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■2005年01月16日(日)
ソウルの奥で呼び合っている声が今、背中を押す
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デカレンの急展開の起こり方、 突然の恋の目覚め、とか いきなりの栄転話、とか これらは、まさしく『刑事物』 の急展開パターンであって、 ヒーロー物の急展開じゃないよなあと思うワケです。 いいなあ、このまま熱いハートでクールにシメてほしい。
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「姉さん! 姉さんしっかりしてください!!」 ゴロツキAことマウロが声を張り上げる。 体は揺すらないで声だけを張り上げる。 元々怪我の耐えない鉱夫として働いていただけあって、けが人を見てもパニックにはならないのが、幸いだった。 傷口を確認するため、脱力したうつぶせのシェディを慎重に仰向けに返す。 「――!」 だが、胸に刺さるナイフを目前に、その平静も吹き飛んだ。 ナイフは、胸の中心より少し左に刺さっている。 確実に心臓――いや、心臓じゃなかったとしても致命傷だ。 「そ、そんな。姉さん...」 うかつにナイフを引き抜くことも出来ず、マウロは虚ろな瞳でシェディの顔を見る。 白い美貌は血の気が失せ、口の端からは紅より赤い血が一筋滴っていた。 「何で、何であんたが死ぬんだよ。死ぬのは俺じゃなかったのかよ...」 声が擦れる。胸から熱いものがこみ上げ、視界がぐしゃぐしゃにぼやけてくる。 熱をこらえるように嗚咽を漏らす。 「姉さーーん!」
ゴロツキの絶叫が、鉱山の入り口に乾いて広がる。 ソルデスタは、その声でシェディの傷が命に到るものであると、理解した。 だが、体は敵の前に止まらなかった。 車返しに投げたナイフを、男は左腕で受けた。ナイフは筋肉を貫いて反対側の皮膚をも破ったが、男は気にしない所作だった。 そして、ソルデスタもまた、気にしていない。 手には、いつの間に拾ったのか、男が最初に投げたスローイングナイフ。投げる。 今度は体ごと横に飛び、躱される。 ソルデスタは、その僅かな間にナイフと共に男の懐へ潜るように踏み込む。 両手にはパリイングダガーと千枚通し。いつどうやって取り出したのか、その場に百人いたとしても見切れなかっただろう早業だった。 男は、相手もナイフ使いだと判断し、腰のベルトからナイフを抜いた。 かまわずソルデスタは左手の千枚通しで胸を突く。 点の刺突、男は突いた腕の反対側に歩むことで躱し、体の交差する僅かな隙間からナイフを腹に刺し入れる。 金属の交錯する甲高い響き。 右手のパリイングダガーが同様、隙間に入り込み男のナイフを阻む。 パリイングダガーは峰が櫛の様になっており、その櫛で刃を絡めとリ、細い刃なら折ることができる。 ナイフが絡んだ状態でダガーを捻る。 梃子の原理を利用した力に男はたまらずナイフを落とす。 瞬間、ソルデスタは両手を広げて武器を落とし、左足を男の両足の隙間に差し入れた。 「ま」 敵が、何かを言おうとしたが、遅すぎた。 体を刹那に浮沈させ、 左手で喉を潰し、顎ごとかち上げる。 数センチ浮いて大きく伸び上がった男は、その一撃で気絶していた。 「――散れ」 上がる左手の反対で力を蓄えていた右拳が、胸にささり肋骨を粉砕する。 (鉱山)
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■2005年01月15日(土)
名はあった...
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 | 『スケッチブック2』 で一番好きな87ページ二個目の四コマ。 白黒のトーンの書き方がまったく判らないので久々に『構図破り』 を読んでみた。(使い方間違ってます) そして、あいやーぼーる氏の絵を探そうとして当初の目的を忘れる。 そういえば、新連載におけるあいやーぼーるさんの仕事はネーム係だそうです。演出家みたいなもんでしょうか。
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(徒然ぶちまけ)
『スケッチブック』 もそうだけど、どうもウェブ上で物を紹介するのが苦手である。 ああ言うのは、よほどうまい人が紹介しないとかえって逆効果なような気がする。 自分がウェブ上の本の紹介文を読んだときに感じる感想は以下の三点、
1「おお、なんて面白そうなんだ。今すぐ買いだ!(Amazonへ)」 2「ふーん、そう言うのも読むねんなあ(判断が付かんので詳細を検索)」 3「これは...読むなってことだろうなあ」
最後のがいわゆる逆効果。どうも、その手の紹介文は推薦と言うよりも自己顕示と言うか、「俺が最初に唾つけたんだぜえ読むなら俺の許可取れよおえへらへら」 みたいなのとか「これはおれの領域だからこれ以上踏み込まないでねバリアー」 とか、なんかもうとにかくパイオニアたらんとするような意思があるような無いような。本は彼女じゃないんだから買った人全員が読めるし読む権利もあるっつーに、と思いながらも、「自分も知ってますー、モチノロン大好きですー地球が誕生したそのときからー、いえい!」 みたいなレスをしている自分がいる気がする。わけわからん。 そういうのを見るたびに「これは、読んでほしいと言うより自分がこういうのを読む壮大なスケールの人間だと思ってほしいんだろうなあ」 と思ってしまう。ホルンが趣味じゃなくてホルンが趣味だと思われることが趣味のおっさんみたいな複雑な心境なのかもしれない。 よく考え...なくてもわかるけど、三番目の感想は二番目の感想になりそこなっているわけで、その二番目の感想も一番目の感想になりそこなっているわけで、なりそこないのなりそこないがそういう文章になっているのだろうか。だろうなあ、きっと。 自分もそんな風に思われてたりするのかもなあとか、ああいうのを気にしないで読めるタフな人が一番得できるんだろうなあと、しみじみしてしまう。
紹介文は諸刃の剣、素人にはオススメできない(玄人って誰さ) 個人的に紹介文は物事を客観的に書ける人間のほうがうまい気がする。 セールストーク的な技術が必要だからだろう、きっと。 ...くだらない、 何故「自分がすばらしいと思った物を」「教えてあげたい人に教えて」「一緒にその喜びを分かち合いたい」 たったそれだけのことで、なんで優れた文章力なんてものが必要になってくるのだろう。ネット社会は何故かくも面倒なのだろう。 これが生身なら現物見せて「とにかく読め」 で済むのに。
ここの紹介文が面白いので読めとかして、次からリンクはろうかなあ。 それもなんか嫌だなあ。 紹介して、商品にリンク張るんじゃなくて、はてなダイアリーとかに張るのならどうだろう。些細なプライドだよなあ。でも、Amazonに張るのはコメントがあるからってこともあるんだよなあ。表紙絵なかったから今回は楽天にしたけど。 でも、楽天の売り切れてるよなあ、、Amazonも似たような状況だし...さすがブレイドコミックス。近所で扱ってない率が高いだけはあるなあ。 | | |
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■2005年01月14日(金)
たどりつく場所さえもわからない...
