施設名 : あづまや (宿泊日:2007・3・2 平日2人1室@18,850円)
チェックインは、全国的に稀な午後1時。

あづまやの風呂、つぼ湯、共同浴場と浸かりたい風呂が多い。
是非、宿には早めに到着したい。
宿泊の場合、男女交代するので、すべての風呂に浸かれる。
風呂は、この他に貸切風呂が2つあり、予約は不要、空いていれば無料で入浴できる。
関西で数少ない「日本秘湯を守る会」の宿で、温泉教授の松田忠徳氏の「日本百名湯」に選ばれた「あづまや」。
湯の峰温泉では他の宿に泊まったり、あづまやで立ち寄り湯をしたことはあったが、ようやく念願かなって宿泊し、評判通りの風呂・食事を満喫。合わせて名高い「つぼ湯」にも入浴することが出来た。。

その後2008年10月、九州在住の温泉サイト仲間・プースケさんをご案内してここに再泊した。
この時の模様は右をクリックください。

住 所 和歌山県田辺市本宮町湯の峰122
(旧住所)和歌山県東牟婁郡本宮町湯の峰122
電 話 0735−42−0012
交通機関 五條から国道168・311号線で約115km
阪和自動車道みなべICから国道42・311号線で約70km
新宮市街から国道168・311号線で約40km
JRきのくに線紀伊田辺駅から龍神バス本宮大社前行きで1時間30分、湯の峰温泉下車すぐ。
施 設(日帰り用) ロビー(コーナーにあって狭い)、専用駐車場(30台 他に公共駐車場有り)
宿 泊 2食付(税込み) 2人1室 16,000円(平日)〜32,000円(2007年8月現在)
料金は逐次変更されるので下記HPを参照下さい。
泉 質 含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉 (天然湧出 50リットル/分 92.5度 気候気温によって色が変化)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 13時〜15時 (宿泊者は24時間)
定休日 無休
入浴料金 大人700円 (要予約)
入浴施設 内湯男女各1 露天風呂男女各1 蒸し風呂2 (宿泊の場合は男女交代制)
貸切風呂2(予約不要)
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 熊野本宮大社、熊野古道、瀞峡(ウォータージェット)
土産・食事 旅館内不可
近くの温泉 川湯温泉(富士屋仙人風呂)、渡瀬温泉奥熊野温泉上小野温泉雲取温泉湯の口温泉入鹿温泉、熊野川温泉、十津川温泉郷十津川温泉十津川温泉郷上湯温泉十津川温泉郷湯泉地温泉
田辺市HP
あづまやHP
観光協会HP
http://www.city.tanabe.lg.jp/
http://www.adumaya.co.jp/
http://www.hongu.jp/
雑記帳 日本秘湯を守る会の会員旅館は全国で135ヵ所あるが、その内関西はわずかに5ヶ所、この内の一つが「あづまや」である。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
温泉名 : 湯の峰温泉 
旅館4軒に民宿だけの小さな湯の峰温泉だが、歴史・信仰・共同浴場(2ヶ所)・自噴源泉(左側)・温泉寺の全てを揃えていて、温泉情緒たっぷりの名湯だ。
2005年5月1日付けで、東牟婁郡本宮町は、田辺市を核に龍神村、中辺路町、大塔村とともに合併した。

これにより(新)田辺市は、太平洋側から国道311号線沿いに県下最東部の山間部まで、熊野古道の中心「中辺路(なかへち)」を町域に有する東西に細長い広域自治体となった。

本宮町は、和歌山県の中東部、奈良県の秘境・十津川村と三重県・紀和町と境を接し、93%が森林地帯でかっては林業の町だった。

しかし、輸入木材に圧迫され、さらに、林業従事者の高齢化や担い手不足など、緑を守り抜くには極めて厳しい状況になっている。
現在の本宮町は、信仰と温泉の町と言っていい。

本宮町に鎮座する熊野本宮大社、新宮市の熊野速玉大社、那智勝浦町の熊野那智大社を総称して俗に熊野三山という。

12世紀の平安時代後期から熊野三山信仰が高まり、貴族から庶民に至るまで多数の人がぞろぞろと熊野路を歩いたので、その様子を「蟻の熊野詣」と表現した。

2004年7月1日、中国で開催された第28回世界遺産委員会で、和歌山・奈良・三重県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界(文化)遺産に登録された。

本宮町は、この世界遺産の中核を占める位置にあり、熊野古道を歩く人たちの数が急増してその経済的効果は大きい。

もう一つは個性が異なる三つの温泉地があることだ。
日本有数の古湯である「湯の峰温泉」、川底から湯が湧き出て、冬季には日本一巨大な露天風呂「仙人風呂」が造られる「川湯温泉」、それに歴史は浅いが大露天風呂を有する「渡瀬温泉」である。
湯の峰温泉への入口、前方手前の小山の裏にある。
足元から湧出するつぼ湯
湯量に恵まれない関西の有名温泉地がいたずらに大型化した結果、「循環湯の旅館が大部分」という迷湯になり下がっている事例が見られる中で、湯の峰温泉は、僅かな小型の旅館・民宿と共同浴場だけで限られた温泉を大切に利用し、いまも源泉掛け流しを維持している。

大阪方面から湯の峰温泉へのルートは2つある。
阪和自動車道でみなべIC、そこから国道42号線・国道311号線で東へ進むルート。(国道424・425号線は隘路)
もう1つは、奈良県五條市から国道168号線で秘境・十津川村を南下するルートだ。
全国初の「全施設源泉掛け流し」を宣言した十津川温泉郷での入浴・宿泊をする場合は、後者のルートになるが、渓谷沿い、途中1.5車線の部分も残っているので慎重な運転を要する。

