博物館
2003年
ホーム博物館リスト

一括表示
2003
2004・2005
2006・2007
2008
大阪府立狭山池博物館(大阪狭山市池尻2丁目)
  博物館といよりは狭山池のモニュメントといった方がいいかもしれない。古代から続く狭山池の治水の技術の完成を記念する建築物であり、同時に博物館として展示をしているといった感じ。建物自体も堤をそのまま活かした形になっており、不思議な感じの水庭などもつくられ、まさしく治水の記念碑であることが判る。展示は古代から中世・近代へと至る時代順にその治水技術の歴史が語られ、狭山池の変遷をうまく辿れるようにしてある。また平成の大改修のときに同時に行われた保存作業により、昔の堤や樋がそのまま保存展示されている。入場無料。これだけのものを無料にしているというのは、やはり狭山池の治水技術をたたえるためのモニュメントとしての機能が強いということだろうか。非常に素晴らしいと思う。(2003.10.15.入館)
赤穂市立歴史博物館(赤穂市上仮屋916-1)
赤穂市立民俗資料館(赤穂市加里屋805-2)
  塩の町、そして赤穂浪士の町として二つの中心となるキーワードがあるぶん、赤穂は比較的自分たちの特色を出しやすいまちといえるだろう。もちろんそれは、歴史博物館展示にもいかされている。「赤穂の塩」「赤穂の城と城下町」「赤穂浪士」「旧赤穂上水道」と4つのセクションは、非常に解りやすい構成といえるだろう。特に「赤穂の塩」一階すべてを当てられており、塩作りの道具の展示や塩田開拓の説明、塩の流通にかんして高瀬舟や塩廻船の模型の展示など赤穂がまさしく塩で持っていた町であることがよく判るようにできている。入場料は200円。手ごろな価格であると思う。
 それに対し民俗資料館は建物自体が旧専売公社の塩務局を利用しているということ以外は特に赤穂らしい資料館づくりをしてるというわけではない。展示物は農具などのいわゆる民具と呼ばれるものは比較的少なく、カメラやレコード、タイプライターといった明治から昭和初期の生活用品が並べられている。古いものから今でも探せば使っているところがあるかもしれないような新しいものまで、雑多に並べられている。特に説明などもなされていなく、ただあちこちから集めてきただけというのがよくわかる。展示は建物内だけでなく、庭の方にも続いている。向こう側に立っている倉庫の前で一人の男性がいて、なにやら作業をしている。近づいて行くと、向こうから声をかけてきて、いろいろと倉庫の中にあるものの説明をしてくれる。先ほどしていた作業は使えなくなった道具を修理していたそうである。その男性は雑多に物が集められ、ただ並べられている現状に不満であるようである。道具は使ってこそ初めて価値がある。だからこそ地道に一人で修理を続けているのだが、人手がなくてどうしようもないとのこと。確かに、道具は並べられているだけでは、それが生活の中でどう活かされ、どのように使われていたのかは判らない。壊れたり、錆びて使えなくなったものがどれほど、見る人に訴えかけることができるだろうか。物が並んでいるだけの資料館には何の魅力もないだろう。彼のしている作業は非常に重要なことだろう。その作業がどんなに地道で、むなしく見えるこのでも、それはつづける必要があることだろう。そしてこうして人がいていろいろな話をしてくれることもまた民俗資料館としては意味のあることだろう。入場料は100円。彼がこうして作業を続けるのなら、もっともっと払ってもいいと思う。(2003.10.29.入館)
桑名市博物館(桑名市京町37-1)
  「幕末の桑名」という簡単な特別展をしていたが、特に何か面白い見せ方をしているという別ではなく、幕末の絵画や資料が並べられているだけであった。幕末の桑名は城主松平定敬が尾張慶勝や京都守護職松平容保の実弟であることもあり、幕府方として重要な位置にあり、展示の意図はわからないでもないが、どうもやる気が感じられないと思ってしまう。常設展もまた雑然としていて面白みを感じることが出来ない。入場無料。お金を取らないことが逆に、見せるという意味を考えさせる機会を失わせてるのかもと思ってしまう。(2003.09.27.入館)
勝山町郷土資料館(真庭郡勝山町大字勝山170)
