2006年


                                   12月

   


            12月17日 春日若宮おん祭

             冬の奈良の風物詩の一つに「春日若宮おん祭」が有ります。
             平安時代に、時の関白藤原忠道が始めたと言われていますので
             850年以上も続いている事に成ります。
             15日から3日間、春日大社を中心に様々な行事が繰り広げられますが
             15日には我が家の近くに有る「大宿所」で「御湯立」の神事が行われ、
             参列者にはのっぺ汁が振舞われます。
             同時に「お渡り式行列」に使われる様々な装束や甲冑が展示、披露されます。
             また庭の一画にはお供え物の雉や鮭や鯛等が吊るされます。
             最終日の17日には、平安時代から江戸時代にかけての風俗衣裳を身に着けた
             様々な集団による「お渡り式行列」が町の通りを練り歩きながら春日大社に向かいます。
             日本の芸能のルーツとも言える田楽や猿楽一座の人々もこの行列に加わっています。
             今年は久しぶりに17日が日曜日に当たり、天気も良かったので
             通りは大勢の人出で賑わっていました。

        


              

         (お渡り式行列の大和士)          (大宿所の行列装束)            (大宿所の懸け鳥) 
       





            12月2日 チャリティーコンサート

             今日、「からし種コンサート」と題されたスリランカ支援のための
             チャリティーコンサートに参加して来ました。
             この催し物は1993年から毎年12月に、カトリック奈良教会で行なわれていますが
             私達も数年前から出演しています。
             今年は声楽やピアノ、フルート等のモダンの演奏家に混じって
             フィーデルやリコーダーで中世音楽を演奏しました。
             私達のささやかな演奏が、来場されている人達だけでなく
             海の向こうのスリランカの人たちにまで届いていると思うと
             それこそ演奏家冥利に尽きるというものです。
  



                      
        

                (出演者全員集合)                         (終演後)  





           11月

            

            11月20日 仏像展

             「一木にこめられた祈り」と題した仏像展を先週の金曜日、東京国立博物館の平成館で見てきました。
             奈良時代から平安時代にかけての木彫仏を中心に、円空や木喰の素朴な仏達まで
             140点以上を集めた大変見ごたえのある展覧会でした。
             その中でも圧巻は湖北、渡岸寺観音堂の十一面観音でした。
             3月に寺で拝観した時とは違い、今回は展覧会という事でどの角度からも
             見ることが出来るように展示してありました。多くの人が好きな仏像の1番に挙げる
             この像の人気は、周りから人垣が絶えなかった事からも伺えました。
             今回の展覧会にはこの十一面観音を含め、既に拝観した事がある仏像が
             かなり含まれていましたが、素晴らしい仏像との対面は何度目であっても心が洗われる気がします。
             また出展されていた仏像の多くが、普段は奈良の寺に安置されてある像でしたので
             ここ奈良と云う地の歴史の古さを、再認識する機会とも成りました。

              

                          

   

    (東京国立博物館 本館)             (駅のポスター)               (東京国立博物館 平成館)   






           11月13日 南米のバロック音楽

             去る5日に千里の国立民族学博物館において「よみがえる南米のバロック音楽」と題した
             公演が有りました。この催し物は長年に亘って南米の民族文化を研究してこられた
             国立民族学博物館の山本紀夫教授の企画により、当時の教会音楽を再演しようというものでした。
             同時に音楽スタイルの比較のためにバッハのカンタータも演奏されました。
             コロンブスが新大陸を発見して以来多くの宣教師が海を渡って布教にあたりました。
             音楽家もそれに続き、バロック時代にはドメニコ・ツィポーリという優れたイタリアの音楽家や
             スペイン出身のバロックギターの大家、サンチャゴ・デ・ムルシア等も現地に赴き、
             ヨーロッパ音楽を広めるのに貢献しました。特にツィポーリの音楽は南米では大変好まれたようです。
             また近年、ボリビアで現地の作曲家による作品も多数発見されているそうです。 
             演奏に参加してみて、教会音楽ではあっても舞曲のようにリズム感を強調して
             作曲されているように思いました。バロック時代にヨーロッパで大流行したサラバンドや
             チャッコーナ(シャコンヌ)等が南米起源の舞曲なのも、すんなり納得する事が出来ました。
             そういえば現代のボサノバやタンゴも南米の踊りですね。
             公演の打ち上げパーティーではパラグァイハープの演奏があり、これまた右手と左手が違ったリズムを
             鮮やかに弾き分けたハーピストの野中さんに感嘆の声が上がっていました。
          



