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ホールダウン金物用座付きアンカーボルトを使用した場合の問題点


I試験結果からの考察

今回行なった試験体計4体について、試験状況と試験結果からわかったことを以下に述べる。


タイプ1・タイプ2

まず、背割りに対して直交にラグスクリューまたはボルトを設置したタイプ(タイプ1・2)だが、ラグスクリュータイプ(タイプ1)はホールダウン金物の偏心による応力から、溶接されている部分で破断してしまった。(溶接不良か?・・・)

これは、ホールダウン金物の設置状態が、ラグスクリューを設置する際に、最後まで締めずに1cm程度浮かせた状態で試験を行ない、その隙間の影響でホールダウン金物がねじれやすくなり、通常よりも大きく偏心していたためであると思われるが、それにしても溶接部の脆い事・・・・。

そして、ボルトタイプ(タイプ2)では、土台の曲げによる破壊であった。

このホールダウン金物のタイプは15kN用であるが、このボルトタイプの許容耐力は、13kNと低い結果となった。

座付きボルト仕様では、このようにホールダウン金物の許容耐力を下回る性能となる可能性がある。


タイプ3・タイプ4

次に、背割り面の裏側にホールダウン金物をラグスクリューで設置したタイプ(タイプ3・4)では、10kNと15kN用の2種を行なった結果、どちらもタイプ2と同様に土台の曲げ破壊により耐力が決まり、また、荷重変形性能もほぼ同等という結果が得られた。

これは、土台(桧)の材料性能である許容曲げ応力度によって決まったものであり、ホールダウン金物の強度自体にはあまり影響のない破壊であったといえる。


タイプ2〜4の破壊性状である土台の曲げ破壊は、基礎へその引き抜き力が伝達できずに、壁体が破壊する前に接合部で破壊する恐れがある。



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 ©Tahara Architect & Associates, 2003