バタンと閉まるドア。
 置いてけぼりにされた、鬚と村長と長老。
「髭の若いの、茶飲むけ?」
「不味い茶と苦い茶、どっちがいい?」
「普通の茶は無いのかよ、じじい」
 悪態をついて、ジェイクはどかりと椅子に座った。
 古い木材が軋んで悲鳴をあげる。
 すきま風が頬から暖炉の熱を押し戻す。
 山村なだけ合って、外は既に冬の様相だった。
「で、」 顎鬚をさすり、ジェイクは意地の悪い笑みを作って、
「わざわざ、世界・樹方網ネットまで使って海の向こうの冒険野郎を呼び出してくれた...
――出資者様はどちら様で?」
 見比べるように、好々爺を睨む。
 老人達は、のほほんとした顔を崩さずに、
しじゃあ』
 二人いっぺんにそう言った。

【世界・樹方網】・・・衛星(雄月) を利用した遠距離通信網。東の大陸ではポピュラー。


BackstageDrifters.