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■2005年11月20日(日)
スタメン見逃した
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| 乙女ロード特集してたのか...
ルーィその2。 前回のデザインを更にいじってみる。 屋上付き運搬係専用の、形の安定しない最大テレビぐらいある大きさのブロックを運ぶことに特化した装備とかなんとか。
ルーィは、ボンバーマンにこう言う名前の乗り物あったなあ。 ボンバーマンは即座に自爆して外野から爆弾投げて遊ぶのが好きです。
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「重い重いおもいぃいいい」 と、再度唸りながら取っ手を必死にで握りしめるルーィ。 そのルーィの身体にしがみつくように、ヒュウイとスーベリーア。 「が、がんば」 「やかましぃ、脇を触るな、腰にしがみつくなぁ!」 罵りつつ、ルーィは腰からベルトを引き抜いて取っ手に通した。 ヒュウイとスーは、ルーィの意図を汲んで、そのベルトの両端を掴み体重を掛ける。 肉付きはいいが身長は普通のヒュウイと、女性にしては身長が高く筋肉も突いているスーの体重がちょうど釣り合った。 そのままなにも話そうとしない二人を見て、ルーィは「はん」 と鼻で笑い、 「う〜電気磁石とは言え、こんな重たい荷物ふたつもくっついて持つかなあ」 『お、重たいとは何だぁ』 「やかましいぃ玉が喋るな玉が! 非常識でしょうが!!」 目の前の石の玉――これがちょうどワイヤーの取っ手がぶら下がっているポイントで止まっていて、螺旋階段に戻るのを阻んでいる――を蹴っ飛ばす。 「やに悪趣味なトラップだと思ったら、やっぱり条件操縦で人に付かず離れずころっがって無駄に疲れさせる設計なんじゃないの。塔が落ちる瀬戸際だってのに、なんだってこんな賢者の気まぐれにつきあわなきゃならないのよ!!」 『それは、ルーィが認証も無しに塔のブラックボックスあけるからでしょーが!』 「緊急避難よキンキューヒナン!! 開けなきゃあんた一生ってか塔が落ちるまで、ウナギの寝床で三角座りだったじゃないのよ!! 大体、非常パネル開けたら代わりに罠が開くなんて、どんな人間性よ!」 『あしに聞くな!!』 罵りあうルーィとD・J。最初の台詞だけ、スー姉のようだったが。 「ぶらっくぼっくす?」 『むぃ。塔のメンテ部隊専用の特殊装備よん』 「...メンテ部って、あの塔でも10人いるかいないかって言うエリート部隊か?」 「単に塔の魔術的な建築を理解する頭と、少量の魔力が必要ってだけの専門職。別にエリートとかじゃないわよ」 「...そういうのエリートっていわねえか?」 呟くヒュウイだが、ルーィはその台詞をさらりと流した。 「ん〜もう一個下の階段まで落ちるか。いろいろ不安があるけど、石ころが邪魔だから取れる手がないし」 ルーィが取っ手を握りしめると、ワイヤーが再び伸びてゆっくりと下に降下していく。 さすがに三人もぶら下がっているためか、ワイヤーは何度も揺れて、そのたびに三人を吊り下げるバランスが不安定になる。 慎重にワイヤーを伸ばし石で塞がった階段を更に降りていく。 「こんな面白い道具...どこにあったんだ?」 「なに言ってんのよ」 毒づくルーィ。「あんたがいつも中身も気にせずに運んでるパズルブロックの中に入っていたに決まってるじゃないの」 「え、そうなのか?」 「そうなのよ。この階層だけで100カ所ぐらい在るわよ」 既にルーィは5個、この装備ボックスを開けて、物品をあさっていた。 火事場泥棒という奴である。 「てか、なんでそんなのあるのルーィが知ってるんだ? まさか、ルーィは運搬係というのは仮の姿で、実はメンテ部の」 「ほほぅ、するってえと、ヒュウイにはわたしがわたしが毎日毎日汗水流してあ・れ・だ・け一生懸命打ち込んでいた運搬の仕事風景が、わたしにとってたかがメンテ職なんてもんの副業のような扱いで働いていたように見えたわけだ。そうなの? ん?」 「い、いえ滅相もない」 初めて体験する言いしれに威圧感におびえ、ヒュウイは柄にもなくどもる。 『スカウトはしたんだけどねぇ』 「あれはD・Jの冗談で一番面白かったわ」 『冗談ちゃう言うに...このガキャ』 「スカウトはしたって事は、才能はあったんだよな」 「読書量が人より多いだけよ」 どうにもつまらないらしく、ルーィの返事はつっけんどんだった。 『それもあるけどね、魔術に詳しいし。 けど、一番大事なのは魔力の有無よん』 「魔力? なんだそれ」 『念動力とも言うけどね、魔法の燃料みたいなもんよ。 大抵の管理装備は魔力がないと起動しないのよん。 でもナ、魔術に縁の薄い塔の住人が魔導の器具を動かすに足りる魔力を持ってるなんて奇跡に近いのよ実際。 その点、ルーィは血筋のせいか魔力も多めだし、優秀なキャラだったわけなんだけどねぇ』 「血筋?」 歴史の浅い塔にはあまり縁のない言葉である。 ワイヤーを伸ばすことに神経を注いでるルーィは取っ手を真剣に睨みながら、 「ローシャリン家はもともとライオアーク騎士団の末裔なの。だから未だにファミリーネームが...ってウチのおじいちゃんが宴会のたんび得意げに語ってるじゃないの。 ああ、ええと。念のために先回りして言うけど、ライオアークの騎士団には魔法使いを何人も抱え込んでいて、中でもローシャリン家は魔術使いの血筋として優秀な人材を提供していたらしいわ。 まあ、言っても塔に住むようになったのは当時の一族の末っ子で、名目は双国管理塔の監視だとかだったんだけど、そんなのはもうどうでも良くなってるのが現状。ふたつの国潰れてるし...まあ、そんなことよりよ。二人とも。 なんかあまり喋らないようにしてるみたいなところ悪いけどね」 「は?」 『へ?』 「いや...」 『やば』 ルーィとD・Jだけは、状況に気づいていた。 上の方で、冒険映画も真っ青な人をせんべいに押しつぶしてしまいそうな大きさの石ころが、実際どうやって止まったのか、今更ながら謎だったあの石ころが、
――ころん、と。
塔の内側に。 螺旋階段を落ちるように。 ケーブルにぶら下がる三人の真上に落ちるように。
――ころん、と。
落ちた。 「そういや、この石ころはどこにあったんだろ」 ルーィは首をかしげた。 「『考えてる場合か!』!!」 絶叫。 | | |
■2005年11月19日(Sat)
おお。
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っと、レスが遅れた。余所でコメントする暇会ったら、まず自サイトにレス残せって話ですよね。
おめでとうのコメントありがとうございました。 なんと、3件も届きました。 ありがたい限りです。うん、いやほんと。 だってうちのウェブ拍手って、何の見返りもないですからね。 誰がコメントしてくれたのかもよくわかりませんし。 いや、そもそもウェブ拍手とか見返りもとめないものなのでしょうけど、それにしたって、余所のサイトならコメントにたいしてレスしたりとかしますし。 誰だって、自分がアクションしたのならレスとは行かなくても、反応は欲しい。 自分だってそう思います。 それを期待しないで祝うというのはある意味、究極の無償の愛です。 匿名で「おめでとう」 と、たったそれだけの文章を残す。 この労力・凄さを私は知っています。
ほんとウェブ拍手つけて良かった。 大半のコメントは誰かわからないけど、むしろそのわからなさがいいですね。 うん、わからない方がいい。 わかれないためにウェブ拍手なんだし。
そんなわけで、ありがとうございました。 また更新続けていきたいと思います。
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手を握ったのは、ルーィだった。そして、 「うわ、おもたっ」 重さに耐えきれず、地面を蹴る。 ――あまりにもとっさの出来事で、ヒュウイは何も思い浮かばず。 それでも瞬時に彼女を守らなければとルーィを抱えようと手を引くが、 「ったく」 と言う、悪態がその瞬間聞こえて、そのあまりにも素っ頓狂な言いぐさに、不覚にも身をこわばらせてしまう。 あきらかに失態だったがが、結局のところ、その行為はルーィの邪魔をしないという点で正解だった。 ルーィはヒュウイを掴んだまま、残った方の手を壁に近づけ、 「<吸着>」 彼女が握っていたのは丸底のアイロンのようなものだった。 アイロンの底が壁にくっつき、取っ手だけが外れてワイヤーを伸ばしながら キュルルルル――と、落下の衝撃を吸収しつつも下降していく。 「る、お前、こんなアイテムどこで...」 「おーいナンバーワン鳶様は心配より先に、物が気になるかぁ。この薄情も...ん!」 「い、いやそんなワケじゃ」 「そんなのどーでもいいから。てかおもい重い重いぃいいいのよ! このぉあ!」 「重い」 という言葉で踏ん張るようにヒュウイの手を持ち上げるルーィ。 「ほら、下」 が、見えてきたという意味らしい。 螺旋階段は二本の階段が二重に――ようは二本平行の螺旋に並んでいる。 つまり下の階段は、高さ的には半周下の階段で、 「ぼさっとしてる暇があったら、腹くくれ! せーの!!」 で、反動をつけてヒュウイを投げた。 「おおおお???!」 膝を折りつつ着地する。 「あ〜重かった」 軽くなった腕を振りつつ、ルーィもゆるゆると降下してきた。 「じゃ、ねえええええ! ヘタすりゃ骨折する高さだったぞ! あと二秒くらいこらえろよ!!」 「あ、なぁに、助けてあげたのにその態度。つまらない人間よねぇ」 階段のすぐ上の高度で、ぶら下がったまま足を振るルーィ。 反動をつけて取っ手を離し、階段の上へと足を乗せる。 ぶらんと、空中で振り子のように揺れる取っ手。 「ん〜使い捨てじゃないんだろうけど...回収の方法が判らないなあ」 「てか、ルーィ? なんかキャラ変わってないか??」 ルーィは、色素の薄い髪を散らばらして「聞くな」 とつぶやき、右手に巻いた布きれを頭に巻く。 「ワケのわからない災害に巻き込まれて、さらに二三度死にかけて、その都度ワケのわからない奇跡に助けられてたら、開き直りたくもなるわよ。んなことより...」 『ルーィ、坊や!!』 遠くから声がした。 D・Jの声だ。 しかし建材を振るわせて喋るD・Jの声ならば、近くから聞こえてきても良いはずだ。 それがわざわざ遠くから聞こえると言うことは、 「スー姉」 「スー?」 その通りで、スーベリーアが真っ青な顔して10段飛ばしぐらいで降りてきている。 その後ろから... 「わ、わけわかんねえ」 螺旋階段一杯の大きさの石の玉が転がってきている。 玉は素手には快適な加速度を得ているが、遠心力で壁にこすりつけられて総合したスピードはさほどでもない。 というよりは...ギリギリ人が逃げられる程度の速さだった。 「さすが賢者の知恵...どこの冒険野郎よ」 『ルーィぃいいいい。あんたが勝手に要認証設備使うからトラップが誤作動したじゃないの』 「え、わたしのせいなの。認めないわよ」 『認めろやぁ!!』 バンダナを巻き終えてしれっと言うルーィに、ヒュウイは「こいつこんなだったっけ?」 と本気で冷や汗を流した。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月17日(Thu)
涙も過去も未来も跡形もない
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コンビニで味噌汁は売っていないのは何故だろうと、そんなことを考える。 未だに、コンビニで売っているスープと言えば、おでんのツユぐらいしかない。 せいぜい、お湯のサービスがあるぐらい。 何故だろう、どうしてか。 味噌汁とか、コーンスープとか、コンビニで売ってたら買うのに。 とはいえ、もうコンビニも歴史が古い。 自分が考える程度のことだから、誰かが自分みたいな案は出したことに違いない。あるいは、今日もコンビニの企画屋が出したかもしれない。 しかし、その案は通らないのだ。 それは何故だろうか。ここまで味噌汁が、あるいはスープが売って無いとなると、致命的に駄目な部分があるんだろう。 何故だろう。味噌汁にはお袋の味があるからか? いや、それならおでんにだって、と言うかうちのお袋の味はそろそろ「あさげ」 と「ほんだし」 だ。 じゃなんだ。 やはりスープ単品だと売れないのか。 あるいは、利益が出ないのか。 それとも、ホットジュースメーカーから圧力が掛かっているのか? なんだろう、なんだろう。
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高いを目指す少年――ヒュウイは真っ逆さまに落ちながら、 気絶していた。
「高いところを目指すことは、もう、ある意味人間の欲求みたいなモノなのよ。 ほら、馬鹿と煙は高いところが好きなんて言うでしょ」 「お、俺は馬鹿じゃねえよ」 「馬鹿よ。ばかばかばかばかもう、超がつくくらいに馬鹿よ。 じゃないと何? こんな夜遅くに屋上の更に上行ってみたいだなんてロマンチック考えないわよ」 「...」 ぐうの音も出ない。 「わたしだって、まだ頂上には上げて貰ったことないんだからね。 全く、こんな事なら上の方の合体設計図も見ておけば良かった...」 まるでわたしが先に登りたかったのに、みたいな言い方で、怒る姉。 「スー姉も? あんなにみんなにすごいって褒められてるのに...」 それが、ヒュウイが上を目指す理由――コンプレックスだったのだろうか。 いたずらがバレた今となっては思うことが出来る。 「ま、ね。背も結構...ってか自分でも引くぐらいに伸びてきてるんだけど、まだ体力が追いつかないって言うか。 特に90mあたりは、塔の加護はゼロ。大の大人でも酸素マスクつけてごわごわのコート来て、それでも30分も動いてられないらしいのよ。ヒュウイの今着てる服でも薄すぎ、寒すぎ」 「...そうなんだ」 たしかに、それは甘く見ていた。 「ま、それはともかくともかくそれは。よ。 高いって言ったところで、わたしたちには塔の絶対的な高さなんて実感できないし、窓の外から、塔の頂上から、ベランダから見下ろしたところで、嗚呼ここから落ちたら死ぬんだ、死んじゃうんだみたいなことは思えても...いや、もしかしたら死なないかな。知ってる? 物ってある程度落ちると落ちる速度が変わらなくなるらしいのよ」 「だからって、さすがに死ぬと思うけど...」 「そうね。死んじゃうのよ」 ヒュウイのつっこみに、頭の上でスー姉がうんうんと頷いて。 「でも、そう。塔から転げ落ちるなんて絶対に考えもつかない。ましてや塔が倒れるとか潰れるとか、そう言うことは...まあ考えるんでしょうけどそれについては諦めちゃっている。下の世界の人だって、地震とか来ればどうしたって死んじゃうらしいし。だから、わたしたちにとって、塔の高さなんて無いに等しいのよ。無いから全然怖くない。 そんなのより、それこそ脚立登っただけで感じる高さ? そう言うのの方がよっぽど恐い。 でも恐いから、楽しい。か、どうかはわからないけどドキドキする。 ヒュウイが欲しいのは、塔から見上げる絶景の見晴らし――なんかより、きっとそんなドキドキじゃないかな。 だから、ヒュウイにとって安全きわまりない屋上の上なんてのは地面と一緒なのよ」 「屋上が...地面」 訊けば当たり前のようで、それでいてよくわからない。 ヒュウイは、10才の脳みそをフル回転させて、けど眠気に負けて考えるのをやめる。 「ヒュウイはね...ううん。わたしならね、わたしなら実感が欲しい。 自分たちは、どれだけ高い場所にいるのか。どれほど、恐い場所にいるのか。どれだけ登れたのか。 でも判らないのよそんなの。安全が保証された屋上の天板じゃ、高度数千mのベッドの上じゃわかりっこない。 だから、高いを目指したくなる。自分たちが高い場所にいるという実感が欲しくなる。 危険あぶないと思える、相対的な高さを絶対的な高さに置き換えて、それで高いところに来たんだと満足したくなる」 「...」 もうさっぱりわからない。 自分は、そんな難しいことを考えて、頂上を目指したのだろうか。 でも、確かにそうだ。 大人達があぶないからと言ったから、ヒュウイは塔を登りたくなった。 生きるに必要な物しかない塔に、そんな危険な場所があると知っただけで、胸がときめいた。 別に死にたくなんて無いけれど、高いところに行きたかった。 高いところで生きたかった。
