もっと稀有な交尾
第1話(うさ晴らし)

嫌だとあんなに言ったのに、恥ずかしい体位を取らされた。

それでも、感じてしまった自分にも腹が立つが、そんな体にした相手にはもっと腹が立つ。

グランドラインのある航路。
かつては人が住んでいたらしいが、今は無人島になっている、うっそうとした
森しかないここに、サンジはうさ晴らしに狩でもしようと一人で上陸した。

手当たり次第に捕まえた動物をずりずり引きずりながら、サンジは更に森のおくへと歩を進める。

足元には落ち葉が降り積もっている。
森の中には道らしい道などない。
サンジは、迷わないようにナイフで木に印をつけていく。

地面は湿った落ち葉で覆われている。「きのこでも、ありそうだな。」

サンジは、落ち葉を手で少し掻いてみた。

「!!」
なにかがサンジの手に触れて、ビクッと動いた。

ぬるりとした感触のそれをサンジは、巨大なミミズだと思ったが、
土を掻いて目で確かめてみると、深く埋まってどの位長いのか
分からないが、端だけを引きずり出して、よく眺めてみる。

「チンコじゃねえか。」

それは、ホースのように長いサンジの言うとおりのものだった。
(例の奴とまた、ちょっと色が違うんだな。)
前回の生物は植物らしく、ちゃんと緑色をしていた。
が、今回の「チンコ」は、まさに自分の股間にぶら下がっているもの、そのものの色形だった。
さすがに手で弄ぶ気にはならない。

足先で突付いてみる。

「乱暴ニシナイデクレ。」

(・・・・やっぱりな。)
頭の中に声が聞こえた。以前、ゾロと自分を襲った例の生物らしい。

「私ハ、オマエガ考エテイル物トハ違ウ。」
「どう違うんだよ。」

不思議なもので、こういう体験も2回目だと腹が据わるものだ。
サンジは、当たり前のように受け答えをしている。

「私ハ、雌ダ。」
「雌?」

(これは、チンコじゃねえのか。)「!!失礼ナ!!」

サンジとその生物は会話を続けた。

繁殖期が終わったので、交尾はしない、という事。人間の思考を読む事ができる事。
サンジは最も興味を惹かれたのは、血液など吸わなくても
人間の姿をとる事が出来、しかも、自由自在だと言う。

「じゃあ、例えば俺の好みのレディとかになる事も出きるのか?」
「ソレハ、個々ノ器用サニヨル。」

「個々の器用さ?どういう意味だ?」
「説明スルヨリモ、試シテミルカ?」

どうも、ノリが軽い。
「てめー、本当に交尾しないのか?」

「交尾ハシナイ。」
「オマエニ興味ガアルダケダ。」

「腐ラナクテ、栄養ガ高クテ、上手イ果物ヲヤルカラ、少シ、オマエノ体ヲ
見セテ欲シイ。オマエノ様ナ人間ハ始メテ見タ。」

その果物はとても不思議なものだった。
「肉」だと思って食べると、最高級の肉の味がして、
「果物」、「梨」だと思って食べると「最高級の梨」、「イチゴ」だと思って食べると「イチゴ」の味がする。

何も考えずに口にしたら、その人間が最も好む食べ物の味がするのだ。

「こりゃ、凄えもんだな。」
サンジは、面白がっていろいろな味を想像して、たくさん食べてしまった。
「ご馳走サン。」
「ドウダ?」

船に積んでいれば、食料が尽きた時などにきっと役に立つだろうと思ったので、
「もっと呉れたら、見るだけなら見せてやってもいいぜ。」
と、サンジは安受け合いしてしまった。

「交尾」をしないのは、もうその生物が既に繁殖を開始しようとしていたからだった。

生物によっては、孵った幼生の栄養にするべく、孵化する前のタマゴを他の生物に生みつけるという習性を持つものがいる。

サンジと交尾をしない、というこの生物の目的は、実はそこにあったのだ。

サンジは、うさ晴らしに狩にきていた事など、すっかり忘れてその生物の口車に
乗ってしまっていた。

第2話(経験の情報)


「見せろって、どこまで見るんだよ?」「ココデ、性行為ヲ見セテ貰ウ。」

「はあ?」サンジは素っ頓狂な声を出して、聞き返した。
「交尾はしねえんじゃねえのか?」


 「交尾デハナイ。観察ダ。私ノ分身ヲ用意シテヤル。」
「オマエガ充分満足スル相手ヲ用意シテヤルカラ、心配スルナ。」

サンジは、少し考えた。

昨夜の事が頭によぎる。
「い、嫌だって言ってんだろ・・・・!!こん・・な・・・あっ・・」

「うるせえ、いっつもおんなじ体位じゃ飽きるだろうが、大人しくしろ。」
「てめえ・・・俺はなあ・・・うっんっ・・・」
「黙って喘いでろ。」



(ったく、黙って喘げってなんなんだよ。)
体は満足したらしいが、気持は不満だらけだ。
(満足する行為って、やっぱり女の子を用意してくれんのかな?)
サンジが食べた果物には、どうやら少し媚薬のようなものも含まれていたらしい。
だんだん、(やってやろうじゃねえか)という気になってきた。


「オマエノ満足スル相手ヲ教エテ欲シイ。頭ノ中ヲ覗クゾ。」
「ああ、よろしく頼むぜ。」

「覗く」と言われたものの、別に何が起きるわけではない。
ここまでの会話も、全てサンジの頭の中に直接話しかけてきた言葉との
受け答えだったので、サンジはまだ、この生物の姿を目にしていない事に急に気がついた。

(まあ、いいか。)
覗いてもらってるんだから、極上の女の子を必死で頭に思い浮かべてみる。

(先ず、ナミさん、ビビちゃん、えっと、ジェニファー、フランソワ、ナオミ、それから・・・)

しばらくして、地面からたくさんの「チンコ」がものすごい勢いで飛び出してきた。
それがウネウネと絡まり合った。

その動きが止まると、表面がつるりとした塊になる。
それは、まるで心臓が脈打つような動きを見せた。

中から、セクシーなレディが出てくると思えば、その生々しいピンク色も
結構かわいらしく見えてくるのだから、人間の感覚など、勝手なものだ。

サンジは、どきどきしながらその艶めかしい塊を見守っていた。

動きが止まった。


(さあ、ナミさんか??!ビビちゃんか??!それとも、他の誰かが??)

サンジの熱い視線を浴びて、その塊は大きく左右に揺れ始めた。

「?」

女の子が外へ出ようとしているのだろうが、随分激しい動き方だ。

「あんたの分身、随分情熱的だな。」
その動きをみて、サンジが頭の中の声に話しかけた。

「オマエガ望ンダ物ヲ用意シタダケダ。」

「情熱的なレディか・・・・・♪。」サンジの顔がだらしなく緩んだ。

やがて、バランスを崩した塊は、大きな音を立てて地面に転がった。
それは、ゴロゴロと転がってサンジのすぐ側まで来て、止まった。

「さあ、出ておいで、マイハニー♪」
サンジは、それに爪を掻けて力任せに引き破った。


そして、腰を抜かした。

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