最近見たテレビ映画その4
The Angry Red Planet「巨大アメーバの惑星」
59年カラー。地球に帰ってきた火星ロケットの生き残りが回想する、恐怖の経験の物語です。邦題の「巨大アメーバの惑星」よりは「Red Planet」のほうが、火星を暗示していて忠実です。
冒頭、宇宙船が帰還するところは、「Creeping Unknown」を思い出させます。回想が始まってからは、B ムービーらしさを連発。映像をエンボス加工して、異星の雰囲気を出し、いかにもなモンスターも登場します。この火星のシーンは十分楽しめるので、まあ B 級映画としては、妥当な映画だろうと思います。
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The Fury
78年、カーク・ダグラス主演ということで知られる超能力もの。
年代的にも、「Carrie」の影響を強く受けています。超能力者を集めて訓練する組織の存在が「Carrie」と異なりますが、組織と戦うカーク・ダグラスが中心となるアクション・パートと、女子高生のヒロインが中心となる、超能力の部分との連絡がちょっと悪いように感じました。息子を探すカーク・ダグラスがヒロインが出会うまで、かなり時間を費やします。ヒロインは、キャリーのように屈折してはいないものの、「Carrie」っぽい映像が出てきます。
クライマックスは映像的にはともかく、やや説明不足なような気がします。主演役者と、超能力ものというテーマが、最後までかみ合わなかったのかもしれません。
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Arabian Knight
95年、アニメーション。
この少し前に、ディズニー「アラジン」が大ヒットしましたが、それを当て込んで作ったのではなく、70年代から作ってきたのに予算がなくなって途中になったのを完成させた映画です。ということで、絵的には70年代的な感じがします。CG なども使っていません。挿入歌の使い方は、ディズニー的です。
千夜一夜物語の話の一つなんでしょうけど、元ネタを知りません。王女様と恋に落ちた靴屋(声は、ゴジラの Matthew Broderick)が協力して(?)、邪な大臣(声は、公開当時故人となったヴィンセント・プライス)を倒す一方、外的から王国を守るというお話です。王国の象徴である、3つの金の玉を狙う泥棒が、話の横線となって、コメディ・リリーフの役割を果たしています。
70年代に公開されていれば、それなりに名を残したと思われますが、いかんせん、絵もストーリーも古いです。大臣は、「アラジン」のジーニーとジェファーを合わしたようなキャラで、「長靴をはいた猫」の魔王ルシファーより洗練されているだけに、遅れたのが残念です。70年代的なサイケな絵もあり、個人的にはちょっとお気に入り。
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Giant Behemoth
59年白黒。イギリス映画。
傑作「キング・コング」のウイリス・オブライエンが手がけた作品ですが、中味は弟子のハリーハウゼンが作った「The Beast from 20000 Fathoms」と「ゴジラ」を足して二で割って、ロンドン版にした低予算映画です。同時期のイギリス怪獣映画である「Gorgo」と比べても、格が落ちます。
いちおう、ビヘモス(聖書のヨブ記より)は、何かしら放射能らしきものを出しますが、ゴジラのように吐くのでなく、全身から光るようです。ビヘモスは、できの悪いネッシーという感じながら、さすがはオブライエンというところを時折見せてくれます。「Gorgo」に比べると、ロンドン破壊シーンは物足りませんし、最後もあっけなさすぎます。前半を引っ張った、猟師町の若いカップルの出番が後半はなくなってきて、物語的にも統一性を失った感じです。
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Gorgon「妖女ゴーゴン」
65年。ハマーフィルムの古典ホラー。
ハマーフィルムの猫娘、バーバラ・シェリー「主演」といいたい映画です。クレジットには、ピーター・カッシングとクリストファー・リーが主役扱いされていますが、リーはおいしいところを取るだけで、出番は少ないです。カッシングに鬼畜ぶりが足らないように思うのは私だけでしょうか。
バーバラ・シェリーと恋仲になる、リーの助手ががんばっています。蛇の描写が手間なのか、ゴーゴンはほとんどでてきません。63年の「7 Faces of Dr. Lao」に出てくる蛇女のほうができはいいと思います。「生きた蛇を頭に乗せてもいい」と言ったバーバラ・シェリーにゴーゴンをやって欲しかったと、永遠に言われつづけるでしょう。
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Pumpkinhead/Pumpkinhead 2「パンプキンヘッド」
1988年、94年。
第1作は、「ターミネーター」「エイリアン2」などで特殊効果を務め上げたスタン・ウインストンが監督した作品として知られます。そのためか、どこがパンプキンヘッドかわからない、モンスターと相成りました。格別名作とも思わないですが、一見の価値はあるでしょう。
パート2は、リメイクという感じの作品です。第1作より、格段に劣ることはないものの、新しさはありません。パート2では、ケリをつけてしまいましたので、ホラーものとして「未解決の怖さ」という余韻がなくなりました。
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Future Worlds「未来世界」
76年。74年の「ウエストワールド」の続編。
ピーター・フォンダ、ブライス・ダナーのマスコミ・コンビがいい感じです。ロボットについて、70年代的な「人類の脅威」としての扱いです。アミューズメント・パーク「フューチャー・ワールド」の描写は丁寧で、いろいろな時代(中世、ウェスタン、宇宙船など)のセット一つだけでも、それだけで映画が一本作れそうなくらいのできです。「フューチャー・ワールド」に招待された、日本人一行(副社長とその秘書)の描写は、類型的ながら日本人が見ても笑えます。