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「どうしてこんなところに来てしまったんだろう」(byキラ) 最終的にたどりついた場所すらわからなくなってる、そんなガンダムSEED。 SDでどんだけフリーダムが頑張るのかが気になるところ。 こういう、主人公入れ替わりの続編って、前作の主人公弱くなるしなあ。 西川秀明版アークザラッド並みの最強モードで突っ切ってほしいです。
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おでんにイカが入っていた。 全体的におでんのだしが黒かった。 イカのせいだろうか。
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「――っ」 微かな悲鳴を上げて、シェディが砂利に倒れる。 「シェディ!!」 僅かに捉えた一瞬の視界では、彼女の左胸にナイフが突き立っていた。 うつぶせの体から赤い染みが広がっていく。 鳥肌が立つ。全身の毛がぞわりと震えた。 「片方を潰した方が勝つ...ね、なるほど。確かに定石だ」 遠くのナイフ使いが含み笑いをした。手にはスローイングナイフ。 「もっとも、一対二が生む精神的油断がときに命取りになるとも言うのも、よく聞く話だがな」 そうほざき、スローイングナイフを縦に投げる。 「弟の仇だ!」 今まで戦っていた相手に敵も何も無いだろうと思った。 ソルデスタは飛んでくるナイフのエッジを呆然と見上げる。 スローイングナイフというものは基本的に半回から二三回、回転する。 回転させずダーツのように真っ直ぐに飛ばす投げ方もあるが、安定して飛ばない上に、距離があると威力も落ちる。 そして、回転を伴って飛ぶということは、回転する切っ先がうまく対象に刺さるように距離や力加減を測らなければならないと言うことであり、 ――とどのつまり、矢や銃弾と違って、スローイングナイフは前に出ればタイミングがズレて刺さらない。 漠然とそんなことを考えていたときには、ソルデスタはナイフに向かって跳躍し、手を前に翳していた。 その手に、予定より半回転早く到達したナイフの柄が収まる。 「ば――!」 二投目を投げようとしていた男が空中で投げナイフをキャッチした離れ業に驚き声を上げる。 ソルデスタはナイフの柄を親指で抑え他の指と平行に持ち、身を翻し切っ先が天を向くようにして投げた。 逆に、スローイングナイフを真っ直ぐに投げる方法にも利点はある。 風に流されにくく、狙いが定めやすい点と、回転しないので距離を測らないで良い点、そして、ナイフが飛ぶ力がそのまま刺さる力に変換されるという点だ。 ただし回転しないため途中が安定せず、失速が起きやすいのだが。 ならば、飛行を安定させ、真っ直ぐ刺さるようにするには。 空中でナイフを投げたソルデスタの脳裏では、そんなことしか頭に浮かばなかった。シェディが傷を負って倒れたという現実、レンティスタが今なお自らを呪いながら戦っているという事実、労働組合の人間がルッソに殴りこみ双方に負傷者が続々と出ている状況は、忘れてはいなかったがどこか遠くの世界で起こっている出来事のように思えていた。 男が、天を向いて自らに飛んでくるスローイングナイフを、息を呑んで見上げている。 「簡単だ」 着地して呟く。 「――回転数を下げればいい。回転しつつも長く、前を向くようにすれば」 それはゆっくりと回り、ちょうど90度だけ回転して男に指向した。
(『ソルデスタ』)
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■2005年01月13日(木)
それはきっとカメラ代わりなのだろう
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日常発見美術部四コマ『スケッチブック』の二巻が出ていたので購入。 読んでまったりとする。
スケッチブックは日常のあるある(店のBGMに歩調が合ってしまう) とか、美術部のマイナーネタ(絵の具チューブの端は字が書ける) とか、田舎の生物ネタ(ザリガニはサバを食べさせると青くなる) がほのぼのとしていて時間をゆっくりと感じさせてくれる四コマ漫画です(右上のは一巻) ちなみに萌えはないです。あえて言えば、猫? 最近の四コマでは珍しいかもしれませんが、昔から四コマが好きな自分はこういうののほうが好きです。 ブレイド創刊からスケッチブック好きだったけど、ようやく二巻目...次はいつだろ。
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「力のアキーラ!」 「技のマコッツ! 二人合わせて!!」 『我ら! マウントサイド・ヒート・ブラザーズ!!』 ドカーン、と魔術使いとナイフ使いが同時に吼えた。 吼えてポージングを決めた。 「...三人目がいそうな名前だな」 呆れて、ソルデスタは鉄甲を外套に戻す。鉄甲を失った両手から現れたのは、刃柄一体型のパリイングダガーと、千枚通し。 「さっきはすまなかった」 「反省して、後悔しました?」 「ああ、どちらもした」 頷いたので、シェディは難しい顔をした。 後悔すべきは、わたしなのだ。 どのみち、ソルデちゃんならあの場面ではそうしていただろうから。 「ところでシェディ。相手は二人だが、どう見る」 「ん〜と。ナイフ使いと魔術使いですよね。魔術使いは実力的に今のわたしと互角ぐらいですよ」 「ナイフ使いは、てこずるだろうが...私に言わせれば雑魚だな」 不公平だなぁと思いつつもシェディはひとつ頷き、 「では、ソルデちゃんはナイフ使いを倒したらすぐに鉱山に向かってくださいです。レンティのこと、頼みました!」 真面目こくって言うと、ソルデちゃんが何故か肩をこけさせて振り向いた。 「だぁ!!『頼みました!』 じゃないわ! おのれ、今からどうするつもりだ。言ってみろ!」 「え、ですからぁ私が魔術使いを相手しますので...痛っ!?」 「おーまーえーはーあーほーかーぁ!」 問答無用でソルデが額を指でついてきた。 「ひっどい〜、馬鹿ならまだしも今アホって言った!?!?」 「アホじゃなければボケだ! なんでそーなる! アレほど口をすっぱくしていったろーが!」 どん、とソルデちゃんは私の胸を押して、その反動で彼女も後ろに飛んだ。 そこを敵の投げたナイフが通り過ぎ、 熱気が、爆音と共に近づく。 タイミングを見計らった魔術使いの術―― シェディは掌に描いていた魔法陣を、ソルデに襲い掛かる火の球にかざす、 「<短縮術式、実行――縮小!>」 人が丸々一人入りそうな火球が、すぐさまシェディの術によってビー玉よりも小さく縮んで消失する。 ソルデが、魔法使いへと跳躍した。 「シェディ、二体二のときは!!」 二体二のときは...思い出した。 シェディもまた場を離れるように駆ける。足を広げ、地に付くように深く、飛ぶように長く。 誰の攻撃も届かない間合いで、シェディは短縮起動していた術式を閉じて、『著作魔法集覚書』 より攻勢魔術を閲覧した。厳かに、唱える。 「<汎用術式――石礫>」 周囲の石ころとナイフ使いが特殊な磁性を帯びた結界に包まれる。石は引かれるように、浮かんでナイフ使いへと迫る。 「なっ!」 「兄上!! くそ、なんだあの展開速度は!」 驚いて石から逃げる兄らしきナイフ使いと、慌てて中断の魔術を唱えようとする弟らしき魔術使い。 しかしその頃にはシェディは術を中断し、再度同じ術式を展開し、 ――そして、ソルデは魔術使いの背後にまで詰めていた。 「マコッツ!!」 マコッツ――弟の方が兄(アキーラ?) の声に反応し、術を閉じて身を捻りながら杖をでたらめに打った。 だが、ソルデスタは杖の間合いが及ばぬ程離れていたため、杖は空振りする。 攻撃もせずに間合いの外にいたソルデスタに、あっけに取られる魔術使い。 ソルデスタは口の端を吊り上げて笑う。 「二体二のときは...一方を先に潰したほうが勝つ」 「マコッツ!!」 兄が絶叫に近い声で再度弟を呼んだ。 そして、魔術使いはソルデスタが笑った理由を悟り、 「...くそったれ!!」 叫んで、丸まって抱えようとした頭を石に打たれる。 シェディの放った石礫が、無防備な魔術使いの背後から降り注いだ。 (『たたかう人たち』)
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■2005年01月12日(水)
快晴の空の下、
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「ガッチェ」(by遊城十代) ってなんだろう...。
スマトラ沖の地震でプレートが沈下したとかで、平らだった地球が少し丸くなったらしい。軽いプレートに重いプレートがのっかったのだそうな。 イメージとしては寝転がったラグビーボールのようだった地球が少しだけバスケットボール体型になったというところか。 地球の自転速度も変わるらしく、なんと百万分の2.68秒も早くなったらしい。 ちなみに、千年で1秒ぐらいの計算だそうな。
