ななくりの湯
毎月第一火曜日にはロビーで無料のコンサートが開催される。
宿泊日がたまたまその日、津軽三味線と二胡のコラボレーションをしばし楽しんだ。
部屋から見た温泉街風景、左下は石の湯。
3階だったので、入浴などのための階段上り下りが少々きつかった。
8畳の和室+6畳次の間+広縁+BT
窓枠まで木造の和室は寛げる。
BTは改装時に置かれたのだろう、狭いユニットバスの洗面台・トイレだったのが残念。
菊村到・池田満寿夫・川上宗薫・長島茂夫
漫画家・藤子不二雄
資料室
チェックイン時の茶菓(あんみつ)
3階階段
2階廊下
ロビー
チェックインコーナー
喫茶ルーム
別所温泉・臨泉楼 柏屋別荘 (長野県)
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
平成18年3月に(旧)上田市と丸子町・真田町・武石村が合併して、新しい上田市が誕生した。
上田市は長野県の東部にあり、、塩田平と呼ばれる盆地の中にある.。東京から約190km、軽井沢や長野市からそれぞれ約40kmの距離である。
市域の北は上信越高原国立公園の菅平高原、南は八ケ岳中信高原国定公園に指定されている美ケ原高原などの有名高原があり、多くの観光客・ハイカー・スキー客を受け入れている。
また、市の中央部を千曲川(新潟県からは「信濃川」)が東西に通過、長野盆地へと流れている。
上田市と言えば、戦国時代、真田一族が本拠を置いていた土地である。
父の真田昌幸、長男・信之、そして次男・信繁にまつわる戦国絵巻。
特に中学生時代に読んだ講談本で、真田幸村(信繁と同一人物)が、配下の猿飛佐助・霧隠才蔵らの忍者や三好清海入道ら、真田十勇士と共に獅子奮迅の活躍をするさまに胸躍らせたものだ。
別所温泉近くの「無言館」。戦没した若き画家の卵の遺作や遺品が展示されている。
上信越自動車道上田菅平ICで降り、上田市内を通過して県道を南西に進む。
塩田平を通り抜け、夫神岳(1、250m)の山麓を登り始めるとすぐに、標高650mの別所温泉に達する。
いま、池波正太郎の「真田太平記」の文庫本を読んでいる。その第一巻に「別所温泉」が登場する。
「佐平次どの。別所の温泉(ゆ)に行くぞ。そこで、いましばらく躰をやすめることだ。(中略)
別所に、安楽寺という禅寺がある。小助は、この寺へ佐平次を連れ込んだ。」
別所温泉には、現在でも、真田一族が入浴したと伝えられる「石湯」が公衆浴場として残っている。
温泉街の一角にある安楽寺の八角三重の塔は国宝に指定されている。その他、天台宗別格本山の常楽寺(重要文化財保有)、善光寺とともに厄除観音として信仰を集める「北向観世音堂」、石造多宝塔(重文)等多数の寺院・文化財があり、信州の鎌倉と呼称されている。
朝食
国宝・安楽寺八角三重の塔
別所温泉は、信州で最も歴史ある温泉と言っていいだろう。
その歴史がもたらす品格がここにある。
それは温泉街を散策してみると分かる。
少々の起伏がある中央の道を歩くと、左右に20軒弱の中小規模の和風旅館が点在している。その旅館は、何れもよく維持管理されていて、寂れた外観を持つところは一つも見かけない。
旅館の合間には、唐破風の屋根を持つ風情ある外湯が点在している。
温泉街の中央、「北向観世音堂」へ続く階段の両側は、小さな土産物屋が並び、突き当りにはお堂が善光寺と向かい合って建っている。ここは、「善光寺だけでは片参り」と言われるほど、昔から厄除けの信仰が深い由緒ある寺院だ。
少し道を外れると安楽寺、常楽寺などの名刹が森の中にひっそりと佇んでいる。
まことにしっとりした風情ある温泉街だ。
大湯から温泉街中心に向かう。
清少納言の枕の草子には「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」の記述があるそうだが、私は原文を見ていない。
別所温泉は、往時、「七久里(七苦離)」と呼称されており、これを以って清少納言ゆかりの湯とする見方もある。
しかし、もう一つ「ななくりの湯」がある。三重県の榊原温泉が、、かって「七栗の湯」呼ばれていたのだ。