          

         (中牧教授、山本教授)              (リハーサル風景)          (パラグァイハープの野中さん) 
                          
(京都バッハ合唱団+大阪チェンバーオーケストラ)




          11月12日 ニュッケル・ハルパ奏者

            スウェーデンの民族楽器、ニュッケル・ハルパについては楽器紹介のページでも
            触れていますが、最近フォーク音楽だけでなく、ポップスの人々もそのユニークな音色と
            奏法に注目し用い始めています。先日フィドル奏者の大森ヒデノリさんのアルバム製作に
            参加した折、スウェーデンから来日したニュッケル・ハルパの名手と共演する機会を得ました。
            ヨハン・ヘディンというその奏者は、なんと私がスウェーデンにいた時に、
            彼の地元のKalmarという町で私の演奏を聴いたことがあったのだそうです。
            思わぬ奇遇にその頃の話で大いに盛り上がりました。
            正式に古楽を学んだ経験もあり、ヴィオラ・ダ・ガンバにも興味があるとの事でした。
            彼は現在、ニュッケル・ハルパ奏者としてスウェーデンをベースにヨーロッパ中で活躍しています。
          
          

                     

                 (Johan.Hedin)                    (斉藤、Johan、大森、坂本) 



          11月11日 長崎公演

            先月29日、ダンスリー・ルネサンス合奏団の長崎公演が有り、私も参加してきました。
            折から長崎歴史文化博物館で開催されていた天正少年使節をテーマとした
            展覧会に合わせての演奏会で、長崎テレビもその模様を収録に来ていました。
            長崎はその昔、ヨーロッパの文化をいち早く受け入れた土地ですし
            また鎖国後も日本で唯一の外国との接点、出島が有った街です。
            この街を1582年にヨーロッパに向けて出発した4人の少年使節をテーマとした公演を、
            縁の地で、しかも由緒ある浦上天主堂で演奏できたことは
            私にとっても大変感動的な事でした。
            公演の翌日、長崎歴史文化博物館で特別展示されていた、
            伊藤マンショとメスキータ神父の肖像画と対面し、
            今まで以上に彼等を身近に感じることが出来ました。
 

         
                        
     
       (浦上天主堂正面)              (浦上天主堂祭壇)                (天正少年使節記念像)   


 


                                  10月


          10月28日 雅楽の夕べ
          
            
            昨日、奈良国立博物館の講堂で行われた雅楽の公演を聴きに行ってきました。
            丁度この時期に開催されている正倉院展に合わせて行われた事もあってか
            開場と同時にほとんどの席が埋まってしまうほどの盛況でした。
            南都楽所(なんとがくそ)に所属する楽人による演奏と舞で、雅楽の中でもよく知られた
            越天楽や蘭陵王等が演目として取り上げられていました。
            笠置楽頭によるユーモアを交えた解説もあり、優雅な楽の音をリラックスして
            楽しむことが出来ました。
            1200年以上も前の演奏形式が受け継がれている雅楽の管弦は
            現存する器楽合奏としては世界で最古と云われています。
            正しく古楽中の古楽ですね。
            洋の東西に関係なく、古楽は本当に素晴らしいと確信した一刻でした。
           
           
           
           

           

      (笠置侃一 南都楽所楽頭)             (蘭陵王)                   (鞨鼓、太鼓、鉦鼓)   






         10月27日 湖東三山
          
           春3月に滋賀県の湖北地方の十一面観音を訪ねましたが、
           今回は湖東の秘仏を拝観した話です。
           今年は天台宗開宗1200年にあたり、それにちなんだイベントが各地で催されています。
           湖東三山といわれる天台の名刹、西明寺(本尊・薬師如来) 金剛輪寺(本尊・聖観音)
           百済寺(本尊・十一面観音)でも、普段は秘仏として拝観することができない各寺の本尊が、
           この時期に限って特別に一般公開されました。、
           どの寺も住職一代に一回限りの開扉とあって、平日にも関わらず大勢の人が訪れていました。
           なお湖東三山はもみじの名所としても知られていますが、まだ紅葉には少し時期が早かったようです。



