」 ハバキさんが絶妙のつっこみを入れた。 「知らないのに、知っているのですか?」 「見たが、解らなかった。自分とて、端から観察しているだけでは確認はしておらん。ミハルも過去の文献を寄せ集めて把握しているにすぎない。誰かが取材したりレポートを取ったというわけではないのだ」 「推測は出来るけどねー...しないけど」 まあ、それはともかく、双国管理塔はライオアークとアーガス両国の承認・管理の下に造られ、最終的にクロスボーダーの民を両国に敵対する第三勢力として君臨させる役割を与えられた。らしい。 「まあ、なんでそんなことになったかなんて、当事者の頭の中覗かないと解らないんだけどね。でもまあ、当事を生きる人間にとっては、それが素晴らしい考え方で、それだけが二国のいがみ合いを解決する最善の手だったのよ。わからないけどね。 ...想像なんて出来ないわよ。わたしたちだって無理。 こんなのは、実際にその場に立たなきゃ発想できないもの。 だから端から見ている人たちには、なんのこっちゃさっぱりで想像力たくましく与えられた過去を見て推理するんだけど。まあ、世の中そんなもんよ。わたしに言わせれば歴史の教科書の半分は妄想で出来ていると言っても過言じゃないわ」 「まあ、全てひっくるめて余談ではあるがな」 「そうですね。...結局私たちなんて何で塔を建てるのなんか全く知らないで、知ろうとしないで。それでも一生を掛けて建てていたんですし」 「ん、それを言ったら大抵の仕事はそんなもんなんだけどね。でも、」 意味ありげに、ミハルさんはこちらを見た。 「それが我慢ならない人間ってのは、どこにでもいるのよ」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月04日(日)
カサブタだらけの情熱を忘れたくない
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| カイの師匠ものっけておきます。 見た目の年齢は16才ぐらい。 ちなみに、タコヤキに出てきた賢者はこいつです。 彼の呪いは体感時間が45億倍になるというモノで、まあわかりやすいっちゃわかりやすいですね。 刀をホウキのようにして飛ぶ趣味がありますが、浮くのは鞘のみです。 呪いのせいですすんで動きたくないというか、極度のめんどくさがり屋。 | | |
■2005年12月03日(土)
アジアを代表するスタッフキャストが大結集
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| 祝・式神の城3公式稼働発表
というわけで美姫さん。仁王剣は適当。 ひっつめがみがいい感じですな。イズミ師匠っぽいと思っていたら、声がエドなんで笑った。惚れそうだw 今回はコータロー落ち込み気味ですね。 ニーギさんいたら一発で治りそうなのに。 コータローと言えば、ガンオケの小島コウはコータローの同一存在のような気がするんだけど、どうなんでしょうね。うん、わからんw
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ウェブクラップで誤字訂正があったので感謝。 気を抜くと酷いな...
ここのところ、いろんなパロネタを入れていますが、刻の賢者は基本的にかめはめ波という言葉を使っていい人種なのです。使える奴もいるし。 だからまあ、多分これからもどんどんと(笑) | | |
■2005年12月02日(Fri)
1番から5番に強烈なラインを作った!
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地上波デジタル放送のことは、地デジと言うんですが、もう少しましな言い方はないものかと。 いいにくい。コロラド州なみに言いにくい。 それはともかく、一日経ったとたん各局アナウンサーの 「ファン・カルロス・ピサロ・ヤギ」 の発音がやたら早く滑らかになってたんですが、あれは練習したのだろうか。 まんぎょんぎょん号のときにさんざん笑われたとか。
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南のアーガスと北のライオアーク、そしてその二国を両断する「大地を這う蛇」 に、それぞれの首都を結ぶ線と「蛇」 の交点に存在する街、クロスボーダー。そして、そこに立つ「双国管理塔」... 「二人なら、塔がどういう目的で建てられたのかとか御存知ですよね?」 こんなことを質問しておこがましくはないだろうかと思ったが、言ってしまったモノは仕方がない。 幸い、ミハルさんは気にかけた様子もなく、再度むやみに黒くなった白板を消しながら、 「たしか、二つの国が共同で橋頭堡っていうか監視塔を造ったとかだったわね」 ほっとしながらも、わたしは頷いた。 つまりは、二つの国が管理し、二つの国を監視する為の塔を建造するのが塔建設の目的なのだ。 この地に首都まで見渡せる塔が立てば双方とも迂闊な動きは出来ない。そこに両国の監視者が住まえば、不意に攻め入ることは出来ない。 そのための塔、双国が管理し双国を監視するための塔。 二国が少しだけ仲良くしようと歩み寄り掛けていた時代、その塔の計画は二国を代表する建築家達と考古学者によって実施された。 「塔の人たちは、双国を管理監視する塔だと思っていたようですけど」 「クロスボーダーによる中立国プランって奴ね」 また頷くわたし。 「聞いたことがあるな」 ハバキさんも、話に乗ってきた。 中立国プラン。当時、クロスボーダーの町人はライオアークとアーガスどちらにも属していない、つまり中立国的な立ち位置にあった。 双方の国は、どちらかが街に攻め入ればもう片方がすぐに攻め入ることが自明であったため、迂闊に占領することが出来なかったのだ。 このどっちつかずの状態に一番まいっていたのは当のクロスボーダーの人たちだったらしい。彼らは特に望んでもいないのに中立を演じなければならなかった。逃げようにも街を挟んでいる国のどちらも彼らの入国を認めなかったのだ。 双国にしてみれば、彼ら中立の人間がクロスボーダーに居座ってくれていた方がありがたかったのだ。占拠しようものなら相手国にすぐに攻め込まれるし、だからと言って宿場町としてのクロスボーダーを空白地帯にするわけにも行かない。