平成13年11月4日(「河川の侵食作用」の例を生徒に見せるために,吉野川宮滝の「甌穴」の写真を撮りに行きました)
 私は,奈良学園で中学校3年理科の地学領域を担当しています。11月の授業は「河川の作用」から始まります。そこで,11月4日の日曜日を使って,吉野川の宮滝に出かけました。ここにある「甌穴」の写真を撮るためです。久しぶりに出かけたこの町には,吉野歴史資料館がオープンし,奈良時代からの遺跡についての展示がされていました。
 ここを見学した後,河原に行ってみると,昔と変わらない清流がありました。とは言っても,奈良時代にはもっともっと美しかったのでしょうが。
 さて,甌穴です。甌穴は,急流の河床の岩石面に生じた鍋状の穴で,くぼみに入った石が渦流で回転して岩をけずってできたもので,かめ穴と呼ばれています。最初は小さな砂粒のようなものが回転して,しだいに大きなくぼみを造り,次にはもう少し大きな小石がドリルの役目を果たして,今のような大きな穴ができたのでしょう。
 そして,両岸の河岸段丘とともに,河川の浸食作用を見事に表現してくれています。いったいどのくらいの年月でできたのだろう,と考えながら河原を歩き回りました。
 撮ってきた甌穴の写真は,私のプリンタでは最大のA4判にプリントし,授業の中で見てもらいました。ただし,この写真を見せたときには次のような反省も付け加えました。それは,この甌穴のそばに長さが分かるものを置いておかなかったことです。いつぞやのこの時間に測定の意味を考えさせ,「任意の単位でも良いからなんらかの基準性をもつもので記録しておくならば,いつでも標準の単位に置き換えることができるのだから…,それが科学する者にとって大切なことだ」と話した私にとっては大失敗。生徒からは「あんなに言ってたのに…」と笑われそうな気がしています。今回の写真は,この前の地滑りの授業のときのように,数センチメートル角にプリントしたものを配布し,ノートに説明と共に貼付させることはできませんでしたが,これからも事情の許す限り,実際に現地で得た映像を学習に生かしていきたいと考えています。
 この日は,大滝の松屋さんの柿の葉寿司を昼食にしました。紅葉のシーズンには,毎年,紅葉した柿の葉を使っているお店です。「多少多い目に赤い柿の葉を入れてください」とお願いしたら「ちょっとお待ちください」とわざわざ作ってくださいました。これを食べながら,昨年11月23日に来たときにはもっと赤くなっていましたから,まだまだこれからなのだと思いました。
 午後は,大台ケ原に登ってみました。と言っても車を走らせただけですが…。駐車場の付近でもずいぶん寒く,最高気温を示す午後2時に気温が3℃,多くの木々が葉を落とし,すでに冬の季節になっているように思いました。
 写真は,宮滝の付近に見られる河岸段丘と清流,直径が1メートルくらいの甌穴,大台ヶ原ドライブウエーから見た紅葉,そして松屋さんの柿の葉寿司です。

追加・・・生徒のノートを見せてもらいました。思ったこと,考えたことが記載されているノートに感心しました。「アッ 見たことのある写真!」と思いました。それは,次の「甌穴」の写真でした。授業で見せてもらった写真をダウンロードしてノートに貼ってくれたのです。「うれしいな」と思いました。「これからも,具体的な例を取り入れた授業をつくっていくぞ」と思いました。元気をいっぱいもらいました。


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