産まれてから

なんとか無事産まれたといっても、1211グラムといえば明らかに未熟児です。
一瞬見せてもらっただけで、すぐにひなこはNICU(新生児集中治療室)へ連れていかれました。
私も手術後ICUに移されました。
夫がNICUの医師から説明をうけ、面会にやってきました。
今のところ安定してはいるけれど、2ヶ月以上早く産まれて体の機能が未熟なため、まだ2、3日は何があるかわからず
注意が必要だということなのです。
一瞬、「それってどういうこと?」と頭の中が真っ白になりました。

翌日、NICUからひなこの様子を説明しに来た看護婦さんが、へその緒とポラロイド写真を持ってきてくれました。
保育器の中にいるひなこには、いろいろなものがつけられています。
人工呼吸器、鼻から胃へ通したチューブ、心電図用のコード。
点滴は心臓の動きを助ける薬と、足りない栄養をおくるためのものの2本。
保育器の中には酸素も送られています。
「ちっちゃい体で生きようとがんばっているんだ。 もう少し大きくなるまで、安全で快適に過ごせるお腹の中にいさせて
あげたかった・・・。」そんなことを思いながら、その日もまだひなこに会えず不安いっぱいで過ごしました。

はじめてNICUへひなこに会いに行ったのは、その翌日、出産の2日後でした。
改めて目の前にすると、あまりの小ささにびっくりしました。写真でみると大きく見えていたのに。
新生児用の紙おむつよりさらに小さい病院専用のものをしていましたが、それですらかなり大きくて、胸の下あたりまでが
おむつでかくれていました。
腸の動きがよくないのか、便もまだ出ず、ガスがたまってお腹がかわいそうなぐらいパンパンです。
(2日ほど後にやっと出ましたが、「このままだったら手術しないといけないかも!」という話になっていました。
結局腸の病気ではなかったようで一安心です。)
足をちょんとさわると、とても元気に動いてくれました。

その後、容体が悪化することはなく、3日間は無事過ぎました。
やっとお腹の調子が良くなったので、母乳をはじめました。(まだ自分で飲めないので、鼻のチューブから直接胃に入れます。)
1回に1ccを1日8回からはじめ、2cc、3ccと毎日少しずつ増やしていきます。
人工呼吸器をはずし、点滴が減り、酸素を止め・・・。毎日ちょっとずつですが体重も増えていきました。
途中黄疸がでたり、MRSAに感染して隔離されたりということもありましたが、黄疸は光線治療で1日で消えました。
MRSAもしばらくかかりましたが病院を退院するまでには無事消えました。
とにかく元気で、保育器の中をごそごそ動きまわったり、寝返りで転がったり。
授乳の時間前にお腹がすいて泣くようになり、あとは大きくなるだけという感じで、少しずつ良い方向に向かっているようでした。
私は自分が先に退院してからも、毎日3時間から4時間おきに搾乳をして、冷凍した母乳をクーラーバッグに入れて
病院に運びました。最初は1回の量が少なく、冷凍母乳のストックがどんどんたまっていきましたが、消化できる量が
増えていくにつれて、搾乳が追いつかなくなっていきそうでした。

ひなこは少しずつ体重も増え、NICUをでて、保育器ごと向かいの小児科病棟にうつることになりました。
ここでは24時間誰かがついているわけではありませんが、そのかわりNICUのように限られた時間の面会ではないので、
おむつをかえたりお風呂に入れたりしながらゆっくり一緒の時間を過ごせました。
そのうち保育器をでて、ゴムの乳首を使って自分で飲む練習をし、哺乳瓶で母乳を飲めるようになってからは、
最後に残っていた鼻のチューブもとれました。
その後ははじめて自分でおっぱいを飲むことに挑戦させたのですが、柔らかいゴムの乳首に慣れたひなこは、
はじめなかなかおっぱいを吸ってくれませんでした・・・。

いろいろありましたが、当初の予定日だった9月、やっと退院することができました。

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