楽器紹介


SAKAMOTO 古楽コンソートとオルティスコンソート関連の楽器を紹介しています。
原語に付けられた( )内の略語はそれぞれ 
(英)イギリス、(仏)フランス、(独)ドイツ、(伊)イタリア、(西)スペイン、(瑞)スウェーデンを表わしています。

擦絃楽器 撥絃楽器 打絃楽器 管楽器 打楽器 その他の楽器 楽器関連用品

        様々なペグボックスとペグ    様々なテールピース    様々なサウンドホール

      
擦絃楽器

 ヴィオラ・ダ・ガンバ Viola da Gamba (伊)  ヴィオール Viole (仏)  ヴァイオル Viol (英)

  楽器の形状はチェロやヴァイオリンに似ていますが、弦(ガット=羊腸弦)の数は
  6本~7本で、指板に可動式のフレットが半音刻みに7本巻かれているのが特徴です。
  コンソート(合奏)用として一般的にトレブル、テナー、バス、の三つのサイズが有り、
  ルネサンス時代には同属楽器による合奏だけでなく
  他の楽器や歌との合奏においても広く用いられました。
  バス用のヴィオラ・ダ・ガンバ は18世紀の中ごろまで
  独奏や通奏低音用楽器として、大変重要な役割を担っていました。
  ヴィオラ・ダ・ガンバとは脚の(da gamba)ヴィオラと言う意味で
  下図の様に脚の間で構えるので、この名称が付けられました。(下図中・右)
  因みにヴァイオリンの様に腕で保持して演奏する楽器はヴィオラ・ダ・ブラッチョ
  (da Bràccio=腕の)、指で弾いて演奏する楽器はヴィオラ・ダ・マーノ(da Mano=手の)
  と呼ばれました。ヴィオラ・ダ・マーノを弓で演奏し始めたのがガンバの起源だ、
                 との説がありますが、下図左の構え方はそれを示唆している様に思います。


                         



 フィーデル・ガンバ  Fiedel ・Gamba (独)

 
 
1960年代初頭にドイツで、学校教育用の簡易ガンバが製作されました。
  程なく日本にも何台か輸入され、それから日本のガンバコンソートの歴史がスタートしたわけです。
  左の楽器は、そのドイツ製の楽器を元に日本で、恐らく60年代後半に製作されたトレブルサイズのガンバです。
  調弦も演奏法も全くガンバと同じですが、 楽器の形状がフィーデルに似ている事から
  当時は「フィーデル」と呼ばれていたようです。
  教育楽器として作られたので、調弦がし易い様にペグはギターと同じくねじ式で、
  弦の材質もガットではなく、安価で切れにくいスティール製を使っています。
  また各弦にはヴァイオリンのねじ式音程微調整金具が取り付けられてあります。
  現在日本に、このタイプの楽器が何台位残っているのか分かりませんが
  日本のガンバ音楽(コンソート)の歴史の一コマを示す貴重な楽器です。






 フィドルFiddle(英) フィーデルFiedel (独) Vielleヴィエール(仏)


  
  


  主に中世のヨーロッパで用いられた擦弦楽器です。
  楽器の形状や弦の数は年代と場所によって様々で、
  いろんなタイプが絵図として残されています。
  演奏スタイルも下図の様に二種類有ったようで、これは後に楽器としてガンバやヴァイオリンに
  変遷してゆく事を暗示している様です。フレットの無い楽器が一般的だった様ですが
  指板にフレットが巻かれた絵図も残っているので、ガンバとの関連も大いに考えられます。 
  なおこの楽器は吟遊詩人が最も好んだ楽器だと言われています。




                 
                  



 レベック Rebec(英、独、仏)

  アラビアのレバーブが、中世のヨーロッパにもたらされ変化した楽器です。
  楽器の名称もその事をはっきり示しています。一木の刳り抜きに表面板を張った
  シンプルな構造で、下図の様に大きさの違いにより2つの演奏スタイルが
  有ったようです。フィーデルが主に芸術音楽に用いられたのに対して
  レベックは世俗音楽に用いられた事が多かった様です。
  ルネサンス時代になっても、なお演奏されていた記録が残っています。
                           調弦方法と構え方からヴァイオリンの、また糸巻きの形状と構え方から
                           ガンバのルーツ楽器ともされています。

                           



 ハーディ ガーディ Hardy-Gardy(英)  ヴィエール ア ルー Vielle à roue (仏)  ドレーライアー Drehleier(独)


 
  擦絃楽器の一種ですが、弓の代わりにハンドルを回す事によって木製の円盤が弦をこすり
  音を出す構造に成っています。またキー(鍵盤)を使って音の高さを変えるのも
  この楽器の特徴です。中世の頃は教会の中で宗教音楽にも用いられた様ですが、
  その後、独特の音色と音量からもっぱら屋外で演奏される様に成りました。
  そしていわゆる路上生活者の楽器として、長い間貶められた地位にありました。
  しかしバロック時代のフランスで、上流階級の人達にこの楽器の魅力が見直され流行しました。
  現在でも民族音楽用の楽器として、フランスや東欧諸国で演奏され続けています。
  名称はそれぞれ擬音(英)構造(仏)演奏法(独)から付けられています。



                         



 ニュッケルハルパ Nyckelharpa(瑞)  


   音の高さをニュッケル(鍵・英語ではキー)を押して替えるのでこの名が付けられています。
  最初はニュッケルガイゲ(キー・ヴァイオリン)とも呼ばれていたそうです。
  スウェーデンで14世紀半ばに作られた教会の天井画に、この楽器が
  描かれているので、既にその頃北欧では使用されていた事が分ります。
  プレトリウスが1620年に出版したシンタグマムジクムにも掲載されて
  いるので(左図)、その頃にはヨーロッパの他の地域でも演奏されていた様です。
  近代ではスウェーデンの中部地方だけに残る民俗楽器となっていましたが
  最近になって若い奏者が、フォーク音楽だけでなく中世やバロック音楽、
  そしてポピュラーにまで用い始めたので、新しい響きの楽器として見直されつつあります。
 
  下左画は演奏弦三本、ドローン弦一本、そして共鳴弦12本を持った現代の楽器です。
   共鳴弦は17~18世紀にヴィオラダモーレの影響を受けて取り付けられたそうです。
  下右図のように胴の部分を右手の脇の下で水平に構え、非常に短い弓を使って
  演奏します。

                     

                                   (3段に成っているキー)

 グスレ(グスラ) Gusle (クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、等バルカン諸国)

             
   
  バルカン諸国でグスラールと呼ばれる語り部(歌い手)によって演奏される
  一弦の弓奏楽器です。一木を刳り抜いて作られた胴に、羊の皮が張られています。
  糸巻は背面からの貫通式です。この楽器の頭部はシンプルな馬の彫刻に成っていますが
  猛禽類の鳥などが、華やかに彫られた楽器もあります。
  1本しかない弦には弓の毛と同じく、馬の尻尾が使われています。
  楽器を膝の上、又は膝の間に挟んで、斜めに倒して構え、ヴァイオリン式に弓を持って
  演奏します。
  弓は下の画像にあるように一風変わった形をしています。
  また毛の張力を調節できるように糸巻が付いているのも
  他の楽器には無い独特の方式です。(糸巻が付いていない弓もあります)
  
  この楽器に関して大変興味深いのは、次の「マセンコ」と酷似している事です。
  胴の形状と制作方法が違うだけで、後は大変良く似ているのです。
  偶然と云うには似すぎているので、何らかの関係性があったのでは、と
                  推測されますが、これに関する答えは今の所、見つかっておりません。

  












 マセンコ Masenko (エチオピア)  


  主に「アズマリ」と呼ばれるエチオピアの吟遊詩人が用いるこの楽器は
  擦弦楽器の最も初期の形態を保っています。
  楽器本体は四角い太鼓状の胴と、それを対角線の方向に貫く棹で出来ています。
  1本しかない弦には弓の毛と同じく、馬の尻尾が使われています。
  
  
  左の楽器は親戚の人から譲り受けたのですが、その人の話では
  アフリカの西海岸の町で手に入れたとの事でした。
  何らかの事情ではるばるエチオピアに齎された物でしょう。

   

   
   

  



 ラバーバ(レバーバ) Rabàb(Rebàb)(エジプト)  


  エジプト南部の上エジプトと呼ばれる地方で用いられている2弦の擦弦楽器です。
  判割りにしたココヤシに大トカゲの皮が貼られた胴を、棹の下端に埋め込まれた
  細い鉄棒が貫いています。異様に長いヘッドがこの楽器の特徴の一つです。
  弦は1本が針金
、もう1本はマセンコと同じく馬の尻尾です。
  (2弦とも馬の尻尾の場合もあるようですが。)
  馬の尻尾を弦として用いる楽器は他に、
  モンゴルの馬頭琴や新疆ウイグルのドーランギジャクがあります。
  遠く離れた両者に何らかの関連があるのかも知れません。
  また調弦が変則的で、楽器に向かって左の弦の方が右の弦よりも
  音高が高く成っています。
  モンゴルの馬頭琴や、インドネシアのルバブ(スンダ地方)が同じ方式ですが
  これも何か関連がある様に思えます。
  



 ラバーバ(レバーバ) Rabàb(Rebàb)(エジプト)


  上のラバーバの土産用モデルです。(棹にツタンカーメン王のパピルスが貼り付けられています。)
  楽器の胴は一木を刳り抜いた物で、表面に山羊の皮が張られ、
  棹の頭部には山羊の角を被せてあります。
  弦は2本とも馬の尻尾です。本物とは比べ物に成りませんが一応の音は出ます。
  












 ラバーブ(レバーブ) Rabàb(Rebab)(アラビア諸国)  

  北アフリカのイスラム諸国(モロッコやチュニジア)で
  現在でも用いられている二弦の擦弦楽器です。
  一木の刳り抜き胴の本体に、皮が張られているのが特徴です。
  この楽器がイスラム時代のスペインを経由して他のヨーロッパ諸国に伝わり
  レベックに変って行きました。
  下図左はアルフォンソ賢王(1221~1284)が編纂したサンタマリア頌歌集に
                     含まれている挿図です。
                     この演奏スタイルはガンバにまで受け継がれています。

                             



 ケメンチェ Kemençe(トルコ)

  

  現在でもトルコの古典芸術音楽で用いられている三弦の弓奏楽器で、
  ガンバの様に縦に構えて演奏します。
  カラデニズ・ケメンチェと区別してケメンチェ・ルーミーと呼ばれる事もあります。
  十字軍に参加した人々によってヨーロッパに持ち帰えられ、
  レベックのもう一つのルーツに成ったと思われます。
  ヨーロッパでは下図の様なスタイルで演奏されるのが普通だった様です。
  一木の刳り抜き胴はラバーブと同じですが、表面には板が張られています。
  魂柱が駒の下に直接立てられているのは、他の楽器では見られない方式です。


                           





 カラデニズ・ケメンチェ Karadeniz Kemençe(トルコ)

 
  こちらのケメンチェはトルコの黒海沿岸地方で踊りや歌の伴奏に用いられる楽器です。
  楽器に付けられた「カラデニズ」とは黒海の事です。
  三弦の擦弦楽器で、手にぶら下げても演奏出来るようにペグボックスが独特の形状をしています。
  勿論膝の上に載せて演奏する事もあります。
  一本の木から刳り抜かれた細長い船型の胴を持っているのは、黒海沿岸地方で作られるからでしょうか。
  弦はスチール製で、弓も細い棒にナイロン糸の束を張っただけのごく素朴な物ですが、
  楽器のサイズから想像するよりも大きな音が出ます。



  
  
  






    
カバック・ケマーネ Kabak Kemane(トルコ)

 
  カバックとはトルコ語で瓢箪の事で、共鳴胴に瓢箪を用いています。
  ケマーネはケメンチェやカマンチェと同じく擦弦楽器を意味します。 
 イランのカマンチェやウズベク・ギチャックとほぼ同じ構造ですが
 より素朴な作りです。弦は4本でスチール製です。









カマンチェ Kamanche (イラン)

  ペルシャ語で「弓」を意味する「カマン」から派生した呼び名で
  文字通り弓で演奏する弦楽器です。
  胴は一木から刳り抜いた物や、張り合わせの物がありますが
  この楽器は張り合わせの胴を持っています。
  楽器の背面も開いたものと、閉じた物があり、
  この楽器の胴は球体をしています。表面には羊皮が張ってあります。
  棹は木製の丸い棒で、楽器の胴の部分を棹の下端に填め込まれた金属棒が貫いています。
  棹が胴を貫く構造の楽器は様々な国にあり
  日本の胡弓もその一つです。
  演奏時に移弦を弓でなく、楽器を回すことにより行うのも共通です。
  この楽器の場合楽器の下端にその為の金属棒が付け足されています。
  この楽器のルーツは大変古い物だと思われますが、
  カジャール朝以降に現在の様な形態に改良された様です。




 ウズベク・ギジャック Uzbek Ghidjak (ウズベキスタン)


  棹が胴を貫いている構造から、英語ではスパイクフィドル(Spike Fiddle)と呼ばれています。
  国や地域によってその名称は、レジャーク・ギチャック・ケイチャック・ヒチャック・ガジャック等
  実に様々です。呼び方は違いますがイランのカマンチェ、イラクのジョザ等もほぼ同型の楽器です。
  左膝の上に楽器を乗せ、右手はラバーブ等と同じくアンダーハンドで弓を持ちます。
  楽器本体を回転させる事によって移弦を行うのが、演奏法の特徴です。
  因みに二胡や日本胡弓もスパイクフィドル系の楽器です。
  そう云えば演奏法も似ています。









 ゲジェク Ghijäk 艾介克 (中国新疆ウイグル自治区)


 
 形状はこの上のウズベク・ギギャックと殆ど変わりません。
  これは両者が大変近い親戚関係にある証拠です。
  膝の上に乗せて演奏する為の装置が付いている所も同じです。
  決定的に違うのは胴の表面が革なのか木なのかという所ですが
  実はゲジェクも元は馬やロバの革が張られていました。
  近年になって表面に木を張り内部にニシキヘビの皮を張る構造に
  改良?されたそうです。(モリンホールの例と同じです)
  画像の様に4弦で棹は柳、胴はグミの木で作られています。どちらにも
  他のウイグルの楽器と同じように、骨で美しいウイグル模様が施されています。
  調弦も現在ではヴァイオリンと同じく低音からg d 'a' e"と成っています。
  上記2種のどちらがルーツなのかの決定は難しい問題です。
  中国の楽器が西進したとするのか、はたまた中央アジアの楽器が東進したと
  するのか。私は後者の可能性が高いと思っていますが。
 


 フシタール ホシタール  フシィタール Khushtar (中国新疆ウイグル自治区)

  

  胴がゲジェクとは違いマンドリン型ですが、調弦法も演奏法も同じです。
  左の楽器には特に7本の共鳴弦が付いています。(共鳴弦が無い楽器もあります。)
  
楽器の名称に成っている「Khush]とはウイグル語でウグイスの事だそうで
  弦楽器には珍しく鳥の鳴き声の様な音が出る楽器とされています。
  それを表したのがペグボックスの上に付けられているウグイスの彫刻です。











  ペグボックス上部のウグイスの彫刻










 サタール Satar (中国新疆ウイグル自治区)


   
 一見撥弦楽器の様に見えますが、実は擦弦楽器(弓奏)楽器です。
    同じくウイグル地区にある、ほぼ同型のタンブールと云う楽器を
    弓奏出来る様に変化させた物だと言われています。
    一時代前までは撥弦楽器としても使用されていた様です。
    撥弦楽器と擦弦楽器の関係を考える上で、大変貴重な実例だと思います。
    旋律演奏弦が1本と、この楽器の場合12本の共鳴弦が張られています。
    音域は2オクターブ以上有り、可動式のフレットが18、
    固定式のフレットが8つ取り付けられています。
    全長140センチ近いこの楽器も、ラバーブの様に膝の上に立て構えるので
    低音域で演奏する時はかなり苦労します。
    (因みに演奏弦長は110センチです)
    楽器の胴や棹にはタンブールやカシュガル・ラワープ等と同じく、
    ウイグル独特の細かいモザイク模様が施されています。
    その名称はイランの「セタール」に由来すると云う説が有力ですが
                  サタールとしての歴史はそんなに古いものではなさそうです。


 サーランギー Sarangi (インド)

   
     丸太の上半分を四角く、下半分を半円形に刳りぬいたユニークな形の胴を持つこの楽器は
     13世紀頃にはすでによく知られていたそうです。最初はもっと素朴な形体だった様ですが
     現在、主に北インド地方で用いられている楽器は演奏弦が三本又は四本、
     共鳴弦を40本近くも持つ複雑な構造に成っています。
     胴の下半分には山羊の皮を貼り、演奏弦には太いガット弦を用います。
     胡坐を組んだ脚の上、または間に立てて構え、弓はガンバ等と同じくアンダーハンドで持ちます。
     弦に左指の爪を押し当てて音程を変えるので、本格的にやると削れて大変痛いそうです。
     日本の琵琶も細い絹弦が指の肉に食い込んで痛いですが、サーランギーも
     本当の意味で血の滲む様な修行をしないと習得は出来ないようです。
     演奏実音はそんなに高くは有りませんが、共鳴弦の響きが加わって独特の音色が
     得られます。サーランギーとは「百の音色」と云う意味だそうですが、なるほどと思います。
     また殆どの楽器の指板には魚の装飾(左下画像)が施されています。
     その由来に付いて確定的なことは分からないそうですが、一説にシヴァ神を表すと云うのが有ります。
     もしそうだとしたら、初期のキリスト教でも魚をシンボルとして
                用いた事があるので、偶然とは云え興味深いところです。
















サーリンダ Sarinda (インド)

  
この楽器は北インドや西インド、それにパキスタンやネパールでも使われている擦弦楽器です。
  これと同種の楽器は西アジア、中央アジアにもあり
  様々な呼び方がありますが、イランのケイチャクがインドに伝播してきた可能性が高いです。

