平成19年10月25日(奈良県教育振興会のやまと11月号の記事を書くために,奈良県五條市にある柿博物館に行ってきました。)

 奈良は柿の産地としても有名です。やまと11月号には柿について勉強できる施設を紹介しようと,柿博物館に行ってきました。
 奈良県を縦断する国道168号線を左に折れ,柿畑の中を上って行くと,高さが8.7m、直径が18.2mという巨大な柿が現れました。これが奈良県果樹振興センターの施設の1つ,柿博物館です。
 円形の館内に,柿に関するいろいろなことがらが掲示されていました。ほかには,柿生産農家らしい夫婦だけというこの博物館でゆっくり勉強できました。勉強したことをまとめると,次のようになります。
1 柿は縄文など古い時代の遺跡からも発掘されます。弥生時代には栽培あるいはそれに近い状況でした。奈良時代には商品として売られていましたが,それは渋柿でした。その後,大和の国は柿の産地として知られるようになり,江戸時代には「御所」という品種の甘柿が全国に広がりました。今,五條市は日本一の柿の産地です。
2 柿の学名は「ディオピロス カキ」で,「神の果物」という意味だそうです。「ニッポニア ニッポン」の「トキ」,と同様,日本とのかかわりの濃さが感じられる学名です。
3 柿は食べるだけではなく,渋柿からとった柿渋は染め物や塗料に使われてきました。今では,透明なお酒をつくることにも役立っているそうです。
 大きなスクリーンに投影される映像で,柿の歴史や食べ方、使われ方などを勉強したあと,柿に関するクイズに挑戦しました。これには,「『柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺』の句の作者は誰ですか」といった問題がありました。答えは,正岡子規です。正岡子規は柿が大好物だったそうで,明治28年の10月26日からの奈良旅行のとき,この句を詠んでいます。そんなことから西吉野町で柿づくりをしている方が,「10月26日を柿の日に」と提案,日本記念日協会の承認を得まそうです。
 昼食に,柿の葉寿司を食べましたが,まだ青い葉っぱでした。秋の深まる頃になると,紅葉した葉っぱのお寿司も売り出されます。(このことは「あんなこと・こんなこと」の第27話-2001.10.28-に書いています)
 ところで,大正8年,お米が60kgで15円だったころ奈良県産の柿は10 kgで25円もしたそうです。今だと柿1個がいくらということになるのでしょう。そう考えると,今はずいぶん安い果物になったものだと思います。

1 向こうに柿博物館が見えます 2 中が展示施設です 3 ヒラタネと呼ばれる柿です

 


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