ところが老人はどうもボケてはいなかったらしく、ほどなくして館に一人の来客があった。警察のエスコートつきで現れたその訪問者は、長い杖をナップザックに差し込んだ見た目14、5才くらいの普通の女の子だった。 

 一族で老人の痴呆説がまことしやかになったのは言うまでもない。

 だが、老人は痴呆ではなかった。

 少女は見た目こそ普通ののんびりした風体だったが、実は只者ではなかった。

「このたびはご愁傷様でした…」

その穏やかな挨拶は堂に入ったものだった

こぞって少女を(暇なことに)玄関で迎えたクロナクル家の人々はその年不相応の落ち着いた態度に驚いた。

 人々が気おされているなか、少女はそのぶしつけな視線にまったく動じずに続ける。

「このたびの御依頼、まことにありがとうございました」 顔をあげて軽やかに微笑む。「ネクロマンサーの メイ・ネイザーリア と申します」


BackstageDrifters.