  胴からペグボックスまで、一木(チーク材)からの刳り抜きで作られています。
  胴の下半分には羊のが張られでいます。
  上半分は開口部に成っており共鳴孔の役割を果たしています。
  胴の背面に葉っぱの模様が彫刻されています。
  またペグボックス上部頭部には動物の頭が飾りとして彫られてあります。
  共鳴孔の周りや指板の一部、それにペグボックスの周りにもインド特有の装飾が施されています。
  この楽器には特別に、ヴァイオリンの様に指頭で押さえて音程を取る為の指板が付いています。
  
  調弦はサーランギと同じく、両端の弦がオクターブ間隔で中央の弦低音から5度(又は4度)関係に合わせる様です。
  胡坐をかいて膝の間または片膝の上に立てて演奏します。
  
 


サーランギー Sarangi (ネパール)

  ネパールの「ガイネ」と呼ばれる音楽職能集団によってのみ用いられる
  4弦の擦弦楽器です。「ガイネ」とは最下層のカーストに位置付けられた
  大道芸人、門付芸人、辻音楽師、吟遊詩人等の事ですが、彼らは
  この楽器で弾き語りをし、それを聴く人たちからの施しによって生活の糧を得ています。
  
  楽器は胴からペグボックスまで、一木からの刳り抜きで作られています。
  胴の下半分にはヤギの革が張られでいます。
  上半分の革が張られてい部分に施しのお金を入れてもらう場合もあるそうです。
  また胴の背面や側面、それに指板やペグボックスにまで細かい模様が刻まれています。
  調弦は両端の弦と中央2弦がそれぞれ同音で5度(4度)関係に合わせる様です。
  膝の上に構えて演奏する事が多いですが、
  左の楽器に取り付けられてある紐は、首から吊るして立奏する為の物です。
  演奏する者によって様々なサイズの楽器がありますが、基本的な構造と演奏スタイルは
  ほぼ同じです。
  

















弓奏アフガン・ラバーブ(Bowed Afghan・Rabab)アフガニスタン

      
   アフガンラバーブは本来撥弦楽器なのですが、自分で擦弦楽器に改造したものです。
   胴に施された装飾からパキスタンで使われていた物と思われます。
   共鳴弦を全部取り外し、演奏弦をガット弦にし、ブリッジも弓奏用にカーブのある物に替えました。
   それなりの音は出ますが、やはりこの楽器の形状は撥弦楽器を想定したものだと実感しました。
   楽器の胴のくびれは勿論弓抜きの為ではなく、皮張りの表面が凹み過ぎない為の工夫だと思われます。
   
   
















 エスラージ Esraj (インド)

  
インドの撥弦楽器サロードの胴に、シタールの棹を繋いだ様な
  折衷的な形状の楽器です。胴には山羊の革が張られてあり
  多くの弦を支える駒の脚の部分はサーランギと同じく
  別の革で補強されています。
  これが使われ始めたのは精々今から200年程前、と云われているので
  インドにしては歴史の浅い楽器です。
  演奏弦(主弦)は4本ですが、主に演奏されるのは一番右端の弦です。
  共鳴弦は本体の横に13本取り付けられています。
  主に東インドのベンガル地方を中心に古典音楽や
  歌の伴奏として用いられていました。
  シタールやサロード程の音量は有りませんが、
  最近では共鳴弦が醸し出すその独特の音色が見直され
  ポピュラー音楽にも使用されています。。
  



 馬頭琴 Morin Khuur モリン・ホール(フール)  (モンゴル・中国内モンゴル)

  
     遊牧騎馬民族を象徴する「馬」の彫刻が楽器の糸巻きに施されている事から
       この楽器の名が付けられています。原語はそのものずばり「馬の楽器」と云う意味です。
       20世紀の中頃までは胴の表面に牛や羊の革が張られていた様ですが
       その後は壊れにくく、調弦も安定しやすい木板で作られるように成りました。
       この楽器には他の擦弦楽器にはあまり見られない特徴が2つ有ります。
       その一つは、馬の尻尾を束ねた物を(普通は弓として使用する)弦として用いる事です。
       (エジプトのラバーブも同様ですが)
       最近では馬の尻尾の代わりにナイロン糸の束も使われるようです。
       後一つは演奏者側から見て、右の弦を左の弦よりも高く調弦する事です。
       様々な撥、擦弦楽器の中でもこの弦の張り方は大変特殊なものです。
       ヴィオラ・ダ・ガンバの様に膝の間に挟んで構え、
       弓もガンバと同様アンダーハンドで持ちます。
       弦に横から爪を押し当てて音高を変えるのはトルコのケメンチェ・ルーミーと同じです。
       もっともこの方式は人差し指と中指だけで、他の指は指頭を使います。
                この楽器はオルティン・ドーと呼ばれるモンゴル民謡の伴奏に
                用いられるのが一般的ですが
                最近では独奏楽器として演奏される事もある様です。


 ルバブ  ルバッブ  Rebab (インドネシア・ジャワ)


  
  インドネシアのジャワ島で、ガムランや影絵芝居(ワヤン)に用いられる楽器です。
  弦は真鍮製で2本、胴には水牛の胃袋の皮が張られています。
  ぺぐは細く、また非常に長いのが特徴です。
  楽器の棹の上部と下部には差し込み式の部材が取り付けられています。
  これはデザイン上、ペグとのバランスを取るためだと思われます
  2本の弦は完全5度の間隔に合わせます。
  床に直接楽器を立てて構え、座奏します。
 
  マレーシアやタイにもこれとほぼ同じ形状の楽器がありますが
  どちらも3弦の楽器です。
  3弦と云えば日本の胡弓もそうですので、
  もしかしたら、これらの楽器が胡弓のルーツかも知れません。
 


















 レバーブ Rebab (マレーシア タイ)
               
 

  後に紹介する中国の二胡と似ていますが
  胴が椰子である事がこの楽器が南方の物であるという事を
  物語っています。胴の表面には皮ではなく板が張られています。
  (この部分は中国の板胡と同じです。)
  胴を貫く丸い棒が棹とペグボックスを兼ねています。
  北アフリカのグンブリと同じ構造なので、その関連が興味深い所です
  ペグ(糸巻き)が楽器の表面の方から差し込まれているのは
  楽器を回転させて移弦する時に
  邪魔に成らないようにする為だと思われます。
  中国の二胡よりも、このタイプの楽器のほうが
  よりクーチョーに似ている様に思います。
 




 3弦 レバーブ Rebab (?)



 
 エジプトレバーブと沖縄のクーチョーの丁度中間的な楽器です。
  上の楽器と同様、椰子胴である事がこの楽器が南方の物であるという事を
  物語っています。この国の物なのか今の所分かりませんが、
  東南アジアのいずれかの国だと思われます。
  胴の表面に皮が張られているのは
  トルコのカバックケマーネと同じです。
  胴を貫く丸い棒が、棹とペグボックスを兼ねています。
  ペグとペグボックスの形状も、カバックケマーネとほぼ同じです。
  弦の材質は、左側の2本がガット又はナイロン、右側の1本は、毛の束です。
  この他に、弦に毛の束を用いる楽器は、エジプトラバーブと馬頭琴だけです。
  色々な楽器との共通点を持つ興味深い一品です。
  ペグの位置がクーチョーと逆なのも面白い所です。
  














 クーチョー 沖縄胡弓 (日本)


  はっきりとした到来年代は確定出来ないそうですが、
  三線が琉球時代の沖縄に伝わった14世紀末から15世紀の初頭に
  同じく中国から伝わったと云われています。
  伝来に関しては、後に紹介する中国の二胡が伝わって変化したのか、
  又は前に紹介したレバーブの様な楽器が伝わったのか、学者の間でも色んな意見があります。
  シタマギを丸く刳りぬいた物にニシキヘビの皮を張って共鳴胴としています。
  棹の形状は三線と同じですが、胴からら長く突き出た部分(中子先)が特徴です。
  駒は弓が隣の弦に触れない様に山型に成っており棹に近い側に立てます。
  楽器を膝の上(間)に置く演奏スタイルはラバーブ等と良く似ています。
  ただし移弦は弓の角度を変えるのではなく、ギジャックと同じく楽器本体を回す事によって行います。
  棹の下端が胴から突き出ているのは、その部分を膝の間に挟んで楽器を支える為です。
  因みに「クーチョー」と云う楽器名は日本から来たものだそうです。



 
弓は竹製で漆の塗装が施されています。
  弓の毛は西洋楽器用の物より多く、ゆったりと張られているので
  張り加減は演奏者が右の指で調節します。





 胡弓 ・鼓弓 (日本)



                 
  日本の伝統楽器の中で唯一の擦弦(弓奏)楽器です。
  この楽器のルーツに関しては、アラブやペルシャの擦弦楽器だと言う説と
  中国の二胡だと言う説が有ります。
  他にも安土桃山時代に南蛮から渡来したラベイカ(レベック)を参考にして作った
  と云う説も有り、これはヨーロッパの古楽器を演奏している者として興味深い話です。
  となると、西洋のヴィオラ・ダ・ガンバとも親戚になる訳ですから。
  実際には沖縄胡弓が日本にもたらされ
  江戸時代の初期には使われ始めた様です。
  左図の様に三味線をそのまま小型にした形状で弦は3本または4本、
  演奏には楽器に不釣合いな程長い弓(二本接ぎ)を用います。
  (クーチョーの物より毛の量が多くなりまた長い)
                 駒は弓が隣の弦に触れない様に山型に成っており
                  棹に近い側に立てます。
                 下右図の様に楽器を膝の上(間)に置く演奏スタイルはクーチョーと同じです。
                 移弦も弓の角度を変えるのではなく、クーチョーと同じく楽器本体を回す事によって行います。
               
                                 
                                                   
         (胡弓の弓~軸と毛に注目)              (駒)                (演奏スタイル)


ヘグム (해금)(韓国奚琴(ケイキン)


   
   この楽器の名前の由来は、隋、唐時代に中国の東北部に住んでいた「奚」と云う民族が使い始めた
   事から来ています。二弦の擦弦楽器で、最初は弦の間挟んだ木の棒で擦って音を出していたそうです。
   唐代に中国に伝わった当初は、木の代わりに竹の棒を使っていた様ですが
   宋代に馬の尻尾を使うように改良?されました。
   これが、現在中国や日本で演奏されている二胡の先祖と云う訳です。
   高麗朝の中頃、韓国にも伝わり、共鳴板に桐の板用いる様に成りました。
   二胡とは糸巻の向きも、弦の結び方も違っていますが
   こちらの方がよりオリジナルの奚琴の形状を保っている様です。
   演奏法は日本の胡弓と同じく膝の上に垂直に構えて演奏します。
  
   














 二胡 Erhu・ アルフー  (中国)

   中国の代表的な擦弦楽器です。
   唐の時代に原型が出来、明代(14世紀後半~)には
   ほぼ現在の様な形状と演奏形態に成っていたようです。
   基本的にはニシキヘビの皮を張った小さな胴と、細長い棹の2つの部分から
   出来ている大変シンプルな楽器ですが、形から想像する以上に
   大きな音が出ます。控制綿(普通はスポンジやゴム)を駒の下部に付けて
   響きや音色を調節します。
                          しかし何といってもユニークなのが
                          二本のスチール弦の間に弓の毛を入れて演奏する方法です。(下左画)
                          他の擦弦楽器と違い弓の毛の両面を使う事になります。
                          また千金と呼ばれる楽器のナット(弦を仕切る所)に当たる部分は
                          太い糸を結んで作ります。(下右画)
                          最近の楽器では金属や木やプラスティックで作る場合もあるようです。
                          因みに二胡は日本の胡弓のルーツであると云う説も有ります。 

                            

                   (弓と弦)   (駒と控制綿)                     (千金)


撥絃楽器


 ビウエラ Vihuela (西) 


  この楽器の正確な呼び名はビウエラ・デ・マノですが、
  現在は一般的にビウエラと呼ばれています。  
  ビウエラとは中世からルネサンス時代にかけて棹のある弦楽器を指したスペイン語にる名称で
  イタリア語ではヴィオラと云います。
  その中で弓を使って演奏する楽器をビウエラ・デ・アルコ(弓)と云い
  指で演奏する楽器をビウエラ・デ・マノ(手)と呼びました。
  イタリア語では同じくヴィオラ・ダ・アルコとヴィオラ・ダ・マノと成ります。
  
  6コース(マンドリンの様に同じ音又はオクターブ音を2本で1コースと呼びます)が一般的で
  調弦はリュートやガンバと同じく3弦と4弦の間が長3度でその他は完全4度に成っています。
  基本的にはリュートの様にG調弦ですが、EやA調弦など色々なサイズの楽器があったそうです。
  主に16世紀のスペインとその関係国で愛好された楽器で
  1535/6年から1576年の間に7冊のビウエラ曲集が出版されました。。
  ギターとも併存していた様ですが、(4コースのビウエラがギターであるとの当時の文献もある)
  こちらは主に貴族など上流階級が好んだそうです。
  
  
  
  




    背面     側面
(フル―テッドバック) 

           

                      (L・デ・ミランのビウエラ曲集~1535/6~の扉絵)

 リュート Lute (英) Luth (仏) Laute (独) Laúd (西)

  アラビアの民族楽器ウードが、中世の頃ヨーロッパにもたらされ変化した楽器です。
  名称もアル・ウードが転訛しリュートに成ったと言われています。
  洋梨を半分に割ったような胴体や、折れ曲がったペグボックス(糸倉)の形はウードと同じですが
  指板が広くフレットが巻かれています。弦は複弦で中世の頃は4コースでしたが
  徐々に数が増えて行きルネサンス時代には6~7コースが、
  バロック時代には10~11コースの楽器が標準的と成りました。
  当時はガット弦を使用していましたので、調弦に大変苦労した様です。
  (左図はルネサンスタイプのリュートです。)
  奏法も中世の頃はウードの様に、プレクトラム(小さな撥)で演奏していましたが
  ルネサンス時代には指で弾くのが一般的と成りました。(下図参照)
  二つ以上の音を同時に弾ける事と、その魅力的な音色から特に
                 ルネサンス時代のヨーロッパでは、
                   楽器の王様として君臨し独奏から伴奏まで幅広く用いられました。
                   因みに現在のギターはこの楽器の親戚に当たります。
  

          


 ウード ’úd(アラビア諸国)

  ペルシャのバルバトと言う楽器が7世紀頃アラビアに伝わり
  それ以後現在に至るまでトルコや中近東、それに北アフリカのイスラム諸国等で
  演奏され続けてきた民俗楽器です。
  千夜一夜物語の中にもウードを弾く歌姫の話が出てきます。
  弦は複弦で5~6コース有り、プレクトラムで弾いて演奏します。
  現在、指板にフレットは巻かれていませんが、
  初期にはフレットが有ったと言う研究者もいます。
  この楽器はイスラム時代のスペインを経由して他のヨーロッパ諸国に伝わり
  リュートに変って行きました。
  下図右はアルフォンソ賢王(1221~1284)が編纂したサンタマリア頌歌集
  に含まれている挿図です。
  ウードと形が似ている日本の琵琶は、バルバトが東方に伝わって変化した楽器です。

 
                            


 阮・ルアン Ruan  (中国)


  日本でも一時流行した「月琴」と同じく、晋代の直頸長棹琵琶「阮咸
  の現代版とも言うべき楽器です。大、中、小三つのサイズがありますが
  これは中サイズの楽器です。指版にはギターのフレットに当たる
  木製の「品」が19個付けられています。
  調弦方法は琵琶とは異なり4度と5度音程のみを混ぜた方式を採っています。
  琵琶が右手の五指を全て用いて演奏するのとは異なり、小さなピック状の撥を
  使って演奏します。









 中国琵琶 ・ピパ Pipa  (中国)

   
ペルシャ起源の四弦の撥弦楽器がシルクロードを通って中国に伝わった楽器です。
   唐の時代には大流行し遣唐使により日本にももたらされました。
   正倉院には当時の楽器が五弦琵琶と共に保存されています。
   中国ではその後改良?または改作され、現在のような構造を持つように成りました。
   胴には花梨、紅木、紫檀などの硬木を用い、逆に表面板は柔らかい桐で作られています。
   指板には「相」と呼ばれる水牛の角で作られた山形のフレットが六つ付けられ
   表面版の上にも18~30程の「品」と呼ばれる竹製のフレットが取り付けられています。
   因みに唐の頃の琵琶はフレットが四つか五つでしたが、
   明代にはフレットが14にまで増えたそうです。
   左画像の楽器は六相23品、つまり29フレット付けられています。
   演奏法も最初の頃は楽器を横に構えて撥で弾いていましたが
   (日本の楽琵琶は今でもその演奏スタイルです。)
   やがて楽器を立てて構え、指の爪で演奏する様に成りました。
   現在では、弦の材質が絹からスチールに替わった事もあり
   義甲(付け爪)を爪に貼り付けて演奏します。付け爪をして演奏するのは
   日本の箏も同じですが、ピパの場合は手の甲側の部分で弦を弾くのが特徴です。
              
   

 
 薩摩琵琶
 (日本)

  
  
  九州に伝わった盲僧琵琶を16世紀前半、時の薩摩藩主が楽器を改良し、
  武士道精神を高揚するために藩士たちに奨励したのが始まりだそうです。
  明治維新の頃からは薩摩藩士の演奏により、全国的に知られるようになりました。
  
  本体の材料は桑の木が最良とされています。
  本来の楽器は四弦四柱ですが、近年は現代音楽で用いられる事も
  多いので五弦五柱の楽器の方が一般的な様です。
  撥は黄楊が一般的で、とっさの場合には武器にもなる様な大きな物です。
  また撥で表面板を打ち付ける奏法は、薩摩琵琶の特色の一つです。





               


        
(上が筑前琵琶 下が薩摩琵琶用の撥)








 筑前琵琶 (日本)

  
  薩摩琵琶と同じく盲僧琵琶の流れから出た琵琶の一派ですが、
  伝来以来北九州で細々と語り継がれていました。
  しかし明治の中頃に橘旭翁らが出て、東京を拠点として
  鑑賞に堪える琵琶楽を創作したので、薩摩琵琶と共に全国的に広まりました。
  
  楽器の表面板は平で、桐の木を使うのが薩摩琵琶と違う所です。
  四弦五柱が初期の形態ですが、こちらも音量がより大きい5弦の楽器が
  一般的になっているようです。
  撥はやはり黄楊製ですが薩摩琵琶よりも小型です。
  因みに三味線が九州に伝来した時、筑前琵琶の撥で演奏したので
  三味線の撥が現在の様な形になったそうです。
  左の楽器の乗弦(承弦=ナット)と三番目の柱は自作です。




