十津川村は紀伊半島のほぼ中央に位置し、和歌山県と三重県に接する。
総面積は672平方キロもあり、琵琶湖とほぼ同じ大きさ、日本で一番大きな村である。
村の96%が山々と山林で覆われ、四方を1000m級の大峰山脈・伯母子山脈・果無山脈などに囲まれている

村の中央には十津川が深いV字渓谷をなして歪流し、これに沿って村を南北に、まだ隘路が残る国道168号線
和歌山県の新宮市まで通じている。

この国道168号線は、2004年8月の地滑りにより3年7ヶ月の間閉鎖されていた(迂回路が最初に整備されたが)。
また、2011年9月には紀伊半島を襲った台風大豪雨により各所で土砂崩れが起こり国道・県道が寸断され、多数の住民が亡くなった。

最寄の鉄道駅は80km北の奈良県五條駅、60km南の新宮(和歌山県)駅、文字通りの陸の孤島であり、祖谷渓谷(徳島)・泉村五家荘(熊本県)とともに日本三大秘境の一つに数えられている。
人口は著しい過疎化が進んでおり、この10年だけでも5、000人から4、000人に減少した。
国道168号線は、大阪府の枚方市から和歌山県の新宮市に至り、総延長距離は約190km、紀伊半島を南北に縦断し、十津川村にとっては死活的な幹線道路である。

枚方市から吉野に入る部分と新宮市直前を除いて、ほとんどが険しい山間部を縫うようにして走る。2車線化やトンネル・橋梁建設などが進められているが、まだ1.5車線の部分も多く、すれ違いやヘアピンカーブには注意しなければならない。

途中、西吉野温泉、大塔温泉、それから十津川温泉郷に入り、湯泉地温泉・十津川温泉・上湯温泉を通過、和歌山県に入って本宮町に入ると「湯の峰温泉」「川湯温泉」「渡瀬温泉」等が次々と現われ、関西を代表する温泉街道と言える。
小さな温泉地にもかかわらず、湯泉地温泉には「滝の湯」「泉湯」の二つの共同浴場があり、手軽に入浴出来る。
両方とも内湯の他に小規模ながら露天風呂も備えている。

滝の湯は、五条方面からだと、町役場を過ぎてすぐに国号168号線を右折し橋を渡った少し先にある。

もともとは旅館だったものを改造したようだが、2009年3月に全面的に改装され、館内はどこもピカピカ、地元吉野郡特産の木材をふんだんに使用し、木の香が漂う温もりある館内に仕上がっている。

入浴料金は以前大人500円だったが、改装を機にだろうか、現在は600円になっている。
但し、入浴したこの日(2011年11月28日)は、9月の台風による被害から再開した記念なのだろうか、あるいは地元や支援の方々の汗を流してもらうためだろうか、無料になっていた。
大きな被害を被った十津川温泉郷で無料の入浴ははなはだ申し訳なく、料金を取ってくれるよう願ったが受け入れてくれなかった。

十津川温泉郷  湯泉地温泉 滝の湯 (奈良県)
改訂版
所在地 : 吉野郡十津川(とつかわ)
温泉名 : 十津川温泉郷 湯泉地(とうせんじ)温泉
施設名 : 滝の湯 (入浴日:2003.12.15 2回目入浴:2011.11.28)
渓谷を縫って走る国道168号線。
2011年9月に地滑りした現場。
国道168号線上の奈良県五條市〜和歌山県新宮市を結ぶ日本一長い路線バスは、約6時間の長旅になる。
急斜面の崖を切り開いて建設された国道168号線、トンネルが開通し、道も拡幅されてきているがまだ隘路が残る。
沿線最大の名所、谷瀬(たにぜ)の吊り橋。長さ297メートル、高さ54メートル、鉄線橋では日本一の長さを誇る。
日本百名湯(松田忠徳教授著作)の一つ十津川温泉郷は、奈良市と南紀を結ぶ国道(酷道と呼ぶ人もいる)168号線に沿って点在する3つの温泉の総称である。

