2007年

            9月



         9月10日 ヴィオラ・ダ・たんば

          「シューベルティアーデたんば」と云う催し物をご存知でしょうか。
          1995年に声楽家の畑儀文氏の呼びかけで始まったコンサートシリーズで
          今年で13回目を迎えたそうです。
          篠山市と丹波市の色んな場所を演奏会場として、約2ヶ月に渡る期間中に20回以上の
          演奏会が予定されています。(http://www.schubertiade.gr.jp)
          昨日そのオープニングコンサートが篠山市の「お菓子の里丹波・ミオール館」で行われました。
          今年のメイン演奏家はヴィオラの中島悦子さんでしたので
          モダンのヴィオラとの対比と言う事で私も演奏して来ました。
          ヴィオラとのデュオは始めてでしたがやはり名前を共有しているだけあって、
          違和感無く溶け合ったように思いました。またコンサートでは篠山市在住の古楽器製作家
          平山照秋氏が自作のガンバを紹介するコーナーもありました。
          公演は2回とも満員で、中には東京や長野から聴きに来られた方もいました。
          今回は「たんば」に響いた「ガンバ」の話題でした。
          
          
         
      

                 
  
      (コンサートのポスター)       (お菓子の里丹波・ミオール館)             (会場となったホール)






            8月



           8月27日 仏前結婚式

          昨日、浄土宗の総本山である京都の知恩院で執り行われた本格的な仏前結婚式に参列してきました。
          新婦が私達の若い音楽仲間と云うことで招かれたのですが、阿弥陀堂の本尊である阿弥陀如来の
          前での婚儀は、厳かな中にも神前とは又違った柔らかな雰囲気が漂っていたように感じました。
          恐らく、慈悲に満ちた優しい仏像の表情が熱心な仏教徒ではない私にも、
          そこはかとない安らぎ感を与えたからだと思います。
          他力本願の教えを最初に広めた法然縁の寺での一刻は、若いカップルの門出を祝うと同時に
          静かに日々の反省をする機会ともなりました。
          記念撮影では、丁度知恩院を訪れていた外国からの観光客が紋付袴と白無垢姿の新郎新婦を
          珍しそうにカメラに収めていました。
          因みにトム・クルーズ主演の映画「ラストサムライ」の撮影が阿弥陀堂に通じる渡り廊下で
          行われたそうです。
          




        

         (知恩院阿弥陀堂)             (阿弥陀如来〜丈六坐像)              (記念撮影)







            8月14日 なら燈花会(パート2)
     
          
丁度1年前の同じ日に、奈良の新しい真夏の風物詩として定着しつつある
           なら燈花会について紹介しましたが、今日はその続編です。
           私の住んでいる通りでも毎年この行事に参加しており、12日から14日までの3日間
           町内の人が総出で燈火の準備と後片付けをしています。
           まず午後6時過ぎにコップ形のプラスティック容器に水を少し入れ
           次にこれを町内の通りの両側に約2m間隔で並べてゆきます。
           町内だけで約130個程必要ですので、これだけでも結構な作業です。
           そして通りが暗くなる前に容器の中に蝋燭を浮かべるのですが、
           灯心が濡れない様に入れ無ければならないので注意を要します。
           そして点火して直ぐに薄いアルミ製の蓋を被せます。
           この蓋が無いと風で燈火が消えてしまいますので。
           とまあこのような作業を経て燈火の列が完成する訳です。
           午後9時頃から始める燈火の撤収を含めて
           なかなか大変な作業ですが、道行く人の「綺麗やね」と云う声を耳にすると
           苦労が報われる気がします。
           

        

       
          
     (燈火3点セット・カップ、蓋、蝋燭)            (燈火)                 (町内の通り)






           7月



           7月29日 土用干し

          我家の裏にはささやかな庭が有り、梅、サクランボ、アンズ等が植わっています。
          これらの木はまず春に花が楽しめ、その後で味覚も満たしてくれる大変有り難い樹木です。
          特に肥料をやって育てている訳ではないのに、毎年忘れず沢山実を付けてくれます。
          正に自然の恵みです。
          サクランボはジャムに、アンズもジャムにした残りでアンズ酒を作っています。
          梅は例年、梅酒と梅ジュースを作るのですが、今年初めて自家製の梅干作りに挑戦しています。
          梅干を作る過程で欠かせないのが、今の時期に3日間に亘って天日に干す、所謂「土用干し」です。
          太陽の熱と光で梅干の風味をより味わい深いものにするためだそうです。
          自然の恵みの結晶とも云えるこの梅干が、我家の食卓にあがるのも間近ですが
          果たして味はいかが相成りますか。
          
         
          
          

             

       (ブルーベリーと蝉の抜け殻)      (土用干し2日目の梅干と紫蘇)            (アンズ酒) 



           5月

            

