雨月物語
羅子水滸を撰して、三世唖児生まれ、紫媛源語を著はして、一旦悪趣に堕つるは、蓋し業のせまる所と為るのみ。 然り而して其の文を観るに、各〃奇態を奮ひ、がんろう真に逼り、低昂苑転、読者の心気をして洞越たらしむるなり。 事実を千古に鑑せらるべし。余適鼓腹の閑話あり、口を衝きて吐き出す。雉鳴き竜戦ふ、自ら以て杜撰と為す。 則ち之を摘読する者は、固より当に信と謂はざるべきなり。豈醜脣平鼻の報を求むべけんや。 明和戊子の晩春、雨はれ月朦朧の夜、さう下に編成し、以て梓氏にあたふ。題して雨月物語と曰ふ、と云ふ。 |
巻之一 |
白峰 菊花の約 1、2 |
巻之二 |
浅茅が宿 1. 2 夢応の鯉魚 |
巻之三 |
仏法僧 吉備津の釜 |
巻之四 |
蛇性の淫 |
巻之五 |
青頭巾 貧福論 |