 グンブリ Guembrie  (北アフリカ)

 
  亀の甲羅の腹の部分に革を張った共鳴胴に
  棹を差し込んだだけの大変シンプルな楽器です。
  甲羅が小さい割には結構大きな音が出ます。
  本来は撥弦楽器ですが、弓奏楽器としても演奏可能です。
  棹の先頭部分がペグボックスとなり
  三方から差し込み式のペグが取り付けられています。
  ブリッジは曲がった小枝を用いています。
  現代でもエジプトやモロッコ等北アフリカで使われているこの楽器は
  成立当初の形態のまま変わっていないようです。
  亀の甲羅を共鳴胴に用いた楽器はすでに
  ギリシャ時代のホメロスの詩の中に出てきますので
  紀元前から使われていたのは間違い有りません。
  その後現れる様々な長棹三弦楽器のルーツは
                 このような楽器だったたと思われます。


 グンブリ Guembrie  (モロッコ)


  亀の甲を共鳴胴に使用した上の楽器が進化(?)したタイプのグンブリです。
  一木から刳り抜いた共鳴胴に棒状の竿を取り付け一体化しています。
  3本の差し込み式のペグも、デザインが少し違うだけで、上の楽器とほぼ同じです。
  棹の先端が胴体を貫いておらず、所謂スパイクフィドルと
  一木作りの楽器の中間的な形態をしています。









  表面皮は胴体を包む様に張られています。
  3本の弦は胴体の下端に開けられた穴から
  棹の先端に結び付けてあります。
  










 コラ Cora  (西アフリカ)

  
 

    
コラは本来、西アフリカのセネガルやマリで「グリオ」と呼ばれる吟遊詩人が
    用いる楽器です。
瓢箪を半分に切って切り口に皮を張り、中央に
    弦を張る為の長い棹と、その両側にブリッジを支え、
    また演奏の時に両手を保持する為の短い棹が取り付けられています。
    表面皮には子安貝の飾りが施されています。
    この楽器はミニチュアなので8本しか張られていませんが
    本来の物には20本以上の弦が張られます。
    楽器の表面と向かう合うように構えて、両手の親指と人差し指を使って演奏します。
    棹があることから言えばリュート族ですし、
    開放弦しか弾かない所はハープと似ています。
    出る音の感じからするとハープ族により近い楽器です。

    
   



 セタール Setar (イラン)

   イランの代表的な撥弦楽器です。文字通り訳せば「セ→三 タール→弦」と言う意味なので、元々は
   三弦の楽器だった様です。19世紀末にドローン弦が一本追加されましたが
   機能的には現在も三弦楽器です。
   リュートやマンドリンの様な貼り合せの半丸胴に真っ直ぐで細長い棹が付けられ
   金属製の弦が張られています。
   棹には普通24の可動式のフレットが巻かれています。
   フレットの間隔は平均率ではなく、イラン独特の音律に合わせてあります。
   ペグとペグボックスの構造は大変素朴で、棹に開けた穴に差し込んであるだけです。
   多くの撥弦楽器は撥を用いますが、この楽器は指で、しかも人差し指のみで演奏します。
   因みに中央アジアから中近東にかけての地域で多くみられる同種の楽器
   例えば、ウイグルのドタール(ニ弦楽器)やトルコのサズ(三コース楽器)は
   セタールが変化した楽器だと云われていますし、
   インドのシタールもセタールから派生した名称だと云われています。
   中国の三弦や日本の三味線などもこの楽器がルーツだ、とする説もあります。
  
   


 タール Tar (イラン)


      17世紀にはすでにこれと良く似た形の楽器があった様ですが、
      現在の形に成ったのは18世紀の中頃だと言われています。
      桑の木を8の字形に刳りぬいた胴には、羊の胎児の皮が張られています。
      その胴に取り付けられた長い棹には28本のフレットが巻かれています。
      ブロンズ製の弦とスティール弦を混ぜて3対の弦が張られています。
      「タール」とは前述の様にペルシャ語で「弦」の事を意味しますので、
      文字通りイランの代表的な弦楽器です。
      サイズや、共鳴弦の有無の違いはありますが
      ほぼ同型の楽器がウズベキスタンやアゼルバイジャン等、イランの周辺国でも使われています。
 
      因みに西アジアや北アフリカ諸国で「タール」と言えば片面の枠太鼓を意味しますので
      混同しないようにする必要があります。
 



 コムズ(クムズ)Komuz Comuz(キルギスタン)


  キルギスタンの民族楽器です。
  ペグボックスとテールピースに特徴があります。
  (別項で詳しく説明しています)
  ナイロン又はガットの弦が3本張られ
  両サイドの弦が同音高で、真ん中の音はその音から
  それぞれ4度と5度の間隔に成ります。
  つまり三味線の本調子で、一の糸と三の糸の高さが同じと云う事です。
  フラメンコギターの様に右手の全ての指を使って演奏します。
  また背中側に構えて演奏するなど曲弾きも行われる様です。
  
  なお江戸時代の日本に、これとよく似た楽器が齎されていた事が記録に残っています。
  「琉球製蛇皮線」として紹介されている楽器は4弦で胴が皮張りですが
  中国で「胡不児~コブジ、胡撥四~コブス、火不思~カフシ」とばれていた物と全く同じです。
  これらの名称はコムズが中国語表記されたものだと思われます。
  

  
  




 タンブール Tanbur (トルコ)



 
  トルコの伝統的古典音楽で用いられる撥弦楽器です。
  リュートの様な丸い貼り合わせの背面に、松の表面板を張り、
  長い棹を取り付けた構造です。演奏弦長は103cm103cmもあり、フレットは実に60に及びます。
  トルコの古典音楽の様々なマカームに対応するにはこれだけ必要なのですね。
  弦は複弦(二~三本)で3コース有り、各弦間の音程は4度と5度に調弦します。
  1コースはスティール製、2コースは銅製、
  3コースは銅製とスティール製がオクターブで調弦されます。
  この弦の貼り方はイランの「タール」と同じなので、その関係が伺えます。
  サズやウードと同じくプレクトラムで演奏しますが、
  タンブール用の本格的なプレクトラムは分厚い鼈甲製で、弦に当てる角度も違っています。
  その響きから言うと、「サズ」よりもこちらの方が「ロングネックリュート」と呼ぶに相応しいと思います。

  なお同じ名称の楽器は、西アジア、中央アジアから中近東にかけての地域にもあります。









 サズ Saz (トルコ)

  中央アジアから中近東にかけての地域で見られる、長い棹を持った同種の楽器のうち
  トルコやイランで用いられている民族楽器です。
  サイズによって小型がジュラ、中型がバーラマ、大型がディワン等、呼び名が異なります。
  一般的なのはバーラマで、サズ全般の名称としても使われる場合もあります。
  桑の木の刳り抜き胴に表面板を張り、長い棹を取り付けた構造で
  弦は複弦(二~三本)で3コース有り、ウードと同じくプレクトラムで演奏します。
  中世の頃ウードやケメンチェと同じルートでヨーロッパにもたらされ
  サラセンギターやロングネックリュートと呼ばれて用いられた様です。
  これとよく似た楽器がアルフォンソ賢王(1221~1284)が編纂した
  サンタマリア頌歌集に含まれています。(下図左) 
  
  下図右は16世紀にヨーロッパで使われていたコラッショーネ(伊)と言う楽器ですが、
  明らかにサズの子孫だと思われる形状をしています。
                     



 バグラマ  Baglama (ギリシャ)

 
   楽器も名称もトルコに因む楽器です。
   トルコで生まれ育ったギリシャ人が、強制的にギリシャに移住させられた後に
   作った楽器だそうです。
   トルコで中型のサズの事をバーラマと呼びますが
   ギリシャではミニチュアサイズのこの楽器がバグラマと呼ばれています。
   胴体はマンドリン型で、複弦3コース、弦はスチール製です。
   フレットは金属製でギターと全く同じです。
   因みに同種の大型の楽器が、ギリシャの代表的な民族楽器である「ブズキ」です。

 






バラライカ (Balalaika) ロシア

 
ロシアの代表的な民俗楽器で、画像の様に共鳴胴が
  独特の形をしています。様々な民族楽器の中でも
  三角錘形はこの楽器独自のものです。
  形の由来に関しては色んな説があるようですが、
  製作がより容易な為、と言うのが一番一般的な説です。
  17世紀頃から民衆の間で用いられていた「ドムラ」
  と云う楽器から派生したもので、19世紀末に現在の様な形態に
  改良されたそうです。
  本来は3弦の楽器ですが、左の楽器は複弦3コースで6本弦の
  亜種楽器です。
  バラライカのみによる合奏の為に、大小5つのサイズがありますが
  これは一番小さな「プリマ」と呼ばれるサイズの楽器です。
  本来の調弦はナイロン弦の低音2本を同音のE、
  スティール弦の高音をAに調弦するのが一般的ですが、
                                私は各コースを4度調弦にしています。
                                 右手の人差し指で掻き鳴らす奏法が基本ですが、親指を用いる事もあるようです。


ウズベク・ルボッブ(Uzbek・Rubob)ウズベキスタン
 

          
  ウズベキスタンの代表的な民俗楽器一つです。
  ウイグルのカシュガルから伝わった楽器だと思われているからでしょうか
  カシュガルのルボッブと呼ばれる事もあるそうです。
  逆にウイグルの方ではこれと殆ど同種の楽器を、ウズベキ・ラワープと呼んでいます。
  (ルボッブもラワープも、ペルシャもしくはアラビアを起源とする
   胴に皮が張られた棹の有る弦楽器、ラバーブ又はルバーブが訛ったものです。)
  弦は金属の複弦が2コースと低音ドローン用のナイロン弦が一本張られています。
  フレットもギターと同じ方式で24ケ所に取り付けられています。(セタールと同じ数です)
  小さな胴はウード等と同じく張り合わせで出来ており、表面には子牛の心臓の皮が張って有ります。
  (因みにウズベキ・ラワープは蛇皮です。)
  胸の上で殆ど水平に構え、左の画の右下に見える様小さな撥で演奏します。
  この楽器は中国本土から14~5世紀に琉球にもたらされた三線(蛇皮線)
  のルーツの一つだといわれています。
  と言うことは日本の三味線の先祖にも当たる訳です。
           左の画の実物は、私の知人(サマルカンド大学の日本語科教授)が
           現地から持ち帰ってくれた物です。
           かつてシルクロードの真珠と呼ばれた町から、その終着地である奈良へ届いた
           珍しくも貴重な楽器です。
  


ドタール(Dotal)中国新疆ウイグル自治区

   
   ウイグル族の代表的な撥弦楽器です。
   「ド」とはペルシャ語で2、「タール」とは弦、を意味する言葉で
   楽器の名称通り、2本の絹弦を持った楽器です。
   撥は使わずに、右手でギターのラスゲアード奏法の様な動きで演奏します。
   金属弦を持つイランの「セタール」と大変よく似た特徴を持っているので
   シルクロードを通しての関連が窺えます。
   トルコの「サズ」等とも大変近しい親族楽器です

  
 











ドンブラ(トンブラ) (Dombra,Tombra) カザフスタン


   
カザフ族の代表的な撥弦楽器です。
   楽器の名称の「ドンブラ」の「ドン」とは楽器の音を、
   また「ブラ」は調律するという意味だそうです
   白樺を刳り抜いて作られた胴と竿は一体型で
   遊牧民が持ち歩けるように軽い作りに成っています。
   弦はナイロン製で、2弦の音程は4度又は5度に調弦します。
   この楽器は18のフレットが巻かれています。
   撥は使わずに、右手の親指と中指でメロディーを奏でたり、2弦を同時に掻き鳴らしたりして
   独奏や、弾き語りの伴奏等に用いられます。
   イランの「セタール」やウイグルの「ドタール」、キルギスタンの「コムズ」等とも
   大変よく似た特徴を持っているので、その関連が窺えます。
  













 カシュガル・ラワープ (Kaxgar・Rewap~什熱瓦普)中国新疆ウイグル自治区
          
   
ルワプとも呼ばれるこの楽器は「ドタール」と同じく、ウイグル族の代表的な撥弦楽器です。    
スチール製の弦が5本(7本の物もあります)張られていますが、
   一見ウズベク・ルボッブと大変良く似ている様に見えますが
   いくつかの相違点があります。
   まず、胴の形が半丸ではなく球状である事、またフレットが金属の填め込み式ではなく
   棹に巻き付けられている事、胴に蛇皮を用いている事等が異なっています。
   二胡や三弦等、中国では楽器の皮には蛇を用いるのが一般的で
   その伝統が日本の三線にまで引き継がれています。
   胴や棹の装飾もより複雑で凝った造りになっています。
   調弦は複弦仕様ではなく、それぞれ異なる音高に調弦します。
   胸の上で水平に構え、小さな撥で演奏するスタイルはウズベク・ルボッブと全く同じです。
   第1弦(単弦)でメロディーを演奏し、他の4本(6本)はドローンやリズム用になっています。
   ルボッブにも胴の直ぐ上に付いている角のような、又は羽のような部分は
   音響的には殆ど意味の無い物だと思えますが、なにか楽器の由来を示しているように思います。
             パミール・ラバーブやインドのスルスリンガール、それにチベットのダムニャンなどは胴の上に
            出っ張りがあります。それらとの関係楽器である証なのか、
            又はアフガン・ラバーブの括れを真似ているのか
            はたまた、イランのタールの様な8の字形の胴を持つ楽器からきているのか、
            色んな楽器との関連を考える事が出来ます。

  

タジク・ラワープ~ルォワフ (Tajik・Rewap~汰爾奇熱瓦甫)中国新疆ウイグル自治区


  

   中国新疆ウイグル地方のタジク自治県に住むタジク族の楽器だと思われます。
   カシュガル・ラワープとの共通点もありますが、それより大きめの胴に、山羊の皮が張られています。
   弦も本来は絹を用いるらしいですが、この楽器にはスチール弦が8本張られています。
   その為指板の幅もより広く成っています。本来フレットは無いそうです。
   また糸倉の形状が全く逆でこちらは、チベットの「ダムニャン」に似た方式を採用しています。
   小さなピックを使っての奏法はカシュガル・ラワープと同じです。
   楽器全体に、所謂ウイグル文様が繊細に施されています。
   











 アフガン・ラバーブ(Afghan・Rabab)アフガニスタン


  アフガニスタンでは主にパシュトゥーン族が用いている民俗楽器ですが
  パキスタンやインドのカシミール地方でも使われています。
  胴と棹の部分を一木から刳り抜き、螺鈿細工で装飾された指板と皮が表面に張って有ります。
  旋律用の弦が三本と低音ドローン用の弦が2本張られています。
  カシュガルのルボッブとは逆に、旋律用にナイロン弦、ドローン用に金属弦を使っています。
  また胴の横についている多くのペグは共鳴弦用の物で、左の楽器の場合は13本有ります。
  棹には巻き付け式のフレットが四本付けられています。
  ギターの様に膝の上に楽器を置き、木製の小さな撥で演奏します。
  この楽器はインドに伝わり、共鳴弦はそのままで、フレットが無くなり
  弦も金属を使用するサロードに変化したそうです。
  ニュッケルハルパの項で、共鳴弦はヴィオラダモーレの影響で付けられたと
  書きましたが、ヴィオラダモーレの共鳴弦はサロード等、東洋の楽器の影響を受けて
  付け加えられたそうです。つまりアフガニスタンとスウェーデンの楽器が、
  共鳴弦を通して関連が有った事になります。またどちらの楽器も旋律用の弦が3本と
            低音ドローン用弦を持っている所も不思議な共通点です。
            アフガン・ラバーブは、ペルシャのバルバトと同じく日本の琵琶とも
            関係が有る楽器だと言う事です。琵琶との関連から言えば正倉院の楽琵琶や平家琵琶には
            アフガン・ラバーブと同じく、四本の弦と四つの柱(フレット)が付けられています。
            
            左上の楽器は2005年当時、奈良女子大学附属中等教育学校の先生をしておられた
            中道貞子様がカブールで入手してくれた物です。
            長く使い込んだ形跡のある楽器で、あの戦乱を無事潜り抜けて来た貴重な到来品です。


 サロード (Sarod) インド


   シタールと並ぶ北インドの代表的な撥弦楽器です。
   この楽器には主演奏弦が4本、高音ドローン弦が2本、そしてサワリを持つ共鳴弦が4本、
   普通の共鳴弦が13本
、計23本もの金属弦が張られています。(共鳴弦の数は楽器によって違います)
   指板が金属板で被われている事と、フレットが無い事を除くと上記のアフガン・ラバーブと
   大変良く似た形状をしています。(ボディはアフガン・ラバーブよりも一回り大きいですが)
   この事はサロードがアフガンラバーブから派生したとの説を裏付けているように思えます。
   しかし古代インドのヴィーナーが起源だと言う説や
   ペルシャのラバーブが変化した物だと言う説もあります。
   恐らくそれぞれの楽器が北インドに入って、その地の音楽表現に適するように
   変化してきたのでしょう。シタールはミズラブ(針金製の爪)を右手の人指し指にはめて演奏しますが
   こちらはジャヴァーと呼ばれるプレクトラム(ピック)を用い
   左手の指の爪先で弦を押さえて音を取ります。
   フレットが無いのでグリッサンドが効果的な楽器です。
   なお糸倉の裏に瓢箪や真鍮製の共鳴器(トゥンバーが取り付けられた楽器もあります。
   