            5月28日 オルティスコンソート第18回定期演奏会

          例年通り5月の第4金曜日、25日にオルティスコンソートの定期演奏会を行いました。
          今年は「グリーンスリーブス」と云うタイトルでシェイクスピアの劇音楽を中心に演奏しました。
          シェイクスピアの戯曲の中には「十二夜」の様に音楽が大変重要な要素に成っている作品以外にも、
          歌やダンスそれに楽器などが言及されているものが沢山有ります。
          タイトルに選んだ「グリーンスリーブス」は「ウインザーの陽気な女房」の中で賛美歌との対比で
          出てきます。現在でもよく聴かれるこの曲は、シェイクスピアの在世当時に大流行した様です。
          「ジュリアス・シーザー」の中ではブルータスの小姓、ルーシウスがリュートを弾く場面が
          また「ペリクルーズ」にはペリクルーズの妻、セーイザがヴィオラ・ダ・ガンバの音で蘇生する場面が
          有ります。4大悲劇の一つ「オテロ」の中で、デズデモーナによって歌われる「柳の唄」は
          何種類かのリュート伴奏付きの楽譜が残されています。
          私達が古楽として演奏しているこれらの楽器や音楽が、当時はモダンな音楽として
          人々に愛好されていた事がシェイクスピアの戯曲を通しても窺えました。



                           

               

                   (リハーサル風景)                     (本番を終えて)
               

                   (当日の演奏曲目はオルティスコンソートのページで紹介しています)






            5月12日 SAKAMOTO古楽コンソート発表会

          5月6日、連休最後の日曜日、ならまちセンター市民ホールで第13回目の発表会を行いました。
          毎年一回の開催ですので、今年で第1回から数えて早くも12年が経過した事に成ります。
          さて今回初めて、朝のチェンバロ搬入時から雨に見舞われました。しかし物事2つながら悪い事は
          無いもので、例年カラカラに乾燥しているホールが、今年は外気に湿り気が有ったお陰で
          古楽器に丁度良い湿度と成ってくれました。ヴィオラ・ダ・ガンバやリュート等調弦が厄介な楽器にとって
          これは本当に有り難い事でした。全部で十数人の管楽器奏者と、二十人近い弦楽器奏者が出演したのですが
          調弦に費やした時間が今年は少なかった様に思いました。
         
               (SAKAMOTO古楽コンソートの会のページで詳しく紹介しています)
   


      
   

           (アンサンブルリハーサル)              (打ち上げ)             (ソロリハーサル)  





           5月11日 クロワッサン

          クロワッサンと云う雑誌をご存知でしょうか。
          料理や、ファッション、そして旅の情報などを、美しい写真入で紹介する女性向け雑誌です。
          30年前の創刊当初は女性の自立を促す記事などが掲載された
          ユニークな雑誌として注目を浴びていたそうです。
          5月10日発売のクロワッサンに「古い町を旅する」と云う特集が組まれており
          その中で私達の事が取り上げられています。
          奈良町とヨーロッパの古楽の取り合わせが面白いとの事で取材を受けました。
          ならまち古楽館のタイトルページに使っている奈良町格子や坪庭等の写真も掲載されていますので
          興味のある方は雑誌をご覧下さい。
   



                 

         (紹介された表の外観)        (5月10発売号の表紙)        (アンサンブル風景)             




                                     3月


           3月27日 安土再訪−続編−

          昨日紹介しました安土城考古博物館はその名称の通り
          本来は信長と安土城に関する資料を展示する為に作られた建物だそうです。
          織田信長が壮麗な安土城に居を移したのが1579年、その1年後に城下の一角に
          セミナリヨ(カトリック小神学校)の建設を許しました。
          1581年にはそこで生徒達が演奏した「クラヴォ」や「ヴィオラ」を聴いて非常に喜んだという、
          現代のガンバ奏者にとって大変興味深い記録が残っています。
          因みにここに出てくる「ヴィオラ」とは、ヴィオラ・ダ・ガンバだとされています。
          しかし早くも1582年には安土城と共に灰燼に帰す訳ですが
          そのセミナリヨ跡地は博物館から指呼の間に有るので
          仏像を拝観した後、今回も訪ねてみました。
          1991年の春、信長をテーマとしたテレビ番組の為に
          ダンスリーのメンバーとしてこの場所で演奏した事がありました。
          その時は桜の花が満開でしたが、今回は少し時期が早かったようです。
          400年以上も前に
、ほんの短い期間であったにせよ、
          この地でガンバが鳴り響いた事を思うと
          2度目であってもやはり感慨を覚えました。



               

           (セミナリヨ跡公園)             (創建当時のセミナリオ)     (セミナリヨ跡のパオロ三木の碑
                                                        右奥が安土城考古博物館



           3月26日 安土再訪

          4月1日まで安土城考古博物館で開催されている「甲賀郡の風土と遺宝」展を見る為に
          昨日、久し振りに安土を訪れました。
          滋賀県、特に甲賀地方には多くの貴重な木彫仏が残されています。
          今回の展覧会にはその中でもユニークな、平安時代の薬師如来が二体出陳されたので
          拝観して来ました。またその行き帰りに1991年に拝観に来た事がある寺々も再訪しました。
          その一つ守山市にある福林寺では、当時普通に拝観できた十一面観音が今では33年開扉
          の秘仏に成っていました。
          また安土城考古博物館の直ぐ近くにある石馬寺では、以前は古い大宝蔵殿の中に安置されてあった
          十一面観音をはじめとする仏像たちが、直ぐ隣に建てられた立派な収蔵庫に収められていました。
          こちらの仏像たちとは再会を果たせましたが、16年という年月は
          やはりそんなに短い時間では無かった事を実感して帰ってきた次第です。
          