影響が本当にそれだけだったらいいんだけど、なんか起こりそうでコワい。
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鉱山の出口ではソルデスタがルッソ・ファミルの構成員に囲まれていた。 ダークスーツ姿の構成員は全員で25人、さすがのソルデスタも、全滅させたりその包囲を解くことすら難しい数字だ。 一気に突き破り、坑内で少数戦闘に持ち込むかと算段を立てていると、出口から一組の男女が手を繋ぎながら、なりふり構わない様子で走ってきた。 見知った顔とそうでない顔。向こうが先に口を開いた。 「ソルデ!? その周りのは何?」 「なっ、シェディ!? おのれが何故...いや、それより! 頼む!!」 ソルデスタがそう叫ぶと、シェディはうなづいて、男の手をほどいて左手を胸の前に突き出し、 「わかりました、伏せるか飛ぶかしてくださいね!」 言い放ってから左手の親指・人差し指・中指の頂点で三角を作り、右手の人差し指でその頂点を線で結ぶ。次いで左手を60度捻ってから同じことをもう一度行い、 ――できた正逆対の三角形に外接する輪を作り、僅か一秒で魔法陣を完成させる。 「<汎用術式――爆轟!>」 手のひらサイズの魔法陣から、音よりも速く波が生まれ、構成員の――中心で囲まれていたソルデスタへと伝う。 「――!」 戦慄しながらも、ソルデスタは地面を蹴った。 空中で身を捻り仰向けになったとたん、爆音と突風が体を持ち上げる。 枯葉のように吹き飛ばされたソルデスタは、 「あんの大馬鹿――!!」 自分がコンマ差で死に掛けたことなど忘れ、怒りの形相で拳を握る。 着地。落下の衝撃を前転することで流し、跳ね起きる。 地上は見るも無残だった。 先ほどまでソルデスタがいた位置は、濛々と土煙を上げるクレーターが出来ている。 範囲は抑えられていたので味方には被害は無いが――ファミルの構成員にいたっては、その殆どが肉片となり、残った人間も五体が満足に残っている者は一人もいない。 猛烈な憎悪が殺意となって膨らむ。震える手を握り締め、地面を蹴るようにシェディに詰め寄り、 「シェディ! 貴様ぁ!!!」 胸倉を掴み、手を上げる。止まらなかった。 渾身のビンタをいともあっさりと躱して、シェディは逆に張り返してきた。 ぱちんと乾いた音が鳴る。 「...なっ」 攻撃を食らった事実に驚いて思考が停止するソルデスタ。 「馬鹿は貴女よ! 情に流される前に、よく見なさい!」 普段には無いシェディの恫喝。 ソルデスタは、ようやく正気を取り戻した。 そして、彼女の言うとおりに周りを見れば、 「死体が...消えて行く――?」 血が肉が骨が、幻のように実体を失い、かき消えていく。 「ちゃちな幻術です。イメージを投影するだけで攻撃も出来ないし、ましてや自動制御も出来ません。誰にでもわかる形で吹き飛ばせば、すぐにバランスを崩すようななおざりな術式...」 もっとも、と微笑む。 「魔法に疎いソルデスタには分が悪いかしらね?」 銀に光る髪をかき上げる。 せせら笑うかのようなその態度は、白い肌と紅い赤とにあいまって妖艶で、 「...どーでもいいが地が出てるぞ、シェディ」 ズボンの埃を払って、半眼でぼやくソルデスタ。 隣のゴロツキAのような人物も驚きの形相でシェディを見てる。 「え、あれ?」 とたん、シェディは舌をちろっと出して黙り込み、「ん〜〜。と、とにかくソルデちゃんは先を急いでですよ。ここはわたしが請け負います! っていうか、出てきちゃいなさい! そこの人!! <――爆轟!!>」 誤魔化した。誤魔化して破壊魔術を岩陰に放った。いや、正確には放とうとして魔法陣が光った。 突然の魔法に驚いて、その場を飛びのくソルデスタ。だが、 「っち...<中止>!」 ジッ――と、空気が擦れて弾けるような音。 向こう側の岩陰から、杖を手に持つ鉱夫が現れる。 足の運びから、相当な訓練を積んだ傭兵だと、ソルデスタは見抜く。 同様に、シェディの術が妨害して打ち消す程の凄腕だとも。 「魔術士――?」 「魔術使いですよ、無免許でしょうし」 シェディが訂正した。「もー、ソルデちゃん、何度も言ってるのにまだ一緒にしちゃってませんです?」 頬を膨らませて怒るシェディ。 「いや、まあ。知らんがな」 呻いて、ソルデは鉄甲を指でなぞる。 「しかし...確かに、分が悪いようだな、互いに!」 「――?」 とたん、シェディが不思議そうな顔をした。 彼女の目には、私が鉄甲の隙間に指を突っ込み、次の瞬間にはその指がシェディを指した様にしか見えなかっただろう。 実際そのとおりで、シェディは後方に何かあるのかと勘違いして、後ろを振り向いた。 キィン―― いぶかしんでシェディが後ろを見たのと、何かが交錯する金属音が鳴るのは同時だった。 シェディの鼻先を、黒い物体が回転しながら掠めて、 地面に突き刺さったそれは、葉っぱのフォルムを持つ手裏剣だった。 「どひゃー」 とシェディは、眼前でスーツ姿の傭兵が登山ナイフを構えていた事実と、ソルデスタがとっさに手裏剣を放たなかったら背後から忍び寄られて首を切られていただろう事実と、その敵がソルデスタの手裏剣を寸前で跳ね返せる程の手練者である事実にまとめて驚いた。 あわててゴロツキの手を引いて、ソルデスタの側に近づく。 互いが入れ替わる形で背を向けて、 「どどど、どうしましょう?」 「...どうやら、我々はここで足止めを食らうみたいだな」
(『二人』)
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■2005年01月11日(火)
君を思って口にすれば
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焼きたてジャぱんのED曲が変わっていた。 なんでだ〜〜。 『SUNDAY』 むっちゃいい曲だったじゃんよー。 絵も健さんがダンス踊ってるだけでつまらないし〜。
ビデオとっときゃよかったかなあ。
ガンガン購入。 読みきりの四コマが面白かった。 以前面白いと大絶賛した「王様の耳はオコノミミ」 が読みきり掲載。 新潟お好み焼きVSもんじゃ焼き 相変わらずアクションがおもしれえ(笑)
来月号であいやーぼーる氏(が監修?) の連載が開始。 荒川組の方なので期待大。
付記:当人いわく「ネーム係」 だそうです。 ネーム係って小説書く人とかがやるもんだと思ってた。ほったゆみ氏や是空とおる氏みたいなタイプかも。
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おはよう、起きて。 今日はあなたの誕生の日。 ようこそ勇者さま――この退屈な日常に。
「“永久なる、百敷の内御書所、唯、神漏美の残春を愁う」 宙空に青透明の鏡面が生まれる。 「我・千の言の葉を紡ぎ・汝、戒めし縄・束の間のみ緩めん!”」 千の呪いのひとつ、『呵責する非忘却』 剣の所持者は今生、鏡面を透かして映し出された情景、文章、出来事を忘れることが出来なくなり、意識しただけで脳裏に映し出てしまう。 また、記憶される情景は、すべからく最大限の理解をもって保存――つまり、色や温度、音や匂い、触感、そして文字の意味を克明に認識した状態で保存される。 早い話が、記憶が脳裏にこびりつく代わりに、完璧な暗記と翻訳が出来てしまう呪いである。ちなみに、文字は直接意味として理解するだけなので、読めるわけではない。 「ええと、私は銀色の災難にたちむかう...私は紙千枚くらい向こうの友達にかなり長い信頼を約束する...私は、たとえ一万の年月を越えようと絶望をぶっ倒すために創られた金色の剣」 情緒もへったくれもない直訳でレンティスタはその碑文を読み上げる。 「なんだろ、シェディわかる?」 「さあ、わたくしに歴史を聞かれましても」 頬に手を当て、首を傾げるシェディ。 「そりゃそうか」 サーカス・ミリオネアの呪いを解いて、碑文をまじまじと見つめる。 すでに碑文は意味として脳に刻まれており、書かれた古代文字の内容も同時に全て理解できている。もっとも、意味だけなので意図――発音や、それがどういう理由で書かれたのかとかは判らない。 碑文には黒いパネルの様なものが付いている。全体的に金属質の碑文だが、そのパネルは明らかに素材が違う。 わたしはパネルの横の文字を記憶に照らして訳した。 「勇者に帰ってきて欲しいのなら、ここに手を置いてこう願いなさい。 帰ってこいよー、帰ってこーい。だって」 「最後のは脚色でしょう?」 「いやいや、そういうかんじで書いてあるって、ホント」 半眼で尋ねるシェディに、あわててそう弁解する。
忘れられた遺跡の忘れられない思い出。 そこは、終わりを見た夢の残骸。 千の瞳におもねるように、それは眠る。