          

            (西明寺)                   (金剛輪寺)                   (百済寺)






           10月26日 コンソートの会
 
        
  
            前回に続いてヴィオラ・ダ・ガンバコンソートの話題です。
            先日、日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会主催によるコンソートの集いが
            丹波の篠山市立四季の森会館でありました。
            参加者はあまり多くなかったのですが、経験豊富な人が殆どでしたので、
            初見でいろんな曲を合わせる事が出来ました。
            因みに日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会は1973年に設立されたガンバ愛好家の全国的な組織で
            現在250人程の会員が所属しています。
            年に4回程度、ガンバや古楽に関する情報を掲載した会報を発行したり、
            また夏期講習会や、コンソートの会を開催しています。
            古楽の中でもマイナーなガンバですが、
            会員のガンバに対する熱い思いに勇気付けられた一日でした。

          



       
       

        (4声のコンソート)               (6声のコンソート)             (バロックアンサンブル)

       




         10月10日 秋季アンサンブル合宿
        
         
        
 SAKAMOTO古楽コンソートの会では毎年この時期に、アンサンブル合宿を
          行っています。今年は連休の7日から9日にかけて奈良市の郊外にある
          奈良カトリック野外礼拝センターで行いました。
          広々としたスペースの中にあるログハウスでアンサンブル三昧の3日間を過ごしました。
                     
                    (詳しくは教室案内のページをご覧下さい)


       
         

          (ティータイム)                  (発表会)                 (記念撮影)  
             
                          
                            




           9月
          
       

         9月30日 奈良女子大学公開セミナー
        
         
        
   今日、奈良女子大学で「シルクロードの人々」というタイトルの公開セミナーが開かれましたので
            聴講に行ってきました。歴史的にも地理的にも膨大なスケールを持つシルクロードに憧れる人は
            多いと思いますが、私もその一人です。今回のセミナーでは特に中国の新疆ウイグル自治区の
            オアシスの生活と文化が紹介されました。服飾文化の講義では
            それぞれの民族独特の衣服や帽子が展示され、直接手にとって見ることも出来ました。
            中央アジア一帯で好まれているという鮮やかな模様の絣は、日本が絣と言う織物を通して
            遠く離れたウイグルとも繋がりがあるのだという事を気付かせてくれました。
            ウイグルの民間歌曲の講義では、イリとホータンの歌曲の違いを生演奏で聴く事が出来ました。
            また現地と同じ湿度を保持して演奏されたダフ(片面太鼓)の響きは正にシルクロードの音でした。
           




        

      (様々な文様の絣)         (ウイグルの民族楽器 ドタールとダプ)     (奈良女子大学記念館) 



           8月



           8月24日 地蔵盆
        
         
        
   平安の昔から日本人に最も馴染み深い仏様といえばお地蔵様でしょうか。
            仏教の教義では釈迦が入滅してから56億7千万年後に弥勒如来が現れるまでの中継ぎ!
            の菩薩で、この世の衆生を解脱させ、地獄から救済してくれる有り難い仏様だそうです。
            地蔵盆はこの時期、全国的に行われている行事だと思いますが、
            私の住んでいる町内でも、小さな祠にある石のお地蔵様をお祀りします。
            また我家のすぐ近くにある、世界遺産にも登録されている元興寺極楽坊の地蔵盆には
            地元の人だけでなく多くの観光客が訪れます。
            境内に祀られている約2000体の石仏の前に、昔ながらの灯明が灯された光景は幻想的です。
            風雨に曝されながら、長い年月人々の願いを聞いてきた小さな石仏はどれも優しく
            有り難い表情をしています。


     
        
      
       (町内のお地蔵様の祠)           (元興寺の地蔵盆)               (灯明と石地蔵)   





           8月20日 ガスパロ・ダ・サロ

         
           
大阪音楽大学が所蔵しているサントリー弦楽器コレクションを展示する特別展「弦楽器の名器たち」
            の関連行事の一つとして昨日、浜松市楽器博物館で「ヴィオラ・ダ・ガンバの歴史を辿る」という
            レクチャーコンサートしてきました。
            このコレクションには世界的に見ても貴重な弦楽器が何点か含まれており
            サロのバスガンバもその一つです。バロック時代のものより一回り大きく
            ソロ用というよりはアンサンブルの低音用の楽器です。
            サロは16世紀の後半から17世紀の初めにかけてブレシアで活動した弦楽器製作者ですが、
            特に中、低音楽器に定評があります。
            今回私が演奏したバスガンバも、400年という年月に熟成された渋い音を出してくれました。
            この特別展は8月31日まで開催されていますので、弦楽器に興味のある人は
            足を運んで見て下さい。



