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■2006年10月20日(Fri)
天上へのモーダルシフト74
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確かに見えた。人と刀と人との間に生じる、入り込むべき隙間が。 どこが死角なのか、どう動けば危険を回避できるのか、どう進めば追い込まれずに済むのか。 鳶としての経験が、次々にその答えを結んでいく。 人の入り込む余地もない迷路のような部屋の記憶、パズルのように複雑なパーツを組んだ記憶、目も眩むような高所を登った記憶、踏み場もない細い道を渡った記憶、果てのない階段を毎日のように駆け上がり続けた記憶。 それらが、一歩ごとの体捌きを、段組的思考を、大胆な挙動を、バランス感覚を、疲れを知らずな足腰を、ヒュウイに与えてくれる。 人形たちの攻撃がギリギリでヒュウイの横を過ぎていった。 何度も殺されると思ったが、その度に、ハバキさんの声がヒュウイを導いてくれた。 「――そうだ、動き続けろ。隙間を見つけ、かいくぐり、逃げながらついでに攻撃しろ。刹那とて一対一にならず、常に多対一を保ち続けろ。お前は剣術も素人ならば、敵も強い。勝ち目があるとすれば唯一、“相手の人数が多い”と言う事実だけだ。無論、普通に考えればそれは不利でしかない。だが、敵が複数だということは、複数であるが故に隙間――隙が生まれると言うことでもある。駄洒落じみた冗談だが、この焼け石に落ちる水滴のような僅かな光明だけが、唯一、お前に唯一付け入ることができる隙なのだ。いいか、死角を見つけろ。隙間をかいくぐれ。めざとくズレを見つけ、そこに滑り込め」 まるで無茶苦茶な理屈だったが、ハバキさんが言うと本当に自分が有利であるように感じるから不思議だ。 人を殺せる一撃が、何度もヒュウイの側を掠めていく。 いつか絶対逃げ切れずに斬られるのだろうと確信しながら、それでもヒュウイは逃げ続けた。不思議と恐怖はない。恐怖を感じれば、その瞬間死ぬのだろうなと思った。なんとはなしに、開き直っていた。 足取りが軽くなる、しだいに攻撃が掠らなくなってきた。 常に死角に入り込むせいで、人形たちの攻撃は一撃たりとも入らないのだ。 一体が無理な姿勢で追いすがろうとして転んでいた。 一体が虚しく空を切った剣が別の人形を巻き込んで倒れた。 敵が翻弄されているのが、手に取るように解る。 まだできてもいないというのに、隙が、隙間が、どこに発生するのかが読める。 次にどこへ動けばいいのかが、その前の前の前のもっと前から見えている。 今や刀が薙ぐ風すらも肌を触らない。 「っと、攻撃しないと...」 余裕が生まれてきたので、ついでに攻撃を加えていく。 デュランダルの切れ味はまだ戻っていなかったが、鈍器よろしく腕や足を叩き潰すことに専念した。斬り裂くよりは心理的に抵抗がなかったが、なんとも嫌な感触である。 戦いの中で、そんな嫌気を感じる余裕があることに少し驚く。 十数人の人形に囲まれているというのに、物凄く安全な場所にいるみたいに落ち着いていた。 なるほど、確かに一対一だったときの方がよほど恐かった。 攻撃が加わりだすと、敵はあっけなく倒れていった。敵が少なくなる度に逃げやすくなるのだが、反面入り込む隙間も少なくなる。 「って、これ一対一になったらどうすれば...」 「工夫するのだな。それでも、もし一対一になったら」 「なったら?」 「逃げるんだな」 「...左様で」 何から何まで目茶苦茶だなあ、と剣術を知らぬヒュウイでさえ思ったのだった。
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■2006年10月20日(Fri)
あまりにも大きな 力の壁 世界の闇
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 | 来週は見所が多いなあ。 年上だと嬉しいか? は端折らないで欲しい。 このころの武装錬金はいろんな意味でハラハラしました。 センターカラーになっただけで大喜び(いろんな意味で)でしたさ。 あと、アシスタント募集とか。 | | |
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■2006年10月19日(Thu)
つぼみがいつか花ひらくように
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Replay
 | アニメポケモンで一番優秀な技と言えばもちろん
「かわせ!」
なわけで、実際トレーナーが「かわせ」と言えば、たいていのポケモンがアラよとばかりに敵の攻撃をかわしまくります とくにサトシはことあるごとに「かわして10万ボルト!」とか「よけろピカチュウ!」とか「かわしてボルテッカー」とか「電光石火! かわされた、くそっかわせピカチュウ!」とかよくもまあピカチュウはあんなアバウトな命令で大丈夫だよなとか思うわけで。
しかしあの「かわせ!」、ひじょうに理に適った命令でもあります。 まず、かわすタイミングを客観的に測ることができます。射撃・砲撃・回避は言うに及ばずハンドル操作やナビゲートなど、パートナーに行動やタイミングを任せると言う行為は、人間どうしでも頻繁に見られます。 また、ポケモンからすれば、ほぼ反射のみで動くことが出来るため、自分で考えて回避する場合よりも動作自体も早くなると言う利点があります。 さらに、トレーナー(指揮官)の「かわせ」と言う命令には注意勧告の効能もあります。想定外の攻撃を目の前に、自失状態になったポケモンを我に返らせたり、攻撃に対して無意識に緊張してしまう状態を一瞬で解放させる効果があるわけです。 つまり、「かわせ」にはかわす行動を取れるような体勢を促す作用があるのです。
以上から、サトシの「かわせ!」はけして無茶を言ってるわけではなく、戦術として効果的な命令と言えることでしょう。たぶん。
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■2006年10月19日(Thu)
天上へのモーダルシフト74
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目前に【人形】の一体が迫り、刀を振りかぶる。 ひどく無造作だった。 ――どうする。刀で受け止めればいいのか? 受け止めたあとはどうすればいい? いや、そもそも俺に受け止められるのか? もしこれが、フェイントだったら? 「躱せ!」 はっとなって、ヒュウイは横に飛んだ。 バチン――と、刃が床を打つ。バネが弾けたような振動音がした。 「か、かわせた...」 「言われて躱すぐらい、誰だって出来る。問題は一人でそれをやれるかどうかだ。 ポケモンじゃ在るまいしいつまでも外から声がかかると思うな」 「ぽけ――?」 「次が来るぞ。離れて、距離を取れ」 その通りだった。いまや周囲はどこを見ても俺の人形である。 「逃げろって...言われましても――いや」 切り込んできた人形の部分だけ、僅かなスペースがあった。 迷っている暇はない。隙間に滑り入るように、強引に突っ込む。 服を掴まれそうになったが、とっさに上体を腹に巻き込んでそれをさせない。 前転気味で、抜け出し、そのまま転がりながら、体を起こす。がむしゃらに逃げて、足音が付いてきていないことに気づいてから振り返った。 「な、情けねぇ」 「いや、それでいい。今のお前は素人にもとうてい及ばない剣士だ。死の恐怖を目の前に、体を動かすことすら出来ないただの一般人だ」 だが、とハバキさんは続ける。 「だが、鳶としては一流の人間だ。なら鳶として戦えばいい」 「と、鳶として?」 どうでもいいけど、人形たちのほぼ上にいるハバキさんの声はとても明瞭に聞こえてくる。まるで、今でも隣で話をしてくれているかのようだ。 一方、人形はと言うと、宙に浮いているハバキさんを何とか落とそうと群がっている。 「粗雑な存在しか宿せなかったようだな。速さはそれなりだが、思考はゾンビ並だ」 そう言いつつも、人形が投げた刀を指二本で挟み、受け止める。 柄を握り直して、軽く振るう。 「見た目こそ刀だが、柄どころか柄紐まで綱製か...しかもこれは歪でいるな」 面白くなさそうに投げ捨てる。 歪んでいるのは、さっき床を打った刀だからだろう。デュランダルのせいで忘れかけているが、塔の石材は工具やハンマーで加工できないほどに硬い。 「てか、なんでハバキさんのコピーがいないんですか」 「人間と認められなかったのだろう。些細なことだ」 攻撃が鬱陶しくなったのか、徐々に高度を上げていく。 「移動しないんですか?」 「移動できないのだがな」 嘆息された。 ハバキさんは、まるでそこに壁があるかのように、空中に手を彷徨わせる。 ひらめくものがあった。 呪いがあるハバキさんが、何故ココにいることができるのか。 「そこだけ地表が低いんですね」 ハバキさんは、ようやく解ったのかという表情でこちらを見下ろした。 ここに来たというのは例のテレポートとかいう魔法だろうか。 「けど、それならもっと早く言ってくれれば良かったのに。そんなことが出来るなら、一緒に御飯食べたりとか」 「それは魅力的だったがな。残念だが、中心部のみ地下層があることを知ったのはついさっきだ、それより」 どんどんと上に上がっていく。 「標的が変わったからと言って、油断しすぎではないか?」 気づけば、人形たちの攻撃が止んでいた。 攻撃が届かないと悟ったのだろう。 となれば、当然次に狙われるのは―― 「では指導を始めよう。ヒュウイ」 「は、はい」 「とりあえず、この集団の中心に飛び込め」 「ええええっ!!?」
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■2006年10月18日(Wed)
ここのタイトルに悩む
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Replay
ヒュウイ、のつもりで書きましたが、戦隊のブルー(もしくはRPGのブルー的キャラ)みたいだ。 ブルーは主人公のカラーじゃねえですな。
読書
「バッカーノ!1934獄中編―Alice In Jails 」成田 良悟 「キノの旅〈10〉the Beautiful World 」時雨沢 恵一 「狼と香辛料〈3〉」支倉 凍砂 「Aの魔法陣リプレイブック~式神の魔法陣編~」芝村裕吏/アルファ・システム 「ドラマCDシリーズ「武装錬金 2」」和月 伸宏 「女王騎士物語 8」 下村 トモヒロ
バッカーノは案の定上下巻の上だったので、もんもんとしています。 バッカーノの上下巻って、同時刻に起きたことを二作に分けてと言う変則的な方法が用いられるから、上巻だけ読んだときのもやもやがでかいw
武装錬金のドラマCDはポストカードが渾身の出来でした。冬服の斗貴子さんは良いなあ。桜花先輩は......腹黒いなあ...