全体に質は高いのですが、私の好みで、どうも70年代 SF と相性があいません。ユル・ブリンナーは、相変わらずに変な魅力を発揮しています(「ウエストワールド」を引き継いでいます)。
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Invasion: UFO「謎の円盤 UFO」
80年テレビ映画。「謎の円盤 UFO」テレビシリーズから10年後の、2時間再編集テレビ映画です。
シャドーができた1980年にちなんだのでしょうか、テレビシリーズを再編集して、シャドー結成前から、ムーン・ベースやスカイダイバーなど見せ場をつくって並べたものです。シャドー・エアーやムーン・モジュールなどのレア・メカも登場しています。どうしても、正統的な話(海に落ちた UFO から宇宙人を回収したり、宇宙人の海底基地を叩く話など)が中心なので、シリーズ後半に見られた奇妙な味わいはありません。副官はフリーマンが中心で、レイク大佐やフォスター大佐の出番が少なく、ちょっと残念。エリス中尉がシャドー・モービルを指揮する回が使われていて、途中エリスが月から下ろされるシーンがカットされているので、ムーン・ベースと地上に二人いるような錯覚に陥ります。最後、インターセプターが何機もいるようになっています。3発で終わりじゃなかったのか?? オリジナルテレビシリーズを見るのが一番です。
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Creeping Unknown「原子人間」
56年白黒。イギリスでの原題「THE QUATERMASS EXPERIMENT」からわかるとおり、人気テレビ番組 QUATERMASS シリーズから作った最初の映画です。「Five Million Years to Earth」とはメンバーが異なっています。
宇宙から帰ってきた宇宙飛行士が宇宙生物に冒されていたという話で、58年の「The Blob」を思わせる部分もありますが、不定形生物に徹し切れなかったのは少し残念。クライマックスにはロンドンの名所を持ってきていますが、破壊シーンがあるわけでもなく、イギリス映画らしく落ち付いた終わり方です。
特撮部分はともかく、QUATERMASS をはじめとして、役者のほうはしっかりしていますので、地味ながら十分楽しめます。
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Creature from the Haunted Sea
60年白黒。ロジャー・コーマンの映画として、有名なものの一つ。キューバ革命の直後という時代をうまく使っています。
超低予算と思われ、「Creature」は、着ぐるみというよりは学芸会レベルのお化けですが、それなりに効果を出しているところ、コーマンおそるべし? OP にアニメーションを使ったり、コメディが中心になっています。殺される順番当てはかなり難しいです。
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The Beast from 20000 Fathoms「原子怪獣現わる」
53年白黒。ゴジラに影響を与えた作品として、日本で最も有名な海外特撮映画の一つ。
見たのは初めてですが、ハリーハウゼンのストップアニメーションも、まだ未完成という感じです。恐竜を出すのが早過ぎるので、中盤がちょっと間延びする感じがしたのと、最後がやや弱い印象を持ちました。ニューヨーク破壊シーンも、ゴジラの東京破壊シーンに比べると、ずっとおとなしいですし、軍隊の攻撃に対して弱すぎです。
ゴジラより先に作った作品であり、原爆実験による怪獣映画の先駆として、高く評価されるべきでしょうけど、「King of Monsters」の称号はゴジラがふさわしいようです。
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Queen of Outer Space「惑星X悲劇の壊滅」
58年カラー。SF 映画の黄金時代の終わりにふさわしい、ワースト・ムービーの一つとされますが、まあまあ楽しい作品です。題名の「Outer Space」「惑星X」が、しょせん金星なのが哀しい。
話は「Abbott and Costello Go to Mars」の後半部をなどったような感じで、宇宙ロケットが謎の光線に撃墜されて、パイロットたちが金星に不時着すると、そこは美女でいっぱいの世界だったというストーリーです。宇宙ステーションもすでに建設されているという設定で、宇宙開発がある程度進んだ時代ということで、「金星に空気があるぞ?」「金星の温度は水の沸点より高いはずだが?」などという会話を強引に入れざるを得ませんでした。
美女たちは、モデルを集めたような長身ぞろいで、主役のザ・ザ・ガボールの方が地味なくらいです。見所はそこぐらいかも。中途半端に笑いを取るよりも、「Abbott and Costello Go to Mars」のように、コメディに徹したほうが良かったかもしれません。邦題はかなり偽りありです。
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Beyond the Time Barrier「未来からの脱出」
60年白黒。エアフォースのパイロットがテスト飛行で高速を出すと、なぜか21世紀にタイムトラベルする話です。
話のパタンは56年の「World Without End」などと同じですが、60年ながら白黒ですし、未来に行くのは一人だけということで、新味のない低予算映画です。行った未来が大災害の後の終末世界というのもおきまりで、核戦争でない(英語が聞き取れなかったのですが、オゾン層が破壊された?)というところ、がんばってオリジナリティを出そうとしています。未来人は、理解のある長官、疑いを持つ将軍、パイロットに協力するも一癖ある科学者たち、パイロットに思いを寄せる長官の娘、牢に閉じ込められているミュータントと、パタン通りそろっています。
「未来からの脱出」という邦題はぴったりで、パイロットがなんとか元の時代に戻ろうと試みます。ありきたりの展開になってしまうのを何とかひねろうとしている努力だけは認められます。
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