平成16年10月29日(第37回全国小学校理科研究大会,「ふしぎ発見!  自然・環境・エネルギー」がテーマの平群東小学校の研究発表会に参加しました。)

 奈良県で開かれた第37回全国小学校理科研究大会の会場校・平群東小学校をお訪ねしました。この学校の研究テーマは「ふしぎ発見! 自然・環境・エネルギー」です。
 全国からの参加者でいっぱいの体育館でのオリエンテーションで,研究テーマや学校・各学年の取り組みが説明され,2時間の公開授業が行われました。
 4年1組は「熱にひみつをさぐろう」で,子どもたちが考えた熱の働きを利用した実験・工作の発表会です。「熱気球を作ったよ」というグループからは,何度も失敗したけど,そのたびに工夫して作り上げた7つ目の熱気球が披露されました。クラスの子どもたちからは「なぜ失敗したのか」「どんな工夫をしたのか」などという質問が出され,それぞれに詳しい説明がありました。蒸気発電を研究したという女の子は,工夫して作った羽根車に水蒸気をあてて回転させ,その力で電気を起こして見せてくれました。「点電球」は点灯したけど,豆電球はつかないので,もっと工夫をしてみたいという報告がありました。「とても弱い電気なので検流計で調べてみた」という話には,「検流計って何なの」「アンペアって何?」といった質問があり,一生懸命に話し合う姿が印象的でした。すごい勢いで回ったこの羽根車,彼女の話では試作15号機なのだそうです。昔,中学校の科学クラブで風力発電に挑戦したときのことが懐かしく思い出されました。
 4年2組は「平群の里山〜みんなでつくる樹木図鑑〜」です。机の上をみて驚きました。私をびっくりさせたのは,それぞれの子どもたちの持っているファイルです。自分が選んだ木のこれまでの観察が克明に記録されているのです。絵にかき,標本にし,デジタルカメラで撮影し,気のついたことが記された分厚いファイル,これは子どもたちの一生の宝物になるのだろうと思いました。質疑もすごいです。発表者に質問し,「ぼくも前に出ていいですか」と前に出てのお話,とうとう黒板の前には4人の子どもたちが並びました。
 2つの授業の主役は子どもたちでした。先生は学びの支援をする役に徹していました。こうして主体的な学習が展開されるのだ,納得したこの日でした。
 昼休みには,燃料電池車の試乗があるとのこと,車大好き人間の私は昼食もそこそこに運動場に飛び出し,乗せてもらいました。この車,1億100万円,そのうち100万円が車体の費用だそうです。
 午後からは,神奈川県,鹿児島県の先生たちによる研究発表,各地での真剣な取り組みが報告されました。きっと明日から全国の各地に,こうした取り組みが広がり,多くの学校の子どもたちが「ふしぎ発見!」に熱中するのではないかと思われました。
 久しぶりに参観した小学校の理科,指導助言という役割で4年生の分科会に参加しながら,「自分も明日からがんばらなくては」と真剣に考えたひとときでした。
 全体会では,広島大学大学院の角屋重樹先生の講話をお聞きしました。「これからの理科教育は平群東小学校の研究の内容の中にある」というお話に賛同し,参加できて良かったと思いました。多くを学ばせてもらった平群東小学校の先生や子どもたち,ありがとうございました。

オリエンテーションで始まった 熱で動くものの発表・4-1 熱気球が飛んだ!
ポンポン船も走った! Fさんたちの羽根車は15種も 私の樹木の発表・4-2
議論が沸騰・4人も登場 昼休みには燃料電池車も 角屋先生の指導講評



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