含めて、「とあ禁」と「マリ見て」の最新巻も借り読み。 とあ禁はガンガンで連載するそうで良い感じです。 ひぐらしは結局読まなかったなあ...とっかかりが見つからない。一体何から読めばいいのだろう。 今月の最終話だけ読んでみようかな。 ガンガンと言えば今月の女王騎士はよかった。そしてベタだった。タイトルからして「ドラゴンクエスト」w だがそれがいいっ リューガがいきなり小者臭出してましたねえ。 ジェダもすっかりデフォルメが効いて...お母さんキャラかぁ
8巻も良かったです。オマケページが少なめだったのがちと残念。
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■2006年10月16日(Mon)
天上へのモーダルシフト73
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黒髪、黒目。意志は強そうだが、ただそれだけで中身がともなってなさそうな、空回り風味な瞳。 「って、俺じゃん。俺がいっぱいいますよ、ハバキさん!」 「クローン、というか複製だ。人形が侵入者――お前に反応して、侵入者の姿を模倣する造りになっている。無論、お前より強い」 「複製なのにっ!?」 「銀の銃弾――まあ、ようするに魔属化を起こす核が内部に埋め込まれている。とは言え、お前は魔属を知らなかったか...まあ、単純に二倍程度強くなってると考えればいい」 「...つまり、どうあっても侵入者より強くなるって寸法なんですね」 目の前にあらわれた俺(×いっぱい)は、一様に刀を携えて塔外周から詰め寄ってくる。その動作は一様に機械的で、人間らしさが無い。 中心に来たところで作動するシステムなのだろうか、ぐるりと360度全ての方向に俺が居た。 「あ、あの刀は――」 「流石に模造品みたいだな」 浮かぶ刀に腰を掛けて、そのまま天井へと上がっていくハバキさん。 「16体か。16方向の外壁に格納されていたみたいだな」 「みたいだな...って、ちょ、ハバキさん一人だけずるいっすよ!」 「何がだ?」 「何がだって」 見下ろしたままハバキさんが尋ねてくる。 「助けてくださいよ! 俺このままだと、どうなるんですかっって、多分殺されちゃうんでしょうけどっ。助けてくださいよ!!」 いろいろ戦慄しつつも、ヒュウイは必死で訴えた。 あわよく生け捕りにするような命令が設定されていたとしても、ただで済むとは思えない。というかD・Jも死ぬと言っていたことだし。 「手伝っても良いが。一瞬で終わるぞ。我からすれば、お前の強さが何倍になろうと0に数字を掛け続けるようなものだからな」 「ひどっ!? 一瞬で終わってもつまらなくても良いですから、助けてくださいよ」 あっさり酷いことを言うハバキさんに、プライドもなく懇願する。 もともと戦闘に関しては門外漢なのだ。つまらぬ意地を張る必要もない。 「まあ、お前がそういうなら我は別に構わぬがな」 がな、といいつつハバキさんは浮かぶ鞘の上に足をかけて、立ち上がる。 そして、鞘に乗ったまま、右足の腹で鍔を蹴った。キンと鎺の外れる音。 「やれやれだ、老躯に鞭を打つとは、友人の風上にも置けんな。折角、我自ら戦いを伝授してやろうと思惟うたと言うに」 「え...」 「今後の旅路、せめて基礎の剣技ぐらいは覚えておいた方がなにかと便利だろうに。まあ、ここで楽して旅先で死ぬほど苦労するのも一興。何も言うまい。刻の賢者に態々業を授かるなど、並の英雄とて叶わぬ畏れ多きことのだがな。ああ勿体ない」 「う、ううう...てか、なんでハバキさん俺が旅するって知ってるんですかぁ」 応えずに、ハバキさんは鍔に足をかけて横にずらした。長尺刀の刃が妖しいきらめきを放っている。緩やかなカーブがある刀身のせいか、僅かながら柄の方が下を向いている。あと少し蹴れば、刀身が鞘を滑り地面に落ちるだろう。 そして、落ちればハバキさんは――あと十数歩ぐらいまでに迫っている俺の複製を一閃してしまうに違いない。 「さあ、どうする。ここで死ぬ思いをして教えを請うか。それとも、」 「や、やりますよ! 戦えばいいんでしょう!!」 半ばヤケになって、ヒュウイは叫んだのだった。
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■2006年10月15日(Sun)
天上へのモーダルシフト72
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「精霊というのは本来は実体のない人格を指す。その内でも更に物にとりつき、かつその格が憑依する物体に対しての象徴・擬人観的な精霊を付喪神と呼ぶ。 こけしにこけしの精霊が宿れば、こけしの精霊は付喪神だが、デュランダルのように刀とは何の関係も無い精霊が宿っている場合はただの精霊だ。その辺を区別するため、我々は付喪神という呼称を好む傾向にある。 余談だが、化身し人等の体を持つことを妖怪変化あるいは擬人化と言い、更にその人格が女性格の場合は名称の語尾に〜たんを付ける」 「いやあの。ンなこと言われても解りませんし、あとそれ途中から嘘でしょう」 よくわかったな、とハバキさんは悪びれもせずにそう言うのだった。 「この魔法陣は、言わば人工付喪神製造装置だ」 「人工――?」 「お前は知らないだろうが、我は知っている。本来の付喪神というのは大人しい上に知能が低い。言葉を覚えたての子供程度だ。 この塔の精霊のような並行した会話の処理や結界や空調の管理、維持なんて芸当はまず不可能。万単位で時を経た物品の付喪神ならもしかしたら出来るかもしれんが、とても一〇〇余年程度しか存在していない精霊が持つ力ではない」 確かに、ハバキさんの言うことが正しいのならD・Jはあり得ないほど強力な力を持った精霊と言うことになる。知能云々は正直その通りじゃないかとも思ったが。 親父殿が語るにはD・Jは数十年前に突如発生したらしい。 塔に精霊が宿っただの、当時は大騒ぎになったらしいが、D・J本人のあっけらかんとした性格ゆえか、すっかり塔の管理精霊としての地位を確立していた。いつのまにか。ルーィはそれを集合無意識と呼んでいたが... 「ルーィの言は、信仰や噂話によって精霊が発生する例のことを言っているのだろう。確かに、条件点検索の見地から見れば、存在の確立はそれ故に人格の位置特定要素と成りうる。この魔法陣も、そう言った人々の無意識での固定観念を鍵としているようだ。あながち間違いではない」 「いや、勝手に考えてること読まないでくださいって言うか、さっきから言ってますけど何が何だか」 「ヒュウイという名称よりヒュウイ・ストンブリクの方が寄り特定の個人を示しているだろう。更に言えば、塔に住み、高所作業用の独特のつなぎを着た、義理の姉にスーベリーアという女性がいる黒髪黒目の少年ともなれば、この世にお前以外の存在は居ないことだろう」 「そりゃ、いたらあってみたいもんですけど」 ハバキさんに少年と言われると、何とも不思議な気分になる。 見た目はヒュウイよりもっと少年なのだが、何故か言われても全然不快に思わない。むしろ面映ゆい。 まあ、いるんだがなとハバキさんは小さく呟いた。 「それと同様に、大多数の人間が想像する塔の精霊と言う概念情報が寄り特定の存在へと回線を結ぶ、そういうことだ」 「いや、同様っていわれても。俺には難しすぎてわかんねえんですが」 ハバキさんは、自分の質問には饒舌に答えてくれるのだが、その答えが常人には理解出来なさすぎて正直10分の1も理解が追いつかない。 ヒュウイと初めて出会ったときからずっとそうだった。 なんだか懐かしい。 が、懐かしがってる場合ではなかった。 話が全く進んでいない。 「ええと、つまりココの魔法陣と、俺達が塔に持ってるイメージみたいなのが合わさって、本来の付喪神とはひと味違うD・Jがあらわれた〜ってこと...かなぁ」 結局何が何やら。 ハバキさんは、自分の推測を聞くなり満足そうに口の端を曲げていた。 「十を聞いて一に結ぶだな」 「それ褒めてませんよね」 ぼやくが、ヒュウイとしては「D・Jが、人工的に造られた」 と言う事実だけでもう腹がいっぱいだった。 「――魔法陣、ですか。それが施設としてあるってことは、最初から塔の設計思想にD・Jがあったてことですよね」 「驚いたか?」 「いえ、むしろ腑に落ちたって言うか...」 常日頃から感じていた「D・Jって、結界やら空調やらエレベーターやら、自然発生した精霊にしては、やたらいろいろ管理してるよなあ」 と言う疑問もそれなら納得の行くことではある。 「というか、逆になんで今までそういう風に考えなかったのかとか思っちゃいますねえ」 いまさらに振り返るまでもなく、D・Jの存在無くして塔は成り立たない部分が多々あった。なら、D・Jも最初から塔の設計として在ったと考えるのが普通なのだ。 「それはこの装置が高い位置にあるからだろう。後発で誕生した精霊故、偶発的な産物だと当時の人間が勘違いしたのだ。尤も、見ての通りこの部屋は超極秘事項のようだ。意図的に騎士団によって秘匿されて来たのだろう」 と、ハバキさんが絵本を閉じた。 そして何事かを呟いたかと思うと、背負っていた長刀がハバキさんから離れてひとりでに浮かび上がる。 驚くヒュウイを余所に、ハバキさんは浮かぶ刀の鞘に腰掛をかけ、 「長話が過ぎたな――来るぞ」 「え、」 と言いつつも実はさっきから、うなじの辺りにちりちりと嫌な感じが付き纏っているのだ。 「俺、ハバキさんがやっつけてくれたものだとばっかり」 「は、それはご都合主義だな」 鼻で笑うハバキさん。 そういうことらしかった。 魔法陣の青い光が徐々に白色に変質していく。 いや、白と言うよりは灰色、灰色と言うよりもそれは、銀色の光―― 「ふん、【シルバーブレッド】 か旬の魔術ではあるが、中央の勇者連中が聞いたら貧血を起こしかねんな」 「勇――誰ですか、それ? ってか、うわ。なんかいっぱい来た!!?」
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■2006年10月14日(Sat)
天上へのモーダルシフト71
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迫り上がる台座から出てきたのは... 「よ」 身の丈三倍はあるかという長刀を携えた少年だった。 「ってハバキさんだし」 どはーと息を吐く。 立ちながら、何やら薄い絵本のような書物を読んでいたハバキさんは肩眉を上げた。 「人を見るなりため息吐くとは、ずいぶんだな」 「いや、ガーディアンとか身構えてたし、それにあんだけ盛大に別れときながら30分もしないで再開つーのも、なんか...」 そこまで言って、ふとあることに気づく。 「ガーディアン? ...ああ、この塔の電脳セキュリティシステムか。あれなら、」 「いやそれより、ハバキさん。ココにはどうやって? 確か呪いで下には降りられないって...」 「そうだな」 「呪いが消えたんすか?」 「別に消えてはいない」 まるで当たり前のようにそういうハバキさん。 余りにも当然のように言うので、ヒュウイは自分の考えが何か間違っているのかと不安になった。 「え、あの。だからハバキさんって呪いで塔の天辺のちょっと上ぐらいまでしか...」 「ああ、そう言う類の疑問を感じているのか。ヒュウイ、お前は俺の呪いに対して盛大に勘違いを起こしているようだ。もう一度思い出すんだな」 「勘違い」 と聞いても、ハバキさんはそれ以上は答えてくれそうにない。 あきらめて質問を変える。 「D・Jが、ガーディアンに勝てって言ったんですけどどういうことでしょう。それにこの部屋、結局なんなんだか...」 迫り上がった台座は直径2mほどの円だった。 それが膝上ぐらいにまで上がってきていて、その上にハバキさんがいる。 先ほどの迫り上がり方からして、下の層にいたことになるのだろうか。彼は一体何をしていたのだろう。 「ガーディアンに勝て、か。その付喪神は本当にそう言ったのか?」 「そう聞こえた気がしたんですけど...途中で声が聞こえなくなって」 「まあいいが。そうだな、およそ念動力回路と言うヤツはその半径が巨大になるほど、大がかりな――魔術的にと言う意味でだが――術を行うことが出来る。設計図に喩える事も出来るが、記述量がそのまま複雑さに反映されるという点では数式やプログラムに近いだろう。単純に書物的と言ってもいい...」 まあいいと済ませて、いきなり謎の説明をされる。 どうツッコめばいいのか悩みつつも、ヒュウイはその説明が「この部屋は何?」 と言う質問に対する解答なのだと気づく。 「は、ハバキさん。ちょっと待ってっ」 「無論、回路の内に複雑多様かつ洗練された数式を用いることで術式の圧縮を図ることは出来るが、事が塔の管理精霊の召喚及び回線維持となると、どうしても数の暴力による乱れ打ち形式を用いる部分が必要になってくる。実際、この燦含奇石を用いた塔管理精霊召喚魔法陣にしても、中心点の数行を除けばあとは同じ構文の繰り返しなのだが、」 「だぁ、だから待ってくれって。そんな難しいこと言われても全然解らないって言うか、俺が知りたいのは仕組みとかじゃなくて、その塔管理精霊召喚魔法陣ってのがどういうものかって事で...」