その塔が崩れる。
「ヒュウイ!!」
声がした――気がした。 目覚めたのは、身体を螺旋階段に打ち付けて、一回跳ねて再度階段に身体をぶつける直前だった。 そして身体をぶつけて――鈍痛が走る――螺旋階段を転げ落ちそうになる。 方向感覚もわからないまま、身体が浮いてぞっとした。 塔の階段は、壁の内側に巻き付くように螺旋状になっている。普通なら内も外も壁に阻まれるのだろうが、この双国管理塔の螺旋階段はせいぜいが手すりのある程度だった。 その、何もない空っぽの空洞がある内側に放り出された。 何もこんなタイミングで目覚めなくても、とは思ったが、ヒュウイは「うわああああ」 叫びつつもがむしゃらに手を伸ばす。 その手が――ベタなことに――階段に引っかかった。 全身打撲の痛みが走るが、無視した。 落ちればまず死ぬ。 この階のこの高さには四角と十字の路があったはずだが、そっちはもう――何本かの柱と壁に内接する部分を残して、ほとんどどが崩壊していた。 全体重を片手に預けて階段にぶら下がる。その手も第二関節が引っかかっている程度にすぎないが... 「なんとか、なるか...」 そこは現役の鳶である。 指が引っかかる場所があれば、身体を持ち上げるぐらいの芸当は...まあ、さすがにそれぐらいとなるとヒュウイを数え数人程度だが、ヒュウイの家族ならたしなみ程度の技だ。 だが、その瞬間も揺れは続いてた。 そしてヒュウイはそのことを失念していた。 ググギィイイベキンとよくわからない音とともに、一際大きな揺れが塔を襲い、
またもやヒュウイは中空に放り出された。 一瞬、ヒュウイはよくある本とか、くだらないD・Jのラジオドラマなんかでよくあるベタな展開を期待した。 それは藁にもすがる思いと言う奴で、ヒュウイは即座にそんなことを考えている場合ではないと思考を切り替えたのだが、
――その瞬間に、ヒュウイの腕を誰かが掴んだ。 ベタなことが起こったのだった。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月16日(Wed)
まっすぐ自分の言葉
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・「アイデアなどに煮詰まった時の気分転換の方法は?」 「煮詰まっているようではプロになれません。煮詰まるな!」 (許斐剛)
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まあ、煮詰まるの用法が明らかにおかしいんですが、それはおいといていい言葉だ。スカッと来ますね。 AとBを1人だけ助けられるとして助けるとしたらどっちを選ぶと言う質問に「どっちも」 と答えてその後へりくつ並べて故にどっちも助ける俺なら出来るみたいに完結させるタイプのヒーローがいますがアレに通じる爽快感があります。
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ちょうど、このぐらいの高さだった。 夜中、鳶に生まれた姉弟は身を切るような寒さに耐えながら、狭い縦穴の中で一夜を過ごした。 後に知ったが、そこは冷蔵庫になる予定の場所だったらしい。 だからと言って、なぜ冷蔵庫に縦穴が必要なんだという程度の話だが。
スーベリーアが重度の高山病を患い、その天才的な鳶の技能の一部を失ったことに、他の鳶たちは悲しみこそすれ恨みに思うことはなかった。 スーベリーアが健在であれば、塔の建設はそれこそ冗談でもなんでもなく、1.5倍くらいにまで早まるのだろうが、所詮それだけだった。生きている間に、塔が完成するわけでは無い。 むしろ、スーベリーアの給料が下がって自分の給料が上がると、周りは喜んだぐらいだった。本音とも冗談ともとれる喜び方で。 もっとも、鳶の給料は、運んだパーツの数、組み込んだ数、難易度、その他設計図の理解度、他の鳶への協力度などを鑑みて、鳶の長が配給するので、それで他の鳶の給料が上がるのか、あるいは運ぶに困難になったのみのスーベリーアの給料が下がるのかと言えば、そうでもなかったが。 今でも、スーベリーアは鳶では1番の給料取りである。
『“どうせ降りるなら、今、引退しても、何も問題は、ないから”』 『え、まさか全部降りるつもりなの?』 首を振る、スーベリーア。 実際、それは様々な点で無理がある。 その大半は環境の問題だ。 ルーィが言うところの塔の結界によって、気圧の変化などは半分以下に抑えられているものの、それでも下の世界は、圧倒的なまでに最悪な環境にある。 空気が濃い重い暑い埃っぽい臭い汚い湿っぽい蒸し暑い苦しい... まさに劣悪である。 地面を離れ空を住むことを決めた塔の住人達は、年月を血脈の代を重ねるたびに、その地上で暮らす者にとってはなんてことの無い劣悪な環境に耐えられない身体になってきている。 心肺機能以外は。 それにしたところで、地上の埃の多い空気を必要以上に吸いこんでしまうと言うだけであるが。 『“そもそも、塔の通貨は、塔でしか、通用しない”』 『そりゃそうだねぇ。塔で売ってる物は、地上じゃ半額以下で売ってるし』 塔で生産するものに、貴重なものは何一つ無い。 精々、高山植物ぐらいだろうか。 『“そうではなくて、下の居住層に”』 『下の階層で暮らすってことやぁね。う〜ん、そうなると鳶じゃなくなるから、私の優先的なサポートは受けられなくなるわけだけど、ま、それは関係ないっちゃ関係無いしぃ。スーには、塔内なら遊んで暮らせるだけの蓄えはあるわけだし』 『“働く”』 『まあそりゃスーならなんでもやれるでしょうけど、あしはあんまりと元鳶には働いて欲しく無いんだけどなぁ。引退したスターがサラリーマンとかやってたら物悲しいって言うかぁ。ま、いいけどね。 それはそれでスキャンダラス。 それより、なんで引退したいの? ヒュウイから離れるため?』 『“ヒュウイ?”』 スーベリーアは目を丸くして、それから首を振った。 『“どうして”』 『いやなんでって...あ〜そういえばそうか。最近坊や寄りでやってたから失念しちゃってたなあ』 『“お姉ちゃん思いなのは嬉しいけど、”』 『いやいやいや、あの極悪ひどーの刻の賢者に殴りかかるぐれーの覚悟をお姉ちゃん思いで終わらされてもぉ』 『“...ヒュウイ。思い詰めてたのかな”』 『まあ、目の前に人参ぶら下げられりゃ誰だって噛みつきたくなる気もするけど。そうやねえ、ありゃ坊やらしくもないわ。というかあのガキ、刻の賢者に契約持ちかけるってのがどういうことかルーィに教えてもらってなんかいな。良質の人精霊を採集するためのみに生きているあいつらにお願いをするってのは、つまるところリアルに悪魔や天使に魂を売り渡すのと同じってことなのに』 『“そう、あの人から、そんな感じは、しなかったけど”』 『そりゃまあ、契約する方が良質の才能でないとだめなんだから。騙して契約なんて意味ないっしょ。坊やも、その辺のルール、と言うか条件で助かったのかもねえ』 『“いつか、その気持ちが、治まるのかと、期待していたんだけど”』 先ほどから、話がかみ合っている様子ではないが、二人は気にした様子もなく、 『“でも、もう直らないのだとしたら、あの子も、付き離してでも、一人立ち、させないと”』 『...う〜ん。てっとうてっび、手間の掛かる弟としてしか見てないよなあ。 坊やの気持ちを気付いてないとかならまだしも、気付いてるのになお、男として見るなんて気持ちが欠片もねーの。そりゃルーィも困るわ。 せめて真正面から受け止めて振って上げるとかしたら踏ん切りつくかもしれないのに、スーにして見りゃ、真正面から見るなんてことを思う発想すら湧いて来ないわけだからぁ』 『“それは、違うよD・J、叶うのなら、見てあげたい、ヒュウイと、ルーィの、ためにも。けれど、わたしにも、ひとつだけ、納得しなければ、ならないことがある。納得の、いかないことが、ある”』 『ん〜そりゃねえ、それが結局今のこの状態の原因なんでしょ。それはわかって――風が来る! 陰に隠れ、何かに捕まれ! 伏せるとかじゃだめ!!』 突如、D・Jが叫んだ。 叫びは、スーベリーアの立つ床のみではなく、全ての壁を揺らして、まるで合唱して響く。 衝撃が、壁を叩いた。 衝撃で、十字路が、鉄筋よりも軽く、丈夫なはずの十字路がつり橋のようにたわんだ。 スーベリーアは、その直前に自ら飛んでいた。捕まる場所もなかったから。 反応は迅速だった、彼女は無重力にほうり上げられて力の抜けきった身体を緊張し、膨らんだり落ち窪んだりし続ける床を蹴って、蹴って、蹴って、それだけで壁の揺れたのとは反対方向へと進んでいく。飛ぶように。 一度でも足をつければ揺れに足を取られて、動けなくなっていたであろうが、スーベリーアは、そんな状況下でも常に冷静で、やたら落ち着いていた。 床面のたわみを計算に入れ、ちょうど上にも下にも行かない床板を選んでは踏んで、選んでは踏んで、そして螺旋階段にまでたどり着く。
その後、すぐに十字路が落ちた。 スーベリーアは上を見上げた。 外壁がぎしぎしと軋み、ボロボロと建材を落としている。 パズルは一度組み込めば、きちんとした方向に力を加えなければ、まるで最初からひとつの構造物だったかのようにきっちりと噛みあって分離することなどありえない。 ありえないにも関わらず、建材は、ボロボロと、堅固とは言えやはり弱点ではある連結の繋ぎ目からバラバラになって、落ちていく。 鳶ならば、それを見ただけでもう塔はダメだなと絶望できる光景だった。 その壁から――スーベリーアの立つ場所からは一番遠く、道ももう無い壁から穴が空いて、人がポロっと落ちてきた。 スーベリーアには、それがヒュウイであるとすぐに理解できた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月15日(Tue)
走り出す前の
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「ファンだからこそ許せないのだ」 とか、 そう言ってる時点でもうファンではないような気がするのだが、どうもそう思わない人もいるらしく。 ファンってのは要は崇拝するぐらいにあこがれるって事で、許せないってのはあこがれられない部分が見つかるってことで、それはもうファンでもなんでもなく、むしろファンであってはならないはずなのに、「ファンだからこそ許せない」 だとか、今戻ってくるなら許してあげるみたいな傲慢な台詞を、そんな一目かっこよさ気で、実は矛盾しているだけで何の価値もないそんな言葉を吐く時点で、もうファンであることの条件のあこがれというものが一切無くて、やはりそれはファンであるとは言えないのでは無かろうか。 許せないのに、未だにファンであると言うことに何の意味があるのかというと、まあただ単にそのあこがれに費やしてきた自分の労力をおいそれと見捨てることができないとかまだ他の部分であこがれてる点があるだとか、ようは「もったいない」 と感じているからなのだろうが、だからこそ「もう一度あこがれさせろ」「オレにもう一度好きと思わせてみろ」 などと、そんなことを言うのだろうが、真に取り戻すべきなのはそれにあこがれていたはずの自分やあんたなのでは無かろうかと思うわけで。 あのころのあんたなら、俺が箸を転がしただけでもリスペクトしてただろうよ、きっとね。と、いろんな人が思っているんだろう。たぶん。 別に、ファンであり続けることはそう難しくない。 失望しなければいいのだ。 たとえ何度となく呆れかえっても、そのたび失望しなければいいだけだ。 許せないのであればファンではない。 あこがれを失ったのならやはりファンではない。 失望しているのだから。 次に期待するだとか、それさえなければなんてのは、ただ利害が一致しているから消費しているだけで、それだけだ。あこがれがない。崇拝してもいない。 ファンは期待しない。 ファンは失望しない。 ファンはあこがれるだけで、好きでいるだけだ。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
ん〜ちょい支離滅裂か。 ただ、「ファンだからこそ許せない部分があるんですよ」 みたいな発言に、自分が受ける印象は、 「実のところ、それ自体は今さら好きでもなんでもないくせに、かつてそれが好きだった自分の立場を守るためだけに使っている」 みたいな感じです。 まあ、それ以上に、 「なんでこいつの許しを得る必要があるんだろう」 と思ってしまうわけですが。同じファンとして。ついでに言うと、大抵そう言う奴が言う「こうしたら面白い・許せる」 というモノがどう考えても面白くなさそうなんですよね。コアファンの意見を聞いていくとコアにしかならないみたいなのと同現象ですな。 総合して、「たいして面白くもない偽ファンの俺の許しを請え」 みたいな発言に聞こえるって事だろうか。そりゃ確かにアレだなあ。
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時間は前後する。
さて、スーベリーアは鳶である。
塔において鳶職の仕事は――つきつめれば、持ってこられたパズルのピースを指定の場所に填め込むだけの作業である。 パズルのピースは、大きくてせいぜい一抱え。小さくなると拳ぐらい。平均して鍋一個ぐらい。 いずれにせよ小さく、そのピースによって大規模な空間(100m×100m×円周率×100m) で展開される壮大な立体パズルを完成させるわけである。 もっとも、空間――ひとつの階層におけるピースの比率は10%未満であるが。
このパズルは建物であるため、もちろん設計図が存在する。 設計図は、必ずパズルのピース(ブロックとも言うが) と一緒に運搬係によって運ばれてくる。 設計図にはピースが填め込まれるべき正確な高度と座標、そして座標を中心に10m四方の地図が書き込まれている。 しかし、場所が判明してさえすればパズルが解けるかと言えばそうでもない。 ブロックそのものがまたパズルの塊だからだ。 ブロックにはその連結において難易度が存在し、さらには連結の順序が存在する。 連結の難易度は、知恵の輪を填め込む作業に似ている。 ただ凹凸を見つけて填め込むだけの物もあれば、押して回して一度引いて角度を変えて――と、それこそキャストパズルめいた填め込みを行わければならない物もある。 連結の順序は、プラモデルを作る作業に似ているだろう。 先に内部を造り、外部を組まなければならない。全体を一気に作らず、部分部分を造っていき、最終的に結合させる。 つまり、鳶にはその順序や段取りを見極める能力と、連結を素早く行うひらめきにも似た発想力が必要となる。
