このA邸は近畿地方の閑静な住宅地にあり、平成元年頃に建てられた在来構法による2階建てである。
今回リフォームを兼ねた耐震補強工事を行ったことにより、3世紀にわたって使われる木造建築物に生まれ変わった。
1995年の阪神淡路大震災時、この地域は「震度4」に該当したが、この揺れに対して本建物は大きな被害もなく現在に至っていた。
しかしながら、付近には大きな歪エネルギーをもつ生駒断層がある。生駒断層帯地震が起きた場合、マグニチュード7程度の地震が発生し、学識経験者の共通意見では、この断層がずれて歪エネルギーが一気に開放された場合、建設地周辺では「震度6以上」の地震が想定されるため、早急な耐震補強対策が必要であると言えた。
表中の「耐震性の低い建物」とは、建築基準法を満足していない建物又は新築当時満足していたが建物の老朽化や増改築により建築基準法を満足してない建物が該当する。
「耐震性の高い建物」とは、建築基準法を満足している建物で、国が定めた最低限の安全性能「大地震時において、建物が損傷しながらも人命は守る」と云う考え方で成立している。
本建物では、施主からの要望より、震度6程度の地震に対して、軽微な被害で済むような耐震性能(品確法の最高耐震等級3レベル)を目標とした。