最近見たテレビ映画その1
Gargoyles The Movie
94年アニメ。配給はディズニーですが、制作スタッフにはかなり日本人アニメーターが入っています。The Movie ということなので、テレビシリーズもあったのでしょうか。Gargoyle といっても、ロックバンドとは関係ありません。
1000年前にイギリスで魔法によって造られたガーゴイルが、現代のニューヨークに甦って正義のために戦う話です。戦わせると無敵(でもないけど)のガーゴイルは夜しか活動できず、昼にはただの石像に戻ってしまいます。無防備な石像の状態で破壊されると死んでしまうという、レインボーマンのような弱点を持っています。ガーゴイルを復活させた大富豪(正義か悪か?)、ガーゴイルを狙う特殊コマンド、ガーゴイルと心を通わせる女刑事と、いかにもな役者がそろっています。ガーゴイルのほうは、主役のリーダー、副リーダー格の老戦士、3人のずっこけトリオに加えて、犬が一匹。女性がいないこのラインアップがアメリカ的です。
日本人アニメーターが中心の割には、アメリカ的な感じがします。絵的にはそれほど優れている感じはしませんでした。もう2,3年あとなら、オール CG で作れただろうと思います。その方が魅力あったかもしれません。
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Zardoz「未来惑星ザルドス」
ショーン・コネリーが主演ということで有名な、73年の SF 映画。それ以外に語ることはあるのかと、言ってしまったら身もふたもないけど、今になって思い出そうとすると巨大な顔くらいしか印象に残っていなかったです。
難解な作品なので英語で見るのはつらいです。70年代の SF らしく、いろいろ凝った設定(Zardoz の名前の由来とか、ギャグのような気もするけど)をつくって、心理描写的な映像を入れています。特撮的には 70年代前半としては標準でしょう。舞台となった、科学者による失敗したユートピアは、それなりに面白いとは思います。
ショーン・コネリー、なんとなく種馬的な扱いをされてしまっています。よくこんな映画に出たなあというのが半分、007 のイメージを消したかったのかなあという思いが半分。もっと後になると、ショーン・コネリーも熟年の魅力を出せるようになったのですが、007 をもう何年かやっていたほうが良かったような気もします。
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7 Faces of Dr. Lao「ラオ博士の7つの顔」
63年。
ラオ博士ということで、未来少年コナンのもとネタか?! と期待したら、中国人でした。7つの顔といっても、別に片岡知恵蔵をやるわけではなくて、西部の町にふらりと現れたサーカス団(実は一人)の団長・ラオ博士を主人公にしたコメディ映画です。
基本的なプロットは西部劇で、町の買収を図る悪いボス(地上げ屋ですね)とその手下、町を愛する正義の新聞記者(印刷技師と二人で町の新聞を発行)、彼が思いを寄せる美しい未亡人(司書)とその息子(新聞配達をしている少年)などが登場します。西部劇なら、ここでふらりと流れてきたガンマンが、顔はいいが暴力には弱い善玉に協力して悪ボスを倒すわけですが、ここでは謎のラオ博士が、おかしな魔法で煙に巻いて、町を救います。最後にラオ博士が町を去るときに、少年が後ろを追いかけるところまで、西部劇そのままです。
ラオ博士の7つの分身、同じ役者が演じているようで、その芸達者振りに感服します。特撮的にはたいしたことをしているわけではありません。50年代のような正統派 SF 映画が、60年代になると減ってきた時代の作品です。ちょっと面白いもの見れたなあという感じで得した気分です。
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Incredible Melting Man「溶解人間」
77年。Incredible〜 という題名の映画はたくさんありますが、名作といえるのは 50年代の shrinking man くらいでしょう。
SF っぽいのは、最初に宇宙飛行士が帰ってきたところだけです。そのときの事故(?)が原因で、パイロットの体がどんどん溶け初めていき、人間を襲い始めるという筋です。ほとんどスプラッター映画でした。70年代の B 級特撮に何を期待すればいいのだろう、、 NASA が取り押さえて、600万ドルかけてサイボーグにするという落ちを期待した私がバカでした。これを見ていると、同年公開のスター・ウォーズはえらいなあ。
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Cybersix
この秋から始まったテレビシリーズ、日本との合作アニメです。
最初を見ていないので、設定が今一つつかめないのですが、サイバーシックスという女性アンドロイド(?)を主人公にした物語です。このサイバーシックス、女性のはずなんですが、タキシード仮面みたいにカッコ良く活躍するし、普段は男の子みたいです。少年科学者(パパが超悪者)とそのまぬけな部下たちと毎回戦いを繰り広げます。