「待って、あれ!!」 ケーブルを、廃機材を蹴散らし、埃を巻き立てながらわたしは果敢にも前進する。 「奥に何かある!」 「何かって何ですか?」 真面目几帳面に聞いてくるシェディ。 「...棺、かな」
そして彼女は、幾千のときを経て目を覚ます。 死にも似た永い眠りから覚めて。
(『廃工場』)
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■2005年01月10日(月)
人に成ると書いて成人と読むなんて苦しいことは言うな。
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成人式の話題が出ない。 今年もそこここで暴れているような気がするんだけどなあ。
PSPの『白き魔女』 と言うゲームが面白そうだなと、CMを見て思った。 「巡礼者(ピルグリム)」 と言う単語におおっと来るものが。 PSP自体に興味が持てないので今のところ購入不可能なのが痛いけど、機会があったらやってみたいなあ。
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ここは...どこだろ。 わたしは。
「アム...アムサテラ」 誰かが私を呼ぶ。 私が、捨てた名前を。 「レンティスタ=アムサテラ!」 闇が弾けたように、光が戻る。 花畑、青空、火の粉を散らして燃える屋敷、ごうごうと風が鳴る列車の屋根...驟雨、名も亡き廃工場、無機質な駆動音、幾千の瞳、すがる手、曇り空。 それは――
――それは、今にかかる思い出の風景――
「ふわぁ」 少女が、大きく口を開けて花畑に寝そべった。 薄い青を基調とした四枚重ねの繻子織のスカートが、空気をはらんでゆっくりと萎む。 分厚い装丁の本が少女の横にとさりと落ちた。 本のタイトルは、 『月刊経済』 「不況ね...」 赤みの強い、タンポポのような花が読むものを陰鬱にさせる雑誌を包んでいる。 少女は、この花の名前を知らない。 会社の名前なら4桁の識別数字を見ただけで暗証できるのだけれども。 「花の名前を覚えたら、ちょっとは母様みたいになれるのかな」 無理だろう。弱い12歳にして私は私だった。 世界に名だたる商家、サンライズ家の令嬢。 その自覚を持ったのはいつのころからだったか。 それを感じた時、わたしはただの一片たりともその宿命に反抗しなかった。 商家の伝統と誇りは、私にとっては重みでも与えられたレールでもなかったのだ。運命とやらがあるのなら、生まれながらに骨のある目標をくれた事に感謝したいぐらいだった。 そして、それがサンライズ家にとって大誤算だった。 「んだろうねぇ」 腕を天に大きく伸びをする。さらさらとした薄い生地が、重力にに負けてこぼれていく。 このドレスにしてもそうだ。 この生地はこの大陸では珍しい素材と織り方で作られている。 以前から目をつけていたドレスで、誕生日に父様が買ってきた。 だけど、わたしはそのことで猛烈に腹を立てた。 父様はこのドレスをあろうことか、この国のデパートで買ってきたのだ。自社で服飾もやっているというのにだ。 私は子供心に、「何故、現地に赴いて生地を買おうとしない」 と口を利いてしまい、母様にこっぴどくしかられた。父様は見ていて悲惨になるぐらいにしょげただけだったが。 以後、わたしは(主に父様に)居た堪れなくなって、ときおりこのドレスを着ている。やたら重ねている割には軽くて気にいってはいるのだけど、どうしても「この素材を現地で購入して自社ブランドとして売り出すためには」 等と考えてしまうので正直クローゼットの肥やしにでもしておきたい。 「だいたい、タグによそ様のメーカー名が入っていて落ちついてられるかって話じゃない。父様はその辺の自尊心というものがないから、おじい様にいっつも怒られちゃうのよ」 「...とても12歳の台詞には思えないですね」 かわいい声が快晴の空から被る。 青空を割って現れた顔が、私を上から覗き込む。 「あれ――」 神秘的な月色の瞳。透き通るような白い肌。 そんな特徴はあるものの、彼女は間違えようも無く。 「私がいる?」 銀の瞳には映るどこまでも彼女にそっくりなわたし。 彼女は、自分には出来そうも無い柔らかな表情で微笑んだ。 「はじめまして、アムサテラ」
――それが彼女、シェディとの出会い。
(『アムサテラ』)
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■2005年01月09日(日)
ゴミ箱を飛び越えた先にある未来
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デカレン見過ごしたーーー。 デカレンの後番はマジレンジャーって言うらしいですね。 マジカルのマジです。マジで。 マジカルブームなんて、いまさらだよなあ。 マジカルロボとか出るんだろうか。 と言うか、デカレンを超えられるんだろうか。 なんて言いつつも結局見たりしそうだよなあ、自分。
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「だいたいなんで、ルッソが監視員に村の若い人間を雇ったと思う?」 痛む手首をさする。慣れないことはするものではないなあ。 「...村人たちが互いに争う状況を作って、自分らに矛先が向かないようにしたんだろ」 「不正解」 たしかに、そういう効果はあるかもしれない。 だが、 「んな身内に裏切り者が出てくるような環境、みすみす創るわけないじゃない。リスク高すぎ」 企業が村民全てに職を与え、村ごと自治をしているなんてケースは、腐るほどある。 だがそれは、鉱山などの天然資源がない村に限ってのことだ。 国でもないものが介入する鉱山など、本来はありえない。 だから、この鉱山は異様だ。 「解らないかな? 簡単な話なんよ。 村人にまで自治をさせるのは――外部から人を呼ぶ金が無いから。 強引に鉱山を国から買占め、競合の鉱山を叩き潰して更に採掘権を買い取り、仕事にあぶれた鉱夫たちを雇う。 あんた、これにどれほどの額が動いてるか知ってる?」 ざっと計算して都心にテーマパークが立つぐらいである。 「ぶっちゃけ、ルッソもとほーもない額の借金をしちゃってるわけよ。 その辺はメッケ君からも裏をとったから間違いないわよ」 「まあ、メッケさんが?」 手を合わせて嬉しそうな声を上げる、シェディ。 「ソルデとシェディによろしくだって」 「ぶー↓ わたしはソルデちゃんの次ですか!」 「妬かないの、カレシの前でしょ。 で、まあ。そんなわけで、ルッソ・ファミルも実は火の玉弾丸経営なわけよ。 あんたらが村に当てた仕送りを横取りしちゃうぐらいにね」 マウロは口をあけたまま固まっていた。 その様子を見て、わたしは半分瞼を閉じて、 「やっぱ監視員のあんたでも知らないか。 結局村人全員捨て駒ってわけね。誰が、どっちにつこうとルッソにとってはイモ洗いだったってところかねぇ」 「じょ、冗談だろ! なあ、おいあんたとぅわあああ!!?」 マウロが掴みかかろうとしたので今度は体ごと避けた。 再び地面にキスをするマウロを尻目に、 「その赤字経営のルッソさんたちは、何がしたいのでしょう?」 傍観していたシェディが聞いて来た。 「ん〜。何もできなくなったってのが正しいのよね。正直まだ夜逃げしてないのが不思議なぐらい」 もともとの計画だと、呪晶化コバルト鉱山を手に入れ、親会社の製品に組み込む予定だったらしい。 最近はやりの流通の一本化――って言うよりは、なんだか『小麦の栽培を始めたパン屋』 みたいな不毛さを感じるが。 案の定その計画は、構造的欠陥にぶつかり頓挫した。 「元からダメっぽい企画だったのよ。ルッソ程度の中流会社が引き受けるような、ね。ここらで一発でかい仕事がしたかったんだろうけど」 肩をすくめる。 夢見るものを嘲笑うかのように。 「で、お偉いさんも『何もパンの材料まで自社ブランドにしなくていいだろう』 みたいな結論を下したそうで、資金援助を見直し。親会社からの資金以外にもいろんなとこから借金をしていたルッソは首が回らなくなって、目の前には呪晶化コバルトの鉱山だけが残ったってわけ。取引先も無いままにね」 「そ、それだ」 両手をついてマウロが食い下がる。「借金だって? そんな話一度も」 「あんたみたいな平社員代理補佐にするわけないっしょ」 にべもなく言ってやる。 自分の職に誇りを持つのは結構だが、自意識過剰と言うか...エルロの話とはエラい違いだ。 「一応ね、さっきも言ったように資金は親会社から出てたのよ。 でも、与えられた運転資金だけじゃ事を収められなかった」 ふと、シェディが遠くを見たのを見逃さず、会話を続ける。 「強引なやり口のルッソ・ファミルのことだから領収書に残せない汚いお金だって使っただろうし...」 ベルトから剣を引き抜く。 「...やばいわね。挟まれてる」 いつの間にか空気に微かな気配が混じっている。あきらかに素人が放てない気配が。 「シェディ!」 「出口側の方が手薄みたいですよ」 「いあ、それもあるんだけど...一応聞いとくけどさ、そのゴロツキ君に“見えてる”のね?」 返ってきたのは、肯定の頷きだった。 「そっか、なら仕方ないか」 剣が青く光る。萬葉剣のスタンバイ状態を解く。 「いいよ...わたしがここで食い止めるから。 シェディとそこのお兄ちゃんは出口に急いで。二人でならなんとか突破できるっしょ」 「レンティ! けして力は使わないように」 平坦な口調で、釘を刺すシェディ。まるでソルデが乗り移ったかのような迫力だった。 けど。 「無理。けど、死ぬよりまし。死なせるよりもっとまし。 いいから、行きなさい。あんたはあんたで、まだやることあるんでしょ?」 長い沈黙が起きた。 「それでも、善処はしないとだめですよ?」 否、本当は一瞬だったけど、わたしはその沈黙をとても長いものに感じた。 ――まだ、大丈夫。 わたしはまだ、この世界の時間を生きている。 「わかった。だから、早く行きなさい、シェディ。今は迷ったらいけないタイミングだよ」