では、鳶はいったい一日に何個のブロックを運び填め込めばいいだろうか。 平均を一辺30cmの立方体と考えると一日10cmの高度を稼ぐためには11627個以上...鳶は約100人なので、一人約117個。8時間働いたとして1時間に15個。 ――つまり、4分に1個、パズルを解く必要がある。 解くと言っても実際に解くことに考えを費やす時間はない。 設計図を読み解く時間や、組み立ての段取りを考える時間、そして何よりパーツを迷路のような立体迷宮をかいくぐり所定の位置に持って行く時間を加算しなければならないからだ。 それらを踏まえれば、謎解き――パーツの連結には1分も掛けられない。 鳶にとって瞬間的な発想力がいかに必要なのか、想像が出来よう。 無論、螺旋階段を何度も行ったり来たりする体力も。 そして、発想・段取り・空間把握あらゆる部門でスーベリーアの能力は、ずば抜けていた。現在でも、一日に300以上のブロックを処理している。しかも連結の難しい精密系のブロックを主にして、だ。 一般に、パズルなどの図形処理や、幾何学的計算、立体の空間把握能力は男性が優れているのだとされているが、所詮は一般論。本物の才能と呼ばれるモノの前には、男性も女性も関係がない。先天的なモノ――とは言い難い。両親が鳶であったという環境は、何においてもスーベリーアに影響しているであろうから。 スーベリーアにはブロックの連結部を見ただけで組み込み方を理解する発想力と、複雑な立体パズルを一度も解体することもなく完成させられる処理力があった。 一度見た設計図を記憶し、全ての設計図と統合して一つの立体地図として頭の中に展開する力も。 その力は現職鳶の中でトップ3――いや、一度病にかかり落ち込んだ体力と高々度でのリスクさえなければ、間違いなくトップであっただろう。 しかし現在はそのトップの座を義弟のヒュウイに譲っている。 ヒュウイもまた、そんなスーベリーアにあこがれて追いつこうと努力をしてきた秀才であった。
『スー、もう降りない?』
スーベリーアは塔の頂上部、その内部側にいた。 もっとも、一番高い内部は外壁の物見櫓から10m以下の高度に存在している。 屋上からの相対的な高さで言えば、櫓が約70mで、この場所が60mぐらいだろう。 これは、外壁の連結難度、組み上げ順序が最小かつ最優先されるから、つまり組むのが簡単で一番最初に組まなければならない物だから、必然的に速く造られるのである。 パズルでも、外側から造るのが常道だが、そのルールは塔にも当てはまっていたのだ。 外壁のブロックは何より全てのブロックが同じ形であるため設計図もなければ、座標もない。1人一日120個どころか、1000個でも組めてしまう(無論、屋上すぐの高さなら)。そのため、職につきたての見習いや図形処理や空間把握能力に優れていない鳶は外壁を受け持っている。 一般に初心者職だが、体力と運動能力だけが抜群に高い頭はそこそこだが数をこなせるタイプの鳶も外壁を担当する。
60m部は、四角形に十字の対角線を引いた通路状の建築だった。 そこから頂上を見上げれば、70m部はアリーナの二階席のように内側に張り出しているのが見て取れる。 あそこは、おそらく円状の集合住宅になるだろう。 ドーナツ部は住宅に、そしてスーベリーアの立つ四角十字の道は、そのまま通路になる。 線はもう少し増えるだろうが。 これは――ドーナツ状におそらく50世帯ぐらいの家が出来るとして、円周部の通路だけではどうしても遠回りになる世帯が多いためである。 例えば真北から、真南の「向かいの」 家に行くには直線では200mなのだが、円周上をわたると約300mもかかり約1,5倍余計に歩かされる。 この無駄を解消するために、住宅部すぐ下には常に直線の通路が造られるのが常だった。
話はズレたが、スーベリーアはその四角十字の通路の真ん中で、ボンヤリと立ち尽くしていた。
『ねえ、スー...』
普段なら高すぎて、ルーィやD・Jが言うところの結界の密度が薄すぎて登ってこれやしない領域である。 あまり意識してはいなかったが、重度の高山病にかかったのもこの高さだった。
『スー。降りようよ...坊や――ヒュウイに会いたくないのならそれでいいからさ。てか、あいつ今、上にいるし』
そんなD・Jの言葉を訊くでもなく、スーベリーアは十字の交点、円の中心でぼんやりしている。 建設中なだけあって、手すりや柵も無い危険極まりない空間で、しかしぼんやりしている。 何も考えていない。 何をしようともしない。 ただ、立ち尽くしている。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月14日(月)
急な坂道登ったら、
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| 前回の絵チャの絵。イッコ。後ろの建物は自分が描いたんじゃないですよ(てか描けん描けん)。 隅っこで描いてますが、このポジションはパレットが近いから描きやすいんですね。迷惑顧みず良く占拠します。
まあ、絵チャの醍醐味は他人の絵の色をパクる部分にあると思いますが。
余談ですが、 「<RUBY><RB>」 を「るびあ」 「</RB><RP>(</RP><RT>」 を「るびい」 「</RT><RP>)</RP></RUBY>」 を「るびう」 と辞書登録すると、ルビタグ打ちが比較的楽になります。 「るびあ本文るびいルビるびう」 ↓ 「本文」 です。慣れるとすんげー楽なので辞書登録してみましょう。 楽というか、楽しいと思えるぐらい便利だったりします。
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「王様の仕立て屋8」 「みなみけ2」
購入。 迂闊にスーツが描けなくなる王様の仕立て屋は、アキバ編も入ってます(笑) メイドパスタも入ってます。
それはともかく、なんかもう全ての従業員をメイドさんにすりゃいいんじゃね? と思う昨今。 メイドコンビニ、メイドレストラン、メイドネットカフェ、メーイドカレーハウス、メイドパチンコ、メイドゲーセン、メイド野球、メイドブルガリアヨーグルト。 男女雇用機会均等法にはずれるか。 最近男性差別が激しいような、最近でもねえな。 じゃ、男子は執事で。 でも執事は執事よりも、執事の方がしっくりくるな。自分だけか。 どうでもいいけど、家政婦がメイドの括弧で現れるメイド家政婦とかって、なんか一回転した斬新さがあるね。
ネコソギ上巻読み終えました。 わかりやすくスタンドで例えると、が面白かったです。 ひき逃げアタックも面白かった。 上巻で、過去のあらすじを総ざらいしてくれたので、戯言シリーズだいぶん思い出して来ました。て、ことでこのまま続きに向かいます。 | | |
■2005年11月13日(Sun)
カニカニ
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カニを食べました。 秋の味覚万歳。
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ハバキは額を抑えながら、中空に開いた扉を興味なさげに覗き、やはり興味がなかったのかそっぽを向いた。 「...ミハルか。久しいな。三万年ぶりぐらいか?」 「一万飛んで二千三百六十年と三百三十五日ぶりよ」 「飛んでいないようだが」 「ま、お約束はさておいて」 ミハルは扉を出ることもなく、その場で仁王立ちした。 スーツには似合わないスポーツシューズで床を踏み、ビッとおでこに二本指を立てる。 「久しぶり、ハバキ。空ばかり歩いてないで偶には本借りなさいよ」 10年来の同窓の友にでも会ったような笑顔だった。 「...あまり読書に適した環境じゃないのだ“司書”よ。昼は眩しすぎて紙に光が反射するし、夜は夜ですぐ暗くなる」 無表情でそんなことをぼやくと、美女はため息をついて、 「...全く、あんたらみたいな呪われた奴らのために時間も空間も飛び越えて娯楽提供して回ってるというのに...どいつもこいつも本すら読まずに自分の殻に閉じこもって思い出し笑いとか、瞑想とか、思い出し笑いとか...呆れてモノも言えないわ」 「勝手にひとを一人上手みたいに言わんでくれ」 と、図書司書の軽口を、適当に返す。 不思議なことに彼らを取り囲む周囲の風景はいっこうに変わる様子がない。 あれほど吹きすさんでいた風はピタリと止み空気の対流すらなく、吹き飛んでいた建材やら何やらも空中で制止して、どこへ動くこともなかった。 まるで時が止まったかのように、全てが止まって、動かない。 しかし、遠くに視点を移動すれば、雲は爆風によって流れ、木々は木の葉を撒き散らして乱れ、土煙はこれでもかと言うほど巻き起こっている。 そんな空間の中で、唯一動けるうちの一人――ハバキは、つまらなそうにため息をついた。 「ふん、名も無き法則への鍵か。また随分と古風な業を持ち込んできたな」 「じっくり話したかったしね。ほら、野球漫画でもボール投げてからミットに届くまでに一話消費するみたいなのあってもいいとは思わない?」 「こっちに聞くのか? で、これはあれか。時を止めるとか、例の未来の軌道を見ながら時間をすっ飛ばすとか言う」 「いや、あれは行動時間を増やすような能力じゃないし。時止めも違うわね。 今開いているのはもうちょっと別の法則。 簡単に言うと、四方の空間を世界から隔絶して世界から観測の出来ない箱に閉じこめるって言うカンジで、“無限ループ”は仮に、《チューリングの箱》とか名付けていたけど...まあ、私は興味ないわ。ネイムレスは、ネイムレスよ。 この空間は、結果のつじつまさえ合っていれば、過程を無視しても構わないって言う空間で、一辺が10kmの立方体の空間なんだけど」 「ますます、それっぽい気がするが」 「ん〜まあ、時間操作なんて力業にバリエーション求められてもね。 ともかく空間を閉じるまでは、過程であるこの空間は保存されているわけ。 タイムリミットとかはないけど、あまりに時間が経ちすぎると、その間に空間が吐き出した結果の量が増えすぎて、過程の入り込む余地が無くなってしまう。問題と答えが複雑になればなるほど、途中式が一本道になってしまうのと一緒ね。 そうなると、もう空間展開自体の意味が無くなってしまうわ」 講釈をのたまうかのように、ミハルはとつとつと語る。 さらに量子力学やら、観測者がどうのとか語り出したが、ハバキは聞いていなかった。無論、理解するぐらいの教養はあったが、思い出すのが面倒だった。 まあ、どのみち彼女も自身の完全記憶能力に頼って棒読みしているだけだ。 「それより、何故こんな面倒な空間を張ったのだ? 秘密裏に会いに来た、と言うわけでもあるまい」 「ああ、そうだった。今言ったそいつからの伝言なんだけど」 「断る」 嫌な予感がした。 「“今爆発起こってるんだけど、ちょっと俺の手違いなんで被害最小限にしてくれないかな”だって」 「...」 ハバキは、今にも倒れそうな状態で制止している塔を、押し黙って眺めた。 「もう遅い気もするが...」 「それは、ハバキが見捨てたからじゃない。 だいたい、あの中にはあなたの友達も居たんでしょ。それで十分じゃなかったの?」 切れ長の険のある目が、ハバキを射る様に見つめてくる。 おそらく、ルーィとヒュウイのことを言っているのだろうが... ハバキは、つまらなそうに塔を睥睨し「それなら」 と指を指した。 「それなら、もう助けている」 「どこによ」 胡散臭そうに、ミハルは扉から頭を出して塔を見下ろした。 そこでは、風に吹き飛ばされたルーィが空中に浮かんで、一時停止ボタンを押されたかの様に、あり得ない状態で固まっていた。 その表情は、ケーブルをつか見損なったショックで、恐怖を通り越し表情の筋肉を弛緩させ、力の抜けた顔で青ざめている。 それは、ミハルが扉を開ける直後の状態であったが、 ――少しだけ、先ほどとは状態が違う場所があった。 何もない場所へ無為に伸ばしていた右手に、ヘッドフォンのケーブルが絡まっていたのだ。 「どうだ」 得意げに、ハバキ。 どうだと言われたミハルは、薄紅を引いた唇を開いて、ため息を吐き出し、 「何にせよ、一瞬で死を悟った瞬間の顔って寝覚めが悪いわね...てか、そこまでやるなら、塔の崩壊を止めなさいよ」 疲れた様子でそうぼやいた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月12日(Sat)
トイレのトラブル八千円。
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マテパが面白くなってきました。
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爆心地では、爆発で押し広げた空気を回復しようと激しい上昇気流と逆風が巻き起こっていたが、これはまあ、関係のない話だ。 双国管理塔方はと言えば、今なお爆発の余波で猛烈な風に煽れている。 「惜しいな、久々に地に足が着けると思ったモノだが、世は無常だ」 塔の周辺の空に立つハバキは、独りごちて傾きつつある塔を眺める。 その塔の外壁の天辺。そこに無数に窪んでいる穴の一つから、ルーィが姿を現した。 思わずサザエの壺焼きからサザエがほじくり出される姿を想像したが、それにしては様子が違う。 窪み――いや、階段か。 何故かそこから飛び出て風に煽られているヘッドフォンマイクのケーブルに、懸命になってしがみついていた。 (踏ん切りをつけて、飛び出すか。――強いな) ハバキは彼女がケーブルをつたって内部の螺旋階段へと移動しようとしているのだと理解する。 そして、同時に敬服もした。 悲鳴と怒号とは快音が響く中で、その現況へと飛び込む勇気に。 (さすがに刻の賢者を目の前にして、何も変わらないで居ただけはある) あのヒュウイでさえ、ハバキという可能性の前に自分を保つことは出来なかったと言うのに。 彼女は、パーテーションのない階段の三段目あたりで側面の壁にへばりつき、風と正対する形でケーブルを掴んでいた。 缶蹴りで必死に身を隠しつつもいつでも出て行ける体制を取っているようにも見えたが、当人はそれより必死だった。 その体制のまま、床へと身を乗り出してへばりつく。 どうやら、命綱を手に地べたを這いずって移動しようとしているらしい。 とっさに思いついた割には良い作戦だったが、 (風をなめすぎだな) 台風を経験したことのないのなら、あるいは仕方がないことなのかもしれないが。世の中――特に自然の前では、人間はあまりにも無力な存在である。 例えば、家の中に隠れて竜巻を逃れようとしても、竜巻が家ごと吹き飛ばす威力を持っていたとしたら無意味に等しい。 命綱を抱えて、蛇が這うように移動するルーィは、最初、上手く移動できているようにも思えた。 だが、次の瞬間一際強い風が吹いて、ケーブルがしなり空へと煽られ、そしてルーィの身体も空へと持ちあがった。 目を見開いて信じられないという顔をしたルーィの身体が、風をまともに食らい、落ちるように吹き飛ばされていった。
「無情だ」 「無情だ...じゃない!!」 ゴッ――と、新庄ハバキは、デコに衝撃を感じてて大きくのけぞった。 それはあまりにも突拍子もない一撃で、刻の賢者のハバキでさえ対処しきれない、いきなりさ加減で現れた。 目の前に、突拍子もなくドアが出現し、開く。 空中に無遠慮に現れたドアは、例えるなら「トイレ」 とでも札が貼ってそうな飾り毛もへったくれもない簡素なドアで、 「全く、これだから放浪者共は...」 その扉の向こうに、見目麗しい美女が仁王立ちで立っていた。 黒髪、黒目、銀縁眼鏡、上着を脱いだスーツ姿の知的な美女である。 どこでもドアから現れた彼女は、腕をつかねた姿勢のまま、問答無用で呆れかえっていた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月11日(Fri)
振り向くなよ振り向くなよ〜
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Replay
| 図解。 逆に判りずらそうだなぁ...