 ダムニェン・ダムニャン (Damnyan・Sgra Snyan) チベット

  「ダニェン」とも「ダーニェン」とも呼ばれるチベットの民族楽器で
  そのチベット名は「美しい音」と言う意味だそうです。
  イランの「セタール」がルーツだと云われていますが
  中央アジアと東洋の撥弦楽器の両方の特徴
  (複弦で皮張り胴、しかしフレットは無く、大きな糸巻き)
                         を持った興味深い楽器です。
                         桃や檀木の木を刳りぬいて作られた胴に
                         山羊やニシキヘビの皮が貼られています。
                         弦には以前は羊腸弦を用いていたようですが、
                         最近ではバドミントン用のガット(化学繊維)を使うのが一般的に成っているそうです。
                         私は三味線用の絹糸弦を張っています。
                         (因みにこの楽器は三味線の先祖の一つでもあります。)
                         複弦3コースで、最も一般的な調弦は三味線の所謂「三下がり」と同じですが、。
                         三味線の三の糸に当たる音が1オクターブ低く成っています。
                         しかし高いままの調弦や他の調弦方法を採っている地方もあるようです。
                         撥は動物の骨や竹片で作られ、胴の下部に紐で結び付けられています。
                         この方法はトゥングナやデムも同じで、演奏中に撥を手放しても
                         又、直に持つ事が可能です。それに小さな撥を失くす心配がありません

                       
  
   上の画像は楽器の棹と胴に取り付けられている金具です。
   これに肩掛け紐を取り付けて右肩に楽器を吊るします。 
 
  






 トゥングナ(Tungna) ネパール

                          ネパール北西部のドルポ地方で用いられている民族楽器です。
 丸い胴としゃもじ形の棹の部分はレベックの様に一木から刳り抜かれています。
 胴には山羊の皮を貼り、棹の下半分は板でカヴァーをしています。
 (棹のフレットは私が試しに巻いたものです。)
 楽器が蓮の葉模様で装飾されているのは、この地方がチベット文化圏(仏教文化圏)
                        に属するからだと思われます。
 
      1999年に公開された映画「キャラバン」は、ドルポ地方の人々と
      チベットとの壮絶な交易の様子を描いたものですが
      その中にもこの楽器を演奏する場面が出てきます。
      
      またペグボックス(糸巻き部)獅子(ライオン)の彫刻が
      この楽器の際立った特徴です。(左画像)
      チベットにはダムニャンと呼ばれるこれと良く似た楽器が有りますが
      獅子の彫刻は施されていません。
      チベット文化圏とは言えネパールでは
      隣国インドの獅子のイメージが定着していた証しでしょう。
     


 ドタル(Dotar) インド

  インドの西ベンガル地方やバングラデシュで主にバウルが伴奏楽器として
  用いる楽器です。
  バウルとはこの地方独特の異端の宗教的伝統を持つ吟遊詩人で
  ドタルやエクタラ(一弦琴)の伴奏で彼らの神秘主義的な
  哲学を歌い語る人の事です。
  ドタルとは本来二弦の楽器の事なのですが

  何故か四弦を持つこの楽器の名称になっています。
 
  恐らくドタルが単に撥弦楽器を指す言葉だと
思った人によって
  付けられたか、もしくは初期には二弦の楽器だったからなのかも知れません。
  なおややこしい事に調弦は真ん中の二つの弦が同じ高さなので
  実質的には三弦の楽器なのです。
  三弦と言えば、この楽器は一木を刳り抜いて作られており、背面から見ると
  ヨーロッパのレベックとそっくりです。



 デム(Döm) 

           

 中国の雲南省やそれに国境を接するベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー等では多くの
 いわゆる少数民族の人々が暮らしていますが、この楽器は主にアカ族、リス族、ラフ族
 等の人達が使っているものです。デムと云うのはアカ族の呼び方で、リス族はシュブ
 タイではピン(Ping)、中国本土では小三弦と呼ばれたりしています。
 他にも同型の楽器が、それぞれの民族でいろいろな呼び方がされているようです。
 蛇の皮が貼られた小さな丸い胴は棹と接着され一体化しています。
                         弦はスチール製、堅木製の撥(ピック)は本体に紐で結び付けられています。
                         こうしておけば小さい撥を失ったり、忘れたりするリスクがなくなります。
                         形態から見てもこの楽器が、三味線の直系の先祖である事は一目瞭然です。


ウクレレ(Ukulele) 


 名前を聞いただけでハワイを連想する程有名な民族楽器です。
 19世紀の後半に、ポルトガルからハワイに来た移民が作った「ブラギーニャ」と言う楽器が、ウクレレのルーツだと云われています。
 
20世紀初頭には「ウクレレ」として生産され始め民衆に広まって行きました。
 今ではハワイアン音楽には切っても切れない楽器として、日本でも人気のある楽器の一つです。
 弦はナイロン製で4本、ペグは下からギアー方式の差し込み式が一般的です。
 調弦方法が独特で、左の写真の上からソ、ド、ミ、ラ、と合わせます。音高順だとド、ミ、ソ、ラと成ります。
                        つまりギターの様に低音から順に高い音には成っていないと云う事です。
                        この調弦方法がウクレレ独特のサウンドを生み出す要素の一つに成っています。
                        「ウクレレ」の命名にはいろんな説があるそうですが、その中の面白い一つの説が「ウク~蚤」「レレ~跳ぶ」の合体と云うのものです。
                        


                           
 三弦 (Sanxian サンシェン) 中国

  二胡や琵琶程は知られていませんが、中国の代表的な撥弦の民族楽器です。
  楽器の成り立ちに関しては、中央アジアの楽器(例えばルボッブやラワーブ)が
  中国に伝わって変化したと云う説と、秦の時代の楽器が改良された、と云う説が
  有ります。どちらにせよ宋や元の時代に使われ始め、明代になって全国的に
  普及したようです。
  紅木やカリンの木で出来た胴の両面にニシキヘビの皮が張ってあり
                         楠木の棹が差し込み式で取り付けられています。
       (小三弦 )             胴が分厚いので三線や三味線よりも持ち重りがします。
                          大、中、小の三種類があり、小三弦でも全長約90cmで、
                         大三弦になると1m20cm程もあるそうです。
                         弦に関しては絹糸の場合と金属製の場合があり、
                         竹や骨で作った小さな撥で演奏します。低音弦にサワリは施されていません。
                         大は中国の北部、中は中部、小は南部地方で用いられる事が多いそうで
                         恐らく琉球には小三弦が伝えられ、それが三線に変わったのだと思われます。
                         三線が少し小ぶりに成ったのは演奏者の体格と、その地方の歌の音域に
                         関係があると思います。
                         なお邦楽の世界で三弦(さんげん)と呼ぶのは三味線の事で、
                         この楽器の事ではありません。
 

 三線(サンシン) (日本・沖縄)

  中国の小三弦が琉球時代の沖縄に伝わって変化した楽器です。
  はっきりとした到来年代は確定出来ないそうですが、
  琉球にもたらされたのは14世紀末から15世紀の初頭だと云われています。
  三弦と比べて棹が少し短く成り、そのかわり胴は大きな物に改造されました。
  水牛製の爪(撥)を、持つのではなく人差し指の先に嵌めて弾くのが
  他の撥弦楽器と一寸違う所です。日本本土では胴皮の材質から蛇皮線と
                          呼ばれる事もありますが
                          本来はサンシンが正しい呼び方です。
                          最近では「島歌」や「涙そうそう」の流行で
                          本土でもすっかりポピュラーな楽器として定着しました。


                          
 三味線 細棹 (日本)

   三味線は、永禄年間(1560年頃)に琉球からもたらされた三線(蛇皮線)が
  日本風に変化した楽器です。胴に張る皮が錦蛇から猫に、
  また演奏に使用する撥も、水牛製の爪(撥)から、象牙や鼈甲製の大きな物に
  替えられました。大きな撥になったのは到来当初、琵琶の撥で
  代用した結果だそうです。
                         1600年頃までには、ほぼ現在の形に成っていた様です。
                         三味線には大きく分けると地歌用(三弦・中棹)、
                         人形浄瑠璃で使われる義太夫用(太棹)
                         そして歌舞伎の中で使われる長唄用(細棹)の三種類が有ります。
                         最近脚光を浴びている津軽三味線には太棹が使われています。
                         民俗楽器として三味線を見ると、一番太い弦にサワリ(開放弦が少しビリつく構造)
                         を持つ事、そして胴に張る皮として猫皮(最近は犬や化学製品もある)を使うことが
                         特徴と成っています。


 ゴシックハープ Gothic harp(英)


  ハープ型の楽器は紀元前からの古い歴史を持っていますが
  ヨーロッパでは中世の頃から用い始められました。(下図左・サンタマリア頌歌集より)
  ゴシックハープはそれより少し大きいタイプの
  ルネサンス時代に用いられたハープで、通常24本程度の弦が張られており
  弦止めの部分にさわりの為の木片(ブレイ)が付いているのが一般的でした。
  全音階に調弦してあるので、演奏できる曲の調性に限度が有りました。
  弦はガットが普通だった様ですが、金属弦の楽器も有ったらしく
  同属のアイリッシュハープに受け継がれた様です。
  音楽学者のクルト・ザックスがこのタイプのハープを、ゴシックハープと名付けたので
  以後そのように呼ばれる事が多いですが、実際にはルネサンスハープと言った方が
  この楽器に即していると思います。
  やがてより広い音域と大きな音、それにどんな調でも演奏できる
  ペダル付のグランドハープに変遷してゆきます。


                   


 チェンバロ Cembalo(伊) ハープシコード Harpsichord(英) クラブサン Clavecin(仏)


  外観はグランドピアノに似ており、鍵盤を押して演奏する方法も同じですが、
  弦をジャックと呼ばれる爪で弾いて音を出す機構を持つ撥弦楽器です。
  因みに弦をハンマーで叩いて発音するピアノは、打弦楽器に分類されます。
  ルネサンス時代の初期から使われ始めましたが、バロック時代に最盛期を迎え、
  当時の大作曲家の殆どがこの楽器の名演奏家でした。
                        そのためソロやコンチェルト、またチェンバロを含む合奏曲など
                        膨大なレパートリーが残されています。
                        下図右はヴァージナルと呼ばれる四角いタイプの楽器で、
                        特にイギリス等北ヨーロッパで好まれました。

                


打絃楽器

 ンゴンゴ Ngo Ngo (コンゴ)

 人類が弓による狩猟を始めたのは
 約2万年前と云われていますが
 狩の道具としてだけでなく、その価値の高さから
 宗教儀式にも用いられました。
 そこで発せられる音が弓を楽器として用いるきっかけに
                             成ったものと思われます。
                             画像の楽器はアフリカのコンゴで今でも使われているタイプの楽弓です。
                             弓の弦にはスチール線を使っています。
                             この楽弓の場合は張力を加減して張れる様な仕組みに成っていますが
                             両端で固定してあるタイプの物もあります。

   共鳴胴用の瓢箪の台座として缶詰の空き缶を使っています。
   (この楽器は自作なので水羊羹の空き缶を利用しています)
   同種の楽弓であるタンザニアの「ンドノ」は台座として布を重ねて用いています。
   瓢箪のある方を下に左手で垂直に構えて台座の部分で区切られた所(ブリッジに相当)
   から上の部分を小さい棒で叩いて音を発します。
   瓢箪の開口部を体に押し付けたり離したりする事により音量、音質を変える事により
   リズムに変化を与えます。
   勿論指で弾いても音が出ますし、弓で擦っても(共食いならぬ共弾きですが)
   充分音が出ます。つまり楽弓はすべてのタイプの弦楽器のルーツであると云えます。



  因みに左の画像は日本の弓道の和弓です。





 ビリンバウ Berimbaw (ブラジル)


  ビリンバウは恐らくアフリカの楽弓が南米にもたらされて
  使われるようになった楽弓だと思われます。
  この楽弓は、ブラジルの「カポエイラ」と呼ばれるの格闘技の
  試合前に演奏される音楽に欠かせない楽器となっています。
  

  弓の材質はビリーバと呼ばれる木が最も一般的だそうですが
  私は京都の美山の檜を使って自作しました。
  台座は無く、瓢箪が直接弓と接触する、より素朴な形態です。

  構え方はアフリカの楽弓と同じですが、右手には撥とカシシと呼ばれる
  マラカスの一種を持ち、左手では弓の本体と同時に丸い小石も持ちます。
  撥で弦を叩く時に、左手の小石を弦に押し付けて
  弦長を変える事により、2種類の音程を出す事が出来ます。
  (小石の代わりに硬貨を使う事もあります)
  叩いた後で右手を振ってカシシでリズムを刻みます。
                  以上の音を組み合わせると、かなり複雑で
                  多様なリズムを奏でることが出来ます。



  上段は左から カシシ、小石、硬貨 
  バゲッタ(撥)も本来はチクンという特別な木らしいですが
  私は上から 木製、竹製、梅の枝製の物を使い分けています。
 







 サントゥール Santür (イラン)

 胡桃の木で作られた台形の箱に張られた弦(一つの音高に対して四本)を
 これまた胡桃製の撥(メズラブ)で叩いて演奏します。
 起源はペルシャ(インド説も有り)で10世紀頃にアラブの大音楽学者
 アル・ファーラビーによって現在のような形に改良されたと云われています。
 イスラム帝国の拡大と共にヨーロッパにも伝わり、次に紹介するダルシマー
                        に成ったと思われます。
                        つまりサントゥールはピアノの一番古い先祖に当たると云えます。
                        サントゥールの名称はサンスクリット語の「百の弦」に由来すると云う説が
                        一般的ですが、アラム語の「プサントゥリア」やアッカド語の「パントゥール」から
                        来ていると云う説もあります。
                        ともあれ現代のイランの楽器には四本X18組、計72本の弦が張られています。
                        ヴァイオリンは四本、ガンバでも六本ですので調弦の大変さは推して知るべしです。                                            
                        低音部用には真鍮製の、また高音部用にはスチール製の弦を用います。                                                    
                        こうする事により音域によって音質も変るので、同じ種類の弦が張られている
                        ダルシマーよりもより繊細で華やかな響きがします。
                        同じくイランの「タール」と云う撥弦楽器も真鍮とスチールの弦を交ぜて張っています。
                        ペルシャ絨毯の微妙で華麗な文様を生みだした人たちは、視覚だけではなく
                        聴覚も実に繊細だった様に思います。


 ダルシマー Dulcimer(英)
                                                                                   
   台形の薄型の箱に張られている弦(複弦二~六本)を下図の様に
   両手に持った小さなハンマーで叩いて演奏する楽器です。
   名称の由来になったdolce melos「甘美な響き」と言うギリシャ・ラテン語は残響が混じる
   独特の響きの事を指していたと思われます。
                      異論もありますが、イランのサントゥールがルーツだとの説が有力で
                      ヨーロッパでは中世の頃から使われるように成りました。
                      主に世俗音楽や民族音楽で用いられ、現在でもヨーロッパ各国、
                      特に東欧諸国等で演奏されています。
                      中国の揚琴やハンガリーのツィンバロンもこの楽器の一族です。
                      現代のピアノは、ダルシマーが最も複雑な構造に変化した楽器です。

                                  




管楽器

 リコーダーRecorder(英) ブロックフレーテ Blockflöte(独) フラウト ドルチェFlauto dolce(伊)
 フルート ア ベック( Flûte à bec(仏)

  ヨーロッパの縦笛の中で、八つ(前面に七つと後ろに一つ)の指穴があり
  ブロックによる発音構造を持つ笛をリコーダーと言います。
  リコーダーと言う名称については、英語のto record (記録する又は鳥のように歌う)
  に由来する説と、ラテン語のrecordari あるいはイタリア語のricordo(思い出す)から
  来ているとの説等が有ります。
  14世紀後半のリコーダーが現存していますが、広く用いられるようになったのは
  16世紀の初め頃からで、合奏用として左図のように様々な大きさの物が作られました。
  この頃の楽器は一木作りでしたが、バロック時代には2つないしは3つの部分に分ける事が出来る
  タイプが一般的と成りました。この事によりピッチや指穴位置の調整が容易になったと同時に
  持ち運びにも便利になり、大変人気の有る楽器と成りました。
  各国の呼び方が面白く、イギリスは使用方法から、ドイツは発音構造から、
  イタリアは音色から、フランスは吹き口の形状からと、それぞれのお国柄が出ている様に思います。
  バロック時代までは楽譜にフルートと指定があれば、殆どリコーダー用の事で
               横吹きフルートの場合はトラヴェルソ(横吹き)と明示されていました。
               日本では小学校の教育楽器としても用いられているので、最もよく知られたヨーロッパの古楽器です。


      


 クルムホルンCrumhorn(英) Krummhorn(独)

  楽器の名称はドイツ語で曲がった角笛を意味していますが
  実際には複簧(ダブルリード)の楽器です。
  左図の様にリードに被せられたウインドキャップから息を吹き込んで音を出します。(下図参照)
  リコーダーと同じく八つの指穴が有り、その音域は1オクターブと2度位です。
  ルネサンス時代(特に16世紀)にはいろんなサイズの楽器による
  合奏(ホールコンソート)が好まれた様です。
  その独特の音色はパイプオルガンの音栓(音色)にも取り入れられています。
  現代のオーボエはリードを直接口にくわえて演奏しますが、クルムホルンの同属楽器の一つです

                               


 葦笛


 

  葦を素材とした笛は世界各地に有りますが
  左図の笛はインド製で、吹き口の構造はリーコダー式に成っています。
  但し親指用の裏穴が無いので指使いはリコーダーとは少し違いますし、
  一本では限られたモード(調)の曲しか吹けません。    
  そのため演奏する曲のモードに対応する楽器が必要です。







ケーナ Quena (ボリビア・ペルー)

          
   

   ボリビアやペルーなどの南米諸国で演奏されている縦笛で、葦で作られるのが一般的です。
   特別にに竹製や木材製の物もあるようです。
   指穴は左の写真の様に、表に6つ、裏に親指用が一つ有るので、3オクターブ余りの音域をカヴァー出来ます。
   吹き口の構造はリコーダー式ではなく尺八と同じですが、切り口の形がU字形をしています。
   因みに左の楽器はボリビア製で、最低音はF#です。
   この楽器の音色の魅力をいかんなく発揮した「コンドルは飛んで行く」のメロディーで、
   日本でもポピュラーな楽器に成りました。

 






  

  (ケーナの吹き口)





ネイ(ナイ、ナーイ) Ney Nay Nai (トルコ、アラブ諸国)





