平成12年10月28日(天理市教委主催「わくわく実験教室」で小さな科学者たちにお話と実験をしました)

 天理市では,長年,小・中・高校教育に携わってきた人たちの力を子育てに生かそうという事業を展開されています。私も,柳本小学校を会場にして行われた「わくわく実験教室」でのボランティアを頼まれて行ってきました。
 柳本小学校は,先年,大量の鏡が出土して有名になった黒塚古墳のすぐ近くにある学校です。しとしとと雨の降る土曜日の午後,会場になった理科室には10人の子どもたちとお父さん・お母さんが集まっておられました。
 試験管に入れたグラニュ糖,パウダーシュガー,普通の砂糖や純度の高い塩化ナトリウム,普通の食塩などを見てもらい,「これは,砂糖,食塩のどちらでしょう」と尋ねてみました。それぞれのグループからはいろいろな答えが返ってきました。中には,「粒が大きいから食塩だ」という答えもありました。そこで,氷砂糖をなめてもらいました。「粒が大きいけれど,これは砂糖だ」という答えでした。そこで,お母さんの針箱に入っている針も,近くを走っているJR桜井線の25メートルもあるレールも同じ鉄だということ,大きさでは物質を見分けることができないことをお話しました。
 「たしか,食塩水は電気を通し,砂糖水は電気を通さなかったはずだ」というあるお父さんの答えをみんなで検証することにしました。男の子も,女の子も,この実験に真剣に取り組んでくれました。この実験には,天理市総合教育センターの宮本先生がステンレス板などを材料にして作ってくれた器具が役立ちましたし,天羽吾朗,島田裕司先生たちにお手伝いしていただきました。
 この実験では,食塩水が電気を通すことのほかに,ほんの少しの食塩でも電流が流れること,水溶液と接触するステンレス板の面積が電流の大きさに関係すること,などの発見がありました。「ほんの少し食塩が溶けただけでも電流が流れる」という発見は,食塩水での実験のあと器具を洗わないでそのまま使ったことによる偶然の発見でした。また,面積に関係することは,ステンレス板で作った器具を上下させたときの変化を観察した成果でした。
 「ナメクジにかけるとしぼんでしまうよ」という意見に対しては,「ぼくたちは砂糖をかけてみたけど,同じように死んでしまったよ」という兄弟がいました。「やっぱり理科は面白い」に書いているように,この教材は何度も使ってきましたが,砂糖をナメクジにかけてみた経験のある子どもとの出会いは初めてのことでした。積極的に自然に関わっていこうとする子どもいることはうれしいことでした。このことについては,モデル図を使って,浸透圧のことを説明しました。
 このほか,ヒトの味覚の分布などをお話しし,水溶液は物を浮かせるはたらきが大きいことについては,食塩水と卵を使って実験し,インターネットで仕入れた死海の映像を見てもらいました。ほかにも,いろいろな検証のできた楽しい教室でした。
 参加してくれた小さな科学者は,加奥法子さん,中井翔太くん,中井悠太くん,喜多佐知江さん,喜多宏美さん,中井正剛くん,杉田栞さん,上杉里奈さん,上杉たつきさん,の10人,そして,お父さん・お母さんたちでした。
 次に紹介するのは,いただいた感想文です。
○ とてもわかりやすい説明でおもしろかったです。
 理科は一つがわかると,いろいろわかるので楽しかったです。私は,塩水が電気をとおすとは知りませんでした。また,家に帰って,みんなに教えてあげようと思います。「アイスキャンデーの話を聞いて作ってみたいと思いました。
 理科って,とっても面白いなあと思いました。
○ とてもわかりやすくておもしろかったです。来てよかったなあと思います。ホームページもひらいてみて妹にも見せます。また,来てくれたらうれしいなあと思います。
○学生時代をなつかしく思い勉強させていただきました。知っているようで知らなかったこと,思い出しながら聞いていました。事前にもう少し勉強しておけばよかったなあと思っております。

Mokuji Next Back