木構造建築研究所 田原

その他の被害

RCマンション基礎の沈下

このマンションの被害は上部構造にはほとんど被害がなく、地盤から下に大きな被害を生じていることがわかる。

写真の通り、建物が傾いていることがわかる。

この建物は築年数が比較的新しく、新耐震以後の建物のため、上部構造には目立った被害は見受けられなかった。

この被害の原因は杭の破壊なのか、地盤の液状化および地盤沈下の問題なのかは調査できなかったが、建物が地面にめり込んでおり、建物の傾斜も1/100に近い傾きがあった。

それでも避難をしないで建物内に残っている家族が見受けられたがやはり今後の余震のことを考えると、できる限り避難所等に避難してほしいものである。この建物は大崎市の新幹線古川駅に近いところで震度7が観測された地域でもある。

震度6強大崎市内の様子。

この写真でわかるように、非常に古い木造住宅等が倒壊せずに残っているが、道路面が陥没したりしており、電信柱もご覧の通り傾いているのがわかる。

震度7の地域なのに、脆弱と思われる古い木造住宅がかなり多く残っていたのが印象的であった。地震の波の違いとはいえ、こういった木造住宅に対して厳しい地震波でなかったことが幸いしていると思われる。

同じ古川駅近くの組積造倉庫の被害が目立った被害ではあった。

歩道の被害

古川駅周辺では、このような歩道の地盤沈下がみられ、建物との段差が多く発生していた。液状化ではないが、このような歩道の地盤は地震で揺られるとずれたり流れたりしてこのような沈下現象が見られるので、本来ならばこういった部分においても設計や工事において注意をすべきであると思われる。

新幹線 古川駅配管落下の被害

今回の地震では、公共建築等において2次部材と言えるものの被害が多かったと思われる。写真のように配管の継目部分から破壊が発生しており、この破壊も外部での吊りボルトおよび吊りフック関係の破断がこういった被害を発生させたといえる。

このように5m以上上からの配管の落下は車を破壊しており、これが人間であったならば死につながったものと思われる。

全国にこういった箇所は数え切れないほどあると思われるが、早急な対策が必要であるとおもわれる。

この写真でもわかるように、コンクリートに取り付けられている吊り金物から下の配管を留めつける部分が破断していることがわかる。

よく見ると、錆びているようにも思われ、強風時や地震時には繰り返しの力がかかるため、外部にあった場合にはさらに劣化を考慮して、この配管の総重量の2倍から3倍の荷重に対して安全にした設計や施工が本来ならば望まれるのだが、こういったものは往々にして構造的な検討をしないままいい加減な施工をして取り付けられている場合があるため、特に注意が必要である。

JR仙台駅の被害

3月31日の状況ではあるが、まだ新幹線は止まっていた。こんなさびしい仙台駅は見たことがないが、5月には新幹線も再開するらしいので今後の東北の復興に向けてはずみがつくものと思われる。

通路部分の天井落下の被害。

こういった2次部材といえる天井材および天井取付材の被害が公共建築で多くみられたが、やはり天井の取り付け部分の甘さがこういった被害を発生させているといえる。建物躯体と天井材が一体の挙動となるようになっていれば問題ないが、かなりクリアランスの無い状態で天井が張られているため、天井材が座屈するような破壊と軽鉄下地と吊りボルトが破断したと思われるが、特にこのような長大な面積のあるものは大きな被害を受けやすいと思われる。