(『二人3−2』)
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■2005年01月08日(土)
ワザもない 飾れない ド真ん中ストレート
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H2がTBSでドラマになるらしく、アニメ版も再放送するらしい。ガンダムSDの前の時間帯である。 あれ? H2って確かコナンの前ぐらいにやってた番組だったような。日テレから買ったのかな。 なんにせよ、 1、2、3、4、5、6、7、8 勝負はこれから〜♪ っていう、あのものくそ青春風味な歌がまた聴けるわけですよ。 これと「ガンバリスト駿」 のOPは自分の中のなんとなく青春ソングです。 ところでH2のあの歌、西城秀樹が歌ってたと思ってたんだけど、ぐぐったら久保田利伸だったのでびっくりした。
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「あー、レンティ発見!」 「やっほシェディ。今日もお化粧ノってる?」 いろんな怒号の飛び交う中、わたしたちは全力で戦場を離れようとする。 「微妙ですよ。ここ、じとじとしてますですし。レンティちゃんこそ、顔に死相浮かべてないですか?」 フランクにんなことを言うシェディ。まあ、いつものことだ。 「そりゃ、シェディにしかわからんでしょうが...あ、そだ。しばらく見ない間に用心棒始めたんだって?」 「あはー、まあねー。ついさっき、職務規定違反で首になっちゃいましたですけど」 「をぉい」 等と言う会話を全力疾走で行う自分とシェディと、 「おろ、その人カレシ?」 「そですよー」 「ええ!?」 ゴロツキ風の男の子が顔を赤くして驚いた。 「あ、姉さん。いつの間に俺たち...いや姉さんがいいって言うんだったらこの男マウロ・チフレ!」 「ん? ストップ」 身を低くして、ゴロツキ君の足を払う。 美しくキマる水月蹴り、無様にひっくりこけるゴロツキ君。 「な、なな」 と動転しているが、そんなのは無視。 「チフレってあんた。もしかしてエルロのお兄さん?」 「エルロを知ってるのかっ!!」 飛び起きたゴロツキ君がわたしの胸倉を掴んできたので、わたしは手首をとって外側にねじった。 「あんたらの接客マニュアルには、人にものを尋ねるときは相手の胸倉をつかむようにとか書いてあるんかい」 「に、似たようなことはあたたたたすみませんもうしません!」 「減らず口は嫌われるよ、ボーイ?」 「また変なお芝居見たの?」 「そこ、どうしようもない風に言わない!」 実際そのとおりだったので気まずい思いをしつつも、わたしはゴロツキ君の手首を離してやった。 「エルロはね、村を裏切ってハブにされてるあんたを助けに、一人でこの鉱山にまで来たのよ」 それを聞いてマウロは呆けた様子だったが、急に真顔になって土混じりの唾を吐き捨てた。 「...何でそんな無茶を、ワケわかんねえし」 わたしはマウロの胸倉をつかみ、 「あんたを、助けるためだって言ってるでしょ!」 手首がきしむ。大人一人の体重を持ち上げられるほど丈夫な腕じゃなかった。 「わたしはね、旅人だから言いたいこと言ってやるわよ あんたら、間違ってる! 気づいてないなら、今気づきなさい!」 まくしたてる、マウロはあっけにとられ、シェディは傍観の姿勢を崩さない。 わたしは、言ってやった。 「何が間違ってるってね。こんな鉱山でドンパチやったところで、何の儲けにもなってないってことよ!」
(『二人 3』)
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■2005年01月07日(金)
お越プーでマダム
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ハンディカメラの映像に『Tsunami!』 と叫んだ外国人がいたのを聞いて、 「ああ、ツナミって国際語だったんだなあ」 と、そういうすっとぼけた感想しか持たなかった人間です。 奈良県は津波の心配がないから津波に疎いだけと思いたい。 神戸の地震のときワイドショーが流す死亡者の数が増えるたびに「すげえ」 と喜んでいた自分はもう居ないと思いたい。 でも、どう向き合えばいいのかも良く分からない。 そんな2005年。
あ、『2005』 ってデジタル数字だとシンメトリーになるんですよ。 『己〇〇5』 みたいな感じ。気づくとちょっと嬉しいかもしれません。
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「武装蜂起だと、馬鹿な。何を考えている!」 「嬢ちゃんには悪いが、もうそれしかねえんだ。畜生が、頼みの綱が元から切れていたなんて滑稽にもほどがあらぁな!」 「! 話したのかっ、エルロ!?」 鉱夫のズボンに隠れていたエルロが、おどおどしながら、 「ご、ごめんよソル姉ちゃん。でも...」 「でもじゃない!」 「兄ちゃんを助けたいんだ!」 大声が坑内に響く、武装して気分が高揚している男たちまでも黙り込むぐらいの叫びだった。 「...それは」 「もう嫌なんだ! 村のみんながガマンするのも、兄ちゃんがしんどそうそうな顔で家に帰ってくるのも、窓から石が飛んできてガラスを割るのも、鍋に石が入って母さんが新しいのつくるねって笑うのも! 兄ちゃんが涙を流して謝るのも! 石を投げた奴が昨日まで普通に遊んでた友達だったのも!! なのに...み、んな、そんなことなんでも、ないって顔で、オイラを、見るのも!!」 しゃくりあげるエルロの瞳からは、涙がとめどなく流れていた。 ソルデスタはそれでも何かを言おうとしたが、鉱夫が割って入る。 「もういいだろ、嬢ちゃん。俺らもコレが最善の手じゃないことぐらい分かってる...でもな、」 ジーンズを硬く握り締めて嗚咽するエルロの頭をくしゃくしゃとして、 「こいつの家に石を投げ込んだ奴が、俺の息子かもしれないんだ...こいつは誰が犯人かなんて言わなかったけどな。 だから、俺は今すぐにでも息子を殴り飛ばして、それが間違っていることだってことを教えなきゃいけねえ」 鉱夫は怒っていた。今のこの状況に。 その怒りは狭い坑道に充満し、他の鉱夫たちに伝播していく。 「説教ってのはな、悪さをしでかした時に怒らないと駄目なんだ。 だったら、どんな手段を取ってでも、このくそったれな状況をぶち壊して帰るしかねーだろ。な」 威圧感、いや何か別の迫力に圧されて、ソルデスタは口をつぐんだ。 ただの鉱夫にたじろいでいる事実に、ほぞを噛む。 「今のお前らは、足が折れているのも気づかずに遠くに見えたゴールを追いかけているようなものだ。わずかな希望を頼りに、取り返しのつかないことをしようとしている。もっと周りを探せば、手がないわけではないのに」 「わかってる」 苦し紛れの言い分に落ち着いた声が返ってくる。 「けど止まらねえんだよ、いまさら俺たちが進んだ道を捨てて、他の希望になんてすがれねえんだよ」 落ち着いて、どこかあきらめの混じった声。 「...すまねえな、聞きわけがなくて。嬢ちゃんは今すぐ逃げてくれ、それで、出来れば他所の街でこの鉱山のことを吹聴してやってくれねえか。 暴動が起きたと噂が流れれば、さすがに国も動かざるを得ないだろ」 ...ああ、そうか。ソルデスタの体温が急速に冷めていく。 結局こいつらも、私と同じ感情に縛られているのだ。 意地という厄介な感情に。 いつの間にか、肩に赤毛が乗っていたことに気づく。 ソルデスタはそれを払って呟いた。 「――地ビール」 突拍子の無い言葉に、鉱夫が「へ?」 と聞き返す。 「お前たちがこの鉱山に軟禁されるようになってから、村では造られていない。この辺りの地ビールは独特のホップと豊かな湧き水を使った良質の物だと聞いていた」 「あ、ああ」 と一歩前に出て頷いたのは別の鉱夫だった。「うちの村のビールは天然の洞穴を使った特殊な製法だからな。泡も多いし色も綺麗な琥珀色なんだ。味も喉越し爽やかで...」 おっかなびっくり前に出た割にはやたら得意げに話す。 「天然の洞穴...低温を利用した下面発酵ビールか。なるほど」 神妙に頷くソルデスタ。 わけも分からず、固唾を呑んでそれを見守る鉱夫たち。 「何をしている」 ソルデスタは肩にかかるポニーテイルを払い、男たちを一瞥した。 「そんな武装では傭兵どころか、ファミルの構成員どもにすら一撃も入らないぞ」 腕を束ね、蔑むように言い放つ。 「ね、姉ちゃん」 「嬢ちゃん...やってくれるのか?」 「ありがてえ!」 「あんたがいれば千人力だ!!」 「くそったれたファミルに目にモノ見せてやる!!」 エルロと鉱夫たちの間から歓喜の声が溢れる。 ソルデスタは鼻息を鳴らして、そっぽを向いた。 「全く...」 気難しげに唇を歪める。 「止まらないなら、担ぐしかないだろうが」
