メイが食事をしている(ケチャップの量が尋常じゃないのが気になる)間に、調書と資料の内容を照らし合わせていく。
「被害者のおっさん――このラムドロって人だな。このおっさんが殺されたのは午前2時過ぎだ」殺害現場が地下ワイン倉という保温の聞いた場所だったのが幸いして、これは間違いなかった。セイがラムドロから取った調書(メモ)にも夜10時に呼び出されたとなっている。
「時計も仕掛けできるようなモンじゃなかったし、殺された時刻はこれが妥当だとして」一枚のファイルを取り出す「そうすると問題は、こいつのアリバイが完璧になるということだ」
無造作に資料の山にほうり落としたファイルには写真入のプロフィールがあった。
トム・アラクレス、25歳。彼はラムドロ・アラクレスの甥に当たる。
彼こそがメイと自分だけが祀り上げた容疑者だった。無論、他の捜査員はノーマーク。
彼はこの時間、場末のバーで乱闘騒ぎを起こし、警察に捕まって留置されていたのであった。
つまりは警察お墨付きのアリバイである。
「わざとらしいよなあ……」
もっとも、そう思えるのはあらかじめ犯人だとわかっているからなのだが。
BackstageDrifters.