さらに言えば、いつ占領されるとも知れない土地に自国の民を住まわせるわけにも行かないしで、中点の街に中立の人間が存在するという構図が一番望ましかったのだ。 しかし、彼らにしてみれば迷惑な話だ。いつ占領されるかもしれないのに逃げることも許されない。逃げようとすると壁の外で待ちかまえている近況警備団に追い込まれるし、そもそも逃げる当てもない。 かといって武装蜂起して新天地を求めようにも、いかんせんこの中立の街の人間は数――兵力が少ない。増やそうにも、移民や二国からの協力者なんてのは望むべくもなく、人口を増やすにしても時間は掛かるし土地もない。 「そのため、当時クロスボーダーに住んでいたとある設計士は、大地を這う蛇によって護られた箱庭――ネコの額のように狭い土地に高層ビルを建て、そこに人を住まわして戦力を増やそうと目論んだ。監視塔という偽りの役名をつけ、中では兵力となる人員を、質・量を併せ蓄えようと目論んだ。 ――そう言い伝えられている。いつか蜂起するときのために、とな」 それが、双国を管理し監視する塔の目的、そして塔の住人達の描いた物語。 けれど、この話には穴がある。 簡単な話だ。どう考えても、クロスボーダーの人間が、当を建設するだけの予算も材料も集められるはずがないのだ。 だから―― 「実際は両方とも違うのよね〜」 と、ミハルさんは1,2と書かれていた文字に大きくペケをつけた。 「え、そ、そうなんですか?」 だから最初にミハルさんが言った1こそが本来の目的なのだと結ぼうとしていたルーィは、間抜けな声をあげて聞き返した。 「双国が管理する、双国を監視するための塔っていうのが最初の1で、塔が双国を管理して監視するためのっていうのが次の2ね」 どうでもいいけど、1,2じゃなんのことだか解りにくい。 「でもこれは両方とも違うのよ」 一度文字を消して、塔、二つの国、クロスボーダーと白板に書いてそこに矢印を何個も書いていくミハルさん。 書きすぎて、何が何をあらわしているのかがよくわからない。 気づくとD・Jの昼メロよりも複雑な四角関係ができあがっていた。 「もう書かなくていいから、口で言え」 「はげしく同意します」 「...」 舌打ちが聞こえた。 意外と気の荒い人なのかもしれない。気をつけよう。 「わーったわよ。正解は、双国が管理して監視する塔。全く逆位置ね。ルーィはいいところまで掴んでたんだけど...まぁ、騎士団に所属していたのだとしたらそこら辺がギリギリだったかもしれないわね」 ミハルさんはきつい言い方だけど悪気はないのよ、とでも言いたそうにウインクした。眉毛も一緒に動いて、余り上手いウインクとは言えないが、彼女の隙のない美貌が一瞬崩れて、それが逆に魅力的に思えてしまう。 まさに何しても絵になる状態。美人は得だなあ。 ...などと現実逃避している場合ではない。 「ええと、じゃあ両国はお互いに財をなげうって観賞用の塔を建てたって事ですか? 監視塔でもないただの塔を。そんなことって、あり得るんでしょうか」 「理解は早いわね。ん〜まあ、あり得たんじゃないの? そこら辺は推測で埋めるしかないから、ハバキに頼むわ」 「頼むな」 と、ハバキさん。 けれどミハルさんは完全に話す気を亡くしているのを察知して、ため息をついてこちらを向いた。 「あり得た...のだろうな。建設当時は自分もこの大陸の上空に住んでいなかった故、子細は解らん。が、久方ぶりにここに訪れ、まだ塔が城よりも低い高さであったとき、アーガスとライオアークの二国の監査団が塔を測量していたのを覚えている。あれは、そう。仲が良さそうだったな」 「へぇ...」 ルーィはなんと答えればいいのだかわからずに「目いいんですね」 「監視目的でもなければ、なぜ塔を建てるのか...は、先ほど自分が答えを言ったので省く。以上」 と、再びお茶を飲み始めた。 茶を飲むのは昨日ぶりだなと、呟いている。 わたしは、 「あ...え、と」 と上の方を見るだけで、二の句が継げない。 「ほらハバキ、省略なんてしないでちゃんと言いなさい。ルーィがぽかんとしてるじゃないの」 「む」 とうに落ち着いていたハバキさんは、機嫌を悪くした様子でミハルさんを睨んだ。 「それぐらい思い出せるだろう」 「わたしはこんなだから覚えてるけど、あんたの台詞って印象が薄くて覚えづらいって評判なんだから」 「待て、それは初耳だぞ」 「たまにわたしでさえも覚えてないから、一体どんな奥義を会得したのかと」 「嘘をつくな嘘を」 「なんて言うか、影が薄いのよあんたの台詞」 「台詞に光も影もないだろう」 「なに、声に印象迷彩でもかけてるの?」 「かけとらん...」 疲れた様子で、けど律儀に言い返すハバキさん。 さすがにハバキさんも老齢だからキレたりはしないんだろうけど...だからと言ってミハルさんは攻撃の手を休めたりはしない。 見た目は大人のお姉さんに、がきんちょがいじめられてる構図なんだけど、ハバキさんの性格や凄さを知っているだけに冷や汗が出る。 というか、わたしが割って入らないと駄目なのだろうな。 二人して、思い出す時間を与えてくれているわけだし。 ハバキさんの言葉を思い出す...印象が薄いなんて嘘だ。あの透き通る少年のような声は、けれど子供にはとうてい出せない真剣な迫力を持っていて、聞く者を圧倒的な迫力で包み込んで、震わせる。 ...思い出した。 「中立国プラン...双国が、わざわざ第三国を?」 「そのとぉーりっ!」 と言ったのはミハルさん。 なぜか低い早口で、息を吐くかのような恫喝とも怒鳴りともつかない奇妙な喋り方だった。 「はぁ?」 首を傾げる。 「ありゃ、細かすぎて伝わらなかったか。似てると評判なんだけど」 「そういう問題ではないと思うが...」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年12月01日(Thu)
事情がわかっていないスタッフが。
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| ミハルさん、その2。 実は普通に(つまり人間相手の) 図書館もやっていたり。 持ってるのは図書カード。好きな異性を振り向かせるために、異性が読みそうな本のカードことごとくに異性より先に名前を書き込もうとしたストーカーにモンゴリアンチョップをかましたことがあるらしい。