(『ソルデスタ』)
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■2005年01月06日(木)
こんなイベントに参加していました。
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 | (ディグダグを思いだす)
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RPG型のネトゲには手をつけないで久しいですが、たまにやるのもおつな物です(とか言いつつ既にLV26:うわあ)。なんか尋常じゃないほど容量喰うので近々アンイン予定。 でも、遊☆戯☆王みたいにワンゲームだけやって落ちるみたいなことができないので、時間の使いどころに悩みますね。 遊☆戯☆王はやっぱり強いカード持ったもん勝ちみたいな展開になっているようです。強欲な壷も手に入るらしく、その傾向はなおも増大中。 と言うのも、 遊☆戯☆王DMはデッキの枚数制限が40〜∞枚。 例えばこれに、手札を二枚引ける魔法カード『強欲な壷』を一枚、 手札を一枚引ける罠カード『強欲な瓶』 を三枚、 手札を三枚引いて二枚捨てる魔法カード『天使の施し』 を一枚入れたとすると、実質カード数を35(+α)枚にすることができます(んな奴まずいないけど)
そうするとほら、必要なカードが手札に来る確率がぐぐっと上がるのです。 一枚制限のカードだって割とよく手札に来るし、エグゾディア揃えるのだって夢ではない。
まあ、そんなこんなで遊☆戯☆王って割と必要なカードが手札に来るように出来ているから、より強いカードを持っていたほうが勝ちやすいことになるわけですね。
って、何で遊☆戯☆王の話やねん。
ちなみに上のゲームの名前はトリックスターです。
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「いいんですか、姉さん」 ゴロツキAがそういうもののシェディは、基盤――坑道の最奥、ルッソファミルの駐留所の更に地下に隠された壁画をしかめ面でにらみ続けている。 「お仲間さんたち、皆して労働組合側についてしまいましたよ」 「構いませんですよ。わたし達は別になかよしこよしというわけではありませんですから。むしろ、こうやって三人とも反目しあうポジションに立つことの方が多いかもですし」 なんて応える間中も、彼女は原語を訛らせて端折ってさらに略したような言葉で壁画を読み上げ続けている。 『源語』 それは全ての言葉の源。世界に語りかけるための最も原始的な言葉。 「あぅ、この関数、見たことないですよ。この記号もわからないし、ところどころやたら遠回りな処理をかませてるし、流行らなかった命令式をどー考えてもワザと使用してたり...これ書いたひとものすごーく陰険ですよぉ」 「な、何が書いてあるんですか?」 「簡単に言うと、回路図ですよ。あと落書きがちょこっと」 「か、回路図? 大昔の魔法ってことですか?」 「そうですよー。それもめちゃくちゃ複雑な術式で、特殊な鉱石にプリントしないと起動すらしてくれないという困ったちゃんですよ」 「特殊な鉱石?」 「うんそぅ、燦含奇石って言う瑠璃色の石ですよ。ゴロツキ君も見たでしょー。親分さんが、大事そうに持ってましたですよ」 「えぇーー!?」 ゴロツキAは器用にも声を出さずに驚いた。 「あ、あのいつも左手でごろごろ転がしてるアレっすか? 俺ただの健康グッズだと思ってたっすよ」 ひとしきり驚いて、 「あれ、でも燦含奇石って...」 「詳しい話は省くけど、呪晶化コバルトのことじゃないですからね〜。呪晶化したコバルトの中でも数千の鉱山に対して一握りの割合で採掘される、結合内に天然の念動力回路を内包したコバルトのことを言うんですよー」 「た、高いんですか?」 山数千に対して一握りと聞いて、思わず価値を聞いてしまうゴロツキ。 「...値段なんてつかないですよ。聖徒会に刻の遺産として認定されているぐらいなんですから。国によっては、持っているだけで国家反逆罪に問われちゃうかもしれませんですよ」 ゴロツキは言葉の意味をじっくりと咀嚼して、今度は大声を上げて驚いた。 「な、ななんでそんなものを親方が!」 「さてさて、ですね。あんなもの、個人が持っていいものではないですよ」 シェディはぼやきながら両手の人差し指を前に突き出す。 右は左肩の前に、左はを右腰の前に。 指を水平に横切らせると、すうっと二本の平行線が空中に浮き上がる。 次いで、右指をへそ、左指を喉の前に持って行き、最後に指を元の位置に戻す。 正三角と逆正三角が空中で交わり、六芒星を描いた。 『常駐開始』 最後にぐるっと円を描く。これで簡易の魔法陣が完成する。 「ど、どうするつもりで?」 「んーたまには魔法著作権協会に恩を売っておくのも悪くないかなあと思いまして。協会のファイルサーバーに壁画の映像を転送しようかと」 ゴロツキにはシェディの言葉の意味の半分も理解できなかったが、それでもおぼろげながら理解して、 「って、ようするにイキナリ社内秘をリークしてぼろ儲けするってことじゃないっすか! いいんすか、そんなことして!!」 そうツッコんだ。 「そう思うなら止めればいいじゃないですか」 「そんな、殺生な」 「相反する難題を吹っかけられた場合にこそ、あなたの自由が試されるのですよ。迷い選びなさい。どうせどちらを選んでも、誰かがあなたを責め、誰かがあなたを褒めるでしょうから」 等と言うシェディの口調は非常に軽薄なもので、ゴロツキはええいと叫んで、 「俺は姉さんについていきます」 「それは、迷った末の答えですか? 今の自分の素直な気持ちですか? 信念などという目盛りの狂った物差しに頼らずに導いた結論ですか?」 無表情でたずねるシェディ。 普段のが百面相だけに、その姿はまるで月のように希薄で、幽霊のように生命力を感じない。 ゴロツキはその雰囲気に呑まれながらも、どこまでも明るく答えた。 「そうっすよ、どうせ俺は学が無いから、学習とか経験とかから打算なんてできねーし。今一番したいことをやらせてもらいます」 「そうですか」 驚くこともなく、シェディはそれを受け入れる。 「なら、わたしは今から貴方の人生にかかわりましょう。わたしはシェディ、シェディ=サンライズ。ゴロツキ君、貴方の名前を教えてください」 「ま、マウロ・チフレ」 ようやく、彼女は自分の名前を聞いて来た。 今まで名乗るチャンスはあったはずのに、不思議と今まで延び延びになっていた。それはまるで、彼女が意図的に聞こうとしなかったかのようで、 そして、シェディ=サンライズと名乗った少女はおだやかな表情でこう言った。 「マウロ、残念ですが貴方はもうすぐこの鉱山の中で...死にます」
(『シェディ』)
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■2005年01月05日(水)
雪の白樺並木
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ロシアの大使館で料理人をやっている従姉妹が「今年は喪中で正月パーティーしないから」 という理由で大使夫妻に休みをもらって日本に帰省している。 直接会うことは無かったが、母が従姉妹の料理をタッパーで貰ってきたので、一昨日にそれを食べた。(何故今日書く) ・ ・ ・ しかしおでんにウィンナーは邪道じゃないかなあ。ウィンナーの味だけで勝負して、ダシの味なんて関係ないし。
