平成19年4月12日(昭和33年以来,50年目となる教員生活がスタートしました。担当は,中学2年生の理科第2分野・地学の領域です。)

 昭和33年4月,私は「奈良県御杖村立学校教員に採用する。2級4号給を支給する。御杖村立神末小学校教諭に補する。」という辞令書をいただいて,奈良県の最東端の神末小学校に着任,3年赤組を担任,33人の子どもたちとの生活が始まりました。国語,社会,算数,理科,音楽,図工,体育のすべての教科と特別活動,この年から始まった道徳の授業,それにいろいろな校務が私の仕事でした。その中には,割れたガラス窓の修理もありました。今でも,ガラス切りには自信があります。
 今年,私がいただいたのは,来年3月31日までの非常勤講師としての仕事です。「中学校理科の授業だったらやらせていただきますが,時間数は減らしてください。もう,あまり多いのは困るんです。なんとか5時間に」と,無理を承知で繰り返しお願いした結果,「先生には,中学2年生5クラスの各1時間,地学の領域をお願いします」ということになりました。非常勤職員という身分ですから,仕事は授業だけです。それだけに専念できます。
 4月初めての授業,私は,黒板に「竹中先生は,中学校で一番○○○○な先生です」と書き,○○○○に何を入れるかたずねてみました。ここ数年間は,「学校で一番」と書いていたのですが,昨年から「中学校で一番」としました。1歳年上の方が高等学校の授業をされることになったのです。
 生徒の答えはいろいろでした。いくつかあげると次のようになります。
@ 一番やさしい(小学校で6年を過ごした後,中学校に行ったすぐ,生徒が言ってくれました。小学校ん汚染製の雰囲気にあふれていたのでしょうか)
A 一番年寄り(事実です。もう71歳です。しかし,気分は昔のまま,それどころか若いときと同じ失敗をくり返しています。)
B 一番ベテラン(これは「一番年寄りは失礼だ」という声に出てきた答えでした。)
C 一番こわい(30代に勤務した中学校で言われたことです。当時,△△先生に「鬼の○○,閻魔の竹中,仏の△△」と言われたことがありました。生徒もそう考えていたようです。私は△△先生が一番こわかったのですが…)

 さて,最初の勉強は次の3つです。
@ 「地学の勉強で想像と創造の力を伸ばそう」と話しました。乏しい資料から考えを絞り込んでいくためには想像も大切です。そして,そのことは「創造」の力を育てることにもなります。ここでは,恐竜の足跡のプリントからここで起こったことを想像させました。これは,毎年初めての生徒にやらせる作業です。奈良学園で高校地学を教え始めたときに書かせたことについては,平成13年4月10日更新の「大きな恐竜と小さな恐竜」に書いています。
A 「1億という大きな数を実感すること」です。地学には大きい数が登場するのにその大きさが実感できないというのは困ったことです。初任給が手取り8000円だった昭和33年とは違い,びっくりするような金額が飛び交う最近です。1億が大きい数だと思えないと宇宙の大きさが理解できないのです。そこで,作業を通して1億の大きさをしっかり考えてもらいました。
B 新しい発見があり,変化していく地学です。去年は「冥王星が惑星のなかまから外れる」というニュースがありました。気象台で百葉箱を使わなくなって久しいですし,阪神・淡路の大震災のあと震度階級が変わりました。
 これからは,「教科書で勉強したから,これで終わり」ではないのです。新聞の記事,テレビのニュースを見て,新しい情報を得る,そして,一生学び続ける気持ちを持ってほしいと思います。
 今年も,理科の授業を通して,あるいは,いろいろと見聞きしたことを通して,このホームページに書き加えていきたいと思います。そして,「理科って面白い」といえるようになって欲しいと思っています。
 このホームページを見てくれている人たちの中に奈良学園の2年生がいたら,今日の勉強を,もう一度振り返ってみる機会にもして欲しいと思います。「今年こそ最後の授業」そんな意気込みで,楽しい授業にできるようにがんばります。
奈良学園中2の皆さんへ…「最初の授業のまとめをノートにしておきましょう。できれば,感想も聞かせてください」


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