平成21年1月10日(奈良県教育振興会の会誌「やまと」に連載中のサイエンススポット,丑年の今年1月号は「みつえ」高原牧場です。)

 1月号で31回目になった「奈良サイエンススポット」,今度のタイトルは「みつえ高原牧場 −「ここが奈良県?」そんな風景です−」です。
 いつものように子どもたちへのお手紙の形式ですが,今回は弘行君へのお手紙です。弘行君は中学校の3年生,得意な教科は技術家庭,バスケットクラブに所属,趣味は料理デ,将来の夢はコックになることです。
 以下は,その全文です。

 平成21年,2009年,丑年の弘行君への年賀状は牛のお話です。
 奈良県の最東端の御杖村は,私が昭和33年4月,教員としての生活をスタートした村です。当時は県内の最寄り駅である榛原からバスで2時間あまりもかかるという山村でしたから,通勤は不可能,下宿しての勤務でした。
その御杖村に,「奈良県畜産技術センター・みつえ高原牧場」がオープンしたのは平成13年,その頃行ったことがあるのですが,もう一度ゆっくりと見学したいと車を走らせました。昔は,積雪の多い日には,全輪にチェーンを装着した定期バスが,峠をよじ登り,今のようにガードレールが整備されていない道路の端を見極めて他の車と対向し数時間もかかってやっとたどり着くといったこともあったのですが,道幅が広くトンネルが新設された今は,天理から1時間あまりで着くことができました。
 みつえ高原牧場は敷地が68ha もあり,ここで300頭ほどの牛が飼育されています。そのうちホルスタイン種が50〜60頭,あとは黒毛和牛ということでした。
 本館から下を眺めると6棟ほどの牛舎が並んでいます。ここには,供卵牛舎,繁殖牛舎,受精卵処理棟などがあり,優秀な子牛や受精卵を県内の畜産農家に供給しています。
 堆肥舎では,牛の糞を活用して堆肥を作り,これも農家に供給されています。牛の糞はホルスタイン種で1日50〜60kg,和牛はその3分の1程度だそうです。
 草地でゆったりと草を食べている牛について尋ねると妊娠して安定期にある牛は3か月ほど放牧しているとのことでした。その間,草を食べて昼夜を自由に過ごすそうです。1人立ちの生活なのですね。
 弘行君も今年は15歳,1人立ちに近づく年なのかな。では,今年も頑張りましょう。

 みつえ高原牧場は宇陀郡御杖村菅野1775-5 にあります。国道369号線を走り,御杖村役場から東に走ったところにある標識に従って左折,約3kmのところです。電話は0745-95-6660です。


1 みつえ高原牧場の全景です 2 飼育舎の中です 3 当分外で暮らします

 


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