          
                 
           

            (福林寺)                 (石馬寺参道)              (石馬寺大宝蔵殿)






            3月3日 雛祭り

          平安時代に行われ始めた、木や紙で作った人形(ひとがた)を水に流して厄を祓う風習が
          「雛祭り」の起源だそうです。その後女の子の誕生を祝い、健やかな成長を願う行事となり
          現在まで1000年以上も続いています。
          どんなに時を隔てても子を思う親の心に変わりが無いと云うことでしょう。
          その間に雛人形は徐々に、家で飾って愛でる立派な物に変わってきました。
          我が家でも毎年この時期には雛人形を飾り、お祝いをしています。
          昔ながらの内裏雛と奈良特産の一刀彫の立ち雛はそれぞれ趣が違いますが
          春が来た華やかさを実感することが出来ます。
          また明治時代の物と思われる、雛人形の道具類が有るので一緒に飾っていますが、
          箪笥やお茶道具等、ミニチュアだとは思えないほど精巧に作られていて驚かされます。
          

          

          

             (内裏雛)             (奈良の一刀彫の立ち雛)          (昔の御道具類)





            2月


           2月26日 お水取り

            「お水取り」は早春の奈良の代表的な伝統行事です。正式には二月堂の修ニ会と呼ばれます。
            大仏開眼の年に始まり連綿と続いて、今年でなんと1256回目を迎えるそうです。
            3月1日から14日まで毎晩二月堂の回廊を巡る勇壮な大松明が、この行事のシンボルです。
            しかし参篭者(練行衆)にとって最も重要な行法は13日の早朝、二月堂下に有る若狭井から
            水(閼伽)を汲み本尊に供える事にあります。この儀式から「お水取り」と呼ばれるようになった訳です。
            今日は暖かな一日だったので思い立って二月堂に参拝して来ましたが、
            既に大松明用の青竹が沢山境内に並べられ出番を待っていました。
            二月堂下には見物客の為の竹矢来が組まれ、数日後の松明上堂への準備が進められていました。
            長らく奈良に住んでいますが、松明を見に行ったのは過去2回しか有りません。
            最近は見物客が多いので立ち止まって見ることが出来ず
            決められた順路を歩きながら見ることになっているのは残念ですが、
            それでも一度見たら忘れられない感動的な光景には違いありません。
          
          


         

    (奉納された松明用の根付き青竹)      (竹矢来で囲まれた二月堂)           (閼伽水を汲む若狭井)




                                   1月



            1月11日 二胡と三弦

             一月に二胡と三弦の紹介です。
             昨年暮れに相次いで二胡と三弦を手に入れました。
             どちらも日本への楽器の伝播や変遷を語る上で欠かせない楽器です。
             二胡は中国の民族楽器ですが日本でも愛好者が多く、特に女子十二楽坊がブレイクして
             一般的にも知られる様に成りました。胡弓と呼ばれて紹介される事が多いですが
             本来胡弓といえば日本の弓奏楽器を指します。二胡は胡弓のルーツであるとも言われています。
             一方三弦(サンシェン)は沖縄の三線(さんしん)のルーツに当たる楽器です。
             つまり日本の三味線のルーツとも言えます。
             どちらの楽器も共鳴胴にニシキヘビの皮が張られています。 
             (詳しくは楽器紹介のページをご覧下さい)
             蛇の皮を持っていると金運に恵まれると言いますから、今年は宝くじでも買おうかな
             と思っています。
                   
            

                     

                     (二胡)                               (三弦) 


            1月6日 坊雑煮

             昨年も紹介しましたが、今年も昨日5日に東大寺で雑煮をいただいて来ました。
             (坊雑券というチケットが必要です。)
             二月堂のすぐ脇に有る茶所で世話方の人に混じって東大寺の若い僧が接待をしてくれます。
             おすまし汁の中に水菜とお餅が入っただけのシンプルな雑煮ですが
             東大寺の中で、しかもお坊さんの接待で食べる雑煮は
             有難味が加味され、お代わりをしたい位の美味しさでした。
             帰り道では昨年秋に生まれた小鹿が私たちを見送ってくれました。




   
        

           (二月堂への参道)                (東大寺の若い僧)             (境内の子鹿)

  




            1月1日 初詣

             今年も、春日大社から東大寺の二月堂を径由して
             最後は興福寺の南円堂にお参りすると言う恒例のコースを
             午前中約1時間半かけて回って来ました。
             神仏混淆もよいところですが、周りに神社仏閣が多い奈良の住人にとっては
             こんな初詣の仕方もそんなに珍しい事では有りません。
             今年一年も元気で音楽活動が出来ますようにと、神にも仏にも
             たくさんお祈りをしてきました。



           

          (春日大社本殿)                (今年の絵馬)                 (南円堂)