今日はチーズの日みたいです。 なにも1111みたいな連番の日にしなくてももっと他に日がありそうなのに...
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双国管理塔。 この言葉の意味を知っている人は、やはり少ない。 名前すら、もはや響きだけを残すのみで、その本来の意味や本質にまで遡ろうという意志は一般の人間には必要のない感情となっている。 それが塔である。 多くの人間はこれを「双国を管理・監視するための塔」 だと理解していた。 何故そう理解したのか。 (――奢り、としか言いようがないよね。わたしたちは、二つの国を見下ろす高き存在だという奢り。その高さが我々に、心理的な高さと優越感を錯覚させた。 だから、我々が監視するようなことがあっても、我々が監視されているなんて事は、つゆにも思わなくなったのよ。 ましてや、二つの国は塔建設後も続いた啀み合いと、その間に勢力を強めた隣接諸国の圧力に押されて内外から潰れて、どうにもならない状況下まで追い込まれている。大陸が魔族との殲滅戦に入ってからは、音沙汰すらこないし。 そんな、あるのかないのかもわからない弱っちい国々の管理下にあるだなんて考えることすら難しいわけよね)
ルーィは未だ猛風の吹く階段を昇る。 被っていたガスマスクのケーブルが伸びきったので、外して捨てた。 呼吸が出来なくなるが、元々、高所で働く鳶や運搬職の者は心肺機能が高い。 ボンベから酸素を吸入すれば、2・3分程度なら余裕で息が止められる。
それにしても、この風は、あとどれぐらい吹くのだろう。
あと数秒もすれば、止むのではないか。 まるで何でもなかったかのように、そよ風が吹いて、いつものようにD・Jが昼の放送を始めるのではないだろうか。 30階のローゼン・ピーアニ原作の朗読劇が放送されるのではないだろうか。 思わず「台風一過」 などという言葉だけの言葉が脳裏をよぎって、そして自嘲した。 天上に台風は起こらない。
われわれは、空に昇ることで、いったいどれほどの言葉を、無意味なモノへと変えたのだろうか。 風は、もう止まないだろう。 どのみち風が止めば、この塔は落ちるのだが。 階段を昇りきる前に、手首と繋がったガスマスクのケーブルが伸びきった。電気信号と酸素の違いか、ガスマスクの線は思ったより短かった。 見上げる。地下階段の入り口で、やはり伸びきったヘッドフォンマイクのケーブルが、鞭を激しく打つように荒れ狂っている。 手を伸ばす、がギリギリでとどかない。 あと一歩踏み出すには、ガスマスクの命綱を外すしかない。 だが、その先では風がごうごうと唸りを上げ、全てを刈り取るよう走り続けている。 あと一歩踏み出せば、ルーィとて紙くずのように風に巻き込まれ吹き飛んでしまうだろう。 冗談のようだが、リアルにそれが実感できる。 だが、 ルーィは、それでも迷わずに手首に巻いた布を解き、命綱の連結を解いた。 手づかみで、ガスマスクを右手で握りなおして、布を巻いた左手を伸ばす。 「――っ」 手をはたかれたかのような衝撃が走り、思わず手を引く。 「なんて風...手首、捻りそう」 そんな中に飛び出すのかと想像して、ルーィは身を震わせた。 「...いい感じ」 微笑む。 『や...なさ...! ローシャ...ン・ルーィ!!』 「やめない」 何もかもを振り切って、ルーィは手を離して一歩を踏み出した。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月10日(木)
あてもなくさまよっていた。
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おお、まさかこんな展開になるとは。 日記の小説って、なんというか一人リレー小説みたいなんですよね。 書くだけ書いて、さあ明日の人どうぞみたいな感じで。 ルーィのコットンキャップは、まあ要するにバンダナを頭全体を覆う感じのを帽子として固定したみたいなタイプのです。 こんなボリュームでないよなあ、実際。 ターバンぐらいの布面積がないと。
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過去数百年。 双国管理塔には天災らしき天災は皆無だった。 もともと、塔下の宿場町クロスボーダーは、地震も、台風も、竜巻も、滅多に訪れない。 そのことは、塔の両翼に拡がる「大地を這う蛇(築数百年)」 に目立った倒壊が無いことによって立証されており、だからこそ塔は建てられ始めたと言っても良い。 更に言えば、塔にとって最大の天敵である地震は、塔独自の対震結界(コロ付きのだるま落としのような振動吸収装置) によって震動の一切を抑えており、上層に行くほど強くなる風も同様、塔の風防結界(風の対面に傾斜ついた抵抗場を発生させ、塔に吹く風を迂回させる) によって、強風の大半を殺している。
その他様々な塔にとって有害な事象が「結界」 によって、排除されているが、 そんな事実を塔の住人の殆どは無知のままに暮らしているのが塔だった。
――逆に、その情報を知りうる物は、ごく一部の物に限られていた。
ルーィは、ガラス板に映し出された映像に触れながら、無用階段の最下段で身を縮ませていた。 風は、穴に逃げ込んだムジナを掻き出す獣の手の様に階段をかき回す。
「D・J...ディベロッパー・ジャーン!」 『――ルー...ね。認...した。それより...んであな...がその名...』 「何? 風でぜんっぜん聞こえないわよ!」 自分の声すら、マスクにこもって聞こえ辛かった。 『まっ...て...ぐにヘッドフォ......イクを...意するから。上に』 「上?」 上には、ギリギリ庇程度の建材が組み立てられている。 その庇の一部がパカンと四角に開き、コードに吊されたイヤーカバーのようなものが落ちてきた。 が、階段の入り口を掻き回す乱気流に取られ、ゆうに10mぐらいはあったコードをぴぃんと伸ばして外に飛んでいく。 「あ〜もう、何がしたいのよ!!」 おそらく、あの耳当てはマイク付きのイヤホンだったのだろうが、その先端は既に風に流されて塔外壁から、内部の螺旋階段の方に飛んでしまっている。 よほど頑丈な材料を使っているのか、線が千切れることはなかったが。 「あ...行けるかも」 『! 待...なさ......ーィ。あ...た......かして』 「ねえ、D・J」 ルーィは、コットンキャップをほどいてバンダナ状の布切れに戻した。 色素の薄い短髪が乱れる。 「なんでかな。訳のわからない一撃で、塔はもうボロボロ。 さっき心材が折れる音も聞こえたのよ。 知ってる人たちの悲鳴も聞こえたしね...パネルに一緒に踊った人たちが空に飛んでいく映像が、映ってたわ。 もう塔は、終わりよ。これ以上立てることは物理的に無理。それどころか、いつ倒壊してもおかしくない。パネルで確認したダメージからして、綺麗に折れるなんてことはないから建て直すことも無理だわ。と言うか、立て直す設計図なんて用意されてないでしょうしね」 『...ーィ、...なた何を...!』 「ほんとうになんでだろうね。 昔、刻の賢者から知識を授かった双国の技師が――あらゆる災害を予測して設計したって言うのに。...おかげで今まで何のトラブルらしいトラブルもなかったけど、逆にその予測を飛び越えたたった一回の衝撃だけでもうどうにもならないの。 時が経って歴史を忘れた、双国の主が侵略してきた時さえ、それを予測して退けたっていうのにね。 なんでかな、わたしたちってこんなに脆い塔を一生懸命建てていたんだね。 ねぇ、なんでかな。D・J」 こんこんと、壁を叩く。 バンダナで手首をもう一本のガスマスクケーブルに結びつけて、 「わたしね、今ちょっと嬉しいの」 微笑んだ。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月09日(Wed)
それこそ、決して楽じゃないが
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サイト創設より自分が貫いていることは、以下の3点です。 と言う出だしで書きはじめましたが、ここですごいなあと思ったのは「以下の3点」 と書いときながら、具体的に何を書くのか全く決めてないことです。 3つあるのかさえ謎。 まあ、それはともかく、箇条書きにするとこんな感じ。
・カウンタをつけない ・掲示板をつけない ・アクセス解析をつけない ・宣伝しない ・毎日更新
5つありますね。 それはともかく、一つずつ見ていきましょう。
・カウンタをつけない
これは簡単です。 つけるとむなしくなるからです。
・掲示板をつけない
これも簡単です。 つけるとむなしくなるからです。 絵板ぐらいつけようかとも思いましたが、幸いにしてブラスクという共有掲示板に参加させていただいております。 共有なんだしと、自サイトの延長のように使わせていただいています。
・アクセス解析をつけない
これは現在、破っています。 さすがに張り合いがないので、現状プライバシーとかに触れない程度の簡単な物をつけていますが、まああんまり面白いもんでもありません。 もともとアクセス解析がなんとなく嫌いなんですよね。監視カメラ見ながら陰口叩くみたいで。 アクセス解析しているときに、一瞬にしてディスプレイが鏡になったらきっとものすごい不細工が映るンだろうなあとは思います。
健全にアクセス解析で遊ぶなら、解析ページの全部あるいは一部を公開する必要があるでしょう。 でもそれやるとココの来客数とかがバレて、むなしいから(以下略
・宣伝しない
いや、宣伝しています。むしろ人気出て欲しいと思っています。 どうも一部の人は、非宣伝サイトだと思っているようで。
まあ、単に手当たり次第に宣伝しないだけです。 「たまひよ」 に仏壇や葬儀屋の広告が載ってないのと一緒です。 あとはまあ、なんとなく絵で来て欲しくないかな。見ての通り絵のサイトじゃないから、申し訳ないんですよね。なんとなく。 頂き物コーナーとかのリンクも勘弁。別にリンク稼ぐために進呈したわけじゃないし。 このへんを徹底するため、よそ様の掲示板ではリンクを張らないことにしています。 まあ、これもクッキーを度々消すからって理由もあるんですが。
・毎日更新
まあ日課に信念も糞もないです。 明日には閉鎖してるかもしれませんし。 ただ、来客を増やす簡単なこつは毎日更新することです。 最近じゃそれぐらいでは増えない様な気もしますが。 ショコたんみたいに一日10件ぐらいUPしないと時代にゃついて行けないぜw
とまあ、こんな感じで3年。 逆にこんな感じだから3年続いてるのかなあとも思いますが。 カウンタつけたら半月でヘコんで閉鎖してただろうなあ...
あ、あとリンクがない。 ついでに人様の絵がない。 って、どっちも交流がないだけなんじゃあ...
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ルオオォオオオオオ――ゥゥウウウウウウ
風が迷宮を突き抜け、獣にも似た叫声を奏でている。 ルーィ――ローシャリン・ルーィは、塔と風の接点、もっとも大激の風圧を受ける場所で、僅かな壁の隙間で身を細めていた。 目の前を左から右へと豪風が吹き抜けていく。 とっさに入った隙間は、例えるなら10段で行き止まりの下り階段のような場所だった。 横幅は、人一人が収まる程度にしかない。 いったい、このスペースが何のために作られているのか、それは現状では全くわからない。 ただし、何かの意味があることは間違いない。それが、塔に住む人達の認識である。 たとえば、階層が完成したときに、そのスペースが何のためにあるのかが判明することが度々ある。 広間の用途のわからない立て看板のような建築物が、天井が完成した後に採光管を使用した日時計として機能し始めたり、下層で作られた謎の建築群が、10年に後雨水を濾過し、生活用水として上層と下層に伝えるための装置だったと判明したケースもあった。 だが、今のところは、只の無用な階段だった。 しかし、この階段が更に今はルーィの命をギリギリの水際で繋ぎ止めている。
ゴオオオオルォオオオバキバキバキゴォオオオメキベキガキオオオオオオ――
組み立て前の建材、あるいは鳶達が建築のために持ち上げてきた様々な物資が、細かな物から根こそぎ吹き飛ばされていく。 塔と一体化した建材などはさすがに飛んではいないが、所々から石臼を挽き潰すような絶望的な軋音が発生している。
その中には、誰かの悲鳴もあった。 すべてをかき消すような風の中で、その高音は気が触れそうなくらいに耳につく。
ルーィはもはや声も出ないでいた。目の前の光景を凝視するしかできない。 頭がきんきんと、締め付けられるように痛く、息が苦しい。 まるで、風に酸素まで持って行かれたかのように、呼吸が出来なくて、あえぐ。
――風防結界の容量が許容値を超え、全ての結界が連鎖的に破壊されたのだ。
ルーィは混乱の続く頭の中で、手探りに壁を撫でる。 その手が、ある一点、爪一つが入りそうな溝を探り当てた。 周辺を手が折れんばかりに叩くと、バキンと乾いた音が鳴り、壁の建材の一部が砕けて、空洞が生まれる。 その空洞に手を突っ込み、上に僅かな取っ手を見つけると、それをスライドさせた。 たちまち、有線型の酸素マスクが二組落ちてきたので、片方を口に当て、ゆっくりと呼吸を取り戻す。 それから、更に出来た空間の奥を探った。 数秒して、両手を広げた分ぐらいのガラスの板を取り出す。 ルーィは、ガラス板に手を乗せて祈るように目を伏せ、呟いた。 「..<起動>」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月08日(Tue)
果てしない夢にRUN!