自分が答えを言ってることに気づいたのは、それから3秒後だった。
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■2006年10月13日(Fri)
天上へのモーダルシフト70
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「なんだここ」 そこは、蒼い光に包まれた、ただの大部屋だった。 いや、塔の一階層であることは解っているのだが。 「空っぽだ...階層全部、まるごと...」 エレベーターを一歩出ると、そこにだだっぴろい空間が拡がっていた。 何もない、柱すらない。 外縁の壁がずうっと両横から伸びて、円をなぞるように奥へと続いている。 あまりにも広大な塔の内接円。 それが剥き出しのがらんどうに拡がっていた。 足下がふらつく。 あまりにも広すぎてその広さに目眩を起こしたのだ。 塔という閉鎖空間で暮らしているヒュウイにとって、この“何もない”広さは空よりも大きく感じた。 「わ、わけわかんねえ。この辺となると随分昔の鳶の仕事だろうが...だとしてもこんな珍しい場所なら、鳶が知らないはずねえのに」 なのに、現にこうして蒼い光に包まれた大部屋が目の前にある。 「何だこの青さ...気持ち悪い。床...が光ってやがる」 その光の正体は、床に填め込まれた発光する床板だった。 一辺が靴の長さ程度の正方形の発光する蒼い床板。それと、どこにでも使われている普通の床板とで床面を二色に分けている。 比率としては蒼のパネルの方が圧倒的に少ない。 蒼いパネルは、どうやら線のように縦横無尽に床面を走っているようだった。 蒼い光のラインが走り回る部屋。高さは5mはあるだろうか。 「もったいねえ...これほどの場所なら、居住空間なり運動施設なり...神様はなんだってこんな設計を」 『ミーならこんな青い部屋で住みたくないけどねぇ。どっち、この場所を知ってるのは、ミーとメンテ部だけサ。エレベーターも...ここにゃあとまらないヨ』 聞きつつも、ヒュウイはどんどんと中心へと歩いていた。ほの蒼い部屋に不気味さを覚えたのは事実だが、鳶としての好奇心がそれに勝ったのだ。 基本、与えられたパズルのパーツを組み立てるだけの鳶職だが、それでも先祖がどんなパズルを組み上げたのかには興味が尽きない。 「この青い光...ハバキさんの魔法に似てるな」 色が違うが、物の底からこもれ出るような淡い光り方が、彼が魔術を使用する際に見せた赤い光にそっくりだった。 「位置的に、どこかの階層のプレートの下なんだろうな。落ちた距離を考えると、図書館階の下当たりの気がするけど。なあ、D・J...D・J?」 『...ん、ああ正解だよ。後先にいっとくケド、その床板は削るなヨ』 「けずんねーけどさ」 どのみち、この階層に来てからヒュウイはズレが見えなくなっている。 デュランダルにしろ、今まで感じていた力の気配――振れば何でも斬れると言う確信をさせる錯覚めいた気配が無くなっていた。 「ところで、正解って何が正解なんだ?」 『ん、なんのこっちゃ』 「こっちが聞きたいんだけどな。ってか、どうした。えらい話半分だけど、何かあったのか? 心なしか声も遠いぞ」 D・Jは塔のどこにでも存在する。だから、こうして会話している間にも、避難誘導や塔の修復を並行して行っている筈であった。 精霊である彼女には、数百人程度なら同時に会話をしてのける並行処理能力がある。こんな状況だろうが、ヒュウイ一人に軽口を叩く余裕は十二分にあるはずなのだ。 その彼女が適当な相槌しかできないと言うことは、よほど他が忙しくなったと言うことである。ヒュウイが思わず尋ねるのも無理はない。 『いや、そのメンテ部隊がね、鳶と揉めてるのさ。まったく、やっこいねえ』 本当にめんどくさそうな声である。 身振りする体もないのに、どこかオーバーリアクションを思わせる。 そんないつものD・Jのハッピーボイス。 だが、その声が、どこか頼りない。 やはり少し遠い様子だったが、ヒュウイはそれよりも気に掛かることがあった。 「鳶と揉めてるって、スー姉たちとか?」 『それと、生き残りに非番だったのも含めて全員だよ。スーも合流して応戦してるねェ』 「なんだってメンテ部隊と揉め事なんか」 『いやまあ、そっちは気にしなくていいよ。口プロレスみたいなモンだし、それより気をつけナ。こコには、まほー...んを...るガーディアン......』 「は、え? D・J、でぃーじぇい??」 いきなり声がどんどんと遠ざかりはじめる。 何か不吉な言葉を聞いた気がして、ヒュウイは何度も塔の精霊の名前を呼んだ。 『...ュウイ、あんたなら勝てる。ってか、勝て。勝たなきゃ死ぬ。わかったね...』 「っておいっっっっ!! いきなりクリアーになったと思ったらメチャクチャ恐ろしい発現してるし!」 『...て、......ゥィ...』 「D・J...?」 反応がない。 もう一度大声で「D・J!」 呼んでみた。声が天井と床に虚しく反響する。 その反響がまたどうにも心細い。 じわじわと、心の奥底にまで静寂が押し寄せてくる。 見渡しても果てが見えない広大な広間だというのに、まるでクロゼットに押し込まれたかのように窮屈に思える。 身じろぎした。右手が痛い。知らずデュランダルを握る手に力が入っていたのだ。 D・Jの声を無意識に思い出そうとして、ついさっき聞いたイヤな言葉までついでに思い出してしまった。
番人
歩む方向、塔の中心の床あたりから何かが迫り上がって来た。
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■2006年10月09日(Mon)
今週の斬
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Replay
 | なんか無崩篭ってパソコンの電気ケーブルについてるこれに似てますね。
今週の斬 表紙がギリギリすぎるw
今週はちょっと微妙でした。 前回が良かった分、特に。 二刀流のアイデアはおおっと思いましたが、鞘で受け止めるシーンは少し突然すぎたような。絵の構図の凄さで無理矢理納得させられた感じです。 もう少し二刀流を持ってくるまでの流れがスムーズで、説得力があれば良かったかも。 切れた窓が背景に一度も出てない点もマイナスでした。 グリグリ動く構図や、鋭斬刀の説明は面白かったです。 掲示板にアルバイト募集してたり保険の広告があったりしたのが、なんか面白かった。 | | |
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■2006年10月08日(Sun)
うつむき笑うその頬を伝う涙一粒
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■2006年10月06日(Fri)
夜明けが燃えている
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 | 照明(ちり)が持っているのはパーライトとゼラ(色フィルム)です。 このライトだけ命綱が付いてないんで、取り扱いに慎重を要しますってそんなネタ誰が解るんだ。 ゼラは熱による色落ちがひどく頻繁に買い直します。 ちりは(演劇部であるTakeBack'sにおいて)衣装も兼ねています。 衣装は古着や衣装棚にある歴代の演劇部員達が制作ないし購入した衣装を再利用します。パーティーグッズに頼ったりもします。
音響(みずの)ですが、ラジカセは重宝しました。現在はMDですが(これももう古いか)昔はもっぱらラジカセでしたし、路上舞台などのコンポが備え付けられない場合もこれを用います。 カセットは10分程度の安物を用い、音楽・効果音一個に対してカセット一個使用と燃費の悪い用い方をします。音響さんはカセットの入ったボックスを二個も三個も抱えていました。 また、カセットという奴は最初の数秒が無音であるため、数秒送っててすぐに音が出るようにする頭出しという作業をします。いちいち再生して確かめてもいいのですが、経験者は磁気テープの変色具合で見極めていました。 色を見ながら鉛筆でカセットの歯車を回すわけですな。 効果音収集は部で購入した効果音集を探ったあと、なければレンタルします。 効果音集は普通にツタヤに置いてます。自作は、あんまりしなかったなあ。 BGMは部のメンツが適当に置いていったCDを使います。棚がデスメタルで埋まってると爽やかな劇だろうとデスメタルなBGMになります。 ゲーム及びドラマのサントラ等は使わない方が無難でしょう。 客がそれを知っていた場合、元ネタが気になって劇に集中してくれません。
大道具(けいすけ)。立て看板作りなどの情報宣伝も兼ねます。大道具などは、まあ予算と人との戦いです。 書き割りなどはあんまり使いません。リアリティーを追求せず、よく解らない箱状の物体や、元からある舞台の段差などを用いて巧みに架空の空間を作り上げるのが一般的なようです。 折りたたみ机でコントをする人がいますが、あんな感じですね。 大工仕事もしますが、上記の様な理由から造ったとしても箱とか机とか階段とかが主です。 また、折りたたみ机や暗幕などを借りたりもします。 この仕事をやっていると、粗大ゴミが宝の山に見えてきます。
小道具(きう)。メイクも担当しています。小道具は、まあ用途に応じて。偽物にするか本物を使うかも劇次第でしょう。集めるのも作成も手詰まりを覚えることない仕事ですが、小道具の管理が大変です。 こだわってもあまり見られない部分でもあります。 この仕事をやっていると、リサイクルショップが(以下同文) メイクはまあ、ドーランの管理とか。 日曜にメイク教室を開いたりします。
台本制作(ありさ)。監督・演出も兼ねます。自分の台本を自分が演出するというのは、一見理想的な気もしますが、反面、表現に関わる全てを一人で請け負うために視野の狭いこじんまりとしたものになります。しょせん一人で考えることには限界があるのです。一人よりも二人がよいと言う歌もあったではないか。 と言うわけで、久々にTakeBack'sネタでした。 | | |
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■2006年10月05日(Thu)
天上へのモーダルシフト69