   トルコやアラブ諸国で用いられる葦製の縦笛です。節が8つある事が必須条件だそうです。
   指穴はケーナと同じく、表に6つ、裏に一つ有るので音域も同じく3オクターブ余りです。
   演奏方法は尺八と同様ですが、吹き口に切り込みなどは無く、切りっ放しのままなので
   音を出すのが一番難しい管楽器と云われています。しかし熟練すれば、
   息の吹き込み方を変えることにより、トルコやアラブの古典音楽独特の微妙な音程や音色
   を出す事が出来る楽器です。
   左のトルコ製のネイの吹き口には、唇を当てるプラスティックのカヴァーが付けられていますが、
   難しさには変わりがなく、まだ吹きこなすには至っていません。
   様々な調に対応する為に、篠笛の様にいろんなサイズの楽器があります。
   写真はD調の楽器です。
  









 (ネイの吹き口)





 ティンホイッスル Tinwhistle(英)

  現在ではアイルランドの民俗音楽を演奏するのに欠かせない楽器と成っている
  ティンホイッスルは、6穴のブリキ製(現在は吹き口がプラスティクの物も有る)の
  縦笛で発音構造はリコーダーと同じです。
  19世紀にアメリカで大量生産され始め、安価に購入出来た事から
  ペニーホイッスルと呼ばれることもあります。
  前の葦笛と同じく一本では限られたモード(調)の曲しか演奏出来ないので
  いろんなサイズの物が有ります。
  
  左図の左端はブリキではなくアルミ管で出来た低音用の楽器です。





 骨笛 Benflöjt(瑞) Boneflute(英)

  
  骨で出来た笛は北欧のバイキング時代(8~11世紀)の遺跡からも、
  時々断片が出土する事が有ります。
  左図の笛は、羊の大腿骨が素材として使われた骨笛の複製で
  スウェーデン製です。
  骨笛の本来の発音構造がリコーダー式か尺八式か分りませんが
  この複製品は音が出しやすいようにリコーダー式に成っています。
  
  骨製の楽器と言えばチベットで宗教儀式に用いる
  人骨で出来たカンドゥン(rkan-dun)と呼ばれる管楽器や
  ガチュン(rna-ch'un)と言う打楽器があります。



ゲムスホルン・角笛 Gemshorn (英)

  
  ゲムスホルンは15世紀の半ばには既にイタリア、ハンガリー、ドイツ等で使われていました。
  1551年にドイツで出版された書物にはイラスト入りで載っています。
   山羊やアルプス羚羊の角で作るのが本来ですが、最近の物は殆ど牛の角で作られています。
   楽器の構造としてはオカリナと同じく閉管楽器(吹き口と指孔以外に開口部が無い)なので
   音域は普通1オクターブ+1音までしか出せません。
   元は合奏用の楽器ではありませんでしたが、古楽が盛んになるにつれてリコーダーの様に
   ソプラノからバスまで、4つのサイズの楽器が作られるように成りました。
   その柔らかな音色が好まれたのか、オルガンの音栓(ストップ)に一つに取り入れられています。



 スペールピーパ Spelpipa(瑞)


 
  スウェーデン製の7穴の縦笛で
  主にダーラナ地方で民俗音楽を演奏するために使われています。
  リコーダー式の発音構造や親指用の裏穴が無いところは
  上記の葦笛やティンホイッスルと同じです。
  スウェーデン語の名称を直訳すると、「演奏用の笛」という事に成ります。









打楽器

中世 サイドドラム  (Medieval sidedrum)

  
  ヨーロッパで中世の頃から用いはじめられた両面型の締め太鼓です。
  締め紐が直接皮に結ばれている、シンプルな構造です。
  下のルネサンス式の場合は両面に丸型の木枠や金枠を取り付けて
  それに締め紐を結ぶ構造に成っています。
  いずれにせよ、この構造を持つ太鼓は世界の様々な国で
  使われています。





 ルネサンス ロングドラム Renaissance longdrum(英)

  太鼓は世界中のあらゆる地域で古くから用いられています。
  音楽の基本的要素の一つであるリズムを刻む楽器ですが
  音の遠達性が優れている事から、通信手段の道具として使われる事もあります。
  左図はルネサンス時代に用いられた両面型の締め太鼓です。
  片面にスネアー(音を際立たせる為の障り用の弦)が付けられているのが普通で
  行進やダンスの伴奏には必須の楽器でした。
  
  下右図の様に脇で構えるので、サイドドラムと呼ばれることもあります。






                              


 タンバリン Tambourine(英)


  リコーダーと同じく、小学校の音楽の授業で使われているので
  誰でも知っている楽器ですが、すでに紀元前のエジプトでも使われていたそうです。
  小型の片面太鼓に、ジングルと呼ばれる一対の金属板を何組か取り付けた物が一般的で
  ヨーロッパでは中世以来ずっと使われ続けてきました。
  下図右はスネアー付のタンバリンも有ったことを示しています。

                                



 シンバル Cymbals (英)


  他の打楽器同様、シンバルも紀元前から使われていた古い歴史を持つ楽器です。
  手の平に乗る位の小さな物から、オーケストラで使う大鍋の蓋ような
  大きなものまでサイズも様々です。
  下図の様に円形の金属(現在は銅と錫の合金)板を、互いに打ち鳴らして音を出します。
  左図はインドのマンジーラー(manjirà)と呼ばれるフィンガーシンバルです。
 

                              


 ベル Bell (英)


  ベルもシンバル同様 紀元前から使われていた古い歴史を持つ楽器です。 
  最初は宗教儀式に用いられていた様ですが、ヨーロッパでは13世紀頃から
  メロディー楽器として、また基本的な音高(ピッチ)を示す器具として使われ始めました。
  下図左はアルフォンソ賢王(1221~1284)が編纂した
  サンタマリア頌歌集に含まれている挿図です。
  ヨーロッパの教会のカリヨンは、メロディー楽器としてのベルが進化した物です。


                                    


 鈴 Crotal (英)


  ベルの一種ですが、普通は小さな球形で中空タイプの楽器です。
  開いた口を持たないのでClosed bell(閉じたベル)と呼ばれる事もあります。
  左図はインドのグングル(Ghungru)と呼ばれる舞踏用の鈴です。
  ヨーロッパではモリスカというムーア風の踊りに使われました。
  (下図参照)
  サイズはずっと大きいですが、日本の神社の鈴も同属楽器です。
  
                              


 ジングルベル Jingle Bell Stick(英)



  クリスマスソングの伴奏に使う鈴です。
  
  日本の神社で巫女さんが使う御神楽鈴と同種の楽器です。












 カウベル CowBell (スイス)

 
  
放牧してある牛の居場所が分かる様に、
  またその牛が特定できるように
  牛の首につける鈴です。
  これはスイスの骨董市で見つけた物です。
 











 ダンダン (ドゥンドゥン)  Dundun (西アフリカ・ナイジェリア) 

   
   
一般的には英語名でトーキングドラムと呼ばれている両面太鼓です。
   太鼓の外周に両面を繋ぐ皮紐が沢山張られています。
   太鼓を脇に抱えてこの紐の張力を腕で調節する事により
   打撃音の音程と音色を変えることが出来ます。
   日本の小鼓と同じ方式です。
   太鼓の胴も一木のくりぬきで、小鼓と良く似た形状をしています。
   西アフリカでは国により、また部族によって様々な呼び方がされていますが、
   ナイジェリアでは「ダンダン」といえばこの太鼓の事です。
   なお「ダンダン」とは「甘い音」と言う意味だそうです。
   つまりこの太鼓の響きは打撃音というよりも人間の話し言葉
   に近いと認識されているのですね。
   普通の太鼓では簡単に得られないその表現力が
   トーキングドラムと呼ばれる所以なのでしょう。
   そして太鼓を伝達手段の楽器として考えた場合、
   当然より複雑な情報を伝える事が可能に成ります。
                    小さなサイズの楽器は「Gangan~ガンガン」とも呼ばれるそうです。
   
   

 ジェンベ  Djembe、Jembe、Jenbe、 (西アフリカ) 


   
西アフリカ一帯で古くから用いられている片面太鼓で
   日本ではジャンベと呼ばれることが多い様です。
   一木を刳りぬいた花瓶型の胴に山羊の革が張られています。
   次の項で紹介している、ダルブカやチャメリよりも大型で
   鼓面は30センチ、高さも60センチ近く有ります。
   肩から両足の間に吊るして演奏するのが本来の形だそうですが
   床に対して少し斜めに置いて演奏する事も出来ます。
   バチは使わず両手の平で演奏するのですが、叩く鼓面の位置によって
   低い音から高い音まで色んな音がます。その音の多様性から
   近年では伝統的な音楽に用いられるだけではなく、ロックやジャズ
   それにアフリカ以外の民族音楽にも使われるように成っています。





 ンゴマ・ンベンダ  Ngoma Nvenda (南アフリカ) 

   
   木製の花瓶型太鼓の一種で、「ンヴェンダ人の太鼓」と呼ばれるそうです。
   胴は本当の花瓶と同じく、底面が開いていません。
   同じ花瓶型でもジャンベやダラブッカは底面は開いています。
   胴に打ち込まれた5本の楔で、表面皮の張力を調節するのが
   他の太鼓にはない特徴です。
   高さが28センチと云うサイズから考えてミニチュア楽器かも知れません。
   しかし充分使用に耐える音が出ます。







 ンゴマ・シェンガニ  Ngoma Shangani (南アフリカ) 


  南アフリカの主要部族の一つ、ズールー族の太鼓です。
  太鼓に付いていた説明書によりますと、野生のインパラの皮で
  作られているそうです。 鼓面には厚さの違う皮が張られていますので、
  夫々音高と音質が少し異なります。
  胴の周りには毛皮が巻かれています。
  高さが24センチと小さいので、これも土産用のミニチュア楽器だと思います。
  因みに「ンゴマ・シェンガニ」とは「主要な太鼓」と言う意味だそうで
  確かに太鼓の形状としては一番一般的な形をしています。





 ダウル Davul(トルコ)


 
  トルコで民衆の踊りの伴奏に使われる両面皮の締め太鼓です。
  ブラスバンドの大太鼓程の大きさで、肩からお腹の前に吊るして、
  右手と左手に太い木の撥と、先細りの細い撥を持って演奏します。
  普通はズルナと呼ばれるダブルリードの楽器(オーボエと同類楽器)との組み合わせで
  用いられます。
  オスマントルコの時代は、メフテル(軍楽隊)には無くてはならない楽器でした。
  





 ダルブカ Darbuka(トルコ) ダラブッカ Darabukka(アラビア諸国)

           
  花瓶型の片面太鼓で、主に中近東や北アフリカのアラビア諸国で用いられている
  最も代表的な打楽器です。
  左図はトルコのダルブカで胴は真鍮製。
  皮の張力が調節出来る様にネジが取り付けられています。
  ドゥンベレキ(Dunbereki)と呼ばれる事もあります。



  下図は壺型の陶器に魚の皮が張られいるエジプトの楽器です。
  どちらの楽器も脇に抱えて、又は膝の上に載せて両手で演奏します。




 チャメリ Chameli(インド・アフガニスタン) 


 
   上のダルブカ等とほぼ同じ形状の片面太鼓です。
   皮の張力がネジで調節出来る構造もダルブカと同じです。
   この楽器は主にインド北西部のカシミール地方やアフガニスタンで用いられています。
   ジェンベと同じく一木から刳りぬいた胴を持つので
   金属製のダルブカ、やダラブッカよりも柔らかい響きがするように思います。
   






 ダフ Duff(インド)
                       
  最も一般的な片面の枠(短胴)太鼓です。
  ほぼ同じ楽器がトルコではテフ又はデフ、アラビア諸国ではダッフ又はドゥッフ、
  北アフリカではタールやベンディール等と、国によって様々な呼び方がなされています。
  大きさは直径20cm~60cm位まで色んなサイズの物が有ります。
  撥ではなく両手(指)で叩いて演奏します。
  皮の裏面にサワリを生む弦を取りつけた物(北アフリカのベンディール)も
  この楽器の変型です。
  枠にいくつかのシンバルを取り付けた楽器が
  ヨーロッパで用いられているタンバリンです。
  


 左は皮の代わりにグラスファイバーを張ったアメリカ製のタール。
 タールとは「弦」の事も意味するのですが、この大きなタールでは
 叩く位置によって音程の違いがはっきりと分かります。












 トン  Thom (タイ)

  
  一木を花瓶状に刳り抜いた胴を持つ片面太鼓です。
  次に紹介するラマナーと対にして用いる楽器で
  一人で両方を抱えて演奏するのが一般的です。
  ラマナーが高音を担当するのに対して、こちらは低音を受け持ちます。
  










  沢山の紐で使われていますが、そんなに強くは張られていません。










 ラマナー Rammana (タイ)

   

   タイの伝統的な片面太鼓です。
   ダフと似た形状ですが、木の枠は板を曲げた物ではなく
   一木から刳りぬいた物なので持ち重りがします。
   音は甲高いですがダフよりは少し低めです。
   沖縄のエイサーで使われるパーランクーも同系統の楽器です。
   どちらも革を鋲で留める方式は和太鼓と同じなので
   何か繋がりが有るのかも知れません。
   











 クローン ヤオ Krong Yao (タイ)



    
これもタイの伝統的な片面太鼓です。
     画像のように細長い花瓶型で山羊の毛皮が張られています。
     鼓面の黒丸は響きを調節する為に
     米とココナッツの灰から作った粉を溶いて塗ったものです。
     インドや東南アジアの太鼓にも同じ例が多くあります。
               肩から脇に吊るして素手で演奏する事も
               また床に立てて演奏する事もあります。

             
大から小まで色んなサイズをセットにして用いる事も有る様です。
               中国雲南省西部のタイ族の間では同型の太鼓を象脚鼓と呼んでいます。




 


 ダップ Dap (中国新疆ウイグル自治区)


      これはダフのウイグル版とも云うべき太鼓です。
      画像の様に枠の端まで羊の革で包んであります。
      羊ではなく錦蛇の皮が使われる場合もあります。
      枠の内側の周囲に下の画像の様に鉄のリングが
      取り付けられているのが特徴です。
      イランやトルコにも同じ様な太鼓があるので
      それが伝えられた物だと思われます。
      また枠にはウイグル独特のモザイクが施されています。
      アラブ諸国やヨーロッパではリングの代わりに小さなシンバルが                     
                           取り付けられた太鼓(リクやタンバリン)が用いられています。
                




パンデイロ Pandeiro(ブラジル)

    
    ブラジルでサンバやボサノヴァ等に使われるタンバリンです。
    普通のタンバリンではジングル(枠に取り付けられる金属円盤)は2枚一組が一般的ですが、
    細かいリズムを正確に刻むために、これは3枚一組に成っているのが特徴です。
    また下の画像の様に枠を調節可能なネジで止めているので、皮の張力を変える事が出来
    低音から高音までを1台でカヴァーする事が出来ます。
    この楽器には山羊の皮を使っていますが、最近はプラスティック製の物も増えています。
    カーニヴァルのパレードにも必須の楽器だそうです。
    













 バゥロン Bodhrán(アイルランド)

  円形の木枠の片面に山羊の皮を張った、アイルランドの民俗音楽用の打楽器です。
  普通は下図の様に一本の撥(場合によっては手)で叩き、もう一方の手で響きを調節し
  リズムに変化を与えて演奏します。
  北アイルランドやスコットランドでは、ボーランと呼ばれる事も有ります。
 
  このタイプの片面枠太鼓はアジアから中近東、アラビア諸国等で広く用いられていますが
  殆どは撥を使わず、両手で演奏するのが一般的です。
 
        
                               


 チャンゴ・チャング (韓国)


  韓国の宮中音楽や農楽(豊作を祈る舞楽)そして、
  その現代的な形態であるサムルノリで用いられる打楽器で、
  左面は牛革、右面に馬革が張られています。
  撥も画像の様に左右異なり、左面用に木の球が付いた物、
  右面用には少し長めの竹の撥を使います。
  当然音質も異なるのでこれを組み合わせて
  リズムに変化を与えます。
  一木を刳りぬいた胴の両面に紐で革を張る方式は
  日本の鼓や大鼓と全く同じです。
  


 
 ケンガリ(韓国)

 韓国の農楽(豊作を祈る舞楽)や、その現代的な形態であるサムルノリに
 用いられる真鍮製打楽器で、ケンガリチェと呼ばれる竹の槌で叩いて音を出します。
 その音は稲妻を象徴しているそうです。
 因みにこのケンガリは、京都の東寺の弘法市で偶然見つけました。


 (ケンガリチェ)







チン(チム)(韓国)


   ケンガリと同じく韓国の農楽や、その現代的な形態であるサムルノリに
   用いられる真鍮製打楽器で、所謂ドラの一種です。
   チンチェと呼ばれる大きな撥で叩いて音を出します。
   直径が40センチ余りもあり、ケンガリよりも低く長い余韻を持った響きで、
   その音は風を象徴しているそうです。







 和太鼓 (日本)

 
  文字通り日本の太鼓です。
  正式には筒型両面鋲留め太鼓と云います。
  胴に龍の彫り物が入っているので
  恐らく勇壮な祭りに使われた物と思われます。
  鼓面は馬革で、撥の種類によって微妙に音質が変わります。
  
  








  左側2本は檜製の撥。 
  その右が黒檀、右端は紫檀製の撥。
  いずれも自作です。










 でんでん太鼓 (日本)



  日本では楽器と云うより子供用の民芸玩具として
  最近まで使われていました。しかし楽器のルーツは大変古く
  中国の周代に同種の楽器が「とう鼓」と云う名で使われたいたそうです。
  それが奈良時代に雅楽と共に伝来し「振鼓」として用いられました。
  「ダマル」と呼ばれる同族楽器はチベットでは
  仏教儀式に欠かせない楽器としてまたインドやネパールなどでは
  放浪芸人が人寄せの楽器として使われています。
  



 (左は木と革で作られた日本製、中央はペルー製、右はプラスティックで台湾製)


 三板・さんば (日本・沖縄)


  黒檀や樫等の堅木片3枚を紐で繋いだ物です。
  画像の物は貝で螺鈿細工が施されています。
  片方の手の指の間に挟み、もう一方の手や指を使って演奏します。
  西洋のカスタネットの沖縄版といった感じの音が出ます。
  板が3枚なのでカスタネットよりも簡単にトレモロ奏法が出来ます。











その他の楽器


 ジューズハープJew'sharp (英) mungiga(瑞)