サイバーシックスのそばには、いつもロデムそっくりな黒豹がいます。サイバーシックスと恋仲になるらしい刑事(?)は、さえない男です。最近の日本のアニメの受ける要素(かわいい女の子が出てくる、変わったメカなり、剣と魔法が出てくる)は、ばっさりと切り捨てられていますが、そこはかとなく、ジャンヌやセイントテールの香りがします。ジャパニメーションらしくはないけど、なるほど日本との合作だなあと思います。でも、日本では、ごく一部にしか受けないでしょう。
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4-D Man「4D(フォーディー)マン」
59年カラー。4次元をあやつって壁抜けができるようになった科学者の話です。
前半はゆっくり話が進みます。科学者の兄弟と、女性助手との三角関係が中心でなかなか4次元の実験まで進みません。三角関係に破れた兄(たぶん)が、弟の実験データを盗んで、壁抜けに成功するものの、その後破綻するというパタンで進みます。このパタンでは、先行した「The Fly」 (1956) に比べ、実験の過程が今一つです。壁抜けの映像はまずまずでしょう。ガラスを通りぬけるところ、お金をかけずにアイデアで上手に見せています。
音楽がなかなかモダンです。最後は、作り手は得意なようですが、やや自己満足的な落ちで物足りません。特撮で見せるところと人間関係と、いずれもが中途半端になった感じです。
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Captain Nemo and the Underwater City「ネモ船長と海底都市」
59年カラー。ディズニーの名作「海底二万リーグ」から5年後に作られた、MGM の作品。
手間がかかる、水中の特撮を丁寧に取っています。ネモの海底都市は今見ても見事で、スターウォーズ・エピソード1のジャ・ジャのドームにそっくりです。
ネモの目ざすユートピアと、主人公のアメリカ人代議士の社会感との対立が話の軸になっています。海底都市の内部の描写は美しいのですが、ストーリーは大きな波瀾が少なく、ゆっくりと進むのでややたいくつです。結局は二番煎じということに尽きるのでしょうけど、いくつかの秀でたシーンを見ているだけでも十分楽しめます。熟年ネモがいい。
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Dr. Jekyll and Mr. Hyde「ジキル博士とハイド氏」
41年白黒。古典的名作。白黒だと、20年(ジョン・バリモア)と30年(フレデリック・マーチがアカデミー主演男優賞)にもありますが、これはスペンサー・トレーシーのもの。
少し前の「透明人間」などと比較すれば、もう少し特殊撮影があってもいいような気もしますが、メイクだけでジキルとハイドを演じ分けたスペンサー・トレーシーに感服。イングリッド・バーグマンとともに、「役者の演技」が映画の基本であることを感じさせます。
科学に対する懐疑がテーマのようですが、底には19世紀的な機械主義に基づく、科学に対する楽観があるのでしょう。「フランケンシュタイン」もそうですが、科学が進歩しても当分はできそうもないことがたくさんある、というほうが現代の認識ではないかなあと思います。そういう意味では、科学とは縁の薄い「ドラキュラ」と違って、現代ではリメイクしにくいかもしれません。
「DR. JEKYLL & MS. HYDE」とかなら、また別の世界でしょうけど。
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Angel
これは、99年秋から始まったテレビシリーズです。
人気の「バフィー」のスピンオフ。バフィーの恋人だった「良き」バンパイアを主役にした、ちょっとハードボイルドな作品です。「バフィー」本体は第2シリーズに進むはずなので、枝分かれすることになります。「バフィー」では、何か悩めるバンパイアだったエンジェルが、主役になって生き生きとした演技を見せています。話自体は、1話完結のバンパイア・ハンターもの(お前もバンパイアだろう、という突っ込みは無し)で、どうも影にシリーズを通したボスがいると思われます。
とにかく、荒っぽい正義の味方・エンジェルがかっこいいです。まだ1話だけですのでなんとも言えませんが、期待できそうな感じです。
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The Terminal Man「電子頭脳人間」
74年。「アンドロメダ病原体」などの、マイケル・クリフトン原作。
精神異常をきたした科学者(?)の頭にコントローラーをうめこんでみるという、近未来の話です。「コンピュータによる人間のコントロール」というテーマも、いかにも70年代的ですし、SF 映画にしてはちょっと芸術映画的な絵作りも、この時代らしい感じです。う〜ん、この時代の SF 映画には何かなじめない私です。コンピュータの異常か何か(?)で、コントロールがうまくいかなくなるという、お決まりのパタンを進みます。「科学」に対する懐疑というよりも、信じるものがなくなってきた時代を反映しているのでしょう。