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螺旋階段を下りながら、スーベリーアは父と二言三言会話を交わした。 はじめ、スーベリーアが自分の声で話していることに驚いていたのだが、直接聞いてくることはなかった。 声を失ったときには、我が事のように悲しんでくれただけに、黙っていたことに申し訳なく感じていたのだが。 「驚きはしたが、」 皺の増えた横顔を覗き込む。父は、 「...まあ、昔からなにか隠してるとは思っていたがな、そういう意味では安心した。そんなことだったかってな」 苦笑しながらスーを追い越し、どんどんと階段を降りていく。 「ごめんなさい。わたし...なんて謝れば」 ヒュウイには謝るなと説教しておきながら、自分もこの様だ。 血は繋がっていないとは言え。やはり、自分とヒュウイは姉弟なのだなと強く思ってしまう。 父は黙ったままだった。いや、 「――ひとつだけ、頼みたいことがある」 「...え?」 「お父さんって言ってくれ」 言葉の意味がわからずスーベリーアは沈黙した。 数秒黙ったあと、意を決して息を吸い込み背中に向かって呼びかけた。 「お父さん」 現役を退いた鳶の背中は、スーにはまだまだ広く見えた。 「...お前が声を失ったとき、お前にそう呼んで貰えないんだと気づいて、それだけが残念だった」 なにを言うこともなく父は、ぽつりぽつりと、それだけ語った。 そのままスーベリーアに振り返ることもなく、階段を下っていく。 「お父さん?」 父は背中越しに、手をひらひらと振った。 「はん、どうせバカ息子がバカ言い出したから言いそびれたんだろ。なら、お前のせいじゃない、あのバカのせいだ。帰ってきたらとっちめてやる」 「別にヒュウイのせいじゃ...」 「いいや、あいつのせいだ」 背中が叫ぶ。 「あれだけスーと結婚するなんて騒いでたクセに、一方的にフリやがって。いつからそんなにお前は偉くなったんだ。まったく、あのバカ息子め...くそっ、腹が立って涙が出らあな」 悪態を付きながら、どんどん降りていく。 D・Jに何事か呟かれて、うるせいと返していた。 そんなところはヒュウイによく似ていた。 「ヒュウイ...」 D・Jに寄れば、ヒュウイはエレベーターシャフトを通ってもっと下の階層に落ちたらしい。無事とは言うが、あいかわらずの弟の無茶さ加減にハラハラさせられる。 数分前には、自分を驚かせるほど大人びた顔をしてたのに。 なんとはなしに、下の方を向く。 螺旋階段も終わりに近い、スーやヒュウイ立ちの住み居住区が見えてきた。 その居住区、いや階段の終わりにも人がわらわらと集まっていた。 なにやら、もめている様子だった。
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■2006年10月04日(Wed)
天上へのモーダルシフト68
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底の見えない空洞を見下ろして、ヒュウイは少しだけ身震いした。 エレベーターを通す四角柱の空洞は、幸いにして折れることも曲がることもなく、真っ直ぐ背骨を通したままだった。上の方となると見るも無惨だったが。 一辺3m程度の正方形で構成された四角柱。切り開いた入り口から、本来は見えないはずのシャフトの壁が見える。両サイドにノコギリ状の溝の様なものがあった。おそらく、エレベーターに歯車が付いてあり、それが溝のギザギザと噛み合うことで昇降する仕組みなのだろう。初めて見たが、大体の構造は解る。 「ていうか、エレベーターは?」 『下に降ろしたヨ、電力も復旧しねーし。どのみち、レールも微妙に曲がってるし、持ち上げられないけどネ。ヒュウイってばどうやって降りるつもりサ』 さり気なくボーイと呼ばなくなってるなあ、と思いながら。 「まあ、なんとかなるだろ」 足を確かめて、5歩下がる。 そして、手首に巻いたバンダナで、拳とデュランダルとをきつく巻き付けた。 『なにするつもりだイ?』 「わりい、D・J」 口をつかって、結び目を絞める。 「ちょい傷つけるから先にあやまっとく」 『ちょ、まさか...アンタ』 集中。二回、呼吸して走り出す。 助走を付け――どこまでも深い、穴の上を、跳んだ。 『馬鹿っ!』 「やべっ」 踏切る位置が浅かった。 向こう側の壁に張り付くつもりだったのに、落下が始まってしまう。 落下の感覚が身に迫る。 「うわ、さ、刺されー!」 慌ててヒュウイは、足場の定まらない体勢のままデュランダルを壁へと振り下ろした。 キィン――ュイイイイイイイイィイイイ 高速で上へと登っていく壁に、デュランダルが根本まで突き刺さる。 落下の勢いが付いたデュランダルの刃は、全てを貫き通す性質を持つがゆえにどこまでも切れた。 切れたまま、落ちていく。重力による加速もどんどん加わっていく。 あまりにも切れすぎるために、普通に落ちているのと変わらないのだ。 『ヒュウイ!』 「わぁかってる! デュランダル――徐々に...徐々に切れるな!!」 ギ、ギギイギイギギギギッギギギギギギギイイイイイイ―― 瞬間。しがみついた両手に、腕がちぎれるほどの衝撃が加わった。 落ちているというのに真上に放り上げられたかのような、まるで巨人に釣り上げられたかのような感覚。手の中の柄が暴れる。 「こなくそぉおおお!」 ルーィのバンダナがなければ、手を離していたかもしれない。 ヒュウイはギリギリでデュランダルを握り直した。 デュランダルの切れ味は、どんどん鈍くなっていく。 切りたいと思えば切れ、切りたくなければなにも切らない刃。 ヒュウイは摩擦と衝撃が増えていく中で、もうこれ以上切れるなと必死に願った。
『アンタ、無茶ヨ。なに考えてるのさ、ボーイ』 「あ、ボーイに戻った」 何分経っただろうか。ひょっとしたら――ありえないが、気絶していたのかもしれない。 気づけば、ヒュウイは壁から生えたデュランダルの柄にぶら下がっていた。 壁にレバーがあって、そこにしがみついているんです。といった風な体勢だった。 「死ぬかと思った」 『アホ、めいっぱいアホっ。もっと他にやりようがあったッショ!』 「いや、でもこれが一番おれ的に負担が少ないって言うか」 『負担?』と言う質問が聞こえたが、ヒュウイはそれに答えるより前にさかあがりで柄の上に登った。周囲を見回す。ちょうど、どこかの階層の扉らしきものがあった。歪んだり凹んだりはしていない。被害が少ないということは、すなわち。 「随分下まで降りちまったみたいだなぁ」 『まったく、塔を勝手に唐竹割りしヨッテ...って、ココは...』 と、D・Jが黙りこくった。 「どうした?」 『ううん。なんでもない』 とても、なんでもなくなさそうな、深刻そうな声音だった。 う゛ん――と、どこかで重たい振動音が響きはじめる。 「ともかく、あの扉までいかないとな。D・J。扉とか、もう少しだけ切っちゃうけどカンベンな」 『いや、大丈夫...ココなら電源が生きてる。開けるから、何とかして入りナ』 | | |
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■2006年10月04日(Wed)
荒波に飲まれて海に落ちる
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 | 遊戯王新OPキター
三沢がいねえええええええぇ!!
どうも解像度やら筆で四苦八苦してます。 自分の場合、線画は(最終的な仕上がりの)4倍、色塗りは2倍の大きさにしてから書くのが丁度良いんですが、4倍にしたときの筆の選択が間違ってるみたいです。 といわけで、いろいろ見直して書いてみました。 下と似たような構図なのはワザとです。 | | |
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■2006年10月04日(Wed)
天馬の魔女(誤植)
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 | お、ちょっと似てきたかな。 センター分けがコツのような気がしました。 | | |
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■2006年10月03日(Tue)
男には自分の世界がある
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 | 遠野有希さん あいかわらず似ない。 目か髪にポイントがあるんだと推測するけど、どっちも苦手だなあ。 実際の挿絵は男物っぽいトレンチ着てますが、この絵はレディースです。 って、閉じたら制服見えないから余計に特徴がなくなるんじゃないか。 | | |
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■2006年10月02日(Mon)
屍骸術師と勇者株24
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屋上の鉄柵にもたれかかり、双月を見上げてパイポをしがむ。 ルーラが出向かないので、仕方なくタツマが大家に挨拶をした、その帰りであった。 「禁煙パイポなら中入って吸えばよかろーもん」 「一服して帰るというのが乙なんじゃないか。パイポだからってすぐ入ってたら気分が出ないだろ」 「やーねぇ。あんたって、みんなが呑んどぉときん、一人だけベランダでタバコやってコップ傾けるんがカッコイイとかよだきいこと思っとータイプとよ」 歯を見せて、はすっぱに笑うルーラ。 図星だったので、ぐうの音も出ない。 「ぐう」 出た。 「なんね、それ?」 「来たなら、挨拶していけばいいだろ」 「やあよ。かわりにいってくれたっとよ?」 ルーラが鉄柵にかじりつき、真横からこちらの顔を覗いてくる。 整った顔立ち、金色の流れているかのような細い髪。大人びた、とヒュアリィは表現したが、それよりはエキゾチックと言った方が正しいだろう。 自分の視線に気づいてか、ルーラの横顔が振り向いて微笑んだ。 「褒めてもなにもでないとよ」 「何も言ってないだろうが」 見透かされた気恥ずかしさで、月を見上げる。 ルーラがけたけた笑ってパイポを奪い、口に付けた。 とたん、顔をしかめる。 「なんねこれ。とゆーか、なに味?」 「サラミだ。最近凝っている」 「うえ〜、やっぱりここの市民って変とよ」 調書に寄れば、ルーラは群島の生まれである。こちらで言うところの中等教育を受けた後、すぐにこのオークノートへと出奔――つまり逃げ出してきたのだそうだ。 「国に帰る気はないのか? 執行猶予もなくなるぞ」 これは群島との刑法に及ぶまでの国交がないためだ。 犯罪の幇助にも成りかねない提案だったが、とは言えそうなってくれればタツマとしてはありがたかった。 「やあよ。うっちゃここでやることがあるっと」 「泥棒の真似事か? 組の小間使いにされたあげく、安物の情報屋に騙されて暗殺の冤罪を掛けられるわけだ」 「む」 ルーラが、パイポをタツマの口に戻した。 口の中に微かに拡がる、サラミの味。 「あのハゲ〜〜〜。ぎょーさん金踏んだくっといて謀るとはなにごとっとよ。今度見つけたらぎゃふん言わせてやるけん」 「まあ捕まっても獄中だろうがな」 そもそも、家宅侵入及び窃盗未遂の罪を、騙した人間(要するに暗殺関係者)の情報を提供することで保護観察付きの執行猶予扱いにまで減刑しているのだ。十分に恨みは返せているはずである。 司法取引という裏切り行為は、口の軽い人間を嫌う裏世界では致命的である。今回の彼女の行為が闇に知れ渡れば、この業界で生きていくことは不可能だろう。 たとえ先に騙されたとしてもだ。 騙される程未熟なのが悪いと言う理屈が働くのが裏の世界と言う奴だった。 だというのに、彼女は緊張感もなくのほほんと夜のオークノートを見下ろしている。 もっとも、メインストリートから離れた夜の路地には人一人も居やしない。 何を見てなにを思っているのか。図太いのか、アホなのか、大物なのだか。 さっぱりわからない。 森も近いせいか、蝉とフクロウとその他の虫の声が大合唱していた。 「これからうちはどうなるっとかね〜」 「猶予があけたら、勝手にどっか行ってくれ」 一人も二人も一緒だろうと言うことでルーラの面倒を任されたわけだが、タツマは当然の如く不満だった。一緒な筈もなければこれ以上の面倒もごめんである。 ヒュアリィではないが、何故株を売りに行ってメイドを連れて帰れねばならないのだか。 ちなみに、勇者株はルイスが持って帰った。屍骸術の経費で買い取ったことになっている。 結局メイへの謝礼はルイスが立て替えたのだ。 暗殺者の仕業に出来たため、家内の物だけが怪しまれることはなくなったが、解ったことと言えばそれだけ。今度は親族、関係者全員が怪しまれることとなった。このゴタゴタが解決するには、件の暗殺者を捕縛するより無いだろう。 立て替えたルイスに礼金が下りるとしても、まだまだ先の話である。 「あ、じゃあここにずっといてもよかよね」 ひらめいたとばかりにはしゃぐルーラ・ループ。 「...」 まったく、うちのご先祖様はどこまで末代を祟ってくれるのだろうか。
