下記に示す表は、建築基準法で定められている筋かいの壁倍率(倍/m)をあらわしている。
前述したように、筋かいは圧縮力側に作用する場合において有効に働くが、引張り側に水平力が作用する場合は、筋かいと周辺軸組との仕口に設けられた接合具の耐力でしか抵抗できない。
建築基準法で定められた筋かいの壁倍率は、圧縮筋かいと引張筋かいの性能が按分されたもので、建物全体の水平耐力においては均等に各方向に筋かいが配置されるので然程問題はないが、個別に各柱の引抜力を算出する際、そのままでは都合が悪い。
その為、圧縮・引張の片筋かいの性能が解説本の「(別記)〜補正値1.」にて示された。
「(別記)〜補正値2.」以降は、その応用で応力分担比を考慮して柱の両側に筋かいが取り付く場合の組み合わせをまとめたものとなっている。
筋かいは水平力方向によって、圧縮にも引張筋かいにも変化するが、その柱に浮き上がりが生じる方向の、つまり見かけの片筋かいの壁倍率を圧縮or引張筋かいの壁倍率に読み直して、通常のA1・A2の値と同様に算出すれば良いのである。(もちろん、タスキ掛けの倍率は、そのままで良い)
但し、柱脚の両側に筋かいが取り付く場合は、安全を考慮し見かけの壁倍率差を採用する。
片筋かい(圧縮)の場合 (柱頭に筋かいが取り付く場合)
筋かい(引張)の場合 (柱脚に筋かいが取り付く場合)