            
                    
        (ガスパロ・ダ・サロのバスガンバ)       (浜松市楽器博物館)       (楽器博物館所蔵のバスガンバ)
        





         8月14日 なら燈花会
     
          
奈良には伝統的な年中行事が沢山あります。
           例えば東大寺二月堂のお水取りは1250年以上も続いているそうです。
           それに比べて燈花会は1999年に始まったごく新しい催し物ですが
           年々見物客が増え真夏の風物詩として定着しつつ有ります。
           お盆前の10日間、奈良公園をメイン会場として
           奈良町の通りにも沢山の燈火が灯されます。
           この時期には約800年前から行われている春日大社の中元万燈籠も有り
           仄かな蝋燭の灯りで古の奈良が甦ります。





             

           (自宅前の燈火)            (春日大社参道入り口)            (春日大社参道)




         8月8日 琵琶  
       

           ペルシャのバルバトが、いわゆるシルクロードを伝播して日本に辿り着いた楽器です。
           現在日本で用いられている琵琶には、7世紀後半に雅楽と共に唐から伝えられた楽琵琶と
           それと同じ頃か、もしくはそれ以前に仏教の祭具楽器として九州に伝わった
           盲僧琵琶の系列に繋がる薩摩琵琶、及び筑前琵琶が有ります。
           純粋な盲僧琵琶や、平家琵琶の奏者(語り手)は第二次大戦以後は
           殆どいなくなっているそうです。
           幕末から昭和初期にかけて大流行した薩摩琵琶や筑前琵琶も、戦後は洋楽に押されて
           マイナーな楽器になっていました。
           しかし近年になって作曲家がそのユニークな奏法や音色に注目し、用い始めたので
           一般の人も琵琶の魅力を再認識する事になりました。。
           武満徹の「ノーヴェンバーステップス」はその代表的な成功例です。
           また昨今の邦楽ブームで伝統的な琵琶楽も見直されつつあります。
           琵琶の語源に関してはベルシャのBarbat(バルバト)が転訛して琵琶になったという説と
           インドのヴィーナが転訛したと言う説が有ります。
           因みに和漢三才図会によれば琵琶と言う字は、琵が弦を上から下へ弾く奏法を表わし
           琶が下から上への奏法を表わしているとの事です。(詳しくは楽器紹介のページをご覧下さい。)




                      

               (琵琶法師))          (放浪の琵琶法師)       (楽琵琶を弾く平安貴族)





        
         8月3日 胡弓
            
     
     
           日本の伝統楽器で唯一の擦弦楽器である胡弓を、最近手に入れました。
           このところ日本でも人気が有り、女子十二楽坊で一段とポピュラーに成った
           中国の民族楽器(二胡〜アールフー)を胡弓、と紹介される事があるので混同する人が
           多いですが、私が手に入れたのは日本の胡弓です。 
           予てからヴィオラ・ダ・ガンバとも親戚筋に当たるこの楽器を演奏してみたい
           と考えていました。幸い私が勤めている大阪音楽大学に胡弓の講座が有りましたので
           講師の片岡先生に少し手ほどきをしてもらいました。
           構え方や弓の持ち方がガンバと殆ど同じでしたので、何とか弾きこなす事が出来ました。
           ヨーロッパの古楽器と日本の伝統楽器が、時と場所を隔てても確実に繋がっている事を
           実感した次第です。 (詳しくは楽器紹介のページをご覧下さい)

           

               

           (胡弓〜中棹三味線を転用)        (演奏スタイル)           (胡弓用弓)        



           7月
 


         7月26日 ケースの虫干し
          
     
        
           ヨーロッパの古楽器、特に弦楽器を扱っている者にとって梅雨はあまり嬉しい季節では
           ありません。今年は、最後の足掻きのように明ける直前に大雨が降りましたので
           湿気と暑さのせいで、使っていない楽器のガット弦がぶつぶつと切れてしまいました。
           ケースに入れっぱなしにしておいた楽器や弦にはカビまで生えていました。
           今日は久し振りに日差しが戻って来ましたので、楽器ケースの虫干しをしました。
           自作した民族楽器用のケースがいつの間にか結構な数に成っているのに
           我ながら驚きました。久し振りに爽やかな空気をいっぱい吸って
           ケース達も喜んでいるように見えます。