(終わり)
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■2006年10月01日(Sun)
風紀部53
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一日経って、放課後の風紀部部室。 あのあと、吉泉と一晩中飲み明かしたので、頭が痛い。 吉泉はまだいびきを掻いているだろう。呑気なものだ。 吹奏楽部の気だるげなロングトーンが頭に響く。 部室には、英鳳と窓の外を眺めっぱなしの松方風紀。 そして、受験まっさかりで能力バトルなんてそっちのけで英単語を覚えまくっている暮臥あずさ(3−6 女)に、携帯ゲーム機で誰とも知らない電波と対戦をしている雨都密豆(3−D 男)、ひたすら巻き藁の前で掌底を尽きだしている鵲森ジャパン(3−9 男)、そしてフクこと副部長の猫。 これで風紀部、オールメンバーである。 非常厳戒態勢と言うことで、全員久々に集まったのだが、集まっただけで特にすることもなかった。 「ジャパン」 「なんだ?」 学生ズボンに上半身裸の鵲森は、無骨な物言いで聞き返した。 でかい図体と割れた腹筋は巻き藁を向いて威圧したままだったが。 「その巻き藁はどこの弓道部からかっぱらってきた」 「ふん、決まっている。壁を傷つけては困るだろう」 答えになっていないにもかかわらず、答えた気になっているのがこいつの恐ろしいところだ。 鵲森は、深呼吸の後、おもむろに巻き藁の前に突き出すという、先ほどまで延々と繰り返していた動作を開始した。 掌底は両手の手首の付け根の内側を合わせた異様な形である。 影絵で言うところのカニ。 それを巻き藁の前で静止させて、しばらくしてから腰へと戻して、また巻き藁へと突き出すと言う行為を何度も繰り返している。 「なにをしているんだ?」 「ふん、決まっている」 両手の平をこちらに向けて、鵲森は断言した。 「かめはめ波だ」 「出せるのか?」 鵲森の能力は鳥とコミュニケーションを取る【烏合の衆】 である。格闘家を思わせるがっちりとした体格とは裏腹のメルヘンな能力――とは、風紀の言葉だが。 鵲森は、神妙に頷いた。 「今日中には」 「そうか」 おそらく無理だろうと思いながらも、英鳳は一分時間が潰れたことを喜んだ。 風紀部のドアが開いた。 ぎょっと言う声が聞こえて、すぐに閉じた。 どうやら鵲森を見てしまったらしい。 「入れ。噛まれやしないから」 英鳳が呼び戻すと、閉じた扉がゆっくりと開き、木下真佐樹の顔があらわれた。 失礼します、と挨拶をして入る。 「二年生か。襟章で解ったぞ」 ジャパンがその木下を下目に睨んだ。 二回りは大きいだろうかという男がぎょろりと見下して来る、という光景は木下にトラウマを芽生えさせるには充分な迫力ではある。木下泣きそう。 もっとも、当人は自分の作業に忙しくて目だけを動かした、程度にしか思ってないだろうが。 どうでもいいが、「J」の襟章は白鳳高校の二年生を示した。 ちなみに一年が「F」で三年は「S」。 「そういえば、なんでJなのだ。 ジャパンか?」 「そんなわけあるか。三年はスペインで一年はフィリピンか」 「スカンジナビアとか」 「国名ですらないな」 などと漫才をしていると、 「J...ジュニア。j u n i o r 【形】後輩・年下の・三年生高校における二年生の【名】後輩・息子・年下・三年生高校における二年生...」 暮臥が単語帳を読みふけったままで呟いた。 もっとも、単語帳を読んでいるというわけではなさそうだが。 「F...フレッシュマン。f r e s h m a n 【名】新入生・初心者。S...シニア。s e n i o r 【形】 先任・先輩の・最上級の。【名】年長者・先輩・上級生...」 まるで辞書を読み上げるように、単語と候補を読み上げていく。 「ふん、出たな単語帳フェチ。今頃覚えても間にあわんだろう」 「フェチ f e t i s h i s m 【名】物心崇拝・フェティシズム・拝物愛。私が単語帳フェチという言葉通りの人間なら、英単語は受験のために覚えているわけではないことになるので問題はない」 鵲森が顔を紅潮させて暮臥を睨んだ。 が、暮臥は単語帳を見つめたままでどこ吹く風である。 「話が合わんっ」 「合わす気など毛先ほどもなさそうだがな」 居心地の悪そうに佇んでいた木下を手招きする。 下座の空いたコの字型のテーブルの中心に、木下を移動させた。 ちょうど対戦が終わったのか、雨都が顔を上げた。 「や。誰? 新入り? だとしたらうちは珍しく三年だけのアットホームな部活だったりして、」 「ふん、黙れ脳味噌トコロテン」 「な。トコロテンってなにさ。あ、こうにゅるんと滑らかな思考が四角くきっちりと滝のように溢れ出るとかそう言う意味?」 「お前と話す度に話の要点がどんどん、すっぽ抜けて押し出されていくからだ。いいから黙れ。まったく、こんなんばっかりかうちの部は」 「「「「お前が言うな」」」」 ため息をついて英鳳。 「風紀」 「ああ...では、我が愛すべきかもしれない部員達よ。新入部員を紹介しよう」 軽い驚きが、部室無いに拡がる。 暮臥も、この時ばかりは木下の顔を見た。 「お。当たってるじゃん。どーするよこの筋肉ファンタジー」 「妙なあだ名を付けるな。一つめの思考だけまともだからトコロテンなんだろうが」 「部長、チーフ【名】」 「なんだい二号ちゃん」 「second あるいは kept woman って、あずさだから? ...我々の風紀部は今年度で廃部する予定なので、三年生のみで構成されている。違いますか?」 「All right!」 「あわせるな、」 そして間違っている。 「ふむ、確かにそれは重要かな。では部長の自分が君に尋ねよう。 木下真佐樹、この部活は今年度で廃部することが決まっている。それでも入部するかい?」 風紀が斜に構えて木下を睨んだ。 木下は、誠実な目に見据えられてか、どこか気後れした様子だった。 「柊先輩は、おれ...自分の恩人でした。あの人がいなければ、自分は一生後悔していた。たとえどれだけ楽しい人生を送ってたとしても、あのときああしてれば良かったと、きっと悔い続けていた。...そんな後悔を、迷いを柊先輩は払ってくれた。 だから、そんな先輩が死ぬのが許せない。 先輩を殺したこの世界が許せない。 仇討ちなんて、自己満足なんでしょうけど...正直に言えば、その気持ちだけで風紀部に入ろうとしています。それが間違ってるとも思えない。 そんな理由でいいのなら...」 風紀は「むぅ」と唸った。 腰に手を当てて、 「君はなにか勘違いしているな」 「は、はぁ?」 「自分は入部する意志はあるかと聞いたんだ。それだけ簡潔に答えればいい」 泰然と、木下を見据える。 木下はしばらく沈黙したあと、居住いを正すかのように堂々と立ち直した。 「あります」 「ようこそ、後輩。では皆の衆、拍手だ。クラップ」 風紀が率先して手を叩くと、四人ばかりの僅かな拍手がそれに続いた。 拍手に照れながら、木下は自分の方を向いた。 「ようこそ。理由はどうあれ、歓迎する」 「ありがとうございます。ああ言いましたけど、おれ、風紀部でなら...中尾先輩と風紀先輩と一緒にいたなら、今の自分の迷いの答えが掴めそうな、そんな気もするんです」 「そうか。それは」 なによりである。 拍手にビックリしたのかそれとも呆れたのか、フク部長が開きっぱなしの風紀部のドアから出ていった。
(一部完)
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■2006年10月01日(Sun)
屍骸術師と勇者株23
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「なんでそうなるの?」 日曜というのに受験勉強のためと「なみはや荘」に逃げ込んできていたヒュアリィは、ようやく話し終えたタツマにそういうのだった。 「株を売りに行ったのに、メイドさんを拾ってくるなんて」 「俺が知るか」 「え、タコヤキってタラコを入れないのですか?」 「そんなわけなかとよ。タコヤキには昔からチーズときまっとるっとよ」 オークノート市民が聞いたら激怒しそうな会話を繰り広げながら、タコヤキ焼きの鉄板にかじりついているメイとルーラ。 ちなみに、ルーラはまだメイド服を着ていた。 「え、ではこのタラコは何に使うのですか?」 「何にもつかわないっと。ふつーに添えものおかずの一品っとよ。 まあ、お茶漬けにしてもよかけど」 「お茶漬け...」 せっかく南に行ったのだから、魚市を覗いていこうと言うことになり、結果買ったのが蛸とタラコだった。 蛸はタツマが、タラコはルーラが買ったものである。 当初は刺身用の蛸を買う予定だったのだが、買ったのはたこ焼き用の蛸である。「たこ焼き用」と書かれたその値札を見たときに、ルーラとメイが異常に「たこ焼き」に興味を示したため、こうなったのだった。 タツマにとっては何ひとつとして珍しくない。 たこ焼き用の蛸が刺身用とは別に売られていることも含めて。 「ルーラさんって、南の群島の人なのかな。ほら喋り方とかもそうだけど、タラコってあっちの方じゃ主食だっていうし」 「らしいな。出稼ぎに来ているらしい」 職業泥棒と言うことは伏せて説明する。タラコが主食というのは偏見だが、盛んに食べられているのは確かだ。製法自体も南の群島伝来のものである。 懐かしさに及んで思わず買ってしまったのだろう。 「なに本人の横で陰口っとるっとよ」 ルーラが横槍を入れてきた。 手には千枚通し。くるくると回転させている。 「それより、大家さんに挨拶は済んだのか?」 「う...まだっと」 千枚通しを抱きしめて、身震いするルーラ。 「だってあの部屋気味悪かよ」 「あ〜わかるなあ、それ」 大家の部屋は屋上にある。正確には屋上に建つ掘っ立て小屋である。 明らかになみはや荘より古いその掘っ立て小屋は、様々粗大ゴミとしか思えない家具が内外にひしめいており、ヒュアリィ曰く「ゴミ屋敷一歩手前」であった。 大家はその掘っ立て小屋に、嬉々として住み込んでいる奇人である。 「まあ、いいか...どうせあのおっさん、誰が住もうが興味ないだろうし」 メイを住人として住まわせているだけでも、明らかだった。 独りごちたのはいいが、誰も聞いてはいなかった。 ルーラとヒュアリィはというと、いつのまにか和気藹々とお喋りをしている。 「えええっ、ルーラさんって、わたしより年下なんですか?」 「みたいとねえ。義務教育終わって、すぐ出奔したっとよ」 「自分で出奔と言うか...」 「うそーー。ってことは、わたしとメイちゃんとのちょうど真ん中当たりじゃない、それでそんなに美人さんだなんて、反則だわぁ」 「び、美人っと?」 「そーよー。こんなに大人びてて、プロポーションも良いし。初め本物のメイドさんだと思ったもの」 メイドには若くから就労する者も多いのだが、要は新人らしさも抜けた正真の社会人に見えると言うことだろう。 確かに、ルーラは見た目だけは20代と言っても通るような雰囲気を持っている。 まあ、本当に見た目だけなのはそれこそ見たとおりなのだが。 「うあーかわいいなあ」 しきりにメイド服を触りまくり羨ましがるヒュアリィ。 年下と知ってか、態度が途端に遠慮のないものになってきている。 「う〜...あたしがこんなの着ても似合わないだろうなあ。くそーー」 と言って抱きついた。 抱きつかれたままのルーラ。扱いに困った様子でタツマを見て、 「なんね、この新しいおもちゃを見つけたよーなはしゃぎっぷりは」 「そのままだろ」 「ああ...メイも似たような扱いなんね」 と旧い方のおもちゃ――メイの方を見たルーラはぎょっとして、固まった。 視線の先で、メイが天井を見上げたまま至福の笑みをたたえていた。 つられてルーラも天井を見るが、ランプに蚊のような虫が一匹たかっているだけだったので混乱した様子だった。 「...どうしたっと?」 「気にするな、タラコのお茶漬けという未知の料理に軽く昇天してるだけだ」 メイの視線の先にはきっと楽園でも見えていることだろう。 「な、難儀なんね」 怯えた様子で後じさりするルーラだった。 | | |