  日本語で口琴と呼ばれるこの楽器は、バイキング時代(8~11世紀)の遺跡からも
  時々断片が出土する事が有ります。
  名称の由来はジューズハープJew'sharp (ユダヤ人のハープ)であるとか
  ジョーズハープJaw'sharp (あごのハープ)等の説がありますが、はっきりとは分かりません。
  スウェーデン語では口のヴァイオリンと呼ばれています。
            金属製が一般的ですが竹や骨製の物もあります。 
           
           下図のように口に押し当てて細長い弁の部分を振動させ、それを口腔内の空気で増幅させるので
            体鳴楽器に分類されます。
            アイヌのムックリは日本版ジューズハープです。

                             


 カリンバ Kalimba (アフリカ)

  瓢箪を半分に切って厚い板を被せた胴に
  太い針金や釘を叩き伸ばした金属片を
  何本か取り付けてあります。
  その金属片の端を両手の親指で弾いて音を出します。
  そのため、英語では「Thumb-Piano~親指ピアノ」と
  呼ばれます。しかし本当はむしろ撥弦楽器に近い物です。
  同じアフリカの「サンザ」や「ヤリンバ」もほぼ良く似た構造をしていますが、
  共鳴胴として瓢箪の代わりに薄い木箱を使用します。
  骸骨の様なグロテスクな外見からは想像出来ないような
  可愛らしい音が出ます。


                    
 バードコール Bird càll(英)

  
  鳥寄せの為の用具で
  これは楽器の範疇には入らないかも知れませんが
  演奏会で効果音として使う事が出来ます。












楽器関連用品


 弓 

      カラデニス・ケメンチェ用
      毛の部分に馬の尾ではなく
      ナイロン糸の束を用いていますが
      松脂を塗れば充分使用に耐える物です。



          カバック・ケマーネ用
          毛の部分に馬の黒い尾を用いています。
          カラデニスケメンチェ用よりも現代の弓に近い形をしています。


      カマンチェ用
      ほぼ真直ぐな棒にゆるく毛が張られています。
      右手の中指や薬指で弓の張力を加減して演奏します。
      下の画像のトルコのケメンチェも殆んど同じ方式です。


  ケメンチェ用弓
  木の部分が少し湾曲している物。



  上から
  ケメンチェ(木の部分が真っ直ぐ)
 
  レバーブ(ラバーブ)
 
  レベック
  
  フィーデル用
  上の五点は毛の張力調節用ネジが付いていません。
  続いて
  トレブル・ガンバ
  バスガンバ(マレータイプ)
  バス・ガンバ用の弓です。
  17世紀の終わり頃にネジで可動式の
  フロッグ(毛箱)が登場しました。


  胡弓用
  軸の部分は竹製で二本接ぎになっています。
  弓の張り具合はガンバと同じく指で調節します。



   上から
   マセンコ用で曲がった自然木をそのまま利用しています。
   毛は自分で張りました。
   
   エジプトラバーブ用。手で持つ部分は細い紐を使っています。
   斑模様はチュニジアレバーブの弓とよく似ています。
   
   エスラージに附属して来た弓で、モダンのチェロ用弓と殆ど同じです。
   
   ニ胡用の弓で本来は2本の弦の間に毛を通して取り付けられてあります。
   
   クーチョー(沖縄胡弓)の弓。日本の胡弓程、毛の量は多くありませんが
                              やはりよく似ています。

   グスレのゆみです。独特の形をしているだけでなく、なんと毛の張力調節用の
   糸巻が付いています。




  ヘグム用の弓
  弓の毛の根元の部分が8時形に結ばれており
  皮のスリットに差し込まれています。
  この部分を抜いて2つの弦の間に弓の毛を通します。
  二胡がこの形式を受け継いで居ます。
  

       インドネシアルボブ用
       画像の様に独特の形状です。
       この形とゆるく張られた毛は
       弓の角度を大きく変えることなく
       2弦の楽器を演奏する為のものです。




        自作のサーランギ用の弓です。
        フロッグ(毛箱)の所を布で巻くのが特徴です。



 松脂


  
  弓の毛に塗る松ヤニは、擦弦楽器を演奏するために無くてはならない物です。
  高音楽器用は比較的明るい色
  低音楽器用は黒味がかった暗緑色が多いです。






 
 
  
  上から二本はバゥロン
  


  次の二本はルネサンスサイドドラム
  
  

  下の六本はダルシマー用の撥です。
  因みに一番下の二本は竹の菜箸で自作品です。









     
   トーキングドラム用の撥です。
   自然木を丁度具合良く曲げて
   作られています。
   
   



   メズラブと呼ばれる胡桃の木で造られたサントゥール用の撥です。
   ペルシャ語の文字の様にも見えますね。
   先にフェルトが巻かれた物もあります。






 ピック、撥 

  
  左上はウード用で材料はヴィデオテープのケースです。
  左下はサズ用で鼈甲の自作品です。

  右の3点は市販のギター用の製品でそれぞれ
  鼈甲製
  プラスティック製
  同じくプラスティック製で親指用のピックです。








  
  タンブール用のピック(メズラブ)。
  厚さが他のピックと比べて3倍くらいあり
  左端の斜めの部分で弦を切る様に弾く。



 
 サズ用の市販のピックで軟らかいポリエチレン製です。



 市販のウード用ピック(リーシャ)、
 こちらはプラスティック製。


 タール用のピック(メズラブ)。
 金属片(真鍮製)の右半分を蜜蝋で包んであります。


 中阮の撥。プラスティック製で四隅が薄く成っています。






 ウズベクルボッブ用のピック。アクリル板で作られています。
 滑り止めに自分で皮を貼り付けました。


 アフガンラバーブ用(木製)で楽器に比べて非常に小さい物です。


 自作のカシュガルラワープ用ピック(鼈甲製)。
 専門家が使っていた三角形のピックを参考にしました。



 同じく自作の三弦用撥(鼈甲製)。




 
   ジャヴァー(Java)と呼ばれるサロッド用のプレクトラム(ピック)です。
   ココ椰子の殻で作られてれています。象牙製のピックもあるそうです。





  中国琵琶(ピパ)の義甲(仮爪)です。
  右手の全ての爪の上にテープで貼り付けます。
  上は鼈甲製
  下はプラスティック製です。










   
   
筑前琵琶用の撥
   


   薩摩琵琶用の撥
   どちらもいずれも黄楊製です。









  
  三味線用の撥
    
本体は象牙で撥先は鼈甲です。








    
三線用の爪(撥・ピック)です。
     水牛の角製で右手の人差し指を差し込んで持ちます。
     他にも象牙製の物や、プラスティック製の物も有ります。
     形状はほぼ同じですがサイズは何種類か有るようです。
    







   
ドムの撥(ピック)は本体に紐で結び付けられています。
   硬い木で作られており銃弾の様な形状をしています。
   三線の爪との関連が窺える様に思えます。










 三味線と胡弓用の指掛け

 









 各種弦 (撥弦楽器用)

  左の列上からハープ用の
  ナイロン弦、ガット弦、
  フロロカーボン(フッ化ビニリデン樹脂)弦(釣り糸を転用)
  
  次の列は
  サズ用のスチール弦と金属巻き弦
  ダルシマー用のスチール弦
  
  その次の列はリュート用の
  ナイロン弦、
  ナイルガット弦(ガットと同じ性質を備えた化学素材による弦)
  フロロカーボン弦(釣り糸を転用)
  金属巻き弦 
  
  右端の列は上から
  チェンバロ用のスチール弦と真鍮弦
  
  一番下はリュートのフレット専用ガットです。
  (リュートやガンバ用のフレットには
   切れたガンバの弦を用いる事が多いですが)

   
   左上は三味線用
   左中は胡弓用(擦弦用)
   右上は薩摩琵琶用
   下は筑前琵琶用
   全て絹製
 













 各種弦 (擦弦楽器用)


  左上から
  ガンバ用ガット弦2種
  下は金属(合金)巻き弦

  右上から
  アルミ巻き弦
  銅巻き弦

  下は種々の弦のゲージ(太さ)を計るのに必須の
  マイクロメーターです。
  
  レベックやフィーデル用の弦は、ガンバやハープ用のガット弦から
  適当なゲージ(太さ)の物を選んで使用します。








 
 魂柱立て 

  
  上から
  トレブル・ガンバ用と
  バス・ガンバ用の
  魂柱立てです。
  

  下の2点は本来は歯科医が用いる鏡ですが
  魂柱の接触面を確認する為に使います。
  知り合いの歯科医に譲って頂きました。





 革(牛)

  脚の間や膝の上で楽器を構える時に
  滑り止めの役割を果たしてくれます。
  特にケメンチェやレベック等のように
  丸型の胴を持った楽器には必須です。











 カポタスト


   ギターのカポタストを真似て自作した、6弦バスガンバ用のカポタストです。
   一つの演奏会の中でバロックピッチとモダンピッチを1台の楽器で
   併用する場合を考えて作りました。
   試奏では上手く行きましたが、まだ演奏会本番では使っていません。
   







様々なペグボックス(糸倉)とペグ(糸巻き)

           
        
  
  ガンバのペグとペグボックス。
  ラバーブ、レベック、リュート等も形状は違いますが
  同じ形式です。

 




  フィーデル・ガンバのペグボックス。
  ギターと同じねじ式糸巻です。








  フィーデルのペグとペグボックス。
  ハーディー・ガーディーやリラ・ダ・ブラッチョも同じ形式。
  弦を張るのが非常に難しいですが、ペグが弛んでくる事は
  まず有りません。





  ハーディー・ガーディーのペグとペグボックス。
  上のフィーデルと同じ方式です。
  一度弦を張ったらペグが弛んでくる事は有りませんが
  弦の取り付けにはピンセットと懐中電灯が必要です。
  これは18世紀、フランスの上流階級で用いられたタイプの楽器なので
  ガンバのように顔が彫刻されています。







   ニュッケルハルパのペグとぺグボックス。
   演奏弦用の四本はケメンチェと同じく下からの差し込み式です。
   共鳴弦(12本)用としては12弦ギター用のネジ式が
   現在では一般的です。




                     
  
  ケメンチェのペグとペグボックス。
  下からの簡単な貫通差し込み式です。
  レベックやフィーデルにもこの形式の物が有ります。
  中国の二胡も同じ方式です。






  カラデニズケメンチェのペグとペグボックス。
  こちらは上のケメンチェとは逆に上からの差込方式です。
  ヨーロッパのフィーデルやハーディー・ガーディーと同じ方式なので
  なにか関連があるのでは、と思われます。









  コラの弦は支柱に、皮で直接押さえつけて留められています。
  所謂糸巻きに当たる部分がありません。









  グスレのペグとペグボックス。
  下から差し込み式のペグ(糸巻き)です。
  マセンコと全く同じ方式です。









  マセンコのペグとペグボックス。
  下から差し込み式のペグ(糸巻き)です。
  ペグの径よりも棹の孔が大きく開けられていましたので
  下のエジプトラバーブを参考にして
  ペグに太い糸を巻きつけて留まるようにしました。






  エジプトラバーブのペグとペグボックス。
  棹の延長部を深い溝状に刳って左右それぞれ一本のペグを差し込んでいます。
  ウズベク・ギジャックやウイグルのゲジェクも全く同じ方式です。
  ペグが留まりやすい様に、糸を巻きつけて太さを調節しています。
  棹の先が非常に長いのも、この楽器の特徴の一つです。




  エジプトラバーブ(土産用)のペグとペグボックス。
  先に山羊の角が取り付けられています。







  3弦ラバーブのペグとペグボックス。
  エジプトラバーブやカマンチェと
  よく似ています。









     

      ラバーブのペグとペグボックス。
      この形式がそのまま東洋の弦楽器にも
      採用されています。
      ペグを手の平で握って回せるので、楽に調弦が出来ます。                   
 










   カマンチェのペグとペグボックス。
   頭部の形とペグの形が少し違うだけで
   下の画像の ウズベク・ギジャックと殆んど同様です。
   イランから楽器が伝播していった事の証でしょうか。








  ウズベク・ギジャックのペグとペグボックス。
  棹の延長部を深い溝状に刳って左右それぞれ二本のペグを差し込んでいます。
  ペグはインドの弦楽器に用いられる物とほぼ同じ形状です。








     カバック・ケマーネのペグとペグボックス。
     カマンチェやギジャックとほぼ同じ方式ですが  
     ペグの位置と、弦の張り方が少し異なっています。
     下の画像の様に細い穴を通しているのはウイグルのゲジェクと同じです。


















  ゲジェクのペグとペグボックス。
  ウズベク・ギジャックと同じ構造ですが
  それぞれの形がより手の込んだ物に成り
  その上ウイグル独特の装飾が施されています。

  



  フシタールのペグとペグボックス。
  4つの演奏弦用ペグと、
  棹の右側に7つの共鳴弦用ペグが付いています。






  エスラージのペグとペグボックス。
  伝統的な方式はサロードの様な差し込み式ですが
  この楽器の場合はギターと同じネジ式ペグを使用しています。
  なお共鳴弦用のペグは差し込み式です。







  サーランギのペグとペグボックス。
  大きなペグ四本は演奏弦(主弦)用です。
  実際には三弦しか張ってありません。
  上から差し込んであるペグと
  横から差し込んであるペグ(下画像)は共鳴弦用で合わせて34本有ります。
  共鳴弦の数は楽器によって様々で10本程度から40本近い物まで有ります。
  擦弦楽器で恐らく最多の弦を持つこの楽器の調弦には本当に苦労させられます。
  楽器のヘッドに取り付けてある皮ベルトは楽器を持ち易くするために自作しました。。














  サリンダのペグとペグボックス。
  二本が演奏弦(主弦)用で一本がドローン用だと思います。
  サリンダの弦には普通ガットを使うのですがこの楽器には
  金属弦が張られています。パキスタンでは金属弦を用いる場合もあるようです。
  






  頭部には動物(架空の)が口を開いている彫刻が為されています。











   
  左のペグ(下画像)は共鳴弦用でこの楽器には五本付けられています。












  ネパールサーランギのペグとペグボックス。
  アフガンラバーブの物と少し似ています。
  ペグは元の木の皮が残る素朴な作りです。
  頭部の縁まで線刻で飾っています。
  





  ドタールのペグとペグボックス。
  その名の元になったイランのセタールと
  全く同じ方式です。
  ペグは余った部分の弦を巻き取れるような
  独特の形をしています。






   サタールのペグとペグボックス。
   これもその名の元になったイランのセタールと
   全く同じ方式です。
   但し共鳴弦の何本かは巻きつけられたフレットの中を
   通して張られていますので交換する時は厄介です。




    馬頭琴のペグ(糸巻き)です。
    ガンバの様に左右からの差込式です。
    ナットは可動式で弦高をかなり高くするような形状を
    しています。
    頭部の馬の彫刻は楽器によって様々で
    これはわりとシンプルなものです。
    

 
   ルバブ(ジャワ)のペグとペグボックス。
   折れそうなほど華奢で長いペグですが、
   材質が硬木なので意外としっかりしています。
   しかし実用よりもデザイン優先と云った感じです。









  ヘグムのペグとナット(千金)
  様々な弦楽器のペグの中でも
  非常に珍しい方式です。
  普通は手で握って調弦する部分に
  弦が巻き付けられています。
  弦が切れた場合の予備として何重にも巻かれています。
  



   ラバーバのペグとペグボックス。
   棹の延長部にほぼ90度の角度で二本のペグが差し込まれています。
   ペグが楽器の前面に出ているのが特徴です。
   赤い部分がナットの役割をしています。







      二胡のペグ(琴軸~糸巻き)です。
      ラバーブと同じく二弦ですが同じ方向から棹に差し込まれています。
      棹の上部がそのままペグボックスを兼ねています。
      伝統的な楽器は弦を直接ペグに巻きつけます。
      この楽器の頭部には中国を象徴する「龍」が彫刻されています。






       

       現代的な二胡のペグ(琴軸~糸巻き)です。
       糸巻きにネジを利用した金属の装置が取り付けられているので
       調弦も、微調整もやり易く成っています。










      クーチョーのペグとペグボックス。
      サイズが少し小さい事を除けば三線と全く同じ形式です。
      










                      

      日本胡弓のペグとペグボックス。
      本来は「糸巻」と「糸ぐら」「天神(海老尾)」と呼ぶそうです。
      形式はラバーブ族と同じ、両サイドからの差し込み式です。
      天神は三味線とほぼ同形です。
      日本胡弓にはサワリが施されていません。
      
      








     グンブリのペグとペグボックス。
     もっとも原始的な方式で
     棹の頭部に3本のペグが差し込まれています。
     弦は直接ペグに取り付けられておりナットに当たる部分はありません。
     先端部には大変素朴な顔らしき物が彫り込まれています。
  


     モロッコグンブリのペグとペグボックス。
     上の楽器と同じ方式ですが、ペグの差し込む方向が少し異なっています。
     ナットに当たる部分には太い糸をが巻きつけてあります。
     先端部には具象ではない装飾が施されています。
      







    セタールのペグとペグボックスです。
    棹の上端部分をそのまま角度を変えずにペグボックスとして使い
    そこに貫通穴を開けてペグを差し込む、最も初期の弦楽器の形体を残しています。。
    そのためナットの直ぐ上の部分を縛って弦に角度を付けています。



    ドタールのペグとペグボックスです。
    セタールと同じ形式ですが、
    余った弦(切れた時に使える分)を巻き取れる様な形状をしているペグが
    ドタール独特です。ペグの形状は違いますが、韓国のヘグムも同じ構造をしています








    タールのペグとペグボックスです。
    棹の先端に取り付けられた箱(これぞ正しくペグボックス)に
    左右3本づつペグが差し込まれています。
    ヨーロッパの楽器のペグは殆ど同じ順番で
    (高音から低音へ楽器の表面からみて反時計回り)
    取り付けられていますが、民族楽器の場合その常識は通用せず
    夫々異なりますので、覚えてしまうまで調弦には気を遣います。
    


    タンブールのペグとペグボックスです。
    上述のセタールやドタールと全く同じく差し込み式の構造です。
    ただナットの直ぐ上の部分に、ナットに対する弦の角度が少しでも
    鋭角的になる様に、木製の部品を取り付けてあるところが微妙な相違点です。