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「馬鹿者! また、刻の遺産を使ったのか! あれほど使うなと」 「ストップ、ソルデ、ストップ。わかってる、だいじょぶ、まだ一秒もつかってないから...」 「なぁにが大丈夫だ! 一秒と貴様が言うときは、既に体感で一日分は使っていると言うことじゃないか。短い付き合いじゃないんだぞ!!」 彼女は白い息を吐いて怒った。 流石に、ソルデには嘘はつけないか... 「一日ぐらい平気だって。もう、慣れたからさ」 「その慣れが一番怖いんだろう! 精神的な老化が始まっている兆候だとシェディが分析していたじゃないか!!」 ソルデは疲労困憊で歩くことすらおぼつかなくなった自分を胸に抱く。 「もういい、何もしないでいろ」 「そうも...いかないっしょ」 ソルデの胸に顔を埋める。自分には、ソルデのような格闘の才能も、シェディのような魔術の才能もない。だけど、それを理由に逃げ出すわけにはいかないのだ。 鉱山の頂上は雪が積もるほど寒かったけど、ソルデの胸の中は温かった。埃と、汗の匂いがしたけど、ぜんぜん不快じゃない。心地よい鼓動と体温に包まれ、張り詰めていた心が顔の霜焼けと一緒に溶けていく。 「あったかいなあ」 「は?」 ソルデの素っ頓狂な声が聞こえた。 「あったかくて、やわらかい。あんなに暴れん坊なのに...ずるいなあ」 とたん、ソルデの体がガチガチに緊張した。 「ば、馬鹿者。いきなり変なこと言うな」 あわてて離そうとしたので、離すまいとしがみついた。 なおももがくソルデ。体をこわばらせて居心地悪そうにきょろきょろとしていたけど、やがて観念したようにふっと力を抜いて、背中に腕を回した。 ありがとう。 心の中で呟くと、ソルデは髪に積もった雪を払ってくれた。 「この鉱山は、なんだかおかしいよね。 ルッソファミルも労組も、皆本当はいい人たちなのに、 ――仲良くなれるはずなのに、何かが割り込んで悪意だけが互いに伝わるようになっている」 「...そうだな」 「燦含奇石って知ってる?」 「――呪晶化コバルトの事...ではないのか」 逆に問い掛けられ、自分は目を閉じて微笑んだ。 「...そうか、それで齟齬が起きてたのね。確かにこの地域ではそう呼ばれているみたいだけど...それは、ちょっと違うのよ。それは長い時間が生んだ勘違い」 「勘違い?」 喉まで吸い込んだ息で小さく早い声。自分がいるから肺で息が吸いづらいのだろう。 「燦含奇石は呪晶化コバルトでできているの。もっと言うと、燦含奇石はある状態をとった呪晶化コバルトのことなのよ。 だから燦含奇石を知らない採掘者達にとっては、それは呪晶化コバルトでしかない――呪晶化コバルトを知らない人にとって、それがコバルトでしかないように、ね」 息を呑む気配。 動悸が少し早く聞こえる。 「勘違いの...さらに勘違い。まさか、そんな事が」 動揺を隠せない声、レンティスタは自分を見下ろすソルデスタを見上げ返して、きっぱりとこう言った。 「よく聞いてソルデ、本物の燦含奇石って言うのはね。気の遠くなるような年月が生み出した天然の超高密度念動力回路――刻の遺産なのよ」
(『二人 2』)
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■2005年01月04日(火)
千の強さへと続く、千の優しさを抱いて
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ジャンプ購入。以下ちょっとした感想。
『スベルヲイトワズ』 漫才系の漫画は成功したのを見たためしがなく、囲碁マンガのように台本作家でも考証として招けばいいのにと毎度思っています。 でもこれは面白かった。 いや、ネタは面白くなかったんだけど、それでも全然不快じゃなかった。 BØYのように歌詞をバーコードのような吹き出しで表現している感じに近かったかも。マンガが面白ければ、ネタが面白くなくても面白いんだなあと感じさせてくれる作品でした。 さすが森田先生。でも和田さん波田陽区に似すぎ(笑) あのポジションに立たせてるあたり嫌いなのか好きなのか分からないなあ。 「...おんねん たまにこういう勘違いした奴」 とか、結構かっこいいし言ってるし、微妙。 大和田さんの、 「まぁ 今のはアカンな」 は文句なしにカッコよかった。
追記:漫才漫画においてネタは「笑える」 ものではなく「これはウケる!」 と思わせるものでないといけないのではなかろうか。 つまり、読んでクスリとも笑わなくても「ああ、実際俺が客としてみたら笑ってたんだろうなあ」 と思わせるもの。あくまで漫才師としての視点で読ませるわけであるから、そういう技術的な巧さを実感できるネタが良いわけで、そういう要素で見れば「ドラえもん」 に対する無視がこの漫画において改心の出来であると言えるのではなかろうか(意味不明)
『銀魂』 銀魂の面白さって、どこか演劇的な面白さなんですよね。吉本新喜劇っぽいとも言えるけど。 だから、好みが分かれるだろうなあとは思うし、万人にはお勧め出来ない。 けど、自分はめっちゃ好き。 土方とマムシの 「最高の酒の肴じゃねーか」 「飲み込めるかァァ!!デカすぎて胃がもたれるわァ!」 のやり取りなんか大爆笑ものでした。
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全ての弾丸を避け切ったレンティスタに、エルロが惜しみない拍手を送る。 「すっげー何食ったらあんなんできるの、お姉ちゃん?」 「茶碗蒸し...かなあ」 憔悴しきった顔でボケるレンティスタ。 剣の反動で、著しく精神が疲弊している。 千の呪いの一つ、『連続する制止』 この呪いは、剣の所持者の体感時間を45万倍に跳ね上げる。つまり、知覚以外の全てが相対的に45万分の一まで遅くなり、また自らの体の反応速度も同様に遅くなる。 人と一秒会話するだけで、五日と五時間の時間が過ぎてしまう。剣の所持者から見れば、時が停まってる様にしか見えない。 レンティスタが先ほどの弾避けで呪いを使用した時間は、通常時間で約0,008秒。体感時間で丁度一時間だった。 呪いの未経験者は停止した時間で弾丸の軌道を確認し、呪いを解除して躱せばいいではないかと考えるだろうが、実際にはなかなかそうはいかないのだ。 「エルロっ、この坑道に兄貴がいるのね!? 君はお兄さんを助けたい、ファイナルアンサー?」 「お、おう」 「おっけ、ちょっとだけ待ってて」 剣を振りかざし、二人を取り囲むゴロツキを一瞥する。 ――この一瞥が勝敗を分ける。 停止した時間内では、眼球も動かせない。眼前の光景と、自分のイメージが全てとなる。 「半日もかからないかな...」 レンティスタは息をつき、肩をすくめた。
(『レンティスタ』)
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捻りが足りんなあ。 体感時間が伸びるのは気象精霊記でたまにミリィが使ってる技に似てますな。 色と音を落として神経の反応速度を早めているとかなんとか。 | | |
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■2005年01月03日(月)
闇を貫く 信じる心 魂眠る場所探して
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『遊☆戯☆王』 のアメリカで後悔されていた映画をビデオに撮っていたので、それを今日見た。 ブルーアイズシャイニングドラゴン...舌噛みそうだ。 遊戯の声優の確かジャニーズJr.だった人は本当に上手くなったなあ。おしい、おしすぎる。今後も声優やってくれないものだろうか。 話の内容も遊☆戯☆王らしい友情話だったので満足。社長もプライドを護って『光のピラミッド』 を破壊する当たりカッコイイじゃありませんか。