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■2006年10月01日(Sun)
屍骸術師と勇者株22
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「ふむ、大体全容が見えたな。喜べ諸君」 「え、それでいいっとよ?」 「何がだ」 タツマが尋ねるが、ルーラはいや別にと釈然としない様子で返した。その部分を省略するのはあり得ないだろうとかよく解らないことを呟いている。 「ルーラ女史の危惧はもっともだ。だが、アリバイなんて実際どうでもいいのだよ。こっちは犯人が解っているのだからね。捕まえて締め上げればいい」 危険な思想をのたまうルイスだった。 「あの、結局どういうことなのでしょうか...」 そして金の支払いはどうなるのでしょうか。 そんな顔をしてるなあと思って眺めていたら、また足を踏まれた。 「ふむ、では掻い摘んで説明しましょう。犯人はこの屋敷でメイドに扮装してカルラ氏を殺害。後、一度地表層にまで運んで、回収口――つまりダストシュートの出口から死体を投棄したのです。その後、カルラ氏の行方不明が判明すると同時、ルーラ女史の潜入が露見、そしてカルラ氏の死亡が最後に判明した、とそういうワケです。 本来はまあ、ゴミ回収業者の回収時間、カルラ氏の予定、家政人たちの行動と心理を利用した巧妙な殺害時刻改竄トリックだったのでしょうが、まあ偽装は偽装としてバレているわけなので意味もないし割愛しましょう」 「せやけん話的にそこを端折ったらいかんよーな」 「ともかく、ここから導き出される答えは一つです。ではルーラ嬢。その答えとは何でしょう?」 ルイスは何かを楽しむような表情で、ルーラに問いかけた。 ルーラは怯んだ様子もなかったが、肩をがっくりとおとしてため息をついた。 話を聞かないから呆れた、というわけではないだろう。 その答えが悲しいぐらい理解できたから、だ。 「わかっとるっとよ...うっちはハメられたとね」 騙された事実にどうしようもなく落ち込むルーラ。 そんな彼女にルイスは恭しく一礼したのだった。 「よろしければ、あなたにストラング家の情報を提供した人物について質問させて頂きたいのですが」
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■2006年09月30日(Sat)
素猫
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本日の購入
『GA-芸術科アートデザインクラス』 きゆづきさとこ
ニンジン雑誌※の四コマでは、これと『教艦ASTRO』だけは買おうと思ってたんですが、気づいてたら売ってました。やっほい。 どっかで見たことある絵だなーと思ったら、ドラマガで見たことあるんだったかな。
※まんがタイムきららキャラット 最初キャロットだと思ってたせいか、ニンジンのイメージが強い | | |
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■2006年09月29日(Fri)
風紀部52
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白鳳高校全生徒、3年15クラス602名の保有する能力を彼らが卒業までに封印、除去すること。 それが風紀の使命であり、風紀部の真の目的だった。 そして、風紀の使命に反発し、自らの能力を卒業以後も自らの望むがままに行使したいと願うもの。 それが風紀の敵であった。
白鳳高校生徒が保有する能力の根源は、他世界の法則そのものである。 能力を行使するということは、言い換えるなら、別世界の世界観を現実空間に召喚し、世界に新たなルールを追加していることに他ならない。 さて、現世界に対する別世界の法則付与は、この現実世界にとって毒である。 そのひとつでも世界に混じれば、現在の物理法則を初めとするありとあらゆる根源則が変位するためである。 最悪、物理法則が吹き飛ぶ。 それは現実世界の崩壊を意味していた。
だが現在、いわゆる「他世界の毒」 は世界とは混じっていない。 白鳳高校とそれを内に持つ白鳳町の性質、そして風紀部の存在が三年前から毒の進行を食い止めているのだが、まあそれはどうでもいい。 問題は、卒業を過ぎれば毒が「回る」 という事実。 だから、風紀が全ての能力を封じなければならないという現実。 そして、
「いよいよ、どちらも本腰を上げたってこった」 割ってはいる声がして、英鳳と木下は振り仰いだ。 幸輔が、いつの間にか近くまで来ていた。 陶器に入ったにごり酒を片手に木下の隣に座る。 「三年全員の能力を消す。なんて簡単に言うがな、せっかく手に入れた超能力を世界が危険だから封印してください、なんて言われて、進んでどうぞどうぞって奴がどれだけいると思う? ましてや、封印しないと世界が滅ぶかも“しれない”、だ。あやふやにも程がある。そんなだから、予測自体を否定する奴だっていてもおかしくないだろ?」 酔拳に出てきそうな酒を、念動力で傾けてあおる。 中国土産の酒なのだが、幸輔が言うには、薬臭い上にやたら度がきつく、後味は翌朝までしつこく残る上、胸焼けは次の夜まで残る「素人が飲むと吐く」 酒であり、そんな酒など土産に持たされても誰も飲みはしないのだが、幸輔はよくこの酒を持って帰ってくるのだった。 まあ、そんなことをのたまう幸輔もたまに吐くのだが。 「じゃあ、三年生のほとんどが...?」 英鳳はゆっくりと首を振った。 「賛同者の方が圧倒的に多い。生徒の九割方が風紀に自分の能力を封印されることを了承している」 「風紀先輩に?」 「能力封印の力を持ってるのは、今は風紀だけだ。 三年前までは三人だった。それぞれの学年に一人ずついたんだ。 その人達は自分らの学年の生徒全員の能力を残さず封印して卒業していった。今年は風紀の番、そういうことだ」 「...三人いるときにまとめてしなかったのですか?」 その疑問はもっともだった。 もっともだったし、実際英鳳はその案を風紀に持ちかけたこともあった。 だが、風紀はそれを却下したのだ。 幸輔が、木下に「たとえばな」と語りかけた。 「【明日の株価が視える】って能力を持ってる奴がいたとするだろ。そいつはその能力をふんだんに使って金儲けをするんだが、せっかく儲けても世界がぶっ壊れたら困るから能力封印には賛成なワケだ。 だからまあ松方には協力をするわけだが、その代わり卒業まで封印はまって欲しいと言う。当然だな。そいつにしたら一日でも多く稼ぎたいワケだ」 「ああ...」 「解るだろ? そういう奴を含めて九割ってことなのさ」 納得がいった様子の木下。 ちなみに、幸輔が例に出した能力を持つ物は実在する。 「風紀は...」 今更思い出す。三年前に風紀部を立ち上げたときの宣言を。 「そういう主張を受け入れた。そして先代も、先々代も、その風紀の主張を受け入れた。一番つらくなるのはあいつ自身だってのにな。ギリギリまで、あいつが許容範囲と指定した時期まで、生徒全員の封印に猶予を与えた」 そして、今が来た。 「限界がやってきた。風紀が指定した時期はもうすぐだ。 だから敵も動き出した」 「なんで動き出したかってーと、最初に封印されるのがそいつらだからだ」 幸輔が補足する。 「時期が来たら、俺らは一斉にそいつらを追い込んで潰す。そのために、桂介みたいな能力を放棄したがってる奴らでさえ残してるわけだ。戦力は多ければ多い方がいい」 もっとも、それでも雪路は放棄してしまったのだが。 静寂が長く続いた。 英鳳は黙ったままだった。 話すべきことは話した、そう感じていた。 やがて木下が、口を開く。 「けど...賛同しない人なんてどうやって知るんですか」 やはりそういう疑問を持つか。内心でのみ呟く。 そう、無論、敵対者が明確な意志を示すワケがない。 ギリギリまで見方のフリをして、最後に出し抜く可能性は誰もが考える。 英鳳は黙っていた。 答えたのは幸輔だった。 「まあ、考えるわな。初めて聞いたお前でも思ったわけだ。誰だって考える。 でもな、三年はその答えを知っていた」 「待て、幸輔。木下にその話は、」 英鳳は幸輔の言わんとすることを静止しようとした。 だが、幸輔は人の悪い笑みを見せるだけで、 「いや、白鳳高校の生徒なら誰だって解る筈だな」 とたん木下の表情が、一変した。 信じられない想像をした。そんな表情だった。 「じゃあ...柊先輩は」 「幸輔!!」 叫ぶ。遠くの集団のざわめきが止んだ。 その瞬間を見計らったように、幸輔は言った。 「柊運命なら、あいつなら誰が敵かなんて一発で解る。そういうことだ」 吉泉が、酒瓶を顔面に持ってきた。 そこに自分の拳がめり込み陶器を割り砕く。 「もったいねえ」 破片をこれ見よがしに浮かべて、吉泉が愚痴を漏らす。 軽薄な物言いに、英鳳は怒気を抑えて呟く。 「...そんなことまで話すつもりはなかった」 「けっ、残念だったな。俺は話す気満々だった」 なおも、せせら笑う。 英鳳は裂けた皮膚を気にもせず、ただ浮かぶ破片を睨み続けた。 と、 空気が歪んだ。 破片がまるで写真を曲げたかのように、平面的にねじれていき細く、線のようになって、消え去る。 捻れ、 細くなり、 消える。 吉泉の能力ではない。 「英鳳先輩...答えてください」 一瞬、誰の声か解らなかった。 それほどに、木下真佐樹の雰囲気はがらりと変わっていた。 「柊先輩は、敵が誰か知ることが出来て、 だから、たったそれだけの理由でっ! 殺されたのですか!?」 迂闊に答えると、殺されかねない。 木下はまだこの能力を制御しきれていない。 対象に殺意を抱いただけで、そうしてしまう程に。 だから、英鳳は正直に答えた。 「知らないな。お前が聞く前に殺したからな」 「あ...」 我ながら卑怯な言い方だとは思ったが、木下はそれで正気を取り戻した。 俯く木下。幸輔に目配せすると、身震いして「へっ」 と、笑っていた。 思った通りだろ。目が語っている。 何もかもがしゃくに障る。 「俺が言えるのは、�霤弔漏里�に敵の側の人間だったということだけだ。可能性としては、その理由が高い」 「そうですか...」 憮然とした様子で木下は肩を落とす。 「柊先輩、自分が長くないようなことをよく言ってて...冗談だと思ってたのに」 命の危険性は、柊自信感じていたはずだ。 無論、風紀達も柊が最初に狙われることを知っていた。 「すまない」 それは誰に向けていった言葉だったのか。 木下は、星の明るい夜空を見上げて、少しだけ笑った。 それは、さっきまでの自嘲的な笑い方ではない、誰かを思う笑顔だった。 「...わかってます。先輩が望んだんですよね、きっと」 | | |
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■2006年09月29日(Fri)
絵。
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 | ネタ絵だけじゃあれなんで、刺々森 鋭次 ズボンやべえ
今週の斬。
三者三様のバトル開始。 そして下がり続ける刺々森のズボン。 爪まで塗っちゃってどこまでおしゃれさんなのでしょうか。 月島さんを倒したカウンターを斬の馬鹿力が退けるというシーンは、今までの流れが上手く回っていて良い感じだと思いました。 壊原戦が少しテンポが長いかな。 個人的には、一話みたいな長台詞でバンバン解消していった方が良いと思うんですが。正直、あの台詞回しは強制が必要なほどヒドイというものでもなかった気がします。あえて言うなら、味? どうも構成そのままで台詞回しだけ強制したツケが話の長さとして出てしまってるような気がします。
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■2006年09月28日(Thu)
天上へのモーダルシフト67