  正直言って、この郷土資料館自体は、土器や民具などが雑多に並べられているだけで、少しの地図・系図や解説はあるものの、取り立てた工夫もなく、面白いとはいいがたいと思う。しかし、何もこの郷土資料館の建物だけを郷土資料館と考える必要もないような気がする。勝山の町並み自体が郷土資料の価値はあるわけだから、町全体の中で、近くにある武家屋敷館とともに、この郷土資料館をどう位置付けるかを考えるべきだろう。入場料は200円。この値段でも高いと言わざるをえないともう。(2003.08.14.入館)
高岡万葉歴史館(高岡市伏木一宮1-11-11)
  古代・万葉集にアイデンティティーを求めようとするにはどういう条件があるのだろうかと少し考えてしまう。鳥取の因幡万葉歴史館もそうだったが、大伴家持が国司として赴任し、そこに住んでいたということが大きな要因があるようだ。単に古代の国衙跡なら何処の国にもある筈で、何処の国にも万葉の雰囲気をかもし出すものが残っていてもおかしくはない。問題は古代の風景を伝える歌が残っているかということ。特に因幡や越中が風光明媚な所だっと別ではおそらくないだろう。そういった意味で、大伴家持が因幡や越中に1300年の時を越えて幸いをもたらしたといえるだろう。奈良に住む僕としては、越中の二上山が、大和の二上山ほど美しいとは思えないものの、その名もまた万葉にへと向かう要因となるのだろう。博物館自体は万葉という分かりやすい方針もあり、非常に上手く地元の歴史や風景を見せていると思う。但し建物は直線的に配置され、効率がよいとは思えない。また二階ある庭園なども少し中途半端なような気もする。入場料は210円。比較的安い設定だと思う。(2003.08.17.入館)
綾部市資料館(綾部市里町久田21-20)
  綾部市資料館という名称からは、正直何が展示されているのかはわかりにくい。展示内容は、旧石器時代から近世ぐらいまでの考古学資料やパネルなので、せめて歴史資料館とするべきではないだろうか。由良川を中心にし、そこに発達してきた綾部市、あるいは旧何鹿郡を紹介していきたいのだろうけど、これではよくわからないし、面白みにかける。入場無料。これではお金をとることは出来なだろうから、当然だろう。(2003.07.29.入館)
市立枚方宿鍵屋資料館(枚方市堤町10-27)
  枚方宿の豪商鍵屋の建物をそのまま資料館にしたもの。宿場町としての枚方を上手く紹介していると思う。京街道の宿場町は片宿といわれる京都に向かうの上りに偏った宿場。下りは淀川の水上交通を利用するからであり、三十石船に対するくらわんか船が枚方では重要。特に映像によって、くらわんか船での売り子と客の掛け合いや淀川三十石船歌が聴けるのは、雰囲気を味わうのに非常にいいと思う。北河内のある意味汚い無礼な言葉遣いが、逆にある種アイデンティティになっているのだろう。 入場料は200円。くらわんか船の掛け合いを聴くだけでも、十分に価値はある。(2003.06.26.入館)
高槻市立しろあと歴史館(高槻市城内町1-7)
歴史民俗資料館(高槻市城内町3-10)
  しろあと歴史館は常設展示「高槻城と人」「城下町のくらし」「人々のなりわいといとなみ」「淀川と舟運」「西国街道と芥川宿」と5つのコーナーからなる。どれもそれなりに面白く見れるが、特によかったのは、ミラービジョンによる「城下のくらし」。城下町としての高槻、酒どころ摂津富田、あるいは西国街道沿いの芥川宿などが親しみやすくうまく表現されている。大名行列や三十石船の模型などもあり、微妙に場所はずれるけれども、城下町・宿場町としての高槻を上手く表現していると思う。それに対し、民俗資料館の方は、江戸時代の豪商の家を城跡公園内に移築したもので、雑多にポンプなどの消火器具、蓄音機、ミシンなど近代の生活用品や農具・漁具などが並べられているだけ。これといった工夫やコンセプトはないようだ。共に入場無料。しろあと歴史館の方は立ち寄る価値はあるだろう。(2003.06.19.入館)
大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4丁目1-32)