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そう言えば、もうすぐ(18)うちのサイトが三周年になります。 まあ、だからなんだという話ですが。 取り立てて何をするつもりもないしなぁ...
世界基金に2900万円=「ホワイトバンド」400万本−売り上げは9億円超
白い腕輪「ホワイトバンド」を目印に、世界の貧困をなくす活動を進める「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンの実行委員会などが8日、東京都内で記者会見し、ホワイトバンドの売り上げから25万ドル(約2900万円)を「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に拠出すると発表した。 (中略) 1本300円で販売されたバンドは若者を中心に人気を集め、これまでに400万本を出荷した。 キャンペーン事務局によると、9月末の売上金は約9億6600万円。製作費や流通経費を引いた約3億8300万円が「貧困を生み出す構造を変えるため、各国の政策を変えさせる活動」に充てられるという。 3秒に1回指パッチンしては人が死んだとか言ってみる運動の続報。 直接な募金運動ではなく、政府の目を貧困に向けるための資金集めと言う運動の趣旨自体は、まあそう言う働きかけもありかなあと思っていたのですが。
...結局募金してるンじゃん。
利益の7%しか寄付しないというケチ臭さとのダブルパンチがなんとも。 ファッションでボランティアしたいんなら、包帯巻いてコンビニの募金箱に300円投資してろっていう最終結論になるんだろうか。
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縦穴に落ちていく中で、気を失ったのだろうか。 ヒュウイは、いつの間にか夢を見ていた。
その日は、両満月の日で、比較的夜の灯は濃かった。 ヒュウイとスーベリーアがうずくまる足場――四方の殆どを壁に囲まれた縦穴にも、その光は僅かだが届いている。 しっかり着込んで頂上へ挑んだヒュウイに対して、姉の服はコートに寝間着。とても上の低温に耐えられる服装ではなかった。 すぐに連れ帰るつもりだったのだろう。 足を踏み外し、縦穴に落ちたヒュウイ。 それを心配して姉まで降りてきたのは良いが、穴は純粋にどこへも通じない縦穴だったため(塔にはこのような空間が割とある) 出口は上にしかなかった。 そして、その穴は登るには高すぎた。 「...寒いね、」 「別に...」 「ヒュウイ。ほら、こっちに来て」 「や、やだよ、なんで」 「寒いのよ。凍えないように寄り添っておかないと」 「も、もういいよ、こんな穴、俺なら登っ――っ」 立ち上がろうとして、足首に激痛が走る。 「その足じゃ無理よ。救助を待ちましょ。夜が明ければD・Jが起きるから、それまで待ちなさい」 D・Jによると、塔は太陽の光を糧にしていると言う。 塔の精霊であるD・Jも、同じく太陽を糧にしているため、夜は休息に付いている。 「...ごめんね。見習いの鳶にはこのへん任されてないから。穴の場所とかよく知らなくて」 「な、なんで、スーが謝るんだよ」 「お姉ちゃんが声かけなかったら、こんな穴に落ちなくて、頂上ぐらい行けてた。 ヒュウイは、わたしなんかよりずっと才能があるから」 「なんだよそれ...もっと、いつもみたいにちゃんと怒ってくれよ。 床が見えなくて、穴に足踏み外したの俺のせいじゃん」 「助けるつもりで、わたしまで落ちちゃったけどね...情けないなあ...ホン、トに...」 徐々に、姉の語気が弱くなっていく。 「す、スー姉!?」 「大丈夫よ...あ、久々にスー姉って読んでくれたのね」 「馬鹿言ってんなよ! それより、大丈...めちゃくちゃ震えて...」 「寒いだけよ、だからほら――」 手を差し出す、スー姉。その手が震えている。 ヒュウイは、少し気後れしながらも、その手を取った。 引っ張られて、コートを開いたスー姉にがばっと抱きつかれた。 「うわ、す、スー姉??」 恥ずかしさで顔を赤らめるが、義理の姉は抱きしめる手を弱めようとはしない。 「ヒュウイ――10才の誕生日、おめでとう」 「あ、ああ、ありがとう」 ヒュウイはスー姉の体温が酷く冷たくなっていることに愕然とする。 「ヒュウイあったかいね...」 「...」 ふりほどくわけにも行かず、ヒュウイは姉に抱きしめられたまま黙りこくっていた。 「ね、ヒュウイは――どうして、上に行きたかったの?」 「い、いいじゃんべつに」 ぶっきらぼうに。 「どうせ暇なんだから、教えてよ」 「...いろいろだよ。昔から、高いところに行きたかった。 あのときは、空に行けば、コウノトリに会えると思っていたんだけど」 「コウノトリ...へぇ」 いまいちよくわからない反応だった。 ヒュウイとしては笑って貰った方がよかったのだが、 「冗談だってわかっても、頂上を目指したい気持ちは変わらなかった」 「天井が完成してからじゃ、駄目なの?」 「上に行くと本格的に、修行が始まるから。自由に歩き回れそうなの今ぐらいだし」 今回の引っ越しでは、ヒュウイは現職の鳶に住み込みで弟子入りし、スーベリーアは最上階で自分の部屋を持ち、独立する。 鳶を引退し、別の職に就いた両親は二人とも、下の階に残る。 「それに...2年前に、新しい天井ができて、鳶が引っ越したとき、気づいたんだ。 俺にとって、屋上の天板は、空じゃないんだ」 「空、じゃない?」 不思議そうな声。 「別に解らなくてもいいけどさ、今いるココと数週間後にできあがる屋上とじゃ違うんだよ。そりゃ、高さはあとの屋上の方が高いんだけど、俺にとっては、今のココの方が高い気がするって言うか――」 「あ〜なんとなくわかる。それ」 「ホント?」 ヒュウイの声が弾む。まさか解ってもらえるとは思っていなかったのだ。 「ほら、雲より高いところに住んでるわたしたちにも、脚立にも登れない高所恐怖症の人がいるでしょ。それと同じ」 「...同じかなぁ」 「同じ同じ。ヒュウイはね、きっと“高い” を目指したんだよ」 ぎゅうと、抱きしめられる。 少しだけ、スー姉の身体が熱を取り戻してきた気がした。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月07日(Mon)
青い空と海を背にして振り向いた
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グレイマンが作者急病でお休み。 星野桂先生なだけに、これはガチで病気でしょうね。 疲労がたまってそうです。 リナリーが沈んだままなので、早く復活して欲しいけど、十分に休んで欲しくもあります。 富樫先生も今回も取材ですが、全く気にしていません。想定内です。
デュ・ロイ生きてるかと思ったら、しっかり死んでました。 そして、奴は我々破面の中でも最弱の発言。 なるほど、そっちで来たか。 どっちにしても王道だけど、意表をつかれました。 まあ、面白いから王道とか邪道とかどうでもいいんですけどね。
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その風、いや爆発がいったい何によるものであったのか。 それはこの話とは無関係の事象ではある。 塔の住人達は知る由もないが、この時代人類と魔族が己の生存を駆けて殲滅戦争をしていた。 つまるところ、都市どころか国を丸一つ吹き飛ばすレベルの大爆発は、ただ、それだけが原因であった。 新庄ハバキの視線は遠く、山を越えたさらに向こうの爆心――クナ奴隷自治区の5000m上空にまで焦点を飛ばし、さらにその直下の議事堂を睨み見据えている。 そこでは、長いヒオウギの実のように黒い髪の少女が、何かの術を行使していた。
「セントラル...イマの玩具か」
爆風は、何らかの魔術の影響によって水平以下への影響は無に等しくされていたが、遮るものもない大空は別だった。 逆に地上へ拡散するはずのエネルギーまでもが放たれ、倍近くの爆圧を伴い、横から上空へと半球を描いて波紋のように拡がっていく。
――まるで、空に地面が存在するかのような爆発。
「この爆圧――傾ぐか」
ざっと見ただけで、塔の対流結界が爆風を処理しきれないことを見抜いていた。 山を越えた時点で地上を守る緩衝術の効果も消え去り、爆発のエネルギーがわずかに地面にも漏れ始めている。 緩衝によって土砂を巻き込まないでいた爆風は、空気の歪みによる光の屈曲の波紋が視認できるのみで、まるで透明な風船が膨らむかのようである。 ただし、その風船の表面は、ありとあらゆるすべてを押しつぶし、内側では雲をもかき回すほどの乱流が巻き起こっている。
「神でもなく、人が塔を潰すか...あっけないものだ」
しかも、隣の更に隣の国の“とばっちり” で、潰れてしまう。 まあ、もっとも、この禍の渦のような殲滅戦層さえも、ただのひとりの人間が産んだ憎悪のとばっちりでしかないのだが。
爆風が、ハバキ横をすり抜け、後方の塔へと突き進む。 その位置を一ミリたりとも動くことなく佇んでいた。 もはや、どうにもならない。 塔は許容値を遙かに超えた風を、その鈍重な身体の全てに受けることになる。 風も、揺れも、重力さえも欺き、天を目指した塔。 その終演がすぐそこにまで近づいていた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月06日(Sun)
熱き決闘者たち
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クーポン券から来た奴、手を挙げろw
絵チャ絵の方は、社交場の方で後悔されているようなので、そちらを見てくだせえ。
さて、
デュエルディスク(アカデミアタイプ) が発売されるそうです。遊戯編のはもう売ってるらしいw ほ、欲しい...さすがにソリッドビジョンはないんだろうけど、(と言うか、ドロー機能もなさそうだけど) それでも欲しいなあ。 まあ、見た目だけなんでまともに決闘ることなんて100%無理だろうけど(実際すぐ飽きるらしい) それでも一度ぐらいは遊んでみたいじゃあありませんか。 俺のターン! ドロー!!ごっこをやりたいw
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歌と踊りを邪魔しないようにと、二人は屋上に建設中の螺旋階段を登り、現状最頂上の壁に腰を下ろす。 壁は、厚さが10m強あるため、建築中の天辺では立って歩くこともできた。 ブロックが散在していたり、そこかしこが四角くデコボコしていたり、中には10mはありそうな穴なんてのもあるのだが、慣れればどうと言うこともない。 ちなみに、もう少し高い位置に、例の櫓がある。 「避けられてる? スーさんに? なんで?」 「いや、なんでと言われても、思い当たりすぎて」 スー姉は、ルーィよりも早くにヒュウイに気づいて、目があったとたんそそくさと上の方へ去ってしまっていた。途中で出会わなかったことを考えると、螺旋階段の途中で中央の立体迷宮へ入り込んだらしい。 本来は設計図の指示でもなければ、入らないところなのだが。 「そうじゃなくて、ヒュウイが失礼なのはいつものことだとしても、避けるってことはなかったじゃない」 「...っても、俺から言える事じゃねぇから」 確かに、それは珍しい。 よほど嫌われてしまったと言うことなのだろう。 がっくりしていると、「ん〜」 と、隣でうなり声がした。 「これは深刻なのかな...どう思う、D・J?」 『わかりませ〜ん』 返答はあくまでも軽薄なハッピー・ボイス。 昼間は、D・Jにとっても忙しい時間なはずだが、心配か野次馬根性か、容量の一部を裂いてくれている。 正直、ルーィとD・Jが揃うと、毎度針のむしろのように責め立てられるのでお節介もいいところなのだが。 「おや、黙秘なの? 」 『ノンノン、黙秘じゃなくて、わからないのよん』 「なんでよ〜。D・J、スーさんの心読めるんでしょ?」 『ぶっぶー。それは大きな間違いで〜す。ミーは、心が読めるんじゃなくて、スーが喋ろうと思った言葉を代わりに喋ってるだけで〜す』 何が違うのかさっぱりわからないが、ルーィは違うようだった。 深く考え込んで、「それって」 と前置きし、 「スー姉の台詞を先取りしてるだけ...ってこと?」 『イエス、正確には思考の言語化を行うバッファ領域の荒言語データを読み取っているのであ〜る』 「ばっは?」 ...たまにD・Jの台詞には、塔の住人にわからない言葉が混じる。 塔の住人の集合無意識によって数十年前に発生した塔の精霊 (付喪神とも言うらしい) が、何故そんな塔の住人にとって未知の言葉を知っているのかは、永遠の謎だった。 『少し感じてみれば判ると思うけどぉ、思いや気持ちってのはぁきちんと文章になってないっしょ? 思いって奴ぁ、元来、大ざっぱでぐっちゃぐちゃで、そのまんまでは意味どころか、発音することも出来ねーのよん。 ホラ、言葉に出したら気持ちがまとまるとか、逆に言葉にすると想いが陳腐になるとかいうじゃな〜い。あれは、こう言うことが原因だったりするの〜ね。 脳にはね、そんなぐちゃぐちゃな頭の中の言葉を、的確な言葉に置き換えて翻訳して、口に届ける機関があるのよん。 イメージ的には、メモ帳に単語を書き殴っておいて、あとでそれをきちんと意味の通る文章にする機関。 バッファっは緩衝装置って言うミーンで、そのメモ帳や文章を作る作業機関のことを指すわけだよん。簡単っしょ?』 「簡単と言ってる割にはやたら高尚なんだけど...つまり、D・Jは言葉にする前の、言葉として発しようとする作業や領域を盗み見れるから、何を喋ろうとしているかはわかるけど、何を考えているかはわからない。ついでに、それを文章化するとD・Jのフィルターが入っちゃって変な喋りになると」 『いろいろ引っかかるところが存在するけど、その通ーり。タメになった?』 タメにはなったが、話がずれている。 ツッコむべきかどうか迷っていると、 「ん〜。じゃあ、櫓の上で何かあったのかな」 ルーィが、向こう――坂のように登っていく壁の奥を眺めて呟く。 緩やかにカーブを描くその先には、櫓があるわけで、 「ぶ」 いきなり核心をつく質問が飛んできて、吹きそうになった。 「ま、待てよ、その辺はなんて言うか、プライバシーつーか」 「何を今更。だいたい、今わたしが手伝わないと、ヒュウイ絶対にフられちゃうわよ。何度も言ってるけど、わたしはわたしでヒュウイを応援しなきゃいけないんだから」 コットンキャップをきつく押さえて、ルーィはまた遠くを見て宣言する。 「...それが判らないんだよな。なんでそんなことするんだよ! そんな風に俺につきまとうから妙な噂立って、勘違いされて困ってるんだろ?」 声に怒りが混じるのも気にせずに、問う。 が、ルーィもそれは一緒で、表情にいらだちを露わにしていた。 「はぁ? そんなつまらない理由で困ってる暇なんて無いわよ。 ――もぅいいわよ。わかってないんだから、黙ってなさい! D・J」 『は、はィ?』 「櫓で何か、何があったの?」 ヒュウイは壁に向かって何も言うなと釘を刺そうとしたが、 『し、知らな〜い』 と、D・Jは、さらりとそう返す。 黙っていてくれたことには感謝するが、あまりにも素っ気なさすぎて、嘘が見え見えだった。 案の定、ルーィは納得のいかなそうな顔で考え込んでいて、ヒュウイはどうにかして別の話に持ち込もうと思案を巡らすが、 「ん、そっか。でもまあ、仕方ないかなぁ」 そんな思案をよそに、ルーィはすっぱりと追求を諦めた。 これには、ヒュウイも目を丸くして、 「ずいぶん素直に引いたな...さっきはめちゃくちゃ食いついたのに」 不思議と言うより不気味に思ってルーィに訊く。 ルーィは怒り申せた顔で、「そう?」 と、きょとんとしながら、 「でもD・Jって――」 『 ――山側注意!!』
何もかもを遮って、D・Jの声が響いた。
「え?」