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The 30 Foot Bride of Candy Rock
54年白黒。街の自称科学者(本職はがらくた屋)の恋人が、なんかの拍子で巨人になってしまった、というお話です。オープニングのアニメーションがかわいい。
英語がわからないせいかもしれないけど、なんで巨人になってしまったのかわかりません。そんなことはどうでもよく、どたばたと話は進みます。巨人になって困ったと喚いたり、お腹がすいたといって泣き出したり、科学者(夫)と喧嘩したあげくに街で暴れ出したりと、たいへんな女性ですが、考えてみれば、どこの家でも女房はそんなもんでしょう。
当然出てくる軍隊も、兵隊ごっこのような感じで、コミカルです。コメディー SF 映画を数多く演じている、自称科学者役のコステロが、最後まで楽しませてくれます。大女のシャワーシーンなど、ちょっとしたサービスも嬉しいかも〜
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Bride of Frankenshtein「フランケンシュタインの花嫁」
35年白黒。古典「フランケンシュタイン」の続編です。前作で死んだはずのモンスターが実は生きていた!という設定です。前作を上回れないまでも、なかなかの名作です。
フランケンシュタイン博士とモンスターは、前作と同じ役者です。やはり、このシリーズが「フランケンシュタイン」のイメージを今日に至るまで決定付けたといえるでしょう(ピーター・カッシングの男爵も捨てがたいですが。ちなみに、このオリジナルシリーズでは博士の父親が存命ですので、博士はまだ爵位を継いでいません)。苦悩するばかりのフランケンシュタイン博士に代わって、別のマッド・サイエンティストが登場します。雰囲気もすることもなかなかマッドで、この映画を魅力あるものにしました。
モンスターに新たに花嫁を造ってみる、というのがメインの筋なんですが、花嫁はなかなか出てきません。博士も苦悩するばかりで、中盤は完全にモンスターが主役です(クレジットでも最初に名前が出る)。盲目の老人との会話は秀逸。基本的に怪物なんですが、時々奇妙な優しさをみせるモンスターというのが、フランケンシュタインの魅力だと思います。
パート2ものとして、ひょっとして歴史上最初に成功した映画かもしれません。前作よりもコメディー色を強めたのも、作りやすくした一因でしょう。モンスターの花嫁はクレジットでは名前が伏されていて、客に誰か考えさせる趣向になっています。
(追記)前作の映画「フランケンシュタイン」では、ヘンリー・フランケンシュタイン博士はモンスターに風車小屋から落とされるものの、命は取り留めます。「Bride of 〜」では、助け出されたヘンリーが屋敷に運ばれたところから話が始まります。
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When Worlds Collide「地球最后の日」
51年カラー。それだけでも、SF 映画としては力が入っています。
地球に衝突する星が発見され、生存に向けてロケットを発射する話です。妖星ゴラスより10年以上前の映画ですが、地球に災害が起きるシーン、特に津波のシーンは出色です。ロケットの発射が、山の傾斜に発射ランチャーをつくる、グレンダイザーなどと同じタイプなのが、SF 映画としては珍しいです。ロケットの発射、着陸シーンはなかなか見ごたえあります。
予算がなかったのか、ところどころ書き割りを使っているところが興ざめです。地球最後の日を前に、必死でロケットを作る科学者グループ、それになんとか乗りこもうと画策する人、最後の日を前に引き裂かれるかもしれない男女の愛など、アイデアはいいのですが、今一つまとめきれなかった感じがします。全部が好きというわけじゃないけど、SF 映画の歴史に残る作品でしょう。
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Starman「スターマン =愛・宇宙はるかに=」
ここに載せるには、新しすぎる84年の映画です。まあまあ有名でしょう。
「未知との遭遇」をうまく取りこんで、別の映画にした感じです。宇宙人と人間の出会いという形で、逃避行を描いた映画に仕上げています。登場人物が少ないので、主役の男女に魅力を感じるかどうかで評価は分かれるでしょう。クローン人間だけど中味は宇宙人という男性の演技はまずまず面白いです。特撮映像は最初と最後以外にはほとんどないので、ラストの映像に「未知との遭遇」並みといかないまでも、もう少し力を入れて欲しかったところです。
名作映画のイメージを入れながら、安価に別の映画を作った手腕は評価できます。でも、ちょっと哀しいかも。
