平成13年4月10日(大きな恐竜と小さな恐竜の足跡の化石から「想像力」と「創造力」を育てたいと思いました)

  4月,新しい学年の授業が始まりました。私にとっては新しい学校での授業ということになります。奈良学園中学校・高等学校では中学2年と3年の理科第2分野を担当します。中学校3年の「大地の変化」の学習では,高等学校地学TBを合わせて履修させることになっています。
 地学というのは面白い科目です。数十億光年という途方もない距離の向こう,10数億年前という昔,昔,大昔の事象に夢を馳せるのは楽しいことです。こうしたことを学ぶには「想像力」をかかすことができません。この想像力は「創造力」につながります。言い換えれば,地学は「想像力」と「創造力」を育てる科目なのです。

 この第1時間目,私は足跡の化石のプリントを配布し,ここに起こったドラマを推理させました。次にあげたのは,生徒の考えのいくつかです。
1 小さな恐竜が大きな恐竜に遭遇し争いのすえ,食べられてしまった。
2 小さな足跡は子ども,大きな足跡は母親である。いっしょに遊んだあと,おんぶしてもらって帰って行った。
3 小さな足跡は鳥である。出会った大きな恐竜に襲われたが飛んで逃げたので無事だった。
4 大きな恐竜が歩いて行った。それから何日か後,小さな鳥がやってきて飛んで行った。出会ったのではない。時間差があるのだ。
5 恐竜の親子が出会った。子は,親の真似をし無理をして大股で親の足跡の上を歩いて行った。だから子どもの足跡は見えない。
6 大きな恐竜と出会った小さな恐竜は恐れ入って後ずさりで逃げて行った。
7 小さな恐竜は地下に穴を掘って巣にしている。足跡が消えたのは巣の中に入ったからであって食べられたのではない。
8 小さな恐竜は肉食性である。草食性の大きな恐竜をやっつけようと背中に飛びって噛みついた。噛みつかれた恐竜は痛みをこらえながら,敵を振り落とそうとしながら走った。
9 小さな恐竜と大きな恐竜が争っているところに空を飛ぶ恐竜がやってきて小さな恐竜をさらって行った。餌をとられた大きな恐竜はとぼとぼと歩いて行った。
10 小さな恐竜が大きな恐竜の背中に噛み付きやっつけようとしたが振り払われてしまった。
11 争いからなんとか抜け出して小さな恐竜は左上の方向に逃げた。大きな恐竜が追いかけた。小さな恐竜の足跡が見えないのは大きな足跡に消されたからである。
12 大きな足跡の左側には池がある。子どもはこの池に入って遊んでいる。親は池のふちに沿って歩き,遊んでいる子どもを見守っている。
 すべての教科を暗記ものと考えているのではないかと思われる現代っ子に考えることの楽しさを知ってほしいと思うのです。決して知識を否定するのではありません。覚えておかなければならない大切な知識があります。でも,こうした想像と創造の上に知識を習得し,得た知識をもとに想像と創造の世界を広げて行ってほしいと思います。

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