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「...以上が現在大陸を二分して行われている、人と魔族による殲滅戦層のダイジェストね」 白い板にフェルトペンで縦横無尽に描かれた構図を、わたしとハバキさんが口を開いて見上げている。 ミハルさんは「四季軍10万が苦戦の末、100万の蹂躙小隊を掃討」 と書かれた下の「和国女王が四天王ディラックを撃破」 と言う文章を丸で囲い、矢印を打って「イマココ」 と書き文字をした。 それはともかく、ミハルさんは、 「どぉ?」 と、二人用テーブルで茶を飲むわたしとハバキさんに向かって、 「二人とも双国領地から出たこと無いって言うから、説明してあげたけど」 「いや、どうと言われましても」 「相変わらず板書がヘタだな」 「ぐ」 痛いところをつかれたのか、ミハルさんは白板用の黒板消しを取り落とす。 確かに下手だった。どれぐらい下手かというと、イマココのすぐ下に「戦争始まる」 と書かれているぐらいだ。白板に縦横無尽に書かれた文字の羅列はそれが書かれるのを見ていたわたしでさえもどういう順番で追えばいいのか解らないぐらいに散り散りバラバラだった。考古学者でも解読できないだろう。 ハバキさんは、呆れた様子で茶をすする。 「3万年も経てまだ苦手なモノがあるなど奇跡に近いぞ」 刻の賢者に苦手はないと、以前ハバキさんは言っていた。 それもそうだ、3万年もあればどんな味音痴だって一流コックになれてしまう。得手不得手苦手得意、そういうのは基本的に刻の賢者には存在しない。 だから、彼らは<万能なる種> と呼ばれているのだ。 まあ、生まれつき魔力が無いとかだったらどうしようもないけど。 そんなことを思っていると、ミハルさんは憮然とした顔で白板の文字を消し始める。 「仕方ないじゃないの。わたし何見たって一発で覚えちゃうんだから、人の理解の仕方とかそういうの推測できないんだもの」 唇をとがらせて言う。 「呪いの代価か。わからんでもないが、補えない範囲ではないと思うぞ」 と、辛辣なハバキさん。 ハバキさんが空を歩き続けなければならないように、ミハルさんも非忘却と言う呪いを持つらしい。呪いによって過去の何もかもを忘れられなくなった彼女は、その影響で視認した事象の全てを、その情報が持つ意味までを含めて完全に理解できる、というひどく変わった力も持っているのだそうな。 だから、そう。彼女ならどんな下手な板書であろうと一発で理解してしまえるわけである。それゆえにミハルさんは「どう表現すれば相手が理解できるのか」 を想像して創造しながら説明をする必要があるのだ、そうな。 彼女にしてみれば、わたしに歴史を教えるという作業は子供に円周率を教えるのと同等に難しいことなのだろう。 まあ、モノが歴史だけにそれでもなんとか理解できたけど。 「で...で、よ。どうだったかな、ルーィたんは」 「あの、ルーィでいいですので」 突然振られておかしな敬語でかしこまる。 「じゃ、ルーィ」 「はい、あの...」 実のところ、それはルーィの聞いた噂通りで、改めて抱くような感想などほとんどなかったのだが。 「やっぱり、すごいなあって思います」 「すごい? 具体的にどんな風に?」 「はぁ、五年って塔が二階もできあがらないくらいの年月しかないわけですし、そんな短期間でこれだけの事が起ってるなんて」 「あ〜なるほど、目まぐるしいわけだ。37巻続いた大冒険漫画も実際に作中で経過していた時間は三ヶ月ぐらいしかなかったみたいな感じね」 「そ、そんな感じです」 37巻云々はよくわからなかったが。 この人類の命運をかけた戦争とやらも、あと1ヶ月もしないうちに終わるのだと言う。戦後処理自体はそれから何十年と続くのだろうが、諸悪の根源――魔王を討つのはそれぐらいになるのだそうな。 塔が、もしこのまま普通に建造され続けていたとしても、ハバキさんのいた高さにさえ届くこともない。 もっとも、その塔も殲滅戦争のとばっちりとやらで壊されたわけだけど。 「...そう言えば、なんで魔族はこっちに攻めてこないんでしょう」 「それは簡単だ」 と、これはハバキさん。 「人がいないからだ」 「人が?」 「ああ、」 頷くハバキさん。 「魔族の進行とは、要約すれば人が魔に誘われ、属し、俗する現象だ。およそ人が定住していないこの地に、魔族という現象が流布することはない」 「疫病みたいなものね」 補足するミハルさん。 「ええと、根本的なこと聞いて良いでしょうか」 おそるおそる訊ねるルーィ。 「そもそも、なんでこのあたりには人がいないのでしょうか。と言うか、人がいないというのも初耳なんですけど...」 すると、二人は別々の反応をした。 「ああ、そうだったな」 と、ハバキさん。 「あ、ライオアーク騎士団ってそこまで教えてないんだ。ほとんど部活動みたいな結社なのに、秘密主義よねぇ」 これは、ミハルさん。 ミハルさんの言葉に、ルーィは驚いて言葉を失う。 この人は一体どれほど知っているのだろうか。 「え、どういう事ですか。それじゃ騎士団は...!」 「騎士団? ルーィ、君はライオアーク貴族の末裔だったのか」 「あ〜待って待って二人ともストップ」 バラバラに質問し始めるわたしとハバキさんを見かねて、ミハルさんは白板を叩いて注意を引きつけた。 「どうも、三人が持つ情報に差異があるみたいね」 なぜか嬉しそうに、ミハルさんはフェルトペンの蓋を抜いた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月30日(Wed)
サツマイモは私たち日本人に何をもたらしたのか。
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Replay
| 以前D.Gray-manの瞳の直反光が黒目をはみ出して白目にも影響していて面白いという話をしましたが、今回はエウレカの目の描き方。
右が最近の少し前の自分の描き方、左がエウレカ。