                

          (自作のケース類等)             (ガンバのケース)       (フィーデルとレベックのケース)




           6月


          6月8日 ペドロ・デ・レオンさんの個展
          
     
        先日、来日中のフランス人画家、ペドロ・デ・レオンさんの展覧会に行ってきました。
             4月23日の話題でも紹介しましたが、チベット派の敬虔な仏教徒でも在るペドロさんの
             希望も有り、今回の会場には西大寺の護国殿が選ばれました。
             西大寺中興の祖、興正菩薩叡尊に傾倒するペドロさんの思いが、寺の人々に通じ
             実現する運びに成ったそうです。
             今回は来日期間中に製作した絵も含めて約30点あまりが展示されて有りました。
             ペドロさんの絵は慈愛に満ちた母(女性)がモチーフなのですが
             それがお寺の雰囲気とピッタリとマッチして、見る人に安らぎを与えてくれるようでした。
             それにしても日本人の我々でさえあまり知る事がない、鎌倉時代の僧の事跡を
             フランス人のペドロさんが良く知っているのには驚かされました。
              

                    






           5月



          5月29日 オルティスコンソート定期演奏会
          
           
 先週の26日にオルティスコンソートの定期演奏会を開催しました。
             平成2年から毎年5月の第4金曜日に行っているこの会も
             数えて今年で17回目と成りました。
             会場は近鉄奈良駅の直ぐ近くにある、外観も内装もキリスト教会には珍しい純日本建築の
             奈良キリスト教会でした。
             今まであまり雨に祟られた事は無かったのですが、今回はリハーサルの時から
             小雨模様でした。今年のテーマが「涙と頬笑み」でしたので涙雨かと諦めていましたら
             本番前には雨もあがり、お天気の神様が頬笑んでくれた様でした。
             お陰さまでお客様の出足も鈍らず、大勢の方が聴きに来て下さいました。
             

         
        
             (リハーサル)                 (演奏会)               (終演後)      

                  
(当日の演奏曲目はオルティスコンソートのページで紹介しています)
          



          5月8日 古楽発表会
          
     
        今日はこのページにピッタリの話題です。
             昨日、ならまちセンター市民ホールでSAKAMOTO古楽コンソートの会の発表会を
             開催しました。ゴールデンウイーク最後の日曜日は、それまでの晴天とは打って変わって
             雨模様の一日でしたが、辛うじて私たちの願いが通じたのか、
             朝のチェンバロの搬出時と終演後の搬入時だけは雨が上がってくれました。
             12回目と成った今年の会では、リコーダー、ガンバ、リュート、ギターの
             生徒さん達によって、約4時間に渡る熱演が繰り広げられました。
             年々レヴェルアップしてゆく生徒さんたちの演奏に元気付けられながら
             9時半のリハーサルから6時の終演までの長丁場を乗り切りました。
                 
              (SAKAMOTO古楽コンソートの会のページで詳しく紹介しています)
           


          
 
      (リハーサル中のアンサンブル)           (打上げ)              (ガンバのリハーサル)






          5月5日 鯉のぼり
          
     
         以前は端午の節句が近づいてくると、町のそこここで鯉のぼりを見かけたものです。
              しかし最近はあまりそんな光景を目にする事はなくなりました。
              少子化の影響も有るとは思いますが、やはり日本の伝統的な年中行事を行う家庭が
              少なくなってきたからでしょうか。とは言えまだ有る所には有るもので
              先日明日香を車で走っていた時に、甍の波の上を泳ぐ昔ながらの鯉のぼり
              を見つけました。
我家では鯉のぼりは上げていませんが
              毎年この時期には奈良の一刀彫の具足を飾っています。
              そして5日のおやつは粽と柏餅と決まっています。
 
            
           

          (明日香の鯉のぼり)            (具足と粽と柏餅)           (奈良郊外の鯉のぼり)



