共同墓地はオークノート唯一の墓地で、なぜか街の真ん中に存在する広大な墓場である。

 性質上、十以上の宗教と数十の民族の墓が混在するところで、無縁仏から歴史上の偉人まで様々な人物が葬られている。ちなみに観光名所でもある。

「昼前にあの子が来ていたが、随分と憤慨していたな。痴話げんかでもしたか」がはは、とタカさんは無遠慮に笑った。

 林立する墓石の群れを横にどんどんと中心へと歩いてゆく。

 これまた性質上、奥に行けば行くほど旧い人物の墓にたどり着くのが共同墓地の特徴だ。最奥には古墳まであるらしいが、定かではない。誰も寄り付かないのだ。最奥に辿り着いた人間は神隠しに遭うと言うのがオークノートで一番有名な都市伝説だった。

「どこに行くんですか?」取り合わずに聞いてやる。散歩にしては随分と急ぎ足だ。

「石材所だ。合わせたい奴がいる」

 なぜか墓石屋が墓場の中にあるのがこの共同墓地だった。


BackstageDrifters.