毎回それこそ目を見張っているのですが、かなりリアルに眼球の「球」 を意識しているんですよね。あれはすごい。 白目(影が差していない部分) が微妙に灰色なのも良いです。 直反光を白にして水晶体との奥行きを演出している...ような気がします。 そんなわけで最近、白目を微灰色に塗るのがマイブーム。
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驚いたことに、物見櫓はまだ建っていた。 軽石よりも軽く、鋼よりも硬い塔の建材ですら折れて圧壊しているというのに、ただの木材で造られたこの櫓はまだ残っていたのである。 極所作業用のコートに身を包んだスーベリーアが梯子に体重を預けると、櫓は少しだけ軋んで揺れた。 櫓は、塔の建設において定期的にその時の高所に建てられる。 『そう言えば、どうして、建てるのかしら』 『さてねぇ。人や上層雲の見張りの為ってのはモチロンあるんだろーケド』 いつもの口調で、D・Jが答える。 『そういやぁ、30年前の鳶が、これはちょっとした反抗なんだって言ってかな』 『反抗?』 『うぃ。“俺達はワケのわからないパーツをワケのわからない設計図のままに運んで組みこんで、それで本当に塔を建ててるんだなんて胸張って言えるのか”ってね。まあ、鳶なら誰もが一度は思うことなんだけどサ』 『だから、建てるの? この、櫓を』 『そうさネ。そいつ風に言えば“言われるがままに塔を建てるけど、それでも一番高いところに一番に乗り出すのは俺達の意志、俺達の造ったちっちゃな櫓なのさっ”て、それこそささやかなレジスタンスって奴やねぇ。空を目指す馬鹿共はロマンチストなのサ』 『そう、ね』 結局、馬鹿と煙は高いところが好きなのだ。 梯子を登る。ゆっくりと、塔から離れて登っていく。 多くの鳶達は、そこに浪漫を感じたのだろう。 スーベリーアはそんな感傷は涌かなかったが、それでも櫓の存在が多くの鳶達の心の支えになっていたことは理解できた。 『この上が、一番高い場所に、なったわね』 『そーね。もうこれ以上は建てられないしね。これほどの標高の山も、少なくともこの大陸には存在しないから事実上人類が到達した最高峰って事よん』 『そうね...ここが、この上が、天上に、最も近い場所』 そして、そこに彼女の弟がいるのだ。 だから、スーベリーアは梯子を登る。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月29日(火)
ヒアルロン酸をプラス
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| 美春さん。刻の賢者で、リブラリアン。 客の請求書を手に書庫の中に入っていく、図書司書の姿はカッコイイですね。
全ての視覚から得られる情報を一度見ただけで、その意味まで含めて完全に覚えていると言う奇特な人。 スキャナーで例えると、取り込んだ文字画像を絵としてだけではなく文字データとしても保存している。 正確には意味データとして処理するため、初めて見た文字でも意味が理解できるどころか、調度品の風水的な目論見や、魔法陣の効果、数式の意義や意図、錬金術師が絵画に隠した寓意的暗号とかまで読めてしまう。 代わりに覚えた全ての記憶を忘れることが出来ないという難儀な呪いを持つ。 脳の容量は単純計算で10テラぐらいと言われているが、物事を記憶する為に必要なメモリの量は学習するたびに減るので、記憶の詰め込みすぎで脳がパンクしたりとかそういう問題はない。まあ、人は生まれてからの全ての記憶をしっかりと脳に保存していて、「忘れる」 というのは単純に思い出せないと言うだけらしいけど。 記憶のしすぎで脳のメモリがパンクするなら、ハバキもとうにしていることになる。 美春の呪いは単純に思い出す力が人より異様に強化されているだけ。 意味まで記憶できるのは、その思い出す力を総動員して過去の記憶を即座に参照・関連づけて、無意識で比較・推測を行っているからにすぎない。
ハバキのような結果的に人と離れて暮らさざるを得ない難儀な“呪い”持ちのために、移動図書館めいたこともやっている。 刻の賢者は基本的に日本の一般高校生のような学生服を着ているが、彼女はスーツ姿。理由は図書司書っぽいから。 | | |
■2005年11月29日(Tue)
4、季節のデザートが入ったあんに入れる。
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寄生虫の卵 感染、ラッキーかも=猪飼順 /東京〜我が家の定番はキムチ鍋。冷蔵庫にあったキムチは、寄生虫の卵が検出されたと話題の某国製だったが、炒めたキムチを使うのがおいしさのコツというから、卵があっても問題ないだろう。(略)寄生虫に感染するとアレルギー反応を抑制できるという学説を(略)とはいえ、さすがに自分から卵を飲む勇気はない。「キムチで感染したら、ラッキーかもしれない」と頭をかすめ〜(毎日新聞 2005年11月19日) じゃあ炒めるなよ(笑)
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生暖かい風が口の中に入り込み、むせた。 「あれ、」 目を開いたけが、うまく焦点が合わない。 けど、これだけは理解できた。わたしは、ルーィはまだ生きていた。 「わたし死んだよね?」 「死んだな」 「死んだわね」 焦点が徐々にあってくる。妙な棒状の白い灯りが何本も光る天井。 視線を横に流すと、目の黒い銀縁眼鏡のお姉さんがわたしの顔を覗いていた。 物凄い美人だ。スー姉も塔では結構有名な美人だけど、この人にはとうてい及ばない。なんというか、隙がない。 焦げ茶から入る黒目、黒い髪――その特徴は、 「と、刻の賢者ぁ!?」 「おお、よく知ってる...というか解ったわね。さすがは本の虫」 うんうんと頷く女性。スーツスカートにワイシャツがきっちりと決まってて知的な雰囲気があるが、その仕草はどこかルーィと同年代の子供っぽさがある。 「な、ななんなにココ? は、ハバキさんじゃなかったの!?」 立ち上がって、周囲を見渡す。そこには見渡す限りの果てから果てまでに棚があって、その中にはぎっしりと、 「と、図書館!? メチャクチャ本が在るじゃないの!!」 「いきなりそこに食いつくなんて、やるわね」 感嘆する美人さんなど気にならずに、わたしは一番手近な膝丈ほどの棚に目を飛ばす。