「って、メイじゃないか」

「あ、タツマさん。どうかしたのですか?」

 なぜか石材所のつなぎを着てメイは杖を構えていた。つなぎはSサイズでもぶかぶからしく袖を折込んでいた。かなり似合っていない。

 そこは、石材をのこぎりやらやすりで加工する場所で、かなり開けたところである。最大三十個の様々な墓が同時に作れるだけのスペースがあるらしい。オークノートの石を使用する墓のほとんどはここで造られる。ちなみに社長と言うか総責任者はタカさんだ。

 同時に30個造れると言う事は、つまりそれだけの人員もいると言う事なのだが、今その人員はというと地面にへたり込むようにして倒れこんでいた。全員がメイと同じ作業服を着ている。

「どうしたと訊かれても俺はいつもの巡回コースなんだが……君こそ何をしていたんだ?」

「えっと、その稽古をつけてほしいといわれましたので」

「誰に?」

「わしだ」と、タカさんが周囲に倒れるいかつい石職人たちを見て「情けな」と溜息をついてはき捨てた。



BackstageDrifters.