とっさに、二人は山の方角を見る。 二人とも、屋上で仕事をしているだけあって、身体に染みついた反応だった。 しかし、それでも異変にはついて行けてなかった。 山側に、強烈な光の固まりが生まれ、太陽のような閃光を放ち、一瞬だけ目を灼く。 それが終わった瞬間、光の中心だった場所から波紋が、木々を土を大気を歪めながら走る。 ――それは、まるで透明な風船がどんどんとふくらんでいっているかのようで、
『風が来る! 陰に隠れ、何かに捕まれ! 伏せるとかじゃだめ!!』
瞬間、二人はその透明な歪みの波が、尋常ならざる風の圧力によるものだと理解した。 爆風は壮大な自然のパノラマを、ミニチュアを崩すかのような勢いで蹂躙していき――
「ヒュウイ!!」
――気が抜けていた、としか言いようがない。 気がつけば数秒ほど呆然としていた。 ルーィは、既に壁に点在するデコボコの隙間穴を見つけていた。手を伸ばしているが、あの隙間には一人が精一杯だろう。 理屈のわからないブロックを、理由もわからない順序で組み立てる積木細工の塔には、有り余るほどに、そう言う歪なデコボコが存在している。 探せば、見つかる。 だが、その探す時間を無駄にしすぎていた。
風が吹いた。 屋上には絶えず風が吹く。 もともと、高度の高い屋上ではそれは当たり前の事象だ。 だが、この風はいつものそれとは違い、霧のようにじっとりと湿り、重かった。 大気中の水分が高圧に押し出されて逃げるようにぎゅうぎゅうと凝結しながら、それでも尚吹き続けているのだ。 間に合わない。 逃げなければならないのに、身体が緊張で動けない。 今すぐその場に伏せてしまいたい、せめて伏せれば何とかなるのじゃないか、そんな思考に囚われる。
「――伏せるな走れ!!」
声がして、ヒュウイははっと我に返り、弾けたように、飛び出した。 ともかく、風から、逃げるように、足を掻く。 走って、そして、穴を見つけて、何も考えずに、飛び込んだ。 その穴が浅いのか、深いのか、気にする余裕すらなかった。
瞬間、音の速さをも超える破壊の波が、塔に到達した。
ゴォオオオオオオオオオルォオオオオオオ――
風は、獣の叫びにも似た、断末魔の悲鳴にも似た、巨大な質量が一瞬で瓦解する轟音のような、たまにD・Jが流すヘヴィメタルの音のような、爆音を伴い、暴力的な圧力で塔にいるすべてを横からぶん殴るかのように、吹き付けてきた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月05日(Sat)
熱い息を持っているさ
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絵チャってきました。
『メモリアノイズの流転現象』 読了。
ソウルドロップシリーズは、よーちゃんの実家の話です。 うん、わかりやすい。 久々に寺月さんが出てきてビックリしました。 こんな人だったっけ...思い出せない。
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感傷に浸るときも、働きながらと言うのが、つまらなくはあるがヒュウイの信条だった。 最上階の階段を駆け上がる。 重病人の様に運ばれて来たらしいが、いまはむしろ調子が良い。 普段の疲労まで回復されているらしい。
天井の向こうから、歌が聞こえてきた。
空よ空、今、どれほど近づいたのか、 あと、どれくらい近づけるのか。 雲を越えても見えないけれど、 地を離れようと届かないけれど。
あるとき、旅人は空を見上げた。 旅人はわたしに気づかない。 わたしは旅人に気づかない。
鳥よ鳥、あなた、何を目指したのか、 どんなことを目指せたのか。 雲を抜けてもわからなかった、 地はとうに見えなくなった。
年が過ぎ、旅人がふたたび見上げた。 旅人はわたしたちに気づいた。 わたしは旅人に気づけない。
夢よ夢、――
屋上を出ると、ルーィが歌っていた。 もっと遠くで歌っていたかと思ったのだが、すぐ近くの広場だった。 彼女を取り囲む人の壁と、立体迷宮のような屋上の創りが奇妙に反響していたらしい。 歌は、先も見えない塔の人間達の嘆きの歌だったが、ルーィは元の歌詞などおかまいなしで、軽やかに、楽しげに歌っている。 色の薄い髪と、髪を縛る布の切れはじが風に揺れていた。 ルーィは歌が上手い。幼なじみと言う贔屓など必要がないほどに、だ。 一度、D・Jに歌手(塔に数人存在する) デビューしてみないかと勧誘されたぐらいで、そう言う面では嘘をつかないD・Jの言葉だけに、塔内でもなかなかのレベルなのだろう。 陽気に歌うルーィのかたわらでは、数人の鳶や子供たちが歌にあわせて踊っていた。 自由に歌うルーィの旋律に、やはり自由に身体を揺らすように。 よく見なくても、スー姉が一緒に踊っていた。 周りで、見知ったおっさん達が、手拍子を打っている。 見知らない人もたくさんいた。 休憩がてら屋上に出てきた最上階の住人や、下層階の見学者だろう。
歌だけがもの悲しい中に、笑顔が溢れている。
ヒュウイに気づいていたらしいルーィは、歌い手が交代したとたんヒュウイに手を振った。 遠目からでも判る程の笑顔だ。 段を下りて、駆けるように近づいてくる。若い雄鳶の数人が疎ましげにヒュウイを睨んだが、気にしないでおいた。 目の前で息を整えるルーィは、歌い疲れたのか、肌が汗ばみわずかに紅潮していた。 「もう謝った?」 第一声がそれで、ヒュウイはむぅと唸った。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月04日(Fri)
誰にも明日は見えないから、
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空中元彌チョップ!! いや、あれは内側から効いてるんだよ!w
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『お、起きたかい、ヒュー坊』 覚醒した意識に響くD・Jの声。 『どうしたね、階段で足を踏み外したみたいにがくがくして。階段で足踏み外した夢でも見たかネ?』 「...最悪だ」 眩しい...周囲には、誰もいない。 起きあがる気力もなく、ヒュウイは手のひらで顔を押さえた。 採光管から採取した光が、天井をボンヤリと照らしている。 「俺の部屋だ」 『ぼけたかネぼーい。それとも脳がクラッシュしたか?』 「でもって、もう朝なわけだ」 ヒュウイの部屋の採光管は太陽が昇っているときしか、作動しない。 さらに言えば、D・Jも太陽が昇らなければ起きない。 『おお〜い、』 「るせえな。黙っててくれよ、せっかく誰もいないのに」 『お、珍しく鬱モード』 「誰にも言うなよ」 『了解』
しばらく黙る。 目尻から熱いものが流れ、 それもしばらくして冷めた。
「あ〜、遅刻だ。鳶になってから、無遅刻無欠席だったのに」 『あっしの体操はサボるくせに』
また、そのまま黙る。 D・Jもそのまま黙ってくれていた。 しばらくして、
『ルーィが来るよ。スーと一緒に坊を運んだんだ。礼を言いな。 あっしは仕事もあるからロムってるよ』 「ああ、そうだな。ありがとう」 『...ミーに言われてもなあ』
「大馬鹿」 と、肉を壁にたたきつけるような音がした。 「って、なんで豚肉を壁にたたきつけてるんだ?」 「今日、トンカツなのよ」 そう言う問題なのだろうか。 ともかく、肉をテーブルにおいて、ルーィは枕元の木箱に座った。 既に両親から自立しているヒュウイの部屋は、寝るスペースぐらいの広さしかない。 むろん、椅子なんて洒落た物も置いていない。 「まあ、実際あこまでダメージ受けた人間に平手打ちするのも気が引けるしねえ...」 「...って、俺いったいどれぐらいケガしたんだ」 「ケガというか、故障というか...詳しく聞きたい?」 不憫そうな眼で見られる。 「いや、なんか怖いからやめとく」 「あれだよね。人間の首とか腕って、あり得ない方向に曲がるだけでものすごい不気味になるんだね」 「いや、だから言うなって...にしても、さすがハバキさん。容赦ないなぁ」 苦笑する。 あの人には、本当に叶わない。 「ちゃんと礼を言いなさいよ。ケガも治してくれたし、ヒュウイを屋上のエレベーターのところまで運んでくれたんだから」 「え、どうやって」 「瞬間移動。ヒュウイにはわからないだろうけど」 確かにそれはわからないなと、呟いて起きあがる。 肉体は、熟睡したあとのようにだるいだけで、何の痛みも返さない。 「これだけの力があるんなら、本当に治せるんだろうな」 「ヒュウイ...」 「俺治す代わりに、スー姉治してくれって頼めば、叶えてくれたかな」 「ヒュウイ...」 ルーィは立ち上がって、「のアホーーーー!!!」 豚肉をヒュウイの顔にたたきつけた。 生肉を壁にたたきつけたような音が、ぱぁんと鳴った。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月03日(Thu)
…すいまセーン… ボクウソついてまーした…
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…すいまセーン… ボクウソついてまーした…のガイドライン
…すいまセーン… ボクウソついてまーした… ハロウィンとか ヘドが出るほど嫌いデース…
と、テンプレを書いたところで、別に好きと言ってたこともないなあと気づいた。 いや、まあハロウィンもそんなに嫌いというわけじゃなく、ぶっちゃけどうでも良いんですが、この時期いろんなイラストサイトでネタになってって、おまほんとにハロウィン知ってんのかと、子供の頃サンタを夢見たぐらいに土着してんのか、吉方を向いてカボチャ食べたり、トリックオアトリート、トリックオアトリートメントとか叫んで包丁持って子供を脅したりしたのかと小一時間問いつめたくなるのです。 まあ、この時期の題材にしやすいだけなんですけどね、実のとこ。
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よく、空に手を伸ばしていた。 天の上は、地面よりも近くに思えた。
“ヒュウイ、まってヒュウイ”
昇ろうと、登ろうと、星は近づかない。 屋上を越え、剥き出しの螺旋階段を上ろうと、落ちてこない。
遮る雲もない夜空は、靴ひもも結べるくらいに明るかった。 誕生祝いに買って貰った新品のスニーカーは、羽が付いたように軽い。
「ヒュウイ!」
遙か下、屋上の床の方から声がする。
「げ、スー。どうして...くそ、ルーィの奴だな」 「スーじゃないの、スーお姉さんでしょ!!」 「どっちでもいいじゃん。っていうか、来るなよ!」 「あなたこそ、早く戻りなさい! ルーィちゃん泣きながら教えてくれたんだからね!!」
一段が、膝ほどもある階段を登るヒュウイ。 親父に連れられては何度か屋上には登っていたが、ここまで登るのは初めてだった。
「やめなさいっ! ほら、早く降りて」 「いやだ、絶対に降りない。決めてたんだ、10になったら天辺まで行ってやるって!」 「だめ、この辺がまだ危険なのは知ってるでしょ!」 屋上の最上部は一流の鳶でさえ慎重に足を運ぶ場所だった。 もちろん、そんなことは知っていた。 「もう決めたんだ! スーだって、10歳の時頂上まで行ったんだろ」 「それは屋上がちょっとしかなかったときじゃない! いいから降りなさい!」 「絶対いやだ! おれは、おれはもっと上を見たいんだ!」 「だったら、屋上の天板が完成するまで待ちなさいよ! あとふた月ぐらいで――」 「それじゃだめなんだ!」
ほぼ完成した長い筒のような屋上に、天上からの月明かりがまんべんなく降りかかる。 その階段を登っていく二つの影。 鳥も寝静まる時間に、二人を止める者はいない。
「大馬鹿ヒュウイ! 夜露に足滑らせても知らないんだから!! 」 「急いだぐらいで落ちるんなら、鳶なんてなれない――って、おわっ」 「馬鹿っ!」
足を踏み外したヒュウイの悲鳴に、スーの悲鳴が重なる。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年11月02日(Wed)
フルフラット
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いやいや、最近のコンビニおでんの容器ってすごいですね。 細長いカップラーメンみたいなのに、アイスのソフトクリームみたいなのがついてんの。 あ〜なるほどなあ、確かにそれならおつゆもこぼれにくいよねって納得させられちゃうんだけど、逆になんでいままでこの形じゃなかったのかって思っちゃいます。 あんな扁平なおつゆこぼしてくださいみたいな容器でよく売ってたなあとか。 きっとこの形に行き着くまでにはすっごい研究とかリサーチとやって、それでやっとこさこの形に行き着いたんだろうけど、でも最初にコンビニおでんを考案した人が、 「つゆこぼれそうだしラーメンの容器みたいなのがいいんでね?」 とか言ってたら、ん年前にはこの完成系とも言える容器でおれたちはおでんを食べていたわけですよ。 この差ってなんなの。 きっとね、容器作った人も最初は熟慮に熟慮を重ねたはずなんですよ。 その中にはラーメンみたいな容器もあったはずです。 でも、売り出すときにはあんな扁平なつゆがこぼれそうな平皿で出してしまった。 そんでもって、その失敗を取り戻したのが四捨五入で十年ぐらいの今ってのは何なんだろうかと。
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「やらんぞ」 ハバキさんの解答は簡潔だった。 「なぜ、ですか」 これ以上は聞いてはいけないのかもしれない、そんな思いが脳裏をよぎる。 「出来ないじゃなくて、しないなんですよね」 「ああ、嘘は無意味だから断っておくが... 例えば損傷した声帯の再生や肉体を理想の状態に組み替える程度の術は持ち合わせている。 技術としては、今彼女に掛けている結界よりも容易な部類だ。 無論、副作用もない。突然、諸感覚が回復することによる精神的な混乱も、ケア出来る。 先天的な盲目の人間に光を与えすぐさま健常者のように振る舞わせることも、背中に羽を生やし次の瞬間には自由に空を飛べるようにすることも、可能だ」 よどみなく、坦々と、淡々と。 長い説明であったが、彼の言いたいことは非常に簡単だった。 「...つまり、簡単で何の問題もなくてたいした労力もいらないのに、スー姉の喉を治そうって気はないってことですか?」 「そうだ」 あっさりと断言される。 こうもあっさりと言われては、どうしようもなかった。 気づいたときにはヒュウイは彼の胸ぐらを掴み上げていた。 「なぜ、なんで、ですかっ!」 彼は、つまらなそうに自分を掴み挙げる手を見つめている。 「簡潔に言うなら、自分が解決すべき問題ではないからだ」 「そんなことはわかっています! 頼みます、礼なら」 「はじめから見返りを求めるものを礼とは言わん」 「――っ!」 彼が右手に持つ金色の円盤を奪い取る。 「なら俺がやる! ...治れ! 治れ!!」 がむしゃらに円盤をスー姉に突き出すヒュウイ。 「治ってたまるか。祈れば治るなど神の道具の域だ」 「うるさい! 俺のせいなんだ、俺がスー姉を! だからっ!!」 「おちつけ」 胸をつかんでいた手首に力が掛かる。 その力を感じた次の瞬間、ヒュウイは夜空を見上げていて、 ――それからたぶん二回ぐらい回転して、櫓の木板に顔から落とされた。 「了承もなく杖を他人に向けるな素人が。怖がってるだろうが」 それを言うならハバキさんもさっきやったじゃないかと思ったが、ツッコむ前に目の前が明るくなってヒュウイの意識はぷつんと消えた。
(天上へのモーダルシフト)
※杖――発動体 | | | |
■2005年11月01日(Tue)
ギアセカンド
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ハバキさん人気あるなあ。 時代は鎖骨ということか。
さあ、みんな鎖骨を書くのだ。 ポイントは首の筋肉と鎖骨が描く急傾斜だ! 水がたまりそうなくらいの抉れたラインがフェチにはたまらないそうだぞ!!(ホンとかなあ...)