           4月
           

           4月24日 フランスの中世教会建築
          
     
        今日も、フランス関係の話題です。
             昨日奈良女子大学で、フランスの中世教会建築についての講演会がありました。
             講演者のフランソワーズ・ロバン女史は現在モンペリエ大学の美術史学科の
             教授だそうですが、ロマネスクからゴシックに至る教会建築の変遷を、
             美しい画像を交えて、分かりやすく説明してくれました。
             紹介された中には、私が行った事がある教会や又その中で演奏した事もある
             教会が含まれていましたので、その意味でも大変興味深く懐かしい思いで
             講演に聞き入りました。終演後のパーティーに参加して、
             ロバン女史と話す機会を得、一昨日に引き続き日仏の交流を果たしました。

       

                     

          (ヴェズレーのマグダレーナ教会)  (サントシャッペルのバラ窓)     (ブルジェのカテドラル)



          4月23日 ペドロ・デ・レオンさん
          
     
        昨日、市内のl?寺において行われた「真理のことば」輪読会に
             ペドロ・デ・レオンさんと一緒に招かれました。
             ペドロさんはチリ出身の画家で1970年代の終わりにフランスに政治亡命され
             現在もナント近郊にアトリエを構えて創作活動をされています。
             また1983年以来敬虔なチベット派の仏教徒でも有ります。
             そういう訳で、この人の絵はどれも「いのち」と「自然」を守り、全ての人々が「平和」に
             暮らせるように祈る思いで溢れています。
             そしてそんなペドロさんの思いにピッタリの町が「奈良」なのだそうです。
             以前来日された時に偶然面識を得た事が縁で、私もこの会に招かれたのですが
             残念ながら仏教についての造詣は深くありませんので、
             自分の分野(古楽器の演奏)で参加させて頂きました。
           
           
                                     
           
             (l?寺の一室で)             (前列右から2人目がペドロさん)




          4月6日 奈良の桜
          
     
       「あおによし奈良の都の八重桜」と百人一首にも歌われていますように、奈良は桜の名所でも有ります。
            吉野山の様に全山桜といった規模では有りませんが、公園や町のそこここに色んな種類の桜が咲いて
            観光客は勿論の事、地元の人達の目も楽しませています。
            今年は季候が不順だったにも関わらず、今を盛りと咲き誇っています。
            私達が毎年見て回っている奈良の代表的な桜をいくつか紹介したいと思います。
            左下は船橋通り商店街の突き当たりに有る通称「車輪公園」のしだれ桜です。
            桜の下にはこの辺りに大仏鉄道(関西鉄道大仏線)の大仏駅が有ったのを記念して
            車輪のモニュメントが置かれています。この鉄道は明治の後期に9年間だけ
            奈良から加茂まで運行していました。
            下中央は氷室神社のしだれ桜です。氷室神社は氷の神様を祭った神社で
            奈良時代にはこの場所に氷室(冷蔵、冷凍の為の施設)が有ったそうです。
            右下は興福寺の境内の桜です。奈良公園に隣接する興福寺や東大寺の境内には桜が沢山有り
            普段の落ち着いた雰囲気が、この時期だけは文字通り華やかなに変身します。

            

            

           (車輪公園)                    (氷室神社)               (興福寺境内)                       


           3月


          3月31日 チュニジアの男性歌手
          
     
      今月初めのスウェーデンの民俗音楽に続いて、23日には
           国際交流基金の招きで来日した「ロトフィ・ブシュナーク」と言う歌手と
           彼の率いる器楽アンサンブルの公演を聴きに行ってきました。
           まず何よりも驚いたことは、会場の京都市北文化会館が満員の聴衆で溢れていた事でした。
           普段あまり聴く機会が無い演奏会とは言え、アラブ音楽に興味が有る人があんなに大勢いるとは
           意外でした。メンバーは歌手でウードも演奏するロトフィ・ブシュナーク氏の他
           アラブの民俗楽器であるカーヌーンとレクの奏者、それにヴァイオリンが2人とチェロが1人と言う
           編成でした。私としてはヴァイオリンではなく伝統楽器のラバーブで聴きたかったところなのですが。
           チェロが低音に入っているのはかなりモダンな編成だと思います。
           因みに「カーヌーン」は両手の人差し指に嵌めた爪で、お琴のように掻き鳴らすアラブの民族楽器です。
           「レク」はヨーロッパで言うところのタンバリンです。
           演目はブシュナーク氏自身の歌曲を中心にアラブの伝統曲や流行歌でしたが、
           聴衆の手拍子や歌(在日のチュニジア関係の人達でしょうか)も入って、熱気に包まれた
           演奏会でした。中でも小学唱歌「故郷」のアラブヴァージョンは大うけでした。
           普段は滅多に聴く事が出来ないアラブ音楽の生演奏に接する事が出来た
           また私としては、名手のウードやレクの演奏を間近に見る事が出来た貴重な一夜でした。
           
