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温泉名 : 十津川温泉郷・湯泉地(とうせんじ)温泉 
 
紀伊半島のほぼ中央、奈良県の最南端に日本三大秘境の一つ、十津川村がある。
村の中央を流れる十津川がV字型の渓谷を作りあげ、四方を大峯山系や伯母子山系等の山々が幾重にも取り囲んで、日本有数の秘境と言われるに相応しい厳しさだ。
奈良県の1/5の面積を占め、村としては日本で一番広く琵琶湖とほぼ同じ面積なのに、人口は僅かに4,600人、村域の96%が森林だ。
村の中心から一番近い鉄道駅(和歌山県・新宮ま〕迄60kmもあり、まさに陸の孤島である。
村を南北に走り、まだ1車線・1.5車線部分も残る国道168号線の他には、東西に国道425号線が通っているが、これが名立たる悪路、秘湯を目指しかなりの隘路も厭わない温泉仲間も敬遠する。
谷瀬の吊り橋(鉄線橋としては日本一)
2004年8月の崩落現場はまだ改修工事中。この間は迂回路(信号による交互通行)を通る。
一方でごく僅かだが、これがかっての「酷道」168号線か!?とは信じられない素晴らしい道路も開通している。
こんな崖道が延々と続く。
十津川村には「十津川・上湯・湯泉地」の3つの温泉地があり、これを総称して「十津川温泉郷」と言う。
旅館・民宿合わせて20軒に公衆浴場5ヶ所(現在6ヶ所)、一見、かなりの規模に思えるが、どれも小さな施設ばかりで、それが遠く離れた3ヶ所に点在しているので、旅館街は形成されていない。
大阪から阪和道を利用して迂回して約4時間、奈良県五条市から国道168号線を走って2時間30分〜3時間という不便さもあって、年間の宿泊者はわずかに58,000人(2003年度)に留まっていた。
この温泉郷が、温泉教授で知られる松田忠徳氏の協力も得て、2004年4月、全国初の全施設「源泉掛け流し宣言」を行った。
湯泉地温泉は、五条方面から来ると最初に現れる温泉地で、十津川本流の渓谷沿い、猫の額ほどの平地にへばりつく様にして、僅かな旅館・民家・公衆浴場(2軒)がひっそりと佇んでいる。
看板中にある「庵の湯」が、6ヶ所目の公衆浴場として最近オープンした。
湯泉地温泉には2つの公衆浴場がある。滝の湯と泉湯だ。
滝の湯は元旅館だったので敷地もかなり広く、内湯と露天風呂が小さな渓流に下る傾斜地に別々に設けられていてなかなか風情がある。
一方、泉湯は町役場の少し手前(五条方面より)、国道168号線から細い道を左折し、200mほど進んだ左手にあり、木造の小さくて素朴な浴場だ。
国道から奥にあるため、温泉好きでなければわざわざ立ち寄ることはないだろう。
しかし、小さいながらも内湯と露天風呂の両方を備えている。
微かに硫化水素臭がする単純硫黄泉は、ほんの少し青味がかっていて、肌に滑らかな上等の湯だ。源泉温度が高いため加水しているが、塩素滅菌もなく掛け流しになっている。 
小さくて素朴な建物。
硫黄分のせいだろうか僅かに青味がかってる内湯。
見晴らしはあまりよくないが、足を伸ばせるので、寝湯スタイルでのんびりと入浴出来る。
湯の峰温泉に宿泊、帰途は158号線に乗り、途中、十津川温泉郷の2ヶ所の共同浴場に立ち寄った。