ヒント:刻の賢者は複数居るという設定。
ジャンプのワンピが面白くなってきました。 『ギア2』 と言うパワーアップ技を初披露するルフィ。
無敵の自然系、修練がそのまま強さに反映される動物系に比べ、いまいち限界があるっぽく書かれていた超人系。 ここにきて、その超人系の能力に進化の可能性が提示されました。 なるほど巧い。 見たところ、ゴムゴムの力で身体をポンプにして、血の流れを強制的に加速させ肉体の限界をぶっちるリミット解除技みたくとれます。 だとしたら、すげー乱暴技だw だがそれがいい! あれです、ブギポの世界の敵がやたらいろんなこじつけでパワーアップするのと同じ理屈ですよ。 ブギポの世界じゃブギーポップ含め、ピートビートやホワイトライアットやら合成人間やらいろんなキャラがリミッター外し使いますからね。
“誰でも、似たようなことを考えるものだな”
“人間に秘められた可能性を、限界まで百パーセント引き出す ――その動きは見慣れているよ。 ぼくの敵になる者は、たいていそれぐらいは基礎として概ね備えていることが多いからね” と、氏も言っておられます。
まあ、それはともかく超人系もこれで肉体の限界を、様々なアプローチで突破するわけですよ。 ドアドアの実なら闘争本能を抑えつけるココロの扉を開けるとか、ボムボムの実なら細胞を爆発させて文字通り爆発的な力を得るとか、痛覚のみをバラバラにするとか、神経伝達をスベスベにしてマッハ反応速度を得るとか、恐怖心をオリオリに閉じこめるとか、体内に筋繊維の束を咲かせまくるとか、 そんな風に、今まで外部に使用していた能力を、内的アクションとして使用することで、超人系の能力によるゲンカイトッパなセカンドシーズンが到来するわけです。 おお、ジョジョっぽい。
と、妄想言ってますが、もしそう言う展開なら大歓迎。 ワンピでそう言うのが見れるというのは、ちょっと意外そうだけど。
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「紹介します。スー姉――スーベリーア・ストンブリクです」 と、はしごを昇ってきたスー姉を紹介する。 ハバキさんは、ちらりと長身のスー姉の顔を見上げて、 「姉か? それにしては遺伝形質に相違が...いや、似ていないようだが」 「貰い子なんです。スー姉じゃなくて、俺が」 閉鎖した集落である塔に捨て子は珍しい存在だが、それでも無いというわけではない。 「コウノトリが赤ん坊担いで飛んでたから撃ち落としたとか、昔親父には言われたんですけど、 実際は下階の運搬荷物に紛れてたみたいで、」 と、つい余計なことまで話すが、ハバキさんは聞かずに、スー姉へと近寄る。 「新庄ハバキだ、空を旅している。あとはヒュウイにでも聞いてくれ」 非常に簡素な挨拶だった。...らしくはあるが。 スー姉は、見た目少年、声も少年のハバキさんの丁寧に挨拶に、いつになく驚いた様子で沈黙している。 「ハバキさんは刻の賢者なんだ」 「そう呼ぶ者もいる。他生の縁だよろしく頼む」 『こんにちわって言ってる』 どこからともなく、声が涌いた。 スー姉は、無言でお辞儀をしている。 ハバキさんが片眉を上げヒュウイに解説を求めたので、ヒュウイは「うん」 と頷き、 「さっきも言ったんですけど...スー姉は、昔、重度の高山病にかかりまして。その時に、喉を」 「それで、声がおかしくなったのか?」 「いや、全く出ないように...」 ヒュウイの説明に、ハバキさんが再びいぶかしげな顔をする。 「ええと、今喋ったのは、D・J。ほら、俺がたまに話している塔の精霊で、何故かスー姉とウマが合うらしくて、よく代弁とかしてもらっているんですが、」 ウマが合うどころか、まるで心を読んでいるかのようだと皆舌を巻くが、 「ふむ」 話を聞いていたのかいなかったのか、ハバキさんはスー姉をジロリと睨み上げている。 「もう一度聞くが、声が出ないのだな?」 「え、ええ。無理すればうなり声ぐらいは...」 まだ見上げている。 ハバキさんとスー姉では頭三つほど身長差があるが、スー姉は得体の知れない少年に睨まれ、かつてない程に動揺していた。 「...なるほど。訳あり、ということか」 しばらく見つめて、そんなことを呟く。 「どういう意味ですか」 「いや、それより用件はこの事か?」 「はい..そうです。もしかしたらハバキさんならと思って」 「なるほどな」 ヒュウイが頼みたいことを、おおよそ理解したのか、ハバキさんは、軽くため息をついた。 夕日は、そろそろと落ち始めている。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月31日(Mon)
大丈夫、さぁ前に進もう
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| ハバキさん。 男はまず鎖骨だそーで。
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「昇ってはこれないのか」 櫓の下でポンチョを羽織ってうずくまるスー姉を見下ろして、賢者は呟くようにヒュウイに訪ねた。 「一度、重い高山病にかかったんすよ...それ以来、高いところで無茶は出来ないんで」 「基礎的な体力はあるのだな。なら、」 ハバキさんは、腰から金色の円盤を取り出した。 紐付の円盤は細やかな装飾がされていて、中心に一本、その左右に一本ずつ、細長い穴が開いている。 『偉大なる技、万雷たる一芸。 其は、万世一丸の巧より生じ、破の恩寵をもたらすもの。 ...本懐を遂げるため、力を見せろ――』 ハバキさんがヒュウイには聞き覚えのない言葉で何事かを呟いた。 瞬間、ヒュウイは思わず目を見張る。 ハバキさんの言葉が終わるやいなや、円盤から赤い光の粒が、ものすごい勢いで涌き出てきたのだ。 赤い粒は、炭酸に氷を放り込んだかのように溢れ、弾け、空気に混じり消えていく。 ハバキさんは涼しい顔で、燃える円盤を下へとかざし、数秒沈黙した。 「もういいぞ。上がってくるように言え」 「へ?」 あっさりとそう言われ、ヒュウイは拍子抜けしたように聞き返す。 「え、もう終わりなんですか?」 「魔法とはそう言う物だ」 「魔法――これがそうなんですね。初めて見ました...」 塔には魔術を使える者がいない。いや、そもそも魔術が実在する技術であるということすら知らぬ者も多い。 ヒュウイでさえ、スー姉やルーィが読書家だから、知っていた程度だ。 ハバキさんが魔術を使えると言うのは初耳だったが、まあ刻の賢者だからなんだって出来るのだろう。 そうこうしている間に、下のスー姉に異変が起きた。 スー姉は、はっと何かを感じたかと思うと、自分の喉や口をしきりに押さえはじめた。なにやら身体をもぞもぞとしている。 「な、何が...」 「塔の結界を流用して、彼女の周辺の空気及び気圧の電動・対流・放射を制御する結界で包んだ。 今の彼女の周辺の空気は、彼女が最も快適と感じる状態に設定されている」 「...へぇ、そんなことできるんですね」 言ってる意味の半分も解らなかったが、ハバキさんは、ああ、と相づちを打った。 他人の術式に干渉するなどという芸当は、たとえ伝説級の魔術師であろうと無理だとされているのだが、無論ヒュウイにそんな知識はない。 「...もぞもぞしているのは、着込みすぎで暑いからか。服の保温効果を失念していた。設定温度を少し下げてやろう」 そう言いながら、やはり数秒だけ円盤を翳す。 その様子をヒュウイは呆然と見守るしかできないでいたが、ふと気づくとハバキさんが何か言いたげにヒュウイを睨んでいた。 「あ、そうだった。スー姉!」 ヒュウイは、気を取り直し手下のスー姉に声を掛けた。 「なんか、大丈夫みたいだから上がってこれる!?」 自分でいいながら、何の説明にもなってないなと思ったが、スー姉はしばらく考えてから、一つ頷いてはしごに手を掛けた。
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月30日(Sun)
太陽の真ん中で
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分け与えた時点でそれは俺の物じゃないし、 飲み込んだのならそれは俺の責任じゃないし、 何を感じようとそれに俺が共感する保証はない。 無論、俺が好きであり続けているという理由もない。
それは、影より響く物。光を受けた己の影より。 それは自由から生まれ、権利は生じない。 たとえ義務に目覚めようと、それを保障する物は誰一人いない。 それは、またそこからはじまるのだから。 そこから生まれなければならないのだから。
必要なのは、自覚。 受け入れた全ては、自らが源泉だという自覚。 ただそれだけ、たまさかそこだけ、和歌山玉姫殿。
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「魚類を、食したことはあるか?」 「缶詰ぐらいなら...高級品ですけど」 その高級品にしたところで、16階で養殖されている淡水魚である。 味などは――言い伝えでは、海魚に遙かに及ばないらしい。 「...食したことがあるのなら、いいか」 そんなことを言って、ハバキさんは得体の知れない物体――木の皮のような物を取り出して、ヒュウイに手渡した。 「なんすか、これ」 「スルメだ。久々にイカを釣ったのでおすそわけしようと思ってな」 「イ、イカ?」 図書館(25階) が貸し出す書物で読んだ覚えがあるが。 「う、海の魚ぁですか? 俺、始めてみます! へえ〜海ってこんな干物みたいなのが泳いでるんですね」 「昼時の茶の礼だ。受け取るといい」 ハバキは眼を細めて、ほほえましそうにそれを見る。 「え、でもハバキさん、どうやって海に? 確かそれ以上降りることは出来ないんですよね?」 「厳密には、常に地面と一定の距離が保たれているにすぎない。故に、その距離よりも海底が深ければ、海に潜ることも可能だ」 海には、この塔の長さよりも深い谷があるのだ、と説明してくれた。 「それより、下を待たせているようだが?」 「あ、そうでした」 ポシェットにスルメを入れて、ヒュウイはやぐらの下を覗く。 そこには、作業着の上からポンチョを羽織ったスー姉が居て、 「実はハバキさんにお願いが――」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月29日(Sat)
目覚める夢。
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タマネギ食い過ぎた...