背中のタイトルを読もうとして、 「ま、まったく読めない...」 「ウサギとカメよ。気持ちは解るけど落ち着きなさい。後で翻訳したの読ませてあげるから。それとハバキ――」 「なんだ」 女性は、指をちょいと曲げて、 「そろそろ、そこ閉めて」 「...入ってこいと? 別におれは、」 言い終わる前に女性が、ふぅと息を吐いた。 なんだか、非常にめんどくさそうで、あのハバキさんにたいしてそういう態度で挑めるあたり、この人もやっぱり刻の賢者なんだなと改めて思う。 思いつつ戦慄する。 ただの人間が一生のうちに刻の賢者に出会える機会など、万が一に等しい。 それが、複数ともなれば億どころか兆分の一の確率もない。物の本には、そう書かれていたのだ。 彼らは、存在そのものがお伽話や神話に等しく、場所によっては存在すら認めていない地域もある。それほどに目撃情報が乏しいのだ。 それなのに、今ルーィの目の前で二人の賢者がのんびりと会話をしている。 ここは天国だろうか。天国にしては余りありがたくもない奇跡ではあるけど。 ハバキさんはこの部屋に通じるドアの先にいた。ドアの先は奇妙なことにこの図書部屋よりも遙かに奥行きも高さも深くて、空しかなかった。 扉は空に通じている。 しかし、そんなことは気にせずに女性は、話を続けた。 「あんた、わたしが来た理由、もう忘れたの?」 「塔崩壊の軽減依頼」 「それはついで。いや、そういう意味ではこれもついでなんだけど」 ハバキさんは扉をくぐって図書部屋の床へと足をつけて―― 「え? ハバキさん...足ついてる?」 「櫓でもついていたとは思うぞ」 「えっと、でも今、床を踏むときちょっと下がったような...」 気のせいかな、と首を傾げるとハバキさんは、 「呪いは地面との絶対的な高度に左右される故、地面が下がれば位置も下がるのだが」 と、前置きして。 「それはともかく、この図書室内は特殊な空間でな。この空間内では自分の呪いはその効果を一時的に休息させるのだ」 「そう、なんですか」 じゃあ最初の前置き関係ないじゃないかとは思ったが、黙っておいた。 「でも、そんな場所があるなら」 「同時に呪いの効果期限まで停滞するから、いつまでも呪いが解けないことになるがな」 「そ、そうなんですか」 いろいろややこしいらしい。 刻の賢者は、その一人一人が呪い...常人なら人格すら崩壊しかねない強烈な呪いを掛けられているという。 万能たる種、神の代行者たる彼らがなぜそんな呪いを身に受けているのかには天罰から暇つぶしまで諸説があるが、ルーィの調べた限りにおいてはっきりとはしなかった。 ハバキさんが、ドアを閉める。 「じゃ、閉めるわね」 そう言って、スーツの女性は扉のノブに手を掛ける。 わたしは、それを見て何故だか酷い焦燥を覚えた。 それが何だったのかは、このあとすぐに解ることになるのだが、 ――ガチャンと、扉の鍵が閉まる音がして、またすぐに開く音がした。 そして次の瞬間に女性が扉を開けると、その先にはこの図書室との調和が取れた廊下があるだけだった。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月28日(Mon)
心は走るあの空の下
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最近は駅とかの施設にAEDという電気ショックマッスィーンが消火栓のように設置されているらしいです。 心マするぐらいなら、これ使えと言うワケみたいですが。 ん〜。使えるのだろうか、いざというとき、ひとは、これを。
いや、心肺蘇生とはまた違うのか? その辺の違いもわからん。 というか、AEDで検索したら1アラブ首長国連邦ディルハムが32.2924117円だとかどうでもいい情報が出ておれにどうしろと。
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スパンと割れた裂け目から、色の薄い髪の少女が吐き出される。 裂け目はちょうど少女がギリギリ通れるサイズで、後から落ちてきた岩は轟音を立てて空間の裂け目に衝突した。 ハバキは少女の腰に巻いたベルトに長尺の剣の先を引っかけて、ミハルが立つ扉の奥へと投げてよこす。 「え、ちょっと」 ミハルは少女を抱きかかえる様に受け止めて、ハバキに文句を言おうとしたが、 「うばぁ? ふ、不整脈になってる!?」 「無理もない、あんなところから落下したら途中でショック死の一つや二つしもすることだろう」 言いながら、ハバキは指で鯉口を作って、納刀の仕草をする。 親指と人差し指で作った輪を刃が通過すると、刃は銀の粒となって空へと分解され、ハバキの愛刀「克己」 はもとの鍔だけの姿に戻る。 その間にも、ミハルは手際よく心肺蘇生に入っていた。 「あ〜図書室って、自動体外式除細動器とか気の利いたの設置してないのよね」 などとぼやきながら少女の口を開いて顎を上げて気道を確保し、心臓の位置を確認し、胸骨の下に両拳を置き――と淀みのない動作で行っていく。 「...魔術は?」 「――それが無いのよね。心マとか電気ショックの魔法とかって」 「無い。一つもか?」 「ほら、私らって基本的に心臓発作とか内臓疾患とか無縁だし、かといって下の医療レベルは除細動どころか心臓マッサージの概念に達してないでしょう。術式が生まれる下地がどこにもないのよね」 と、言いつつも拳を定期的に押し込み、15回押し込んだ後に息を吹き込む。 ハバキは呆れた様子で刀の鍔をいじった。 「あるものだな。数万年生きようと、そういう穴は――」 「全くね。万能にはほど遠いわ」 再び、心臓マッサージ。 「...けど、なんだかんだで助けるのね。アレほどさり気なくがんばってたのに」 「なんだかんだで友人だからな。それに、」 「それに...契約する気? あのヒュウイって子に目をつけてたと思ってたんだけど」 「先に言うな。あいつはあいつで自分の友だが...それでも、自分が惚れ込んだのは」 ヒュウイを怒っていた、少女の表情を思い出して。 「――こいつは面白い。周りや本人が思っているよりも遙かにな」 「ふぅん」 返事は軽かった。 「ま、駄目だったら即興で術組むから、ハバキ、あんたが心肺蘇生代わりなさいね」 「それぐらい構わんが」 「スケベ」 「...」 幸い少女は三回目で息を吹き返した。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月27日(Sun)