           
  
               

                 (カーヌーン)                  (ウード)             (レク)

         

         3月30日 スウェーデンの民俗音楽合奏団
         

           今月の9日に大阪音楽大学の楽器博物館で、スウェーデンからやって来た
           民俗音楽合奏団「ダーラロート」の演奏を聴く機会を得ました。
           「スウェーデン・放牧場の音楽」と題されたセミナーコンサートでは
           音楽学者で大阪音楽大学の学長でもある西岡信雄氏の軽妙な
           解説を交えながら、ダーラナ地方の歌や民俗舞曲、そしてダンス等が披露されました。
           以前スウェーデンに住んでいた時に訪れた事もあり、また丁度昨年の夏にダーラナ地方を
           再訪した後でもありましたので、懐かしくスウェーデンの雰囲気に浸りました。。
           因みにダーラナ地方はスウェーデンの中部に位置し、大小の湖が点在する大変美しい所です。
           民俗音楽の宝庫と言われ、現在でも多くの民俗音楽が伝承されています。
           今回のコンサートではハーディー・ガーディーやニュッケル・ハルパそれにスペールピーパ等、
           私も持っている民俗楽器を使用した曲も有り、演奏の参考にも成りました。
           終演後、メンバーの何人かと話しましたが、なんと
           私のスウェーデンの知人を知っていると言う人もいて大いに話が弾みました。

            

       (ダーラナの教会)            (ダーラナの湖)              (ユースホステル)



         3月29日 春のお茶会

            我家にはささやかながら、炉が切ってある和室が有ります。
            年に1、2度親しい友人や知人と一緒にお茶を楽しんでいますが、
            一昨日、今年初めて釜を掛けました。
            濃茶のお菓子は友人の手作りの桜餅、薄茶用のお干菓子は
            奈良の和菓子屋さんで求めました。
            今回は服装も普段着のままと言う本当にラフなものでしたが
            やはりお茶会独特の心地よい緊張感が有りました。
            釜の湯が煮立つ音・茶杓が茶碗を打つ音・茶筅で茶を点てる音・・・
            本当に聞こえる音は僅かなのですが、
            一服のお茶を頂くまでの一連の作法には、音楽と相通ずるものが有るように思います。
            私達が携わっている西洋音楽の演奏と、
            日本の伝統文化の一つである茶の湯との関連に思いを馳せながら、
            午後の一刻を楽しみました。

          

          (お手前)                    (お菓子)                   (お道具)

 



         3月28日 湖北の十一面観音

           滋賀県の湖北地方は十一面観音の里として知られています。井上靖氏の小説「星と祭り」の
           中で取り上げられて有名になった石道寺の十一面観音、全国で八体しかない国宝の
           十一面観音の中でも逸品中の逸品、渡岸寺の十一面観音、そして重要文化財に指定されている
           鶏足寺の十一面観音など、一度拝観すれば又対面したくなるような仏像が、そこここに点在する
           お寺で祭られています。先日十数年ぶりでこれらの十一面観音に再会すべく湖北を訪れました。
           仏像は勿論の事、拝観の応対をしてくださった地元の人たちの温かさは、以前と少しも変らず
           ほのぼのとした気分を味わいました。
           十一面観音は正確には十一面観世音菩薩とも十一面観自在菩薩とも言い
           世間の人々の悩める声(音)を観じ、救済の手を差し伸べてくれる有り難い仏様だそうです。
           音楽を専門にしている私達にとって、文字通り「音を観ずる」事は最も大事な事なので
           より正しく、そしてより深く音を観じられる様にと観音様にお祈りして来た次第です。
           
           

           

           (赤後寺)                   (渡岸寺)                 (石道寺)

           

            2月

         
         2月10日 サウンドホール(響孔)