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Third Watch
映画ではなく、99年秋からはじまったテレビシリーズです。
ER のスタッフが作ったシリーズなので、雰囲気は ER を思わせるものがあります。病院のエマージェント・ルームの代わりに、救急隊を舞台にしており、警察官や消防隊員が主人公です。まだ2話ということで、作品の評価はこれからですが、ER よりも映像はショッキングになっています。ER に比べて、役者の魅力が今一つで、今後のがんばりに期待したところです。
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Sinbad and the Eye of the Tiger「シンドバッド虎の目大冒険」
ハリーハウゼンのシンドバッドシリーズは、いくつあるのでしょう? Golden Voyage もテレビでやっていたんですが、都合で見られませんでした。77年の作品ですから、ハリーハウゼンも高齢だろうと思いますが、相変わらず素晴らしい動きを見せてくれます。
魔女によって、猿にされた王子を助けるため、王女と世界の果てまで冒険する、という話です。ストーリーの中で、何度もストップアニメーションが登場しますので、決して短くはない映画も長く感じません。シンドバッドの味方になった賢者が、まぬけでいい。
題名は、かなり羊頭狗肉の感があります。ストーリーも単調で、ひたすら冒険の旅を続けるというものです。こういう映画はそれでいいのだろうと思います。じっくり名匠の技を味わうのが、この映画の正しい見方だと思います。
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X The Man with X-Ray Eyes「X線の眼を持つ男」
63年。日本でも一度部分的に見たことがあります。
X 線を見ることができるようになる、目薬を発見した医者の話です。
何でも透視できるようになれば、「男なら誰でもしたいこと」をしたくなりますが、その描写はさらりと描かれています。カジノへ行って大儲けというのも、たくらみたくなりますが、そこもしっかり描いています。
なんでも見通すことができるようになった人間の末路は、やはり哀れです。最後の部分は物足らない感じで、唐突な印象さえ持ちました。「透視」の描写は、特にできがいいとも思えませんでした。
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Invaders from Mars「惑星アドベンチャー スペース・モンスター襲来!」
53年ながらカラーという、有名作品です。80年代にリメイクされています。
円盤が火星からやってきて、人々を洗脳しながら侵略をはじめるという話です。アメリカ SF 映画には珍しく、子供を中心にしています。中心となる男の子がしっかりしており、ガメラシリーズなどのような、子供向きの映画にはなっていません。前半、子供の親や友達が次々と洗脳されていくところはスリリングに描かれています。やっぱり、世界征服は中西部から、のようです。
大人たちが洗脳されていく中で、少年が信じてもらえず逃げ回る、という展開が中心になるかと思いきや、軍隊が登場するのが早過ぎるのが、ちょっと不満です。この後、火星人との戦いは戦争映画という感じで進み、前半ほどの恐怖感がなくなってしまいます。戦闘シーンはともかく、侵略者に立ち向かう「人類の智恵」みたいなのが足らないように思います。今一つインパクトにかける火星人のデザインは、仕方ないでしょう。
クライマックスは、予算が足らなかったのかなあ、と思ってしまうような引っ張り方でした。「永遠の名作」にはなれなかったけど、50年代 SF 映画の中で見ておきたい作品ではあります。
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Them!「放射能X」
54年の白黒映画、It の次は Them だ!という安直なタイトルながら、なかなかの名作です。
世界征服は練馬ならぬ中西部から、というわけでもないでしょうけど、これも話はニューメキシコの田舎から始まります。序盤、怪物が顔を見せるまでの盛り上げ方はゴジラを思わせます。ゴジラと同じ年に作られ、ゴジラ同様に核兵器による突然変異を扱っており、全体になんとなく似た感じです。
後半、舞台がロス・アンジェルスに移って、ゴジラならここで大都市破壊となったわけですが、そこまでは描ききれなかったようです。超兵器は出てこず、アメリカらしく、通常兵器の物量で戦い、なかなか迫力のある戦いを見せてくれました。やはり、こういった特殊撮影の部門では円谷が世界を大きくリードしていたなあ、と思います。
最後、山根博士なら反核のメッセージを語って終わるのですが、この映画では新しい時代の新しい問題を切り開いていこうという、フロンティア精神で締めています(実は、英語が今一つわかっていないのだけど)。登場する博士が、なかなかのボンクラ教授でいい味出しています。クレジットによると、レオナルド・ニモイが出ているはずなのにわかりませんでした。今度見るときは「ミスター・スポックを探せ!」が宿題になりました。
