平成14年11月29日(中学校1年の地震の学習の資料に,兵庫県の子どもたちの作文集「ドッカン ぐらぐら」を使わせてもらいました)

  今,中学校1年では地震のことを勉強しています。あの大きな被害を出した「平成7年兵庫県南武地震」は彼らが幼稚園や保育園の年長組のときだったそうですから,覚えていない子が多いようです。しかし,親たちからこの地震のことは聞いているようですし,教科書にも取り上げられていますから,これを材料にして話をすすめることになります。
 学ぶことの1つに,
「初期微動継続時間は震源までの距離に関係すること」
があります。はじめのビリビリというかすかな動きに続いてグラグラという大きなゆれがやってくるのです。「地震には『ビリビリ』と『グラグラ』がある。『ビリとグラ』だ」と言うと,子どもたちは『ぐりとぐら』の話を思い出してくれます。震源までの距離が『ビリビリ』の長さに比例するという大森公式については,データからグラフを書いて調べます。大森さんと同じ発見ができたと喜ぶ生徒もいます。
 子どもたちには,阪神淡路大震災のときの,兵庫県の小学生が書いた作文集「ドッカン ぐらぐら」を見せました。当時の兵庫県小学校長会長・兵庫県小学校教科等研究会長の小倉先生にいただいたものです。そして,
「兵庫県だから,震源に近いところだから『ドッカン ぐらぐら』なんだ。もし奈良県だったら『ビリビリビリ ぐらぐら』だろう」
と話すと,北海道だったら
『ビリビリビリビリビリビリビリビリビリ ぐらぐら』
だろうと話してくれる生徒がいます。こうして学習が深まって行くのです。
 それにしても,大変な地震でした。当時,神戸にいて震度7を体験した2男は今も神戸市民です。彼が経験した地震の話を取り混ぜながら,単なる知識としてだけではなく,そうした天災の中で行きていく人間についても考えさせたいと思います。そして,忘れたころにやってくる災害から身を守り,助け合って生きていく力,悲しい思い出をもつ人たちに心をよせるやさしさも育てたい,そんな気持ちで授業を進めています。

写真は,『ドッカン ぐらぐら』の表紙です。今度は第2週も発行されたそうです。兵庫県の子どもたちのますますのご活躍をお祈りします。

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