平成13年6月6日(透明なゴミ袋を使って,低気圧の移動にとまなう天気の移り変わりを勉強しました)

 4月から始まった2年生の「気象の学習」,今,子どもたちは低気圧の移動や温暖前線,寒冷前線にともなう天気の変化を学習しています。
 温帯低気圧の移動やそれにともなう前線の移動のような動きをともなう学習は,黒板ではやりにくいものです。動画にして提示したり,OHP上のTPを動かせたりする方法がとられます。でも,教室の主役は黒板です。なにしろ,教室の中で大きなスペースを占めており,誰の席からもよく見えるところにあります。これをうまく活用したいと,透明なゴミ袋を切り開いて作ったシートに,温帯低気圧を書きました。これを黒板にかいた地図の上に磁石玉を使って重ねます。これを東から西に移動させていき,その間の天気の変化を考えさせようというわけです。このようにして使ったシートはもう1枚あります。それは,温暖前線の断面図をかいたものです。これも同じように黒板の上を移動させます。すると,ある点の真上に巻雲が見え,続いて巻層雲が,巻積雲が見えてくる様子を理解することができます。巻層雲が広がったときには,「お天気が悪くなるよ。雨が近づいた証拠だ」と言われる太陽の周りに見えるかさを考えさせます。このあと,高積雲,高層雲,乱層雲が広がり,しとしとと降り続く雨を考えさせます。
 2年生の各クラスで,こんなシートを使って勉強を進めていたら,このシートにチョークの粉がついてだんだん見にくくなってきました。そこで,布でこすってきれいにしました。するとどうでしょう。このごみ袋を材料に作ったシートに静電気が起こり帯電し,そのために,黒板に貼りついたのです。予想していなかった静電気の登場で磁石玉は不要になりました。シートの右側を持ってそーっと引っ張ることで静かに移動させることができるのです。「うまいこと行くね」と多くの生徒から拍手をもらいました。シートの表面が光って見にくいという欠点があったものの新しい1つの教材になりました。
 さて,その次の時間です。「先生,ノート見てください」と数名の生徒がノートを持ってきました。自慢げに出してくれたノートには,薄いビニールシートがはめこんでありました。ノートに切った溝に沿ってこのシートが動くようになっているのです。見事に黒板が再現されていました。別のノートにはトレシングペーパーに温暖前線や寒冷前線の断面図がかかれたものがありました。これも動くノートでした。動きのあるものを工夫して記録する,きっと,「ああだ。こうだ」と工夫してくれたのでしょう。こんな工夫が,より詳しい理解につながるのです。時間はかかったでしょうが,こんな地道な取り組みで本格的な理解を助けてくれるのです。


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