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The Beast with a Million Eyes「百万眼を持つ刺客」
55年の白黒映画です。冒頭のクレジットのシーンに流れる伊福部っぽい BGM を聞きながら、期待を膨らませたわりには、今一つでした。
宇宙人がアメリカの田舎の街に降りてきて、侵略する話です。日本の侵略(世界征服)物は、きまって東京からはじめますが、50年代アメリカ映画は田舎からが多いようです。どちらも「撮影が楽だから」という理由でしょう。「県立地球防衛軍」に影響を与えた、、わけはないと思う。
とにかく登場人物が少ないです。セットも限定されてますし、特殊撮影もほとんどありません。安上がりに作ったのが見えてしまいます。宇宙人が動物を乗っ取って支配をはじめるというのはいいんですが、その次のステップが今一つでした。最後も、さっさとやっつければいいのにと思って見ていれば、もっとあっけなく終わりました。どうも宇宙人自体が、侵略に来た割に弱かったようです。
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Forbidden Planet「禁断の惑星」
56年の MGM 作品。50年代 SF 映画史上の名作です。
アルテア4に着陸する円盤のシーンだけ見ても、なんかわくわくします。登場するロボット・ロビーも、The Day the Earth Stood Still から5年経ち、いかにもな感じのロボットになりました。左右非対称で、一部スケルトンということで、キカイダーやアナライザーに影響与えたのかもしれません。このロボットも SF 映画史上に残るロボットでしょう。
怪物?が宇宙船の乗組員を襲うシーンは、よくできています。今の CG を使った映像ではちょっと出しにくい手作りの感じがあって感心します。ウルトラマンのスペシウム光線(円谷英二本人がフィルムに手書きしたとも伝え聞きます)が、いつまでたっても古さを感じさせないのと似ているかもしれません。
英語がわからなくて、ちょっと筋をつかむのに苦労しました。600万ドルの男/バイオミック・ジェニーのオスカー・ゴールドマン局長の若かりし姿を見ることができます。
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Mad Max「マッドマックス」
ここに載せるには新しい作品(80年)です。マッドマックス3部作の第1作。オーストラリア訛りが強いため、吹き替え版もあるそうなんですが、私にはどっちがどっちやらわかりません。
核汚染された後の荒廃した世界で、カーチェイスを中心にした作品ですが、今一つ世界観をつかめません。オーストラリアの郊外に「核汚染注意」の標識を立てただけのような気がするのです(実際そうなんだけど)。
我慢を重ねた警官が最後に切れるという、使い古されたストーリーなので、その上に重ねる映像が勝負になるんですが、今見るとカーチェイスとかもあまり見ごたえないかなあと思います。基本的に、このパタンの作品を私が好きでないからかもしれません。主役のメル・ギブソン、こんなに顔が甘かったかなあ??
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The Thing「遊星よりの物体X」
50年代白黒モンスター映画の代表作です。シンプルなタイトルのつけ方も、50年代そのままです。リメイクもあるようですが、そちらはまあまあのようです(ジョン・カーペンターの傑作という人もいます)。
アラスカに円盤が不時着して、アメリカ軍が調査している最中に、氷付けになった円盤の乗組員「The Thing」が復活して暴れ出す、という話です。
「怪物の恐怖」「立ち向かう人類の叡智」「怪物と人類の戦い」がバランス良く入っています。しいて言えば、もう少し「The Thing」の由来がはっきりしていれば、嬉しかったかもしれません。今一つ、科学者が研究した結果が怪物との戦いに生かされていないような気もしますが、そこをノーベル賞科学者のマッド振りが補っています。もう少し、あのクラスの科学者は賢いとは思うのですが??
この作品が後世に残っているのは、怪物に対する軍の作戦でしょう。極地の基地の中という限定された状況の作戦でしたが、後の東宝特撮での自衛隊のさまざまな作戦にも影響を与えたと思われます。
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Godzilla, King of the Monsters「ゴジラ」
言うまでもない、1954年初代ゴジラ。実は、海外版を見るのはこれが初めてでした。
日本語版のフィルムを少し順番を入れ替えながら、間にレイモンド・バーのシーンを特派員報告という形で挿入する形を取っています。やはり、元を知っているとレイモンド・バーが邪魔です。恵美子さんや山根博士とからむシーンでは、河内桃子も志村喬も代役なので、背中しか見せないので不自然です。だいたい、レイモンド・バーとからんでいる役者の中には、中国人としか思えないような人もいます。