女の子でバトルでカードゲームな
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| ディメ0は面白いんだろうか。 どことなくモンコレ風味な予感がする。 モンコレの弱点は、ルールががちがちなためユニットに幅が持たせにくかった点。モンスターに個性をもたせにくく、テンプレート的な戦術を「種族」 と「属性」 と言う要素で水増し掛け算しただけ。トランプのマークが一つ増えた程度の幅しかなかった。新パックにいたっては、それこそ裏地の柄が違うトランプが増えていくぐらいだった。まあ、それでも当時は楽しめたのだが。 さらに言えば、モンスターが意外に速くネタ切れになった点もあるか。 遊戯王並みに竜からヒーロー、カラテマンにテニスプレイヤーまでなんでもありな世界観じゃないと続きにくい――新鮮さが無い。100%オリジナルとかだったら、それはそれで続くんだろうけど。 途中で硬派と萌えとのバランスがおかしくなってきたのもあるかな。 その点、遊戯王は節度を守っている。 掃き溜めに鶴ぐらいなのが萌えカードの真骨頂だとは思う。
しかしまあ、ゴルフの賞金ランキングを見るたびに、カードゲームのプロって言うのもあり得るよなあと思ってしまう。 ようするに夢中になる人間が多ければ多いほどいいワケだから。
それはともかく、昨今は女性が戦うアニメが多い。 既存の少年ものを少女に置換したみたいな。 そろそろ飽和してきてると言うか、次は何がやってくるんだろう。 ...ポケモン型、あるいはカードゲーム型かな。 女の子でバトルでカードゲームな相棒とか召喚しそうなアニメとか、個々の要素は散り散りに見えるけどあざとく纏まったモノはまだ無い。 メディアミックスが女性向きアニメの枠に収まっていてどっちつかずな部分があるから、その辺を開き直ったアニメとかが出てくるかも。
んで、それが一周したら、今度は男性視点の女性主人公型モノに、性別逆転が起ると。リナが男のスレイヤーズとか。まあ、そんなの。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
振り終えた瞬間、何が起こるというわけではなかった。 <箱>に保持されるのは、アクション――何を行うのかというと言う途中式のみで、それによって起こる結果はまだ保留されているからだ。 「...これでいいのか?」 刀をだらりとおろしてハバキは訊ねた。 「ええ。じゃ空間の保留常態を解くわね」 ミハルはピンク色の文庫本を目の高さに掲げて、呟く。 『偉大なる閃き、万有の英知... 其は、人の疑念より生じ、移ろい、ないし潤いをもたらすもの。 本懐を遂げるため、知よ、汝が目録を開け』 青色の粒子が、泡のように文庫本から溢れ出る。炭酸に氷を放り込んだかのように勢いよく。 文庫本はたちまち黒の革張りの見た目豪華なハードカバーへと変容した。 装丁を開き、内ポケットから黄色の厚紙を取り出す、ミハル。 彼女は、ハードカバーの文面を瞬読した後、背表紙付けのポケットに厚紙――カードを差し込んだ。 「返却」 パタンと本を閉じた瞬間、ハードカバーはピンクの文庫本へと戻る。
同時に空間を支配していた法則も消え去り、 空間内で保留されていた現象の全てが、周囲に生じた誤差の辻褄を合わせるかのように、加速し、変異していく。 ――空間の保留中に干渉した出来事を巻き込んで。
今まで保留されていた空間に、風が再び吹きはじめた。 保留を解けば彼らが長話をしていた間分の風が、塔に吹き荒れて塔を折ることになるのだが、 その結果はハバキの一撃という途中式によって阻まれることとなる。
ほぼ同時、空が裂けた。
まるで紙を縦に破くかのようにビリビリと、空が黒く裂け目を見せる。 「お見事」 ミハルは目を細め、光すら切り裂く一撃に皮肉無しの賞賛を与えた。 切り裂かれた空間は、縫合が必要な傷口のように開いたままで、そして風はその傷口に切り裂かれるかのように二本の奔流に分かれ、塔を迂回するように流れた後、後方で合流して元の一本の風の大河へと戻る。 「ふん、なるほどな。後方に流れる風の総量が変わらなければ、塔が圧壊しようとしまいと世界からすれば同じことだと言うことか」 「本来何もしないでいたなら塔が倒壊していたという事実を鑑みて、下部の揺れや重量変化の結果をどこまで大目かつ穏便に処理してくれるかが問題だったんだけど。割と何とかなったわね」 「...というか、空間外にも影響が染み出してるような気がするが」 刀で該当する部分を指し示す。そこを注視しているとハバキの認識領域がコンマ単位でぶれて変質していくのが“認識”できた。 「あ、ほんとだ」 通常の人間なら、その微細に連続する違和を意識することすら出来ないだろうが、ハバキやミハルのような刻の賢者には、とうてい誤魔化しきれるようなものではない。 「ん。世界――というか人間に認知されない範囲で補正がかかるみたいね。予想できたと言えばまあ、予想できたんでしょうけど」 しないけど、と呟いて。 「あまり派手なコトしちゃうと世界に嫌われちゃうわね」 ため息をつく。 ピンクの文庫本を閉じて、スーツの内ポケットに納める。 空間内だった部分と空間外の風の流れが一致し、加速が終わる。 空間内の辻褄合わせが終了したのだ。空間に出来た「傷口」 も、徐々に塞がって来ている。 ハバキは、塔上部の状況を一瞥して、 「被害は――甚大だな」 と、率直に述べた。 「...あ」 ミハルが一点を凝視して口を大きく開けたので、ハバキは訝しげに凝視した方向を見た。聞くより確認する方が早いと判断したのだ。 「あ――の子、あと三秒で死ぬ」 ちょうど言い終わったときには、ハバキは確認を終えていた。遮蔽物を透過する視線の先では、律儀に「ぬ」 と言い終えた瞬間から三秒後に死ぬ予定の少女の映像を捉えたが、ハバキはそれを待たずに、 「ついでだ」 刀を無造作に振るった。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月26日(Sat)
たとえ今日の日が過去の繰り返しでも...
