まず1つ目のアプローチとして、長方形の1辺の長さすなわち浮き上がり限界の梁からの距離を、今回の実験の梁・床の浮き上がり範囲の測定結果をもとに定めた(直交壁金物なし:2.4(m)、金物あり:1.8(m))。
その結果がどの程度実験結果と違いがあるかを、CWU/CW1の値から検討した。(別表参照)
1以上の場合、実際の浮き上がり範囲計測値から計算されるCWUよりCW1の方が小さい値すなわち安全側になっていることとなる。
全体的に安全側になっているが、直交壁金物なしの試験体の一部で1を下回る結果となっている。
そこでCW1を0.9倍し、低減した所、ほとんどすべてで安全側の結果となった。
これは浮き上がり範囲の梁からの距離が、金物なしの場合2.16(m)、金物ありの場合1.62(m)でモデル化したことになる。
金物ありの場合は低減しない場合でも安全側である。
よって、以下の浮き上がり範囲を設定すれば、全体的に安全側の評価となる。
直交壁金物なしの場合:梁からの距離2.1(m)
直交壁金物ありの場合:梁からの距離1.8(m)
@耐力壁線間隔が狭い場合、浮き上がり範囲の重複部分を低減して計算しないとカウンターウェイトが過大に評価される危険がある。
A本実験の試験体は梁成が240mmと比較的大きいため、この浮き上がり影響距離が梁の剛性の低い場合に成り立つかどうかは疑問が残る。