水平荷重と、耐力壁の剛体的回転による突き上げ力との関係を示す変換効率は、平均で2.28(押し載荷時で柱頭ロードセル値が計測できなかった場合(表中の明朝体)を除いて計算)となった。
耐力壁の高さと幅の比は2.90であるので、約2割は耐力壁以外の部分が負担しているか、柱頭ロードセル測定値が低めに計測されている(柱頭ロードセル荷重測定器具の接触不良)などの原因が考えられる。
前述のモデル化によるカウンターウェイト値と上記の変換効率から、推定水平耐力を求めたものを別表にしめす。
その結果、モデル1で約1〜3割程度、モデル2で約3〜5割安全側に水平耐力が算定される結果となった。
「3階建て木造住宅の構造設計と防火設計の手引き」(日本住宅・木材技術センター)によると、地震時の耐力壁の剛体的回転による柱の浮き上がりに対する柱脚金物の設計の際、長期軸力以外に上階から何らかの押さえ込み効果があるとして過去の実大実験より得られたβという係数を用いてカウンターウェイトが考慮されている。
それによると、必要柱脚緊結力Rは
R=(Q×H/L)×β−V
Q:耐力壁に作用する水平力(1/120rad時)
H:耐力壁高さ
L:耐力壁幅
V:柱の長期鉛直荷重
β:押さえ込み効果係数(耐力壁線端部:0.8、中央部:0.5)
で表され、したがって、カウンターウェイトは係数により低減された分と長期鉛直荷重の和
CW=(Q×H/L)×(1−β)+V
で表されると考えられる。
この計算法によるカウンターウェイト値(今回はQは終局耐力時(層間変形角1/30rad時とする)の水平耐力を耐力壁数で除したものを代入した)を、今回の実験によるカウンターウェイト値CWU、モデル化によるCW1、CW2と共に、別表に示す。
またそれを各試験体の合計値をまとめたものを次ページに簡単な表に示す。