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テニプリガヤバイw
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時は前後する。 時間の制止した塔の外で、二人の男女が会話をしていた。 彼女たちは何やら執拗に言い合いを繰り返し、互いに譲らぬ姿勢を崩さない。 やがて、女性の方が諦めたかのようにピンク色の文庫本を取り出して、ページをちぎって男性――少年に投げ渡す。 少年は、それを読み取ったとたん露骨に不快そうな顔をしながらも、腰から鍔を取り出した。 そして――
『偉大なる技、万雷たる一芸。 其は、万世一丸の巧みより生じ、破壊の恩寵をもたらすもの。 本懐を遂げるため、真たる姿を、顕現せよ―― 我、汝の名を結びて、彼より此へと、その俤を導く...』 ズ、ズズ... 詠唱が終了したとたん、円盤の穴から銀色の閃きが出現する。 それは刃だった。 細長い穴から、ギラギラと光を反射する刃が溢れるように出てくる。 そしてその反対には無骨な鉄のプレートが伸び、そのプレートから木が生まれ木枠へと変化し、それを紫色の繊維が包む。 少年――ハバキは「柄」 を握り、まるで槍を振り回すかのように力強く振るった。 刀身から銀の粒が舞い、刃の成長が止まる。 長い、とにかく長い刀だった。 刀身だけで3m強、ゆうにハバキの身の丈三倍ぐらいはある。 「お前も久しぶりだな...」 呟いて、塔に背を向け青眼に構える。 3mもある鋼鉄の塊は、ハバキの両手に支えられて、軽々と持ち上がった。 しだい、ハバキの瞳が赤に染まってくる。 彼の周囲の空気が、時間の保存された空間の中でも凍てつき、今や、彼の纏う気配は抜き身の刃そのものの鋭さを秘めていた。 「いいか、最小限だけだぞ」 「いいからさっさと、しなさい」 女性――ミハルが急かした。 「結果は今も進行中なんよ。<チューリングの箱>の外に折れ曲がった塔の一部でもはみ出てきたらフォローの手段が無いって、言ったでしょ」 「それもいまいち理解はしてないがな...では」 少年の様なふてぶてしさで、ハバキは刀を振り上げた。 「剣に宿る人精霊よ。見事に生き抜いた其の心意気を、この一撃に捧げろ」 『縦断』 振り下ろす。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月25日(Fri)
ジョンソン&ジョンソン
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Johnson & Johnsonって響きが好きだ。 ジョンソンそしてジョンソン。
これがJohnson or Johnsonなら「ジョンソンもしくはジョンソン」 Johnson but Johnsonなら「ジョンソンしかしジョンソン」 ですよ。
Johnson is more Johnsoner than Johnson にいたっては「ジョンソンはジョンソンよりもジョンソンだ」 でさっぱりわからん。
まあ、タイレノール事件の漢前な対処っぷりとかで、会社自体は好きですけどね。
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『とにかく上に! 成り行きで下に降りてきたけど、逃げ道は上にしかない』 二人の男女が、瓦礫まみれの階段を登り続けている。 一人はまるで迷子の子供のように泣きじゃくり、一人は迷子の手を引いて引っ張るように歩いていた。 命令するかのように硬質な声が、二人に掛けられ続けている。 『下の入り口は、すでに瓦礫で埋まっている。さっきの通路の落下を考えると天板すら破れかねない』 塔は、ケーキの入った箱がひっくり返ったみたいで外側だけが元々の形を保っている。そこに張り巡らされた螺旋階段もヒビが入り瓦礫が転がっている以外は何も不自由はない。 『屋上に、いた人たちは、どうなってるの。みんなは――』 『床にいた人たちは全て悉く潰されてしまった。塔の建材が粉塵になって充満して感知しにくいけど、生存者はあんた達を含めて二十な...26名。 重傷で動けない人も何人か含まれているけど、それはもう他の生存者が救けている』 『親方や――』 『それを聞くのもいいけど、もう少し先を急ぎなさい。粉塵が上がって来てる』 確かに。まるで蒸籠に充満する蒸気のように、下からもうもうと粉塵が上がってきている。 『わかった...』 スーベリーアはおとなしく従い、階段を登る。 途中、階段が数メートルほど抜け落ちている場所や2m近く瓦礫に埋もれた場所などもあったが、幸い塔の精霊であるD・Jが、その都度的確に誘導してくれるため、迷う暇もなかった。 特に障害物らしきモノもなく、ただ登るだけの道になったところで、D・Jが言葉を漏らす。 『...とにかく、屋上の床面が最悪。瓦礫で15m近く埋まっていて下の階に行くどころの話じゃない。まあ、その次に最上階が最悪なんだけど。外面はほとんど無事だけど内部は此処と大差ない。ほとんどの宙づり部屋が地上に落ちた。 その下の階からは、半壊レベル。避難は進んでいる。 ここからは、ほとんどが揺れの被害。下に行くほど被害は薄い――大地震が来た程度。爆心地が高度2500mなんて特殊な爆風の影響か、下層階にはほとんど影響はなし、雲の下あたりじゃちょっと揺れたなあ程度。まあ、それでも住んでる人たちに取っちゃ恐怖でしょう』 つまり、上だけに死傷者が凝縮されてしまったわけだ。 『スー達の両親は無事、下の階に避難しているわ。他は...実感無いだろうけど、知り合いの四人に三人は死んだとだけ今は知っておきなさい』 酷く漠然としていて実感が涌きにくい言い方だった。 『とにかく、逃げなさい。現実を受け入れるのはそれからでも出来るから...』 『...』 無言で頷く。 『寒いわね。寒くて、息苦しい...まるで、90m代に、いるみたい』 『息も苦しくなるはず。結界は27階層から上は軒並み停止した。発電施設も殆ど機能停止。メンテ隊が急いでるけど、今日中の復旧は無理』 『住宅エリア、ロッカーは無事?』 『あなた達が衣装置き場に使ってた部屋なら何とか無事。そこに生き残った人たちもいるから顔見せときなさい。あなた達の無事は伝えてあるけど、それでも実際に会えば互いの力になるはずだから。 ――部屋にいる人の名前を言っておく』 続く声を、スーベリーアはボンヤリと聞いている。 此処で聞くことの出来ない鳶達の名前が、死んでいったモノ達の名前なのだろう。 まさしく世界の終わりがやって来ているのだと実感する。 もっとも、塔自体は外見天辺の部分が瓦解した程度に見えるだけでたいした変化もないらしいが。 だが、その中はと言うと既に壊滅常態で、建て増すことはおろか放棄して逃げなければ自重に負けていつ落ちるかすら解らない...だからといっても、そう。 その部分はある意味あきらめていた部分で、だからつまり、今生きている自分は世界の破滅の後に偶然生き残ったにすぎない。 生き残る人間があまりに多いだけで。ひどく突飛で、中途半端な一撃で世界が終わっただけであって。 『これから、どうしよう、どうすれば』 『なんにせよ落ち着く事』 ゴールが提示されて、ルーベリーアの足は勢いを取り戻した。 右手に泣きじゃくる弟の手を、左手に緑がかった布きれを握りしめて、スーベリーアは歩き出す。 「っく...っく...」 さっきの落下で足首と左手全部がしびれているが、痛みはまったく感じなかった。 とりあえず休憩できる場所が、人がいる場所があるというのなら、そこで休もう。それまで、涙を流すのは我慢しよう。結局恋敵にもなれなかった親友に別れを告げるのを後にまわそう。 「まただ...また、...れは」 『そう言えば...』 馬鹿みたいに滑稽で、笑えないロッキングストーンが落ちてきた壁の穴を通り過ぎる。石一つがきっちり入る穴には、さらに馬鹿げたことに窓があって、外の風景が見えた。 『もう風、吹いていないわね』
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月24日(木)
推定無題
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| マテリアルパズルより、アクア。 かなりやっつけてるなあ。 ティトォはともかく、アクアはかなり命七乱月にご執心だったのに、リュシカに勝ちを譲って爆発しないだろうか...
