木質構造の学習 - No.12 釘の種類とその耐力

3. 釘頭径の違いによる性能差

2004年5月

釘の頭の大きさにおいても、丸釘と造作用の釘では倍近くの面積の相違があり、これについても釘のパンチング抵抗性能に影響する。(下写真)


左からNC50、CN50、N50

釘の種類と釘頭面積
※2:釘の一面せん断許容耐力式より、釘頭径が影響する
(日本建築学会 木質構造設計規準・同解説 より)

この釘頭の断面積が小さいと、支圧面での抵抗力が低くなり、その結果、釘が構造用合板にめり込みやすく、変形しようとしたときに釘頭が構造用合板を打ち抜く「パンチング」が起き、急激に耐力壁の耐力が低下する恐れがある。(下図)

なお、釘のパンチングによる耐力低下は「木構造技術開発」「釘の打ち方を注意する必要性」にて検証実験を行っている。

さらに、この釘のめり込みは、検査時における釘種類の確認を困難にしている。



釘のパンチング

また、現在主流の機械打ちの場合、釘打ち機の圧力設定を高めにして釘打ちすることが多いため、釘頭が容易にめり込み、半ばパンチングが起きている状態となる。(下図)


現場における構造用合板
+釘(NC50)の間違った釘を打ち込んだ時の釘頭のめり込み状態


耐力壁2.5倍仕様(OSBパネル厚9)の間違った施工

釘がCN50ではなく、NC50であり、さらに釘がかなりめり込んでいる。



現場における構造用合板
+釘(N50又はCN50)の適切な釘の打ち込み状態


適切なCN50釘での施工

機械打ち用の釘がCN50であり、また、釘打ち機の圧力も適正であるため、釘のめり込みがあまりない。


 ©Tahara Architect & Associates, 2004