  タンブールの竿に巻かれたナイロン製のフレットです。
  トルコの伝統音楽では1オクターブに24~25の音が必要なので
  実に多くのフレットが巻かれています。
  この楽器の場合、実に60のフレットが取り付けられています。





     サズのペグとペグボックスです。
     前述のセタールと全く同じ構造です。
     ただナットの直ぐ上の部分を抉って、ナットに対する弦の角度を
     少しでも鋭角的になる様にしてあるところが微妙な相違点です。




  サズのペグとペグボックス。
  上のサズとは違いペグボックスに当たる部分は
  棹とは別の木が少し角度を持って取り付けられています。
  セタールと同じくペグに弦を通す穴が空いていないので
  巻き始めにちょっとしたこつが要ります。
  ペグの形状がチュニングハンマーに 似ているのが面白いですね。


  
  ドンブラのペグとペグボックス。
  トルコのケメンチェと同じく、背面からの簡単な貫通差し込み式です。
  レベックやフィーデルにもこの形式の物が有ります。
  ペグボックスに当たる部分には簡単な彫刻が施されています。






  コムズのペグとペグボックス。
  ペグの形はサズやセタールと同じですが
  弦はカラデニズケメンチェやハーディガーディの様に
  ペグボックスの内部でペグに結び付けられています。
  3弦の楽器にも関わらず、ペグが右側面のみに取り付けられて
  いるのも珍しい形式です。


      バラライカのペグとペグボックス。
      この楽器は複弦なので頭部の左右に3本づつ
      糸巻が付けられています。
      糸巻は下の画像のバグラマと同じ構造の物です。








                        

    バグラマのペグとペグボックス。
    フォークギターやエレキギターにも使われている
    糸巻と同じ構造の物です。





                         
     
     ウズベク・ルボッブのペグとペグボックス。
     ラバーブ等と同じく両サイドからの差し込み式です。
     楽器の頭部が後ろ側に曲がっているのが特徴です。






    カシュガル・ラワープのペグとペグボックス。
    上のウズベク・ルボッブとかなり似た形状ですが、
    Uカーブの部分が大きく長くなっています。
    ペグやペグボックスの装飾はより華やかです。
    手前に2つ、向こう側に3つペグが有るのは
    ウズベク・ルボッブと同じです。
    




    タジク・ラワープのペグとペグボックス。
    糸巻の1本が棹の途中に差し込まれているのは
    インドのサロッドと似ています。
    また糸倉の反りが カシュガル・ラワープとは逆で
    チベットのダムニェンとの関連が窺えます。








     擦弦アフガンラバーブのペグとペグボックス。
     本来のアフガンラバーブと同じですが、
     ペグの数は4本です。
     












                     
     アフガンラバーブのペグとペグボックス。
     ラバーブ族共通の両サイドからの差し込み式です。
     花もしくは葉の形をしたペグは、この楽器独特の物です。
     頭部は象牙と黒檀でより凝った装飾が施されています。
     
     下の画はずらりと並んだ共鳴弦用(13本)のペグです。 











  サロッドのペグとペグボックス。
  棹の上端に取り付けられたカーブを持つ木材に貫通穴を開け
  両サイドから差し込んでいます。下側のペグは演奏弦用、
  上側のペグは共鳴弦用になっています。
  ペグが写実的な蓮のつぼみの形をしているのも
  仏教発祥の地インドならではの事だと思います。
  
 
 


  左の画は大きいペグが高音ドローン弦用、
  ずらりと並んだ小さいペグは共鳴弦用(13本)のペグです。
  小さいペグが丁度アフガンラバーブと同じ数なのも
  両者の関係が深いことを窺わせます。



  高音ドローン弦用のブリッジが、魚の形をしていますが
  サーランギの棹に施された魚の装飾と
  何らかの関係が有るのかも知れません。

 




  ダムニェンのぺぐ(糸巻き)とペグボックス(糸ぐら)です。
  楽器の前面に向かっての半円形で、頭部には蕨模様の彫刻が施されています。
  弦はナットからペグボックスの裏側に差し込み
  左右に3本づつ有るペグに巻き付けています。
  手で握れる様に成っているペグは、アジアの弦楽器の特徴で
  三味線との関連もうかがえます。






   トゥングナのペグとペグボックス。
   ダムニェンの方式とほぼ同じですが、ペグは指先で回す大きさです。
   ペグボックスには獅子(ライオン)の彫刻が施されています。
   日本の獅子頭と似ているのは勿論偶然ではなく
   このようなの獅子のイメージがネパールやチベットを径由して
   わが国にもたらされたからです。







  ドタルのペグとペグボックス。
  方式は全くガンバやレベックと同じです。
  ペグはサーランギやギジャックと同じく球状の握りを持つ
  形をしています。
  独特の形状の頭部は孔雀をデザインしたものです。







   ドムのペグとペグボックス。
   後ろに反っている頭部の形は三弦や三線の原型でしょう。
   ペグはインド型と東洋型の中間にあたる魚雷の様な形をしています。










      三弦のペグとペグボックス。
      ドムよりも洗練された形に成っています。
      太い「糸巻き」は柘植材で作られています。










    三線のペグとペグボックス。
    日本の三味線の直接の先祖なので殆ど同じ形状です。
    ペグはカラクイまたはムディと呼ばれ黒檀で作られています。
    下方左のカラクイに一番太い男弦(三味線の第1弦)を張りますが
    三味線ではこの糸巻きには一番細い三の糸を張ります。
    









      三味線のペグとペグボックス。
      本来は「糸巻」と「糸ぐら」「天神(海老尾)」と呼ぶそうです。
      形式はラバーブ族と同じ、両サイドからの差し込み式です。
      天神は三線とほぼ同形です。
      一の糸(第1弦)の駒(ナット部)には
      三線や日本胡弓には見られないサワリが施されています。。
      
         









   中阮のペグとペグボックス。
   恐らく本来は下の琵琶と同じ方式を採用していたと
   思われますが、これは最近の二胡同様ギヤー方式に成っています。
   確かに調弦は楽ですが・・・。
   海老尾と呼ばれる部分は、形も図案も琵琶と殆ど同じです。







   
   直頸琵琶(正倉院の五弦琵琶)と曲頸琵琶(薩摩琵琶等)
   の中間的な角度を持っています。
   海老尾と呼ばれる部分は図案化された文字(樂?)で
   装飾されています。
  
  
  




       
       薩摩琵琶のペグとペグボックス。
       正式には「糸巻」と「転軫、海老尻」と呼ぶそうです。
       楽琵琶では糸巻の事を「転手」と言います。
       ペグボックスはウードやリュートと同じく
       指板に対してほぼ直角に取り付けられています。
       










        
       筑前琵琶のペグとペグボックス。
       形状は薩摩琵琶と殆ど変わりませんが
       こちらは本体から取り外しが可能です。
       また指板に当たる部分(鶴首)も
       胴体から外せる構造に成っています。
       これは初代の橘旭翁が三味線からヒントを得て
       考案したそうです。










  ビウエラのペグです。
  指板の延長部に下から差し込む
  単純な方式です。
  古い形式にフラメンコギターも
  この形式の物があります。



  リュートのペグとペグボックスです。
  指板から折れ曲がって取り付けられたペグボックスに
  この楽器の場合15本のペグが差し込まれています。
  昔からリュートの調弦が困難だと言われ続けているのが
  一目で分かる構造です。



  現代のギターの糸巻き部です。
  ネジ機構をを使っているため
  力は要らず微調整も可能です。
  現代のコントラバスもこの方式です。







  ウクレレの糸巻き部です。
  ギターとは違い下からの差し込み方式で
  ネジ機構を使っています。
  








  ペグではありませんが
  サントゥールのチューニングピンです。
  胴の右側に全部で72本取り付けられています。
  真鍮弦(低音部)用のピンも弦と同じく真鍮製で
  調弦の時に選びやすいように工夫されています。
                          金属製の弦を使用しているので、
                         ガット弦ほど変りやすくありませんが
                         何せ弦の数が多いので調弦するのは大変です。


  
   チェンバロのチューニングピンです。
   ダルシマー、ゴシックハープもこの方式です。
   勿論ピアノも同じです。







  
  各種のペグ
  左上から下へ
  二胡 ケメンチェ(正式の物) ウード(量産品) サズ用

  右上から下へ
  ガンバ(バス) ガンバ(テナー特注品) ガンバ(テナー・量産品) リュート用
 



  上から順に
  
  アフガンラバーブ用
  

  三味線と胡弓用
  


  筑前琵琶用
  


  薩摩琵琶用





  
  左から
  リュート用ペグ回し(自作)
  ハーディー・ガーディー、フィーデル用
  ガンバ用(自作)
  チューニング・ハンマー(チェンバロ、ゴシックハープ、ダルシマー用)
  
  




   左はサントゥール用です。











様々な
テールピース(弦留め部)とブリッジ(駒)


             
  
  ガンバのテールピース
  本体の一番下に取り付けられた棒に引っ掛けてあります。
  ガンバでは最も一般的な方式です。






      フィーデル・ガンバのテールピースはヴァイオリン方式です。












  
   フィーデルのテールピースです。
   楽器の底に取り付けられたノブに太いガット弦で
   取り付けられています。
   ヴァイオリン族はこの方式を踏襲しています。





  
  ケメンチェのテールピースです。
  フィーデルと方式は同じですが形状がユニークです。
  それにブリッジ(駒)の形状も変わっていますが
  これとよく似た櫛形の駒が、中世のフィーデルにも見られます。
  また駒の下に直接立てられた魂柱がはっきりと見えます。








     カラデニズ・ケメンチェのテールピースです。
     独特の形のテールピースが銅線で本体に取り付けられています。
     船の形をしている胴体に合わせて、櫂の形を模したのかも知れません。
     ブリッジ(駒)は木製で大変小さな物です。

  
   







      カバック・ケマーネのテールピースです。
      棹の下端に取り付けられた金属棒に木製のテールピースを
      ネジで取り付けてあります。
      各弦は直接テールピースに結びつけています。
      
      ブリッジ(駒)は木製で半円形をしていますす。









    カマンチェのテールピースは金属板で作られており
    各弦に調弦用の部品が取り付けられています。
    ブリッジ(駒)はほぼ半円形で胴の上端に置かれます。
    











       楽器の下端には、金属棒を取り付けます。
       移弦を弓ではなく、楽器を回転させる事により行うので
       演奏時にそれを容易にするための物です














    ウズベク・ギジャックのテールピースはアルミ板で作られています。
    ブリッジ(駒)は半円形で胴の上端に置かれます。
    楽器の下端には膝の上で構えた楽器を回転させる為の
    アルミ板が取り付けられています。
    移弦を弓ではなく、楽器を回転させる事により行うのですが
    日本胡弓もほぼ同じ方法を採用しています。









   胴の裏には表面の模様と対になった
   左画像の様な装飾が施されています。














    ゲジェクのテールピースは楽器と一体化しています。
    ブリッジ(駒)は胴の中央に置かれます。
    
    










    ウズベク・ギジャックと同様に
    楽器の下端には膝の上で構えた楽器を回転させる為の
    半月形の板が取り付けられています。











    ホシタールのテールピースはヴァイオリンと同じ方式です。
    ブリッジは共鳴弦用の部分も兼ねているので
    サーランギ等と似た形状をしています。











  楽器を回転させるための半月板があるのは
  ゲジェクやウズベク・ギジャックと同様です。










   エスラージの弦留め部とブリッジです。
   演奏弦と共鳴弦合わせて17本の弦を支える為に
   真鍮製の部品を胴の下端に取り付けてあります。
   脚が触れる部分は多数の弦の張力に耐えるように
   表面皮を厚い皮で補強しています。










   サーランギの留め部とブリッジです。
   演奏弦と共鳴弦合わせて37本の弦を支える為に
   本体から削りだした頑丈な部分を使っています。
   白く見えるのはその上に貼られた象牙板です。

   ブリッジ(駒)は象のような形をしています。
   脚が触れる部分は多数の弦の張力に耐えるように
   表面皮を分厚い皮で補強しているのは
   エスラージと同じです。




 アフガンラバーブの弦留め部とブリッジです。
     ラバーブと同じくテールピースに相当する部品が無く、
     沢山の弦を直接底のノブ(二つ)に結んでいます。
     幅広のブリッジが演奏弦五本と共鳴弦13本を支えていますが
     張力で表面の皮がかなり沈んでいます。

  










   サリンダの弦留め部とブリッジです。
   エスラージと同じ方式で
   弦止め部に真鍮の部品が胴体に取り付けられています。










       
       ネパールサーランギの弦留め部とブリッジです。
       胴の下端の出っ張りにそれぞれの弦を結ぶ大変素朴な方式です。

       ブリッジは自作です。





                          
 
  ハーディーガーディーのテールピースは本体に固定されています。
  そしてブリッジ(駒)のすぐ横に円盤が設置されています。
  普通の擦弦楽器の駒は可動式なのですが
  これは表面版に接着してあります。




          
                          
  
  細長いニュッケルハルパのテールピースは
  銅線で本体と繋いであります。
  演奏用の四本の金属弦は非常に張力が強いので
  チェロ用の調弦微調整金具を使っています。
  共鳴弦はフォークギター等と同じ方式で張っています。
  
                    


    コラのブリッジです。
    のこぎりで左右に4本切れ目を入れた長方形の木片です。
    吊橋の支柱に見えない事もないですね。







  コラの弦(緒)留め部は
  胴から突き出た棹の先に弦を結んでいるだけの
  極めてシンプルな方式です。








  グスレの弦留め部とブリッジです。
  胴の下端に突き出た部分に、
  弦(馬の尾製)の下端に結んだ紐を引っ掛けてあります。
  これもマセンコと同じ方式です。
  因みにブリッジは朴ノ木で自作しました。






  胴の下端に顔らしき彫刻が施されていました。









  マセンコの留め部とブリッジです。
  胴から突き出た棹の先へ、
  弦(馬の尾製)の下端に結んだ紐を引っ掛けてあります。
  ブリッジは自然木の又の部分を利用して作られています。








 
    エジプトラバーブの弦留め部とブリッジです。
    胴から突き出た棹の先の鉄棒に針金と馬の尾の弦を
    引っ掛けてあります。
    ブリッジには半円形にカットした小さな葦?を用いています。
    大抵の楽器のブリッジは硬い材質の物で作られますが
    これは例外的に軟らかい材料で出来ています。







  エジプトラバーブ(土産用)の弦留め部とブリッジです。
  胴から突き出た釘の頭に弦を引っ掛けてあります。
  ブリッジは元の物が壊れたので自作しました。













  ラバーブの弦留め部とブリッジです。
  テールピースに相当する部品が無く、
  弦を直接底のノブに結んでいます。
   )形のブリッジが珍しいですね。







 
 サタールの弦留め部とブリッジです。
    カシュガルラワープやアフガンラバーブと同じ方式で
    細い木釘が2本胴に打ち込まれており、
    それに全部で13本の弦を結んでいます。

    ブリッジは木製で同じく沢山の共鳴弦を持つサーランギとも似て
    なにか 動物のような形状をしています。
   




  ヘグムの弦留め部とブリッジです。
  
所謂テールピースは亀の線刻が施された真鍮板で
     作られています。
     弦は上端の穴に結び付ける方式です。
    ブリッジは竹製で二胡の物よりかなり大きめです。










 
    伝統的な二胡の弦留め部とブリッジです。
    胴から突き出た部分に直接弦を結んであります。
    ブリッジは松で作られており指の先くらいの大きさです。
    ブリッジ手前のクッションはコンジィーディエンと呼ばれ、
    
二胡の響きを調節する役目を果たしています。
    






   
    現代的な二胡の弦留め部とブリッジです。
    楽器の下に取り付けられた琴托(台)のビスに
    弦を引っ掛けています。
    この楽器の駒は黒檀製です。







  馬頭琴の弦留め部とブリッジです。
   胴から突き出た棹の先にテールピースを紐で繋いでいます。
   ヨーロッパのフィーデルとほぼ同じ方式です。
   馬頭琴の駒
(なんとピッタリなのでしょう)は二胡よりは
   大きいですがその胴に比べて割と小さな物です




  ラバーバの弦留め部とブリッジです。
   胴から突き出た棹の先に直接弦を取り付けています。
   駒は二胡用と同じ位の大変小さな物です。







 3弦ラバーバの弦留め部とブリッジです。
  ブリッジは水牛の角製です。
  二胡の様に響きを調節するクッションが置かれています。
  胴から突き出た竿に取り付けられたテールピース?に開けられた穴
  に結び目を作った弦を通しています。







 ルバブのブリッジは楽器同様スマートな形状です。





  ルバブの弦は棹の下部にある突起に結んであります。
     楽器の響きを調節するために布を挟むことがあります。
     二胡のコンジィーディエンと同じ発想です。








  クーチョーの弦留め部とブリッジです。
    胴から突き出た棹の先に取り付けられた「糸掛け」に
    弦を結ぶ方式は三線と全く同じ方式です。

  演奏の時に楽器を膝の間に挟んで回転させるので。
  「中子先」が三線よりもずっと長くなっています。
     駒は三線とは違い胴の上端に立てます。
    竹製で形状も平ではなく山型になっています。







      
     
日本胡弓の弦留め部とブリッジです。
          三味線と殆ど同じ方式です。
          演奏の時に楽器を膝の間に挟んで回転させるので。

     「中子先」が三味線よりもずっと長くなっています。






  
胡弓のブリッジです。
     胴と棹の付け根付近を弓で擦って演奏するので、駒は三味線とは
     違い上端に立てます。竹製で形状も平ではなく山型になっています。

  




  グンブリの弦留め部とブリッジです。
   胴の下端に少し突き出た棹の端に直接弦を取り付けています。
   ブリッジは曲がった小枝から作られています。







  モロッコグンブリの弦留め部とブリッジです。
    胴の下端に開けられた穴から、棹の先端に直接弦を取り付けています。
    本来のブリッジはカーブが無い小さな木片でしたが、
    擦弦楽器としても使える様にブリッジを自作しました。








                  
 