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スーベリーアが瓦礫の穴を抜けたのをD・Jから確認してから、ヒュウイは地面に突き刺さったままのデュランダルを引き抜いた。 すると瓦礫に出来ていた穴が、まるで今まで堪えていた緊張を解いたかのように音を立てて崩れていく。 『ど、どういうことなんだい?』 「ん? ああ、この剣を崩壊のズレに差し込んで固定してたんだ。じゃないとあんなトンネル、すぐに崩れるに決まってるだろ」 『うん、ナンダ軽く言うような事じゃないネ。あんた、どんどん化けモンになってるねえ。というか、どうするつもりなのさ下じゃ大騒ぎだよ』 「うお、もしかして瓦礫に埋まったのか?」 『ドアホ、ヒュウイが降りてこないからに決まってるじゃん』 そのことか、と内心で安堵する。 もとより、ヒュウイはあの穴から降りるつもりはなかった。 デュランダルを置き去りにすることは考えてすらいない。 「別の場所から降りるって、言っといてくれ」 『別ねぇ』 「ああ、別のところだ。にしてもあああああああ」 がっくりと肩を落とす。 スーベリーアの最後の笑顔を思い出したのだった。 どこか残念そうで。 「俺もしかしてすっげえチャンス逃したんじゃねえかなあ...」 『あそこでフるとはねぇ。まさにどんでん返し』 「フってねえフってねえよっ」 慌てて反論する。 結局、ヒュウイは謝ってそれからまったく言葉が見つからず、喉は本当に完治したのかとか、そんなことを聞くしかできなかったのだ。 『なんで、そこであらためて告白しないのサ。愛してたんでしょ、ヤッパリ』 「ああああ愛って」 デュランダルを振り回し、瓦礫をすぱすぱ切り開く。 もっとも、斬ると言うよりは、瓦礫が自ら割れて退いてヒュウイに道を譲るかのような異常な現象だったが、 「だって、だってよぉ」 ヒュウイは、そんなことを考えるでもなくいじけている。 目にはうっすらと涙が浮かんでいた。 「俺の好きじゃダメなんだってようやくわかってよ、いろいろ考えたんだよ。 でも俺はやっぱり、俺のために迷惑かけちまったスー姉だから、恩を返したくて、守って、ずっと一緒にいたくて...って、そんな風にしか考えられなくて、この気持ちを俺はずっとああああ愛って奴だと思ってたわけで。 今さら違ったんだなあって気づいても、これ以上にいとおしい別の愛し方とかなんて全然分かんなくて。自信が無くなったって言うか。 だから、だからさあああ...はぁ。俺、ガキだなヤッパリ」 『ほぉんと、ガキだねぇ』 「うううう...」 瓦礫に八つ当たりを繰り返しながらも、ヒュウイは塔の円周を歩き続けた。 目指す場所はちょうど真南にあった。 それほど遠くない場所にある、エレベーター。 そこも瓦礫に埋もれているのだろうが、そこを斬り開きシャフトから降りることは今のヒュウイなら不可能ではない。 デュランダルがもたらす力が、それを確信させてくれる。 危惧してるわりに、力に溺れまくってるなあとは思ったが、まあ仕方がない。 思い出す度に、くじけそうになりながらもヒュウイはざくざくと瓦礫を切り開く。 『そう思うンだったら、そのまま言えば良かったのにサ。だったらもしかしたらていうかあの状況なら20%ぐらいスーだって傾いてたのに』 D・Jが何か呟いた気がしたが、一心不乱のヒュウイには聞こえなかった。
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■2006年09月26日(Tue)
天上へのモーダルシフト66
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「まあ腹話術ってのはないにしても、そのとき思ったんだよ。 ああ、ハバキさんはだから治さないなんて言ったのかな。って。 スー姉の喉は、実はもうずっと前から治っていて、だけど、ただ黙ってるだけなんじゃないかって。いくら刻の賢者でも治ってるものをどうこうはできないだろうし」 そう、自分なりのルールとか、小難しい理屈とか、そんなことでハバキさんは魔法を使わなかったわけではない。 そう考えた方がよほど、納得がいく。ハバキさんは、D・Jが言ったとおりに自分勝手な人だ。それは、気にいった人間に簡単に世界を覆すようなアイテムを授けたりすることでも明らかだ。 そんな人が掟やら倫理観に準じてヒュウイの頼みを断るだろうか。 我ながらうぬぼれが強い推測だけど、ヒュウイにはどうしても考えられなかった。 「じゃあなぜ...ってどんどん疑問が溢れてきて、それもなんか嫌ってほどわかるつーか。まあ、なんだかなんだ」 ヒュウイは、手を合わせてうなだれた。 「ごめん、姉ちゃんっ。俺が馬鹿だった!」 と、それだけ言ったのだった。
「結局、スー姉もわたしもヒュウイが罪滅ぼしで結婚しようなんて言う馬鹿さ加減に呆れてたんだなあって。そんな理由で好きとか言われても愛されてるなんて思わないし」 バンダナが無くなったので髪を切ろうかなと思うルーィ。 歌って踊るときの見栄えを考えて伸ばしてたのだけど、あんまり意味がなかったなあと落胆する。 歌ではスーベリーアにも負けない自信があったんだけど。 数週間前、夜中一緒に歌ったことを思い出す。本人を目の前にしていったことはなかったが、スーはけっこうな音痴さんだった。 「機微とかやっぱり苦手なんだけど。ようするに、三人ともスタートラインにすら立ってなかったってことかな」 そういうことである。 「教えてあげれば良かったじゃない」 「だって。気づいてそこらへんを反省したあとで、それでもスーベリーアのことが好きだったらどうするんですか」 「どうなるの?」 わかりきったことである。 「...さあ?」 | | |
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■2006年09月24日(Sun)
風紀部51
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「人を...殺したんです」 中尾英鳳先輩は、それを黙って茶を飲んでいた。 真っ直ぐに遠くを見る横顔、その口が開く。 「ああ、知ってるよ。俺もいたからな」 「え...」 「風紀がいたんだ。別におかしなことじゃないだろ」 騎士。そうだ。彼女がいるところに、いつも中尾英鳳という人物はいるのだ。あの異質な世界に飛ばされた人間はRoS部長、茜坂倫子が【円卓】 、あれは、
――ここに残った人たちはね。柊運命が死亡する当日、5時25分以降に彼女と出会った人なのよ。わたしの力は、条件によって世界から特定の人物を切り離す――
だったら、彼も「あの世界」 に巻き込まれていないと辻褄が合わない。 「中尾先輩は、あそこで何を、していたんですか?」 「中尾でいいよ。ヒデ先輩でもいいが...謹慎中だったからな。表向きは顔を見せないことにしていた」 「謹慎中ずっと風紀先輩を陰で?」 「ああ、ストーカー紛いで気が引けたんだが。まあ、それよりだ。他に聞きたいことがあるんだろ?」 前を向いたままで、そう呟く。 聞いて、またうなだれる。 話が逸れたことに羞恥を覚え、紙コップの中を覗いた。 空だった。 「罪の意識、とかじゃないんです。ただもう何が何だか解らなくて、何故三年の皆さんがその...殺し合うのかもよく解らないし。僕に対しても、誰も」 「別に、殺し合ってるワケじゃないんだがな。それとも、人殺しと批判されたいのか。誰も何も言わないから居心地が悪いのか?」 そんなことをいともあっさりと呟く先輩。 木下は自分の心の中が見透かされたかのような気分で、 「たぶん...いえ、そうです。居心地が悪いんだと思います」 今更、考えてしまう。人を殺すと言うことを。何故それが罪深いのかを。 木下は死を知らない。葬式に出たことはあったが、骨も死体も見たことはない。惜しいと言えるほどの親族もまだ死んでいない。 死は、どこか薄い紙の向こうでしか知ることのない架空の概念だった。 そんな自分が人を殺してしまったことを、どこか空っぽの感情だけが受け止めている。実感もない。 自分の未熟さが、これほど悔しいと思ったことはない。 悪いことをしたという気持ちと、何故それが悪いのかという感情がせめぎ合う。自分ですら自分を裁いてくれない。 まして、それが悪いことだと教えてくれる人間もいない。 どうしてそれが悪いのかを教えてくれない、どう報いればいいのかも諭してはくれない。 ぽつりぽつりとしたその独白を、中尾先輩はときに黙しときに促し、思っていた以上に親身に聞いてくれた。 「誰かが先に言ったんじゃないかとは思うんだが」 英鳳先輩は麦茶を飲んで、また呟く。 「お前を裁けるのは、もうお前だけなんだ。人を越えてしまった以上、それはもうどうしようも出来ない。お前を悪者と言って殺しに来る人間が出てこようと、結局一緒だ。自分が正しいと信じたら抗って、正しくないと思ったらそれを受け入れる。それだけだ。つぐなうのもつぐなわないのも、な」 それたは確かに、吉泉幸輔から聞いた言葉で。 「だいたい、理不尽だと思わないか? 念じただけで人が殺せましたなんて、不可抗力もいいところじゃないか。人を殺しちゃいけないのはルール以前に常識だが、殺意を持っちゃいけないなんて法律はどこにもないんだぞ」 「そ、そうですけど、確かにそれは思いましたけど」 実際に人を殺しておいて、そこまで開き直れるものでもない。 そう思えば思うほど、自分が汚い人間のように思えて、否定してしまうのだ。 「不可抗力を否定するな。って、風紀なら言うだろうな。でもってこういうんだ」 そのときになって、ようやく英鳳先輩は自分を見た。 真っ直ぐな瞳が、自分に向けられる。 息を呑む。その眼差しは、時を止めるほどに鋭い。 「次に誰かに殺意を持ったらお前を否定してやる」 にぎやかな喧噪が、一瞬で消し飛んだ。 目の前で、中尾英鳳という男が、こちらを睨んでいた。 射抜くような、なにかに挑むような瞳。 秘めた意志をなりふり構わず刺し貫くかのような、激しい瞳。 まるで、松方風紀のような―― 「いいか、誰かを憎んで殺したのなら、もうそれ以上は憎むな。 憎いから殺すという手段を執ったのなら、 だったら、 その後は許さなきゃいけない。 罪に罰を与えた人間が許さなくて、誰がそいつを許す ――なんて説教じみた理由じゃない。 殺意ってのは、そいつを殺したいと言う感情じゃなくて、そいつがいる世界が許せないって感情だ。誰かが憎いとか、仇を討ちたいとかそういう感情なんてのは二番目で、一番は自分がこんなに辛いのに、愛する人が死んだのに、だけどそいつはのうのうと生きているという理不尽な世の中が納得できない。そんな感情が渦巻くのが殺意って奴の正体だ。 で、だから殺す。殺して自分が納得できる世界を造ろうとする。 結果、人を殺して残るのは“仇を討った、悲願を果たした”なんて感情じゃなくて、“ああこれでやっと気持ち悪い世界じゃなくなった”とか、そんな本棚が整理できたみたいな心境、そんな感情しか残らない」 確かに、その感情は間違っていない。 自分は憎かった。そして憎い以上に納得がいかなかった。 柊が死んだ世界が、けどまだ犯人が生きている世界が。だから、だから殺してしまって、そして残った感覚と言えば... 「お前は怯えている。なぜならお前がまた�霤弔隼�たような人物に出会えば――“�霤帖匹箸い�罪に出会ってしまえば、必ずまたそれを殺そうとしてしまうからだ。 当然だ。�霤弔�憎いのではなく、�霤弔里茲Δ並減澆�この世にいることが許せないのだから。似たような罪を犯した人間を見つけたとき、それを排除しなければ自分が人殺しを犯してまで憎んだ世界を認めたことになる。だから、 だから許せ。人を殺したのなら、殺した相手を許せ。 今ここでお前が�霤陳肱擦髻△修虜瓩魑�さなければ、お前はまた�霤陳肱擦鮖Δ靴討靴泙Α�それじゃダメだ。もう誰も殺すな。だから、許せ。誰かに非難されるじゃない。お前が�霤弔魑�すことが大事なんだ」 木下には、中尾先輩の言葉が無理難題にしか聞こえなかった。 まったくメチャクチャな理屈である。それはつまり「罪も人も許してしまえ」と言う暴論で、 「そんなの...出来ませんよ。殺したいほど憎んだのに」 「逆だ。憎んで殺すまでしたお前だから、許すことができるんだ。解ってやることができるんだ。死んでつぐなうなんて言葉があるがな。だったら死んだ罪人はつぐなわれた人間としてきっちり受け止めなければいけない」 一気に言い終わって、中尾先輩は少しだけ表情を崩した。 いつもの松方風紀により沿うときの、ぼんやりとした雰囲気に、話が終わったのだと知る。 胸が苦しかった。首筋から汗が吹き出していて、自分が英鳳先輩の威圧感に緊張していたのだとを知った。 息を吐き出す。脱力した途端、息と力と一緒に何かが抜けて行く。 先輩はというと、また集団の方を見るように横顔だった。 「...それも風紀先輩の言葉なんですか?」 遠くの方では、ロケット花火をペットボトルにくっつけてペットボトルロケットだと叫んでいる集団(とそれにやっぱり激怒している生徒会長)がいた。 少しだけ、横顔が笑った気がした。 「誰の言葉でもないんだろうな」 そんな事を言う先輩の瞳には、風紀部長が映っていそうだった。 | | |