一番北側、十津川渓谷の左岸の断崖上にある湯泉地(とうせんじ)温泉、ダム湖半のわずかな平地に旅館が寄り添う十津川温泉、そして一番南側、国道168号線をそれて5kmほど隘路を進む上湯温泉がそれである。

旅館は温泉郷全部で12軒の他に若干の民宿、それに5ヶ所の共同浴場がある。
十津川温泉郷は温泉教授で知られる松田忠則氏の指導・アドバイスを受けて、2004年6月、日本で一番最初に全施設の源泉かけ流し宣言を行った。

湯泉地温泉は、旅館が4軒(十津川荘・むさし・やど湯の里・一乃湯ホテル)、民宿2軒、それに「泉湯」と「滝の湯」の2ヶ所の公衆浴場がある(2012年3月5日現在・・・十津川村観光協会HPに拠る)。
湯泉地温泉の道の駅・十津川郷と一乃湯ホテル。
営業時間:AM10:00〜PM9:00、定休日:毎週木曜日、料金:大人600円 子供300円。
端正な天然石を敷き詰めた内湯は一度にMAX5人程度の規模。 温泉の泉質は、アルカリ性単純硫黄泉(1号・2号源泉の混合泉ー詳細は下記)で、わずかに硫黄臭があり、pHが8.6と高いアルカリ性もあって、強いぬめり感がある上質の温泉がかけ流しだ。
露天風呂は以前と同じだったが、内湯から続く30段ほどの階段を完全に覆う回廊が出来たので、面倒な着替え無しで直接行ける様になった。
館名の「滝の湯」は、この露天風呂の脇に小さな滝があることに由来する。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 吉野郡十津川村小原373−1
電 話 0746ー62−0400
交通機関 五條から国道168号線で約65km
JR五条駅から奈良交通・新宮駅行きバスで約3時間
日帰り施設 食事処、休憩室、駐車場(10台)
宿 泊 無し
泉 質 アルカリ性単純硫黄泉(1号線と2号線の混合泉、両方とも同じ泉質)
1号線:59.2℃ 180リットル/分 pH8.6
2号線:53.6℃ 45リットル/分 pH8.6
12月〜3月は加水・加温無しでかけ流しだが、それ以外の月は温度を下げるために20%加水。(殺菌無し 換水 1日1回)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 10〜21時 
定休日 毎週木曜日
入浴料金 大人600円 小人300円
入浴施設 内湯男女各1、露天風呂男女各1
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー、ロッカー
観光スポット 谷瀬の吊橋:長さ297メートル・高さ54メートル、鉄線吊橋では日本一
笹の滝:日本の滝100選、玉置神社
お土産・食事 道の駅十津川郷で。
近くの温泉 十津川温泉上湯温泉湯の峰温泉川湯温泉渡瀬温泉
十津川村HP
観光協会HP
http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
http://totsukawa.info/
雑記帳 林業の衰退、厳しい地形と相次ぐ地滑りや土砂崩れによる国道の寸断等により十津川村の過疎化は著しく、1970年の8,500人の人口は現在4000人を割り、村の存亡の危機にさらされている。

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リフォームされた館内はどこもピカピカ、しっかりした貴重品入れが設置された。休憩室があり、簡単な食事も取れる。
こんな詳細な温泉情報が書かれたボードは初めて見た。因みに源泉は2.1km離れた場所から引き湯していることが分かる。
写真右の露天風呂横に細い渓流があり小さな滝が流れ落ちているので、これが館名の由来になったと想像する。
日本三大秘境の一つ、十津川村に点在する3つの温泉地から成る十津川温泉郷は、2004年4月、全国に先駆けて、全施設の「源泉掛け流し宣言」を行なった。

その直後、2004年8月の豪雨による大規模地滑りで国道168号線が3年7ヶ月間の閉鎖、そして2011年9月の台風による全域での大規模土砂崩れで、多数の死者を出し、国道は再び通行禁止となった。

片側交互通行や仮橋の建設などにより、国道が仮復旧したことを知り、さっそく十津川温泉郷に向かい上湯温泉に宿泊することにし、途中、リニューアルされた湯泉地温泉共同浴場・滝の湯で2回目の入浴をした。