平成15年8月8日(徳島県板野町の未来舎の1年から6年を合わせたクラスで授業しました。タイトルは「台所は理科室みたい」です。

 徳島県板野町の学習塾・未來舎の丸岡浩子さんからの依頼で,徳島に出かけました。塾長の宮崎順子さんからいただいた名刺には「自立型個別学習システム・有限会社・未来舎宮」と書いてあります。「徳島で一番おいしい」という串カツをごちそうになった翌朝,未来舎に行きました。板野町特産のハスの畑の中に未来舎がありました。「この窓から眺めると仏様になったような気持ちがするでしょう」とおっしゃるとおりです。この教室,知識注入,ペーパーテストなんでも来いの学力向上ではありません。未来に生きる力を育てるという目的にそってさまざまな学習をする教室なのです。ここで 「台所は理科室みたいだと思います。今日は台所にあるものを使って理科の勉強をしましょう」と1年から6年までの子どもたち16人と遊びました。
 私が学んだ小学校は,1年から6年まで23人が1つの教室でたった一人の先生に教わるという単級学校でした。その先生というのは,私の父でした。そんな昭和19,20年のことを思い出しながらの学習でした。
 砂糖と食塩をどのように見分けるかを話題にしました。そして,子どもたちからの,「なめてみたらいい」「手触りを調べる」「水に溶かしてみたらどうだろう」といった提言を1つ1つ確かめていきました。準備して行った手製の三脚とアルコールランプ代わりの固形燃料,にアルミカップ(水羊羹の容器の塗装をはがしたものです)が役立ちました。子どもたちは食塩はパチパチ飛び跳ねる」「砂糖は溶けて,綿菓子のにおいがする」「火がついて燃える。すごい」と興奮していました。
 溶解度も調べました。砂糖はよく溶けるんだを発見してくれました。ステンレス板でこしらえた水溶液の電導をしらべる装置では食塩水のときには電流が流れることが発見できました。徳島県板野町のお隣上板町は砂糖(あの有名な阿波和三盆糖)の産地です。お隣の徳島市には全国に数社しかない食塩製造の会社・鳴門塩業があります。砂糖の町,食塩の町にはさまれた板野町で砂糖と食塩を材料に理科を勉強する楽しい機会でした。お土産は,子どもたちの作文です。孫より小さい子どもたちを含む,この教室での学習は楽しい思い出がいっぱいです。実験助手を務めてくれた若い先生たちと授業のあり方などを語りあえたのもうれしいことでした。台所には,酢があります。炭酸水素ナトリウムがあります。家の中にはアンモニア水もあります。乾燥剤は強いアルカリ性の物質・水酸化カルシウムです。こうしたものも使った学習を計画して行ったのですが,2時間ぎっしりの勉強でも残りました。また,機会があれば…などと考えています。帰りに,和三盆糖を作っている岡田製糖所を見学してきました。


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