いまのところカウンタをつける予定は無いけど、もしつけるとしたら、 「ふっ...やるな。俺のこの技を喰らって立ち上がった人間はオメーで○○人目だぜ!」
と言うネタをやってみたい。 | | |
■2005年11月23日(Wed)
北国日より
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ぎゃらりーっぽいもの。 日記の機能なので写真やスクショとかがあるのはご愛敬。 気づいている方もいると思いますが、アスキーアートは人によってぶれる可能性があるからgifにしています。 にしても、こうやって見るとあまり進歩してないような... まあ卑下ばかりしても仕方ないので、真似絵――参照物のない物は結構マシにというかなんとなく骨格が見えるようになってきたんじゃないかなと思っています。
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にしても、殺人マンションとはすごい言い方もあったものだ。 ハウスホラーみたいだ。
まあ、あんたは砂上の楼閣に住んでるなんて言われたら、さすがに逃げ出したいよなあ。 でも、東京に大震災が来ると言っても東京自体は逃げ出さないわけで。 その辺はもう規模が大きすぎて諦めきっているのか。 そのうち東京大震災という映画をどっかがやってくれるんじゃ無かろうか。
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べつに満を持して死に場所を見つけた、とかそう言うことではない。 ただ単に、単純に。 今思い浮かぶ中でこの劇境に立ち向かえる人物が自分しか思い浮かばなかったと言うだけだ。 加速度の違いで落ちるルーィに追いつくように落ちてくる石の玉。 あれを、こう、蹴飛ばして三角飛びみたいに階段へ落ちるとかできないだろうか、と漠然と思ったわけである。 そして、それができそうなのは鳶の二人ではなく、自分――ついさっき風に吹き飛ばされて空中を舞っていた自分だけだろうなあと、おこがましいながらも、そう思ったのだ。 まあ、その発想は、実際に落ちてくる石を見て霧散したが。 ――ああ、こりゃだめだ。 ゆっくりなりとも近づいてくる大質量の物体というのを甘く見ていた。 あれに足をつければ、間違いなく折れるだろう。 たとえ折れなくても、一度足をつけたら張り付いたまま床とサンドイッチだ。 頭が重みで下を向き、足が上を向く。 このまま行くと、ちょうど岩の真下に足がつきそうだ。 さっきから時間がやけにゆっくりだ。 たった一瞬でこれほど考えた経験は、この一生で、あのわたしを一度たりとも楽しませてはくれなかった塔の世界では...やはり一度たりとも無かった。 神経の高ぶりすぎて集中力が振り切れたのだろうか。 一瞬の出来事のハズの自由落下が、やたら遅い。 石にはまだ近づかない。近づけない。 階段が視界に映る。 ヒュウイとスーの二人が受け身を取って着地するのが見えた。 ヒュウイはなんだか呆然としている。ああ、ありゃだめだ。今にも泣きそうな顔をしている。あの日の朝、捜索隊に連れ帰られたときの顔だ。担架に担がれてうなされているスーを、エレベーターの前で見送ったときの泣き顔だ。 ――ま、いいか。これで目が覚めるかもね。 スーベリーアと目があった。 怒っていた。まるで、その役目はわたしのモノだったのにと、言いたそうな。 頑固で、いじわるで、正義感が強くて、でもやっぱり意地悪な、姉。 わたしにとっても姉だった。 結局張り合うことも出来なかったけど。 石に足がついた。のしかかるような重みが足の裏から伝わり――そこから一瞬で膝が折れ腰を打ち背中から貼り付けになった。 「あとは落ちて死を待つのみね――しくったわ」 そう、これは失敗だ。 けして自己犠牲などではない。 やれると見込んで出来ずに、だから死んでしまう...それだけだ。 だから、まあ割と満足しているのだが。 黙考するうちにも石と石と一体となったルーィは目も開けてられないほど加速していった。それでも何とか床を見ることはできた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月22日(火)
甘く優しい気持ちに変える
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| 具体的に何を目指したのかわからない絵。 特に誰でもないんですが、何かに似てそうだ。 それはともかく髪が整ってるのにニーソ履くのは物理的におかしい気がするんですがいや脱いでることにすればじゃあなんで寝ぼけ眼なんだと矛盾は尽きません。 | | |
■2005年11月21日(Mon)
どんな運命が待っているのだろう
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今週はワンピが良かった。 あのルフィ独特の台詞は、尾田先生じゃないと思いつかないだろうなぁ。
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つまるところ、ワイヤーと同じ直線上に落ちてきたわけで、 結果、転がる石にワイヤーが押される。 三人の重さで張力を得ていたワイヤーは、持ち上がるように石に押されたあと、横にズレた。 上で見ればこの程度のことだったが、下でぶら下がっていた三人はたまらない。 急にぶら下がるポイントが階段から遠ざかったかと思うと、今度は一瞬で階段上部に引き寄せられ、あげくその反動でくるくると取っ手が回り始めたのだ。 鳶のヒュウイとスーはともかく、ただの運搬業のルーィにしてみればいまだに掴んでいることの方が不思議な逆境だった。さっきのことで、覚悟できていたからかもしれない。 石が落下してきた。 「飛んで!」 さっきヒュウイが落ちたよりよほど高かったが、まあ、二人なら大丈夫だろう。 と、叫んだ瞬間、ルーィは二人の変化に気づいた。 二人して、尻込みしていたのだ。 空中には床のように踏ん張れる場所が無い。故に一人が飛べば、その反動で残る二人は階段のそばから遠ざかる結果になる。 ヒュウイとスーは、そのことに思い至っているのだ。 とはいえ、迷っている暇など無かった。 「ったく、お人好し姉弟め...」 ルーィは取っ手のボタンを握りこんで、壁に張り付いていた電気磁石のスイッチを切った。 とたん、ワイヤーは何の抵抗も失い、問答無用で落ちた。 コレには予想外だったらしく、ヒューイとスーは身動きの取れぬまま身を竦める。 そんな二人にルーィは苦笑するように微笑んで、握っていた取っ手を力の限り投げ、ついでにヒューイの顔面あたりを蹴っ飛ばした。 取っ手を投げた反動で二人が階段側に押し出され、そしてルーィは階段とは反対の何もない空間へと放り出される。 「る」「ルーィ!」 『ルーィ!!』 呼ばれても、叫ばれてもルーィは答えずに上を睨み据えた。 こっちが動いてなった分、落下中のルーィに相対的に落ちてきている、丸い岩。
(天上へのモーダルシフト) | | |
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