           以前いろんな弦楽器のペグ(糸巻き)とテールピース(緒止め)を紹介しましたので
           今回は様々な形と方式のサウンドホールを御覧頂きたいと思います。
           サウンドホールは本来、楽器の響きを外に出す為の穴なのですが、
           製作家は実用の為だけでなく、楽器のデザインの一つとして
           付ける場所や大きさ、形等にそれぞれ工夫を凝らしています。
           ヴァイオリン族の f 字孔はその一つです。
                  
              (楽器紹介のページを御覧下さい。)

   

          2月3日 節分会

           我家では今でもこの日の夕食には鰯を食べ、翌日にお頭を柊の葉と一緒に家の門口に飾っています。
            しかしなんと言ってもこの日の楽しみは、近くのお寺で行われる節分会の豆まきです。
           まず最初に午後2時から東大寺の二月堂で行われる福豆まきに行きます。
           もうすぐ国宝に指定される舞台の上から、豆だけでなく福鈴やお菓子も撒かれます。
           それが終わると3時半から元興寺極楽坊で行われる豆まきに取って返します。
           ここでは豆以外に寺印入りのゴムボールも撒かれます。
           最後は午後7時から興福寺の東金堂で行われる鬼追い式と豆まきです。
           この様子は時々テレビでも紹介されますが、特設の舞台で数匹の鬼が一暴れした後、
           毘沙門天が登場して鬼退治をし、最後に大黒天が参詣者に福を授けると言う催し物です。
           その後で福豆が撒かれますが、3ヶ所の中では最も争奪戦が激しく
           毎年、撒かれる数の2倍くらいの参詣者が来ています。
           また豆の袋の中に当たりくじが入っているのも興福寺の特徴で
           私も過去に1回だけ当たった事があります。
           普段余り激しい運動をすることが無いのですが、この日ばかりは夢中で
           福豆の争奪戦をしますので、いつも次の日には身体の節々が痛みます。
           立春の前日とは言え毎年一番寒いこの時期に、豆まきに参加出来るか否かが
           私の健康のバロメーターに成っています。
           残念ながら今年は演奏会の本番と重なったので参加出来ませんでした。

      

             

           (東大寺二月堂)            (元興寺極楽坊)           (興福寺の青鬼)
          




                       
    1月

         

         1月20日 野鳥

           今までに我家の裏庭にやって来た野鳥の種類を調べて見ると、なんと
           12種類にも成りました。恐らく奈良公園や春日の山から飛来するのだと思います。
           中でもメジロは、5年位前から毎年冬になるとやって来ます。
           決まってつがいで来て、半分に切ったみかんを袋だけ残して綺麗に食べます。
           普通は一方が見張役ですが、まれに2匹で一緒に食べている時も有ります。
           メジロ用に置いてあるみかんを、横取りに来るヒヨドリを追い払うのも
           私たちの役目です。ヒヨドリにすれば?といったところでしょうが。
           これから春が来るまでのバードウオッチングは、私たちのささやかな楽しみの一つです。
           

                    

                 (メジロのつがい)                    (ジョウビタキ)



        1月5日 二月堂

           修二会(お水取り)で有名な二月堂で毎年正月の3日と5日に、
           雑煮を振舞う催しが有ります。(雑煮を頂くには坊雑券と言うチケットが必要ですが)
           例年は3日に行く事にしているのですが、今年は今日5日に行ってきました。
           二月堂の裏手横に有る僧坊の一角で、まず東大寺の若い僧にお神酒を頂いて
           それからおすましの雑煮が運ばれて来ます。
           中に入っている餅は、お供えの鏡餅を炭火で焼いた物です。
           冷たい風に吹かれながら参道を登って行った後なので
           温かい雑煮は事のほか美味しく感じられました。
           
           
           

              

               (二月堂)                        (坊雑煮)




        1月1日 初詣

           ならまちの近辺には沢山の神社仏閣が有りますが、やはり初詣には春日大社です。
           ここ数年は元旦の午前中に詣でる事にしています。
           今年は正午直前に本殿前に着き、今年一年の無事を祈ってきました。
           大勢の参拝客の流れに乗って長い参道を歩いている内に
           正月気分が盛り上がって来ます。
           しかし心なしか年々参拝客が減っているように感じます。
           
 
               

             (春日大社本殿)                     (今年の絵馬)


                      
                      
2005年度のならまち古楽館





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