  特別展には以前入ったことがあったが、常設展示を見るのは今回がはじめて。非常によく出来た博物館だと思う。歴史博物館という名称だが、民俗学的な要素も非常に多い。10階が古代フロア、9階が中世近世フロア、7階が近現代フロアとなっており、各フロア、単純な展示物だけでなく、映像・模型を駆使しながら、身体感覚で理解していくことができる。主題はやはり都市としての大坂・大阪である。特に9階では水の都大阪・商業の町大阪をうまく表現していると思う。都市という入れ物だけでなく、そこに生活する人々の感覚を描き出していると思う。入館料600円は決して高くない。(2003.05.18.入館)
兵庫県立歴史博物館(姫路市本町68番地)
  兵庫県は旧国名で言うと摂津・播磨・丹波・但馬・淡路と5カ国にまたがっており、統一を持って歴史博物館を作るのはなかなか難しいことだろう。大まかに「原始」「古代」「中世」「近世」「近現代」と時代区分ががされており、時代を追う形で考古学資料や寺院の模型、絵図などが展示されているが、やはり、旧5カ国それぞれの特色、そして逆に1っの県としての必然性などは、上手く見せることは出来ていないようだ。民俗学的には、戦時下の生活用品など民具が少しある程度で、あまり重要視はされていないようである。また、姫路という立地条件もあり、城に対するこだわりは大きいようである。姫路城をはじめ多くの城の模型があり、城好きにとってはなかなかおもしろいだろう。入館料200円。他にも様々なもよおしを企画しており、非常に頑張っていると思う。(2003.04.02.入館)
倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館(倉吉市中ノ町3445-8)
  とりあえず、美術部門・歴史部門・民俗部門と別れているのだが、僕が訪れた際には、民俗部門は準備中ということで展示なし。一番、興味あるところがないということで、すこしがっかり。美術部門は郷土ゆかり、出身の洋画・現代画などの展示。歴史部門は古代中心の考古学資料ばかり。正直、どれもいまいち面白味のかけるものばかりで、やる気が見えてこないと感じる。入館料は210円とけって高くない設定だけれど、だからと言ってこれでは人が集まらないと思う。(2003.03.29.入館)
因幡万葉歴史館(鳥取県岩美郡国分町大字町屋726番)
  大伴家持、伊福吉部徳足比売といった因幡国にかかわりのある万葉人を中心に古代人の生活がわかりやすく展示されていると思う。また民俗館の方でも、麒麟獅子舞や傘踊りといった因幡の民俗芸能がビデオなどを用いながら、説明されており、非常に面白く楽しむことが出来た。入館料は500円。十分に価値があると思う。また入り口付近に建てられた「時の塔」からは因幡三山など因幡の野山を眺望することができ、古代の時の流れを感じれるような気になれる。(2003.03.29.入館)
鳥取県立博物館(鳥取市東町二丁目124番)
  「地学生物」「歴史民俗」「美術」と大まかに展示は別けられている。全体として面白いないようだと思うのだが、いまいち展示の仕方がよくなく、見てまわり難いと思う。「地学生物」は鳥取砂丘や大山といった鳥取独特の地形を挙げながら、その出来方やそこに生息する生物などが示されている。「歴史民俗」では、明治時代の引き札や絵葉書などが展示されており、これは非常に価値があり面白いと思う。丁寧に読み手解けば本当に面白いだろう。また鳥取城の模型や民家を再現したものなどがおかれている。ちょうど子供たちの団体客があり、学芸員の男性が民家の中で、当時の生活を説明をしているのに出くわす。やはり言葉による説明があれば、非常に面白くかつわかりやすいと思う。こういった語りをいかに取り入れるかが、博物館の問題となるだろう。他にも銅鏡や銅鐸などの考古学資料や古代の廃寺の説明、近世鳥取藩の説明など、鳥取の歴史が上手く紹介されていると思う。「美術」コーナーでは近世の郷土に関係した古美術が丁寧に展示されていた。入館料は180円。非常に安く設定されていて素晴らしいと思う。ちなみに二階の特別展では「シャガール展」をやっていてついでにシャガールまで見ることができ、十分に満足できました。(2003.03.30.入館)
 
 ホーム//読む/歩く/聴く/見る/語る/創る