A邸 耐震改修工事

調査結果

各部調査結果

地盤

本建物は、新興住宅地の中にある。周囲の環境から、斜面地を造成した敷地であると考えられる。

特に西側の境界は約2.4m段差があり、既設間知ブロック擁壁に補強壁とコンクリート床版を増築した複雑な構造となっている(写真-5〜7)。しかし、ひび割れやブロックのはらみ出し等は見られず、現時点では健全であると思われる。

しかし、建物西面の地面はやや沈み込んでいる様に見うけられ(写真-3)、盛土の締め固めが不十分であった可能性がある。土質は粘土まじりの砂であった。

また、北面の境界も約1mの段差があり、コンクリートブロック積み擁壁が存在する。この擁壁には、背面の土圧によると思われる若干のはらみだしが見受けられた。建物との間は約1.7mあり、十分離れているため建物にはあまり影響しないと思われる。

建物内部の地面は外部より80mm程度高いと推定される。調査時点では十分乾燥して良好は状態であった。表面締固め等はされていなかった。



基礎

建物全体として鉄筋コンクリート造布基礎と推定される。

基礎コンクリートの品質に関しては、仕上のされていない内部から見る限り、コンクリートの品質不良や充填不良の箇所は見受けられなかった。

ひび割れ等の障害に関しては、通風口による断面欠損部分を中心として、クラック(ひび割れ)が多く見られた(写真-30)。特に食堂南面の窓下は、3mm程の幅で大きく亀裂が生じていて、内部から外部まで亀裂が貫通している(写真-13)。この部分においては、西側の不等沈下で基礎梁に生じた曲げ応力によって基礎梁が折れてしまっていると考えられる。


続く...


©Tahara Architect & Associates, 2005