因みに「清少納言 ななくりの湯」で検索すると、圧倒的に榊原温泉のヒット数が多い。どうやら、本格的に清少納言を売り物にしているのは榊原温泉のようで、ここには「清少納言」という旅館もあるくらいだ。
一方、別所温泉で入手したパンフレット類には清少納言の文字は無い。
どうやら、楠正成と並んで国民的人気の武将・真田幸村がバックにいるので、これで十分なのかもしれない。
松田忠徳(温泉)教授の「日本百名湯」に選ばれた別所温泉の代表旅館として、柏屋別荘を推薦している。
ここは別所温泉の一番奥にあって、真田一族ゆかりの共同浴場・石湯の隣に建つ。
上田藩の出屋敷が前身なので、名前に「別荘」がつくのはその為かも知れない。
創業は明治43年の老舗で、敷地は4000坪を誇る。
木造4階建ての本館は、昭和2年に増築されたものだが、別所温泉のシンボル的建造物になっている。
他に木造の3棟が離れ形式になっているが、これらは、旅館のお抱え大工が長年にわたって手がけてきたものだ。
川端康成をはじめとする多くの文人がここに宿泊しているのも頷ける風格と風情が漂う。
木造4階建ての本館。ここの3階、向かって左側の部屋に宿泊した。
施設名 : 臨泉楼 柏屋別荘 (宿泊日:2006.11.7)
部屋に置いてある入浴用の籠
風呂は、内湯・露天風呂が男女別に各一ヶ所ある他、三つの貸切風呂(45分2000円)がある。
内湯は、高齢者や幼児が転倒しても怪我をしないようにと特殊な繊維で作った畳敷きになっている。因みにこのスタイルの浴室は3ヶ所目だ。
風呂は床にも石板を敷き、5,6人が一度に入れる規模でそれほど大きくない。岩石を配した露天風呂は、後から付け足したものだろうか、見晴らしがきかず小さなものだ。
2つの風呂とも規模は小さいが、20室と言う部屋数を考えるとこれで十分だろう。
3つある貸切風呂の内、2つはアンティークな風情を漂わせ、この旅館の売り物のようだが、利用料を考えて入浴しなかった。
温泉は、敷地内からら湧出(掘削)する自家源泉の単純硫黄温泉だが、硫化水素臭がするのか定かでなかった。加温・加水無しのかけ流しだが、循環を併用している。日帰り入浴は、予約不要で12時〜20時まで、料金は1,050円である。
共同浴場
別所温泉に宿泊した時は、是非、外湯(共同浴場)に入浴することをお勧めする。
4つの外湯があり、木造・唐破風の大湯・大師湯・石湯はそれぞれ由緒を持つ共同浴場だ。
あまり知られていないが、上記の他、別所駅ちかくに4番目の外湯「あいそめの湯」がある。
大湯
吉川英治の大河小説「新平家物語」で木曾義仲が巴御前とともに、ここで湯治する。
温泉街の中心からやや外れた北向観世音堂近くにある。
営業時間:6:00〜22:00
定休日:第1・3水曜日
入浴料:150円
大師湯
天長二年(825年平安時代)比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が北向観音堂建立のため当地に来錫の折好んで入浴したので大師湯と名付けられた。石湯のすぐそばにある。
営業時間:6:00〜22:00
定休日:第1・3木曜日
入浴料:150円
石湯
池波正太郎の「真田太平記」には、別所の湯がしぱしぱ登場する。物語りの中で重要な位置を占める向井佐平次が真田幸村と初めて会うのはこの風呂だ。柏屋別荘の隣にある。
営業時間:6:00〜22:00
定休日:第2・4火曜日
入浴料:150円
「あいそめの湯」
別所温泉駅近くにある。営業時間:17:00〜22:00(※第1・3・5月曜日は9:00〜22:00) 、定休日:第2・4月曜日、入浴料150円
夕食は、派手さは無いが、地元食材を使った滋味豊かな夕食だった。
朝食はトロロご飯か茶粥を、味噌汁も2種類から選べる。
夕食・朝食とも部屋食だが、部屋がエレーベーターの無い3階にあるため、サーブは若い男性が行う。
温泉教授松田忠徳氏の日本百名湯に選考された別所温泉、代表的な宿として臨泉楼柏屋別荘が挙げられている。
火曜日 2人1室@22,000円