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『馬鹿か』 「リズミカルにいきなりだな」 時の刻みは夕方にまで進む。 太陽が西の海に落ちようとする中、ヒュウイは仕事明けのスー姉に声を掛けた。 「てか、俺はスー姉に声を掛けたんでぇ。D・Jは関係ねーだろう」 『だから馬鹿だ、馬鹿じゃん、馬鹿なのですよ』 D・Jの罵りはなおも続く。 スー姉は、その隣でいろいろ困った様子だった。 「...駄目か?」 『あのね、ボーイ。屋上のさらに最頂上ってだけで負担が掛かるのに、さらに物見櫓に昇れ? あんた、あそこが空調ゼロなの知ってるでしょ? 気圧も温度も酸素濃度もがくっと下がっちゃうんだからね。そんなところにあんたスーを連れて行こうって言うの?』 「う」 そう言われればそうだった。 目先の目的に浮かれて、肝心な欠点が見えていなかったようだ。 「まずいな...ハバキさんにはもう連れてくるって言っちゃったし」 口ぶりからすると、連れて来ようが来まいがお構いなしといった感じだったが、だからといって一度した約束を放棄するというのはばつが悪い。 「...ゥ、イ」 かすれた声。 「ん、ごめん、スー姉忘れてくれ」 『違うっての。行ってあげても良いって』 頷くスー姉。 「え、いいの? 本当に」 『今日は天気も良いしね。ただし櫓には昇らない』 「う、うんそれでいいよ」 ヒュウイの眉間に寄っていたシワがとたんにほころぶ。 それを見て、スー姉も微笑んでくれた様子だった。
「お疲れ、おじさん」 「よぉ嬢。まだ仕事か? あと、おじさんはやめてくれ」 「ううん、これで終わり」 階段を降りていくヒゲの鳶を見送る。 「よくあんな長い階段を下りられるわよね...」 『降りれなきゃ、引退だからね』 D・Jの軽薄な相の手。 鳶職には、とにかく体力がいる。そしてその体力を測るバロメーターが、毎日の階段昇降なのだ。 『鳶は自分の体力に、塔よりも高い誇りを持っているからね。どれだけ疲れていようとも、エレベーターなんて使わないのさ』 「でも、仕事以外で鞭打って、それで身体壊して潰れちゃったら意味無いじゃないの。せめて帰りだけでもエレベーターにすればいいのに」 ただでさえ、鳶の仕事は高所を行ったり来たりなのに、行き帰りにまで鞭を打って、余計に寿命を縮める結果になりはしないだろうか。 『その考えは合理的だけどねぇ。でも、それだけなのだよ』 「どー言う意味?」 『あの階段を上り下りすることも、仕事のうちって事さ。今度坊主にでも聞いてみたらいいやさ』 話が打ち切られたとたん、遠くの声が風に流れてきた。 「ヒュウイと、スーさん? 何を話してるんだろ」 『デートの誘い』 「え、また? 懲りないなあ」 どうしようもないといった表情で、声のした方に見える二つの点を見やる。 『あ、でも珍しく成功したかもね』 (天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月28日(Fri)
あろっとおぶ
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「伝勇伝9」 購入。 相変わらず、ぺージの水増しがすげえええええ! いやもういいけどねw 時間で跳ぶための踏み台のような話らしいので、時間に期待。
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「寒くないんですか?」 昼休み。 少年、ヒュウイがそんなことを聞いてくる。 ハバキは、 「寒い。が、死ぬことはない」 「え、大丈夫なんですか、それ」 「血が凍ろうと死ぬことがないのであれば、それを苦痛と思う思考は成り立たない。まあ、本来なら寒いという表現すら成り立たないがな」 解っているのか居ないのか、ヒュウイは首をかしげている。 「お前こそ、寒くないのか? この足場は塔より離れすぎているようだが」 「確かに寒いすね。もともと上層は寒いんですけど...何でか知らないけど、床を離れるととたんに寒くなるんですよね」 塔を包む五重のエントロピー結界は屋上を上に行くほど脆弱になり、本来の高山のような過酷な環境に近づく。塔の住人はその事実を認識しているようだったが、それらの原因が塔の魔導的・技術的な構造によるものだとは気づいてないらしい。 自ら特殊な建材を用いて、複雑な迷路のような魔導回路を組み上げているにもかかわらず、だ。 彼らは、なにも知らない。おそらくは、この塔の建築理由も。 それでも彼らは塔を建てている。ただ上へ、上へと。 彼らは、自らが途中でしかないと言うことを生まれながらに悟り、それでなお絶望することもなく、後生のために活きている。 もがくことも、迷うこともなく。 「お茶、飲みます?」 保温ジャーのコップに注いだ、黄色の液体を差し出すヒュウイ。 断る理由もないので、ハバキはそれを受け取り口にする。 「...茶を飲んだのは久しぶりだな」 氷点下にさらされ続けた肉体を高熱が駆け抜けるが、気管を通り胃に収まる前には冷めていた。 「うまいですよね。スー姉自慢の、ハーブティーなんすよ。品質にこだわる20階の茶葉で香りつけて、安物の5階産の茶葉で水増しして〜」 等と、本人も解っているのか解っていないのか解らない自慢話を尻目に、ハバキはコップの口を拭う。 味は、成分バランスを吟味し、温度差に寄る味蕾の域値、肉体・心理状態を鑑算してなお、不味い部類にあたると判断できたが、それは黙っておく。 その不味さの大半が淹れ方にあることも。 「茶葉は、塔で造っているんだな」 「はい、なんか地上の販売が途絶えたとかで、30年ぐらい前から、」 それは現在、地上において、人類が魔族と呼ばれる多世界精神体との滅亡を掛けた殲滅戦が行われているからで、茶葉など造っている余裕など毛先も無いからなのだが、これも知らないようなので黙っておく。 「あのハバキさん。ハバキさんって、刻の賢者なんですよね?」 「そう呼ばれることもある」 「よかった。今度あって欲しい人がいるんですけど」 何が良かったのかはさっぱりだが、会わせたい人物とは、おそらく先ほど出たスー姉と呼ばれる人物のことだろう。 「誰に会おうとかまわない。わたしはいつも通り朝昼夜とここを掠めるのみだ」 ハバキの存在を知っているのは、ヒュウイと彼を慕っている様子のルーィのみだが、どちらも偶さか出会ったと言うだけであって、それ以上ではない。 「会わせたいというのであれば、その時に連れてくればいい」 「わかった」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月27日(木)
心のPhotograph
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| スローグラスのカメラとか欲しいなあ。 スローグラスって言うのは、光の透過速度を遅らせる特殊なガラス。 5分遅らせるグラスなら、5分前にガラスの反対側を通った光が、五年なら五年前の光景が通過する。 これで窓を造れば、窓には常時5分前の光景が映る。 どの角度から見ても。 フォトグラフならぬ、フォトメモリー、フォトウィンドウ、いやフォトグラスか。
SFアイテムですな。
装着すると目の前の光景が0.1秒遅れて見えるため、反応速度が鍛えられるとか言うパワーアンクル的なコンタクトレンズとかあったらおもしろいかも。 | | |
■2005年10月26日(水)
ごちゃ
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Replay
| ロッテ優勝。 「強靭!無敵!最強ぉ〜〜!! 粉砕!玉砕!大喝采!!! ワハハハハハハハハ」
もう、こんな感じですね。 さあ、ロッテリアに直行だ。 | | |
■2005年10月25日(Tue)
ますぐにひたむきに
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ゾイドのEDが脳にこびりついて離れません。 しかも音楽が再生されるたびにコト姉とミィ様が(ry
それはともかく、ロッテ強いですね〜。
怒濤の三連勝とくると、どうしても「巨人はロッテより弱い」 を思い出してしまいます。そのロッテがまさかここまでとは...時代は変るモンだ。 一部の阪神ファンは「阪神は楽天より弱い」 と言ってくれと望んでいるとかいないとかw
にしても、いやぁ、あの時は泣けた。泣けるというか、脱力した。 近鉄ファンの黒歴史。結局一回も優勝できなかったんだよなあ...バファローズ。 3−3に戻った時点で、ああ今日も負けるやろうなあみたいな絶望感があったのを覚えています。
まあ、そんなわけで(?) ロッテにはこのまますぱーんと4連勝決めてもらいたいですね。
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塔最上階には屋上がある。 屋上には、まるで迷路のような複雑な骨組みがあり、そこを鳶達が縦横無尽に動き回り、組木細工のような建材を打ち込んでいる。 鳶の仕事は、半径100mの円盤の外周を、高さ100mの壁で取り囲み、最後に天井を徐々に組んでいく。 天井が完成し新たな「屋上」 が出来れば、「屋上」 は晴れて「最上階」 へと名称を変更する、らしい。 一日約10cm(10年平均)、三年で約一階層。 鳶の寿命と言われる10年でも、三層半ぐらい。 ...それが100年続いているのが塔である。 「バブイルの塔か、」 少年は、屋上よりも数十m上を見下ろし佇んでいる。 そこは騙し絵のように複雑に組まれた建築物の10数m上、最上部に立てかけられた塔の建材には含まれない物見櫓がギリギリ届く位置だった。 「血道を這う蛇に、突き立つ槍...いや、」 真東から昇り南中する太陽を、眼を細めもせずに見上げる。 「――菜箸というところか」 高度三千を越す上空、その環境は想像を絶するほどに厳しい。 酸素量は地上の約半分、気温は氷点を下回り、空気は乾燥しきっている。 彼は、紫外線を含む燦然たる陽に眼を灼きながら、 「神も居ぬこのご時世に、ご大層な馬鹿だ。さしずめ、大河を流れる一筋の藁、か」 この高さでこの光量を浴びれば、数秒で失明しても良さそうなものだが、少年にその手の常識は通用しないようだった。
「おーい! ハバキさーん!!」 下から声がして、少年は足下を見下ろす。 踏む空気の下では、圧衣を纏った少年が手を振っていた。 「...まあ、馬鹿に便乗するのも、漂流の内か」
(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月24日(Mon)
Honest to mi.
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朝のニュース番組でバケツプリンがネット通販で大人気とか、そんな話題を扱っていた。 お〜。俺も食いたいかも。 バケツプリンというか、巨大プリンは以前「むきりょくかん」 で見た覚えがありますが、割とお手軽にできそう(且つ笑えそう) と言う印象でした。
ためしに検索すると、結構みんな作ってる見たいですね。
・時間が経っても中が暖かいので、一日冷やす ・凝固に寒天を使うプリンの素を選び、寒天を増量する
等、様々な四苦八苦が見て取れます。 既にバケツプリンとしてレシピが完成しきってる感じですね。 少年少女の夢に挑むチャレンジャーは多いってことでしょう。 そういや昔、「さんま玉緒のあんたの夢かなえたろうか」 と言う番組で「プリン風呂に浸かってみたい」 と言う少年の願いを叶える企画がありました。 で、実際ドラム缶風呂みたいな風呂桶一杯にプリンを作ったんですが、あまりの大容量だとプリン粉が固まらないのか、「風呂桶一杯に普通のプリンを注ぐ」 みたいな感じで茶を濁していた覚えがあります。 さすがに「蓋を開けたら水面よりもなめらかなプリンの表面がプルプルと」 ってのは無理みたいでした。 ちなみにこのプリン風呂、少年は結局入ることなく「もったいないのでみんなで食べよう」 と宣言したという美談で締めくくられます。 スタッフがおいしくいただきましたのギャグがまだ無い頃の番組にもかかわず、粋な少年ですね。
同番組では、「スイカの皮を丸ごと剥いた物を食べたい」 と言うおっさんの願いを叶える企画もありました。 大工(だったかな) のおっさんなんですが、一度で良いからスイカを丸ごと皮を剥いて食べたいと赤ら顔で少年のように語っていたのが印象的でした。 チェーンソーで皮を剥いた、完成丸ごと皮むきスイカも剥きトマトの化け物みたいで印象的でしたがw
(って、この話前もやったなあ...)
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モーダル‐シフト【modal shift】 貨物輸送の方式をトラックから鉄道・海運などへ転換すること。 労働力不足・道路渋滞・大気汚染などの深刻化により限界に近づいたトラック中心の貨物輸送を見直し、機動力のあるトラックと安く大量に輸送できる鉄道や海運を組み合わせることによって、輸送の効率化やコストダウン、時間短縮をはかろうというもので、国土交通省が総合物流対策として推進している。[大辞泉] _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
最初に、こうやって前置きすると名作っぽくなる罠。
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(天上へのモーダルシフト)
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■2005年10月23日(Sun)
ゾイドが壊れた。
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ゾイドのEDがやたら大きなお友達専用になっていて笑った。 裸ヴァイオリンと言い、どこに行くのか日曜東テレ。
マジファザー(ブレイジェル) 復活、しかし時同じくして復活した夢魔に抗するため、自ら封印の穴に飛び込み。 「母さんは生きている...」 熱い展開だ。 けどマジファザー、どう見ても普通のおっさんに見えるなあ。 偉いのに。 天空聖者なのに。
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「え、もうフラれちゃったんだ?」 『そうなのよん』 「朝から見境がないというか...早くない? 記録更新ペースよね」 『いやはや、どーもみーの朝レジに触発されちゃったみたいで』 「え、あ。そ、そう、そうなんだ」 『おぉ、自分が原因と聞いて顔を赤らめつつも、それで告るのはどうよと思っていそうな複雑な乙女顔』 「や、やー」 床をげしげしと踏むルーィ。 『あはは、初いぃやっちゃ』 「親父かおのれは...」 いい加減耐えかねて、ヒュウイは口を挟む。 「......つか、二人とも本人の目の前でそう言う話はやめてくれ」 「『え〜』」 と、抗議の声。 「別にいいじゃないの、陰で言われるよりましじゃない」 「陰で言われてた方がましだと思うぞ」 ブロックを検品しながらぼやくヒュウイ。
ルーィは、緋色の瞳をきょとんとさせて「そうかな」 なんてこぼしている。 朝とは違う作業着姿のルーィは、椅子の脚がとれたような荷車に腰を掛け、休憩中だった。 「だってぇ、陰で言ったら陰口になるし。わたし陰口って嫌いだし」 と、文句をたれてコットンキャップをきつく被りなおす。 「表で言ったら、悪口になるだけじゃないか」 雲や山よりも高い塔の屋上は、絶えず冷たい風が吹いている。 それに吹き流されないように鳶の腰には命綱めいた装備があるのだが、まあ余り使われてはいない。 なおも不満げなルーィには取り合わず、ヒュウイは“ブロック”と、『壁』 に表示されているBBマップと睨めっこに戻る。
塔の建設は、いわばパズルと積木だ。 “下”で作られるブロック型のピースと設計図を運搬が運び、上の作業員が図表道理に組み立てる。 煉瓦で煙突を果てしなく高く作り続けていると思えばいいだろう。 まあ、それこそ積木なのだが。 とにかく、下でブロックと設計図が作られ、塔の下層階の人間がそれをバケツリレーよろしく運び、最上層階の鳶がそれを組み立てる。 この子供遊びのような単純作業が、何十年も何代も続いているのが、塔であった。
(『天上へのモーダルシフト』)
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■2005年10月22日(土)
夢で会いましょう
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最近よく思うこと。
是々非々って何だ。
絵チャって来ました。 しかしケンジは似ないな... 前回何かが足りないと思っていたんですが、髷が足りないと言うことに気づきました。 実はディティールよくわかってません。 コートの下もセーターのつもりで描いてるな、前回。
チャットが久々なせいか、 なんか自分の発言が投げっぱなしジャーマンみたいだなと思いました。 いかんなあ。 チャット的な文章力が落ちてきている。 | | |
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