いちおう、ゴジラが水爆実験の申し子であることは述べられていますが、「原子マグロの次はゴジラ、いやですわね」などという会話などはカットされています。芹沢博士の「原爆対原爆、水爆対水爆、オキシジェンデストロイヤー対オキシジェンデストロイヤー、もうたくさんだ」という台詞や、山根博士の「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない、これからも核実験を続けていく限り、第2第3のゴジラが現れるに違いない」というせりふもカットされていますので、やはり反戦反核のメッセージは薄められています。この頃のアメリカ映画だと、ああいう必殺兵器を開発したら、胸を張って使うような気がします。
台詞は、吹き替えている個所と日本語そのままの個所とが両方入っていて、後者のときはレイモンド・バーの語りが入るとはいえ、外国人にはわかりにくいかもしれません。吹き替えでも「恵美子さん」「はい」みたいな台詞はオリジナルのままなので、聞いていてなんか変な感じです。主な特撮シーンは残していますので、この映画はアメリカ人にも衝撃を与えたのだろうと思います。日本版を吹き替えでも字幕でもいいから、そのままアメリカで紹介してほしいなあと思うのは、私だけではないと思います。
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Millennium「ミレニアム 1000年紀」
1989年の映画です。10年前ですから、あまり古臭さはないです。これも知らなかったです。
航空機事故の調査官が、事件を調査しているうちに謎の女性に出会います。実は、彼女は退廃した未来からきたエージェントだったという話です。
タイムワープの映像とか、良くできていると思います。未来の描写はステロタイプのような気もするし、まずまずよくできているような気もします。筋立ても、退廃した未来人が生き残りのために過去の人間を連れてくるというストーリーは新鮮味に欠けるものの、タイムパラドックスを避けるために、複雑な時間列が用意されています。
この時代の SF 映画には今一つ感情移入ができません。いろいろなことができるはずだと思うのですが、最近のように、CG をばんばん使えるようになる直前でもあり、新しい映像を生み出すことは難しい時代だったのかもしれません。
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The Night the World Exploded
特撮ものでも、これはいわゆる災害ものです。白黒、全然知らないです。
連続地震が起こる中で、科学者が調査のため地底深くまでもぐって、エレメント112という、水から出すと大爆発する不思議な鉱石が原因であることをつかみ、地球の壊滅を防ぐという話です。
主人公の助手が女性だけど、それほど色恋話が出てくるわけではないし、地球規模の大災害の割に最後はなんかあっけない感じで、なんとなくアイデア倒れの印象を受けました。地震の映像などは現実の記録フィルムを流用したと思われ、リアリティはあります。
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The Fly (1958/1986)「蝿男の恐怖」「ザ・フライ」
もう言うまでもない古典とそのリメイクを、続けてみました。
初代フライに出てくるプレス工場に、ちらりと「モントリオール」の文字が見えましたが、舞台はモントリオールなんでしょうか? オリジナルのほうは、電送実験で人間と蝿が融合してしまう、そのこと自体の怖さがテーマですが、リメイクでは、人間と蝿が融合していく過程の怖さが中心です。
オリジナルの方は、ほとんど特撮を使っていませんが、蝿人間の着ぐるみはよくできています。また、最後の「ヘルプ・ミー」の個所もまずまずの出来で、やはり歴史に名を残すだけの作品でしょう。
リメイクでは、オリジナルの頃では、技術的に描ききれなかった、融合の過程に焦点を置いたことが成功のひとつでしょう。オリジナルを越えたかどうかというよりも、別の作品として優れた作品になっていますし、オリジナルのタイトルを継承するだけの価値はあったと思います。リメイクはこうあってほしいと思う、一つの型でしょう。
初代の科学者の奥さん、美人な上に夫の研究のために尽くす、よくできた女房です。こんな奥さん、欲しいぞ!! (ぼそ)
(追記)なんてことを書いたら、家内に見つかってしまった、、、 こんなに才能があって金持ちの夫、欲しいぞ!!(家内・談)
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The Day the Earth Stood Still「地球の静止する日」
51年の古典的名作です。
円盤がワシントンに降りる描写は白黒ながら、今見てもよくできています。今でも、こんなに自然に作ろうと思ったら、かなりの手間がかかるのではないでしょうか?
