結局メイは休み時間終了直前に戻ってきた。
 メイは、自らの身分をヤナシの知り合いだと明かし、授業に戻ってもらうことにした。

 それから流れで、時間まで昼食ついでに食堂で待とう行こうと言うことになり、今に至る。

 親子丼を食べ終えたタツマは、蕎麦を食べているメイにそう訪ねた。

「自殺だった?」

「そこまでは断定しませんが、少なくとも今回の事件はヤナシさんが保険金を娘に託すために企てた計画です。
 詳しくは説明しませんが、事故死の可能性はありません。
 墓守協会の調査員が警察から得た状況証拠も、全部意図的な工作ですね。監視の隙をついたり、入り口が錆びて壊れていたり、飛び込み台の幽霊の噂を流したりと、かなり入念に事故が起こっても仕方がなかったと言う環境を作り上げたみたいです」

「とんでもないな。君、それが確かなら、協会が保険金を払わなくて済むぞ」

「そうでしょうね」 頷くメイ。

「...ずいぶん興味がなさそうだな」

「ネクロマンサーの仕事と直接関係があるわけではないので」
 それはそうなのであるが。
 と、彼女の発言に奇妙な言葉があったことに気づく。
「いやまて。...怪談? 怪談を利用したって言うのか?」

「いえ、それよりももっと計画的、人為的な...利用ではなく、使用。怪談と言う装置を組み立て、それを偶発性の演出に取り込んだのです」 

「創ったってのか? 怪談を?」


BackstageDrifters.