  
    ウズベク・ルボッブの弦
留め部とブリッジです。
    ラバーブと同じくテールピースに相当する部品が無く、
    弦を直接底のノブ(三つ)に結んでいます。
    胴の割には大きめのブリッジが演奏弦5本を支えていますが
    こちらも張力で表面の皮が少し沈んでいます。




 ドタールの弦留め部とブリッジです。
   胴の下端に貼り付けられた板の突起に
   弦を引っ掛けています。
   ブリッジはシンプルな形状で可動式です






  ドンムラの弦留め部とブリッジです。
   胴の下端に取り付けられた突起に
   弦を引っ掛けています。
   ブリッジはシンプルな形状で可動式です




        


   カシュガル・ラワープの弦留め部とブリッジです。
   細い木釘が2本胴に打ち込まれており、それに
   弦を結んでいます。ブリッジはウズベク・ルボッブよりも少し
   小さめです。胴には象嵌細工で凝った模様が施されています。




  タジク・ラワープの弦留め部とブリッジです。
   細い木釘が2本胴に打ち込まれており、それに
   弦を結んでいます。ブリッジは
ウズベク・ルボッブよりも少し
   小さめです。胴には象嵌細工で凝ったウイグル模様が施されています。






    
     アフガン
ラバーブの弦留め部とブリッジです。
     ラバーブと同じくテールピースに相当する部品が無く、
     沢山の弦を直接底のノブ(二つ)に結んでいます。
     幅広のブリッジが演奏弦五本と共鳴弦13本を支えていますが
     張力で表面の皮がかなり沈んでいます。

  








   サロッドの留め部とブリッジです。
   主演奏弦4本、ドローン弦2本、共鳴弦17本を保持する
   ために厚い金属板が取り付けられています。
   サーランギ程では有りませんが、多くの弦を支えるブリッジも
   複雑な形をしています。










  ダムニャアンの弦留め部とブリッジです。
  胴の下端の突起に直接弦を結んでいます。
  胴の上部の小さな出っ張りはウズベク・ルボッブや
  カシュガル・ラワープとの関連を感じさせます
                       
  棹寄りの皮の部分には針で突付いた様な小さい孔が沢山ありますが
  それが響孔かも知れません。











   

    

    
    
 
楽器の胴部の背面には美しい模様が彫り込まれています。














  
  トゥングナの留め部とブリッジです。
    胴から突き出た部分に穴を開け、そこに弦を通しています。
    ブリッジは竹製で自作品です。














  楽器の表面だけでなく
     胴の裏も蓮の葉模様が線刻されています。











  ドタラの弦留め部とブリッジです。
    この楽器を手に入れたときはブリキ板で作った
    テールピースが本体の下端部に打ち付けられていましたが
    壊れていたので、楓板でテールピースを自作しました。
    ブリッジもトゥングナ同様、竹製で自作品です。
  





 ドムの弦留め部とブリッジです。
  本体から突き出た木の部分(三味線で言う所の中木)に
  直接弦を巻きつけて張っています。
  アフガンラバーブ等と同じ方式です。
  このブリッジも竹製で自作品です。
  
古い民族楽器の場合、完全な状態で残っていることは少ないので
  自分で部品を補う必要があります。








  
     三弦の弦留め部とブリッジです。
     胴から少しだけ突き出た棹の端に取り付けられ象牙製?の部品が
     「音緒」の役目をしています。
     弦を張ると、猿?が三弦の胴体にへばりついている様に見えます。
     ブリッジは竹製で自作品です。
    

  





    三線の弦留め部とブリッジです。
     テールピースに相当する部品が「糸掛け」と呼ばれ
     普通は金色の紐で出来ています。
     糸掛けを胴体から突き出た「猿尾・サールージュー」に掛け
     弦を紐のもう一方に結んで張っています。
     三味線の中木にあたる部分を「猿尾」と呼ぶ事があるのは
     三弦の弦留め部との関連があるからでしょうか。

     ウマ(駒・ブリッジ)は竹製で楽器の大きさに比して大変小さな物です。






   
   
三味線の弦止め部とブリッジです。
       テールピースに相当する部品が「根緒または音緒」と呼ばれる紐で出来ています。
       音緒の一方を胴体から突き出た「中子先」に掛け
       
弦を紐のもう一方に結んで張っています。
       駒(ブリッジ)は鼈甲製で精巧に作られています。




         

   
   薩摩琵琶のブリッジです。正式には覆手(ふくじゅ)と云います。
       この下の表面板に「隠月」と呼ばれる小さな響孔が有ります。
       また
覆手と表面版の間に「調音柱又は公孫樹柱」
       と呼ばれる小さな柱が取り付けられています。
       弦を通す穴の部分は象牙で出来ておりその形状から
       「猪の目」と呼ばれます。
       






    
   筑前琵琶のブリッジです。
       各部の構造も名称もほぼ薩摩琵琶と同じです。
       「猪の目」に
絃の端を差し込む孔が追加され
       より装飾的な形状に成っています。
       

      





  中阮のブリッジと弦留め部です。
  サロッドと同様、金属製の部品に
     夫々の弦を引っ掛けてあります。
     元はプラスティック製の部品だったのですが
     破損してしまったので、自分で補修しました。
     ブリッジは竹製です。





   中国琵琶のブリッジです。
     正式には腹手(縛弦)と呼ばれ、竹で作られています。
     一番細い一弦の交換が楽に出来る為の工夫なのか
     
一弦を通す穴には画像にあるようにスリットが入っています。
     

  




  
   セタールの弦留め部とブリッジです。
   胴の下端に貼り付けられた木材の溝に
   弦を引っ掛けています。
   ブリッジはシンプルな形状で可動式です。







     タールの弦留め部とブリッジです。
       胴の下端に貼り付けられた骨製の部品の溝に
       弦を引っ掛けています。
       面白い形をした可動式のブリッジは骨製です。
       演奏している時に前に倒れないようにナイロン糸で
       弦留め部と繋げてあるのはタール特有の方式です。
       





   タンブールの弦留め部とブリッジです。
   胴の下端に貼り付けられた木材の穴に
   弦を通して巻きつけています。
   これは同じトルコのサズと同様です。
   撥弦楽器にしては高めのブリッジは
   シンプルな形状で可動式です。
   因みにこの楽器に響孔らしきものはありません。



         バラライカの弦留め部とブリッジです。
         タールと同じ方式ですが受け止め部は金属製です。
         ブリッジは木製で可動式です










   バグラマの弦留め部とブリッジです。
       バラライカと同じく受け止め部は金属製です。
       ブリッジは木とプラスティックで出来ており
       一応可動式です

  






  コムズの弦留め部とブリッジです。
  ブリッジの形状は他の撥弦楽器とよく似ていますが
  皮を楽器の側底面に打ち付けた物が、所謂テールピースの役割をしており
  弦は皮に結び付けています。
  大変珍しくもシンプルな構造です。
  











   サズの弦留め部です。
   これもセタールとほぼ同じ方式ですが
   木材に開けられた小さな穴に弦を通しています。
   この楽器のブリッジも可動式です。








   ビウエラのブリッジです。
   擦弦楽器のブリッジは可動式の物が殆どですが
   撥弦楽器には2種類あり、表面が木板の場合
   この様に張り付けた固定式が普通です。
   ギター族も勿論この方式です。











   リュートのブリッジです。
   ビウエラと全く同じ方式です。











   ギターのブリッジです。
   ブリッジに弦を結ぶ方式はリュート等と同じですが
   可動式の板を取り付けて弦高を調節できる様に成っています。

















  
  ウクレレのブリッジです。
  ギターとほぼ同じ方式ですが弦の下端に結び目を作って
  ブリッジのスリットに差し込んであります。

















   ゴシックハープの弦止めです。
   弦の端に結び目を作りピンで押し込みます。
   ルネサンスの頃は、この部分にさわりを持つピンを使う楽器が
   多かったそうです。







   
   チェンバロの弦止め部です。
   楽器の端に打ち込まれた釘状のピンに弦を引っ掛け
   手前のピンで演奏する弦の長さに区切ります。
   手前の湾曲した部分がブリッジに当たります。







様々なサウンドホール(響孔)



  
  ケメンチェのサウンドホールです。
  シンプルな半丸形で、魂柱が倒れてもすぐに取り出せます。
  なお魂柱は表面板にではなく
  ブリッジの出っ張りに直接立てられています。








   カラデニズ・ケメンチェのサウンドホールです。
   ホール(穴)と云うよりむしろスリット(隙間)と言った方が
   良いような形状です。










      カバック・ケマーネのサウンドホールです。
      瓢箪胴の後ろに、まん丸く開けられています。











  
  レベックのサウンドホールです。
  ケメンチェを上下に引き伸ばした様な形をしています。
  サウンドホールからもケメンチェがレベックに変遷していった事が
  うかがえます。





   
   フィーデルのサウンドホールです。
   一組は駒の両側にレベックを少し変化させた形状のものが有り
   もう一組、楽器の上部にも装飾的な形状の物が有ります。
   後者は音響的にはむしろマイナスかも知れませんが
   中世のフィーデルにはよく施されています。
   レベックが放浪楽師の楽器だったのに比べて
   こちらはトゥルヴェールやトゥルヴァドゥールのお気に入りの
   楽器だった故の装飾だと思います。






  
  ヴィオラ・ダ・ガンバの最も標準的なサウンドホールです。
  (ヴァイオリンの様な f 字孔や火炎形の
   サウンドホールをもった楽器も有りますが。)
  丁度フィーデルと対称的な形をしています。 
  製作者によって曲がり具合や、幅などが少しづつ違います。
 





    フィーデル・ガンバのサウンドホールです。
    ヴァイオリンの f 字孔の変形です。






  
  
  ハーディー・ガーディーのサウンドホールです。
  見ようによってはC字形の変形と言えます。
  これなどもフィーデルの上部の穴と同じで
  音響的に有利だからと言うよりは装飾として施されています。



   
   ニュッケル・ハルパのサウンドホールです。
   この楽器も19世紀頃まではいろんな形状のサウンドホールが
   有ったようですが、
   現在はヴァイオリン等と同じ く f 字孔が一般的です。
   構造的にはキーを持つヴァイオリンとも言えますので
    f 字孔もピッタリ似合っています。
 




   
  胴の背面にあるグスレの小さなサウンドホールです。
  




  胴の表面皮に10個の小さな穴が開けられています。
  これは皮の破れを防ぐためか、サウンドホールの役目を
  担っているのでしょうか。






  サーランギのサウンドホールです。
  楽器の正面からは確認できない位置に開けられています。










   サリンダのサウンドホール?です。
   駒が載っている胴の部分よりも大きい開口部です。
   周りにインド独特の文様が施されています。










     ネパールサーランギのサウンドホール?です。
     上のサリンダとほぼ同じ形状をしていますが
     こちらはこの刳り抜き部分に施しのお金を入れてもらう役割もするそうです。
     放浪の門付け楽師の知恵でしょうか。












   エジプトラバーバの胴背面です。
   これをサウンドホールと呼んでよいものか
   迷う所ですが、一応胴体に有る開口部なので
   入れておきました。












   
  エジプトラバーバ(土産用)の胴の底と周りに開けられた穴が
  サウンドホールの役割しています。
  
























  
  ラバーバのサウンドホールです。
  胴の背面に多少装飾的な形状で開けられています。











  3弦ラバーバのサウンドホールです。
  胴の背面に大1、小6の穴が装飾的に開けられています。














    ラバーバ本体の背面部です。
    側面も同じ材質の華やかな布で飾られています。
    錐で開けたような5つの小さな穴が背面の上部に
    隠れています。それがサウンドホールかも知れません。











  ゲジェクのサウンドホールです。
  ウイグル文様で装飾された胴の背面に鍵穴の様な形状の穴が
  開けられています。
  







  また胴の側面にある多くの丸穴も響孔の役割を果たしています。











   フシタールのサウンドホールです。
   独特の火炎形をしています。






 
    馬頭琴のサウンドホールです。
    ヴァイオリンのF字孔に似た形状が多いですが
    他にもさまざまな形状のものがあります。
    これは所謂C字孔の変形にハート形を追加したものです。
    この細い隙間から魂柱を立てるのは至難の業です。




  ドタルのサウンドホールです。
  表面の皮に開けられている方式は、アフガンラバーブにもありますが
  わりと珍しいものです。
  穴が有っても殆ど響きに違いは無い様に思えるのですが。
  破れ易い皮に穴を開けておくのは、皮が収縮した時に
  裂けるのを防ぐ為だと思われます。
  太い柱の割れを防ぐ為に、予め鋸で切れ目を入れておくのと
  同じ原理だと思います。
  
  




   ドムのサウンドホールです。
   胴体の底部に開けられた装飾的な穴で
   この場合響孔と呼んでよいのか悩むところですが
   一応響きが出る開口部なので取り上げました。











   
  ヘグムのサウンドホールです。
  楽器の胴の裏面が解放部と成っていおり
  桐製の表面板の木目もはっきり見えます。
  棹から伸びた金属棒が胴を貫いています。
  これはラバーバや胡弓などスパイクフィドル共通の構造です。
  










   
   二胡のサウンドホールです。
   この場合も響孔と呼んでよいのか分かりませんが
   ドムと同じく響きが出る開口部なので取り上げました。
   穴を飾る模様は楽器によって様々です。
  

 







   
   現代的な二胡のサウンドホールです。
   山水のオーディオ用スピーカーにもこれと似たデザインのカヴァーが有りました。
   胴の形状は六角形で、下に琴托と呼ばれる台が取り付けられています。








   
   ラバーブのサウンドホールです。
   この場合も響孔と呼んでよいのか悩むところです。
   楽器の指板に当たる部分の真鍮板に、
   色んな形状で飾り穴を開けてあるものです。
   民族楽器のサウンドホールの形状は実に様々ですが
   これなどはその中でもユニークです。
   (因みにこれは自作です)









   モロッコグンブリのサウンドホールです。
   弦を取り付けるために表面皮に開けた穴が
   サウンドホールの役割もしています。














   
   アフガン・ラバーブのサウンドホールです。
   一見虫食い穴の様ですが
   棹の部分に規則正しく開けられているので
   サウンドホールだと分ります。
   音響的には余り効果的とは思えませんが。
   イスラム諸国の弦楽器には時々この方式のものが有ります。
   これも上の弓奏ラバーブも胴体が皮張りなので、
   ほかの場所に響孔を付けたのでしょう。
   (ドタルは皮に穴を開けてサウンドホールとしていましたが)
 





   セタールのサウンドホールです。
   胴の上端部にシンメトリーに開けられているので
   アフガン・ラバーブと同じく、虫食い穴でない事が分かります。
   音響的にというよりも、デザインとしての要素が大きい様です。








  

     コムズのサウンドホールです。
     表面版に開けられた小さな穴で
     これ以上シンプルな物はありません。
     音響的効果が果たしてどの位あるのか
     分かりませんが。
     










   ドンブラのサウンドホールです。
   表面版に開けられた小さな穴で
   上述のコムズよりは大きいですが、
   これも音響的効果がどの位あるのか
   分かりません。




  
  サズのサウンドホールです。
  楽器のお尻の部分に丸いシンプルな穴が開けられています。
  他にも穴が二胡の様に飾られている物や、反対に全く穴が無い楽器も有ります。




   
    バラライカのサウンドホールです。
    楽器の中央より棹に近い部分に小さく開けられています。
    穴の周りに装飾的な縁取りがあります。







    バグラマのサウンドホールです。
    横形楕円で周りと下部に
    この楽器特有の模様が施されています。





  
  ウードのサウンドホールです。
  三つの響孔を透かし彫りで飾っています。
  音響的には一つあれば、また只の穴でも充分だと思われますが
  イスラム諸国の最高の楽器として
  より装飾性が求められた結果だと思います。
  この模様もそれぞれ楽器ごとに違っています。
  小さい二つの飾りはオリジナルですが
  大きいのは自作です。
  現在のギターの様に、只穴が開いているだけのウードも有ります。

  

   
   リュートのサウンドホールです。
   ウードがヨーロッパにもたらされてリュートに成ったのが
   響孔のデザインにも表れています。
   リュートの場合、この部分をローズと呼びますが
   バラの蔓が絡み合った様なデザインから来ているのだと思います。
   楽器の一番目立つところに有るので
   製作家の腕の見せ所でもあった様です。
 










   ビウエラのサウンドホールです。
   リュートが表面版に直接彫刻しているのと違い
   2種類の材料で特別に作られた装飾彫刻を
   サウンドホールに嵌め込んであります。
   ホールの周りにも装飾が施されています。










   中阮の響孔です。
   ヴィオラ・ダ・ガンバともヴァイオリンとも違う
   面白い形状をしています。







  薩摩琵琶の響孔です。
  「半月」と呼ばれ鹿の角で出来ています。
  サウンドホールとしての機能よりも
  デザインとして付けられている様に思えます。
  この三ケ月の意匠に関しては
  琵琶のルーツ(ペルシャ)を表わしているという説や
  ペルシャから伝播途上の楽器からヒントを得たという説が有ります。
  


   筑前琵琶の響孔です。
   同じく「半月」と呼ばれますがこちらは象牙製です。
   孔の形状が薩摩琵琶と比べてシンプルです。







   
   現在のギターのサウンドホールです。
   機能だけから言えばこれで十分な訳です。
   ただ穴だけではいかにもそっけないので
   穴の周りをモザイクで飾っています。
   製作家はそれぞれ独自のモザイク模様を
   使用しています。






  ウクレレサウンドホールです。
  穴の周りの飾りがシンプルに成っている他は
  ギターと全く同じです。










   サントゥールのサウンドホールです。
   楽器の表面に左の画像に有るような飾り穴が二ヶ所、
   左右非対称な位置に開けられています。







  
  ハンマーダルシマーのサウンドホールです。
  楽器の表面版の上部と下部に細長い隙間が開けられています。
  サントゥールの様に表面版の中央に飾り穴が有る楽器も有ります。
 












   
   チェンバロのサウンドホールです。
   響板の大きさに比べていかにも小さいものです。
   この小さな穴が音響的にどの位効果が有るのか分りませんが
   恐らく装飾的な意味の方が大きいのではないかと思われます。
   装飾と言っても演奏中の奏者にも、また聴衆にも見えない所に施されているので
   この響孔は、製作家が控え目に細工の腕前を示す為のもの、かも知れません。
   
   




op  ack