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■2006年09月24日(Sun)
屍骸術師と勇者株21
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「暗殺者だろうな。しかもプロだ」 不機嫌そうに、ルイスはソファにふんぞり返った。 応接室に帰ってはきたが、一同の表情は暗い。 犯人がわかったには解ったのだが、カルラの知人ではない。 消息もわからない。 親類縁者はすぐにでもやってくる。 事態は何一つ好転していない。 これで暗殺者の存在など発表しよう物なら、間違いなく血で血を洗う争いに突入するだろう。 「あの、」 メイがおずおずとルイスに近寄る。 ルイスは、それを手で制して、 「申し訳ない。メイ女史の力ならすぐに解決できると思ったのですが、少々当てが外れました。最悪、依頼が不履行になるかもしれません。 そのときは、自分が代金を払いましょう。仲買をしてしまった手前、こちらにも責任はあります」 「はぁ...いいのでしょうか」 何故かこちらに尋ねてきたメイに、頷き返すタツマ。 「いいんじゃないか、本人がそう言うんだ。給料の三ヶ月分ぐらい、気前よく払ってくれることだろうさ」 「高いっとね」 「そりゃまあ、死人を一時的とは言え甦らすような術だからな。需要と供給を考えるまでもなく、高かろうさ」 「でも材料費とか必要なかっとよ? まるもうけっと」 納得がいかない様子のルーラ。 何か言いたげなメイと視線があったが、すぐにそっぽを向く。 「あの、嫌われているのでしょうか」 「きらっとるっとよ。魔術士って奴はちょっと奇妙な手品が出来るからって、バンバン金を巻き上げて。みんなぼったくりっとよ!」 「要はひがみ根性だ。ほっとけ」 「はぁ。慣れてはいるんですが...」 メイは、物凄く残念そうだった。 「なぜでしょう、ルーラさんには嫌われたくなかったです」 おそらく本音だろう。少しだけいじけている。誰にでもなつく子犬が自分にだけは吠えると知ったときのような顔だった。 「う。な、なんねその純真な子供のような目は。そんな顔してもダメとよ。なんね、それじゃまるっきりウチが悪ものみたいじゃなかと」 「れっきとした悪者だろうが」 「しゃらっぷ!」 後ろ回し蹴りが飛んできたので足首を掴む。スカートがふわりと舞い、 「スケベ!」 「やかましいわ」 軸足を払う。床にルーラの後頭部がごすりとめり込んだ。 ったく、まったく話が進まない。 「タツマ」 座り込んだままのルイスが、手招きでタツマを呼ぶ。 深刻に思い悩んだ様子だった。耳打ちをしながら、尋ねてくる。 「め、メイさんのネクロマンシーって、そんなに高いのか?」 数秒。 「...お前も後先考えて見栄を張れよな」
「では気を取り直して、作戦会議をはじめましょう」 上機嫌のルイス。ソファに座る全員に語りかける。 先ほどまで「あれを諦めるか」「いやいっそ保険を解約して」と妙な算用を延々ブツブツと唱えていたのだが、メイが「拘束時間の短さや、死後間もない死体であったことを考えると、今回の施術料金は安いはずですよ」の一声で復活したのだった。「ただ、必要経費の料金は払って頂くことになりますが」とは言っていたが。それでも普段の10分の1にも満たないという。しばらく贅沢は出来なくなるが、払えない額ではなかった。 「ええと、なんだ。何から始めようか。いやいやいや、話が弾むなタツマ」 「スーパーボール並に無軌道だがな」 「ともかくだ。こうなった以上、基本的な捜査もしておいた方が良いだろうな。どうも、この事件は答えだけ見えたところで解決できないらしい」 確かに、犯人が暗殺者などという答えでは解決のしようがない。 全域に怪しい人物を指名手配すると言う手もあるが。 「いや、それはダメだろう」 タツマの提案に首を振るルイス。 「おそらくこの少しだけ不可解な殺人及び死体遺棄事件は、その指名手配を恐れての偽装工作――つまり犯行時刻の改竄だ。 だとすれば、暗殺者は死亡推定時刻にはアリバイを成立させ、ましてや証拠を隠蔽し本来の生活に戻っていたはずだ。そこで、とりあえずはこの暗殺者の意図を探ろうかと思う」 「その暗殺者が、どういう理由で偽装工作をしたかって事か?」 「ああ、我々はメイ女史という強力なアドバイザーのおかげで、敵の策略に嵌ることなく犯人に至ったワケだが、そのせいで暗殺者が何を狙ってこんなややっこしいことをしたかという部分が解らなくなってしまっている。そこを確認しようというわけだ」 「言いたいことは解ったが、具体的にどうやればいいんだ?」 「簡単だ。初めから捜査をし直せばいい」 そこに来てようやく、タツマ達は、カルラ氏の死が発覚するまでのことのあらましを執事長から聞くこととなった。 | | |
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■2006年09月23日(Sat)
ソードマスター斬
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朝目新聞に投稿しました。 これで投稿は二回目です。 普段が日記で小説を書くようなサイトなので(コメントフォームもない)リンク張るのも気が引けるんですが、結構頑張って書いたのでリンクも張りました。 大半トレスですが、写植は全部打ち直しました。
元ネタはギャグマンガ日和+斬。 http://www.youtube.com/watch?v=urFeIsct9Pc
こんな絵を描いておいて何ですが、自分は斬を応援しています
しかし順位やばいなあ。 斬はジャンプ買ったらまず最初に読むぐらい好きなので(ネタ抜きで)、 本気で心配です。 実際面白くなってきたと思うんですよね。 刺々森の股間の線が見えるデザインが好きです。
※追記
どうも、斬の評価が必要以上に劣悪すぎる気がします。 自分は、斬の(マンガとしての)絵はうまいと思っていますし、商業レベルにも充分に達していると思います。
背景の書き込み、パースの付け方、構図の練り方、どれをとっても相当な熟慮を伺えますし、フリーハンドに見える背景も良く見れば丁寧に書かれています。 表情、顔の書き分け、とりわけデザインにもセンスが感じられます。
例)刺々森や、月島さんのブーツなど。
絵柄に関しても、例えば指が四角いやら線が少ないやらもデフォルメの範疇ですし、線もすっきりとしていてマンガとしては見やすい絵です。 東京ドームよりな屋上、一車線はありそうな廊下などに代表される距離感の無さや、位置取りのおかしさ、刀の持ち手の間違い等は単純にチェックにまで人手が回らない(というか1〜2人でやってるんじゃないかな)だけと、この辺は甘めに見ています。だいたい、この手のケアレスミスは注意しない担当の責任でもあります。
斬の凄いところは、「なんだかんだで、結局みんな読んでいる」と言うところにあります。 つまり、読みやすいのです。 「ツッコみどころが多いからネタとして読んでいるんだ」という人もいるのでしょうが、読みにくいマンガはネタ以前にそもそも読まれません。 一見、下手に見える中にも上記のようなマンガとしての基本とセンスがある。 自分はそう確信します。
以上によって、自分は斬の絵を下手だとは思わないし金を払うだけの仕事もしていると思っています。 少なくともパロマンガとか描いてる人は、斬のデザインセンスとか感じてるんじゃないかなあ。 学ラン一つであそこまで書き分けできるって凄いんですよ。
順位が低いのは、展開の遅さと運じゃないかなぁ。 貫木戦で3話使うなどは、明らかな失敗だったと思います。 金蔵戦をもっと早くやるか、金蔵戦も捨てて一話完結の話で魅力的なキャラ増やす必要があったかと。
証拠に、ほら、刺々森の人気は随所で見受けられるような気がしないでもない。
この記事のリンク http://www4.kcn.ne.jp/~jun5062/nikki/nicky.cgi?DT=20060923A#20060923A | | |
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■2006年09月22日(Fri)
屍骸術師と勇者株20
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「何もこの場で最強の人間に向かっていかんでも」 目をくるくる回して再び気絶したルーラ・ループに嘆息する。 パイプをしがんでいると、ルイスが近寄って来た。 「な、なんだあのでたらめな強さは。垂直に飛んでいったぞ?」 投げ技自体は、警察格闘技にもある。だが、メイの投げは明らかにそれとは異質な技だった。あるいは、投げ技とさえ気づかなかったかもしれない。 彼女がやったことと言えば、少し体をずらして杖を持ち上げただけだからだ。 「アイキというらしい」 「あ、アイキですと! それは、あの合気のことですか?」 「御仁、知っておられるのですか!」 「ええ、敵と呼吸を合わせ力の流れを変える最小限の動きで最大限の打撃や投げを可能とした伝説の武術です。災禍の時代に滅んだと伝え聞いておりますが、その技の前には衣に触れることすら能わず、雲を掴み霞に投げられるかの如きとまで言われております」 災禍の時代とは、魔族と人間が殲滅戦争を繰り広げた熾烈な時代のことである。 「そのような武術が...何故、滅びたのでしょうか」 「伝承者が悉く名誉の戦死を遂げた、あるいは魔族がその力を恐れて真っ先に滅ぼしたとも言われております」 ルイスの熱い問いに執事長は、深刻な顔で頷いた。 普段は落ち着いてるのに、こと格闘技の話となると異様に盛り上がるあたり、二人とも生粋のオーク住民である。 幻の体術談義で盛り上がるおっさん二人を尻目に、タツマはメイの元へと近寄った。 彼女は、座り込んで自分で投げたルーラを介抱していた。 「ルーラさんは犯人じゃありませんよ」 「なぜだ」 「手合わせして解りました。彼女の腕ではカルラ氏の首の骨を折るのは物理的な無理があります」 腕というのは技量という意味ではなく腕の長さや腕力と言う意味だろう。 なるほど、確かにカルラの首は頭以上に太いし脂肪も多い。並の力自慢でもその首を折るのは難しいだろう。 「...ところで君、アイキは誰に習ったんだ? 失伝したと聞いたんだが」 「当時の合気継承者の墓が隠者の森にありまして。なんでも、お婆ちゃんが若い頃に見つけた行き倒れの死体のひとつがその人だったとか。合気は魔術と相性が良いということで、お婆ちゃんが何度かその死体を甦らせて教えを」 「いや、いい」相変わらず恐ろしいなこの師妹は。 「聞かなかったことにしよう」 そうですか、とメイは少し残念そうに応えた。 魔術士はあまり自分のことを語りたがらないものだが、どうも彼女は自分(もしくは祖母)のことを積極的に聞かれたがる。 「あ〜じゃあ、どうして合気は滅びたんだ? 呼吸を合わせるだけでバンバンやっつけたりしたんだろ?」 「はぁ、滅びたというか廃(すた)れたそうなんですけど。えっとその当時の合気の達人が言うにはですね」 思い出すように、メイは小首を傾げた。 「“だって魔属呼吸しないし”だそうです」 「...そうか」 まあ、そういうモンなんだろうな。と、タツマは独りごちるのだった。 | | |
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