メイが騒がしい落命者を葬り返して、ようやく大きな嘆息を一つつけた。

「なんつーか、死人に見えない死人だったな」

「厳密に言うとネクロマンシーで甦ったモノは、死人ではありませんけどね」

 と、メイが言うが、タツマにとっては知ったことではない。
 お決まりの相互不理解だと思いながら手帳をめくる。

「さて、犯人はわかったわけだが...」

 問題はそこであった。わかったにはわかった。が、しかし。

「...アリバイがある奴をどうやってしょっぴくかだな」

「犯人さえわかれば拷問して吐かせればいいんじゃ...痛っいたた!?」

 がすっと脳天に手刀を打ち込まれたメイは置いといて。
 吐かせようにもまず犯人を事情聴取へと連行しないといけない。
そしてそれには『捜査令状』が必要なのである。

 今回の仕事はルイスの依頼で、故にタツマも協力しているのだが。
 基本的に、ネクロマンサーのメイの証言を信用していい権限を持つのは自分だけである。
 魔法が法的に認められていないというわけではない。
ネクロマンシーの証拠能力を、法が認めていないのだ。
 なんでも、ネクロマンシーで甦った人間は、「あくまで別人」 という適宜と位置づけされているらしい。
 これは先ほどのメイの言とも重なる部分がある。

 つまり、犯人はわかっていても現実に怪しいと言う明確な証拠が押さえられるまでは会議の議題にもできないのであった。


BackstageDrifters.