どこをどう曲がったのか知らないが、たどり着いた場所は例の公園だった。
 昨日の噴水で髪と顔を洗う。ついでに傷も洗う。荷物からタオルを取り出して拭いた。
 それからゴムでざっと纏めて縛る。
 普段の有様を取り戻すと、ずいぶんと落ち着きを取り戻したようだった。現金なもので腹が減ってくる。
 ベンチに戻ると、そこにはサンドイッチと青色のジュースが置いてあった。
「どうだ、ちっとは反省したか?」
 ジェイクが焼き鳥を食っていた。おごりだろうか。サンドイッチを一気にほおばり得体の知れないジュースで飲み込む。
「...したね。後悔なんてできないけど」
「しとけしとけ、若いうちは悔やんどけ。年をとったら死ぬまで開き直るしかできなくなるんだからな」
 そんなものだろうか。
 ジェイクがおごってくれた炭酸ドリンクは海の香りがした。
 甘い潮の味と言うか、妙な飲み物だ。
「いろいろ聞きたいんだけど」
「ああ、その飲み物はブルールゥつう南国の飲み物だ。ま、青いのは着色料なんだが、山育ちのお前さんには珍しいだろ?」
「海ぐらい言ったことあるわい。けどまあ、珍しいね。へんな味」
 と、和んでいる場合じゃないのだ。
「っじゃなくて、ウチが聞きたいのは、あの後の話だ」
 ブルールゥを一気に飲み干す。
「むせるぞ。炭酸きついだろ」
「っごほ。いいから、話を聞かせろ! あの後、どうなったんだよ」
「どの後だよ」
「宿屋の親父がツッコんできた後だ! それに、何故ウチと荷物は無事だったんだ?」
 ジェイクは急かすシャアラに、「そうだな」 と少しシブい顔をした。
「まあ、それはおいおい離すとして。そろそろ準備した方がいいぞ?」
「...何を?」
 何故かニヒルに笑われた。ぜんぜん似合っていない。
「帰り支度さ。まさか補充もしないままで山越えられる、なんて思っちゃいないだろ」

【宿屋の親父】・・・悪人。こいつもあの酒場にいた。
           シャアラを狩人に売って、荷物をネコババしようとしているところをジェイクに捕まる。

【トーナー】・・・リーダー。本来は名誉主義者で、金は二の次。非道。 
        荒れくれ者だが実力はあり、世間に疎まれながらも支持者は多い。

【ゴード】・・・力仕事担当。でくの坊。トーナーの金魚の糞で、基本的に何も考えていない。
【ナズ】・・・会計担当。ゴードも含めて一般人には負けないが、害獣や魔物との戦闘はトーナー任せ。
      同じく金魚の糞だが、いつか裏切ってのし上がってやろうと思っている。(思うだけ)


BackstageDrifters.