「善良な宇宙人」ものなので、おおまかな筋書きはまあ読めるとしても、なかなか趣向を凝らした筋立てになっていて、脚本はしっかりしていると思います。また、音楽(Bernard Herrmann)もなかなかいいです。この音楽はウルトラシリーズにも、影響を与えたような気がします。
ロボットのデザインはシンプルと言うのを通り越していますが、そういう点をこめて、歴史に残るロボットかもしれません。
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Frankenstein Must Be Destoroyed!「フランケンシュタイン 恐怖の生体実験」
70年のイギリス映画。ワーナー製作です。フランケンシュタインものはたくさんあり、これは全然知りませんでした。
フランケンシュタイン男爵(博士)が、なかなかストイックな感じで、よかったです。彼が若い医者に目をつけて、盗みを働かし、人を殺させてしまい、科学の発展のためだと言って助手に使い、その後も、なかなかの鬼畜ぶりを見せてくれます。
ストーリーも映像もそれほどいいとは思いませんし、クライマックスも今一つ。
(追記)男爵を演じたのは、クリストファー・リーと並ぶ化け物役者のピーター・カッシング。彼にとって、フランケンシュタイン男爵を演じたのは、これで5作目です。
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It! The Terror from Beyond Space
いかにも 50年代 SF 映画らしいタイトル。It で始まるものって、「It Comes from Outer Sapce」「It Comes from Beneath the Sea」と少なくとも3つくらいありますが、関係あるのかなあ? 「〜Outer Sapce」だけリメイクされています。
火星から帰る途中、宇宙船の乗組員がモンスターにどんどん襲われる話ですが、まずまず説得力があるので、それなりに楽しめます(最初に気づけよ、というのは別にして)。
よく見る、モンスターが女性をかかえている写真は完全なスチールで、似たような描写は全くありませんでした。それがわかっただけでも収穫です。
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20 Million Miles to Earth「地球へ2千万マイル」
50年代 SF 映画らしい、モンスター映画。こういうのも見ておかないとだめですね。同時代の東宝特撮と比較すると、日本というか円谷英二の特殊技術がいかに水準高かったか、わかります。60年代になると、ハリウッドがスーツによるモンスター映画から撤退したのも仕方ないでしょう。
金星から帰ってきた宇宙船がモンスターを乗せたまま、コルシカ島に落ちてきて、米軍が捜索、捕獲する導入部分は、まずまず魅力あります。
ストーリーは平凡ですが、モンスターの戦いを演出した、名匠ハリーハウゼンのストップモーションはなかなかのものです。「どんな駄作でもそれだけで見る価値がある」と言われるだけのことはあります。
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Invasion of the Body Snatchers (1978)「SF/ボディ・スナッチャー」
1956年映画のリメイクです。元の映画は、SF 映画史上の名作と聞きますが、まだ見たことがありません。
舞台をサンフランシスコに移して、都会人の疎外感をベースにしながらエイリアンが侵略する、というほどでもなく、ややだらけた感じで話が進みます。もうちょっと短くしてくれるといい映画になったかも。
78年ということで、エイリアンの描写は進んではいますが、特に驚くほどのことはないです(スターウォーズやエイリアンと同時期)。レオナルド・ニモイが出てきて、キーの役割を果たします。残念ながら、それほど目立つわけでもありませんでした。ドナルド・サザランドがいい味出してます。
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Flesh Gordon
Flash と Flesh と、一字違いで大違いという作品です。
噂には聞いていましたが、ここまでしょうもないセクシャルジョークを連発させられると、逆に感心してしまいます。普通は、主役とヒロインはそういうのには絡まないはずですが、そういうお約束を無視してどんどん進みます。
う〜ん、ええもん見たなあ。
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1001 Arabian Nights
「千夜一夜物語」のなかから、「アラジンと魔法のランプ」をアニメ化(1959年、コロムビア)。
ディズニーのアラジンだと、指輪の精の代わりに空飛ぶじゅうたんが活躍しますが、
この映画でもそうでした。ディズニーのじゅうたんには感心したものですが、元ネタがあったのか
と思うとちょっとがっかり。それとも、指輪の精の代わりに空飛ぶじゅうたんに話を変えるのは、
けっこうスタンダードなのかなあ?
アラジンの叔父さんがでてきますが、声が滝口順平そっくりでした。キャラクター的には、
キタキタおやじ的な「最強キャラ」で、ジェファーとの最終決戦にもその実力をいかんなく(?)発揮します。
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Frankenstein Conquers the World 「フランケンシュタイン対地底怪獣」
東宝特撮ファンの間では「幻の海外版」として有名な作品。残念ながら、国内版とほぼ同じでした。
OP だけ、クレジットを差し替えています。「海外版」見たいぞ。
ニック・アダムスの声が、思ったよりソフトでした。納谷悟郎、迫力ありすぎ。水野久美の声はけっこう似た感じですが、高嶋忠男はかなり違いました。沢村いき雄にいたっては、あの味を出せる声優はあまりいないのか、魅力のない声でした。その点、冒頭にしか出ない志村喬は声が似てました。
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封神榜
封神演義のアニメ映画(1980年、中国)。80年のものとしては、絵も荒く、ストーリーも(元は面白いにしても)たいくつ。
ただ、ケンセイジロウシンクン(漢字忘れちゃった)が、ブルース・リーだった(顔、声、動き、ぬんちゃく)のが笑えます。
封神演義で笑うなら、この映画だ!