これまで湯の峰温泉は2回宿泊(いずれも湯の峯荘)とあづまやに立ち寄っている。今回は念願のあづまや宿泊のため、前日泊まった白浜温泉から国道311号線に乗り、途中、久しぶりに日本一トロトロ温泉の奥熊野温泉に立ち寄ってから湯の峰温泉にやって来た。
湯の谷川沿いの温泉街は、徒歩5分で通過してしまう。
高温泉を自噴する源泉「湯筒」、ネットに卵を入れて温泉卵を作れる。
河床にあるつぼ湯、入浴料金は共同浴場で支払う。休日は順番待ちとなる。
境内が世界遺産の東光寺、奥に共同浴場。
日本三古泉とは、「有馬」「白浜」「道後」を言うのが一般的だが、熊野三山と縁が深い湯の峰温泉は、これらと並ぶ日本最古の温泉と言われる。
平安時代から熊野詣の「湯垢離場」として知られ、ここで穢れを落としてから熊野三山詣を行った。

現在の湯の峰温泉は、湯の谷川に沿って旅館4軒、民宿15軒の宿が立ち並ぶ小さな温泉街だが、川の袂には1,000年前から続く日本最古の共同浴場「つぼ湯」があって、1日に7回色を変えると言われる湯が今もこんこんと湧き出ている。

また高温泉自噴の源泉である「湯筒」が湯煙を舞い上げ、さらに効能豊かの誉れ高い薬湯がある「湯の峰温泉共同浴場」や世界文化遺産指定地域にある「東光寺」などが温泉街風情に一層の彩を添えている。
小さな温泉地だが、関西を代表する名湯と言っても差支えない。
温泉教授・松田忠徳氏が「日本百名湯」のなかで選んだ「あづまや」の創業は江戸時代後期、明治36年(1903年)の部屋が6室残されていて、天皇皇后両陛下が宿泊された部屋も利用できる。
フランスの作家・アンドレマルローが「これこそ日本の旅館」と賛辞を呈した、とはここの紹介につく枕詞だが、マルローならずとも木造4階と2階建ての純和風の宿には、日本人なら誰もがしっとりした情緒を感じるはずだ。

館内のどこを歩いても、決して豪華ではないが、年輪を重ねてきた老舗の風格と歴史を感じさせる。
部屋は全部で22室、18室がT付、3室がBT付、露天風呂付の特別室が1室。
料金は2人1室で、6畳の16,000円、8畳の19,000円から特別室の32,000円(1室 露天風呂付)までの幅がある(2007年8月現在 詳しくは下記HP参照)。
嬉しいのはチェックインが午後1時、浸かる風呂が多いので(下記)、是非、早めに到着しよう。

私が電話で頼んだのは、家内の膝の支障を考えて1階で風呂に近い部屋だったが、要望通りの「したんの間」。
8畳に6畳の次の間+広縁+トイレの広くて風格のある和室で、縁側から下駄を履いて、そのまま外に出れば東光寺と共同浴場が目の前だ。
関西では珍しいこの提灯
湯宿に相応しいフロンというよりは帳場
フロント横の小さなロビー兼湯上り処
浴室全てが木造の内湯は、これまで入浴した中で1,2を競う風情だった。
風呂は大小があるが、何れも珍しい槙(まき)造り、床は檜で、天井はもとより窓や鏡までが木枠、置いてある桶もプラスティックでなく重厚な杉物である。
湯が表面張力で盛り上がり四方から静かに流れ出ていて、浸かると豪快に流れ出る。
風 呂
宿泊した「したんの間」
したんの床柱
皇室が宿泊した部屋を見学
大小の槙風呂とも時代を経ないと出せない感涙ものの趣がある。
その湯舟にはかすかに硫黄の臭いがする透明な湯が満々と張られ、入浴すると豪快にあふれ出る。

横には畳一畳ほどのさまし湯があり、ここには高温の源泉を(加水無しに)さました湯が注がれている。、大小それぞれには温泉を利用した蒸し風呂も付いている。小さめの露天風呂もあるが、こちらはあくまでも付け足しだ。

泉質は含硫黄−ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物温泉
、とてもしっとりした肌触りだ。
90度を超える高温泉のために加水してあるが(さまし湯は源泉100%)、もちろん掛け流しだ。
温泉は、気候・気温によって色が変化する。
露天風呂では、白い湯の華が舞っているのが見えた。

風情この上なし、極上の槙風呂(大)
明治36年の建物も残る「あづまや」は、現在の主が9代目、天皇・皇后も宿泊した老舗旅館だ。
目の前に、東光寺、温泉持ち帰り所、共同浴場がある。
スライド写真→
日本温泉協会の源泉掛け流しの証
7色に変化するつぼ湯。混雑して順番待ちのときが多い。
共同浴場、料金が別の2つの風呂がある。(追って掲載。)
あづまやの食事は、女性の間で評判が良いようだ。
実際に、塩分を抑えた薄味の上品な料理で、品数か多かったがまったく胃に負担がかからなかった。温泉を使う料理が多いためもあるのだろうか。
夕食・朝食とも部屋食、朝食の温泉粥も美味だった。
「どこも茶碗蒸しを出しますので、ウチではこれをお出しします」と断って供された「かぼちゃの蒸し物(写真、真ん中の列右側)」がとても美味しかった。

舌が肥えていない私だが、朝食を含めた家内の評価はとても高かった。
食 事
温泉を使ってやや黄色味を帯びた粥は美味だった。
平日2人1室@18.850円(税込)
所在地 : 田辺市本宮町  (旧)東牟婁郡本宮町
湯の峰温泉 あづまや (和歌山県)
    
改訂版