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「ほえ、呪晶化コバルトですか?」 「ああ、そうだ」 「知ってますよ。コバルト化合物の一種ですよねー? 一部のコバルトとの親和性の高い魔力が、酸素に混じって結合するとか、いいますよね?」 「魔術師のおのれが言うなら間違いないだろう。何でも聞き返すんじゃない」 少し苛立って、ソルデスタ。 そのイライラも楽しむようにシェディはのんびりと続ける、 「基本は酸化コバルトですから、綺麗な瑠璃色なのですよ。呪晶化と言うだけでもすごいのに色彩も鮮やかとくればその価値は計り知れませんね?」 「石ころに魔力があるだけじゃないか。さほど優れたものとは思えんが」 「とんでもないですよ!」 シェディはとんでもなさ気に両手を挙げた。 「馬鹿、声がでかい!」 二人の声が坑内にこだまする。 「あのですよソルデちゃん。呪晶化物質は高硬度で錆びることもないですし、なにより念動力の伝達効率に優れているため、念動力回路の材料として最適なのですよ。 なおかつ念動力の増幅作用もあったりしちゃうので、念動力の少ない人でもこの念動力回路なら呪文が使えたりするかもなのですよ?」 「ほう、私でも使えるのか?」 声のデカさを咎めた癖に、話に引き込まれて質問するソルデスタ。 だが、今度はシェディの顔がムズかしいものに変わり、 「ごめん。ソルデちゃんは念動力がゼロだから...無理です」 うなだれる。 その反応に、ソルデスタは目をぱちくりさせ、 「しょげるな、...冗談だ。話の流れでそれぐらい解っている」 微笑むことはなかったが、それでも幾分表情を和らげた。優しい口調で、 「まあ、とにかくすごい物質というわけだな。私にはただのコバルトにしか見えないが...」 「え、ええ。呪晶化の仕方によっては、念動力を流すだけで魔法が発現する天然回路と呼ばれる鉱石までありますし...」 シェディはたまらなくなって、視線をそらす。 そう、彼女は自分に念動力――魔力がないことを受け入れている。 迷うべき可能性がないことに、絶望していない。 迷うことしか出来ないわたしとは違う。 気を取り直して、顔をあげる。 だから、ソルデスタは眩しいくらいにかっこいい。 「ところで、ソルデちゃんは何をしに来たのです?」 「巡礼だ。もっとも、魔術ゆかりの鉱山ともなると、成果は望めたものでもないな」 いつも目標に突き動かされて生きている。 わたしの中の言葉にならない何かが込み上げ、何故か恥ずかしくなった。少し顔が熱い。薄化粧のおかげで顔に出ないのがラッキーだった。 「んと、ソルデちゃんは敵ではないのですね?」 「いや、わたしは今、ある特定の団体に肩入れをしている」 「とくてーのだんたい?」 「ああ、労働組合だ。故に、今の私は彷徨える巡礼者ではない」 拳を握り、胸の前へと出す。 そして今度こそ、ソルデスタは微笑んだ。 とたん、シェディの顔から血の気が引いた。 サンダルの向きを180度傾ける。 「ゴロツキ君」 「な、なんすか姉さん」 「逃げますよ?」 「え?」 と聞き返す暇もなく、シェディはゴロツキの手を引き、脱兎のごとく逃げ出した。 「あ、待ていきなり逃げるか普通!」 ソルデスタが叫ぶものの、シェディは一体そのか細い体のどこからそんな速さが生まれるのか、狭い坑内を全く物怖じせずに逃げていく。ゴロツキの持つランプのみが唯一の明りであったがその光の到達さえ待たないほどの速さだった。 「あ、あああ姉さん!!」 そんなシェディに引っ張られて石に躓いたり、思いのほか低かった天井に頭をぶつけたりと確実に体力を奪われていくゴロツキが尋ねた。 「なんでしょう? できれば永久に後にしてもらえませんですか?」 「何で逃げるんですか? 知り合いなんでしょう? 腕が立つのはなんとなく解りますが、そこは姉さんが説得して」 「だめ。ソルデちゃんが笑ったですから」 「? それは一体、どういうことで」 恐る恐る尋ねるゴロツキに、シェディは丁寧に応えた。 冷や汗を垂らしながら、にっこりと。 「...ソルデちゃんが笑うのはね、自分の敵の前でだけなんだって」
(『二人』)
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■2005年01月02日(日)
この世のはじまりは、小さな鈴の音に似た
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さあ、今年も残すところ364日となりました(お約束) この日は届いた年賀状に返信。 さすがに、合併後の葛城市の住所はなかった。 しかし、引越し前の住所があるのはどう言うことだ? 数年前だぞ...
(※数年前の住所の年賀状が未だに届いてしまう理由は、引っ越しても配達してくれる郵便局が同じだったから)
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出て来いと言われて、素直に出る馬鹿はいない。 だが、彼女は馬鹿だった。
「あ〜、その声ってもしかして?」 そして、彼女の眼前、睨まれただけで殺されそうな殺気の矢面に平然と立ったのだった。 「やっぱりソルデちゃんだ。どうしたの〜ひさしぶり?」 なぜだか最後を疑問文で締める。 ソルデちゃんと呼ばれた少女はこちらの姿を見たとたん、表情を凍りつかせ、臨戦の為に弛緩していた体ごと固まった。 「いつ以来だよね〜、一年ぶりかな、昨日ぶりかも」 「ど、どどど...」 ようやく絞り出したと言う感じで、ソルデちゃん――ソルデスタが喉の奥から「ど」 を吐き出す。 意味が判らないシェディは、 「ど、どどどどうしたの? つわり?? ソルちゃんておっとなー?」 「そんな壮絶なつわりがあるかっ! どうしておのれが何でこんな場所にいるのだ! シェディ!!」 シリアスな表情を砕いて、口角に泡を立てる勢いでまくし立てられる。 「おやぁ」 彼女、シェディは少しだけ驚いた表情をしてから、上を見て、下を見て、後ろを見て、指をさした。 「あっちから?」 「そう言うボケが返るような質問はしていない!」 眉毛を鋭角にして怒ってらっしゃるソルデスタ。 シェディは再度キョロキョロしてから、ようやく追いついたゴロツキAを指さした。 「えへへ。なんだか雇われちゃったですよ。用心棒なんて初めてかも?」 「悪徳暴力団の用心棒なんてするんじゃあない!!」 「あ〜酷いなあソルちゃんは。職業に貴賎はないんですよ?」 「善悪はあるだろーーが!!」 なるほど、うまい事を言うなあ。 感心しているとローブのすそをゴロツキA氏(シェディをモヤシ扱いしていた奴) に引っ張られた。 「あ、姉さん。知り合いなんですか?」 「ん〜知り合いと言うか、恋人以上友達未満と言うか」 「どんな仲ですか、それは」 「腐れた縁以外、持ち合わせていない!!」 ソルデスタが全力で断言した。 そこに、よせばいいのにゴロツキAが、 「姉さん、あの人なんだかめちゃくちゃ顔が赤いんですけど?」 と、チャチャを入れる。 「ん〜多分、知り合い相手に“缶蹴りはおしまいだ”とかカッコいー台詞言っちゃったもんですから、その恥ずかしさに今頃身悶えているんじゃないのですか?」 「なるほど」 「分析するんじゃない! わ、私はおのれのそーいうところが好きになれないんだ!!」 とは言うものの、そんなソルデスタの顔は暗い坑道の明りの中でさえ、真っ赤だった。
(『シェディ』)
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■2005年01月01日(土)
あけおめことよろ。
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と言うわけで、初詣行ってきました。 近所の水の神様を祭っているところです。その神社は二柱祭っているんですが、水の神様は女性の神様ですな。井戸の神でもあるようです。 まあ、そんなこんなで年が明けてすぐに神社まで歩いて、焚き火(とんど) にあたってお神酒を呑んで、賽銭入れてお礼して、そのまま味気もなくもと来た道を歩くと言う毎年のが、恒例行事だったりします。 寒さが肌を刺す帰り道、ちょっと高揚した気持ちで見上げたオリオンは、格段に輝いて見えていて...あれは中学最後の初詣だったかなぁ。 今年は雲が隠れて全然見えなかったけど。 月はなんか知らんけど雲をよけるように顔を出していた。 月って雲を避けるよね。なんか。
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ソルデスタは息を殺し、闇の一寸先へと歩を進める。 音が増幅するはずの坑内だが、足音は全く起こっていない。 足音とは、つまり土と靴との激突音と摩擦音。つまり靴が浮き再び地面に接地する際の音と、靴が地面を滑る際の音だ。また、室内だと床板の軋みが加わるが、今は関係ない。 この二つの内、激突音は比較的容易く消すことが可能だが、もう一方の摩擦音は完璧に音を消すことが不可能とされている。そもそも地面に立つこと自体が、地面と摩擦していると言うことだからだ。 しかし彼女は音もなく、しかも普通に歩いている風にすら見えるぐらいにスムーズに歩を進めている。 まるで本当は土を踏んでなどいなく、地面の数ミリ上で浮かんでいるのではないかと思わせるほど、完璧な無音で。 ソルデスタの体は、生まれる前からこの歩法を知っていた。 だが、 「唯一にして無二の個性か...」 自らの神業を愚弄するかのように、ソルデスタは呟いた。 「彼我の差異と言えば、せめて其れだけのこと。なのに、私はアイツのようには成れない...」 坑内の据えた空気が揺らいだ。声に気づき、闇の先に動揺が広がっていく。 「ならば、この『力』 こそがソルデスタと言う存在――その物ではないのか」 闇の先の空気が硬くなる、武器でも構えたのだろう。 「...くだらない」 溜息。左右に揺れた髪の毛が、うなじを撫でた。 拳を握りこみ、軽く開く。左右ともそれをやってから、だらんと垂らす。 「出て来い、缶蹴りはおしまいだ。鬼はここにしかいない」
(『ソルデスタ』)
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