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Galaxy Express 999:Adieu
Vis という大手ジャパニメビデオ会社が1997年に作った吹き替え版。
鉄郎の声はよく似ていましたが、メーテルの、池田昌子のあの声は出なかったです。
老パルチザンが冨田耕生そっくりの声でした。ミヤウダとトチロー、メーテルとプロメシウム、
ナレーションと 999 など、二役が多いところ、あまり声優には凝っていないのが残念。
オープニングタイトル「Adieu Galaxy Express 999」は、元の絵に重ねるのではなく
差し替えでした。また、クレジットは元々背景が真っ黒になっているところにでるので、
差し替えられるような作りになっているようです。
そういえば、パトレイバー・ザ・ムービーの OP クレジットも、そういうふうになっています。
輸出を最初から念頭に入れているのでしょう。
Reiji じゃなくて、Leiji Matsumoto なのは 初めて知りました。
「メイテル」と「テ」にアクセントを置くので、最後の「め〜てる〜〜〜」が今一つ。
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Galaxy Express 999 (9月1日追加)
Vis という大手ジャパニメビデオ会社が1996年に作った吹き替え版。なぜか、放映の順番が逆。
鉄郎の声は「さらば」と違うような気がしました。メーテルの、池田昌子のあの声はやはり出ないので、魅力が半減です。ただ、あまり二役は多くなかったです。メーテルとプロメシウムの二役は、やって欲しくなかったですが。
ハーロックやトチローもあまり違和感なく楽しめました。歌は3曲とも日本語のまま、字幕が流れます。
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以下はネタばれ強!
K2 L'Ultime Sommet (K2 最後の頂き?)
フランス題ですが、もとは英語(19991年)です。原題はわかりませんでした。
1978年にアメリカ人登山家が K2 を目指した実話を元にしています。
特別できがいいというわけではないですが、Takane という役で藤岡弘が出ていました。
オープニングに名前がクレジットされる割には、ほとんど台詞がなく、山頂を目指すアタックチームの4人の中にいる割には、山頂を前にして死んでしまいます、、
藤岡弘、国際スターだと聞いていましたが、実際に見たのは初めてです。邦画でも、実際に見たのは「ギララ」と「日本沈没」くらいかなあ(エスパイは見ていない)。しかし、台詞が少ないぞ! 「カリ城」の五右衛門より少ない!!
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以下はあらすじそのままです
Rudy
これだけ、私の趣味で特撮に関係ないフットボール映画です。フランス語吹き替えだったので、全然会話がわからなかったのが残念(後になって、英語版のビデオを購入しました。宣伝文句は90年代のロッキーだそうです)。フットボールファンの間ではたいへん有名な歴史的事実に基づいていますので、ネタばれします、というか、あらすじみんな書いてしまいます。
子供の頃からノートルダム大学のフットボールにあこがれていたルーディが、いろいろな障害を乗り越えながら、プレイヤとして試合に出るまでの過程を描いています。高校を出た後、経済的な理由?なのか、あこがれのノートルダム大学に入れず、親の経営する鉄工所で働いた後、工場での事故を契機に大学の門を叩きます。
しかし、大学に入っても、全米の強豪ノートルダムのコーチには相手にしてもらえず、入部できない彼は、なんとかチームの近くにいたいと思い、グラウンド整備などの裏方を務めます。1年後、ようやく入部できます(たぶん、奨学金が入ったのだと思う)が、体の小さい彼では練習でチームメイトにブロックでこてんぱんに倒され、試合に出ることすらかないません。ついに練習にも出なくなりますが、裏方時代に世話になったオヤジさんに諭されて、再びチームに戻ります。彼を迎えるチームメイトの拍手がいい。
そして、最後の試合の前、キャプテンが監督に自分のユニフォームを返して「自分の代わりにルーディを使ってください」と頼みに行きます。唖然とする監督の前に、レギュラー選手が次々とユニフォームを置き「ルーディを使ってください」と順にやってきます。
ついにベンチ入りしたルーディ。しかし、試合が始まっても監督はルーディを使いません。試合終了残り十数秒、17−3でノートルダムがリード、ノートルダムの攻撃なので、ランプレイで時間をつぶして終わり、という状況で、サイドラインから「ルーディ」コールが起こります。守備エンドのルーディには、このままでは出番がないと思った QB は、ここでタッチダウン・パスをコール。ボールをピッチされたランニングバックがエースレシーバーにロングパスを投げる、取っておきのスペシャルプレーを決めて、見事にタッチダウン!
次のノートルダムのキックオフで、ついにルーディがキッキングチームとして試合に出ます。キックオフの後、試合時間は残り数秒、直後のノートルダム最後の守備に、本来の守備エンドとしてそのまま入ったルーディが QB サックを決めて試合終了。チームメイトに優勝したかのようにかつぎ上げられたルーディの話は、1975年の実話です。
ノートルダム大学の風景はたいへんきれいです。学生たちの様子もうまく描かれて、青春映画としてもよくできています。なによりも、ルーディのような選手、そしてルーディのような選手を生み出すことのできたノートルダム大フットボール部に拍手を送りたいと思います。
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